職場の風景 

月刊誌「新しい風」の表紙カット原画に淡彩をつけて

 「新しい風」は日本科学者会議の電気通信研究所(略称:通研)分会機関誌として毎月発行されています。その表紙のカットを編集部から依頼されたのが1993年の5月号からでした。2001年9月号で、101枚になりました。
 通研外の読者や通研OBの方々にも購読いただいていますので、そのときどきの通研の風景をご紹介したいと心がけてきました。
 それでも風景を描くことができない月もありますので、そういうときには、季節の植物画を使ってきました。 それらは、このシリーズから除いてあります。


1993年〜1995年分




【93年5月号】 チューリップ満開の池

 正門を入ると目の前に大きな池、チューリップが満開です。表紙カットを引き受けての第一作。現場で葉書サイズのペンスケッチをしましたが、50%縮小して表紙カットとしてみると線が細すぎたので、描き直しました。



【93年7月号】 事務所横のたわわなビワ

 ここは研究所の機材や物資を運搬や、移転作業にたずさわる人々の事務所です。その脇に生えていたビワの樹が、ここの人達の手入れが良かったのでしょう、たくさん実をつけていました。 (このビワも事務所も今はありません)



【93年8月号】 北門の夾竹桃

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【93年9月号】 珊瑚樹の実と10号館
 赤い実をたくさん付けたようすを珊瑚に見立てたこの樹、正門大芝生の南端にありました。



【93年10月号】 正門大芝生と白樫の巨木

 この白樫はこの研究所が開設されたときに植樹されたものらしく、当時の写真では人の背丈とさほど違わない小さなものでしたが、構内改装工事のたびに間引かれ、残された4本ほどは、このような巨木になりました。いつからかシンボル・ツリーと称されています。



【93年11月号】 通研クラブ南のイヌビワ

 このあたりはマテバシイ、スダジイ、コナラなどドングリのなる樹がうっそうと茂っていましたが、その木陰にこの珍しいイヌビワがあり、小さな丸い実のなる姿がとても好きでした。(いまはありません)



【93年12月号】 池の東のサザンカ

 池のベンチに腰掛けているのは、外国人研究者たちで、彼らはここを、 "NTT beach"と称していました。昼休みごとにここで日光浴しながらリフレッシュのおしゃべりをしていたからです。私も仲間入りして英会話させてもらいました。この時期、花がすくないのですが、サザンカとツバキだけは所内のあちこちで見られました。(いまはこの池はありません)




【94年1月号】 3号館から出る朝日とアオキの実

いつもより朝早いので、朝日がまぶしいこういう風景も描きとめておきたいとおもいました。




【94年2月号】 寒風に実を残すユリノキと3号館

 ユリノキはモクレン科の高木で、比較的珍しいのですが、3号館の北側にあります。ゴールデンウイークにはオレンジ色まじりの黄色い花をさかせますが、その種はこうして冬まで枝先に残り、強い寒風にのって遠くへ飛んでいくのは種族保存の戦略なのでしょう。



【94年3月号】 しだれ梅、背景は池と10号館

 このしだれ梅は他の梅より少し遅れて咲きますから、もうすぐ春という気分になります。(今この池はありません)



【94年4月号】 3号館と沈丁花

 とてもいい香りを放つ沈丁花、ここは3号館と5号館の間から太陽がさすせいか、所内でも一番きれいに咲いてくれます。



【94年6月号】 タイサンボク、音響棟を背景に

 この花もモクレン科で、通研のなかで花の大きさでは一番。花びらも良い香りを放ちます。(今この樹はありません)



【94年8月号】 バナナ、背景は10号館

 バショウと思いちがいしていまして、表紙にもそう書いてしまいましたが、しばらくして小さいながら実がなったのを見て、バナナだったことがわかりました。(今このバナナの木はありません)


準備中

【94年9月号】 サルスベリ、背景は音響棟入口 

 正門大芝生の音響棟の玄関前のあたりにサルスベリの木があり、花の少なくなる夏に百日紅という字の通り長い間、花を見せてくれます。花の形の複雑さにめげて、なかなか描かずに来ましたがある日、気合いを入れて鉛筆でスケッチしました。この絵はそれをトレースして風景に取り込んだので、少ししっくりしない感じが残りました。(今はこの木も建物もありません)



【94年10月号】 音研棟のぶどうとキウイの棚

  あおぶどうとキウイ、植物画の題材にも使わせてもらい、また食べさせてもいただきました。ここは廊下が屋外、野鳥の餌台なども置いて、自然のなかで研究する雰囲気、新棟建設のためとはいえ壊されたのが残念です。



【95年1月号】 1号館を背景にアカマツ

 正月らしく松を描きました。



【95年3月号】 クヌギの冬木立と音研カマボコ屋根

 憩いの小径の終点近く、ここにカイドウ、白梅、紅梅、スモモ、ザクロの樹や、ミズヒキ、キツネノマゴ、カントウタンポポなどの草もあって、自然観察に愛用したポイントでした。



【95年9月号】 蝉多い桜のトンネルと北門

 北門を入って南へ進む道の両脇に植えられた桜並木がトンネルのようです。この時期、蝉が多く、抜け殻もいくつも見つけることができます。



【95年10月号】 8,9号館の間の丘のイヌツゲ

この丘は高いビルの間でもあり、足場が悪いこともあって、それほど頻繁に植物観察には来ませんが、所内で最も大きく勢いのいいイヌツゲの木があります。



【95年11月号】 トチノキの黄葉、音響棟西

音研のカマボコ屋根の西にトチノキの巨木が3本生えていて、そのうち2本が雌、毎年大きな実をつけています。実を拾いにいってふと見上げると、逆光にトチの黄葉がとても美しく見えます。



【95年12月号】 音響棟のケヤキ、最後の紅葉

 左が掲載されたもの。右の絵は、「新しい風」の表紙カット用の少し前に描いたもの。巨大ホーンが主人公になっています。


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