投稿日時: 04/05/12 06:32:50
>デジカメ等で撮影した画像をみんなでワイワイレスをつけたりしながら仲間で楽しむ、フォトコミュニケーションソフトです。
いい機会ですので、ここちょっと補足しておきます。
imgboardは実は我々が最初に開発した画像掲示板ではありません。一番最初のバージョンの画像掲示板は特報倶楽部トップに残っている
「Digital Camera -- Free Park --」(1997年5月)です。
「全国100万のQV−10ユーザのみなさん!!お待たせしました。ついにできました。
QV−10特報くらぶです!!」
http://www.big.or.jp/~talk/t-club/wwwboard03/messages/392.html
当時、日本で初めての「デジカメブーム」というのが、カシオのQV-10という製品で起きました。これを早速我々も買ったのですが、ネガがないため、実は画像を公開するのが結構面倒だったので、それを自動化したものが欲しいよね・・・ということで開発したのが、「画像掲示板」です。
アップロード用のルーチンは、当時出てきたNescape2.0のフォームによるマルチパートデータ送信機能を利用してすぐできたのですが、掲示板プログラムは当時まだ日本語のCGIソフトがRESCUEさんぐらいしかない状況だったので、mattさんのやつをベースに作りました。特報くらぶという名前は、即時性のある写真掲示板という新ジャンルの掲示板を世に宣伝するにあたり、その特殊な新コンセプトを、当時エスパー伊藤などが出演し流行っていた「投稿!特報王国」という番組になぞらえてアピールしたからです。開発スタップは大学時代の友人3人で作りました。
この最初の画像掲示板は、ベースのMattさんの掲示板wwwboardが高機能だったので、当時にしては結構高機能な掲示板だったのですが、HTML排出式で管理がややこしいですし、同期も崩れがちで管理が面倒臭く、また我々で再配布不可なので、反応は芳しくない状態でした。雑誌などには「初もの」として取りあげられることが多かったのですが、そのアクセスも一時的なもので長期的には続かず、運営はうまくいきませんでした。
それに対して、当時のスタッフで相談したのですが
・もっとシンプルでわかりやすいなものにしよう
・我々で行う掲示板運営でデジカメ用画像掲示板の良さをアピールするには限界があるから、ソフトを配布していろんな人に使ってもらう形にしよう。そして配布するにはmattさんのやつではダメだから掲示板部分も自分達で作ろう
・違法画像貼り逃げ等のいたずらの可能性があるので、それへの対策を売りにしよう
等の基本的なコンセプトが決まりました。そして、当時一番人気のあったMiniBBS風のシンプルな画面にデジカメ画像添付機能を追加し、全オリジナルコードにして配布できるようにしたのが、imgboardです。(命名はとーる氏)
imgboard 0.92リリース(98年5月)
http://www.big.or.jp/~talk/t-club/soft/wwwboard/messages/80.html
その後、様々な改良を経て、今はカメラ付き携帯からの直接投稿、サムネイル作成、匿名メール機能、検閲後公開機能(管理者検閲後公開される)等を追加したimgboard1.22R7(2003年6月リリース)が最新版になります。
一貫しているのは、デジカメの進化と同時に歩んできていることと、著作権を守ることに重きを置いている点です。IPを記録していたり、隠しリミッターで大きなファイルをアップできないようにしたり・・・そのへんはそれに対する配慮の部分になり、いわゆる「アップローダ」と一線を画すものです。
(時事ネタ)例のP2Pソフトの作者逮捕で、フリーウェア開発者としていろいろ思うところもあるのですが、(マルチメディア分野が専門の弁護士の友人が何人かいて話を聞いたりするのですが)、思うところを少しコメントしてみようと思います。
有名な事件としてFLMASKの裁判があります。これは結局有罪になったのですが、FLMASK作者の件も、単なるプログラム製作といいながらも、アダルトサイトへのリンクなどを配布サイトへ設置してビジネスをしていたわけですから、これはNGだと我々も思います。同様にWinMXの違法利用による繁栄を知りながら、その匿名性を高めたものプログラムを作成することは、「幇助」と解釈されても仕方ない部分があると思います。
そもそも、法というのは現行ルールに過ぎず、過去の判例や判断例に照らして、この事象はどうなのかという、今の時点での判断に過ぎないので、それを破ると、その罪は逃れられません。
これは100年、いや、20年の周期で見て、法律やその解釈が誤ったものであるというコンセンサスが仮に未来に発生することがあっても、新しい法律の適用が過去の犯罪に適用できないように、未来の解釈で今の不法行為のいいわけはできないからです。
辻元議員の秘書給与問題とかもそうですが、制度に潜在的な問題があったとしても、ルールを破ればそれは違法行為として罰せられてしまいます。潜在的に問題のある法律があれば、それを適用すること自体、あまりいいことだとは思いませんが、法律って所詮そんなものなのです。裁判官は神ではなく、ただのサラリーマンであり、執行人に過ぎません。
もちろん、人柱効果はあって、それによって法律が変わることはあり、年金制度とか、秘書給与制度とか、人柱によって法律自体もいずれ変わっていくかもしれませんが、それは遡って自分に適用されないという点は理解した上で人柱になる覚悟が必要で、覚悟がある人はやってつかまればいいし、覚悟のない人はやらないに越したことはないと言えるでしょう。
ところで、今回の件に関して、今後の起訴のポイントはその開発動機になると思いますが、起訴できるかできないかは、開発動機として「匿名性を実現できるファイル共有ソフトが出てきて、現在の著作権に関する概念を変えざるを得なくなる」「自分でその流れを後押ししてみよう」という書き込みを書いた人物と、金子容疑者とが、同一人物であることをなんらかの物的な証拠で証明できるかどうかにかかっていると思います。ひろゆき氏は当時のログは残していないと思いますので、本人が否認すれば、最終的に起訴まで持っていけないと思いますが・・・どうなるんでしょうか。京都府警は起訴できなくても、まあ見せしめだけでもいいと思っているのかもしれませんが・・時事ネタなのでちょっとコメントしてみました。