・マレーシア経済は2007年は好調でした、2008年もそう期待されている
・新型 Proton Saga は国民車の地位を引き続き保っていけるか
・このところ公務員への応募が増えてきた ・マレーシアのビール、地元産ビール、椰子酒の話題
・マレーシアの総選挙 よくある質問とその回答 ・2008年総選挙の結果及びその特徴と分析−増補版
・過剰顧客サービスは不要だが基本的顧客サービスの欠如は許せません
・個人の確定申告と所得税の説明及び私の意見−税コンサルタントの確定申告ガイド記事を参考にして−
昨年もマレーシア経済は好調でした。次にそれを示す経済指標を掲げます。
2005年 | 2006年 | 2007年上半期 |
2007年下半期 推定 |
2007年 推定 |
2008年 予測 |
|
実質国内総生産高 | 5.0% | 5.9% | 5.6% | 6.5% | 6.1% | 6.2% |
農業・漁業・林業 | 2.6% | 5.2% | 0.7% | 1.8% | 1.2% | 4.0% |
鉱業・採石業 | -1.3% | -0.4% | 3.6% | 3.7% | 3.6% | 6.0 |
製造業 | 5.3% | 7.1% | 1.8% | 3.5% | 2.6% | 4.0% |
建設業 | -1.8% | -0.5% | 4.4% | 5.6% | 5.0% | 8.0% |
サービス業 | 6.7% | 7.2% | 9.5% | 9.6% | 3.6% | 7.7% |
民間部門消費 | 8.7% | 7.1% | 10.8% | 12.5% | 11.7% | 9.0% |
公共部門消費 | 6.4% | 5.0% | 8.7% | 5.2% | 6.6% | 5.7% |
固定資本形成 | 5.0% | 7.9% | 8.2% | 12.3% | 10.2% | 10.6% |
物品とサービスの輸出 | 7.9% | 7.4% | 2.4% | 1.1% | 1.7% | 2.0% |
物品とサービスの輸入 | 8.9% | 8.6% | 2.4% | 2.1% | 2.2% | 4.4% |
2007年1月から11月までの消費者物価指数は103.5 から2%上昇して 105.6 になりました。消費者物価は数字上ではこの程度の上昇ですが、数字に現れない実質的な物価上昇感はとてもこの程度ではありませんね。
世界の原油高及び穀物価格高を受けて、2008年の物価はもっと上昇することが確実のようです。国内のガソリン関係の値上げも推測されていますので、これは物価上昇の大きな要因です。中央銀行の2008年物価上昇率予測は3%であり、多くの経済アナリストの予測もこの数字に近いとのことです。
上記表にあるように、民間部門消費は2007年下半期はかなり好調で、1年半ほど不調であった自動車販売も下半期に回復しました。100万人を超える公務員の給与改定があり、これはプラス要因となりました。
2008年もアナリストは消費の伸びを堅調と見ています。この下段で示している、被雇用者福祉基金の加入者が住居1軒/ユニットを購入するための資金調達としてEPF口座から毎月引き出すことができるようになった、ことを大きな要因に挙げています。アナリストはその引き出し分が、消費者、観光業などに大きな影響を持つと見ています。
主たる分野で今年実施される、またはすでに1日から実施が始まった項目を抜粋してみます:
こういったいろんな項目の実施計画、この1年ちょっとの間に発表された国内の広範囲な3大地域の長期発展プロジェクト(ジョーホール州南部、半島部北部州、半島部東海岸州を対象にした長期発展計画です)が実際に予算消化されていくこと、現行のパームオイル価格高騰調子が急激に下落する可能性も少なそうなこと、などを考慮して、国の公式な2008年国内総生産高の伸びつまり経済成長率の伸びを 6%と予測しています。 中規模発展経済国家であるマレーシアでGDPが 6%伸びればかなりの成長といえますから、2008年もマレーシア経済は好調になりそうだと期待されているわけです。
ところでマレーシアからの輸出市場の統計を見ると興味深いことがわかります。
1996年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
シンガポール | 米国 | 日本 | 香港 | 台湾 | タイ | 英国 | 韓国 | |
割合 | 25% | 22% | 17% | 7% | 5% | 5% | 4% | 4% |
2006年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
米国 | シンガポール | 欧州連合 | 日本 | 中国 | タイ | 香港 | 韓国 | |
割合 | 19% | 15% | 13% | 9% | 7% | 5% | 5% | 4% |
そこで、「このところ公務員への応募がぐっと増えた」 という 2007年12月16日の新聞記事を取り上げてみます。(「新聞の記事から」には掲載していません)
大学卒職の種類 | 省庁 | 求人数 | 応募者数 |
会計官 | 会計庁 | 14 | 8114 |
調査官 | 漁業省 | 2 | 21941 |
カウンセラー | 公共サービス庁 | 17 | 10106 |
工場と機械維持職 | 人的資源省 | 8 | 4065 |
情報技術官 | 公共サービス庁 | 100 | 12937 |
電子技官 | 鉄道庁 | 1 | 3705 |
調査官 | 反汚職庁 | 33 | 12055 |
法務官 | 検察庁 | 146 | 2357 |
職種 | 基本給 | 固定手当 | 住宅手当 | 生活手当 | 重要手当 | 公共保健手当 | 総額 RM |
管理・外務サービス職 | 1993 | 300 | 210 | 300 | 2803 |
||
医務官 | 1999 | 300 | 210 | 300 | 500 | 1040 | 4349 |
研究官 | 1899 | 300 | 210 | 300 | 92 | 2803 |
公務員の大きな課題の一つに、その民族構成の偏重があり、長年まったく解決されていませんし、その糸口も見えなさそうです。次の記事をご覧ください。
という事実は、日ごろ私たちが役所・官庁で感じる印象と変わりません。あまりにもマレー人に偏った民族構成は、公務員というその職位業的役割からふさわしいものとはいえませんからね。果たしてこの課題が、給与改定で改善されていくのか、多少の期待を持って気長に見て行きましょう。
マレーシアは国教はイスラム教ですが、国の成り立ち上多民族複数宗教国ですから、飲酒及び酒類の販売は一般に認められています。一般にと書きましたのは、日本のようにどこでもいつでも飲酒でき、販売できるいうことにはならないからです。当然ながらムスリム主体の地区でコンビニやスーパーにアルコール飲料が並べられることはありませんし、ムスリム飲食店でアルコール飲料がメニューとして提供されることはありません。しかし華人地区であれば、営業免許を得た酒屋が営業できますし、スーパーの棚にビールが並んでいることはごく普通です。 観光客の多いクアラルンプール中心部の商業地区でもこれは同じで、加えて購買層が多様であるため酒類製品の選択がぐっと豊富になっています。 クアラルンプール内または近郊にある一部のアップタウンではワインショップなども人気あるそうです。
さてマレーシアで飲まれるアルコール飲料として最も好まれる、一般的なのはビールでしょう。マレーシアのビール市場は昔からごく最近まで外国資本である 2つのビール醸造会社グループが市場を2分してきました。即ち、第1位の Carlsberg グループと 2位の Guiness・Anchor グループです。
当サイトの 「旅行者のためになるページ」にある 『飲食物・料理・果物の話題』ページで 98年から載せている項目では、当時マレーシアで販売されていたビールの写真を掲げていますので参考にご覧ください: マレーシア産のビール をクリックすると別ウインドウで開きます。
次に2008年2月上旬に 英語紙Star 紙に載っていた記事から抜粋してみます:
伝統の強みなのか、宣伝と営業の上手さゆえなのか知りませんが、ビールを売ってる店や飲み屋ならどこでも目につくのが Carlsbergビールですね。Carlsbergビールの中で最も普及品と思われる、グリーンラベル缶ビール 320cc 入りのスーパーなどでの2008年2月時点での小売価格は RM 6.5 前後です、尚店によって価格に多少の違いはあります。円価に換算すれば、1缶200円を超すことになります。他の飲食品物価に比してビール値段はかなり高いマレーシアですが、それにも関わらずよく売れているように見受けられます。非飲酒者の視点から言えば、多少割高でも酒飲みはいとわないということなんでしょうね。
テレビではビールを含めてアルコール飲料の宣伝は全く許されませんが、英語紙と華語紙ではアルコール飲料の広告が頻繁に載っています。尚その大多数はビール会社による広告です。新聞以外に目に付くビール広告といえば、非ムスリム向けの大衆食堂と屋台の店名看板または品目看板に大きく添え書きされたビール製品名や店の壁に貼られたビール製品ポスターでしょう。いうまでもなく、ムスリム用大衆食堂と屋台にこの種の広告はありません。
シネプレックスでは毎上映回前に各社のビールコマーシャルがしつこいぐらい上映されます。都会のシネプレックスに足を運ぶ映画鑑賞層にビール愛好家が比較的多いということなんでしょうか? とにかくシネプレックスで映画を見る度に、ビール会社のコマーシャルを”見させられます”。 ところでそのコマーシャルの作り方には西欧的調子が非常に鼻につくと感じるのは多分私だけではないはずです。タイではテレビでもビール宣伝が盛んですが、西欧的調子ではありません。
上記に掲げた 「マレーシア産ビール」 の中でも書きましたように、当時はもちろんそしてつい最近までマレーシア独自のビール醸造は行われていませんでした。Carlsberg グループもGuiness・Anchor グループもスランゴール州にビール醸造工場を持ってビール醸造販売していますが、いずれも海外資本のためいわゆるライセンス生産ですね。つまりどの製品もマレーシアブランドのビールではありません。
私は次に載せた記事を読むまで、マレーシアには独自のビール醸造会社はないものだと思っていました。しかしそれは間違いだと知りました。2008年2月上旬の華語紙 「東方日報」 に載った記事から抜粋します。
私はこの記事を読んだ時、えー、マレーシアで地元ビールの生産が始まっていたとは、とかなりの意外感を持って驚きました。ビールがよく飲まれる場である中華レストランなどにはこの何年も全く縁がないので、地元ビール出現を全く知りませんでした。読者の中に、すでに飲んだよ、という方がいらっしゃいましたら、ゲストブックで感想を聞かせてください。 私は決して禁酒主義者でも嫌酒主義者でもありませんが、身体が受け付ける酒量は限りなくゼロに近い非飲酒者なので、ビール味のことは全く語れません。ただ初の地元醸造ビールと知れば、一度ぐらいはコップ半分ぐらい味見してみたいものですなあ。
マレーシアに地酒・地ウイスキーはあるかという問いに、私はあまり自信を持っては言えませんが、一応あると答えておきます。というのも以前クアラルンプール中心部にある古びた酒屋の店先にマレーシア産酒と思われる小瓶が置いてあるのを何回も目撃したからです。いずれも日本酒の一升瓶のような大きなビンではなくウイスキービン程度であり、いかにも地酒風の時代遅れのデザインのビンでした。また一部の酒販売免許取得店舗では、多分マレーシア産らしきウイスキー?の小瓶を売っていますよね。 推測するに、こういう地酒・地ウイスキーは半島部のどこかの華人町で昔からほそぼぞと製造されてきたのではないだろうか。味の面でも宣伝面でも輸入酒・ウイスキーに適うはずのない且つ酒造業免許を取得するのが極めて極めて困難となった現今、新たに酒造するような地酒製造家はもう出現しないでしょうね。
地酒といえば言えないことはないでしょうが、どちらかというと”どぶろく”と呼んだ方がぴったりとするのが、椰子酒 Toddyです。Toddy は白っぽい臭いの強いココナツ酒ですね。臭いを嗅いだだけで味の強さが推定されてとても私には飲めないですね。プランテーション農園がその発祥であり、その労働者が主たる消費者のようです、よって一般にインド人労働者階級の大衆アルコール飲料と捉えられています。 2007年11月ごろ、新聞に載った記事から抜粋してみます。
Toddy を売っている場所はごくごく限られているはずで、酒類販売免許を持ったスーパーや酒屋で探しても見つかる可能性はないでしょう。私はクアラルンプールに昔からある古びた木造の Toddy酒場を知っています。他にもクアラルンプール内にあるのかどうかは知りませんが、ない可能性の方が高そうです。このToddy酒場はなんとクアラルンプールの有名地 Bukit Bintang から至近距離の場所にあるので、いくらその場に昔からあって転居を拒んだとはいえその存在自体が奇跡的ともいえるぐらいです。看板も一切なければ店舗らしい外観にも欠けます、しかし夕方、週末ともなればたくさんのインド人が集まって来て飲んでいます。店の外にはたくさんのバイクが停めてあり、さらによくタクシーが何台か停めてあります、もちろん勤務を終えたであろう運転手が飲んでいるのですよ。外から眺めると、インド人客に混じって華人も1、2割りぐらいその中に混じっていますね。まさにどぶろく酒場といった風情です。
若い時からほとんどアルコール類を飲まない、でもホステスのいるクラブやラウンジやカラオケなどに一時期よく出入りしたIntraasia のお酒にまつわる話題でした。酒飲みでなくても、酒の話題はお伝えできるのです(笑)。
2月13日にアブドゥラ首相が国会下院 ( Dewan Rakyat というのが正式名です)の解散を宣言し、憲法に従って国王がその宣言書に署名して解散が発効しました。同時にサラワク州を除く全州で州議会がその州のスルタンの承認を経て解散されました。今回の解散は2004年に選出された国会議員の任期5年を1年以上残しての解散です。
その翌日14日に、選挙管理委員会が第12回総選挙の公布日を2月24日、投票日を3月8日と発表しました。今回の選挙期間は13日となり、1982年以来短い選挙期間が続いていたので20数年ぶりの長さとなります。前回はわずか9日間でした。
総選挙時には毎回国会下院議員の選挙と同時にサラワク州を除く全州で州議会選挙も同時に実施されます。前々回まではサバ州の州議会選挙も総選挙時とは別の時期に実施されていましたが、前回から総選挙と同時期になりましたので、例外は2006年に州議会選挙が行われたサラワク州だけです。
改選数は全13州及び クアラルンプールとプトゥラジャヤとラブアン島 で国会議員総議席 222議席、州議会議員総議席 505議席です(576議席−71議席)。尚クアラルンプールとプトゥラジャヤとラブアン島は連邦直轄領であり、州ではないので州議会はありません。
ペルリス州 | ケダー州 | クランタン州 | トレンガヌ州 | ペナン州 | ペラ州 | サラワク州 | サバ州 | ||
登録有権者数 | 120,081 | 873,674 | 751,682 | 521,597 | 709,322 | 1,196,160 | 912,454 | 887,862 | |
国議席数 | 3 | 15 | 14 | 8 | 13 | 24 | 31 | 25 | |
州議会議席数 | 15 | 36 | 45 | 32 | 40 | 59 | (71) | 60 | |
パハン州 |
スラン ゴール州 |
ヌグリ スンビラン州 | マラッカ州 |
ジョー ホール州 |
クアラ ルンプール |
プトゥラ ジャヤ | ラブアン | 合計 | |
登録有権者数 | 603,242 | 1,565,494 | 462,015 | 371,594 | 1,312,120 | 687,451 | 6,608 | 20,783 | 10,922,139 |
国議席数 | 14 | 22 | 8 | 6 | 26 | 11 | 1 | 1 | 222 |
州議会議席数 | 42 | 56 | 36 | 28 | 56 | ----- | ---- | ----- | 576 |
有権者数とは選挙登録した有権者数です。有権者になれる条件はマレーシア国民で21歳に達することです。ただし21才になったから自動的に有権者となるわけではなく、全国各地の選挙管理委員会の運営する窓口で簡単な手続で登録しなければなりません、これによって登録済み有権者となります。尚マレーシアには自治体の役所にその地に居住する住民が ”住民登録” するという制度自体が存在しません。
選挙に立候補できる要件は: 21歳以上のマレーシア国民で且つ国外居住者でない者(国会議員立候補は国内に居住していること、州議会議員に立候補者はその州に居住していること)、債務未返済の破産者でないこと、裁判で1年以上または罰金RM2000以上の判決を受けていないこと(ただし5年以上前に確定した古い場合は除く)、
尚公務員、軍人、警察官、裁判所関係者、鉄道職員、教育関係者は辞職しない限り立候補できません。
マレーシアの選挙は、その選挙区で単純に得票数の多い候補者が当選する方式であり、比例代表制はどのような形であれ一切取り入れられていません。さらに世論にも政党にも1議席当りの有権者数の差を問題視する風潮は全くありません。
独立後の1回目の総選挙以来、常に70%以上80%未満の間です。
1978年以降だけを示します:
1978年 | 1982年 | 1986年 | 1990年 | 1995年 | 1999年 | 2004年 | 2008年 | |
有権者数 | 478万 | 578万 | 679万 | 796万 | 869万 | 956万 | 976万 | 1092万 |
投票率 | 75% | 74% | 70% | 73% | 71% | 72 | 74% | |
国会議席数 | 154 | 154 | 177 | 180 | 192 | 193 | 219 | 222 |
与党連合の獲得議席数 | 130 | 132 | 148 | 127 | 162 | 148 | 199 | |
与党連合の議席比率 | 84% | 86% | 84% | 73% | 84% | 77% | 91% | |
与党連合の得票率 | 57% | 61% | 57% | 53% | 65% | 57% | 64% |
候補者の選挙供託金: 州選挙区 RM 5千、国会選挙区 RM 1万 です。
その選挙区の総投票数の 8分の1を得なければ、供託金は没収されます。
選挙運動保証金(これによってポスター、旗類の掲示ができる): 州選挙区 RM 3千、国会選挙区 RM 5千 です。
選挙結果が公表されてから14日以内に、候補者がその掲げたポスター・旗類を撤去できなかった場合、保証金が没収さえrます
選挙費用の規定はあるそうです。しかし、選挙運動において候補者が資金をどのように集めたか(資金の出所)、そして資金をどのように使ったか(使用明細)を明らかにしなければならないことを定めた、法律自体が存在しません。よって選挙費用制限をどのように定めようと実効的な意味がありません。
戸別訪問は認められています。
選挙公報とか、候補者ポスターの公営掲示板といったものは一切ありません。よってもうあらゆる所に政党や候補者のポスター、看板、旗が多量に掲示されています。もちろん公の施設・ビルなどには掲示できない建前です。
今回の総選挙では、有権者が投票した印として人差し指に消えないインクを塗る方式が初めて採用されます。もし指がない場合は別の指に、もし爪がない場合は指に、印を付けます。国はそのためのインクをインドから購入して、全部で 47000ビンのインクが全国の選管に送られました。
このインクで付けた小さな印は少なくとも10日間は指に残るとのことです。女性は投票所に行く前にマニキュア液をよく落としてくださいとのことです。
与党連合 Barisan Nasional | 野党陣営 |
||||||||||
政党略称名 | UMNO | MCA | MIC | Gerakan | その他与党 | 合計 | DAP | PAS | PKR | 無所属 | 合計 |
政党の民族性 | マレー人 | 華人 | インド人 | 華人主体 | 9つの政党 |
華人主体 多民族 | マレー人 |
マレー人主体 多民族 | |||
国会下院議員 | 109 | 31 | 14 | 5 | 39 | 198 | 12 | 7 | 1 | 1 | 21 |
州議会議員 | 454 | 15 | 35 | 0 | 1 | 51 |
マレー人多数派の選挙区が一番数が多いのは当然です。ただその選挙区内での割合が 98%ぐらいから過半数をかろうじて超す選挙区まで様々です。華人が多数派の選挙区はペナン州とクアラルンプールの一部、ペラ州の一部など全国的に見れば数はごく少なくなります。インド人が多数派の選挙区は全国どこにもありません。
サラワク州の州議会選挙は時期が違うだけです。 そして国会または州議会で議員が辞職、死亡した場合などに、補欠選挙が行われます。
つまり国会下院と州議会を選ぶこの2つの選挙だけがマレーシアで行われる選挙です。州を含めて自治体の長はすべて任命制です。そして地方自治体に議会という仕組み自体がありません。
この点からマレーシアは非常に選挙の少ない国といえます。
第12回総選挙は 2008年3月8日に投票が行われ、即日開票された結果が発表されました。サラワク州とサバ州での開票の遅れと各州での郵便投票分があるので、(最初このコラムを掲載した)9日時点では完全な結果にはなりませんが、大勢にはまったく影響はありません。追記していますので数日後にまたご覧ください。
上記のように最初にこのコラムを掲載した9日以後数回の増補を加えました。そして現在の掲載分を最終版とします。
1978年 | 1982年 | 1986年 | 1990年 | 1995年 | 1999年 | 2004年 | 2008年 | |
登録有権者数 | 478万 | 578万 | 679万 | 796万 | 869万 | 956万 | 976万 | 1092万 |
投票率 | 75% | 74% | 70% | 73% | 71% | 72 | 74% | 約72% |
国会議席数 ( 毎回増加) | 154 | 154 | 177 | 180 | 192 | 193 | 219 | 222 |
与党連合の獲得議席数 | 130 | 132 | 148 | 127 | 162 | 148 | 199 | 140 |
与党連合の議席比率 | 84% | 86% | 84% | 73% | 84% | 77% | 91% | 63% |
与党連合の得票率 | 57% | 61% | 57% | 53% | 65% | 57% | 64% | ? |
有権者の資格はマレーシア国内に居住するマレーシア国民で且つ21才以上です。しかし選挙前の一定時期(2年間ぐらいある)に選挙管理委員会に登録しなければなりません、これを怠ると投票自体ができません。 これまで度々社会ニュースになってきたことですが、数百万人が有権者登録していないと言われています。
全国を網羅し且つ最も信頼度の高い全国一斉に行われる公的な調査である、”2000年国勢人口調査” の結果を基にして述べます。
2000年当時のマレーシア国民(マレーシアに居住している外国籍者を含まない)は2189万人でした。 その内15歳以上の人口は 1440万人 です。当時の15歳は2007年末にはすでに 22歳に達しています、よってこの人口1440万人は2008年の時点で全員有権者です。 正確に言えば、2000年当時の14歳も2007年末ですでに有権者資格である21才に達していますが、公式統計表が5歳毎の発表であるために正確な数はわかりませんが、大体 50万人ぐらいです。 もう一つ、2000年以降の死亡者の合計数も考えなければなりませんが、この数は当時の14歳者の数よりも少ないでしょうから、この両者の数をおおまかに差し引き ゼロと仮定します。 よって今回の総選挙時における理論的有権者数は 1440万人である、と見なしても間違いではないと言えます。
従って数百万人が有権者登録をしていないという話は正しいのです。できるだけ正確な数字を算出すれば未登録者は 約350万人にも達するわけです。よって有権者である21歳以上の国民人口に対する本当の投票率を計算すると 約 55%になります。 決して高い投票率ではないことがおわかりなると思います。 日本で伝えられるマレーシア選挙報道でこういう点に触れているニュースが果たしてあるのかな?
ペルリス州 | ケダー州 | クランタン州 | トレンガヌ州 | ペナン州 | ペラ州 | サラワク州 | サバ州 | ||
登録有権者数 | 120,081 | 873,674 | 751,682 | 521,597 | 709,322 | 1,196,160 | 912,454 | 887,862 | |
投票率 | 80% | 75% | 81% | 79% | 74.5% | 65.7% | 60% | 64% | |
国議席数 | 3 | 15 | 14 | 8 | 13 | 24 | 31 | 25 | |
| 3 | 4 | 2 | 7 | 2 | 13 | 30 | 24 | |
| 0 | 11 | 12 | 1 | 11 | 11 | 1 | 1 | |
州議会議席数 | 15 | 36 | 45 | 32 | 40 | 59 | (71) | 60 | |
| 14 | 14 | 6 | 24 | 11 | 28 | -- | 59 | |
| 1 | 22 | 39 | 8 | 29 | 31 | -- | 1 | |
パハン州 |
スラン ゴール州 |
ヌグリ スンビラン州 | マラッカ州 |
ジョー ホール州 |
クアラ ルンプール |
プトゥラ ジャヤ | ラブアン | 合計 | |
登録有権者数 | 603,242 | 1,565,494 | 462,015 | 371,594 | 1,312,120 | 687,451 | 6,608 | 20,783 | 10,922,139 |
投票率 | 75.6% | 74.9% | 69.4% | 72.2% | 74.9% | 75.2% | 81% | 59% | |
国議席数 | 14 | 22 | 8 | 6 | 26 | 11 | 1 | 1 | 222 |
| 12 | 5 | 5 | 5 | 25 | 1 | 1 | 1 | 140 |
| 2 | 17 | 3 | 1 | 1 | 10 | 0 | 0 | 82 |
州議会議席数 | 42 | 56 | 36 | 28 | 56 | -------- | ------ | ----- | 505 + (71) |
| 37 | 21 | 21 | 23 | 51 | 307 |
|||
| 5 | 35 | 15 | 5 | 5 | 196+2 |
党名略称 | UMNO | MCA | MIC | Gerakan | PPP |
サバ州 5 政党 |
サラワク州 4 政党 | Barisan Nasional | |
華語名 | 巫統 | 馬華公會 |
マレーシア インド人会議 | 民政党 |
人民 進歩党 | 国陣(与党連合) | |||
国会候補者 | 117 | 40 | 9 | 12 | 1 | 12 | 31 | 222 | |
当選者数 | 80 | 15 | 3 | 2 | 0 | 11 | 29 | 140 | |
州議会 | 336 | 90 | 19 | 31 | 1 | 27 | 選挙なし | 504 | |
当選者数 | 239 | 31 | 7 | 4 | 0 | 26 | 307 | ||
党名略称 | PAS | PKR | DAP | その他 |
サバ州 その他 |
サラワク州 その他 | |||
華語名 | 回教党 |
人民 公正党 |
民主 行動党 | 野党陣営合計 | 無所属 | ||||
国会候補者 | 66 | 97 | 47 | 2 | 2 | 3 | 217 | 40 |
|
当選者数 | 23 | 31 | 28 | 0 | 0 | 0 | 82 | 0 |
|
州議会候補者 | 233 | 175 | 102 | 2 | 15 | 0 | 527 | 74 |
|
当選者数 | 83 | 40 | 73 | 0 | 0 | 0 | 196 | 2 |
野党3党は互いにかなり違う党風と支持基盤と性格を持っているので、勝利した各州で今後の州政権運営に恐らく深刻な内部食い違い・あつれきが発生するのではないでしょうか、というのが私の感想です。
与党連合の MICは、30年ぐらいも党に君臨してきた総裁が落選し、大幅に当選者を減らした結果、上記のように国会3人、州議会7人の当選者となりました。一方野党陣営の 民主行動党は24人のインド人を立候補させ、人民公正党は19人のインド人候補者を立候補させ、両党の下で国会または州議会に当選したインド人は MICのそれの倍ぐらいになります。 野党のインド人政治家が一挙に何倍にも増えて、MIC が唯一インド人界の声を代表するという、MICの主張はその正当性を完全に失うことになりました。
インド人有権者が大幅に野党陣営に流れたことを象徴するできごととして、反MIC 的立場を明確にした非政党インド人グループ Hindraf の指導者の1人が、スランゴール州州議会に当選したことです。彼は今年国内治安法を適用されて拘置所に拘留されている(最低2年間)Hindraf 指導者5人組の1人です。 国内治安法下の被拘留者が選挙に当選したのは史上3人目のことだそうです。
州政権が与党連合Barisan Nasinal から野党陣営に変われば、その州内の自治体の行政トップにも大きな影響が出ます。マレーシアの地方自治体には議会がありません、その代わりに州政府・州首相が任命する地方自治体評議員から構成される評議会が各地方自治体にあります。さらに地方自治体の長、つまり評議会の長を各州の州政府・州首相が任命します。よってある州で州政権が変われば、その州の地方自治体評議会評議員と評議会の長を一斉に交代させることができるわけです。例えば、スランゴール州では、州内に12ある地方自治体で、評議員と評議会長が総入れ替えされるとのことです。こういったことは、地方自治体法に規定されているそうです。
尚地方自治体の中で、その自治体がある規模以上である場合は ”市” という区分の地方自治体となります。その場合の評議会の長は、市長 と呼ばれます。
クアラルンプールの国会選挙区は11あります。その内10選挙区で野党陣営が勝利し、与党連合 Barisan Nasional はわずか1選挙区で当選しただけです。登録有権者数において、華人がその選挙区の75%以上を占める選挙区4つと50%の選挙区1つ、計5つの選挙区では行動党が全員当選、マレー人過半数以上または比較多数を占めるマレー地区では公正党が候補者を立て4議席、有名な伝統的深マレー人地区のカンポンバルを主要な地とする選挙区ではなんとPAS党女性部幹部(医師)が当選しました。
与党連合 Barisan Nasional | 野党陣営 3党 | 総得票数 | |
得票数合計 |
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得票率 | 37.5% | 61.4% | |
議席獲得政党 | UMNO 1 | 行動党 5、公正党 4、PAS党 1 |
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クアラルンプールはいつも議席の3分の1前後を野党が獲得する野党の比較的強い選挙地ですが、今回はほぼ完全に近い形で野党陣営が制したわけです。UMNOがかろじて1議席確保しただけで、華人政党 馬華公会の候補者は全員落選でした。つまり伝統的に野党びいきである華人地区は今回得票差を大幅に拡大させ、UMNOが伝統的に強かったマレー人地区では公正党とPAS党候補者が当選したという図式です。つまり華人だけでなく、マレー人もインド人も野党陣営に票を投じたということです。これが11議席中10議席獲得という圧倒的結果を生みました。
国会議席における行動党と公正党とPAS党の3党の占める割合では、クアラルンプールはスランゴール州はもちろんペナン州よりも高い比率です、つまり与党連合 Barisan Nasional が最も弱い地となったわけです。それにも関わらず、選挙後のマスコミ、政界ではクアラルンプールの結果は大して話題になりません。この理由はすべて、クアラルンプールが連邦直轄領であり、州議会に匹敵する議会が存在しないことです。しかもクアラルンプール市庁の市長及び市評議会の評議員も政府の任命です。クアラルンプールで選出された国会議員はクアラルンプール行政に間接的にはできても直接関与する権限を持てないということです。 よって11選挙区中1選挙区しか獲得できなかった 与党連合 Barisan Nasional 政府の直接影響下にクアラルンプール行政は今後も行われます。
行動党は長年自治体の首長と議会の住民による直接選挙を主張していますが、与野党の利害関係に加えて憲法問題も関係しており、これが実現する可能性はまずなさそうです。
マレーシアの工業面と商業面で最も発展した州であるスランゴール州とペナン州で、与党連合が敗北するという画期的な結果をもたらしました。 先月国会解散が決まった時点で私は次のように書きました: 政権が変わるわけでも首相が変わるわけでもない、結果の見えた選挙となるマレーシアですから、ある意味では退屈なところです 。 とはいえある選挙区に、または各政党の成績はいかに、という面に目を向ければ、選挙の極めて少ない国、マレーシアですから重大なできごとであり、それなりに興味がわくところです。
この私の発言内容の一部は訂正しなければなりません。世のマスコミ論調や自身の見聞から推測して、今回の選挙でこれほど変化が出るとは私も思いませんでした。野党陣営自身が結果に驚いているそうですから、非常に変化の生まれた選挙であることに誰も異存はないはずです。従って今後の与野党攻防で政局の難航も推測されます。
スランゴール州とペナン州のケースに戻れば、この両州が野党州政権になる、加えて首都クアラルンプールはほぼ野党陣営が制覇した、ということで、マレーシア政府と与党連合にとってかなりの難題になりそうです。つまりマレーシアの外国向けの顔にあたる3地方がいずれも野党陣営が多数派ということになったわけです。ただし、クアラルンプールだけは連邦政府の直轄地なので、議会はありませんし、市長は政府の任命です。よってクアラルンプールの行政は依然として連邦政府の支配下ということです。
これで終わったのではなく、マレー人が圧倒的に多数派であるケダー州ではかなりの差で、さらに華人割合が比較的多いペラ州では拮抗しながらも、いずれも野党陣営が制しましたから、与党連合のショックは大きいところでしょう。
マレー州と言っても間違いではないクランタン州は、PAS党が圧倒的な強みを発揮して勝利し、1990年以来の州政権を確保しました。州政権奪還を掲げていたUMNOは失望したというところです。ただクランタン州の場合は、PAS党が勝利することはそれほど不思議ではないので、与党連合のショック度は他の4州に比べれば小さいでしょう。政府与党は、選挙前に東海岸州長期発展計画を発表して、とりわけクランタン州とトレンガヌ州への今後の長期投資を強く印象付けていました。しかし半島部で一番”遅れた”州であるクランタン州民はその種の飴にあまり好意を示さなかったとも言えます。これは以前からクランタン州の他州との違いを最も際立たせる特徴ですね。
総選挙の結果マレーシア政界が激変して、次の3つの現象が出ています:
たまに日本へ行くと、全てはお客様のためにという過剰サービスに私はどうも馴染めません。日本に長年住んで生活されている方にはそれが当然で且つそうあるべきことでしょうが、私には過剰または余計なサービスだとしばしば感じます。 例えば、物売り販売業界や飲食店での絶えることのない「いらっしゃいませ」と「ありがとうございます」連呼、ぺこぺこお辞儀スタイル、いんぎん無礼とも感じかねない馬鹿丁寧さ、などなど。 当サイトでもお馴染みの看護師コタバルさんによれば、客商売ではない、例えば病院のような場にさえ、この種の過剰サービス風潮が入ってるそうで、やれやれと思います。もちろん、そうあるべきだという日本人が多数だからそうなったということは知っていますから、私のような考えをするのはごく少数派に間違いないでしょう。
ただ過剰サービスが行き着く先は、際限のない労働強化でしょう。例えば、細かな時間指定までする宅配便を考えれば、それに対応しなければならない宅配業界の労働強化は容易に想像できますよね。全てはお客様の都合と要求に合わせるためには、どんな業界であろうと、その業界で働く者には際限なき労働強化となるわけです。つまりある消費者がある分野で完璧なサービスを要求しまたは期待すれば、その消費者はまた労働者でもありますから、それが別の分野で働く労働者としての立場に跳ね返ることになります。それでも日本人は、私の言う”過剰サービス”を好むわけですから、まあ長年日本社会に暮らさない、今後もそのつもりのない私が口出すことではないかもしれませんな。
以上は前書きです。なぜこれを前書きにしたかといえば、マレーシア社会は、現代日本のような”過剰サービス”を前提とした社会とはかなり縁遠い社会概念を基盤とした社会だからです。顧客サービスは必要分を満たせばそれ以上は余計であり要らないと考える、私にはかなり向いているとも言えますし、事実かなりの場合はマレーシア流の顧客サービスに私は特に不満を感じません。
しかし、全ての場合が満足とはいかないから、ゲストブックに最近載せて下記に再録した 2編のように、当サイトでもときどきその基本サービス精神のなさを批判したり、皮肉ったり、嘆いたりしています。ものには限度というものがありますよね、過剰顧客サービスは要らないし要求もしないが、基本的または必要最小限度の顧客サービスは必要だということです。
昨年だったか日本を訪問した時、関西のある鉄道駅で改札を通り抜ける全ての利用者に、「言ってらっしゃい」 とか「ありがとうございます」 と大きな声を出している駅員のいる駅を利用し、びっくりしました(顔見知りの人だけに言うのではなく、まるでロボットのように全ての利用者に向かって声を出していたからです)。関西人ではない私の知る関西弁で言えば、「あほらし」 としか感じませんでした。この種の余計な顧客サービスのありえない、マレーシア交通機関は、お客様より乗務員と駅員がむしろ主役といった趣です。 顧客サービスはあっさりとしており、それをかなりの程度までは私には許容できると感じます。ただし次に載せたような、基本的サービスの欠如だけは糾弾しなければなりません、なぜならそれは利用者に不便を強いるからです。
クアラルンプールの公共バス網は2000年前後から、90年代中ごろに比べればかなりサービス向上しました。その後政府会社である SNP が Intrakotaバスと、高架電車両路線を救済買収してその配下に収め、Rapid KLバスと高架電車網を一体化する形にしました。1昨年、昨年と Rapid KLバス網を大きく組み替え、新車両を5百台以上新規導入しました。この点を長年の広範囲なバス利用者として私は大きく評価するものです。もちろん不満点は引き続きあります。
高架電車は新車両導入とか路線組み換えなどはありませんので、この5,6年大きな変化はありません。路線延長に対して予算が付き、つい最近その路線が決定しかけている区間もあります、もちろん建設はこれからであり、完成はもっと先の話です。高架電車は相変わらず時刻表なしの運行です、ということは将来も時刻表が導入される可能性は低そうですね。
最初ハイウエーの通行料支払い手段として登場したプリペードカード Touch 'n Go は、名前通りカードを読み取り器具に接触させることで、入った地点が記憶され、出る地点で料金がカードから引き落とされます、または通行1回あたりいくらの区間では、接触時点で料金が引き落とされます。その後プリペードカード Touch 'n Goは、高架電車両路線に取り入れられ、さらに KTM Komuter電車及びモノレールでも使えるようになりました。 一部の駐車場でもプリペードカード Touch 'n Goが使えるところがあります。
ところでプリペードカード Touch 'n Goはブミプトラ系民間会社の登録商品であり、プリペードカード運営も一手にしています。プリペードカード Touch 'n Goはマレーシア国民の身分証明書にも、希望すれば機能として組み込むことができます。交通機関で使えるその他のプリペードカードが存在しないマレーシアで、こういった点を考慮するとかなり特別な扱いを受けているプリペードカードといってもいいでしょう。
私はもっぱら高架電車利用のために、早い時期からプリペードカード Touch 'n Go を利用しています。自家用車は所有してないのでハイウエー利用は関係ありません、よってこの論評から省きます。プリペードカード Touch 'n Goは便利であることに疑いはありません、1回1回切符を買う手間を省けますからね。
さて、プリペードカード Touch 'n Goの持つ大きな問題は2つあります:
1つはプリペード料金を追加する場所と時間が非常に限られているということです。KL Sentral駅、Masjid Jamek駅、Bandar Tasik Selatan 駅など、クアラルンプール圏で10にも満たない数の限られた高架電車駅に設けられた専用窓口で、Touch 'n Go購入と料金追加ができます。この限られた駅の中には専用窓口が設置されていなくて高架電車の切符窓口に委託している駅もあります。 朝から晩までずっとこの料金払いサービスが提供されているわけではなく、日中の数時間は休み、夜間も8時ぐらい過ぎれば閉める、といったオープン時間です。さらに休日などに訪れると、閉まっているときもよくあります。委託している切符窓口では、Touch 'n Go機械を扱える職員がいない時は、窓口オープン時間であっても料金追加ができません。 この状況は、利用者がいつでもどこでもプリペード支払いが手軽にできるあり方には程遠い状況です。
2つ目の問題は、このTouch 'n Goを切符の替わりに利用できるサービスを取り入れている、高架電車と、モノレールと Komuter 電車側にあります。いまではほとんどどの駅でもTouch 'n Goを使えることになっていますが、実情はそうではないのです。 なぜ? それは切符の自動改札機の上部に取り付ける形でTouch 'n Go読み取り機が設置されており、大型駅を除いて普通の駅では2台から4台程度の自動改札機にしか読み取り機が取り付けてないことです。つまり改札機は乗る際、降りる際のそれぞれ方向が固定されているので、4台に読み取り機がついていても、片方向では2台しかないことになります。2台しかついてない小さな駅では片方向1機だけですね。
Touch 'n Goの読み取り機は感度が悪く、早いタッチでは上手くいかないことが頻繁にあります。読み取り機自体の性能が劣るのか、整備が悪いのか知りませんが、タッチもこつがいるのです。そこで問題はTouch 'n Go読み取り機の使用不能状態がいろんな駅で頻繁に起きていることです。片方向1機しか読み取り機がない駅では、仕方なく切符を買うしかありません。さらに降りる駅で、その読み取り機が使用不能だと、駅員に事情を説明しなければなりません。
なぜこうも使用不能状態の読み取り機が多いかの原因は駅 及び Touch 'n Goの運営会社の双方にあります。 一般に Touch 'n Go カードに関して、高架電車駅、TM Komuter 電車駅及びモノレール駅の職員は極めて無関心です。使用不能になっていようと我関せずという態度が非常に多い。文句を言うと、Touch 'n Go カードは高架電車、モノレール、Komter とは関係ないという言葉が返ってきます。 確かに理屈上ではTouch 'n Goカードは高架電車もモノレールもKomuter電車も直接運営に関与しているわけではありません。ですから、その駅員がTouch 'n Go読み取り機の点検などに関与する必要がないことはわかります。
しかしですよ、高架電車もモノレールもKomuter も今では積極的に利用者にTouch 'n Goカードを使ってくださいと、宣伝しています。ですから、最低限Touch 'n Goがいつも使えるようにしておくことは、駅側の責任範囲と言えます。例えていえば、ある販売店の店内に置いた自販機が故障した、金を入れても物が出てこないけど、委託自販機だから我が店は知ったことではないという態度では、商売としては失格といえますよね。
Touch 'n Go 読み取り機能を備えた駅として、自社製品でなくてもそれの読み取り機が使用不能になれば、Touch 'n Go カードの会社に直ちに連絡して修理させるという態度に極めて欠けます。Touch 'n Go読み取り機に対する駅員の態度は、マレーシア社会によく見られる、自分の仕事に直接関係ないことには一切興味をもたないという、いわゆる ” tak apa ”症候ですね。 尚Touch 'n Go カード読み取り機の保守と修理は Touch 'n Go 会社なのかその委託会社か知りませんが、サービスマンが各駅を巡回しながら保守サービスを行っています。駅員は保守に全く関与していません。
私はこのTouch 'n Go カード読み取り不能状態にいくつもの駅で出会ってきたので、その都度駅員に文句を言いますから(もちろんマレーシア語です)、私の観察には自信があります。彼らは、Touch 'n Go カード読み取り機についてはどんなことであれ自分たちの関与することではないという態度を決して崩しません。この認識のあり方は、もう文化観の違いというしかない大きな溝です。駅のサービスの一環として取り入れられている機械が故障していれば、それは駅職員が仕事として気にするべきことの一つであり、顧客サービスの基本だという捉えかたはほとんど通じません。
今週私の地元にある 高架電車駅の片側2機ある読み取り機が両方とも使用不能になりました。1機はすでに2ヶ月くらい使用不能でした。つまりTouch 'n Go カード会社の巡回保守点検がいかにずさんかを示すものです。 残る1機がその日不能状態だったので、窓口に文句を言ったら無視されました。 そこでTouch 'n Go カード会社のサービス電話に直接電話して、これこれの事情だからその日直ちに修理の駆けつけろと、きっぱりとしかしやさしく伝えました。恐らくこれが聞いたのでしょう、翌朝には2機とも使用状態になっていました。 やれやれです。 翌日違う駅から乗ったら、その1機しかない読み取り機が使用不能でした。Touch 'n Go カード販売と読み取りに関しては万事全てこういった状況です。
Touch 'n Go カード会社のサービス自体が今もって不充分であることはいうまでもありません、加えてそのサービスを取り入れた交通機関で働く駅員の持つ文化感の埋められない溝の存在・・・・
クアラルンプールの公共交通サービスはハード面で非常に向上しましたが、ソフト面ではまだまだである一例を書いてみました。
以上
マレーシアのインターネットサービスプロバイダーは Telekom翼下の TMnet が圧倒的なシェアを誇り、ブロードバンド分野でも恐らく 90%近いではないでしょうか。第2のプロバイダーはシェアでははるかに劣る老舗 Jaring です、そのブロードバンドサービス地域がごく限定されているのが泣き所です。その他プロバイダーには携帯電話会社など数社ありますが、現状ではこの2社でほとんどを占めていると言っても言い過ぎではないくらいです。日本のプロバイダー事情とかなり違います。
私は10年以上に渡ってこの両プロバイダーに加入しており、IT産業に関係ない一般市民としてはかなり早い時期から加入した組です。メールアドレスも依然として両方を使用しており、加えて複数の無料メールも加入しており、目的に合わせて使い分けています。
昨晩 Jaring メールの送信だけが突然できなくなりました。1時間程度送信または受信できないことは、よくあることですから、しかたない明朝(つまり今朝)まで待つことにしました。今朝になって数回試してみましたが、送信サーバー(SMTPサーバー)につながらないのです。これはおかしいと思って、午前午後と何回も JARING Customer Serviceに電話してみました。しかし係りに全然つながりません。
電話番号にかけると、まずお知らせが入り、次いでマレーシア語か英語を選びなさいというメッセージ、 その選択後今度は1から4までの用事に合わせて番号を押しなさいというメッセージ、その後また2つある中から用件を選んで番号を押しなさいメッセージ、といった長ったらしい手続を経てようやく、技術サポートにたどりついても、ずっと話中ばかりでらちがあきません。 この面倒で時間のかかる電話手続を繰り返して、ようやく先ほど夜になってサポート係りにつながりました。 JARING Customer Serviceは無料電話ではないので、これだけでも電話代がすでにかっているわけです。
私の訴えを聞くやいなや、サポート係りは私に Streamyx ブロードバンドを使っているのかと質問してきました。その通りです。そうしたら彼女は Smtp サーバー名とセキュリティー方針をごく最近変えたので、メーラーの設定を変えてくださいと言うではありませんか。 ということは間違いなく少なからずの人が苦情を出していることでしょう、なぜなら上記のマレーシア事情から TMnet の Streamyxを使ってJaringメールを引き続き使っている人は少なくないはずですから。
急に 送信サーバーとセキュリティ設定を変えて、それを通知しないあり方に私は腹が立ちました。くだらない製品紹介メールはこまめに送ってくるのに、重要なメール設定の変更を事前にしらせないという、この精神構造に失望しあきれます。今日午後 Jaring ホームページを2回見て、何かメールサーバー変更のお知らせがないかと探したのですが、見つかりませんでした。 利用者にメールで通知もせずに、お知らせもホームページに掲示せずに、一方的に送信サーバー設定を変更するのが、インターネットプロバイダーのあるべきあり方であるはずありませんよね。 驚くべきことに新しい送信サーバー設定は proxy 設定で、ユーザー認証なしです! えー、なぜユーザー認証とパスワード入力が不要なのだ? という私の質問に、納得いく答えはJARING Customer Service からありませんでした。これでは迷惑メール出し放題になるのではないでしょうか?
いずれにしろ、私は10数年来マレーシアのプロバイダーに付き合ってますから、この基本的な顧客サービス精神の欠如とつながらないことがしばしば発生するという状況を評していえば、 TMnet 最悪、 Jaring 不可 という評価はいまだ変わっていませんね。これを今日また改めて思い知らされた次第です。
以上
ということで、過ぎたるサービスは好まないが、基本的サービスの欠如も困りものですね。
毎年3月と4月は個人の所得確定申告と納税の季節です。そこで所得税に関する説明コラムを2004年2月に、第373回と375回 「マレーシアで個人として税金を納める −前編と後編」 で具体例の形で載せました。
今年3月に「新聞の記事から」 に訳出した記事はマレーシアにおける個人所得税の理解に役立ちますので、一部を書き加えて再録しコラムの形で掲載します。4年前のコラムと合わせて読んでいただき、マレーシアの税金の仕組み理解に役立てていただければなと思います。
確定申告時に労働許可証があろうとなかろうと、対象年度に所得があれば外国人ももちろん対象になります。ただある年度の途中にマレーシアでの勤務を終えて日本など他国へ行く人は、その時点つまりマレーシアを去る前に所得を確定させて税金面を片付けなければなりませんので、翌年3月4月の確定申告は関係なくなります(退職してまたマレーシアで就職したり個人ビジネスを始めた場合は除く)。
日本から派遣、現地採用に関係なくいわゆるエクスパトリエイトの日本人は課税対象になり、確定申告義務があります。ただし会社が代行している場合が多いでしょうから、内容を気にしない方も少なくないことでしょう。尚エクスパトリエイトは例外なく課税対象です、なぜならその給料が年間 RM 24,000 程度という条件では労働許可証がおりないはずだからです。
”マレーシアは第2の我が家” プログラムの参加者の中にも法律上は申告義務が発生する場合が起こります。だからプログラムの公的説明文書には、税金に関してはマレーシアの法律に従うとさらっと書かれていますね。ただしマレーシア政府官庁は、プログラム参加者から課税されるのではと捉えかねられないという”誤解”を恐れてでしょう、そのことを全く強調していません。さらに参加者で進んで確定申告する人はごくわずかでしょう。こういった事情から、多くの”マレーシアは第2の我が家” プログラムの参加者は納税者番号自体を取得していないと、私は推測しています。下記でも説明されていますように、国外からマレーシアに持ってきたお金は課税対象になりません。
課税対象となる人は税務庁宛てに前年度所得の確定申告をしなければなりません。課税程度は申告した所得と控除と軽減額に基づきます。例えば、独身の被雇用者で年間所得RM 27,000ある人で、控除額が基本控除及び被雇用者福祉基金納付金だけの場合は、課税対象となります。 初めて確定申告する人は、税務庁にまず納税者登録しなければなりません。その場合は、身分証明またはパスポート、雇用者からの前年度所得証明書(EA書式)、(配偶者がある場合は)婚姻証明などを税務庁に持参して登録します。
ある個人において、その人の個人控除額を差し引いた後の額に対して課税されます。その場合の課税所得額は RM 2500から始まります、最初のRM 2500は税率 0%、次いで RM 2500毎に税率が増えて、最高28%です、つまり課税所得 RM 25万以上は一律に28%となります。 税法上の非居住者個人は、その所得全体に一律 28%の税率となり、控除は一切ありません。
納税者で申告用紙を3月までに受け取らない人は、4月14日までに自主的に税務庁へ行き用紙を入手しなければなりません。確定申告用紙は 税務庁の所定の部署に決められた期日までに提出しなければなりません。
申告用紙 | 申告者の内容 | 提出期限 | 納税期限 |
B書式 | 居住者でビジネス所得のある人 | 6月30日 | 6月30日 |
BE書式 | 居住者でビジネス所得のない人 | 4月30日 | 4月30日 |
M書式 | 非居住者 | 4月30日 | 4月30日 |
去年までに確定申告を e-Filing と呼ばれる電子申告方式で行った人には、もはや紙の申告用紙を郵送しません。紙の申告用紙を今年受け取った人で、電子申告方式に切り替える人は、手続後そうできます。(注: e-Filing の話題は下段に載せています)
確定申告を怠った人には、法律に基づいて罰金または懲役を科せられます。
被雇用者は源泉徴収税率表に従って、毎月源泉徴収されることになっています、これを通称 PCB と呼んでいます。 雇用者は翌月の10日までにこの徴収額を税務庁に振り込む義務があります。給与所得以外に所得ある人は、その所得に対して課税され、その場合は翌年3月から 6回の2ヶ月毎の均等納税となります。
源泉徴収不充分などで収めてない税金がある場合は、上記表のように4月末または6月末までにその分を収めなければなりません。納税は、税務庁本庁カウンターで収める、申告用紙に小切手を同封する、または特定銀行の窓口で納めます。納税遅延は最高15%の追加となります。
マレーシア国内をで源泉とした所得は、特例を除き、全て課税対象になります。外国を源泉とした所得でマレーシアに送金されたものは課税対象になりません。
以下は個人にとって課税対象となる所得の分類です:
交通費、娯楽費などにおいてある程度は控除を認められることがありますが、それをビジネスの必要経費であるとして税務庁に証明しなければならないのは納税者側です。
課税対象外として報告しなくてもよい給与用所得には次のようなものです:
配当金収入
外国の配当金
利子所得
家賃所得
家賃所得は申請する必要があり、通常これは投資収入としてみなされます。家賃所得のための費用として認められるのは次のものです:
賃貸による損失は、他の所得から発生する税と相殺することはできません。
ビジネス所得
ビジネス所得は次のものを差し引いてから課税対象所得となります:
もっぱらビジネス所得を生み出すためだけに発生した全ての費用と出費の説明:
その納税者が固定資産を所有し申告対象時期の終わりにおいてもビジネス目的に使用しているという条件を満たせば、資本控除を請求することができます
個人控除が認められるのは税法上のマレーシア居住者だけです、そしてそれは総収入から差し引かれます。控除には次のようなものがあります(証明書類が必要):
課税額から戻し税が差し引かれます。戻し税額は:
ある個人は次の条件のどれかを満たせば居住者と見なされます:
その他細かい規定は省略します
課税所得において、最初のRM2500は 税率 0(つまりRM 2500までなら所得税なし)、その次ぎのRM 2500は 税率 1%(つまり RM 5000の人は税金 RM25)、 その次のRM15000 は税率 3% (つまりRM2万の人は税金 RM 25 + 450= 475 )、こうして計算していきます、途中省略。 最後は RM25万の人で 税金 RM 54975 です、RM25万を超える所得は 一律28%の最高税率となります。次の計算表をご覧ください。
課税額 RM | 税率 | 税額 RM | |
最初の額 | 2,500 | 0 | |
次の額 | 2,500 | 1% | 25 |
最初の額 | 5,000 | 25 |
|
次の額 | 15,000 | 3% | 450 |
最初の額 | 20,000 | 475 |
|
次の額 | 15,000 | 7% | 1,050 |
最初の額 | 35,000 | 1,525 |
|
次の額 | 15,000 | 13% | 1,950 |
最初の額 | 50,000 | 3,475 |
|
次の額 | 20,000 | 19% | 3,800 |
最初の額 | 70,000 | 7,275 |
|
次の額 | 30,000 | 24% | 7,200 |
最初の額 | 100,000 | 14,475 |
|
次の額 | 15,000 | 27% | 40,500 |
250,000 | 54,975 |
||
25万を超える額 | 250,000 | 28% |
3月後半の新聞に次のような記事が載っていました。
まずマレーシアの税制では、税還付を申請するためだけに確定申告が必要ということではなく、所得課税対象者は源泉徴収がされている、されていないに関わらず、全員確定申告の必要があるということです。なお、例えば月給がRM1,000ぐらいの人は、その低所得額ゆえに最初から課税対象にはなりません。
そこで上記で言及されている、個人の確定申告者がたった300万人という数字に驚きます。国民人口2600万人の国で、この数はいかにも少ないのではないでしょうか。国民人口中20歳以上の人口比は 約57% と計算されますので、2007年の国民人口2600万人弱の57% は大雑把に1500万人弱になります。この内、学生、無職・失業者、家庭主婦、退職者・高齢者などの人口を差し引いても、300万人強という数字はいかにも少ないと思われませんか。ちなみに関連した数字を示しますと、国民労働人口は1100万人強、その内公務員が約110万人です。
確定申告すると、被雇用者福祉基金の納付も控除されますので、独身者なら大まかに年収約 RM 2400以下は課税されませんし、夫婦子供のある人は控除額が増えて課税最低限がもっと上がります。従って給与受領時に源泉徴収されていても、申告時に税還付を請求しそれが認められれば後日に税還付があって、実質的に所得税がゼロになる人が結構でてきます。税務庁の幹部が明らかにする数字によれば、 2006年度所得及びそれ以前の所得申告に対する2007年の税還付件数は、392,000件で、その合計額はRM53億でした。この数字は税還付申請処理件数の約8割にあたり、2割は申請に不備や疑いがあり還付に至らなかったとのことです。
こういう人たちを含めて確定申告対象者が300万人強というのは、いかに所得捕捉率が低いかを示す数字だと思わざるを得ません。相当な数になる小規模個人事業者、その内のかなりの割合であるいわゆる屋台商売人はどれくらいの申告者数なんでしょうね。農民漁民の申告者数がかなり低いことはニュースなどからもよく感じます。 企業に雇用される被雇用者の場合が一番所得を捕捉しやすいというのは、多分どこの国でも事実でしょう。 私は税の専門家ではないですが、こういった事実を知るにつけ、税負担と納税の公正さの面から、労働人口における非雇用者に対する税捕捉の向上が必要であると、いつも感じます。
私は今期 e-Filng で確定申告したのでそのことを、3月21日のゲストブックに書きました。そこで最後にそれをここに再録しておきます。
マレーシアもこの時期 3月4月は所得確定申告の時期です。ただし日本との大きな違いは、被雇用者の場合いわゆる年末調整が行われないので、被雇用者は自分で確定申告する必要があります。会社組織に雇用される場合は、初めて被雇用される時点で、その人の税納入者番号が内国収入庁つまり税務庁に登録されます。よってその番号を使って毎年、前年度所得を申告することになります。申告用紙には支払った(差し引かれた)税金額及び種種の控除額も当然記入しますから、源泉徴収額がちょうど総所得に見合っているため税金支払い面でなんら調整が要らない人、税金が戻る人、追加税を払う必要がある人、の3種に分かれることになります。
被雇用者である、ないに関わらず、納税者番号のある人は前年度所得のある人もない人も全て所得確定申告する必要があるわけです。もちろんこれは建前であり、所得があっても内国収入庁つまり税務署に個人の税納入者番号が登録漏れになっているような人たちは、確定申告をしないことになります。だから毎年実際に確定申告する人は300万人前後という、1千万人を超える勤労者人口に比していかにも少ない人数を感じさせています。
前年度(2008年度)と比べての変化: 累進課税における最高税率が 28%から 27%に下がった、課税所得額がRM 35, 000を超えない人への戻し税額がRM 350から400に上がった、及びその他 ( Intraasia 注:ただし戻し税額の方が納税額より大きくても、その差額がもらえることにはなりません)
マレーシア人と非マレーシア人を問わず、税法上のマレーシア居住者の場合(下記の Intraasia注を参照)、申告できる主な控除とその控除額の例
本人控除 RM 8千、 両親の医療費 RM 5千まで(制限あり)、 身体不自由者 RM 6千、 重病に対する医療費 RM 5千(制限あり)、新聞雑誌の購入 RM 1千(制限あり)、総合健康診断費用 RM 5百(制限あり)、個人使用のパソコン購入費 RM 3千(制限あり)、スポーツためのスポーツ用品 RM 3百(制限あり)、離婚後の扶養生活費 RM 3千(制限あり)、通常の子供控除 RM 1千、18歳以上未婚の子供で高等教育機関で学んでいる子供 RM 4千、 身体不自由な子供 RM 5千、生命保険とEPF納入金 RM 6千(制限あり)、 など
税コンサルタント会社のアドバイスによれば:
(夫婦は別々に申告するか、配偶者を扶養者にした合同申告にするかを選択できます) 夫と妻は別々に申告したほうがいいでしょう。 一般に配偶者が全く所得がないまたは年間所得がRM 3千未満の場合は、 申告する夫または妻が合同申告したほうが得になります。なぜならその配偶者を扶養控除にすれば控除額 RM 3千が認められるからです。
夫婦の場合、所得の多い方が子供控除を申告すべきです。
マレーシアの所得税に関する規定では、外国源泉の所得は、たとえマレーシアに送金されたとしても、課税対象にはならない、となっています。ですから毎年度の所得申告用紙にそれを記入する必要はありません(と、税務署も税務コンサルタンも明言しています)。税コンサルタント会社が例としてあげている申告不要の所得例をあげますと: 国外にある不動産から得た賃貸所得、マレーシア国外で雇用されていることから得る且つマレーシア雇用に付随するものではない被雇用者所得