栃(トチ)

トチノキ科トチノキ属−トチ−落葉高木

Aesculus turbinata

 「初々しく白く輝く」
  絹絹のような肌で。木工家たちを魅了する木

 トチは、北梅道から九州まで全国的に分布していますが、九州地方
には稀で、主に東北地方によく見られます。比較的低山地帯の水分の
多い肥沃な所を好むようです。成長も速く、大木になる木で直径2メ
ートルに達するものもしばしば見られます。
 パリのマロニエの並木もトチに似た種類の木で、日本でもそれを真
似てか、東京の青山道りなどで街路樹として見かけます。
 材は、「トチの絹肌」といわれるくらい、極めて緻密で、滑らかな、
卵白がかった美しい白色をしています。また、非常に割れにくく、加
工も容易な反面、狂いが出やすく、条件が悪いと腐れの速い材でもあ
ります。
 用途としては、漆器の木地、家具材、建築の造作材、生活用品各種
に使うわれていますが、主にはお椀や、皿、鉢といった器の類が多い
ようです。その歴史も古く、縄文時代、鳥浜貝塚や三内丸山遺跡など
から、トチの漆器が出土しています。

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