桐(キリ)

ノウゼンカズラ科キリ属  −キリ− 落葉高木

Paulownia tomentosa

 「極めて異貢で優秀な性格」

 特殊な性質で独特な地位を築いた木

 キリは、北海道南部から、九州まで全国各地に分布します。昔から「花嫁道具にはキリの箪笥」として親しまれて、よく植栽されてきましたので、身近な所の庭や畑の横でも目にすることが多い木です。古来、南部桐(岩手県)会津桐(福島県)などが有名です。「娘が生まれたら桐を植え、それで箪笥をつくれ」という諺があるくらい、極めて成長が速い木です。
 材は、日本の木の中で最も軽い木で、針葉樹よりも軽く、水に浮くくらいです。切削が容易で、水を吸っても膨張や狂いがなく、その割に強度があるという不思議な材で、接着性にも優れています。また、燃えにくいことや、吸湿、吸水性においても優秀で、昔から、貴金属や表彰状など、大切なものを収める箱として賞用されてきました。 他には、琴や琵琶をつくる材としても使われます。軟らかくて空洞の多い材質は、ソフトな昔の響きをかもしだします。また、桐の箪筒や下駄も有名で、今でも根強い人気があります。

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