移動の処理

基本処理移動距離の変化


 

基本処理


 移動に関する処理は、すべて行動パートの中で行われます。


○移動力

 【移動力】は一定時間内に移動できる能力を表わす数値で、数値が高いほど移動速度が速いことを意味します。主に、アクションシーンでの移動距離を計算する時の基準値として用います。


○移動力の基準

 【移動力】は0以上の数値で表され、PC、NPC、機械(交通機関)のすべてにおいて、同じ基準で書かれています。


▼速度換算
 移動力1はおよそ時速2kmとなります。時速20kmならば移動力10です。


▼移動力0
 移動力0だけは少し特殊な扱いとなり、非常にゆっくりではあるが静止しているのではない場合の移動力となります。たとえば這って歩くなどの場合は、移動力0として扱われます。移動できない場合は移動力なし(あるいは一)と表記することになります。


▼移動力の計算

◇基本移動力
 キャラクターが移動を試みる場合、移動距離は【基本移動力】(=敏捷+6)を基準に計算されます。

◇装備修正
 重い装備を身につけている時は、その分だけ【移動力】が減少します。これは便宜上、防具の回避修正であらわされるもので、【基本移動力】に回避修正を加えた値が移動力となります。なお、回避修正には楯などの防御修正は含まれないので注意して下さい。


○条件

▼状態確認
 周辺状況やキャラクターの状態によって、その場から動くことが不可能だと思った場合、GMは移動を却下することが可能です。たとえば、静止していなければならない行動を試みる場合や、転倒中など移動不可能な体勢にある場合などがこれに当たります。移動を試みるためには、これらの状態を解除しなければなりません。


▼競走

◇速度域
 自動車など明らかな速度差のある相手に対しては、競走を挑むことは出来ません。速度が大幅に違う相手を含むアクションシーンでは、発進から十分な速度に達するまでの間か、すれ違う瞬間のみ相互に影響を与えることが出来ます。

◇高度
 飛行などの特殊な移動方法を取る生物に干渉を行う場合も、速度が大きく異なる対象と同じように、すれ違う瞬間のみ相互に影響を与えることが出来ます。


▼終点の選択
 移動を行う場合は、最初に目標地点や追跡対象を指定する必要があります。誰かを追い掛けるという行動を選択した場合、終点は相手の行動によって変化します。


○移動方法

 能動行動として選択する移動方法には、通常移動、全力移動、移動行動の3種類があります。また、移動を選択しなかった場合でも、補助移動としてごく短い距離を動くことが可能です。


▼通常移動(マルチアクション/小行動)
 [移動力]mの距離を移動できます。これは小行動と本行動のどちらでも行うことが可能です。

▼全力移動(マルチアクション/本行動)
 [移動力×2]mの距離を移動することが可能となります。

▼移動行動(マルチアクション/本行動)
 移動しながら何か別の行動を試みる際の移動方法で、移動距離は[移動力]mとなります。移動行動は通常移動とは異なり、自動的に本行動として扱われます。
 この場合の行動というのは、判定を必要とするような能動行動のことを指します。また、行動として選択できるのは移動の延長上にあるものに限られ、攻撃や術法といった能動行動は含まれません。たとえば、他のキャラクターの影響範囲から離脱したり、移動を封鎖された状態から突破を試みたり、何かを乗り越えるために《軽業》の判定を行った場合は、移動行動として処理されることになります。

▼補助移動(補助行動)
 移動を選択しなかった場合でも、補助移動を行って影響範囲内(3m程度)までの移動を行なうことが可能です。補助移動は移動以外の行動を試みる前に行なうことが出来るもので、小行動や本行動としては扱われません。たとえば、小行動で潜伏行動を選択した場合、補助移動として3m程度の距離を動いてから遮蔽物に身を隠し、それから本行動として別の行動を試みることが出来るわけです。


◆移動方法と移動距離

移動方法 行動 移動距離
通常移動 マルチアクション/小行動  [移動力]m
全力移動 マルチアクション/本行動  [移動力×2]m
移動行動 マルチアクション/本行動  [移動力]m
補助移動 補助行動  影響範囲(3m程度)

基本移動力=[敏捷+6]


○逃走

 移動時に逃走を宣言した場合、アクションシーンからの退場を試みることが出来ます。逃走を宣言してから誰も妨害する者がいなければ、自動的にシーンから退場できたことになります。


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移動距離の変化


○移動力の減少

 地面がぬかるんでいたり視界状況が悪い場合には、その程度に応じて【移動力】の減少が起こります。


▼減少

◇修正
 通常と異なる状況で移動を行う場合、GMが定めた修正値を【移動力】に加えることになります。

◇最終計算
 最終的な【移動力】は[基本移動力+装備修正+状況修正]の値となります。この値を基準として、一定時間における移動距離を計算することになります。

◇最低移動距離
 何らかの影響によって移動距離が減少しても、1回の移動機会につき最低でも3m程度の移動を行うことができます。


▼周辺状況による影響
 路面や視界状態など、周辺全体の状況が移動に適さない場合の制限です。同じ移動方法を取る全員に等しく影響を与えます。
 
・移動力
:−6
 障害物が密集している場所、急な上り坂、階段、岩場、ひどいぬかるみ、腰まで水に入った状態、劣悪な視界状況(濃霧、完全な暗闇)など

・移動力:−3
 障害物が点在する場所、緩い坂道、荒れ地、ぬかるみ、水際、狭い道、見通しの悪い状況(霧、暗闇)など


○障害物の通過

 簡単に乗り越えたり迂回できる障害物の場合は、特に考慮に入れる必要なく移動できるものとします。しかし、迂回することが出来ない障害物が存在する場合は、それを通過した時点で移動は終了です。たとえば前方にドアが存在する場合、それを開いて通り抜けた地点で移動を終えることになります。なお、その障害物を乗り越えるのが困難だと思われる場合、GMは登攀(一般:敏捷+軽業)などの判定を行わせて構いません。
 
・例:窓枠などの障害物を乗り越える、扉やドアを開く、離れた場所に飛び移るなど


○疲労

▼連続疾走
 短時間に連続して疾走を行った場合、GMは【生命抵抗】による判定を行わせて構いません。判定に失敗した場合は疲労したことになり、移動距離が1ずつ減少します。全力で走っている場合は、[体力×1]ラウンドからこの判定を開始すればよいでしょう。

▼長距離移動
 あまりにも長い距離を移動した場合は、たとえペース配分を行っていても連続疾走と同様の影響を受けます。この時も、GMの判断で生命抵抗による判定を行わせて構いません。これに失敗した場合は疲労したことになり、移動距離が減少したり、それ以上走れなくなってしまいます。


○転倒

 以下のような状況にある時、キャラクターは転倒してしまう可能性があります。なお、これらは選択ルールであり、GMが必要と考えた時だけ使用して下さい。


▼状況の変化
 急激な方向転換、ダメージを受けた時、悪路や滑りやすい場所での移動など、大きく体勢を崩す可能性があると考えられる場合には、バランス(一般:感応+軽業)の判定を行わせても構いません。判定に失敗した場合は、転倒したり体勢を大きく崩してしまう可能性があります。

▼修正値
 路面の状況が悪い場合は、−2〜−4程度の修正を与えて判定を行わせて下さい。また、攻撃によってダメージを受けた場合は、受けたダメージ分をマイナス修正として加えなければなりません。


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