霊子場と霊魂

基本情報霊魂憑依人工存在


 

基本情報


○エーテル・クラスター

 『エーテル・クラスター』(圧縮霊子)というのは、霊子物質の生成技術から派生して生まれたものであり、霊子を圧縮して固めた球状のエーテル塊のことをいいます。


▼構成
 本来、霊子は密度が高くなるほど強い結合性を生じるものですが、同時に活性状態も高くなるという特性を持ちます。そして、活性状態が高くなるほど結合が緩くなる性質もあるため、自然状態で浮遊霊子の密度を限界まで高めると、いずれ霊子が活性化状態へと転じてしまうことになります。
 科学魔道時代には霊子エネルギーを安定利用するために、密度と活性状態が同時に高い状態を維持する結合化技術が生み出されました。この手法を応用して生み出されたエーテルクラスターは、気体霊子として緩い結合状態を維持したまま、霊子物質のように高い圧縮状態を維持することが出来ます。これはエネルギー活性を抑制しながら圧縮を行うために生じる、非常に特殊な現象となります。


○霊子場

 エーテル・クラスターは『霊子場』と呼ばれる特殊な場を形成し、その内部に半活性化の状態にある気体霊子を安定的に保つ性質があります。この状態に置かれている霊子は、すぐに活性化して幽子に情報を伝達することが出来ます。


▼固有情報
 霊子場が維持されている間は、内部空間に特定の幽子情報を蓄積しておくことが出来ます。


○精神場

 意識を持つ存在は、すべて『精神場』と呼ばれる霊子場を形成しています。精神場は意識の中核を為すもので、内包している霊子エネルギーによって、精神活動が行なわれるものと考えられています。


▼霊魂
 精神場を備える意識のことを『霊魂』といいます。霊魂は生物はもちろん、霊的存在や魔道生物といった存在にも宿っています。

▼固有情報
 精神場は内部空間に、個体の記憶や思考パターンといった固有の幽子情報を保持しています。これによって意識の在り方に違いが生まれるものと考えられています。


▼自我
 霊魂が必ずしも明確な意思や自我を備えているとは限りません。単に本能的にプログラムに沿って動く存在は、意識存在ではあっても自我を持つわけではないのです。しかし、霊魂を持たないものに意識は生まれませんし、自我が形成されることもありません。
 なお、自我の働きというのは、科学魔道の時代にもその本質を解き明かすことが出来なかった、未知の領域の作用となります。現在もこの研究を行なっている者がおりますが、その成果は殆どあがっておりません。


○精神場と霊子

 精神場は霊子を内包するもので、以下のような特徴を持ちます。


魂霊子
 精神場を構成している霊子は『魂霊子』と呼ばれ、空間や物質中に存在する霊子とは異なる反応を示します。たとえば、意識体の精神抵抗は霊子場を維持するために必要な機能であり、物質には存在しない作用となります。また、精神値(霊子)の回復が起こるのも意識体だけとなりますし、これを用いて霊子機器を動かせないといった現象も、魂霊子が霊子場の内部にあることに起因するものです。

▼精神抵抗
 科学魔道技術が生命体の直接改変を行ったり、生体と直結した制御回路を介さずに精神制御を行えないのも、魂霊子が精神場の外部からの作用を自動的に妨げる機構を持つためです。これはTRPGのルール的には、精神抵抗の判定として表現されます。
 ただし、これには1つ例外があり、異常活性状態の霊子の作用には、精神場も抵抗することは出来ません。このため、変異現象に対して精神抵抗を試みることは出来ず、自動的に変化を受け入れることになります。


○認識

▼視認
 霊子場、精神場いずれの状態にしても、移動範囲は限定されていますが気体霊子としての形態を取るため、殆ど不可視に近い状態にあります。ただし、半活性の状態にあるため、時々青く煌めく光を確認することが出来ます。

▼霊的感知
 霊的状態を観測すれば、エーテル・クラスターの存在を認識することが出来ます。ただし、霊子が活性状態にあるわけではないため、魔力感知などの術を用いて認識することは不可能となります。

▼術法
 術法が効果を発揮している間は霊子場が形成されています。この時は内部の霊子が活性化されているため、魔力として感知されます。


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霊魂憑依


○人工生命

 エーテルクラスターの研究は、精神の謎を解き明かすためにも役立ちましたが、それはこの技術が注目された最大の理由ではありません。科学魔道時代の人々が考えたのは人工生命体を誕生させることで、そのために多くの時間と費用が投じられました。


▼人工霊魂
 霊子場に意識の核となる情報を設定することで、『人工霊魂』を誕生させることが出来ます。これは自我を持つ存在ではありませんが、与えられたプログラムに従って活動するもので、自発的な判断機能も備えています。


▼問題
 科学魔道時代の研究者たちは、人工霊魂を誕生させることには成功しましたが、それで目的を達成できたわけではありません。というのは、単に霊魂が存在する状況というのは、保持されている情報に応じた精神活動が行なわれるだけで、その作用が物理的な現象と連動しないからです。そのままでは外部と情報のやり取りを行なうことさえ不可能で、これにアクセスするためには霊的な手段を用いなければなりません。


○結合

 霊魂は何らかの物質に結合した状態で、はじめて物理世界に影響を与えることが可能となります。


▼条件
 当初、人工霊魂の有効利用は不可能と考えられておりましたが、後に霊子場と物質を結合する技術が開発されたため、この研究は実用のものへと発展することになります。
 
◇結合対象(コア・ボディ)
 霊子場は物質および霊子と結合させることが可能です。結合に用いられる対象は『コア・ボディ』と呼ばれており、通常の生物であれば肉体がこれに相当します。この他の例でいえば、リビングデッドの場合は死体、心霊体や精霊の場合は霊体がコア・ボディということになります。

◇霊的回路
 単なる物質を用意しただけでは霊魂の憑依対象としては不十分です。物質の種類や準備の手法には様々ありますが、いずれにせよ霊的回路を形成して相互を結合する必要があります。なお、この回路は結合時に発動されるものであり、結合し続けるために維持しておく必要はありません。
 霊的回路の形成は、科学魔道、術法、特殊能力、変異現象といった霊的影響によって為されるものです。科学魔道技術においては、外部の霊子機器の作用で結合される場合が一般的です。しかし、結合物質に施された霊的回路に、憑依霊魂の霊子が通じることで発動される場合もありますし、術法や特殊能力の発動によって結合されることもあります。また、生物の精神が偶然に霊的回路を形成して、自動的に憑依可能な状態をつくることがあります。


▼結合体
 結合に成功すれば、コア・ボディを介して現実世界に影響を与えることが出来るようになります。
 
◇コンプレックス・クラスター
 エーテル・クラスターが持つ霊子場とコア・ボディとが結合したものを総称して、『コンプレックス・クラスター』といいます。物質と結合して出来たコンプレックス・クラスターはマテリアルタイプ(M型)で、霊子と結合して出来た場合はスピリチュアルタイプ(S型)となります。

◇霊魂
 コア・ボディに霊魂を憑依させれば、霊魂が持つ霊子場と物質が結びついてコンプレックス・クラスターが形成されます。また、コンプレックス・クラスターが持つ霊子場に精神を構成する情報を与えれば、意識を持つ霊魂が発生します。後者の場合、意識が定着した時点で、霊子場が精神場へと変化することがわかっています。


▼コーティング
 人工霊魂やコア・ボディには最低限の機能を与えておき、それにコーティングする形で外装される物質に、霊的回路や物理的機能を与える設計方法も存在します。こういった追加物質のことを『コーティング・マテリアル』といいます。
 コーティング・マテリアルは機能追加のためばかりではなく、自己再生機能を効果的に発動させたり、状況に応じて異なる機能を追加するために、こういった複雑な設計を行なう場合もあります。たとえば、予めコア・ボディに霊的回路を組み込んでおき、周囲の物質を取り込んで肉体を再生させたり、コーティング素材ごとに別の霊的回路を形成するよう設計しておく、といった使い方が出来るようになります。


○霊的回路

 精神場やコア・ボディ、あるいはコーティング物質に霊的回路を組み込むことで、魂霊子によって霊的効果を発動させることが出来ます。また、霊魂に術法を使用させることも可能です。ただし、物質に回路を形成する場合は導霊物質を用いる必要がありますし、精神場に含まれる魂霊子しか発動に利用することは出来ません。


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人工存在


 科学魔道の技術で霊魂を持つに至った存在には、以下のような種類があります。


○種類

▼疑似生命体
 物質と結合して出来たコンプレックス・クラスターは、マテリアルタイプ(M型)と呼ばれています。これを核に生み出されたのが疑似生命体で、医療の実験体や一般社会での労働などに広く活用されました。
 疑似生命体のコンプレックス・クラスターは『ライフ・クリスタル』といい、水晶玉のように透き通った丸い物質となります。疑似生命体はライフ・クリスタルの上に種々の物質をコーティングする形で、肉体が形成されています。なお、疑似生命体が死亡した場合、ライフ・クリスタルは肉体の崩壊に連動して、少しずつ溶けるように無くなってゆきます。


▼霊子生命体
 霊子と結合して出来たコンプレックス・クラスターは、スピリチュアルタイプ(S型)と呼ばれます。霊子場に情報が保持されていない場合は不可視のままですが、これに意識が宿ると透き通った霊体へと変化し、その情報が定義する形状・性質を維持するようになります。
 このように意識の種類によって変化する性質を持つため、この時のコンプレックス・クラスターを『ソウル・クラウド』と呼びます。ソウル・クラウドに意識を宿すことで生み出されたのが、霊子生命体と呼ばれる特殊な存在で、霊体と同様の性質を持っています。なお、霊子生命体が死亡した場合、ソウル・クラウドは拡散して消えてゆきます。


○制限・問題

▼長期運用
 疑似生命体や霊子生命体は、自身の魂霊子を用いて霊的回路を発動させるため、緩衝流に影響されず魔道効果を発揮できます。しかし、消費した分の霊子の供給は、霊魂の自動回復作用に依存することになり、長期運用に向いた機構とはいえません。


▼形状
 科学魔道時代に実用化された人工生命体の多くは人型をしたもので、それ以外の形状のものは滅多に見られませんが、これには以下の理由があります。
 
◇適応形質
 これらの生命体は自律的に動くことが前提で作製されたものですが、やはり最も優れた判断力を持つ生命体は人間であり、人工霊魂も人間の霊魂情報をベースに設計されています。
 結合物質を動かす際に、霊魂にとって最も自然に動作できるのは、精神場に組み込まれている情報に応じた形状のものです。そのため、人間の霊魂をベースにした人工霊魂にとっても、人型をした体が最も制御しやすいことになるため、特に異なる形状で設計する理由がない限り、疑似生命体は人間を模した形を与えられるわけです。
 霊子生命体の場合は、自己の精神場に宿る情報に応じて、自動的にその形状が決定されます。そのため、やはり基本的な情報が人間由来である人工霊魂は、人間の形で顕現することになります。

◇変異現象
 現在活動している、人工生命体を由来とする怪物の場合は、変異現象によって精神場に備わる情報自体が変化しています。そのため、人間とは異なる形状を持つものも多く生まれておりますし、知能や判断力も見た目に応じたレベルになっています。


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基本情報霊魂憑依人工存在