神聖存在/精霊信仰


 


 密林の奥地などに潜み、森に抱かれて生活する部族の多くは精霊を信仰しています。しかし、エルモア地方の精霊使いとは異なり、祖霊信仰や霊媒といった側面も見られ、独自な信仰形態を保っています。


○精霊

 彼らのいう精霊というのは自然精霊のみならず、祖霊や悪霊などを含む霊的存在の全てを指す言葉です。精霊は万物に宿るものであり、人間のすぐ傍にも存在しています。
 ペルソニアでの精霊は信仰の対象であると同時に、畏怖すべき脅威でもあります。彼らは人間を助けてくれることもありますし、悪戯したり罰を与えることもあるのです。それらの行動には何らかの意味があると言いますが、信仰者のみならず祈祷を行なう霊媒師たちであっても、その全ての事柄について合理的な説明をつけられるわけではありません。しかし、精霊の御心は人智を超えたものであり、その全てを理解することができなくても、仕方がないことだと人々は考えています。


○霊木

 部族の守り神となる森の精霊が宿る特別な木で、信仰の中心となる対象です。通常は集落の中心で根を張る木が選ばれますが、普段は足を踏み入れない森の奥深くにある場合もあります。いずれにせよ、長い年月を経た大樹が霊木とされる例が多く、部族全体で代々守り続けてゆきます。


▼ファミリー・ツリー
 同じ地で暮らす部族の場合、それぞれの家族が先祖代々受け継いでいる一族の木が存在します。多くの場合、一族の埋葬の場となっており、その根元に遺体を埋めて供養します。この木の枝は一族を守ってくれるものと信じられており、病気になった時や旅に出る際に身につけたり、祖霊の人形を彫ってお守りとしたりします。


○霊媒師

 精霊信仰を行なう者たちにとっての聖職者であり、祈祷を行なうものです。同時に、薬師や医師といった役目を負ったり、語り部として部族の歴史を受け継ぐ者もいます。
 通常、部族内において強い発言力をもっており、重要な問題が生じた際には必ず精霊にお伺いをたて、霊媒師の助言を受けた上で裁定を行ないます。また、畑をつくるために森を切り開くなどする場合も、精霊の機嫌を損ねないように霊媒師が監督します。


▼精霊の氏族
 これは単一の部族のことではなく、精霊信仰の儀式や術法を継承する特殊な霊媒集団のことで、古くから精霊信仰を守るために活動しています。このような氏族はペルソニア全域にいるようで、神聖な存在として多大な影響を持つことから、周辺地域での調停役を担うことも多いようです。
 多くの場合は地域全体でこの集団の生活を支えており、部族間で争いが起こったとしても精霊の氏族を巻き込むことはありません。そういった見返りとして、何か大きな問題が起こった時には無償で助力を得ることが出来ますし、祈祷の役目を担う者がいなくなった場合には、精霊の氏族から部族に新たな霊媒師が迎えられます。


○術法

 霊媒師は以下のような術法を身につけている可能性があります。精霊信仰者たちは、これらの力の源はすべて精霊に属するものだと考えています。


▼自然の秘法
 自然を操るための術で、地系、火系、風系、水系、光系、闇系、氷系、雷系、砂系、植物系、自然操作系の全てが存在します。

▼精霊系
 精霊と交信するための術法であり、エルモア地方では異端の術とされています。

▼回復系
 病気や怪我を治すために用いられる術法です。治癒系の技が民間に伝わったものとして信じられていますが、実際は異なる系統のようです。

▼霊媒系
 霊媒師が霊と交信するために用いる術で、エルモア地方では異端の技とされています。リビングデッドや霊体など、不浄の者を払うこともできます。

▼呪舞系
 マイエル教の巫女の舞いから派生した系統で、踊りによって霊的な効果を生み出します。おそらくは黄人の使い手から伝わったものが、長い時間をかけて独自の形式に変化したのでしょう。精霊信仰を行なう地域では精霊の踊り、あるいは精霊舞踏と呼ばれており、祭りや葬式といった特別な儀式の時に用いられます。


○文化

▼精霊祭
 精霊を召還して行なう部族の祭りで、森の恵みに感謝を捧げたり、祖先の霊を慰めたりします。祭を行なう際には依代が選ばれ、このために作られた特別な仮面を被せて精霊を憑依させます。祭のあいだ、精霊の仮面を被った者は、森に住む精霊や祖霊の化身と見なされます。

▼祈祷
 精霊を呼び寄せてお伺いを立てたり、悪霊を追い払ったり、病に苦しむ者を精霊の力で癒すために行ないます。霊媒師に許された神聖な儀式であり、部族によって独自の形式をとります。

▼精霊の家
 祭祀の時に精霊が降りてくる家を特別に建てている部族もあります。この家は屋根の形が違っていたり、特別な飾りが取り付けられるなど、普通の家屋とは異なる外観をしています。

▼精霊占い
 祈祷を行なう者だけでなく、一般の人々にも精霊の助言を受けるための方法があります。そのための手法はおまじないとして伝わっており、霊木の枝を倒して幸運の訪れる方角を知るなど、部族ごとに様々な種類の占いが伝わっています。


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