情報の1つとして重要なのが地図です。地図があって現在位置がわかれば、どのような場所でも迷うことはないでしょう。また、予め危険な場所がわかっていれば回避することができますし、無駄な時間を費やすこともなくなります。
地図といっても種類はさまざまで、町中の看板程度のものもあれば、詳細に測量を行った正式な地図や、ガイドマップのようなものも存在します。また、建物の設計図や地下道の図面なども、立派な地図の1つといえるでしょう。
○知識
自分が知っている場所であれば、突発的なアクシデントで地形が変わっているのでもなければ、地図なしでも問題なく移動することができます。多少なりとも迷う可能性がある場合は、町中であれば地域知識(一般:記憶+範囲情報)、人が入り込むことの少ない場所であれば特殊地理(専門:記憶+範囲情報)などの判定すればよいでしょう。
もし迷った場合は、位置感覚(一般:感応+範囲情報)の判定を行わせても構いません。判定に成功すれば、周囲の状況から判断して、だいたいの方向を割り出すことが可能となります。また、1度通った道を把握したり、大雑把な地図から目的地を見つけだす場合にも用いることができます。
○町中の地理
普通の街であれば、誰かに尋ねさえすれば道に迷うことはないはずです。また、大きな都市には観光ガイド(案内人)もおりますし、辻馬車に行き先を告げればそこまで連れていってもらえます。教会や時計塔など大きな建物があれば、それを目印として移動することも可能でしょう。
困るのは郊外や貧民街のような建物が入り組んだ場所で、地図がないのがむしろ普通です。こういった所では、そこで生活している者に尋ねるしか手段はありません。特に貧民街では地元の住民を味方につけるのが一番確実です。しかし、中には危険な場所も多く、住民の多くは余所者を嫌う傾向があるので注意した方がよいでしょう。都市浮浪児や乞食に金銭を与えて案内してもらおうとしても、警戒されることも少なくありません。なお、近くに住む聖職者はこういった場所によく出入りしているので、やむを得ない事情がある場合は目的を明かして案内してもらってもよいでしょう。それが人助けに関することであれば、ほとんどの聖職者は進んで協力を申し出るはずです。もちろん、聖職者が一緒にいれば襲われることも少なく、無用のトラブルを避けることもできます。
○ガイドマップ
観光都市はもちろんのこと、大きな都市ではガイドマップを手に入れることができるでしょう。いわゆる旅行案内書というやつで、一般の書店でも販売されています。観光協会が編集したものが多く、簡単な地図と観光スポット、移動手段と時間、それから観光協会に所属している店の位置と宣伝文などが記されています。大きなものは地域一帯の都市を扱っており、街道や航路などのあらゆる情報がまとめて記載されています。
○地域地図
地域や国家ごとの地図、それからエルモア地方全体の地図というのも、普通に書店で手に入れることができます。学校の地理の教材で使われているものと同じもので、地形や河川、それから主要な都市や街道、鉄道のルートなども調べることが可能です。しかし、エルモア地方にはまだまだ測量が行われていない所や、人が入り込まない土地も多く残っており、そういった場所は大雑把な地形が記されるだけにとどまっております。
○辺境の地図
正確な測量が行われていない辺境でも、誰かが通ったことがあるのならば、その人に道を尋ねることができます。森であれば猟師や木こり、あるいは近隣の住人や放浪民族にも案内を頼める可能性があります。河川や海路ならば漁師や船乗りを頼ることになるでしょう。
未踏地へと赴く場合はこれらとは少し状況が変わってきます。まだ人が入り込んでいない場所の地理情報は、財産と言うべきものでもあるからです。実際、探険家や地図屋といった職業人は、こういった情報を売って生活しています。また、新しい鉱脈や航路は、個人ばかりでなく国家にとっても重要な財源となるものです。たとえば、エスティリオーネとその部下は新大陸への生きた道しるべであり、そのまま国家機密ともいえる存在です。ですから、他国の密偵との接触や誘拐を避けるために、帰国から2年を過ぎた今でもその周辺には護衛がついているのです。
○建築図面
観光地として公開されている場所であれば、パンフレットに記載されている可能性があります。ただし、これは簡単な案内図であって、倉庫などの公開していない場所の間取りまでが記してあるわけではありません。正確な建築図面は、その建物の持ち主か設計図を書いた当人、あるいは所属する建築事務所しか所有していないでしょう。間取りを知っている可能性があるのは、建物に出入りしたことがある人と設計図を見たことがある人、そして建築に携わった作業員などになります。これらの人々は、秘密の抜け道のような秘匿情報を知っている可能性もあります。
同様のものとして地下墓地や下水道などが存在しますが、これらは裏組合や浮浪者たちが利用している場合があります。また、下水道の清掃夫やネズミ捕りといった職業に就いている者も、当然のようにこれらの地理には詳しく、彼らに幾らかのお礼をすれば案内してもらうことも不可能ではありません。もちろん、教会や役所への繋がりがあるのならば、問題なく正確な地図を教えてもらうことができるでしょう。
○地図の作製
正確な地図を作製するためには、観測知識(専門:記憶/判断+自然知識)の判定が必要となります。また、コンパス、水平儀、六分儀、それから距離測定用のメーターなどの道具も必要です。〈観測知識〉には、これらの道具を正確に用いる知識も含まれているものとします。
大雑把な地図でも構わないというのであれば、正式な道具は必要ありません。歩測やロープの長さ、それから太陽の位置や山などを見てだいたいの地図がつくれることができます。もっとも、入り組んだ地形であれば難易度はそれなりに高くなることでしょう。
○建築図面の作製
自分で建物の中を歩いて、だいたいの建築図面をつくる場合には、特に専門的な技能を必要としません。しかし、詳細で正確な図面をつくるためには、建築学(専門:記憶/判断+理数知識)の知識と専門の道具が必要となります。なお、専門知識があれば、道具がなくてもそこそこ詳細な図面をつくることが可能です。
大雑把な図面から隠し通路の場所などを割り出すのは、ほとんど不可能事でしょう。何度も測定を繰り返したり、外観と部屋の間取りを何度も見比べたりしなければ、その存在に気づくことさえありません。疑いをもって調査したり、何らかのきっかけがあった場合だけ、状態観察(一般:判断+観察力)の判定で気づかせても構いません。しかし、それ以外の場合は建築学の知識が必要となります。先頭へ