ルワール植民地
(C)マルティア小州 

基本情報自然・要所人物・集団


 

基本情報


○全体

 C-3、C-4地域がマルティア小州として扱われています。


▼総督
 現在はレオニル=ワイリー辺境伯が植民地政府を統括しています。

▼州都
 ソム川の河口にあるクルメイア市に総督府が置かれています。


○人種・民族

 現地の住民の殆どはアデン人系の黒人で、次に多いのはルワール移民である白人となります。この他に、現地に同化した白人と黒人との混血であるフォリア人も、現在では相当の数にのぼりますが、彼らは双方の人種から疎まれる存在です。
 なお、この付近はラガン帝国の影響を殆ど受けておりませんので、黄人はあまり多くは住んでおりません。また、赤人も奥地の一部で見られるだけで、殆どいないと言ってもよいでしょう。


○歴史

 この地域はラガン帝国の侵略を免れた場所であり、独自の文化を発展させてきましたが、聖歴570年代にルワール大公国の支配下に置かれることになります。


▼C-3
 この一帯は古くからメイオール王国が支配してきた土地です。この地域がエルモア地方と交流を持ったのは聖歴220年代のことで、ラガンおよびソファイアとの衝突を避けた、カーカバート、ロンデニア、東メルレイン連邦国(現ルワール)、アルア=ルピッツ連盟(現ルクレイド)などと交易を行ってきました。
 その後、東メルレイン連邦国がラガン帝国と手を結ぶと、メイオール王国はそれを避けて、ロンデニアやソファイアを中心に交易を行うようになります。また、聖歴450年代に入ると、ソファイアがペルソニアでの力を落としたため、王国は次に台頭してきたエリスファリアとも手を結び、ラガン帝国などの侵略国家に対抗する力を維持しようとします。しかし、聖歴520年代になると、ロンデニアおよびエリスファリアは国内問題からペルソニアでの力を落とし、後ろ楯となる国家を失ってしまいます。そのため、聖歴570年代に侵攻を開始したルワールを退けることが出来ず、ついにメイオール王国はルワールの植民地となるのです。その後、聖歴786年に東部の植民地(C-2)はライヒスデールに奪われますが、この地は現在もルワール領として維持されています。


▼C-4
 この付近はかつてアトルス族、モディラ族、スオグス族、ウーリ族などが治める幾つかの小国が存在していたのですが、民族を異にする北方のメイオール王国に、聖歴181年までに支配されます。その後、聖歴570年代になるとメイオール王国はルワール大公国に征服され、現在もルワールの植民地となっています。


○産物

 この地域ではカカオ、コーヒー、バナナなどの食物のほか、アブラヤシやゴムノキの栽培が盛んに行なわれています。


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自然・要所


○地勢・気候

 海岸部は熱帯性気候で高温多湿となり、年間の平均気温は25度を超えます。内陸の高地は殆どが熱帯性サバンナ気候で、地域によっても異なりますが、だいたい5月〜10月は雨期、11月〜2月は乾期となります。雨期の平均気温は25度ほどになりますが、乾期の頃は30度を超える暑さとなります。


○都市

▼クルメイア市/州都(C-3)
 マルティア小州の州都であり、エスファ川の支流の1つであるソム川の河口に位置します。河川の東側はペルソニア色を残した旧都と呼ばれる町で、メイオール王国の都でもあったことから、遺跡も数多く存在しています。西側は新都と呼ばれるエルモア風の町で、現在も新しい住宅や工場が建設され、少しずつ西へと面積を広げていっています。新旧の都の周辺に広がる下町は、基本はエルモア風の外見でありながら、ペルソニアに受け継がれた暮らしの知恵を取り入れた、両文化を融合した形式の町家が建てられています。


▼フェノバス市(C-4)
 エスファ川がソム川とパゴ・ボビア川の2つに分岐する地点にある、陸海の流通の拠点となる都市です。もともとはフェノバス=ナバス市といい、内陸の交易都市として栄えた場所ですが、3年前の聖歴786年に起こったライヒスデール侵攻の際にC-2地域を失い、川向こうのナバス地区が奪われてしまいました。
 以後、ナバス地区(現ガイリーベルク)にライヒスデール軍がいるため、フェノバス市は軍事上の拠点となり、現在は多くの軍人が駐留しています。駐留軍を支えるための物資は流入しますが、交易の中継都市という面での機能は失われ、多くの商人たちがこの地を離れてゆきました。代わりに、軍関連の仕事を目当てに集まった労働者や傭兵、そして彼らを客とする娼婦たちが町に溢れ、治安は悪化の一途を辿っています。


○要所

▼エスファ川(C-4/C-9)
 メナナ高地からモドラ・サバンナを通って流れる長河川です。この一帯は降水が不安定で、これまで幾度も旱魃が発生した地域であることから、非常に重要な水の供給源となっています。


▼ハーバル・ルオル川(C-2/C-4)
 南部奥地のマヤメヤ山脈を水源とするハーバル川およびルオル川は、森林地帯を抜けてモドラ・サバンナに入る辺りで合流して、ハーバル・ルオル川と呼ばれる大河川となります。この河川水はディズメル湖に注いだ後、東のパグバッティ川と西のフラート川に分かれ、イズマ平野を潤して紺碧海へと抜けてゆきます。


▼クリオ湖(C-4)
 エスファ川流域に存在する大きな湖で、北側は人間の生活圏にあり、南側は野生動物が暮らす湿地帯となっています。この湖は人々の渇きを癒すだけではなく、良い漁場としても利用されてきました。しかし、魚を食料とする大型の動物は人間ばかりではありませんし、水場を求める動物たちを獲物とするワニなども生息しているため、特に南の方では注意を払う必要があります。
 
◇浮島
 岸から離れた湖面には浮島が幾つも出来ています。これは浮草や流れされた植物が積み重なった出来たもので、現地民たちはその影に集まってきた魚を捕らえたり、魚を狙う動物を仕留めて生活の糧としています。また、草イカダと呼ばれる浮草を束ねた舟を用いたり、生け簀をつくって養殖を行なうために水草が使われることもあります。


▼泥の籠塔(C-3)
 ヒナ山の麓には泥でつくられた簡素なつくりの塔が幾つも並んで建てられています。これは鳥を捕らえるために用いられる籠塔と呼ぶもので、外壁に窓となる穴が開いている以外には何もなく、内部も完全に空洞になっています。この周辺には食用にされるマルハシドリという鳥が生息していたのですが、彼らはせり出した岩壁などの下に住みつく習性があり、籠塔の中にも巣をつくるそうです。籠塔をしばらく放置しておけば、マルハシドリが勝手に中に入ってくれるので、あとは穴を塞ぐだけで食料を得ることが出来ます。しかし、エルモア地方の移民が来てからは乱獲がたたって、現在では殆どこの鳥を見かけることがなくなり、籠塔も放置されたままとなっています。外壁を加工していない単なる泥の建物なので、補修しなければやがてこれらは雨で溶けてなくなってしまうでしょう。実際、一部の塔は天井に穴があいており、窓もだいぶ大きく広がってしまっています。


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人物・集団


○反政府組織

▼ナザル仮面騎兵団
 甲竜を駆って植民地軍に奇襲攻撃を仕掛ける神出鬼没の一団で、騎兵たちは獣の仮面を被っています。植民地軍の輸送部隊を襲って入手した武器を装備しており、現地部族の中でも特に厄介な存在としても知られています。


▼虹色族
 砂漠の奥地に住むという陸棲の貝で布を染める部族で、鮮やかな色の布をまとっています。実は彼らは情報伝達の役目を担っており、服の色の組み合わせや重ね方で、反政府活動の参加者たちに情報を伝えています。


○人物

▼レオニル=ワイリー辺境伯(白人/男/54歳)
 軍の士官学校で用兵学を教えていた経験を持つ、軍事方面の才能に優れた領主です。愛用のステッキと特製のシルクハットがトレードマークの、ロマンスグレーの紳士といった風貌で、いかにも厳格で気難しそうな顔つきをしています。射撃の名手でもあり、休暇中はいつも趣味の狩猟に勤しんでおりますが、最近はライヒスデール軍の動向に備えて、州都を離れられないのが不満の種となっています。


▼ディアン=フォッシャー(白人/男/36歳)
 本国から派遣されてきた軍人で、ワイリー伯の士官学校時代の教え子の1人でもあります。血気盛んな若者だった彼も、今は年齢相応の落ち着きを身につけ、冷静な指揮官に成長しています。真面目で実直な性格で、周囲からの信頼も厚い彼ですが、恩師への忠誠心が強過ぎることだけが懸念されています。


▼フェードラ=ボルツ(白人/男/53歳)
 雷鳴判事と呼ばれる治安判事で、いつも眉間に皺を刻んだ体格のよい紳士です。罪を憎み人を愛する彼は、ついつい罪人に説教をせずにはいられず、事務所からはいつも稲妻のごとき怒鳴り声が響き渡ります。豊かなヒゲがトレードマークですが、先頃孫のアマンダに顎ヒゲの半分を切り落とされてしまいました。しかし、まだ幼い孫娘を怒るに怒れず、かといって周囲に八つ当たりをするわけにもゆかず、ついつい苦虫を噛み潰したような顔になり、普段より周囲を恐れさせているようです。


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基本情報自然・要所人物・集団