(E)中部/地域 


 


○地勢・気候

 ペルソニアの中部域は砂漠とそれを取り囲む高地で構成されています。


▼砂漠
 この地域にはペルソニア最大の砂漠地帯であるカナデ砂漠(E-3)が広がっており、その北部にあるティトナ砂漠(E-1)と合わせて、人々の通行を阻んでいます。
 砂漠の入り口付近は土や細かな粘土が見える土砂漠となっており、先へ進むと風紋を織りなす砂の大地へと変わってゆきます。山地に近い辺りは大きな岩が転がる岩石砂漠や、強風に削られて不思議な形となった奇岩地帯が広がっています。
 日照時間が長いため昼間の気温上昇は激しく、夏は40℃を超す地域も珍しくありません。その一方で、夜間は急に気温が低下し、寒暖の差は20℃以上にもなります。冬期は特にその差が激しく、日中の最高気温が30℃以上になるのに対して、地域によっては夜の最低気温が氷点下までさがる場合もあります。


▼高地
 この地の砂漠は標高の高い土地で囲まれています。これらの高地や山地は外部からの水蒸気の流れを遮断するとともに、砂漠に熱を閉じ込めています。
 砂漠に近い場所では、岩砂漠から続く不毛の大地が広がっており、山地の上の方まで岩場で占められることが多いようです。これらの土地は乾燥しているので、水分の蒸散を防ぐための細い葉や、鋭いトゲを身につけた植物などが生えています。
 これに対して、水分が比較的得られやすい高原地帯の場合は、砂漠の近くとは思えない過ごしやすい気候で、動植物の姿も多く見られるようになります。標高1000m以上ともなると、まるで秋のように涼しい温度帯となり、原住民は放牧や農耕によって生活の糧を得ています。


○地図

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○要所

▼ティトナ砂漠(E-1)
 西部の山地に囲まれた一帯にはティトナ砂漠が広がっており、人々の北方からの侵入を防いでいます。
 
◇虹の雨雲
 砂漠に不意にあらわれるという雲で、付近に雨の恵みを与えてくれます。しかし、いつどこで出現するかは全く予想がつきませんし、いつまでも降り止まず一帯を水浸しにし、砂に潜って生活している動物を窒息死させてしまったり、急流の河川を生み出して植物を押し流してしまうこともあるそうです。

◇ナイフ岩
 この砂漠の西側にあるオゴロ密林とは、ズマ山地とそれから南に続く岩山で阻まれています。この山は壁のようにそびえ立つ急斜面で、東西の交通のみならず砂や水蒸気の移動を防いでいます。

◇エメラルド砂漠
 イゴール山地の麓には、砂地の下に粘土層が厚く堆積している場所があります。この一帯に雨が降ったり、高地から流れる雪解け水などの影響で地下の水位が上がると、砂丘がつくる谷の間に幾つもの池が出現します。大きなものは池というより湖と呼ぶにふさわしく、半径が100m以上にも及ぶ水地が生み出されることもあるといいます。また、数は少ないものの、年間を通して水が涸れないオアシスも存在し、周辺に暮らす人々に様々な恵みを与えてくれます。
 伝承によれば、この周辺はかつて密林だったようで、古の昔に生えていた木々の化石が砂の中から見つかることもあります。実際、壁のようにそびえ立つ急な岩山で遮られてはいますが、この地の西方(D-9)にはオゴロ密林が広がっており、フラガ湖沼群には1年を通して豊富な水がたたえらえています。


▼ヤンワナ遺跡(E-1)
 ズマ山地の北麓には、シュパイト=ダハグ氏族同盟の一員であったウロンク族の廃都が存在します。彼らはラガンの侵略を受けた際に、北のワーズ山脈から逃れて来た集団で、優れた石造建築技術を持っていました。
 奥地にある小さな岩山の上に1つの街を形成しているのですが、その下には雨水をたくわえる貯水池と高さ1mほどの水路が整備されており、少し離れた平野部にある耕作地まで水を引いていたようです。また、水道システムには石や砂利を敷き詰めた濾過装置もついていて、縦横無尽にはり巡らされた水路から、樋を使って各家庭にも水が供給されておりました。
 街の一番高い場所には部族の墳墓である石窟神殿が置かれておりますが、現在は荒々しく装飾や壁画が削り取られた石室の中に、壊れた石像の破片が無惨な姿で転がっているだけです。おそらく周辺部族との戦いに破れ、彼らは殺害されるか別の場所に移ったのだと考えられていますが、襲った側がこの街や水路を利用した痕跡は見られないようです。また、今では地下水路の中に危険な野生動物が住み着いているらしく、この周囲に近づく者は殆どいないようです。


▼パダ・オアシス(E-2)
 イゴール山地の南麓付近は、山から流れ込む河川やその伏流湧水によって、広大なオアシス地帯が形成されています。この地域では農業が行なわれており、幾つもの大集落が形成されています。通常、砂漠を東西に抜ける場合には、このオアシスづたいに旅をします。


▼カナデ砂漠/大砂海(E-3)
 ペルソニア大陸で最大の砂漠であり、古より周辺地域の交通を強く阻んできました。この砂漠は遥か広大な海のようにも見えることから、特別に『大砂海』と呼ばれることもあります。非常に面積が広いため、一口に砂漠といっても様々な環境を含んでおり、地域によって特異な変異現象が発生することもあります。
 
◇白銀砂漠
 粒子の大きい石英の粒で覆われた砂漠です。この砂は踏みしめるとキュッキュッと音がすることから、鳴き砂などと呼ばれることがあります。真っ白なシーツを敷き詰めたようなこの明るい砂地は、特に太陽の照り返しがきついため、旅人はそれに備えた装備を整える必要があります。
 この砂漠では時おり不思議な現象が発生するという噂があります。それは鳴き砂が自ら動いて不思議な紋様を描いたり、大きな渦やすり鉢状の穴を穿つといったもので、天地信仰者の伝承で昔から語り継がれています。エルモア地方の人々は単なる風の影響だと考えていますが、天地信仰では砂は死んだ魂であり、それが生命の源となる光を受けて動くというのは不思議な考え方ではありません。また、砂が鳴く音は死者の声だとも考えられており、わざわざこの地に遺体を運んで葬る部族もあるといいます。

◇斑砂漠
 砂漠の中に岩塩がまとまって産出する場所が存在しています。通常、岩塩は産地や地層によって、紫色、黄色、褐色などの様々な色がありますが、この砂漠の場合は同じ場所でも異なる色の岩塩を採ることが出来ます。多様な色彩の塩塊が剥き出しになっている地層は、単調な風景が続く砂漠の中では特に目立ちます。

◇雪砂漠
 古来よりカナデ砂漠の奥地には、冬のような寒さに包まれた奇妙な砂地が存在すると言われています。この一帯に積もった砂は、『冷砂』あるいは『氷砂』と呼ばれる特殊なもので、その名の通り非常に温度が低いのが特徴です。範囲としてはそれほど広いものではなく、ウォール・ラグーン(G-3)の入り口に近い場所に点在しているといいます。なお、信憑性のある話ではありませんが、砂漠の周辺に住む幾つもの部族の間で、雪砂漠は移動するという伝承も残っています。
 雪砂漠にはいつも霧が漂っており、その存在は常に隠されているようです。また、そのさらに外側に砂雲と呼ばれる変異現象が発生することが多く、旅人を迷わせることが度々あるといいます。しかし、霧によって水分が供給されるためか、雪砂漠の近くでオアシスを見つけたという伝承は多く、それで命を助けられたという例も少なくはないようです。

◇鉱泉
 カナデ砂漠西方の奥地には、飲用には適さない毒の泉と呼ばれる水たまりがあるといいます。周辺には限られた種類の動植物しか生育しておらず、近くの砂漠や高地に住む部族もこれを利用することはありません。しかし、彼らはもちろんエルモア地方の人々も知らないことですが、これは周辺の地層に含まれている鉱物が原因であり、将来的に周辺で鉱山開発が行なわれる可能性もあります。


▼リャナル・ポガ遺跡(E-4)
 メノップ川の上流域の斜面には、遥か昔にリャナル・ポガという名の王国が建てられていたのですが、現在は壊れた石造りの建物の痕跡を残すのみとなっています。伝承によれば巨大な漆黒の獣に襲われ、数日のうちに滅びてしまったといわれていますが、その真偽のほどはわかっておりません。
 石塔が立ち並ぶ王宮や方形の神殿跡が残されていますが、これらの周囲は現在では木々で覆われており、一部は水没しているところもあります。また、ここには危険な野生動物も住み着いていることから、周辺に暮らす部族の者たちも訪れることはありません。なお、過去にこの遺跡を訪れたことのある原住民の話によると、どうやら聖獣を信仰していた王国らしく、王宮の壁一面に獣の彫刻が施されていたということです。しかし、めぼしい宝が眠っているということはなく、単なる廃虚となっているそうです。


▼ファンマ高原(E-5)
 山地・高地に取り囲まれている一帯で、最も標高の高い場所では1500m以上にもなります。原住民が住んでいるのは、標高300〜1000mほどの地域が多く、全体に涼しく過ごしやすい気候となります。動植物の姿も多く見られ、原住民は放牧や農耕によって生活の糧を得ています。
 
◇氷の道
 高地のごく一部には霜柱が道のように同じ幅で続いている、非常に不思議な場所があります。確かにその周辺は1年を通じて寒く、霜が降りても不思議ではない気温まで下がることもありますが、この霜柱は常に地面を覆い尽くしています。これには塩分やミネラル分が豊富に含まれているため、そのまま飲むには塩辛く不適当です。しかし、周辺の部族にはこれを料理に溶かしたり、食料保存のために用いる文化があります。また、ミネラルを目当てに集まる動物の姿も見られるため、狩り場としても利用されています。


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