犯罪組織/裏組合

組織仕事その他


 

組織


 裏組合は犯罪者たちの互助組織であり、いわゆる秘密結社といわれるものです。もともとは盗賊たちが自らの身を守り、効率的に仕事を行うための組織だったのですが、縄張りを持ってその中での組合員以外の仕事を厳しく取り締まるようになると、一種の自警団的役割を担うようになってゆきました。また、時には為政者や政治家たちがこれを利用したり、保護料を納めた商人の屋敷からは何も盗まないといった約束事も出来たために、社会からは必要悪と見なされている存在でもあります。裏組合の存在によって守られている平和もあるということを覚えておいて下さい。
 もちろん、地域によってはかなり非道な振る舞いをする裏組合も存在しますが、元来はそういった組織は少数派でしかありませんでした。しかし、一部の先進国家や政情が不安定な場所ではギャングが台頭し、裏組合も以前と同じ様な活動では生き残ることができなくなっています。そのため、現在ではかなり強引で凶悪な犯罪を行うようになったり、ギャングとの抗争に一般市民を巻き込むといった事例も見られるようになりました。かといって、行政当局が裏組合を壊滅させてしまうと、外部からギャングが入り込んで今以上に治安を悪化させることも予測されるため、為政者たちはその対策に非常に頭を痛めています。


○名称

 〜一家のように長の姓で呼ぶことはなく、闇梟などといった組織名をつけることが多いようです。これは長が世襲制で決まるわけでなく、なおかつそれなりの歴史を持った組織であるためです。


○上納金

 組合員が縄張り内で仕事を行った場合は、利益の何割かの仕事料が要求されます。ですが、その代償として様々な便宜をはかってもらうことができます。たとえば、組合では盗みの技術の講習を行なっており、鍵開けや忍び込みの技術を指導してもらうことができます。


○組織構成

 組織は長と幹部、そして下部構成員によって成り立っています。大きな組織は支部を持ち、支部単位で様々な活動を行っています。なお、組織の規模が大きい場合は、幹部などの限られた存在だけにしか本部の場所を明かさないこともあります。小さな組織の場合でも、入って間もない組合員には本部の位置はもちろん、他の組合員の名前を教えないなど、簡単に組織が崩壊しないための対策を取るのが普通です。


▼内部構成
 内部構成は組織によっても異なりますが、だいたいは2つのタイプに分かれます。
 1つは組織が部門をきちんと分け、それに所属する組合員がチームを組んで仕事をするタイプで、まるで会社や行政機関の会社のような役割分担を行います。こういった組織の場合、支部は折衝役として仕事を請け合い、それを支部で処理できるようならばそのまま仕事を行い、そうでない場合は本部に連絡して、それに見合った技術を持つ人間を手配するような作業方式を採ります。下部組合員の技術指導なども、部門単位で教育係を決めて学校に似た形式で育成を行います。
 もう1つは、1人の幹部が様々なタイプの組合員を抱えて、仕事の内容に応じて役割を分担させるやり方です。大きな仕事を行う場合は本部とも連絡を取りますが、作戦を立案するのは幹部であり、本部がそれに口を出すことは殆どありません。人員育成に関しても、師匠と弟子といった形で技術指導を行います。
 もちろん、こういった役割分担は大仕事をする時だけで、そうでない場合は個人が独自に犯罪を行い、収入に応じて組織に上納金を納めます。逆に、組織が外部から依頼を斡旋した時は、仕事を行った組合員に利益を分配することになります。


○勢力

 裏組合の規模はさまざまで、国家間に跨って活動する組織も稀にありますが、多くのものは他の職業組合と同様に都市や地域単位での組織です。ですから、彼らの影響力は広範囲には及ばないのが普通です。


○建物

 裏組合は秘密結社ですから目立つ場所にはなく、ほとんどは裏通りに隠されています。酒場や商店、あるいは普通の町屋に偽装されていることが多いのですが、盗賊たちはこれを一目で見分けることができるようです。見張りがいたり、外の構造からだいたい分かるのだそうですが、一般の人にはまったく区別がつきません。
 建物の中には情報屋、盗品の故買屋や鑑定屋、盗みの技術や術法を教えるための教室などがあります。奥には組合長の執務室や組合の上層部が使う会議室などがあり、様々な場所に脱出口が用意されています。


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仕事


 組織には幾つかの系統があり、それぞれ得意とするところが違うものです。しかし、ある程度の大きさの組織であれば、分野によって力の入れ方は違うものの、全てを一通り行うのが一般的となっています。もちろん、規模によってはその分野の技術者がいない場合もありますし、1種類の仕事だけを専門的に行う組織もないわけではありません。


▼窃盗
 裏組合はスリや夜盗として盗みを行い、盗品を闇市場で売りさばいて利益を得ます。古くは山賊や強盗といった集団や、個人犯罪者たちが寄り集まって警察に対抗していた緩い連帯組織が、有力なリーダーを中心に組織を結成したのがはじまりです。盗品を売りさばく前にはきちんとした鑑定も行っており、それなりの目利きが担当しています。
 盗品の売買には様々なルートがあり、組織によっても取り引き方法は異なります。たとえば、一般の商店を装った故買屋で売り買いされる場合もあれば、裏のルートを通じてオークションに出品されたり、取引先の注文に応じて支部や本部から取り寄せることもあります。いずれにせよ、一般の人々ではコンタクトを取ること自体が難しく、組合員を通じて紹介してもらわなければなりません。
 盗品は売値の1/3以下の価格で買い取って、その倍以上で売りに出すのが普通です。ただし、これは組合員が相手の場合に限られ、一般人を相手にする時はなるべく安く買いたたこうとしますし、常識では考えられないような高値で売りつけようとすることもあります。


▼情報収集
 集めた情報を売りさばく諜報機関として機能しており、乞食や情報屋などと協力して情報を売買します。これから派生して、民間の諜報機関として専門に活動したり、貴族や政治家の子飼いとなって働くようになった人々も存在します。彼らは警察の動きや流通などに関する情報も押さえており、逃がし屋を請け負ったり、あるいは先物買いを行っている業者に情報を売り渡したりもします。


▼賭博
 非合法な賭博場を経営し、手数料の徴収や賭け金によって利益を得ます。あまりにも勝ち過ぎた客に対して、組織的にイカサマを仕掛ける場合もあり、それ専門に訓練を受けた組合員も存在します。しかし、イカサマは損をしないための調整方法でしかなく、少なくとも常連客に仕掛けるような真似はしないようです。その点はギャングたちの経営する賭場とは異なります。


▼斡旋組織
 裏稼業やそれに関連する仕事の斡旋、あるいは人材の確保を行います。組織によっては人身売買を行うこともあり、その関連で金融業者や売春宿、あるいは農場主や鉱山所有者などと繋がりがあったりします。裏組合の場合はギャングほどこの分野に手を出しておらず、あまり強引な手法で人を集めることもしなかったのですが、人口が増加するにつれてこういった仕事に力を入れる組織も増えてきたようです。


▼縄張りの管理
 闇市場や露店商の調停から始まり、後に縄張り全域の保護と管理を行うようになりました。保護というのは、外部の犯罪組織の圧力を退けることであり、また、裏組合の標的から外すという意味でもあります。もちろん、そのためには保護料を支払わなければなりません。


▼偽造
 証明書や紙幣、あるいは美術品の贋作などを作成します。なお、技術者として裏組合に属している者はどこか職人気質があって、偽造を見破られることは恥と考える傾向があります。そのため、だいたいの組織では偽造品の質はかなり高いようです。
 
◇書類
 仕事の割合として圧倒的に多いのは各種証明書の偽造で、その他の物品の偽造を行うことは少ないようです。なお、裏組合は地元に根付いた組織であることから、行政との関係を特に悪くすることを避けたいようで、貨幣や紙幣の偽造を行うことは滅多にありません。これらは大多数は流れ者や少数の犯罪者集団が勝手に行う犯罪となります。

◇美術品・宝飾品
 宝飾品のイミーテーションや美術品の贋作などを作成・販売します。闇のオークションで、このような品々が売買されることがあります。


▼逃がし屋
 裏組合は逃がし屋としての仕事も請け負っており、メンバーを警察の追跡から逃がしたり、あるいは組合に属さない者でも金額次第では逃走を手伝うこともあります。とはいえ、よほどの理由がなければ、縄張りを荒らした者を助けることはありません。


○禁忌

 裏組合は基本的に暗殺と強盗は好みません。これも一般社会と折り合いをつけるための線引きであり、多くの裏組合では血を流すやり方を禁じています。同様の理由で、麻薬に手を出すこともほとんどありません。
 しかし、それは一般の人間を相手にした場合の話であり、犯罪者同士の抗争では暗殺を行いますし、身内への制裁でも躊躇したりはしません。なお、暗殺を主流としていた組織は古くに暗殺ギルドとして分化してしまっています。


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 裏組合に加入するには金銭を支払うだけでなく、掟を無条件で受け入れる覚悟がなければなりません。下部構成員は上層部には服従しなければなりませんし、勝手に組織を脱退することは許されません。また、仕事上でのミスも含めて組織の信用を失墜させるような行動や、組織への背信行為も厳しく取り締まられます。他にも、特別な理由もなく斡旋された仕事を断ったり、上納金を滞納するようなことがあれば、様々なペナルティを科されることとなります。


○私刑

 掟を破った構成員に対しては罰が与えられます。ちょっとしたミスであれば、注意あるいは罰金程度で済ませることができます。しかし、子分同士の反目や内部抗争、あるいは仕事での許されないような大失態など、組織の維持を妨げるような行為に対しては、見せしめ的な私刑を加えることで組織の規律を保とうとします。犯罪者組織というのは、1人のミスや裏切りが命取りになりかねませんので、一般社会よりも組織内の規律には厳しいものなのです。
 掟とはいっても成文化されたものではありませんので、私刑の内容はそれぞれの幹部に任されています。本部にまで影響を与えるような事態になった場合は、本部に対して詫び料を納めたり、あるいは縄張りを縮小されるといった措置を受けることになりますが、本部が構成員の処置を決定することは滅多にありません。


○暴行

 私刑は単純に暴行を加えることもあれば、顔に一生残る傷をつけられたり、あるいは近親者に暴行を加えることもあります。時には死をもって償わせる場合もありますが、よほどのことがなければ体の一部を失う程度の罰にとどまります。


○謹慎

 他団体の構成員ともめ事を起こしたり、保護すべき対象に損害を与えるなどの問題を起こした場合は、一定期間だけ縄張りから追放したり、一切の仕事を禁じるなどの措置がとられます。これはミスはしたが組織に背く意思がない時の処分であり、対外的にけじめをつけるという意味も含まれています。短い場合は1〜3か月程度となりますが、長ければ1〜2年は謹慎しなければなりません。


○除名

 組織からの完全な追放です。長や幹部の顔に泥を塗ったり、組織への造反を行った場合にとられる措置で、これには幾つかの程度があります。除名は謹慎とは異なり、かなりの期間を経なければ組織からの許しを得ることはできません。


▼一時的除名
 期限つきでの除名であり、その期間は縄張りへの立ち入りを一切許されません。しかし、他の組織での受け入れまで禁じるものではありませんし、外部であれば組織の構成員と接触しても問題とはなりません。


▼組織からの除名
 その組織から完全に除名されてしまいます。他の組織に属して仕事をすることはできますが、その場合でも元所属していた組織と接触することは許されません。また、元の組織と敵対することになれば、真っ先に狙われる立場となります。


▼裏社会からの除名
 裏社会からの除名を言い渡された場合は、他の裏組合にも連絡が届き、裏組合の一員としては二度と活動できないことになります。時には仕事をできないように視力や指を奪われた後に放逐されるといった、非常に残酷な処置がなされることがあります。


○死

 組織や裏社会に対して重大な裏切りを働いた場合は、死をもって罪を償わせることもあります。組織を勝手に脱退したり、金を持ち逃げするなどの行為に対して行われることが多いようで、逃亡した場合は他の裏組合にも通知がなされ、多くの場合は懸賞金がかけられることになります。たとえ縄張りの外に逃げたとしても元の組織に連絡が届きますし、違う組織の構成員から命を狙われることもあります。


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その他


○除籍

 除籍は除名とは異なり、自らの申し出によって組織から脱退することです。これには組織の承認を得ることはもちろんですが、他の裏組合にも引退することを通知し、あらゆる犯罪行為から手を引くことを誓わなければなりません。
 除籍するには老齢による引退や、堅気の仕事につくといった理由がありますが、長や幹部の承認がなければ脱退は許されません。通常、仕事が困難な年齢になったと判断された場合は、人材育成の役職に回したり、組織が経営する店舗の管理を任せたりすることが多いようです。いずれにせよ、組織に長年貢献した人物に対しては敬意を払い、それなりの待遇がなされるのが普通です。
 しかし、それらを断ってでも除籍したいと申し出た場合は、それなりの代償を要求されることになります。それは金銭やその他の奉仕であったり、縄張り外への退去であったりします。時には目や指といった体の一部であることもありますが、それはどちらかといえば希有な例となります。
 除籍した後は、たとえどれだけの地位にあった人物であろうと、組織の助けは一切得られません。また、犯罪を犯すことはもとより、誰かに技を手ほどきをしたり、組織の情報を漏らすことも許されません。むしろ、組織の内部事情を知る者として警戒され、もし逮捕されるようなことがあれば、秘密を暴露されるのを防ぐために殺害される場合もあるのです。


○他組織との関係

 裏組合同士では横の繋がりがあり、互いの縄張りを侵犯しないような協定を結んでいます。また、組織同士の合意があれば、情報を売買したり協力して仕事を行う場合もあります。たとえば密輸などの犯罪では輸送先の裏組合に手引きを頼んだり、1つの組織が盗みを分担して別の組織が盗品を売りさばくといった協力体制を敷くことがあります。このような手段を取った方が警察の動きも掴みやすくなりますし、ルートの特定も困難となるのです。
 しかし、これは相手が古くからある裏組合である場合に限られ、ギャングなどの新興の犯罪組織や流れ者には通用しません。縄張りを失うことは彼らにとっては死活問題となりますし、自分の縄張りで他の犯罪者をのさばらせておくことは、他の組合組織に対して弱みを見せることにもなります。もし彼らによって縄張りを荒らされた場合は、組織の総力を挙げてそれに対抗します。


○盗賊語

 盗賊語は殆どの全ての国家で共通となる、裏社会独特の言語です。これを覚えていなければモグリと見なされ、仕事の上で全く信用されなくなってしまいます。
 盗賊語は裏組合に属する者だけでなく、その周辺で活動する乞食や都市浮浪児、あるいは協力者などが習得している場合もあります。しかし、一般社会の人々にこれを漏らすことは決して許されませんし、もしそのような事態が生じた場合は、裏社会全体で徹底的に調べ上げて犯人を特定し、総力を挙げて捕らえようとするでしょう。
 もちろん、これだけ幅広く使用されている暗号ですから、組織が何の対策もとっていないわけではありません。万一に備えて他の暗号を併用することもありますし、多くの組織では重要な帳簿や計画書は全く独自の暗号で記しています。


○身代わり

 下部構成員が組織維持のために長や幹部の身代わりとなって刑に服する場合があります。身代わりになった場合、服役中や出所後の処遇や構成員の身内の生活などの全てにおいて、組織が全面的に面倒を見ることになります。


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組織仕事その他