概要
エルモア最東部に広大な領土を持つ帝国で、貴族領主制度が敷かれています。国家の支配者となるのは皇帝ハルネス2世を頂点とする貴族たちであり、非常に強い権限を有しています。帝国を構成する主要民族はスレイラール人とキタン人で、双方で約80%の人口を占めています。
現在の国内での最大の問題は、新大陸エスティリオへの参入や余剰穀物の輸出を目的とした、ルワール大公国への進出についてです。この国は海に面していないわけではありませんが、北部は年間を通じて流氷に閉ざされており、南部は変異植物帯と山脈によって阻まれていることから、港らしい港をもっていないのです。このため野心的なハルネス2世によって、南方政策と呼ばれる大規模な侵攻が計画されており、今秋にもライヒスデールおよびフレイディオンとの軍事同盟が締結される予定です。
政治:全体/貴族議会/民意は反映されにくい
:地方/領邦国家/領主貴族の支配
代表:皇帝/強大な権力を持つ
貴族:支配階級/領主貴族/諸特権を持つ
騎士:存在/軍人
軍隊:全体/帝国軍/地方軍を統括
:地方/領主貴族が統括
警察:全体/国家が統括/通常形態
:地方/領主貴族が統括/国家の干渉は薄い
司法:全体/国家が統括/行政の下部機関
:地方/領主貴族が統括/国家の干渉は薄い
宗教:聖母教会/低〜中
教育:低〜中
科学:中
術法:低〜中
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基本情報
エルモア最東部に広大な領土を持つ帝国で、貴族領主制度が敷かれています。国家の支配者となるのは貴族たちであり、非常に強い権限を有しています。帝国を構成する主要民族はスレイラール人とキタン人で、双方で約80%の人口を占めています。
▼国号
正式名称はカイテイン帝国となり、皇帝が頂点に立つ存在です。▼国旗
地の部分は赤、白、赤で横に三分割されており、白地の部分の中央に王家の紋章が描かれています。紋章は楯とその前で斜めに交差した二本の剣、そして背中合わせになった2匹の白い狼を意匠化したものです。▼統治
国家君主は皇帝となり、現在はハルネス2世(男/48歳)がその地位に就いております。皇帝の権限は非常に強く設定されておりますが、皇帝自身も法に拘束される身であることから、無制限の専制が許されるわけではありません。▼貴族
支配階級であり、非常に強い権限を持っています。領主貴族は1つの自治体を統括する存在であり、一軍の将としても活動します。無領地貴族には官僚として働くものと、騎士として領主貴族に仕えるものがいます。▼首都
ネルイール。カイテイン最大の都市です。街の中央には皇帝の住むアイデルハウト宮殿があり、その前の広場には大帝カイラスの銅像が立っています。
○現況
野心的な現皇帝ハルネス2世は、海へ出るための港を得る目的でルワール大公国との交戦を準備中です。眠れる大国カイテインの南方政策は各国の恐れるところであり、いざ実行された際には、おそらく各国が阻止をはかることは必至となるでしょう。
一方、工業資本家が徐々に台頭してくるにつれて、下層の国民(小作農民や都市工業労働者)の不満がつのりつつあります。その不満に、交戦前の特務労役や徴兵制が拍車をかけているようです。
○民族
▼スレイラール人(白人/西方民族)
エルモア地方の南部に由来する民族で、聖母教会の聖職者に導かれてこの地にやって来たと考えられています。プラチナブロンドの髪に碧眼の白人で、背はそれほど高くありません。北西部に多く居住しており、国家人口の35%ほどを占めています。▼キタン人(白人/東方騎馬民族)
古くからカイテイン地方に住んでいた民族で、黒髪に黒い瞳の白人です。主に東南部に多く住んでおり、国家人口の約45%ほどを占めています。▼エルミターン人(白人)
もともとはアイル山脈の麓付近に住んでいた民族です。背が高いのが特徴の、栗毛で茶色の瞳をした白人です。全人口の10%ほどを占めており、エルミターン単独による領邦国家も幾つか存在します。この他には遊牧民族として暮らしていることが多く、国内各地に点在しているようです。歴史的経緯から他の民族とは仲が悪く、遊牧生活を行っている者たちは差別されることもあります。▼その他
ペトラーシャとの国境付近には、マイリール人などその他の民族が多く住む地域があります。ただし、これら諸民族を合わせても、全国民に対しての割合は10%以下となります。
○宗教
西方人民の多くは聖母教会を信仰しています。これは西部の都市フィスホーンに、中央教会である『夜の聖ファナ』教会が存在するためです。ただし、現皇帝ハルネス2世の祖父にあたるハルネス1世より3代は、聖母教会の霊子機関の導入に反対する意見を疎み、その地位を低いものとしています。そしてここ50年の間に、その影響力は皇帝や貴族たちによって弱められ、国政への発言力もほぼないものとされてしまいました。
○科学・教育
教育水準は低く、農民層では文字の読み書きが出来ない者も多くいます。しかし、近年では他国に追いつくために幾つかの改革を行っており、盛んに最新技術の導入を試みています。
○産物
▼農産物
寒麦、ライ麦、小麦、燕麦、ジャガイモ、雪ジャガイモ、テンサイ、ブドウ▼鉱産物
鉄、金、銀、銅、石炭、亜鉛、りん鉱石、霊石、硫黄▼その他
木材(主にラディオラ杉)、家具、マッチ、カリウス(蒸留酒)、ワイン
○交易
外海とは通じていないので、海洋貿易は行われておりません。また、隣接国家とは潜在的な問題を抱えているため、国家の規模から考えると陸上交易も非常にわずかなものとなります。しかし、帝国では河川の結氷や降雪によって輸送手段が冬季には絶えるために、古くから最低限の自給自足体制を整えている領邦国家が多いため、交易の少なさ自体はさほど問題にはなりません。
○交通
他国と同様に主な交通手段は馬車であり、鉄道も山間部などで資材運搬用に使用される程度となります。広大な国土を連絡するために、大規模な鉄道敷設計画を推奨する政治派閥がありますが、南方政策と両立する予算はないため、自動的に主戦論者に敵対する状態となっているようです。なお、皇帝はルワール大公国との戦いを終えた後に、海への道を繋ぐ縦断鉄道の建設と、工業化を進めるための学校建設を行なうつもりでいるようです。
○亜人
▼ハーフリング
エトワルト地方の一部地域に存在する民族で、人間の半分ほどの背丈しかない亜人種です。草原に点在するように集落が置かれています。
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国土
○概要
エルモア地方では最大の面積をほこる国家で、北低南高の国土をもっています。南方には変異現象によって現れた、エトワルト海とよばれる世界最大の湖があります。東方は凍土結界とも呼ばれる東方山岳地帯に面しており、まともな方法ではこれを越えることはできません。国土の半分近くは変異現象や自然条件のために利用できず、見た目よりは遙かに人口が少ないのが特徴です。
この国は港らしい港をもっておりません。海に面していないわけではありませんが、北部は年間を通じて流氷に閉ざされており、南部はエトワルト海周辺の変異植物帯と山脈によって阻まれているため、海への道を持たないのです。
▼北西部
最北部は流氷海域と呼ばれる海に面しており、流氷が移動したためしはありません。この付近は冷帯に属しており、半年は冬が続くという気候の厳しい地域です。局所的には亜寒帯に近い条件も見られます。最北の地では夏の平均気温も10℃中頃にしかなりません。それより少し以南からは短い夏と長い冬をもつ低温多湿の気候で、おもに針葉樹林や混合樹林に囲まれています。夏の気温は10℃後半〜20℃くらいにとどまり、冬の最低気温は平均で−10℃ほどになります。これらの地方では、寒麦などの麦類と雪ジャガイモが栽培される他は、特に目だった農産物はありません。それに比べて鉱産物は豊富で、特に鉄山が北西部のベルストパレス山脈南部に集中して存在します。
▼南東部
エトワルト海北岸の緯度までは温暖で、冬期でも気温は5℃程度あります。この付近は乾燥地帯で、これより以北は冷帯の気候となります。この地域には平原が広がっており、麦類の生産とともに、名馬の産地として知られています。アイル山脈の麓には高原が広がり、適度な湿度と山地から流れる澄んだ水によって、良質なワインが作られています。また、この付近では林檎や桃の畑が見られ、そこから南へ向かうとタバコ農場などが広がるようになります。
○地図
○要所
▼流氷海域
北方に広がる年間を通じて流氷に閉ざされた海で、流氷の上にはアザラシがたくさん生息しています。
▼ベルストパレス山脈
最北に存在する山脈で、種々の鉱石が多量に採掘されます。麓には鉱産業を主要産業とする街が幾つも存在します。山麓最大の都市ミルメルヴァと南のフィスフォーンを結ぶ街道はシルバーロードと呼ばれています。ここには鉱石の小さな欠片が落ちており、それが陽の光を浴びてキラキラと輝いていることから、このように名付けられました。
▼クレイヴ山脈
1年を通じて雪が消えることのない山脈で、渓谷が多いのが特徴です。山脈に沿って幾つか巨大な断層が見られる場所もあり、大きく回り込まなければ向こう側にたどり着くことは出来ません。麓には温泉街があり、観光地としても有名です。
▼アイル山脈
南北800km以上にも渡る大山脈で、最高峰は6000mを越えると言われています。この付近で採れる良質のラディオラ杉は、家具や建材として幅広く利用されています。山脈以北の地域には殆ど人が住んでおらず、かつて戦いから逃れた人々の集落が存在するだけです。
▼エトワルト海
そのあまりの大きさから海と呼ばれていますが、実際は淡水湖です。この付近は個体進化と呼ばれる変異現象が起こるため、人々は決して近づこうとはしません。そのため、現在でも詳しい調査は行われておらず、実体は全く不明のままです。
▼東方山岳地帯
カイテインと東方との交通を阻む山岳地帯で、凶暴な変異体の数も多く、人々が殆ど足を踏み入れない地域です。7000mを越える山々が連なる場所もあります。
▼金影湾
北部のドノヴォーリア地方にある湾で、冬になると氷の下を金色の化け物が泳ぐという伝説があります。実際、冬期に流氷の下が金色に輝いて見える時があります。
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変異現象
カイテインにおける変異の激しい地区は、東方山岳地帯とエトワルト海周辺です。
○水晶鏡
山岳地帯周辺での激しい変異は、この地が凍土結界と呼ばれる原因をつくった、水晶鏡とも呼ばれる永久氷壁です。高さ数百mもある水晶の柱を核として、氷の壁が鏡面のごとく完全な平面をつくりあげているのです。この壁はカイテインの東面を完全に覆っており、東方との交通をかたく拒んでいます。また、周辺には凶暴な変異体が数多く棲息しておりますし、氷壁の向こう側には竜が多数徘徊しているため、壁を抜けることができても東方にたどり着くことはまず不可能でしょう。
○エトワルト海
エトワルト海の変異は生物の変異です。ここに住む生物はその生涯において個体進化を繰り返し、1秒ごとに変異を起こして存在自体を違うものに変えてゆきます。原因は湖水にあるようで、周囲の植物の変異も恐ろしいものです。場所によっては湖面が七色にあやしく輝いているともいいます。
この地域は怪物も頻繁に出現することから、人々は決して近づこうとはしません。数年前に1度だけ調査団が組織されましたが、生還したのは1人だけで、その彼も精神崩壊を起こしていました。しかし、彼が持ち帰った荷物の中に、たった1つ未知の機械が含まれていたことから、ここには旧文明の未踏の遺跡があると考えられています。これに対して、軍部は何らかの計画をたてているようです。
○その他
▼白土地帯
アイル山脈の南の麓にある一帯には、年間を通じて土壌が氷結している地域があります。これは変異現象のためですが、人々は自然現象の一種だと考えており、穴を掘って夏期の野菜の保存などに役立てています。
▼石像洞窟
エトワルト海の南にある山岳地帯の麓には、人の形をした石柱が林立する大きな洞窟が存在します。しかし、もともと人々はこの付近には近づかないため、存在そのものが知られておりません。
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文化・生活
広大な国土を持つカイテインでは、地域によって様々な文化が存在します。しかし、大きくは民族ごとに区分することが可能で、地域的には北西と南東で分かれることになります。住人の性格も多少違っていて、キタン人が多く住む東にゆくにつれ閉鎖的で気難しい人が増えてゆきます。これは東に農村地帯が広がっていることと、東方との交通がないという理由から閉鎖的な気質になるためです。
○北西部
▼冬
この地方の冬は厳しく、そのほとんどを屋内で過ごします。人々はこの時期を冬ごもりといい、地方の農村などでは春までそのまま家の中で暮らす人もいます。そのため、秋には冬ごもりの準備で忙しくなり、最も活気のある季節となるようです。彼らは冬ごもりの間、乾燥食料をはじめとする保存食を食べて生活します。また、雪の中に野菜や薪を保存しておく習慣もあり、必要になれば外に出てこれを掘り出します。
▼住居
北部では寒さを防ぐために北側の壁を特に暑くして、窓も最小限のものしか取り付けない習慣があります。そのため、夏は南向きの部屋の方が涼しいという逆転現象が起こります。
▼食事
寒い土地柄ゆえに住人は非常に酒好きで、カリウスというアルコール度の高い蒸留酒を好んで飲みます。主食は黒パンやショウガパンなどで、おかずにはシチューや蒸しものなど暖かいものを好んで食べられています。
北部ではクルレットというパンがよく食べられます。これは冬でも野外に出て狩りをする人が、寒い中でも片手で簡単に食べられるように工夫した食べ物で、ソーセージのまわりにパン生地をねじるように巻いて、それを串にさして炭火で焼くというものです。
▼衣服
冬の寒い季節を過ごすために毛糸のセーターは必須であり、上着には毛皮を欠かすことは出来ません。そのほか、狩りをするなど冬にも外出する必要がある人は、雪の反射光から目を守るために真ん中に細長い切れ目を入れた木製の斜光帯をつけたり、靴の裏に滑り止めの毛皮をつけるなどの対策をしています。
▼移動
冬季には大量の雪が降り積もるこの地方では、犬ゾリによる移動が古くから行われています。また、カンジキに似た物やスキー板状の雪上歩行器も利用されています。
▼アザラシ漁
流氷海域に面する地域では、獣脂や毛皮を目的とするアザラシ漁が行われています。漁を行う場合は氷上ソリに乗って狩り場までゆき、帆状の白い覆いが付いた小型ソリで身を隠しながら、ゆっくり時間をかけて獲物に近づきます。
住む場所を移動しながら狩りを行っている人々は、移動用に簡易組立式の木材住宅を用いています。これは釘をいっさい使わずに楔で木材を止める小さな住居で、1人でも組み立てと解体が簡単に行えるようになっています。
▼家具
北西部では冬の退屈な時をともに過ごす家具に対してこだわりを持っており、先祖代々つたえられてきた家具を非常に大切にしています。特にラディオラ杉製の丈夫で美しい木目の家具は他国でも人気の的で、数多く輸出されています。この国では、娘が嫁ぐ時は必ず家具を1つ持参する習慣があります。
○南東部
南東部の気候は温暖で、小麦や果樹を中心とした農業が行われています。農民の生活は規則正しく、睡眠時間を長く取るようです。大家族が多く、それぞれ助け合って生活しており、親戚同士も近い場所に家を建てる傾向があります。
▼馬
この付近に住むキタン人はもともと騎馬民族で、馬とともに生活を送ってきました。北部ではいまだ遊牧生活を営む人々もおりますし、遊牧をやめた部族の間でもその伝統は息づいています。老人でも馬に乗って移動するのが普通で、元気に馬上競技に興じる人もいます。一部の村は名馬の産地として知られており、海外に売られてゆくこともあります。
▼紅茶
一部の地域では茶葉の生産が盛んで、生活にはお茶が欠かせない存在です。売り物にならなかったお茶は、うがい薬や脱臭剤、あるいは染め物などに利用されています。
▼ブドウ
アイル山脈の麓ではブドウが栽培されており、ワインなど酒類の名産地となっています。また、ブドウから作られるチュチェと呼ばれるウォッカもありますし、干しぶどうも冬季の保存食として好まれており、主に国内北部へと出荷されてゆきます。
▼人形
騎馬民族の伝統では、お守り代わりに生まれた子供に木彫りの人形を渡します。これは魔よけでもあり、自らに降りかかる災厄をかわりに受け取ってくれると言われています。このお守り用の人形のことを揺りぼっこ人形といい、下面が丸く重心が下にあるため、揺らしても自動的に起きあがって来ます。
この他、指人形やマリオネットによる人形劇を生業とする遊芸の民も存在し、主に南部を中心に放浪しながら劇を見せています。また、南部には人形劇専用の劇場を持つ街も存在します。
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人物・集団
○集団
▼孤高の鷲組合
アザラシ漁師たちの組合で、組合員の船は鷲を意匠化した旗を掲げています。▼グラムサイト村
エトワルト海付近にある悪魔崇拝者たちの村です。かつての大魔戦争を引き起こした貴族の末裔が隠れ住んでいます。グラムサイトという悪魔を崇めているようです。▼ハイエット族
主に東南部を放浪している遊牧民です。美しい絨毯をつくることで知られています。▼帝国地理協会
帝国内の正確な地図を作製するためにつくられた団体で、帝国が出資を行っています。民間人を雇って、北部の開拓地や未踏の山岳地帯のみならず、危険地帯にも足を踏み入れることがあります。▼東方人形劇団
東南部のみならず、帝国全土を渡り歩く有名な人形劇団です。特に機巧人形を用いた見せ物の評判が高く、子供だけでなく大人たちにも人気があります。▼ポールステン自転車旅団
エリーディア地方(南東部)のポールステン自転車会社が、自社製品の宣伝を行うために企画した自転車旅行団で、フィスフォーン市の『夜の聖ファナ』教会を目指して、国家を横断する計画となっています。当初は応募者の中から健脚を選んで、のぼりをつけた20名の団体による派手な宣伝旅行を計画していたのですが、結局のところ無謀な挑戦者は3名しか現われず、社員2名を加えた計5名での旅行となりました。出発したのはつい3日前のことになりますが、早くも事件に巻き込まれたようで、参加者からは先行きが不安視されています。
○人物
▼ハルネス2世(男/48歳)
聖歴778年に死去した父ジュミール3世の跡を継いで即位した現皇帝です。首都ネルイールの中央にあるアイデルハウト宮殿に居を構え、皇帝府の人員とともに日々精力的に公務をこなしています。▼ラファエーリュ=ミラルファ(男/24歳)
探検家で、エトワルト海への探索を予定しています。一緒に旅に出る仲間をつのっているのですが、現在のところは誰も集まっていないようです。勇気と無謀を取り違えているような部分があり、実現不可能と思われることを平気で口にします。▼フランチェスカ(女/18歳)
悪魔をみごもりし少女。グラムサイト村の巫女であり、暗黒の予言を悪魔から授かる役目を負っています。昨年、父親もいないのに子供を身ごもったことから、黒き母と呼ばれ崇められるようになりました。お腹の子供は順調に育っており、あと半年もすればこの世に生を受けることとなるでしょう。▼シレーヌ=サイエルト(女/27歳)
もとは娼婦だったのですが後に信仰に目覚め、現在はレオグライド市の教会に務めています。彼女の過去を知る者は「不浄なる乙女」といって彼女を揶揄しますが、彼女自身はそれを罰だと考え、甘んじて受けとめています。▼アトレイア=ファーネル子爵(男/42歳)
チェムルトン地方に領地を持つ貴族であり、ファーネル家の当主です。非常に嫉妬深い性格で、弟と妻の関係を疑って、妻を塔に幽閉してしまったほどです。姿をくらました弟の行方を探していますが、未だにその消息は不明のようです。▼シーゼル=ファーネル子爵婦人(女/31歳)
アトレイアの妻で、盲目の貴婦人です。義弟アスラーンとの不義の濡れ衣を着せられ、夫に目を抉られ塔に閉じ込められています。▼アスラーン=ファーネル男爵(男/34歳)
優秀すぎたために兄アトレイアに疎まれた弟で、それが領地の乱れとなることを恐れて出奔しました。しかし、義姉シーゼルが塔に閉じ込められたことを知り、再び領地に戻ってきたとの噂があります。
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開拓
カイテインの歴史は開拓とともにあるといってもよく、現在ある北部の都市や農地の全てはもともと原野、荒野、湿地、森林だった場所です。
カイテインの広大の国土のうち、実際に利用されているのは半分程度であり、このうち変異現象の影響で利用できない地域を除いても、人間の手の入ってない土地はまだ沢山存在します。これらの土地では、現在も帝国自治領を中心に開拓作業が行われておりますし、原野を含む領邦国家でも頻繁に試みられています。農業や林業のみならず、工場設置や鉱山開発など広範な開発が行われており、国外の資本家がこれらに投資を行う場合もあります。
▼帝国自治領
準州として扱われる帝国自治領は、自治権を与えられた地方都市とその周辺領域を指すもので、帝国全体の領土として扱われます。これらはその殆どが辺境開拓の目的で設置されたもので、自治都市では土地開拓に関して幾つかの免税が行われています。
▼交通
広大な領土を持つカイテインでは、物資の輸送や中央政府からの連絡が何より問題となります。現皇帝の祖父にあたるハルネス1世は霊子機関の導入を行ったことで知られておりますが、国内の道路・運河の建設を積極的に推進したことでも有名です。これは辺境開拓を見越して行ったもので、その晩年には貨物鉄道も敷設されるようになりました。また、ルワール大公国経由でロンデニアの穿孔機を導入し、トンネルの掘削なども行っております。これらの施設は現在も利用されており、開拓および国家統治に非常に役立っています。
○優遇制度
▼都市建設
新たに都市を建設するために、資金や住宅を支給して移住者を募る場合があります。なお、以前にはバラック程度の家しか建てなかったり、支給金が途中でうち切られるなどの仕打ちを受けて、領民が反乱を起こした地域も存在しました。そのため、帝国自治領での都市建設に際しては、定住用住宅を建てるよう法律で定められています。
▼免税
自治都市では土地開拓に関して幾つかの免税が行われています。また、領邦国家でも開拓申請を行えば、その負担に応じて優遇措置がとられる場合もあります。しかし、過去にわずかに行った痕跡だけで開拓を主張する領主も存在し、監査を行う官僚と通じた汚職に利用される場合もあります。
▼手当て
開拓地の官僚には特別手当が支給されます。たとえば夏期の安い時期に石炭を買うための寒冷地手当や、中央へ報告に訪れる際の移動手当などがあります。しかし、これらは汚職に利用されることが多く、皇帝は制度の見直しを検討しているようです。
▼独占商人
カイテインでは土地請負制度と呼ばれるものがあり、商人は入札によって特定の土地を基盤とする商権を独占する権限を持ちます。しかし、これは領邦国家が定める州法に属するもので、主に入札時における賄賂を見込んで領主が設定している制度です。
○労働力
▼囚人
カイテインでは、囚人が開拓作業のために寒冷地へと送られ、重労働を強制される場合があります。囚人は罪歴だけでなく体力によっても等級がつけられ、作業の分配が行われています。彼らは昼も夜もなく働かされ、白夜の夏はわずかな睡眠の時間にも安らぎが得られないという、非常に過酷な状況に置かれています。
▼開拓兵
現地に派遣される軍は自治領警備のためだけではなく、開拓兵として土地の開墾などの仕事を受け持ちます。これら兵士は当地で徴発されることが多く、地元領民との関係もそれなりにうまくいっているようです。これら開拓兵の行政行務の監督については、軍務省ではなく地方省開拓局が行っています。
▼開拓学校
農業、工業、土木技術を中心に、開拓に関する幅広い学問を教える専門学校の一種です。帝国自治領に限って言えば、これは民族の同化政策にも利用されており、遊牧生活を止めて農耕生活に切り替えようとしているキタン人の子供たちに、ほぼ無償で教育を行ったりすることもあります。
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