判定ルール/概要

行為判定願いと奇跡


 

行為判定


 キャラクターはこれから行おうとする行為を、すべて意図した通りに運べるわけではありません。次に試みようとする行動が成功か失敗かを判断するために、行為判定というものを行なわなければなりません。


○判定の種類

▼能力判定
 技能レベルや社会レベル(社会特性)を加えずに、単に能力値のみを基準に行なう判定のことを、能力判定と呼んで他と区別します。

▼技能判定
 技能を用いて行う判定は、技能判定と呼んで他と区別します。技能判定を行う場合、判定対象が一般分野と専門分野のどちらに含まれる行為なのかを考える必要があります。
 一般分野に含まれる行動というのは、ごく当たり前に行うことができる通常の行動のことです。これは通常の条件の下では、誰でも試みることが可能です。しかし、外科治療や車の運転など、少々の練習では試みることができない専門的な行為の場合、専門分野を獲得している者だけが判定に挑戦することが出来ます。

▼社会判定
 技能のかわりに社会特性を用いる判定のことを社会判定といいます。この判定に成功した場合は、社会特性を通じて何らかの権利を獲得したり、周囲に影響を与えることが可能となります。

▼抵抗判定
 特定の物事に対抗するためには、抵抗力を基準に判定を行わなければなりません。抵抗力には【精神抵抗】【自我抵抗】【生命抵抗】の3種類が存在します。
 抵抗力を用いて行う判定のことを抵抗判定と呼び、技能を用いる判定と全く同じように処理します。抵抗判定には技能分野は存在せず、一般分野と同様に誰でも判定を行うことが出来ます。また、【精神抵抗】と【生命抵抗】は自動的に行われるものであり、意識を失っていても可能な行為となります。


○判定の基準値

▼基本判定値
 行為判定に関係する基本的な数値は、能力値とレベル(技能/社会)の2つです。ゲームでは[能力値+レベル]のことを基本判定値と呼び、この数値が判定の基準値となります。技能に対して何もCPを割り振らなかった場合は技能レベルは0なので、能力値を基準として判定を行います。判定に使用できる能力値の種類は、個別の技能のデータに記されています。

▼修正値
 実際に判定を行う際には、修正値と呼ばれる値を基本判定値に加えることがあります。これは周辺の状況や使用する物品に応じて決まる数値で、キャラクターにとって有利な要素であればプラスの値を、不利な要素であればマイナスの値を取ります。

▼判定値
 実際にサイコロを振って判定する場合は、能力値、レベル、修正値を全て合計した数値が基準となります。ゲームの中ではこれを判定値と呼び、キャラクターはこの値を基準として様々な行為判定を行なうことになります。

 判定値=[基本判定値(能力値+レベル)+修正値]


○判定方法

▼基本
 キャラクターには得意な行為もあれば、苦手な分野の行為もあります。その差を表わすために、行為判定は判定値(=能力値+レベル+修正値)を基準に6面体のサイコロ(D6)を振って、その成否をランダムに決定します。
 基本的にはサイコロをいくつか振って、その合計が判定値以下であれば判定は成功となります。たとえば判定値が7であれば、7以下の目であれば行為は成功、8以上であれば失敗となります。

▼サイコロの数
 行為判定には6面体のサイコロを用いますが、サイコロを幾つ振るかはプレイヤーの任意となります。サイコロの個数は状況に左右されることはありませんし、GMが指定することも出来ません。なお、サイコロの数を0個にすることも可能となりますが、その場合は行為を試みることを放棄したことになります。


○達成値

 行為判定の成功の度合いのことを達成値といい、行為判定に成功した時のサイコロの出目の合計が達成値です。行為判定が失敗の時、つまりサイコロを振ってその合計が判定値を上回っていた場合は、達成値は0として扱います。
 達成値が高いほど素晴らしい成功を成し遂げたことになります。達成値は、難しい行為や誰か対抗する相手がいる際の判定に必要となります。


○修正値

 通常の場合、判定の基準は基本判定値(能力値+技能レベル)となります。ですが、その行為判定について修正値が設けられている場合、基本判定値に更に修正値を加えて判定を行なうことになります。
 
修正値 目安 状況
−5 〜 −6 かなり困難な状況  失明中、完全な暗闇での行動など
−3 〜 −4 困難な状況  水中行動、予期せぬ状況への対応、転倒中の行動、近視や不具といった身体的弱点など
−1 〜 −2 やや困難な状況  視界や足場が悪い、姿勢が不安定など
+1 〜 +2 やや有利な状況  簡単な道具を使用している場合や、特定の行為に集中している場合など
+3 〜 +4 有利な状況  優れた道具を使用している場合や、特定の行為に専念している場合など
+5 〜 +6 かなり有利な状況  非常に優れた道具を使用している場合など


○難易度

 通常の行為判定では、サイコロを振って出た目の合計が判定値以下ならば成功です。しかし、それと同時に、達成値が難易度として設定された値以上でなければ、目標を達成できなかったことになります。つまり、目標に対して何らかの成功をおさめたとみなされるのは、行為判定の結果が[難易度 ≦ 達成値 ≦ 判定値]の時に限られるわけです。
 GMはキャラクターが行なおうとしている行為の難易度を判断して、プレイヤーに指示しなければなりません。以下に目安を示しておきますので、GMはこれを参考に難易度を設定して下さい。
 
難易度 目安
 誰でもできる行為。判定の必要なし
 かなり簡単。素人でもあまり失敗しない
 簡単な行為。普通はうまくゆく
 やや簡単。素人では3回に1回ぐらいは失敗することもある
 素人では2回に1回ぐらいしか成功しない
 やや難しい行為。素人では失敗することも多い
 素人には難しい行為
 素人には困難な行為。専門家でも失敗することはある
 難しい行為。その道のプロでも5割程度の成功率
 困難な行為。その技術にかなり熟練していなければ失敗することが多い
10  非常に難しい行為。熟練した専門家でなければ手を出さないほうがよい
11  一流のプロでも難しい行為
12  至難な行為。一流のプロでも失敗することの方が多い


○対抗判定

 相手がいるような場合の判定を対抗判定といいます。たとえば取っ組み合いや腕相撲などのように、2人あるいはそれ以上の対象が同時に同じ内容の行為を試みるような場合や、攻撃と回避のように能動側(行為を働きかける側)と受動側(行為を受ける側)にわかれるような行為などの全てが、この対抗判定に含まれます。
 対抗判定の方法は、それぞれが行為判定を行なって、その達成値を比較する(成功判定を行う)というものです。これは、達成値が高い方が成功(勝利)したということになります。双方の達成値が全く同じならば、引き分けがある場合は引き分け、能動側と受動側に分かれる行為では受動側の勝利ということになります。


○成功値

 行為判定の結果が難易度に対してどれだけ成功をおさめたか、あるいは失敗したのかを表わすために、成功値というものが設けられています。成功値は達成値から難易度を引いた値になります。行為の最終的な成功は達成値が難易度以上になった時ですから、成功値が0以上の時は行為が成功、−1以下の時は失敗ということになります。これは対抗判定の時も同じ扱いとなり、それぞれの達成値の差が成功値となります。
 
成功値 目安
+15  滅多に起こり得ない高度な成功
+10  きわめて素晴しい成功
+6  素晴しい成功
+3  やや素晴しい成功
+1  軽い成功
±0  最低限の成功
−1  軽い失敗
−3  ややひどい失敗
−6  かなりひどい失敗
−10  きわめて大きな失敗
−15  信じられないほど大きな失敗


○自動的成功/失敗

▼自動的成功
 行為判定時においてサイコロの目の合計が判定値と同じだった場合、すなわち達成値の最大値が出た場合には、難易度がいくつであっても成功となります。これを自動的成功といいます。自動的成功の場合、達成値が難易度を上回っていれば成功値はそのままですが、難易度を下回っていた時でも、本来は成功値がマイナスとなるところを±0とすることができます。つまり最低限の成功をおさめたということになるわけです。
 対抗判定を行っている時に自動的成功が出れば、相手が自分の達成値よりどれほど上回っていても、引き分け以上の結果に持ち込むことが可能となります。ただし、能動側と受動側に分かれる対抗判定では、能動側の達成値が受動側にとっての難易度となります。ですから、能動側が自動的成功を出したとしても、その時の達成値が相手の達成値を上回っていなければ、受動側の勝利となることに注意して下さい。

▼自動的失敗
 行為判定においてサイコロの目が全て1だった場合には、その判定は自動的に失敗となります。このような失敗を特別に自動的失敗といいます。これは判定値や難易度にはいっさい関係なく生じるもので、サイコロの出目だけを見て判断して下さい。
 自動的失敗を出した場合は、通常の状態で考えられる最低の結果となります。このため、物品やその他の条件によって自動的に得られる効果も、一時的に低下/制限されることになります。たとえば、乗り物での移動であれば移動距離が減少したり、戦闘時の防御であれば防御値が適用されない、といった具合です。
 これ以外の影響については、単なる判定失敗時と同じように扱います。特別なアクシデント(転倒や物を落とすなど)は起こりませんので注意して下さい。達成値も通常の失敗時と同じく0となります。

▼相殺
 判定値が1の時は、自動的成功と失敗が同時に出る可能性があります。この時にサイコロ目が1だった場合は、自動的成功/失敗の効果は相殺され、達成値1の成功として扱われます。


○複数行動

 状況によっては、キャラクターは一定期間の間に複数の行為の判定をすることもあります。このような状況でも、それぞれが全く無関係の行為である場合には、通常と同じように個別に判定を試みて下さい。しかし、お互いを制限し合うような行為同士であれば、それぞれの判定に−3ずつの修正値が与えられます。
 通常、同時に試みることが出来る行動は2種類までとなりますが、GMが認めるのであれば行動数を増やしても構いません。ただし、行動数が3つ以上の場合は不利な修正が大きくなり、1行動増える毎に−3ずつ修正値が加算されてゆきます。たとえば3種類の行動を同時に行う場合は、それぞれの判定に−6修正を受けることになります。


○補助技能

 補助技能には術法変化技能、戦闘変化技能の2種類があり、これを用いることで術法、戦闘に関する行動のバリエーションを広げることができます。補助技能と組み合わせて使うことが出来る技能は決まっており、判定は対象技能を用いて行うことになります。
 補助技能は特殊な扱いをする技能で、獲得してさえいれば特定の行為が可能となるものです。それ自体を判定に用いることはなく、判定を行う前に宣言をすれば、補助技能で規定されている行為を試みることが出来ます。なお、補助技能の中には使用時に何らかの修正を受けるものがありますが、これは対象技能に対して適用されます。


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願いと奇跡


○種類

 アンバランスド・ワールドでは、強い気持ちや願いが実際に力を持つことがあります。これを表したものが願いと奇跡というルールです。
 願いと奇跡ルールは以下の種類に分けることが出来ます。このうち、感情判定、増力判定、幸運判定の3種類は基本ルールに含まれますが、奇跡/破滅の発動は選択ルールとなります。


▼感情判定
 行為判定時にキャラクターの感情を実際の行為に反映させることが出来ます。

▼増力判定
 行為判定時に他のキャラクターの助けを得ることにより、最終的な判定結果を変動させることが可能となります。

▼幸運判定
 いかなる行為判定においても、【導引】の能力値を基準に判定を試みることが可能となります。

▼奇跡/破滅の発動
 奇跡的現象や破滅的現象として術法を発動させることが出来ます。


○ウィルパワー

 ウィルパワーは世界の法則を変えるほどの強い力であり、願いと奇跡ルールを用いる際に消費します。これはシナリオ毎に更新されるもので、シナリオ開始時にGMから与えられます。
 PCは個人ポイントとして、【導引】の1/2(四捨五入)を貰うことが出来ます。また、プレイヤー全員の共有ポイントとして、シナリオの難易度に応じたポイントを受け取ります。
 ウィルパワーは0〜初期値の範囲の値を取ります。ウィルパワーは0までしか減少させることは出来ませんが、0になっても願いと奇跡ルールが使えなくなるだけであり、特にペナルティを受けることはありません。


○感情判定

 行為判定時にウィルパワーを消費することにより、その時の感情を実際のキャラクターの行為に反映させることが出来ます。このような判定のことを感情判定と呼びます。


▼判定方法
 ウィルパワーを1ポイント消費すれば、判定値を1〜3の範囲で自由に変動させることが出来ます。この際、判定値をプラスとマイナスのどちらの方向に動かすかについては、プレイヤーが自由に決定して構いません。判定そのものについては通常と全く同じように行います。変動後の判定値を基準に、行為判定を処理して下さい。なお、1度の感情判定に利用できるウィルパワーは1ポイントまでに制限されます。


○増力判定

 誰かの手助けを受けることによって、行為判定を行った後に追加のサイコロを振ることが可能となります。


▼条件
 最初の判定でサイコロの合計が判定値をオーバーしていた場合は、増力判定を試みることは不可能となります。なお、自動的失敗はこの条件に当てはまりませんので、通常と同じようにフォローを行うことが出来ます。


▼判定方法
 増力判定を選択した時は、行為判定を行った後に追加のサイコロを振ることが可能となります。ウィルパワーを1ポイント費やすごとに、サイコロを1つ追加することが出来ます。
 判定そのものは通常と同じ方法で、追加分のサイコロの出目を最初のサイコロ目の合計に加えて、最終的な結果を判断するだけとなります。つまり、最初から全てのサイコロを同時に振ったものと考えて下さい。達成値や行動の成功/失敗だけでなく、自動的成功/失敗についても通常の判定時と同様に扱います。
 サイコロを振るのは必ずフォローを受ける側が行って下さい。また、追加分のサイコロは全て同時に振らなければなりません。


○幸運判定

 いかなる行為判定においても、【導引】の能力値を基準に判定を試みることが出来ます。これによって、あらゆる行為を運よく成功させることが可能となります。


▼判定方法
 幸運判定に挑戦した時は、その行為判定において指定された能力値のかわりに、【導引】の値を用いて判定を行なうことが可能となります。この判定を1回試みるごとに、ウィルパワーを1ポイント消費します。

▼修正値
 幸運判定の場合に限り、通常の状態であれば不利な修正を受ける場面でも、それを無視して判定を試みることが可能となります。


○特殊な結果

▼奇跡的成功
 感情判定、増力判定、幸運判定で自動的成功が出た場合、その結果は奇跡的成功として扱われます。
 
◇基本効果
 奇跡的成功は特別に優れた成功であり、自動的成功の結果に加えて、さらに副次的な効果を得ることができます。たとえば、非常に狭い学問分野の専門的知識を偶然聞きかじっていたり、遠くにあるコインを銃で撃ち抜くことができたりと、ほとんど不可能と思われる行為をも可能としてしまうのです。

◇達成値の上昇
 奇跡的成功が出た場合は、通常よりも達成値が1D6上昇します。この時の上昇分のことを追加達成値と呼びます。


▼致命的失敗
 感情判定、増力判定、幸運判定で自動的失敗が出た場合、その結果は致命的失敗として扱われます。
 
◇基本効果
 致命的失敗が出た場合、その行為は最悪の結果に終わります。忍び足をしていればバケツをひっくり返して大きな音を立てたり、戦闘では拳銃が暴発したり武器が手からすっぽ抜けたりと、さまざまなアクシデントを引き起こすこととなるのです。

◇達成値の減少
 致命的失敗が出た場合には、通常よりも達成値が1D6減少します。この時の減少分のことを追加達成値と呼びます。通常、自動的失敗の時は達成値0となりますので、致命的失敗が出た時の達成値は−1D6となります。これにより、対抗判定の場合は相手の成功値が相対的に上昇しますし、状況によってはダメージを余分に受ける羽目になってしまいます。


○奇跡の発動

 強い願いがあれば、奇跡として術法を発動することができます。これは自分や仲間を救うために用いるためのもので、誰かに害を与えるように利用法は出来ません。


▼ウィルパワーの消費
 奇跡を発動させるためには、術レベルと同じだけのウィルパワーを消費しなければなりません。

▼レベル制限
 発動できる術レベルは、そのキャラクターの【導引】の値までに制限されます。

▼効果
 奇跡の場合は通常の術法の発動とは異なり、距離、持続時間、効果範囲といった要素を完全に無視することが出来ます。ただし、実際にどのような効果を適用するかは、プレイヤーではなくGMが描写することになります。
 何らかの理由で達成値を求める必要がある場合は、術のレベルを達成値として扱います。抵抗するような力が働いている場合は、達成値=[難易度(あるいは相手の達成値)+術レベル]として下さい。


○破滅の発動

 奇跡的現象の発動と対局に位置するのが破滅の発動です。基本的な処理は奇跡の発動と同じですが、これは破滅を発動させたキャラクターを不利な状況にする方向でしか使用することができません。


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行為判定願いと奇跡