都市国家半島/概略

基本情報国土人物・集団


 

基本情報


 アリアナ海に突出するプルトニカ半島上に存在する、都市国家を中心とした数十の自治体の集まりです。これらはかつて中央地方を支配していたラガン帝国の領地でしたが、帝国の崩壊によって完全に独立し、公国や都市国家となってこの地方に残ることになりました。
 これらは全て別個の自治体であり、様々な政治形体が存在します。たとえば評議会が政策を決定する都市もあれば、王の独裁政治が行われている国もあります。小都市の中には、直接民主制による議会で国政を行なう珍しい自治体もあるようです。


○略史

 かつてこの半島では自治都市や独立公国が乱立しておりましたが、やがてラガン帝国が侵略を開始し、聖歴262年には半島全土が平定されました。占領後まもなく帝国から移民団が派遣されましたが、このうちの大半は民族性の違いなどから勢力はありながらも帝国からは疎んじられた存在で、この地に領土を与えられた有力貴族の領民として生活することとなりました。この有力貴族というのが現在の中央七都市と呼ばれる都市であり、これらが周囲の小都市国家を統治してゆきました。
 しかし、今より27年前に中央地方で謎の爆発事故が起こり、ラガン帝国は結界の向こう側へと閉ざされてしまいました。こうして後ろ盾を失った7つの有力都市に対して小都市国家は次々と反旗を翻し、大半が独立を勝ち取ることに成功しました。この後、各都市はそれぞれ独自の政体を模索しながら現在に至っております。
 こういった経緯があるため、各自治体の在り方はそれぞれで全く異なります。なお、独立後は領地問題などで小競り合い程度の争いはいくらかありましたが、もともと小規模な都市が半数以上を占めているため、大きな戦乱とはなりえませんでした。


○現況

 現在はマイスブルク、エラン、フェンドレス、ステーシア、アンドレイク、ハプトクレイス、ワイプスギールら、中央七都市と呼ばれるかつての有力都市の連合体が勢力を伸ばしています。これは周囲の都市国家というより、他国の勢力に対抗するために結ばれた同盟であり、軍事のみならず、貿易や技術開発などの面でも協力体制をとっています(もちろん、独自の秘密はもちますが)。
 この連合体制の実現を可能にしたのはメディル=ヴァストーンと名乗る青年で、本名をメーティス=サイアル=ラガーナといいます。この名前から想像がつくかもしれませんが、彼は崩壌したラガン帝国の最後の後継者なのです。
 中央七都市は石の盟約と呼ばれる盟約を結んで協力体制をとり、メーティスを擁立して帝国を再建しようとしています。もちろん、それぞれの目論見はあるのですが、メーティスの人格に傾倒しているのも事実です。


○民族

▼マステュス人(黄人/混血?)
 黄人系民族ですが、巻き毛の者が多いのが特徴です。全体的に白人の顔立ちに近いため、混血の一族ではないかと考えられています。

▼ソロン人(黄人)
 もともとはアニスカグナ地方に住んでいた黄人です。琥珀色の瞳と、彫りの深い顔立ちが特徴的です。

▼ドゥーガル人(黄人)
 黄人で、髪や瞳は茶色あるいは黒色です。カーカバートやルワール大公国南部にも住んでいます。

▼その他
 様々な黄人民族が混在しています。


○宗教

 多くはマイエル教を信奉していますが、中には法教会の教えを受け入れている都市もあります。
 変わった宗教を信仰しているのが、ベリラーナという都市です。ベルモア人という単一民族の国家であり、彼らは民族独自の神シュラバナを崇めています。


○産物

▼農産物
 とうもろこし、ニンニク、柑橘類、オリーブ、ブドウ

▼その他
 各種鉱物、宝石、魚介類、紫染料(貝殻)、貝殻飾り


○食事

 海産物がよく食べられています。マテ貝のオリーブオイル炒めや、ぶつ切りの魚を香辛料で炒めたもの、カニと魚のすり身を蒸したもの、ロブスターのから揚げなどが一般的な料理です。また、平地ではニンニクがよく栽培されており、様々な料理に使われます。


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国土


○自然

 アリアナ海に突出するプルトニカ半島に存在します。この半島は北部をラスアルネフ山脈が走り、中央部は火山帯がまたがっています。中部以南は火山活動が盛んで、山麓では独特の地形や溶岩洞窟が見られます。たとえば、ワイプスギールという都市は火山のつくった天然の要害に守られています。
 気候は南北でやや異なりますが、全体としては温帯に属しています。夏期は高温乾燥、冬期は温暖湿潤というアリアナ海型気候で、年間を通じて気温は温暖となります。


○地図


 


○要所

▼ブレフニフト山岳地帯
 半島中央域にある火山帯ですが、ここ数十年は噴火は起こっておりません。過去に最も大きい被害をもたらしたのは、聖歴433年に起こった山地中央域にあるパナケア山の大噴火で、これより数年の間はエルモア全域で冷害が続きました。


▼灰の街
 聖歴433年に起こったパナケア山の噴火時に、灰の中に沈んでしまった街があります。ここにはかつての貴族の財宝が埋まっているといわれていますが、あまりにも大量の灰と土砂が積もっているため、発掘作業は一切行われておりません。


▼地下道都市ラクシュエル
 ソロニア北部の山中にある非常に変わった都市で、断崖を縦横に走る地下道そのものが都市として機能しています。かつてラガン帝国を追われた人々が逃げ込んだ場所で、入り口はそれほど広くありませんが、少し奧に入ると数千人が暮らせるほどの大きな空間が広がっています。中には川も流れており、上下水道も整備されています。垂直に上に掘った穴からは太陽光が入るように設計されており、農作物の栽培も行われています。


▼大シダ林
 ワイプスギールの南に広がる、大型のシダ植物が生えている不思議な湿地帯です。


○変異現象

▼水晶化現象
 この地で起こる『水晶化現象』は、非常に民衆に恐れられている現象です。春の初めに海上に無数の真紅の炎が漂い、それに触れた者は水晶の像となってしまうのです。陸にまで現われることはほとんどないのですが、一度だけ大規模な水晶化現象が起こり、1つの都市が滅亡することになりました。ベリラーナの北にあったこの山間の都市は、現在では『水晶の森』と呼ばれています。この事件があってから、人々はあまり海辺に街をつくりたがらなくなりました。貿易時代に穏やかな内海に面した最高の立地条件にありながら、小規模の都市国家のままでいなければならないのは、人口の少なさだけではなく、この現象が大きな要因を占めます。
 また、水晶化現象のために船乗りたちの祝日は古来より春と決まっており、この時期には都市単位で大きな祭が開かれます。特に有名な祭が水上都市ナニーナの仮面大祭であり、この日は街中の人々が魚の顔を型どった面を被って祭を盛り上げます。


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人物・集団


○組織・集団

▼クリントル族
 故郷なき民と呼ばれる中央地方から流れ着いた人々で、旅芸人として放浪している者が多いようです。下賤の民と蔑まれることが多く、都市に住む者はよく「これだからクリントルは……」というような言い方をします。

▼ウェイニロップ族
 薬草に詳しい一族で、薬を売り歩きながら半島を旅しています。

▼影の騎士
 メーティス=ラガーナに従っている武人たちで、武術を使う戦闘集団です。

▼ラガン至上主義者
 中央七都市に多く存在する、旧ラガン帝国の支配者たちのことをいいます。「これはラガンの言葉だが……」という言葉をよく使います。


○人物

▼メーティス=サイアル=ラガーナ(男/34歳)
 ラガン帝国の最後の後継者です。正体を明かしてしまうと、支配下にあった小都市国家や他国の妨害があるかもしれないため、現在はメディル=ヴァストーンという偽名を用いています。

▼ミアン=トゥリア(女/36歳)
 ハプトクレイス市に住んでいる、放浪民族との調停役を行っている女性です。世話好きですが、時にはそれが余計なおせっかいになることもあります。

▼リヴィエンヌ(女/12歳)
 旅芸人一座に拾われた少女で、曲芸をなりわいとしています。自分の本当の家族に出会えることを夢見ながら旅しています。


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