神と呼ばれる存在は、エルモア地方にはたくさん存在します。聖母教会、法教会、そしてエリスファリア国教会でいう神は同一の存在ですが、他にもマイエル教や数々の異端派が崇める神が存在します。
こういった神は、エルモア地方では本当に実在すると考えられています。というのは、ときどき神託を受ける人がいたり、術法の中にも神との会話を可能とするものが存在するからです。これは、ある意味では事実です。というのは、この世界には『集合意識』というものが存在するためです。
○共有意識
集合意識は個々の意識が共有されることで誕生するものです。共有意識には以下の2つのタイプがあります。
▼完全共有
複数の精神場を統合することで、精神共有を行うことが出来るようになります。これを行なった集団は、まるで1つの精神のように統一された意識を持ち、それぞれの個体が得た情報の完全共有を可能とします。これを実際に行っているのが、現在も月で活動している『月人』(ムーンノイド)たちです。▼部分共有
多くの意識の部分共有が自然と為され、これが1つの意識体のように機能することもあります。このうち、概念存在(神)とよばれるものは、個体の意識から切り離されていない存在で、確立した自我を持っておりません。これが個体群の意識から独立して自我を持ったものが、集合化身(オーバーマインド)と呼ばれる存在で、これは意思を持って自ら行動することが出来ます。
○概念存在/神
集合概念意識とは、人々の思想や概念といったものが集まって生まれるものです。これは精神と呼んでもいいのですが、あくまでも概念の集合体であり、自我や意志というものは存在しません。
集合意識は、それを信じる者の概念に忠実な存在です。ですから、神だと信じられているものは教義に倣って受け答えをします。ある意味では、本当に神と呼んでも構わないものでしょう。また、こういった存在であるため、これを信じないものにはまったく神の声は聞こえません。異端派の心の裡に響く神の声は、正統派の耳には届かないのです。それゆえ、異端派は悪魔にたぶらかされているのだと思われ、所属する集団から放逐されることとなります。
神は人々の強い思いがなければ生まれてこないものです。しかし集合意識というぐらいですから、個々人の思いの力は弱くても、それらを集めれば神は存在することができます。ですから、聖母教会のように大きい勢力の組織からは、非常に神と呼ばれるものは生まれやすくなっています。ですが、マイエル教のように多神教の宗教組織では、よほど中枢の存在として崇められているのでなければ、神として存在することはできません。
○集合化身/オーバーマインド
神と呼ばれる存在とは異なり、意志をもって活動する集合意識体もこの世界には出現しています。こういった存在は<集合化身>あるいはオーバーマインド(超意識体)と呼ばれており、何らかの目的をもって行動したり、人に頼み事をすることもあります。
<集合化身>は、これまでの歴史の中に幾度か顔を出しています。そのいずれもが世界の存続に関わる事件を起こしていることから、人々の不安や恐れといった感情から生み出されることが多いようです。<集合化身>は幽子を自由に操る力をもっており、その力は無制限ともいえます。ただし、あくまでも人々の意志が根源にあるため、人間が本当に望むことしか実行しようとはしません。
聖歴789年の現在に存在する世界は、ペルソニア大陸の閉鎖実験場の1つである『グレイ・ヘヴン』に出現しています。しかし、『草色(グラスグリーン)の少女』と呼ばれる彼女は、まだ活動を開始してはおらず、眠りについたままの状態にあります。
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