基本
○概要
『砂孔蟲』は砂粒によく似た微小な無機生物で、ケイ素や真砂を主要な構成物質としています。霊子物質や生命体から吸収した霊子をエネルギー源として活動するもので、その殆どはペルソニア大陸の砂の中で生活しています。
▼起源
砂孔蟲は変異現象によって生み出された存在で、旧コロニー勢力が利用していた霊子蟲と酷似しています。しかし、その性質は少し異なっており、まったく同じものというわけではありません。▼認識
トリダリス星の人々は砂孔蟲の存在に気付いておりませんが、呪装仮面の材料として知らぬ間にこれを利用しています。
○基本特性
砂孔蟲は霊子蟲の持つ以下の特徴を備えています。
▼無機生物
砂孔蟲はケイ素や真砂(ケイ素の導霊物質)を主要な構成物質とする無機生物です。▼霊子吸収
砂孔蟲は環境中にある霊子だけでなく、精神場に含まれる魂霊子からも霊子を吸収し、活動エネルギーを得ることが出来ます。これは霊子を含む対象と接触することで、自動的に行なわれます。▼結合性
無機生物の1種であるため、無機物/有機物のいずれの物質とも結合できます。また、生命維持に必要なエネルギーと物質が供給されていれば、結合状態を維持したままでも生存し続けます。▼生命力
砂孔蟲は非常にシンプルな構造でありながら、過酷な環境条件にも十分に耐える優れた性質を持ちます。また、長い間エネルギーを吸収できない状態が続いた時は、自動的に休眠状態に陥る機能も備えています。▼群体化/結晶化
霊子蟲と同じように群体を形成したり、自ら結晶化する場合があります。▼霊的回路
導霊物質を自己の構成要素に利用しているため、連結することで魔道回路を形成することができます。
○生命維持
▼エネルギー
霊子蟲と同じく、砂孔蟲は霊子から活動エネルギーを得ます。精神場の魂霊子を利用することもありますが、通常は砂漠に含まれる霊砂を用います。▼構成要素
主要な構成要素であるケイ素や真砂を取り込んで、自己再生を行ないます。これらはペルソニアの砂漠の中に存在します。▼増殖
砂孔蟲は微生物によく似ており、エネルギーと構成物質を取り込んで増殖を行ないます。
○吸魂
精神場を持つ存在から魂霊子を吸収する場合、相手方には精神抵抗の判定が発生します。この時の難易度ですが、単体の砂孔蟲の場合は殆ど0に近いため、実際に抵抗判定を行なう必要はありません。しかし、群体となった場合は結合数や霊的回路の複雑さに応じて難易度が上昇してゆきます。そのため、群体を形成する目的は、より霊子エネルギーを吸収しやすくするためという可能性もあります。
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群体
○群体化
この無機生物は1つ1つが別個の個体ですが、相互に情報を伝達し合いながら、群体生物のようにまとまった行動を取ることがあります。特に個体の密集している地域では、砂に大きなうねりを起こしたり、すり鉢状の穴を穿ったりすることもあるようです。このためにペルソニアの砂漠は海にたとえられるのですが、砂孔蟲の存在に気づいている者は誰1人としておりません。なお、彼らの動きには意図があるわけではなく、外的刺激に対する反応でしかないようで、変異現象の影響でも受けていなければ他生物を襲うようなこともありません。
▼呪装仮面
ペルソニア大陸で作製される呪装仮面の場合、仮面を焼いて作る際に自動的に砂孔蟲の群体化が起こります。これによって呪装仮面に必要な魔道回路の基礎構造が形成され、さらに表面に刻印を彫ることで霊的効果を発揮させることが可能となります。
なお、呪装仮面というのは霊刻魔儀に比べて低い技術であるため、霊的回路に多くの無駄があります。そのため、機能を発現させるために余分な霊子エネルギーを消費します。
○群体結晶化
砂孔蟲は霊子蟲と同じく、環境条件に応じて大量の個体が集合し、特殊な結晶を形成することがあります。
▼条件
これは周囲の霊子が極端に少ないか、あるいは非常に豊富な条件で見られる現象で、大増殖もしくは拡散移動が目的となります。
なお、霊子蟲の場合は周囲に霊子が豊富にある際にしか群体結晶化は起こらないため、砂孔蟲の方が星界蟲の増殖形態に近いものと考えられます。ただし、砂孔蟲から星界蟲が生まれることはなく、単なる増殖しか行なわれることはありません。
▼精神場/自我
群体結晶は精神場を持ちますが、自我を宿しているわけではありません。
▼群体結晶(コロニー・クリスタル)
群体化によって生まれる結晶石のことを『群体結晶』(コロニー・クリスタル)と呼びます。
◇形状
砂孔蟲の群体結晶は、球形結晶の上に花弁が重なったような層状構造を取ります。これは星界蟲のエーテル・シードと同じような性質を持ち、周囲の霊子状態に応じて花弁に相当する部分が開閉します。
霊子が豊富な時は球形結晶となりますが、霊子が希薄な状態ではデザート・ローズという鉱物によく似た、開花した状態の群体結晶となります。ペルソニアの人々はこのバラ状結晶のことを『クリスタル・ローズ』もしくは『デザート・ブルー』と呼んでいます。◇構造
群体結晶は2層構造となっており、中心核となる透き通った結晶体を、結晶霊子の外層が取り囲んでいます。中心核は真砂やケイ素を主体とした球状の透明結晶で、この内部に砂孔蟲の群体が存在します。
外層部は結晶霊子で構成されており、この内部にも真砂による霊的回路が含まれています。この回路は花弁の開閉によって構成を変える立体魔法陣で、周囲の霊子状態によって機能を変化させます。◇色
群体結晶の外層部は結晶霊子であるため、霊子エネルギーを使い果たすまでは青白色の結晶石の状態を維持します。なお、内部をよく覗き込めば、微かに白い網状の霊的回路が見えます。
▼結晶機能
群体結晶の内部に形成された霊的回路は、その形状に応じて以下の異なる2つの機能を発動させます。
◇大増殖
周囲に霊子が豊富な場合、群体結晶の花弁は完全に閉じて、青水晶のような球状結晶に変化します。この状態のものが発見されることは殆どなく、クリスタル・ローズと同じものとは知られておりません。
この時、砂孔蟲は取り込んだ物質を利用して増殖を行ない、やがて内部で完全に結晶化して網状の霊的回路を形成します。そして、周囲の霊子を圧縮してエーテル・クラスターをつくると、外層の結晶霊子の中に真砂による霊的回路を形成し、その作用で精神場を発生させます。こうして増殖の準備が整うと、結晶の内外に存在する霊子、真砂、ケイ素を利用して大量増殖を開始します。
大増殖が終了した後の群体結晶は花弁状の霊子層が失われ、中心の透明な球形結晶だけが残されます。この特殊な増殖活動は数時間だけ行なわれるもので、その後の群体結晶は増殖能を完全に失ってしまいます。しかし、砂孔蟲が死んでしまうわけではなく、生存条件さえ整っていれば結晶状態で生き続けますし、それが不可能な場合は休眠状態に入ります。◇拡散移動
周囲の霊子が希薄な状態にある時は、層状結晶が花のように開いてゆきます。そして、この状態で強風が吹くと、花弁は最大に開いて青白い光を放つ小さな粒を、花粉のように上空まで蒔き散らします。これは霊砂と結合した砂孔蟲で、霊子密度の低い環境から大移動を行うための行為となります。散布行動が行なわれる時は、中心核の結晶に少しずつ細かい亀裂が入り、砂孔蟲はその衝撃を利用して風に乗ります。そして、最終的にはケイ砂と細い糸のような真砂の結合結晶を残して、クリスタル・ローズは消えてなくなってしまいます。
この様子を夜間に見た者は、星が天に昇る姿だと例えています。ペルソニアの砂の民の信仰では、死んだ魂である砂が月光を浴び、生ある魂である星に生まれ変わるという教えがあります。その言い伝えの元には、この現象が関わっているのかもしれません。なお、ペルソニアでは星の波と呼ばれる現象が観察されますが、その際にも砂孔蟲の活動が活発するようです。この時に限って、周囲の霊子濃度に関わらず、移動を開始することがわかっています。
拡散移動のトリガーとなるのは風のようで、完全な無風状態に置かれた場合は、そのままの形状を保ちながら外層の結晶霊子を消費し、やがてエネルギーを失った段階で休眠活動に入ります。この時は透明結晶に変化してしまい、内部には白い網状の魔道回路が見えます。なお、この状態で霊子が与えられれば、再び目覚めて外層に結晶霊子の花弁を形成します。
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