(B)カルネア開発地 


 

基本情報


○概要

 近年、B-10地域で新たな鉱脈が見つかったことで、カルネアによる新しい開発が進められています。しかし、国際的に正式な支配地として認められたわけではありませんので、このまま本国からの支援がない状態が続けば、他国による侵略が行なわれる可能性もあります。また、奥地に住む原住民は開発に抵抗しており、植民地軍との小規模な戦いが発生しています。


▼開発
 聖歴775年に植民省によって調査隊が結成され、アポルト山と周辺地域の探索が開始されます。最初は山地の周辺に広がる密林に探険隊が派遣され、地形や生態に関する調査が行なわれました。次に進められたのがレ・ドゥーア峰の探索で、第2次調査隊によって廃都ナポトが発見されることになります。しかし、もっとも重要な調査報告をもたらしたのは、第3次調査隊による鉄鉱石の発見で、レ・ドゥーア峰に鉱脈が存在することが判明しました。
 以後、カルネア軍は周辺地域に暮らす現地民を武力で制圧し、山麓の密林を伐採してリーベック開拓村を建設して、本格的な鉱山開発に乗り出します。現在、リーベック村には多くの労働者が集まり、鉱山町として拡大の一途を辿っています。しかし、鉄鉱石を溶かすための燃料として熱帯雨林が伐採され、生活の場所を奪われた原住民との軋轢が生まれています。そして、最近では遂に実力行使に出る部族が現われはじめ、植民地軍との小規模な戦いが行われるようになっています。


○辺境自治区

▼リーベック村
 鉱山開発の足掛かりとして開拓された村で、熱帯雨林を切り開いて建設されました。その後、この村には仕事を求める労働者が集まり、現在は鉱山町として大きく発展しています。採掘された鉄鉱石は伐採された密林の木々とともに、下流の町へと運ばれて製錬・加工されます。
 
◇開拓
 開拓初期の頃には原住民との間に頻繁に争いが起こり、多くの人々が軍によって捕らえられました。彼らは開墾作業を強制されますが、殆どの部族の者は精霊信仰者であったために、精霊や祖霊が宿る木々を伐採することを拒み、死を覚悟して反抗した者もいるといいます。とはいえ、互いが人質という状況に置かれていたため、多くは屈辱に耐えながら生き残る道を選び、現在も多くが居留地で暮らしています。


▼居留地
 リーベック村の周辺には、幾つかの原住民の居留地が設置されています。彼らは奴隷のような立場に置かれており、日々厳しい開墾作業を強制され、過労で倒れる者も少なくありません。こういった状況を見かねて、他の部族が救出に訪れることもあり、ごくまれに奇襲が成功するケースもあります。しかし、居留民は密林に隠れ住む部族をあぶり出す囮でもあり、多くの場合は返り討ちに遭ってしまいます。


○要所

▼アポルト山(B-10)
 東西に連なるウェイクル、ロギン、バラバスの3つの高峰と、北のレ・ドゥーア峰の4山からなる山群です。ペルソニアには珍しい降雪地域で、山頂付近には巨大な氷河が存在します。
 アポルトというのは、この周辺で暮らす人々に共通して伝わっている巨神の名で、その神霊が宿る山として崇められています。標高5500mを超えるロギン峰の山頂は、時に傘のように広がる濃密な雲塊で完全に覆われてしまいますが、これはアポルト神が降臨している際に起こる現象だと考えられています。
 
◇足掛け岩
 レ・ドゥーア峰の中腹辺りに複数見られる巨大な岩棚のことで、アポルト神が天に登る時に足場とした場所だと伝えられています。

◇廃都ナポト
 レ・ドゥーア峰にある足掛け岩のうち、特に大きくせり出した1枚の岩盤の上に、ナポトという名の都市が建設されたことがあります。現在は廃都となっておりますが、カルネアの調査隊の記録によれば、当時の人々の生活の痕跡がそのまま残されており、突如として人が消えたかのような状態だったそうです。周辺部族の言い伝えでは、天に近づこうとした人間に神が罰を与え、都市の住民は1人残らず消されてしまったと言われていますが、実際のところは謎のままです。どこかに移住したにせよ行き先もはっきりとしておりませんし、この都市の文化様式は周辺部族のものとは大きな違いが見られ、そもそもどの系統の人種・民族が建設した都市なのかも判明していないようです。

◇コウモリ洞窟
 レ・ドゥーア峰の麓には、コウモリの大群が住み着いている洞窟が幾つもあります。その出口は密林に覆われていますが、夕方になると一斉に飛び立ってゆくため、すぐに生息場所を見つけることが出来ます。大きな群れの場合は100万あるいは150万匹以上で構成されているともいわれ、住処としている洞窟の入り口は50mを超えるものもあります。このような群れが飛ぶ様はまるで天を舞う竜のようで、地元の住民は黒い竜巻きと呼んでいます。
 コウモリにも様々な種類があり、フルーツを主食とするものもあれば、小さな虫を食料としているものもいます。フルーツバットは人々の食料として一般に普及しておりますし、病害をもたらす虫を食べてくれるという点でも人々の役に立っています。一方で果樹園の害獣となる場合もありますが、植物の中にはコウモリを媒介として受粉するものもおり、害益のどちらが勝っているかは人によって異なります。
 コウモリの糞は肥料としても利用できますが、火薬の原料などに用いられる硝石を抽出するためにも利用されています。エルモア地方では硝石が不足しているため、洞窟まで出向いて糞を回収する業者も存在しますが、呼吸器系の病気が引き起こされる可能性もあります。そのため、こういった場所で働くのは原住民の役目となりますが、所有物である奴隷が病気になるのも困るため、下層階級の者を安値で雇って過酷な作業を押し付ける場合が多いようです。


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人物・集団


○組織・集団

▼辺境警備隊
 辺境自治区を担当するラベルタ準州所属の警備隊で、開拓村や居留地を防衛したり、輸送物資の護衛などを担当する部署です。原住民の抵抗が思ったより激しいため、戦闘経験に長けた兵士が優先的に送り込まれています。


▼黒牙傭兵団
 カルネア軍の情報を流したり食料を提供するなどして、密林に潜む原住民に協力している傭兵隊です。その大半は白人で構成されておりますが、黒人や黄人が混じっているという報告もありますし、部隊を指揮しているのは原住民だという噂もあるようです。カルネア軍でも不明の集団が動いていることは認識しており、その背後に国外勢力がいるであろうことは予想されていますが、事実関係は皆目つかめておりません。
  
◇ブルーノ=ラングレー(白人/男/37歳)
 傭兵団の指揮を取るリーダーで、ボサボサの髪と無造作に伸ばしたヒゲが印象的です。出自不明の人物ですが、その知識や手並みから軍隊経験者だという噂があります。

◇ウト=カソラ(人/男/38歳)
 傭兵隊の副隊長を務めている人物で、左の目尻に大きな傷跡があります。寡黙かつ冷静な男で、作戦を計画するのは彼の仕事です。原住民の血を引いているらしいのですが、その素性については殆どわかっておりません。


▼刺青兵団
 全身に刺青を施した戦士とそれを率いる美貌の巫女の集団で、どうやら砂漠の方に住む現地部族ではないかと考えられています。最近、2度ほど居留地に襲撃を仕掛け、いずれも原住民の奪還に成功しています。また、彼らと連動している別部隊には、砂を操る奇妙な術法師や精霊信仰者の一団が含まれているため、この一帯に強い影響力を持つ集団の可能性があります。


○人物

オーリー=カーティス(白人/男/56歳)
 第2次調査隊を率いてレ・ドゥーア峰に臨み、廃都ナポトを発見したことで知られています。マルチワーカー上がりの探険家で、ペルソニアに渡って来る前にも様々な経験をしたようですが、あまり過去のことは話したがりません。非常にエネルギッシュな人物で、頭にはだいぶ白髪が混じりはじめていますが、まだ冒険の人生に終止符を打つつもりはなく、現在も新たな探索行を計画しています。


ビドニー=ウィンクルソン(白人/男/43歳)
 辺境警備隊を束ねる軍人で、軍律に厳しい指揮官として部下から恐れられています。実戦経験も豊富で、戦闘任務をこなす辺境警備には適任だと考えられていますが、彼の赴任地としてこの場所が選ばれたのには裏の理由があります。それは植民地総督であるシェリンフォード=ハウマンと、ラベルタ準州軍の指揮官であるアルベルト=ナイルズが不仲で、総督のかつての部下であるウィンクルソンが、進言と称してことあるごとにナイルズのやり方に口を挟むため、厄介払いとして僻地の危険地帯へと送られたのです。しかし、当人は上司の不興を買うことなど気にしていないようで、現在の任務を遂行することに没頭しています。


▼霊媒師アニャム(黒人/女/?歳)
 アポルト山の奥地に住むイバレマ族の霊媒師で、齢は100歳を越えているといいます。彼女は周辺の精霊信仰者たちを束ねる存在で、非常に大きな発言力を持っています。生き字引として頼りにされておりますし、薬師としての経験も非常に豊富で、付近の草花について深い知識を蓄えています。また、古い伝承を数多く知っており、よく広場で子供たちに話して聞かせています。20年以上前から盲いているはずですが、まったく不自由なく生活しているため、彼女は精霊に守られているのだと周囲は信じています。


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