基本
ペルソニア大陸に伝わる魔術的な力を宿した仮面のことで、仮面使い(ペルソナ・マスター)と呼ばれる人々が作製します。これは特別な製法でつくられた陶製のものですが、薄さのわりには非常に硬く、落とした程度で割れることはありません。様々な機能のものがあり、持ち主に特別な力を与えるものもあれば、呪詛に使われることもあるといいます。
○構造
呪装仮面は『刻印呪法』と呼ばれる秘術を使って作製されているものです。これはかつて南部にあった巨石文明から伝わったもので、仮面使い(ペルソナ・マスター)と呼ばれる人々が、その秘術を現在も継承しています。しかし、現在伝わっている呪装仮面は刻印パターンも簡素なもので、始原ペルソニア文明の人々が作製していたものは、遥かに強力な効果を発揮していたようです。
▼種類
通常、単に呪装仮面といった場合は、刻印呪法によって作製された全ての仮面のことを指しますが、このうちでも古代文明の人々が用いていた仮面は、『秘法仮面』と呼んで区別されています。このような仮面が発掘されることもありますが、多くは南部の未踏地に存在するため、エルモア地方の人々の目に触れることは少ないでしょう。
▼聖砂
聖砂と呼ばれる特殊な砂を粘土に混ぜ合わせた素材を焼き上げるため、仮面使いやその弟子はそれを手に入れるために定期的に旅に出ます。また、古くから存在していたようなのですが、聖砂売りと呼ばれる行商人が各地を回って、聖砂を仮面使いたちに届ける場合もあります。
聖砂は呪装仮面の霊的な力を発動させる時にも用いることもありますし、霊砂を仕込む場所を設けた仮面も存在するようです。
▼技術
呪装仮面を作製するためには、魔道回路を形成するために刻印を施す導霊物質(霊子を通す物質)と、霊子をエネルギー源とする無機生物が必要となります。仮面使いたちが聖砂と呼ぶものには、このいずれもが含まれています。
○外見
呪装仮面は陶製の仮面となりますが、機能は裏側の刻印パターンに依存するもので、外見には様々なものがあります。色や表面の質感は、材料となる粘土やその混合物によって左右されます。
先頭へ
作製
○作製者
特に意味を持たない仮面は普通の職人でも作製することが出来ますが、呪術的な意味を持つ仮面の作製は、特別な人間にのみに許される神聖な行為とされています。
▼仮面使い(ペルソナ・マスター)
呪装仮面を作製することが出来る者は、仮面使い(ペルソナ・マスター)と呼ばれています。仮面使いは最高の尊敬を受ける神聖な存在であり、部族によっては祭祀を司る役目や族長を兼ねることもあります。
その秘術を伝える者は多くはありませんが、砂漠には仮面使いのみで構成される部族も幾つか存在し、素質のある者にこの業を教えたり、他の部族のために仮面を作製すると言われています。彼らから仮面を授かることを、族長になるための試練としている部族も存在します。
○材料
呪装仮面は以下の素材を用いて作製します。
▼聖砂
ペルソニアの特定の地域で採取される砂のことですが、これには通常の砂の他に、『霊砂』、『真砂』(ケイ素の導霊物質)、そして『砂孔蟲』と呼ばれる無機生物が混合しています。
◇真砂
霊子を伝導する性質を持つケイ素のことで、ペルソニアの砂漠の砂の中に豊富に混在しています。◇砂孔蟲
『砂孔蟲』は変異現象によって誕生したものです。砂粒によく似た微小な無機生物で、ケイ素や真砂を主要な構成物質とします。霊子物質や生命体から吸収した霊子をエネルギー源として活動するもので、その殆どはペルソニア大陸の砂の中で生活しています。詳細については「砂孔蟲」のページを参照して下さい。
体内に真砂を含んでいるため、これを連結することで魔道回路を形成することが可能です。ただし、呪装仮面を作製する時は聖砂のまま利用しているため、砂孔蟲のみで回路を作るわけではありません。
▼不足
霊砂、真砂、砂孔蟲のいずれが不足しても、呪装仮面の機能は正常に働かなくなります。この場合、霊的効果を全く発揮しないだけでなく、予想しない効果が発動されてしまう可能性もあります。なお、これは量的な不足に関する話であり、素材の含有比率は特に問題とはなりません。
○製造/基本
まず最初に、聖砂を粘土に練り込んだものを固く焼き上げ、陶製の仮面を作ります。これによって砂孔蟲同士が連結して群体となり、魔道回路の基礎構造が形成されされます。その上で仮面の裏側に機能に応じた刻印を彫ることで、呪装仮面としての能力を与えます。
▼構成素材
仮面を作製する際に構成素材に用いられた霊砂は、砂孔蟲が群体化する際に消費されてしまいます。余分に含まれていた場合は内部に残留しますが、砂孔蟲の生命活動を維持するために使われてしまうのが普通です。
▼刻印呪法
仮面文字と呼ばれている刻印パターンを仮面の裏側に刻み、魔道回路を形成します。仮面文字は南部の石文化圏で共通に見られる神聖文字の一種で、仮面系の術法で用いる紋様はこれから派生したものです。
仮面文字を彫ることを霊刻といい、仮面使いたちはその技術のことを『刻印呪法』と呼んでいます。刻印に異常や欠損のある仮面は、正しく霊的効果を発生させることは出来ません。ただし、これによって偶然に別種の魔道回路が形成される場合は、異なる影響を生じさせる可能性があります。
▼技能/専門分野
仮面の製法については、《刻印呪法》という技能の〈呪装仮面〉という専門分野を身につける必要があります。なお、仮面文字は言語として別に習得する必要はなく、〈呪装仮面〉を獲得すれば自動的に習得したことになります。
○製造/刻印
▼基本刻印
以下のものは基本的に全ての呪装仮面に施される刻印となります。
◇定形刻印
通常、仮面使いたちは最初に、定形刻印と呼ばれる刻印を施します。これは砂孔蟲の増殖を防ぐためのもので、仮面の機能や製作者の流派にかかわらず、ペルソニア全土で見られる共通の仮面文字となります。
この刻印が施されていない仮面は、砂孔蟲の増殖によって形状の変化や破損が起こったり、魔道回路である刻印に変化が生じてしまうことになります。なお、仮面の周囲に構成物質や霊子物質が存在しない場合は、仮面の素材が増殖の材料として消費されてしまいます。◇機能刻印
仮面に機能を持たせるための刻印のことで、目的とする効果に応じた仮面文字を裏面に刻んでゆきます。通常の仮面は基本的に単機能となりますが、1つの仮面に複数の機能を持たせることも可能です。
なお、この刻印を不完全な状態で刻んでおき、指などで仮面に紋様を描いて魔道回路を補助したり、外しておいた刻印パーツを再び取り付けることで、機能を発動させるタイプの仮面も存在します。これによって、設定されている複数の機能を使い分けることも出来ます。
▼制御刻印
基本刻印の他に、以下のような制御用の刻印を施す場合もあります。
◇鎮魂刻印
仮面が接触した者の【精神値】を吸収しないよう、抑制するための刻印です。通常、仮面は装着者の精神値を吸収して発動させるため、この刻印を施すことはあまりありませんが、古代の秘法仮面には特殊な結晶石で発動させるものも多くあるようです。◇休眠刻印
霊子エネルギーが与えられない状態が長く続けば、仮面を構成する砂孔蟲は自動的に休眠状態に入ります。再び霊子エネルギーの供給源に接触した時は、すぐに目覚めて呪装仮面の機能を取り戻すのですが、あえて強制的に仮面の機能を封じておくことも可能です。休眠刻印が刻まれている仮面は、霊子エネルギーを得ても効果を発揮することはなくなります。
○機能刻印
仮面に機能を持たせるための刻印のことで、目的とする効果に応じた仮面文字を裏面に刻んでゆきます。
▼機能レベル
発動させる霊的効果に応じて設定されるランクのことで、この数値が高いほど大きな効果を発揮することになります。
▼仮面レベル
呪装仮面の基本的なランクを示す数値で、高いほど複雑な機能を組み込むことが出来ます。現在作製されている呪装仮面の仮面レベルは1〜3の値をとりますが、3レベルの仮面はあまり存在しません。なお、秘法仮面の場合は3レベル以上のものも珍しくはないようです。
◇仮面レベルの決定
仮面レベルは作製時における砂孔蟲の連結状態に依存するもので、仮面使いの技術によるものではありません。しかし、秘法仮面は高いレベル設定がなされていることから、現代には伝わっていない何らかの技術によって、仮面レベルを制御できるものと考えられます。◇機能レベルの上限
通常の仮面は基本的に単機能となりますが、複数の機能を持たせることも可能です。ただし、1つの仮面に組み込むことのできる機能刻印には上限があり、機能レベルの合計が[仮面レベル×2]レベル以下でなければなりません。
▼霊刻判定
呪装仮面を作製するための判定は、霊刻(専門:器用+刻印呪法)を基準に行ないます。この時の難易度は、仮面の機能に応じて設定される機能レベルが基準で、[機能レベルの合計+機能数]を目標とした作製判定に成功する必要があります。たとえば、1レベルの機能を3つ備えている仮面であれば、[機能レベル3+機能数3]=6が難易度となります。
○製造/仕上げ
ペルソニアの人々にとって、呪装仮面は単なる実用の品というだけではありません。神聖なる力の依代であると同時に、部族のアイデンティティを示すものとして考えられており、それを作製することは儀式の1種として認識されています。そのため、呪装仮面には本来の機能とは別に、表面に様々な装飾や紋様が施されるようになり、さらに神秘の結晶としての威厳を増す結果となりました。たとえば、黄金や宝飾品で飾り立てたり、部族の守り神となる生き物の顔を描くといった具合で、祭祀にしか用いられない仮面も存在します。
▼霊的干渉
呪装仮面として霊的効果を発揮させるのは、基本的に裏面に彫り込んだ霊刻によるもので、表面に施した装飾には意味はありません。しかし、刻印パターンを模した紋様の中には、魔道回路に干渉するものも存在し、本来の機能に変化を加えるために化粧を施す手法も存在します。こういった補助的な技術も含めた仮面の技が、後に仮面系や化粧系の術法の起源となったようです。
霊的な力を持たない仮面も、このような経緯を辿って装飾を発展させました。そして、各部族の仮面匠たちの自由な発想と技巧により、芸術品として進化を遂げたものまで存在します。
先頭へ
発動
呪装仮面の機能は以下のような手順で発動させることが出来ます。
○発動作業
呪装仮面は霊子と接触することで発動するもので、このために特別な知識や技術は必要ありません。ただし、実際の効果として特別な意味はなくても、発動時に何らかの儀式的動作を伴う部族は多いようです。
消費する霊子は、通常は仮面の装着者の【精神値】を用います。発動時、仮面は刻印パターンに沿って青白い光を発するため、これで発動したかどうかを判別することが出来ます。
▼回路の追加形成
仮面に特定の機能を持たせるための機能刻印を、不完全な形で刻んでおく場合もあります。このような仮面を用いる時は、指などで仮面に紋様を描いて魔道回路を補助したり、外しておいた刻印パーツを正しい位置に取り付けることで、機能を発動させることになります。なお、補助動作として紋様などを描く場合は、予め霊砂や霊水を指につけておくなどしなければ、魔道回路が形成されないことになります。
▼複数機能
最初から複数の機能が刻印されている仮面は、全ての機能が自動的に発動します。回路を追加形成するタイプのものは、魔道回路を形成したものだけが発動することになります。
○準備時間
仮面は起動させてから1ラウンド後に霊的効果を発揮します。これは砂孔蟲が吸魂に1ラウンドの時間を要するためで、その後の魔道回路による霊的効果の発動は瞬時に行なわれます。
○霊子の消費
機能刻印として刻まれた魔道回路を発現させるためには、以下のような手段で仮面に霊子を与える必要があります。霊子は仮面との接触によって自動的に吸収されますが、霊的効果が維持されている最中に新たにエネルギーを吸収することはありません。
▼消費基準
◇精神値
1回の発動につき[機能レベル×1]点の精神値を消費します。◇霊子物質
1回の発動につき[機能レベル×100]EPのエネルギーを消費します。
▼精神値
鎮魂刻印が施されていない通常の呪装仮面は、接触した際に自動的に吸魂の能力が発動し、相手から【精神値】を吸収して機能を発言させます。ただし、これは機能刻印が正しく魔道回路を維持している場合の話で、何らかの理由によって回路に異常があったり、意図的に補助回路を要する仮面として作製している時は、接触だけで【精神値】を失うことはありません。
◇精神値
1回の発動につき[機能レベル×1]点の精神値を消費します。◇精神抵抗
【精神値】の吸収を防ぐ意思がある場合は、仮面レベルを難易度とした【精神抵抗】を試みることが出来ます。◇吸魂対象
吸魂が行なわれるのは仮面に接触した相手となります。複数の者が同時に接触した場合は、仮面の裏面に触れている者、より接触面積が広い者が自動的に 優先されます。◇問題
吸魂は自動的に発揮される砂孔蟲の特殊能力です。霊的効果が発揮されている最中に吸魂能力を発動し続けることはありませんが、効果時間が過ぎれば再び吸魂が行なわれます。そのため、限界が来る前に仮面を外さなければ、いずれ【精神値】を失って精神崩壊に至るでしょう。
▼霊子物質
現在作製されている仮面は技術レベルが低く、魔道回路に多くの無駄があるため、実際よりも多くの霊子エネルギーを消費します。そのため、発動には多量の霊子物質が必要とされ、現実的に考えて呪装仮面のエネルギー源としては不適当となります。
◇霊子物質
1回の発動につき[機能レベル×100]EPのエネルギーを消費します。
◇燃料とEP
名称 燃料価 霊石(1L) 10EP 霊水(1L) 5EP 霊砂(1L) 1EP
▼霊砂
霊砂は内包されているエネルギー量が少ないため、発動そのものに利用するのは殆ど不可能です。しかし、魔道回路の補助に用いることは出来ますし、仮面の所有者たちの多くは呪術的な儀式として、使用時に霊砂を仮面に接触させます。ペルソニアの人々はこの儀式のことを『砂食み』と呼んでおり、殆どの部族では独特の動作を伴う儀式として伝わっています。
○効果
発動作業が正しく行なわれれば、刻印されている機能を発現させることが出来ます。
▼系統
呪装仮面によって発動させる機能は、術法と同種の霊的効果となります。▼達成値
呪装仮面の場合、霊的効果の達成値は自動的に[仮面レベル+機能レベル]となります。▼対抗判定
対抗判定は通常と同じやり方となります。▼重複
同様の効果を持つ機能が重ねて発動された場合は、達成値の高い方が有効となります。その他は、対抗判定の方法に準じて裁定して下さい。
先頭へ
問題
滅多にあることではありませんが、呪装仮面には以下のような問題が発生する可能性があります。
○外的影響
▼刻印パターン
仮面の裏側に施した刻印に、何らかの異常が生じている呪装仮面は、霊的効果がまったく発生しないか、異なる影響を生じさせる可能性があります。
▼追加装飾
追加装飾によって、偶然に異なる魔道回路が形成される場合もあります。
▼自動発動
ごくまれにですが、霊子物質や生物と接触しなくても、自動的に魔道効果を発生させる場合があります。なお、ペルソニアの場合は、『星の波』と呼ばれる変異現象が生じる際に、仮面が自ら起動する現象が度々見られるようです。
○霊魂
もともと霊魂を憑依させるために作製された仮面も存在しますが、以下のような条件が整った場合は、その機能を持たない仮面にも霊魂が宿る可能性があります。霊魂を持つ仮面は機能や装着者の精神に対して、何らかの悪影響を及ぼす可能性があります。
▼結晶仮面
定形刻印を施していないものや、この刻印が破損して正常に機能していない仮面は、内部が結晶化している場合があります。このような仮面のことを、仮面使いたちは『結晶仮面』と呼んでいます。
結晶仮面はやがて霊魂を宿す可能性があるため、変化している場合は破棄してしまうのが普通です。なお、こういった仮面は表面がひび割れ、青白い霊子結晶の層が外部に付着しているため、仮面使いたちは簡単に見分けることが出来ます。
◇原因
ペルソニアの人々は気づいておりませんが、この透明結晶は周囲に豊富な霊子が存在する時に、砂孔蟲が大増殖を行なおうとしてつくる特殊な状態です。しかし、仮面は既に焼き固められているため、増殖のために形成する魔道回路の材料となる真砂を利用できず、増殖が止まったままとなってしまうのです。◇仮面の墓場
結晶仮面は砕いて砂漠の砂に還すというのが、一般的な仮面使いたちのしきたりです。部族にもよりますが、破片を捨てる場所はだいたい決まっており、そこは仮面の墓場と呼ばれています。なお、砂漠にある仮面の墓場では、ときおり霊石の欠片が発見されることがありますが、これは捨てられた結晶仮面が引き起こす現象です。
▼憑依霊魂
結晶仮面は霊魂を宿す可能性がありますが、これは以下のような場合に起こる現象です。
◇精神パターン
変異現象などの影響によって、特定の精神パターンが結晶仮面に焼き付いて、それがやがて自我を持つ霊魂として活動する場合があります。また、仮面の装着者の霊魂、もしくはその一部を模倣した霊魂が誕生する可能性もあります。◇霊魂憑依
霊魂が憑依することで自我を持つ仮面となる場合もあります。
▼影響
霊魂を宿した結晶仮面は、以下のような問題を引き起こしてしまう場合があります。
◇魔道回路
仮面に宿った霊魂は呪装仮面の魔道回路に影響を与えるため、機能が発動しなくなったり異なる霊的効果が発揮される可能性があります。また、逆に憑依霊魂の意識に何らかの障害をもたらすことも考えられます。なお、霊魂の影響によって欠けている魔道回路が補完された場合は、補助動作や欠損パーツの補充がなくても、自動的に仮面の機能が発動することになります。◇自動発動
自我を持つ霊魂は、自らの意思によって仮面の機能を発動させることが出来ます。そのため、接触者の【精神値】を消費することなく、霊的効果が発揮されることもあります。◇意思疎通
憑依霊魂は装着者や周囲の者と意思疎通できる可能性があります。ただし、これを行なうためには特殊能力を持っていたり、仮面の霊的効果としてこの機能を持つ必要があります。◇意識の共有化
霊魂が憑依している呪装仮面の場合は、接触している相手から【精神値】を吸収する際に、一時的に精神の共有が行なわれます。この間、霊魂と装着者は自由に意思疎通を試みることが出来ます。ただし、長期間このような状態が続けば、互いの自我に何らかの影響を及ぼす可能性がありますし、最悪の場合は精神の融合が起こってしまう危険性が考えられます。
先頭へ