報奨金制度


 


 現行の警察組織では、臨時警察官制度とともに報奨金制度も採用されています。民間人でも犯罪者の現行犯逮捕や有益な情報提供を行った者には、それなりの謝礼が支払われるのです。


○制限

 しかし、民間人には捜査権も逮捕権もありませんから、確実な証拠なしにこれを行うのは非常に危険なことです。場合によっては捜査の妨害や法律違反になりますし、相手の身分が高かった場合は、決して間違いでは許されないでしょう。特に相手を傷つけることは、余程の事情がなければ警察官や保安官といえども罪になる可能性があるもので、民間人ではなおさらのことです。自分の命が危険にさらされたり、あるいは相手が怪物に操られていたとしても、それが立証できなければ傷害罪が適用されてしまいます。証拠が全くない状態で相手を殺してしまったら、もちろん殺人罪が適用されることになり、場合によっては死刑ということにもなりかねません。


○不正

 こういった事情は、不正の格好のネタとなるものです。相手のミスをもみ消す代わりに金品をせびるというのは、どの警察組織でも非常によく使われる手口です。裁判官まで抱き込んでより多額の不正収入を得ようとする者もいます。もし、全く罪にならない状況であっても、証拠品や犯人の隠匿を行ったなどと言いがかりをつけたり、ありもしない証拠を捏造して相手を犯罪者に貶めて、手柄を横取りしてしまうこともよくあるのです。
 何でも屋や探偵はこれらを回避する手段として、日頃から警察官と親しくしたり、賄賂や情報を渡して優遇してもらう、ということをよく行います。こういった状況に持ち込みやすいように、警察官の側でも日付を遡って保安官として登録するという、書類の偽造を頻繁に行います。これは相手から賄賂を得られると同時に、手柄をまるごと警察のものとすることができますから、非常に有効なやり方といえるでしょう。
 話を持ちかける側としても警察にコネができますし、報奨金は確実に手に入りますから、決して悪い話ではありません。実際、この世界では証拠が立証できない事件もよく起こるので、この制度は必要悪と言わざるを得ないのです。


 このような事情があるため、報奨金制度を利用するのは警察官と個人的に親しくしている者か、ある程度は裏のやり口を知っている者ということになります。民間人は警官の不正行為を警戒するあまり、逆に警察を遠ざけてしまうこともあり、時にはこれが事件の解決を遅くすることもあるようです。
 なお、法教会を信奉する3国では聖堂騎士の監視が厳しく、このような手段は通用しません。よほど巧妙に隠蔽する自信がなければ、手を出さない方が賢明でしょう。


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