渡航者組合

概要入会


 

概要


 渡航者組合は各地を回る旅人の身元の保証などを請け負う組合で、大道芸人やサーカス芸人、それから巡礼者や傭兵などが登録していることもあります。冒険者組合のように比較的緩い形態の組織であり、エルモア中にある宿や酒場の協力で成り立っています。


▼繋がり
 渡航者組合は職業組合と手を結んでおり、傭兵組合、冒険者組合、術法協会をはじめとする多くの職業組合が加盟しています。巡礼目的の渡航者に限っては、宗教機関が組合加入者の身元保証を行います。


▼活動単位
 組合は各国家に存在する州や県単位で1つの団体として存在し、県庁などに県/州本部が置かれています。それから、市や町村といった地域ごとのグループに分かれ、地域支部の代表が加入者(店)を管理することになっています。この加入者のことを、一般に渡航保証人と呼びます。
 これらの団体とは別に、国家内の地方(幾つかの県/州を含む)ごとに地方本部が置かれていますが、これはあくまでも組合加入者の記録を保管するための機関に過ぎず、身元保証や加入許可は各団体の責任で行います。


▼加入のメリット
 通常の国家では国内移動に許可を必要とはしませんし、エルモア地方にはパスポートのような公文書を提示する制度はまだありませんので、その土地で特別に制限されているのでもなければ、国家間であっても自由に行き来することが可能となります。
 しかし、身元の保証なしで放浪生活を送っている場合は、移動先で何らかの問題に巻き込まれた際に、真っ先に疑われることになります。この世界では確たる証拠もなしに逮捕される可能性もありますし、身元引受人がいない場合には身の潔白が証明されるまで監禁されたままとなってしまいます。しかし、渡航者組合に加入していれば、このような状況に陥っても組合が身元を証明してくれますし、知り合いのいない土地でも渡航保証人が身元引受人となってくれます。
 また、身元保証以外にも居場所を明らかに出来るという点で、渡航者にメリットを与えてくれる場合があります。組合加入者の移動記録はおよそ半月毎に地方本部に届けられるため、放浪生活を送っていても足跡を追うことも出来ますし、組合を通じて連絡の仲介を頼むことも可能となります。


○身元保証

 渡航者組合による身元の保証は、メンバーが渡航保証人の所属する地域にいる間だけのものとなります。メンバーはある地域を出る時に判をもらい、それを違う地域に入る時の仮の身分証明書とすることができます。そして違う地域に入った時は、その土地の渡航保証人の判をもらい、そこでの身元を保証してもらうことができます。
 身元保証は地域単位のものとなり、その地域を一歩でも外に出た場合は保証の限りではありません。違う地域に入る時の身元確認のための書類とはなっても、それに対しての責任は生じません。また、判を押した渡航保証人以外の者は、地域の代表であっても一切の責任を負う必要はないのです。
 この制度は渡航保証人にとっては非常にリスクが大きいものですが、それなりのメリットがあります。まず、メンバーの加入および更新手続きの手数料を、地域支部の渡航保証人の頭割りで受け取ることができます。多くは小さな宿の主人が渡航保証人となりますが、メンバーは必ずそこに泊まらなければならないという約束事がありますし、渡航保証人が斡旋人であれば、その知り合いのアパートなどに住居を定めなければなりません。


▼義務
 10日以上違う場所に泊まる場合、メンバーは保証人に報告する義務を負うことになります。連絡がない時は、保証人はメンバーの身許を保証する義務が無くなります。犯罪に巻き込まれても身元の保証はしてくれませんし、逆に知る限りの一切の情報を警察機構に引き渡します。意図的に組合を裏切り、信用を落としたと判断される場合は、組合のメンバー全員に手配書が回ることになります。他のメンバーも組合が潰れると困ることになりますので、積極的に情報を提供するのが普通です。


▼身柄の拘束
 なお、故意ではなかったとしても、渡航保証人に多額の被害を負わせた場合は、渡航保証人に身柄を拘束する権利が与えられます。その場合は、損害賠償を済ませるまでは渡航保証人が管理する地域から外に出ることはできませんし、指定した仕事を優先的に引き受ける義務を負います。また、渡航保証人から組合脱退の要請があった場合、絶対にこれを承諾しなければなりません。別の土地の代表にも連絡が届くので、身元を偽って新たに登録しない限りは、これ以後は組合から一切の保証が得られないことになります。


▼保証の範囲
 渡航者組合の身元保証は法的な根拠があるわけでなく、あくまでも地域の信用の上に成り立つ制度です。そのため、これで金融機関から資金を貸してもらえるわけではありませんし、連帯保証人のように負債を肩代わりしてもらえるわけでもありません。しかし、多くの国家ではこれが身元保証として成立しています。


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入会


○登録

 最初に渡航者組合への登録を行う場合は、必ず1つの地域に保証人あるいは保証団体を置かなければなりません。多くは親や職業組合がなりますが、戸籍がある場合はそれを保証人の代わりとすることができます。
 保証人、保証団体による身元保証には3年の期限があり、それが過ぎた場合は登録申請地で、改めて身元保証の継続を証明する必要があります。ただし、これは書簡による申請でも構わず、必ず登録地に戻らなければならないわけではありません。保証人が死亡したり保証団体が解散した場合、渡航者組合は身元保証の責任を放棄することが出来ます。この時は改めて組合に加入登録を行う必要があります。


○許可と渡航パス

 入会が認められるかどうかは、申請地域(地域支部)の代表の判断に任されます。なお、カルネア、ユノス、エストルーク、セルセティア、および内乱やそれに近い状態にある国家や地域では、それなりに審査は厳しいようです。国家によっては戸籍あるいは保証人の片方のみでは認められず、戸籍証明書に信用ある人物の推薦状を添えて手続きを行わなければなりません。
 加入が認められたメンバーには渡航パスが発行され、それに渡航保証人の判が押されてゆくことになります。パスは1年ごとに更新する必要がありますが、移動生活を行う者の多くは昔のパスも保管して持ち歩いています。パスは過去に問題を起こさなかった実績でもあり、これによって信用を得られる場合もあるからです。


○費用

▼個人加入
 渡航者組合への初期入会費は3万エランです。更新は1年毎に行い、更新費用とパスの発行手数料として3000エラン、身元保証料として月に3000エランを納めなければなりません。身元保証料はまとめて支払う必要はなく、支払った月のみパスが有効となりますが、1年分を一括で納めれば3万エランに割引されます。これらは登録した支部に対して支払われるものであり、登録申請地と更新申請地が異なる場合は、仲介手数料として1000万エラン+連絡料だけ余計に更新費用がかかります。


▼集団加入
 集団登録を行なった場合、代表者1名以外は全ての費用を3分の1とすることが出来ます。そのかわり、渡航パスは代表者にしか発行されず、その他の者は集団登録証明書を貰うことになります。集団登録証明書だけでは渡航パスとして認められませんので、代表者と同行していない場合は身元の保証を受けることは出来ません。


▼巡礼者
 宗教機関から認められた巡礼者の場合は、身元の保証は完全に宗教機関が行うことになり、宿泊する場所も巡礼宿など各宗教機関が指定した場所に制限されます。組合は身元保証に関与することはなく、パスの発行と名前を貸すだけとなります。このため、初期費用は入会費とパスの発行手数料を合わせて1万エランとなり、身元保証料を支払う必要もありませんが、代わりにパスの有効期限は1年に限定されます。これは更新することは不可能で、新しいパスを得る場合は改めて入会し直す必要があります。


○補償金

 登録費用や身元保証料とは別に、滞在している間はその地区の渡航保証人に、1万エランの補償金を支払う必要があります。これは何も問題が起こらなければ次の場所へ移動する際に戻ってきますが、何か問題が起こった時は渡航保証人に支払われる迷惑料となります。なお、サーカスなど集団で移動している者は、最初に預ける補償金は人数によって割引されますが、問題が起こった時には正規の料金を支払わなければなりません。


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