ルクレイド共和国/全体情報

概要基本情報国土変異現象文化・生活人物・集団


 

概要


 大陸南部にある小国で、フレイディオン、メルリィナ、ユナスフィール教国と隣接し、南東部はアリアナ海に面しています。国土は全体に山地が多く、起伏に富んだ地形をしています。
 この国では32年前に革命が起こって、貴族支配国家から共和主義国家への転換を遂げています。現在も共和政体が続いており、三権分立の近代的な政治が行われています。しかし革命後の混乱から、まだまだ国内が安定しているとは言い難い状況にあり、旧王権派の残党がテロ活動を行ったり、過激な改革派が独立州を確立しようとして活動したりと、まだまだ国内には問題が山積しています。また、最近になって、隣国フレイディオンの総統アルザフが台頭してきたため、軍備の強化をせざるを得なくなっております。


 政治:全体/民主主義/三権分立/近代的な政治制度
   :地方/自治体/方式は全国で統一
 代表:首相
 貴族
:なし
 軍隊
:国家が統括/近代的な常備軍
 警察
:国家が統括/通常組織
 司法
:国家が統括
 宗教
:聖母教会/中〜高
 教育
:高
 科学
:中〜高
 術法
:中〜高


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基本情報


 大陸南部にある小国で、フレイディオン、メルリィナ、ユナスフィール教国と隣接し、南東部はアリアナ海に面しています。国土は全体に山地が多く、起伏に富んだ地形をしています。
 この国では32年前に革命が起こって、貴族支配国家から共和主義国家への転換を遂げています。現在も共和政体が続いており、三権分立の近代的な政治が行われています。


▼国号
 正式名称はルクレイド共和国となります。

▼国旗
 左から黒白緑に三分割された縦縞の国旗です。

▼貴族
 貴族位は完全に廃止され、称号も失われています。

▼首都
 カンヴァート地方の西部にあるリルト市で、5月革命以後に遷都された新しい都です。商業都市として栄えた場所で、現在も交易の中心地として機能しています。


○現況

 革命が起こって32年たった現在ですが、まだまだ国内が安定しているとはいいがたい状況です。しかし革命政権は慎重派が多く、ゆっくりと政治形態を模索しながら体制を徐々に強固にしています。こういった現政権に対して、旧王権派の残党がテロ活動をしたり、過激な改革派が独立州を確立しようとして活動したりと、まだまだ国内には問題が山積しています。また、最近になって、フレイディオンの総統アルザフが台頭してきたため、軍備の強化をせざるを得なくなっております。


○民族

▼カリスト人(白人)
 赤い巻毛に鳶色の瞳をもつ白人で、幼い頃はそばかすが多いのが特徴です。全人口のうち85%以上を占めています。

▼セナイア人(白人)
 小麦色の肌に金髪、碧眼の白人です。フレイディオン由来の民族で、全人口の10%ほどを占めています。


○宗教

 聖母教会を信奉しています。ウェスト=ギーナには『雲の聖サラーシャ』教会があり、敬曳な信者が多く存在します。
 ユナスフィール教国へ巡礼に行く者は多く、国境の街ソンムは毎年にぎわいをみせます。街道筋には一定距離ごとに修道院が建っており、旅人を暖かく迎えてくれます。


○科学・教育

 革命の影響で一時的に教育水準は落ちましたが、その後は他国に追いつくために積極的に技術開発を推進してきました。そして霊子機関などの高度な科学技術が導入されるようになると、社会はより高度な知識を必要とするようになり、エルモア地方では最も早く初等学校(6年)での授業料の無料化に踏み切りました。
 このような高度な学校教育制度が受け入れられるようになったのは、近代教育の父と呼ばれるアーシュリア=クリスィンの努力があったからです。彼は貴族の出自であったのですが、その生涯を教育制度の改革に費やし、現在ではエルモア中で彼の思想が受け入れられるようになりました。


○産物

▼農産物
 トウモロコシ、柑橘類、麻、ヒマワリ、ゴマ、タバコ

▼鉱産物
 霊石、霊水、鉄、石炭、水銀、りん鉱石

▼その他
 装飾タイル、工業機械、鉄材、製紙、綿織物、磁器


○交易

 南部の港を通じたアリアナ海貿易や、近隣諸国との陸上交易を行っています。ただし、内乱によって一時的に諸産業が衰退したため、現在は輸入の方が多くなっているのが現状です。政府は輸出による外貨獲得を目指し、国内産業の振興につとめています。


○交通

 主な交通手段は馬車ですが、近年では一部の都市間で鉄道が敷設されるようになっています。政府は鉄道網の構築に力を入れており、各地で数多くの路線が開通することでしょう。


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国土


○概要

 大陸南部にある国家で、土地の5分の1ほどはフォリル半島に存在しますが、その突端はユナスフィール教国となっています。北部はルーエンス山脈の西端にかかっており、フィムール川の源流となっています。全体に山がちな国土で、山地の間を縫うように平野が開けています。しかし、ルーエンス山脈と南部のエルゴナ山を除くと、いずれの山地もそれほどの高さはなく、最も高いもので2000mを少し越えるぐらいになります。


▼北部
 北東部の一端は大陸性気候の影響が見られますが、全体に温暖で雪が降ることは殆どありません。ただし、断層盆地や谷底平野などがある一帯では寒暖の差が激しく、標高の高い場所では1〜2月頃に雪が積もる場合もあります。


▼南部
 中部以南は平野が広がっており、トウモロコシの栽培や牧畜が行われています。南部はほぼ全域がアリアナ海に接しており、この付近の気候は夏期に高温乾燥、冬は温暖湿潤となるアリアナ海型です。5月頃から暑くなりはじめ、8月頃には気温が30度を上回る日が多くなりますが、乾燥しているので体感的な暑さはそれほどでもありません。


○地図


 


○要所

▼ルーエンス山脈
 フガール地方の北部一帯を覆う山地で、ペトラーシャからフレイディオン東部までを横断しています。この麓には鉄山や石炭の炭坑が集中しており、この国の工業の根幹を支えています。


▼エルゴナ山
 クスティア地方に存在する、標高4000mほどの秀峰です。南部は比較的なだらかで優しい姿をしておりますが、北部は峻険で切り立った崖が多く、北壁を越えることは不可能と言われています。


▼フィムール川
 ルーエンス山脈から国家北部を流れてアリアナ海に注ぐ大河で、鉱物資源の大半はこの川を通って運ばれてゆきます。


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変異現象


○夢魔現象

 誰かの強い思いが夢になって現れるという現象です。これは国の全土で起こるもので、西に進むほど頻繁に起こるようになります。
 多くの夢魔現象は過去に起こった悲劇や死者の念、あるいは誰かの強い悩み・恐怖といったものを根源としています。そのため、夢魔に取り憑かれた者は、最終的に精神に何らかの支障を来たしてしまいます。
 このような事情から、ルクレイドには夢系や精神操作系の術法師が多く存在します。夢使いと呼ばれる者は、特にこの現象のエキスパートとして尊敬を得ています。


○その他

▼風の道
 エルゴナ山の北部では、永遠に決まった方向に風が吹き続ける不思議な道が存在します。風量はやや変化しますが風が止むことはなく、季節や時間帯に関係なくほぼ一定の風量が確保できます。このため付近では古くから風車が利用されており、風車の道と呼ばれることもあります。


▼メッキ石
 ルーエンス山脈の一部では、金メッキが施されたメッキ石と呼ばれるものが発見されることがあります。これは天然のものであり、全く手のつけられていない岩の中から掘り出されます。このため、古くはここに金の鉱脈が存在するのだと勘違いして、私財をなげうって鉱山開発を行った者が多くおりました。


▼暗黒洞窟
 エルゴナ山の西部にある洞窟で、光を投じても何も見えない不思議な暗闇が内部を支配しています。これによって何か害があるわけではありませんが、気味が悪いために近づく者はおりません。地元の伝承では闇精霊の住む洞窟だとされておりますが、それが事実かどうかも全く不明のままです。


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文化・生活


 古くから侵略を受けることが多い土地であったため、忍耐強く立ち回りがうまい人々が多いと他国から評されています。また、常に良い方向に気分を切り替えるのが上手で、災害や戦乱に巻き込まれても立ち直りの早い、非常にたくましい人々といえます。一方で、簡単に方針を替えてしまうので信用ならないという評価を受けたり、裏切り者の血脈と言われることもあるようです。これには安請け合いしてしまう国民性や、洒落好きなところも関係しており、特に西部は嘘つきや大げさな人間が多いとされています。


○食べ物

 ヒマワリ、ゴマ、トウモロコシといったものがよく料理に使われています。料理に使われる油は、このうちのどれかから抽出されたもので、ヒマワリ油が特に好まれています。
 主食はトウモロコシで、コーンフレークのように薄く焼いたものや、トウモロコシの粉をといて蒸したパンなどが食べられます。トウモロコシの粉とチーズ、にんじん、ハーブ、パセリをまぜて煮込んだスープや、トウモロコシの粉でつくったドーナツなどもよく食卓に上がります。
 また、南部では辛いものが好まれる傾向にあり、料理には唐辛子や山椒をたっぷりかけるのが一般的です。


○革命記念日

 前国王フィアンス2世が処刑された5月24日が革命記念日で、国民の休日として定められています。前夜祭である23日の夜には、窓際や街灯に色とりどりのグラスを括り付け、その中に蝋燭を灯して動乱で命を落とした人々の魂を慰めます。しかし、その静かな時も夜中の12時までのことで、24日になった瞬間に花火が上がり、革命記念祭がはじまります。人々は夜通し酒を酌み交わし、革命の成功と生の喜びを祝うのです。
 最も盛大に祭りが催されるのは首都のリルト市で、24日の正午には革命広場で国家首相も出席するパレードと祝典が開かれます。なお、政府高官の多数出席するこの式典は、王権復興派のテロの標的になりやすいため、警備は非常に厳重となります。


○工芸

▼ムーク透磁器
 ムークナント地方のメルタウス山近辺には硝子質が多く含まれた土壌が広がっており、ここの土で作った薄い焼き物は光を通す性質を持ちます。これはムーク透磁器と呼ばれており、部分的に厚さを変えることで模様をつくったり、宝石の切片を埋め込むことで光による絵画を描いたりすることが出来ます。非常に美しく国外での人気も高い品ですが、土に粘りがないために焼き上がりの品質を保つのが難しく、ごく一部の金持ちしか買えない稀少品となっています。


▼装飾タイル
 絵付けしたタイルを窯で焼いて、後で組み合わせて仕上げられるもので、絵柄は単なる模様から、歴史的場面や聖人画など様々なものがあります。これらは王宮や教会といった大建築物に限らず、一般家屋や噴水などにも幅広く使われています。


○術法

 喪に服した人があまりにも多かったために黒服の十年とまでいわれた、革命後の混迷期はようやく終わりを告げ、人々の生活もかつての落ちつきを取り戻しつつあります。革命を成功させたのも術法師たちの力があったからであり、革命後の混乱を押さえるために役立ったのもまた術法です。この国は典型的な術法国家といえるでしょう。首都のリルト市には術法協会の本部があり、術法協会が経営する魔術学校が存在します。ここでは高度な術法教育が行なわれており、大勢の優秀な術法師たちを輩出しています。


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人物・集団


○組織・集団

▼純粋エシディア派
 革命前の王権の正当性を説き、旧制度の復活を掲げる集団です。旧貴族の残党からなり、ひそかに武力を蓄えてクーデターを企んでいます。

▼エシディアの聖杯
 ブローヌベント王朝の復権を目指すテロリスト集団で、前王家の血を引くアザリア=ヴァリスを迎えたことで勢力を増しています。アジトはリズウィン地方の外れにある、かつて王家の狩猟場だった森の奥に隠されています。彼らは定期的にここに集まり、テロ活動や政府高官暗殺に関する計画を練ったり、各地に散らばった勢力を1つにまとめるための相談をしています。なお、会合に出席するメンバーたちは、王国旗の基調色とされていたオレンジ色の羽飾りを身につけます。

▼フェンネル結社
 フェンネルとはリーベック侯爵が収めていた土地の名ですが、侯爵家は革命によって滅ぼされ、家臣たちも散り散りになってしまいました。しかし、忠臣の1人であった前騎士団長アルバラードは、良き領主であった侯爵を慕うかつての部下と領民たちを集めて、侯爵の命を奪った革命政権への復讐を果たすために、この秘密結社を組織したのです。
 結社が活発に活動していたのは聖歴770年代までで、彼らによって政府高官の3名が既に暗殺されておりますが、現在は当初の半分以下の人数しか残っておりません。また、つい先頃にアルバラードが病に倒れたことで、組織は急速に求心力を失いつつあります。そのため、新たな長となったアルバラードの息子は、『エシディアの聖杯』への参入を考えているところです。

▼クライングシープ
 革命政権を支援したプロの戦闘集団で、現在は陸軍に組み込まれています。中には術法師もおり、特にゲリラ戦を得意としていました。

▼術法協会
 各国にまたがる術法師たちの組合で、首都リルトにその本拠地があります。術法協会が開設した魔術学校は、優秀な術法師たちを多く輩出しています。

▼百科新派
 啓蒙思想家の集まりで、現政権の成立に多大なる影響を与えました。この中の何人かは総裁や高級官僚として国政に携わっています。

▼ルクレイド義勇軍
 外国の啓蒙思想家たちが、国内の農民層に呼びかけて結成した軍隊です。革命軍の主力となった軍ですが、現在は解散しています。しかし、もしまた国内に乱れが生じれば再結成されるかもしれません。

▼レヴィンズチルドレン
 最強魔道士レヴィンの最後の弟子だった7人のことをいいます。彼らはみな術法協会のメンバーとして働いており、それぞれが高度な術法を使いこなします。

▼ルクレイド国家財産調査委員会
 革命の混乱期に各地に散らばった国家的財宝/歴史的財産について、調査および回収を行う組織となります。なお、盗難によって喪失したものについては、手段を選ばず回収するよう秘密裏に指示を受けておりますので、現在の所有者の素性によっては不法行為を働くこともあるようです。

▼サルビア・グループ
 国内有数の企業グループで、かつて貴族に取り入って財をなした10以上の貿易会社が集合して出来たものです。彼らは革命軍の勢力が上と見るやいなや、上層部に取り入って軍事物資や食料の支援を積極的に行い、新政府樹立後には様々な特権を勝ち取ることに成功しました。
 新しい国家を創成するにあたって、このような企業の存在は賄賂など腐敗の温床となり、排斥するべきという意見も多く出ました。しかし、物資輸送の面で国外とのルートを多く持つこと、また儲けを度外視した政府への協力を行ったこと、何より政府高官や軍上層部の一部に太いパイプを持つことなどから、特権を排するだけでも革命から10年以上の時間を要しました。
 現在は革命後に為した財力で様々な企業を買い取り、銀行、不動産、保険、貸し出し倉庫、新聞などの傘下企業を抱えています。その発言力は今も大きく、グループ総裁は政策にも影響を与える存在となっていますが、その一方で旧王権派の恨みを買っており、グループ企業はテロの標的になることも少なくありません。これに対抗するため専属の武装護衛団を抱えているのですが、彼らのあまりに乱暴すぎるやり方が、社会的な問題として取り上げられています。


○人物

▼術匠マークス(男/76歳)
 現在のエルモア地方では最高の技量を持つと言われる術法師で、術法協会の長でもあります。穏和な性格であり、人々の平和のために術法が使われることを深く願っています。

▼レヴィン(男/故)
 エルモア最強と讃えられた術法師で、革命軍の勝利に貢献した人物です。しかし、寄る年波には勝てず、昨年の末に102年の生涯を閉じました。現協会長のマークスの師匠でもあった男です。

▼フィアンス2世(男/故)
 前エシディア王国の最後の王であり、彼が処刑された5月24日を革命記念日としています。享年は58歳でした。遊興好きで政治的には凡庸だったようですが、数々の貴族特権を設けたことから、貴族たちには非常に人気がありました。

▼アザリア=ヴァリス(女/28歳)
 前国王の弟の孫娘にあたる王家唯一の生き残りであり、革命後に国外へと一家で逃亡しておりました。近年、ルクレイド国内に密かに戻って来たことから、彼女を中心に旧勢力をまとめ上げようとする、『エシディアの聖杯』という一派があらわれています。

▼ルナック=ディアフィン(男/51歳)
 一族の復興を望むかつての騎士ですが、現在は農民の1人としてクワを振るっています。息子がいじめられているのを見て心を痛めていますが、何をしてやることもできず、ひたすら我が身のふがいなさを呪っています。

▼セイア=トゥエル(女/47歳)
 革命後の混乱にまぎれて、義弟に夫を殺された女性です。かつての夫の名であるダーランドを名乗り、復讐のためだけに生きています。

▼赤い髪のジュリア(女/26歳)
 精神操作系の術法を駆使する裏組合の暗殺者ですが、普段は酒場の踊り子に扮しています。炎にもたとえられる真紅の髪が印象的で、アクセサリーなども好んで赤系統の色のものをつけています。

▼夢見人ヨルン=ウォレン(男/17歳)
 夢使いであり、心の癒し手としても有名です。その腕前もさることながら、女性にも見紛うほどの美貌で評判になっています。

▼スイレン(女/故)
 不戦自衛主義、無抵抗主義を唱えて領主に反抗したのですが、結局は処刑に合ってしまいました。死刑の公開が行われなくなってから久しぶりに公開処刑された人物で、信仰の死を嘆きながら最後の階段を登ってゆきました。この事件は公開死刑執行という書物に詳しく書かれています。

▼リューラ=アルカリア(女/28歳)
 貴族の血を引く娘で、落ちぶれた今は自分の身を売って生活しています。現政権には深い恨みを抱いており、旧貴族派のスパイとして活動しています。


先頭へ

 


概要基本情報国土変異現象文化・生活人物・集団