一般的なエルモア地方の人間が知ることができない知識は多々あります。ですから、人々はこれらについて全く知らないか、あるいは事実以上に神秘的な場所を想像するのが普通です。かつて交流のあったような場所でも、架空の手記や旅行記と情報が入り混じり、我々から見れば明らかにおかしいと思われるような話さえ、簡単に信じてしまっているのが現状です。
限定情報までの情報を用いてゲームを行う場合は、以下の情報しか得ることができません。なお、実際の情報は秘匿情報に記載されています。
○エルモア外域
▼中央地方
結界に閉ざされる前はエルモア地方とも交易を行っておりましたし、ペルソニア大陸に植民地を持っていたこともあって、ラガン帝国は非常に影響力の強い国家でした。しかし、現在は一切の交流がなく、内部で何が起こっているのかは想像もつきません。一般的には、誰もが死に絶えてしまっているものと考えられています。
▼新大陸エスティリオ
新大陸の情報は、主にロンデニアで得ることができます。しかし、第一期の探検隊が得た情報というのは非常に少ないもので、新大陸の住民の存在と一部の動植物、および東部海岸の地理的情報にとどまっています。聖歴788年には、ロンデニアとエリスファリアの船団が入植を開始していますが、彼らがエルモア地方に情報を持ち帰るまでは、国家パートに書かれている情報を全て知ることはできません。なお、ロンデニア、エリスファリアの他にも、カーカバートが密かに船を派遣しています。
▼ペルソニア南部
断崖の向こう側については、一切の情報がありません。陸路、海路、空路のいずれにおいても、消滅結界と呼ばれる結界を越えることは不可能であり、向こう側に到達したものはおりません。ペルソニアの人々の中には、神の大地として恐れている者もいます。しかし、部族によっても伝承は様々で、結局のところ何があるのかを推測することも不可能という状態です。
▼北氷海
流氷海域と呼ばれる氷に覆われた海で、その先に何があるのかは全く知られておりません。幾度か探検隊を組織し、極点を目指して旅立った者は存在するのですが、いずれも志半ばにして倒れています。
▼東方
東方の知識はいっさいもたらされておりません。黄人についても、東方由来とされてはいますが、これは根拠のあるものではありません。つまり、東方というのは全く未知の領域なのです。現実の東洋として想像するプレイヤーが多いかもしれませんが、そもそも概念がないのですから、想像すらできないものなのです。
黄人を元に考えるとすれば、我々の世界の中央アジア〜東南アジアを混合したような、不思議な雰囲気の場所となるでしょう。エルモア地方の人間もそう考えています。
▼アニスカグナ地方
中央地方が結界に閉ざされる以前は、中央地方を通じて交易があった場所です。多くを砂漠に覆われている場所で、現実世界の中東〜西アジアを思い浮かべていただけばよいでしょう。
○過去
▼術法による探査
術法を用いても、大変異現象以前の過去を見ることはできません。時期によっては断片的な映像が見えることもあるようですが、規則性はまったくないようです。
▼先史文明
大変異現象はだいたい5000年ほど前に起こったものと考えられていますが、それ以前の歴史というのは、まったく闇の中にあるといえます。幾つか遺跡が発掘され、発掘品についての分析を行っている国家もあるのですが、実用化されたのは霊子機関のみです。もちろん、ライヒスデール軍のように発掘した兵器を利用している場合もありますが、これはたまたま壊れていなかっただけで、彼らが修復したわけでも技術の再現に成功したわけでもありません。といってもライヒスデールの科学力に問題があるのではなく、他の国家でもほぼ同様の状況にあるのです。仮に我々のいる現実世界で科学魔道文明の産物が発見されたとしても、やはり同じ結果となっていたに違いありません。科学魔道文明の技術力とは、それほど高度なものなのです。
また、これらの文明の情報というのは、基本的に紙媒体に記録されているわけではありませんし、国家によっても異なる言語を用いています。エルモア地方の人間には概念すらない技術用語がまざっていたとしたら、解読に手も足もでないのは当然です。翻訳家にしても、特定国家の博物館に残っていた古書、あるいは先史文明よりさらに前の時代の遺跡の碑文といった、極めて限定的な古い文章の一部が読めるに過ぎません。こういった情報から先史文明の実像を掴もうというのは、困難を遙かに通り越した無謀ともいえる行為なのです。
こういった理由から、先史文明はエルモア地方の人間にはまったく把握できない存在であり、せいぜい発掘品を流用するにとどまるでしょう。そして発掘品でさえ、本来の用途もわからないまま使用することになるはずです。それがいかなる結果をもたらすのかは、誰にも予測することはできません。なお、これらの品々が霊子物質で稼働することだけは判明しており、それ以外のエネルギーで稼働することは絶対にありません。
▼空白期
大変異現象が起こってから聖母アリアが出現するまでの、およそ3000年ほどの間は、空白の時代として設定されています。この時期は、人々の生活形態や文化水準はまったくバラバラで、その後に起こった変異現象の影響などもあって、非常に混沌とした状況となっておりました。
このため、すぐ近くで見つかった遺跡でも、殆ど共通点がないというのも珍しくはありません。また、一部では科学魔道時代の技術を利用していた集落などもあったようで、発掘された遺跡が先史文明のものと混同されている可能性もあります。もちろん、歴史研究において系統立った資料もなければ、今後、正確な実体が解明されることもないでしょう。
ゲームシステム的にも、この時代は完全に空白のものとして設定されています。人々の生活状況、文化、技術などについては、GMが好きに設定して構いません。遺跡の状態や場所なども、その他の設定にとらわれず自由に決めて下さい。
▼考古学的発見
純粋な意味での人類学的発見というのはあり得ません。しかし、変異現象によって奇妙な古人骨が形成されることはあり得ますし、そのような発見がなされた記録も存在しています。
もっとも、エルモア地方の科学力ではこれらを区別することはできませんので、キャラクターたちにとっては同じ意味を持つと思って差し支えないでしょう。実際、考古学も生物学と同様、変異現象で事実が攪乱されてしまうものですので、諸説入り乱れた混沌とした状態にあります。ですから、これらを体系的に整理することは不可能と考えて構いません。事実ではない発見や珍説が主流のように受け取られていたり、事実に近い発見がないがしろにされることは、本当によくあることなのです。GMはどれを正解とするか悩む必要はありませんし、どの説が有力であるかは自由に決めて問題ありません。
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