概要
アリアナ海に接する南方の国家で、貴族制度を敷く王国です。国家の支配者となるのは貴族たちであり、非常に強い権限を有しています。国民の殆どはカリスト人であり、エルモア地方には珍しい単一民族による国家となります。
賄賂や陰謀で腐敗した宮廷政治に対して、教会権力がしきりに介入を試みているのが現状です。聖母教会の主教コーライルは王室顧問の立場から国王を補佐し、世俗権力の台頭を押えていますが、マルトシュタック公爵家が率いる名士会の勢力は今もって強大で、現状では公爵家が国を動かしているも同然の状態です。宰相派はこれに敵対するために、他派の貴族を味方を取り込もうと懸命に裏工作を行っています。
そのための鍵となるのが王女ヴィオレッタです。姫の婿がマルトシュタック公爵の甥であるヒルストン侯爵となるのか、あるいは宰相の息子ライルファート子爵となるかで、政局はまるで違ったものとなるでしょう。国王が王妃の叔父であるマルトシュタック公爵の対面を保つのか、それとも長く信頼を置いてきた宰相との友情を選ぶのかが問題なのですが、ここで絡んでくるのが聖母教会の認定です。この国の王族の婚礼は教会の祝福なしで成り立つものではなく、主教コーライルの出方によっては、国を割っての争いが訪れることになるかもしれません。
政治:全体/貴族主導の政治/身分制議会/民意は反映されにくい
:地方/領邦国家/領主貴族の支配
代表:国王
貴族:支配階級/領主貴族/諸特権を持つ
騎士:存在/軍人
軍隊:全体/国家軍/地方軍を統括
:地方/領主貴族が統括
警察:領主貴族が統括する独立組織/治安判事
司法:領主貴族が統括する独立組織
宗教:聖母教会/中〜高
教育:低〜中
科学:低〜中
術法:中〜高
先頭へ
基本情報
アリアナ海に接する南方の国家で、貴族制度を敷く王国です。国家の支配者となるのは貴族たちであり、非常に強い権限を有しています。国民の殆どはカリスト人であり、エルモア地方には珍しい単一民族による国家となります。
▼国号
正式名称をメルリィナ王国といい、国王を国家君主とする国家です。▼国旗
赤い地の左上1/4が四角い白抜きになっており、そこに赤い三日月と大きな星が描かれています。これは月の聖ソナタとカリスト人を表す模様で、細い月が星を抱いている様子は、聖人に守られる人々の姿を象徴しています。▼統治
国王ラル4世(男/48歳)が統治者となります。▼貴族
支配階級であり、強い権限を持っています。領主貴族は1つの自治体を統括する存在であり、地方軍の将としても活動します。無領地貴族には官僚として働くものと、騎士として領主貴族に仕えるものがいます。▼首都
シュビック地方のエルメアータ市です。中央の広場には月の聖ソナタ教会があり、非常に熱心な信者が多く住んでいます。
○現況
賄賂や陰謀で腐敗した宮廷政治に対して、教会権力がしきりに介入を試みているのが現状です。聖母教会の主教コーライルは王室顧問の立場から国王を補佐し、世俗権力の台頭を押えていますが、マルトシュタック公爵家が率いる名士会の勢力は今もって強大で、現状では公爵家が国を動かしているも同然の状態です。宰相派はこれに敵対するために、他派の貴族を味方を取り込もうと懸命に裏工作を行っています。
そのための鍵となるのが王女ヴィオレッタです。姫の婿がマルトシュタック公爵の甥であるヒルストン侯爵となるのか、あるいは宰相の息子ライルファート子爵となるかで、政局はまるで違ったものとなるでしょう。国王が王妃の叔父であるマルトシュタック公爵の対面を保つのか、それとも長く信頼を置いてきた宰相との友情を選ぶのかが問題なのですが、ここで絡んでくるのが聖母教会の認定です。この国の王族の婚礼は教会の祝福なしで成り立つものではなく、主教コーライルの出方によっては、国を割っての争いが訪れることになるかもしれません。
○民族
▼カリス卜人(白人)
赤い巻毛に鳶色の瞳を持つ白人で、幼い頃はそばかすが多いのが特徴です。全人口の95%以上を占めています。
○宗教
聖母教会が国教で、宗教心に篤い国民が多く住んでいます。首都エルメアータに『月の聖ソナタ』教会があります。
○科学・教育
教育水準は低く、農民層では文字の読み書きが出来ない者も多くいます。しかし、近年では他国に追いつくために幾つかの改革を行っており、盛んに最新技術の導入を試みています。
○産物
▼農産物
米、トウモロコシ、ブドウ、柑橘類、タバコ▼鉱産物
鉄、石炭、銀、りん鉱石、ボーキサイト▼その他
サリカット馬〈東部産の馬)、ワイン、木材、魚、石油、木彫り細工
○交易
国内南部の港を通じたアリアナ海貿易を中心に交易を行っています。ルワール大公国とは古来より仲が悪く、自由都市カーカバートのあるランカスティア半島との境には高い断崖があるため、陸上交易はあまり盛んではなく、主にルクレイドを通じた小規模な貿易を行っている程度となります。
○交通
他国と同様に主な交通手段は馬車であり、鉄道も山間部などで資材運搬用に使用される程度となります。
先頭へ
国土
○概要
自由都市カーカバートのあるランカスティア半島を除いて、南部をアリアナ海に面する国です。ランカスティア半島との境には高い断崖があり、直接の交通は不可能となっています。また、北部にはルーエンス山脈があり、ペトラーシャやフレイディオンとの行き来を阻んでいます。そのため、平地を通じての移動が出来るのは、ルクレイドとルワール大公国のみとなっています。
▼北部
3000m程度の山々が立ち並ぶルーエンス山脈やエルティック山地などがあり、林業、酪農、鉱業などが盛んな地域です。切り立った山々をのぞむ景色は美しく、一部の都市は観光地としても知られています。ルーエンス山脈以南は徐々に南に向けて標高が低くなってゆきます。
この付近は大陸性気候の影響で、冬は寒冷かつ湿潤な気候となります。低地では雪は1〜2月にわずかに降る程度ですが、ときおり冷たい北風が吹きつける場合があります。
▼南部
全体に南東部は標高が高く、西部へ向かうに従って土地はゆるやかに傾斜しています。南西部は平野が多くなり、リラ川流域には大規模な農業地帯が形成されています。
南部全域はアリアナ海型の気候で、夏期は高温乾燥、冬は温暖湿潤という環境になります。気温は5月頃から上昇し、6月には最高気温が25度ほどになり、7月〜9月は30度を上回る日も珍しくはありません。しかし、5〜9月の間はあまり雨が降らず、夏でも乾燥して過ごしやすい条件となります。冬季は雨が多く、10月下旬ぐらいから12月にかけて、最も雨が降る季節となります。この雨は12月中旬頃に落ち着き、再び晴天続きの日々に戻ります。冬の間の平均気温は10〜15度程度となり、風がない日は穏やかな陽気となります。
○地図
○要所
▼リラ川
南部地方を横断する大河で、流域には大規模な田園地帯が広がっています。
▼ルーエンス山脈
ペトラーシャとの国境付近にある大山脈で、ペトラーシャ東南部からフレイディオン東南部まで続いています。山脈は起伏に富んでおり、奥地には深く穿たれた峡谷や急斜面が見られるようになります。ペトラーシャ側とは違って4000mを越える山は見られませんが、中央部は標高3000m以上の山々が立ち並んでいます。
▼シュルツ山
エリーディア地方とベリエーリュ地方の境目にある山で、標高は1800mほどになります。もともとは全域を領土としておりましたが、戦いに敗れたことで東側がルワール大公国に割譲されており、山頂から西側がメルリィナ王国の領土となっています。
先頭へ
変異現象
○鐘鳴りの刻
メルリィナでは不死者のかけらと呼ばれるリビングデッドが出現します。この怪物が聖母教会の鐘が5時の刻限を告げる頃から出没するため、この現象は鐘鳴りの時と呼ばれています。
不死者のかけらは単なるリビングデッドとは異なる存在で、普通のものは破壊されると動かなくなるのに対して、これは破壊されてもすぐに復活して永遠に動き続けるのです。不死者のかけらは完全に燃やし尽くすか、日光の下にさらすしか滅ぼす方法はありません。このことから、メルリィナには古くから敬虔な聖母教徒が多く存在します。
○流土現象
泥化した土がまるで流砂のように渦を巻いて下に沈んで行くもので、南方でよく起こります。この渦に巻き込まれて帰ってきたものはおりません。気をつけていればそうそう落ちることはありませんが、時には家ごと引きずり込まれる大規模なものを目にすることもあります。
○その他
▼化石の森
エリーディア地方の北の奥地に広がる森で、化石化した巨木が周辺一帯を埋め尽くしております。この地には植物が全く生えず、古くから赤土ばかりが広がっています。特に人間に危害を及ぼすものではありませんが、人々は気味悪がって近づこうとはしません。
▼トルレアン
パリュウスとルルの間にある金属職人の街です。この土地の地下には炎が沸きあがる水が流れており、この高熱の炎を溶鉱炉がわりに使用しています。この水はトルレアン炎水と呼ばれており、火を起こしたりお湯を湧かすのに利用されたりもします。なお、熱を放出して冷えた炎水は、通常の水と特に変わるところはありません。
先頭へ
文化・生活
メルリィナの人間は一般的に穏やかで、つつましい人々であるといえます。この国では家族間の結びつきが強く、お互いを非常に大事にしています。これが逆に作用して、他人に気を許さないところもありますが、一度友人になると家族同様に付き合ってくれます。
○食べ物
他の国々とは異なり、米を主食としています。リゾット風にして魚介類をまぜて調理したり、焼き米として煎ったものをそのまま食べたり、あるいは米の粉を引いてミルクを加えて焼いた粉餅と呼ばれるパン状のものが食べられているようです。他に、おかゆの米をライ麦のパイでくるんだ料理もあります。
メルリィナで特異なものとしては、サラ豆というデンプン質を多く含む豆の煮汁をにがりで固め、それを発酵させて塩で味をつけたトーニャンという調味料があります。これは熱したチーズのようにとろみがあり、味は味噌によく似ています。メルリィナの料理の多くには、このトーニャンが入ります。
この他にあまり他国では見られないものに、カタツムリ料理があります。リゾットに入れたり、トーニャンで煮込んだりすると、非常に美味しく食べられます。
○馬
▼競馬
この国では古くから競馬が盛んで、良馬を所有することが貴族のステータスの1つでもあります。特に年に2回ある国王杯で勝つことは至上の名誉であり、このために大貴族たちは名馬を買い漁り、優れた騎手を育て上げるのです。なお、東部には騎手育成のための競馬学校も存在します。
▼乗馬
乗馬は貴族のたしなみでもあり、女性たちもこれを楽しみます。都市の競馬場の近くには、たいがい乗馬用のコースがつくられており、障害競技の練習などを行なうことも出来ます。こういった場所は、上流階級の人々の社交場の1つともなります。
○遊び
▼ミニゲーム
不死者の存在によって夜間が不自由になる土地柄であることから、この国では家族で遊べるミニゲームのようなものが多く生まれました。エルモア中で行われているブラックカードというゲームも、この国で原型が生まれています。また、チェスを大規模にしたような、何人もが参加して遊べる国取りゲームなど、他国にはない一風変わった遊びもたくさん考え出されています。
▼駒
ミニゲームに使用する駒もまたゲームの歴史とともに発展し、今では芸術の1つとして数えられています。黒曜石を磨いたようなものから、金や銀でつくられたり、あるいは宝石を埋め込んだ工芸品とも呼べるような駒まで存在するのですから驚きです。もちろん、一般家庭にこのような贅沢品があるはずもなく、多くは木彫りの駒なのですが、それでもその1つ1つに凝った細工が施されているのが普通です。先祖から受け継がれた古い駒は家宝として扱われ、代々子孫に受け継がれてゆきます。
○芸術
▼木彫り細工
ゲームの駒を代表として、この国では木彫りの細工物が多くつくられており、フラワーカービングと呼ばれる木彫りの花や、動物の飾りなどが家中に飾られています。また、箱庭芸術として知られる木彫りの家は、建物や周囲の庭園はもとより家具にさえ細工が施されており、高級品になると本物と寸分違わぬ作りをしている品もあるほどです。また、貴族の中には庭をまるごと木彫りのフラワーガーデンにしてしまっている者もいます。
▼木馬
サリカット馬をモチーフとしたもので、小型のものから本物に近い大きさのものまで存在します。近年ロンデニアなどで作製されているメリーゴーラウンドの木馬は、この国から輸入したものを使用しています。
▼パイプ
この地では古くからタバコが親しまれており、各地で特徴あるパイプが作製されてきました。木製のパイプはもちろんのこと、繊細優美な彫刻が施された象牙製や陶器のパイプなど、工芸・美術的にも優れたものがあります。また、パイプスタンドやケースにも様々な技術が凝らされており、海外でも高く評価されています。
▼絵画
これも暗闇に対する恐怖からきているのでしょうが、この国の絵画は光と影を強調するものが多く、光画派と呼ばれています。文化の交流が頻繁になってきた現在では、その独特の技法は他国の画壇にも強い影響を及ぼしています。
先頭へ
人物・集団
○組織・集団
▼鉄翼騎士隊
戦場を駆る馬のはやさから、鉄翼の名で呼ばれる騎士団です。良馬で知られるサリカット馬のみで構成されています。▼早馬組織
伝令士たちの組合で、サリカット馬を使っています。国の全土に中継地があり、馬を交換しながら手紙や荷物を運びます。▼黒帽派/チェルマッティ派
国内の社会学派の1つで、外国への留学経験のある先進的な社会学者や経済学者を数多く抱えています。王国の発展を願う純粋な思想集団であり、衆議院議員の1人でもある高名な経済学者ヴァイン=チェルマッティを中心に活動しています。チェルマッティは宰相派の一員でもありますが、貴族中心の社会では発展は望めないと考えており、その点においては宰相と意見が一致しておりません。このことから、近年では宰相からの援助資金も減っており、遊説などの活動範囲も縮小しているようです。▼白帽派/マーテルロー社会学派
黒帽派と対立する社会学者の一派で、彼らの本拠地のあるマーテルロー市の名前から、マーテルロー派と呼ばれることもあります。
○人物
▼ガルフォ=ルファード男爵(男/36歳)
リューディア市付近を牛耳る裏組合の長で、男爵の爵位をもっています。この組合は、もともとは先祖代々の情報網の1つだった隠密集団が裏組合に転じたものです。整えた口ひげが自慢のきざな男で、先祖たちのような強引な真似を好まず、スマートなやり方で事を進めます。▼カペル=キューイー(男/25歳)
レリアル地方で活躍している獣医師です。彼は自分は動物の言葉がわかるのだと言っていますが、誰1人としてその言葉を信用する者はおりません。ただ、名医であることは間違いなく、近隣の者はみな彼のことを頼りにしています。▼フォレス=タントレーナ(男/59歳)
化石森に住む老人で、もともとは腕の良い狩人でした。フクロウの羽根を飾った毛皮を身につけていることから、フクロウ爺と呼ばれています。少女グレースに出会ってからは化石森に住み着いて、一帯を緑の森に蘇らせようとしています。▼グレース(女/16歳)
天使の羽根を拾ったという少女で、化石森で白い大きな羽根を持って倒れているところを、フォレスに発見されました。彼女が倒れていた付近には、それまで生えることのなかった木の芽が顔を出しています。▼オードリー=セザンティーヌ(女/19歳)
17歳の時にセザンティーヌ男爵夫人となった女性ですが、森番のロミュエルと恋に落ち、子供まで身ごもってしまいました。思い悩んだ彼女ですが、ついにロミュエルと駆け落ちし、現在も行方不明のままとなっています。▼ロミュエル(男/24歳)
生まれた時からセザンティーヌ家に仕える身で、オードリーが嫁いで来るまでは、無口で気弱な森番でしかありませんでした。すぐに思い詰める性格で、現在も駆け落ちしたことを後悔し始めており、追っ手の影に怯えています。
先頭へ