交通概説
○一般交通機関
陸の交通手段として最も利用されているのは馬であり、普段の生活でもよく見られる日常的なものです。殆どの都市では駅馬車が整備されており、荷役の運搬やちょっとした旅行にも使われています。馬以外の動物に引かせることもわずかにありますが、それは非常に稀なことです。
それから、近年では蒸気機関や霊子機関の発達によって、自動車やオートバイ、列車などが開発されています。これらは非常に速く、大量の荷物を運搬できるということで人々の注目を浴びていますが、霊子機関を搭載した乗り物は機械そのものに加えて燃料も高価なため、一部の人々にしか利用されることはありません。
このような新しい交通手段を用いるのは国家機関が多く、主に軍隊で運用されています。中には試作戦車といったような、軍でしか使われていないものもあります。軍の次にこのような交通機関を利用しているのは、貿易や運輸関連の会社です。特に大型化された蒸気船は、大量輸送時代を迎えた現在の社会には不可欠のものといえるでしょう。
一般の人々に人気のある新しい乗物は、工業の発展によって大量の生産が可能になった自転車です。現在はまだ少々高めですが、いずれは人々の間に広まることでしょう。
○交通問題
新しい乗物が出現するにつれ、道路の舗装状況が問題となってきました。都市の内部や街道は比較的しっかりと舗装されていますが、少し街道を離れれば砂利道などが多いので、陸路での長旅は非常に疲れることになります。街道といえども天候によってはぬかるんだりしていて、必ずしも快適な旅を約束してくれるわけではありません。
列車もレールの敷設問題があり、敷設予定地に住む人々の反対や辺境の怪物といった存在が、開発の妨げとなっています。列車はユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャのほかは、旅客用としての使用はまだ少ない状況です。ですが、鉱山や工業地帯での荷物の運搬用や郊外から都市への乗り入れなど、限定的な場所においては頻繁に利用されており、その価値は十分に認められています。
この列車に関して新たに問題となっているのが、『レールライダー』と呼ばれる存在です。列車のレールに合うような補助輪をつけた自転車や荷車を使用する者たちで、時には死亡事故を引き起こしたりもします。
○その他の交通機関
▼船舶
長旅で主に利用されるのは海路です。ガレー船と呼ばれる人力のものは使用されなくなり、現在の主流は帆船や蒸気船に移りました。霊子機関を搭載した大型船もつくられ、聖歴786年には新大陸エスティリオへの初渡航にも成功しています。河川でも川渡しや長河川を利用する船会社などがあり、船は馬に次いでよく使われている交通手段といえます。
▼飛行機械
空を飛ぶことはエルモア地方の人々にとっても長年の夢でした。それまでにも翼を背負って塔や崖から飛び降りたりする、『タワージャンパー』と呼ばれる人もいないわけではありませんでしたが、最初に空への第一歩を踏み出したのはやはり気球でした。気球は熱した空気で飛ぶ熱気球から始まり、次に水素ガスや石炭ガスを使って浮かぶものが開発されました。飛行船は霊子機関を利用したプロペラ推進の開発によって、ようやく実用化が可能となった乗り物で、聖歴789年の現在では飛行船での小旅行も可能となっています。これらは静かで道路の制限を受けないことが利点です。
気球は民間でもよく使われていますが、飛行船は近年になってようやく一部の先進国家で、旅客用としても利用されはじめた程度の段階です。現在はユークレイ、ペトラーシャ、カスティルーン、ライヒスデール、フレイディオンの5国のみで使われています。
先頭へ