カスティルーン王国/制度

行政区分国家制度王家軍事警察司法


 

概要


○領土区分

 カスティルーンでは支配階級である貴族領主が、それぞれの所有する領地を治めています。王国の地方行政単位は、独立伯爵領(準州)、侯爵領(小州)、公爵領(州)で区分されます。


○貴族制度

 支配階級に属する存在で、以前よりは貴族特権は制限されているものの、いまだ強い権限を持っています。領主貴族は1つの自治体を統括する存在であり、無領地貴族には官僚として働くものと、騎士として領主貴族に仕えるものがいます。


○政治制度

▼国家
 国王を国家君主とする立憲君主制国家であり、立法府である三団会議と10省で構成される行政院によって国政が運営されています。
 三団会議は法教会の聖職者、貴族、民間の3種の身分層からなる立法議会であり、それぞれ代表100名ずつで構成されています。身分に関係なく1つの団体は1票の権利をもち、2団体以上の票を得れば過半数以上の支持を得たとして、その案件は可決されることになります。


▼地方
 カスティルーンの地方行政は、全国で統一された方式をとっています。これは国家制度を模倣したもので、貴族領主が州知事もしくは市長といった自治体の最高責任者となり、その下部に議会と行政組織が整備されています。


○軍事

 カスティルーン王国の軍隊は、国王および地方領主の持つ近衛軍と、国家が保持する兵士から構成される王国軍からなります。
 王国軍は常備軍であり、各領地は割り当てられた兵数を供出する義務を負います。これは国王や王族であっても同じ扱いを受けます。王国軍は自治体単位でまとめられており、これを地方軍(地方管区軍)として取り扱っています。
 近衛軍は各領地が設置する、領地防備の目的のみに出動できる非常部隊です。しかし維持費の問題から、自分のもつ宮廷警備のためだけに、申し訳程度の兵しか揃えていない領主も数多く存在します。


○警察

 行政機関に属する警察庁が警察組織を統轄しています。警察庁は国家警察として機能し、その下部組織として州警察や小州警察が各地域に配備されています。中心となる国家警察は、州警察などの下部の組織に対して監査・粛正を行う権限を持ちます。警察組織は通常の形態で、警察署の中にいくつかの部署があり、刑事や警察官が業務を担当します。警察組織に務める場合は、警察学校で訓練を受けなければなりません。
 なお、カスティルーンには警務法官という特殊な立場の警察官がいます。これは聖堂騎士のうち警察に出向して働く者で、通常の業務は警察官とほぼ同様ですが、立場は独立しています。警察官としては位が高く、下位の警察官を率いて捜査を行う立場にあります。と同時に、内部の監査役としても機能しております。


○司法

 行政府の下に置かれる法務省が司法権限を持ち、全体は法教会が統括しています。法務省で働く官僚や職員の多くは聖職者ではありませんが、上層部や裁判官といった役職には聖職者が多数配属されています。また、法務省長官は慣習的に法教会の枢機卿が就くことになっています。
 裁判所は最高裁判所(国家)、上級裁判所(州/小州/準州)、下級裁判所(地域自治体)の順に体系的に整備されています。裁判の進行方法は現実世界とほぼ同じ方式で行われ、それぞれ控訴・上告を行うことも出来ます。


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行政区分


 カスティルーンでは支配階級である貴族領主が、それぞれの所有する領地を治めています。王国の地方行政単位は、独立伯爵領(準州)、侯爵領(小州)、公爵領(州)で区分されます。


○地方行政

 カスティルーンの地方行政は、全国で統一された方式をとっています。これは国家制度を模倣したもので、貴族領主が州知事もしくは市長といった自治体の最高責任者となり、その下部に議会と行政組織が整備されています。
 国家制度と異なるのは、地方議会においては聖職者は民間代表と統合されていることです。なお、貴族とその他の代表では選出方式は異なりますが、議場は統一されているため、主に貴族対市民といった構図で会議が進行してゆきます。しかし、殆どの地域では貴族議員の方が議席が多く、また、被選挙権を持つ有産市民も自分が属する階級の利益を尊重するため、やはり下層市民を蔑ろにした決定が下されることが多くなります。また、聖職者に対する支持者数は多くても、その大部分は納税額が少ないために選挙権を持っておらず、三団会議よりも民意が反映されにくくなっています。


○自治区域

▼特別自治区
 かつてより平民によって自治を得ていた地域の中には、現在でも特別自治区として存在しているものもあります。特別自治区は国家に直接属する行政区であり、軍事などに関する幾つかの権限は国家が有することになります。
 貿易の中継地や商業都市、あるいは産業の盛んだった地域などが自治を得ている場合が多いようです。規模としては市や町といった比較的小さな面積となり、小州など大貴族の領地に匹敵する自治区はありません。
 自治領の代表は市民から選ばれる民衆の代表であり、議会も平民で構成されておりますが、中には貴族のように振る舞う者もいるようで、地域によっては貴族の領地と大差ない場所も幾つか存在します。


▼半自治領
 貴族の領地に含まれる中で、平民の自治が認められている特別区です。市長や町長といった行政長官は平民の中から選出され、議会もすべて平民によって構成されておりますが、領主貴族の承認を得られない場合は、会議の決定は無効とされてしまいます。


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国家制度


 国王を国家君主とする立憲君主制国家であり、議会と国王によって政治が運営されます。議会は3つの身分の代表100名ずつで構成されています。国王は議会の決定に対しての許認可権を持つ唯一の存在となります。
 国家君主の下には、行政に関する諮問機関として位置づけられる王国参議会が設置されています。このうち、常設参議会と呼ばれるものが閣議に相当する機関で、各省長官によって構成されています。
 行政院は実際の行政業務を担当する10省で構成されています。行政の実行機関として位置づけられており、常に国王の監視の下で行務を執行する必要があります。


◆カスティルーン/制度

 
 国家君主──┬──宰相
       |
       ├──王国参議会──┬──特別参議会────特別参議員   
       |         └──常設参議会─┬──主席行政長官  
       |                  └──各省長官
       |
       ├──行政院────┬──主席行政長官(=宰相)
       |         ├──内務省
       |         ├──外務省
       |         ├──財務省
       |         ├──通商省
       |         ├──軍務省
       |         ├──運輸省
       |         ├──農務省
       |         ├──産業省
       |         ├──文部省
       |         ├──法務省
       |         └──貴族省
       |
       └──三団会議
 


○国家君主

▼国王
 国家君主である国王は、王国政府の頂点に立つ存在であると憲法で規定されています。国王には議会で可決された法案に対する許認可権や、王国参議会の議事進行および調停役、そして行政府の行務に対する指揮・監督といった非常に重要な権限を与えられています。また、政府機関の間での重要文書のやり取りは常に国王を通して行われるため、長期の不在ともなれば政府機能が麻痺してしまう可能性さえあります。
 しかし、公務の内容といえば書類へのサインや式典出席など、重要とはいえ非常に地味で退屈なものが多く、宰相や側近たちと作業を分担して辛抱強く処理してゆかなければなりません。


▼宰相
 国家君主の一切の業務を補佐する役割にあり、国王の指名によってその職に就くことになります。宰相は国王の公務代行権を有しており、国家君主個人の許可があればいつでもこれを行使することが出来ます。ただし、そのためには国王直筆による委任状が必要となります。


▼王室による代行
 国家君主より三親等以内にある成人男女は、君主の公務を代行する権限を持ちます。この場合も、宰相と同様に王の指名と委任状が必要となります。
 それから、王家一族の場合は宰相とは異なり、国王が長期不在で意思の確認が取れない場合に限り、王室会議の賛同を得れば、王の許可なしでも行務を代行することが可能となります。この権限は、国王が病気もしくは急死といった事態に見舞われた時の緊急対処策であり、至極まれにしか発動されることはありません。なお、国王の生存中は人事も含めた既決事項を覆すことは許されませんので、宰相や特別参議員などを解任したりすることは不可能です。あくまでも引継ぎという形で行務を遂行するのみとなります。


▼法王
 法王は王室顧間として君主の私的な政治相談役を務めています。法王の発言は国民のみならず、神聖同盟全体に対しても多大なる影響を及ぼすため、代々の国王は積極的にその意見を国政に採り入れてきました。


○王国参議会

 国家君主の諮問機関であり、行政に関する議題について会議を行います。ここでは行政府全体での方針の統一や到達目標の設定について協議したり、問題点の改善方法の検討などがなされます。
 なお、参議会で取り決められた内容はそのまま行政院の施策に反映されますが、形式上は国王を通じて行政院へと書類で報告が届けられるため、法律の上ではあくまでも諮問機関として位置づけられています。


▼常設参議会
 各省長官と主席行政長官(=宰相)からなる常設機関であり、定例会議を開いて行政府全体の運営について協議を行います。行政機構の中枢として機能する重要な機関となります。


▼特別参議会
 名誉職的性格の強い諮問機関であり、戦時や特別法案の検討などを行うための臨時会議に招集され、常設参議会の一員と一緒に討議を行います。メンバーは王室の推薦議員が3名と、三団会議の推薦議員が3名(1団につき1名ずつ)、有力家系からの世襲議員が3名、および法王の計10名から構成されます。
 法的に規定されているわけではありませんが、王室推薦議員の1人は伝統的に第1位の王位継承権を持つ者が選ばれます。世襲参議員は数ある有力家系の中から交代で選ばれるもので、全体としては参議会の定数以上の候補者が名を連ねています。なお、特別参議と三団会議の議員は兼職を許されておりません。


○行政院

 行政行務を司る行政院は全11省から構成されています。主席行政長官は首相に相当する存在となりますが、これは宰相が兼任することになるため、この職だけは国王の指名によって自動的に決定されます。各省長官は主席行政長官の指名によって選ばれます。


▼国王の直接介入
 国家君主は各省長官の職務の一切を代行することが可能となります。ただし、これは長官の長期不在時や有事の際にのみ行われる特別な措置であり、平時に介入が行われることはありません。


▼貴族

◇官僚貴族
 行政院の官僚の大半を占めるのは貴族となり、平民から高い位へと出世することはきわめて稀なことです。官僚として働くためには、貴族に対して何らかのコネを得るか、爵位を買うなどの金銭的な授受が必要となります。

◇貴族省
 式典等を含めた宮廷行事や爵位相続の手続き、および貴族の懲戒や領内調査などを行う役目で、長官は伝統的に王家に連なる有力家系から選出されます。


○三団会議

 法教会の聖職者、貴族、民間の3種の身分層からなる立法議会であり、それぞれ代表100人ずつが選出されます。


▼団体

◇第一団体
 司教以上の階級にある法教会の聖職者たちによって構成されています。議員は法教会の推薦と、神官以上の階級による選挙によって選出されます。下層市民の意見が強く反映される、最も支持者数の多い団体です。

◇第二団体
 地方自治体の領主貴族の指名する推薦議員と、過去に功績を認められて永世議員として名を連ねる名家の代表からなる団体です。推薦議員は領主自身が努めることが殆どです。内部でもめることはありますが、総体としては貴族優位の体制を貫こうとするため、その存在が国家の発展の妨げとなる場合も多々あります。

◇第三団体
 有識者や職能の代表、あるいは富裕農民などを構成員とする民間の代表団体です。被選挙権は市民権を有し、かつ一定以上の納税額を納めた者だけが得ることが出来るため、下層市民の意見が反映されにくくなります。時には貴族と結託して甘い汁を吸おうと考える議員も存在するため、選挙法の改正を求める声もありますが、その意見が全体会議まで届いた試しはありません。


▼全体会議と団体会議
 法案の発議を含めた準備審議は、それぞれ個別の団体会議で行われることになります。ここで修正案を作製したり団内議員の意見を確認した後で、全議員が集まる全体会議が開かれ、団体間の意見交換が行われます。この後に再び団体会議を開いて団内の最終意見調整が行われ、団体代表が出席する審議会で法案の可否が決定されます。身分に関係なく1つの団体は1票の権利をもち、2団体以上の票を得れば過半数以上の支持を得たとして、その案件は可決されます。3団体の意見がすべて異なった場合は、再び団体会議へと戻され話し合いを行います。王は議会を通過した法案の拒認可権を持ち、法案に対しての責任を取る立場となります。


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王家


 現在の王朝は聖歴713年に興ったベルファティク朝です。王位の継承順位は王室会議で決定されます。なお、王位継承には玉爾と戴冠式の時だけに使われる特別な王冠の2つが必要とされ、これらがなければ何者の賛同を得たとしても王座に就くことは出来ません。これは王国継承法に記されている規則であり、法律が変更されるまでこの制度は続くことになります。


○現況

 現在のカスティルーンは非常に混乱した状態にあります。というのは、一昨年に先代のウェイン王が38歳という若さで急逝したことが原因です。第1位の王位継承権を持つのは、先王の一人娘であるクリステアなのですが、彼女は幼王と呼ばれるにふさわしい5歳というあまりにも若すぎる年齢であり、その将来に関して貴族たちの間で様々な勢力争いが続いています。
 クリステアはまだ王位を継承していないので、その地位は王女のままです。女王もまたクリステアを出産する際に死亡しているので、成人するまでは先王の弟ユルファシスが後見人となり、国王代理として王国の政治を執り行うことになっています。ユルファシスの立場は摂政官であり、宰相職には彼の友人のサリスティード伯爵が就いています。
 このような状況にあるため、貴族たちはユルファシスがクリステアを傀儡にしようと企んでいるのではないかと考えています。また、法王も同様の懸念を抱いており、最近では有力な貴族を味方につけようと裏工作を行っています。法王は王室顧問という立場にあり、三団会議の第一団体を完全に掌握しているため、政策に対して非常に強い発言力を持つ存在です。ユルファシス側につくか法王側につくかということで、貴族たちの心は今も激しく揺れ動いています。


○裏事情

 ユルファシスは王座を狙っているわけではなく、クリステアのために王権の絶対性を確立しようと日夜努力しています。子供のいない彼はクリステアを実の娘のように可愛がっており、なんとかして彼女を立派な王にしようと考えているのです。
 本来ならばクリステアをすぐに王位に就けて、その上で摂政役を務めてもよいはずであり、有力貴族たちの中には早期の戴冠を迫る者もいます。しかし、彼は頑なにそれを拒んでおり、このために周囲の誤解は増してゆき、近年では多くの貴族が法王派に傾いています。
 ユルファシスの行動には深い理由があります。実は先王の死の直後より戴冠式用の王冠が紛失したままとなっており、現在もその行方が全く分かっていないのです。これは王室にとって重大なスキャンダルであり、事実を公に発表するわけにはゆきません。戴冠式用の王冠の中央には、550カラットもある巨大なサファイアがはめ込まれています。これは聖歴682年の王朝統合時にマウロリディア王から臣属の証としてカスティルーン王家に献上された、マウロリディアの青い月と呼ばれるものです。ですから、これを紛失したということは王家の威信のみならず、マウロリディア人の誇りを傷つけることも意味しています。また、他の宝石も王家の所有物に相応しいものばかりで、偽物をつくるのもほぼ不可能という状況にあります。唯一幸いだったのは、この王冠は戴冠式の時以外は宝物庫に厳重に保管されており、誰1人として見ることを許されないという規則があったことでしょう。
 このことを知るのは一部の王室の者と、ユルファシスの側近など信頼の置ける者たちだけです。現在も影では必至に捜索を行っていますが、手がかりはおろか犯人の目星もまったくついておりません。金目当てか王位を狙っての犯行なのかも未だ判別できず、王国内に疑わしい人物は幾人かいるものの、紛失から2年近くが経った今でも王冠という切り札を匂わせる人物も出ていないため、国外にまで捜査の手を広げる羽目になっています。


○人物

▼クリステア=ベルファティク=エル=カスティーナ(女/5歳)     
 第1位の王位継承権をもち、15歳を迎えると同時に女王となるはずの少女です。好奇心旺盛な女の子で、いつも何かに興味を示しては世話係を困らせています。凝り性である半面、非常に飽きっぽい性格であり、次々と興味の対象を変えてゆくのが、周囲の人々の悩みの種です。

▼ユルファシス=ベルファティク=ド=カスティーナ(男/37歳)
 先王の弟であり、クリステアの後見人として国政を取り仕切っています。政治家としては概ね無難といえる能力を示しており、政治面では取り立てて彼を非難する点は見あたりません。しかし、王国の要職に自らの近臣を多く取り立てていることから、有力貴族たちの反発を買っています。また、法王が政治に干渉することをよく思っておらず、水面下では激しく対立しています。

▼アイバン=サリスティード(男/39歳)
 王家の家臣団の1家であるリスティード家の当主で、ユルファシスの学友だった人物です。先王ウェインにも非常に可愛がられており、以前は王領の財政管理を担当しておりました。

▼ブリスカ=ベルファティク=エル=カスティーナ(女/30歳)
 先王の末の妹で、王家の血縁にあたるメイナード侯爵家に嫁いだ女性です。先王の死後から王室の人間に頻繁に近づいており、何かを企んでいるような素振りも見受けられます。また、昔から何かとユルファシスと対立することが多く、ユルファシスは彼女が犯人ではないかと疑っています。


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軍事


 カスティルーン王国の軍隊は、国王および地方領主の持つ近衛軍と、国家が保持する兵士から構成される王国軍からなります。王国軍は常備軍であり、各領地は割り当てられた兵数を供出する義務を負います。これは国王や王族であっても同じ扱いを受けます。
 王国軍は自治体単位でまとめられており、これを地方軍(地方管区軍)として取り扱っています。王国軍の指揮権は軍務省が有しており、各軍管区には軍務省から管区総督が派遣され、指揮をとることになります。


▼管区総督の人選
 管区総督の人選は軍務省の権限で行われますが、通常は土地勘や地方領主との関係を考えて、その領地の出身将校が選出されることが多く、事実上は領主貴族が軍を統括することになります。
 このような状況が基盤としてあるため、地方軍の反乱などを予防するという理由から、徴兵も含めて職業軍人として軍に所属する者は、出身地以外の地方への配属が基本となります。しかし、この措置によってホームシックにかかった兵士たちが脱走したり、隊内部に地方出身者による派閥をつくってしまうことになり、全体として軍のまとまりを欠くという結果を引き起こしています。


▼近衛軍
 各領主は貴族の権限の1つとして、自身の近衛軍を保有することが可能です。近衛軍は管区の王国軍とは同じ範囲を管轄とすることになります。近衛軍の指揮権は各領主に与えられていますが、これは領地防備の目的のみに出動できる非常部隊であり、王国軍とは異なり維持費は自治体の支出となります。ただでさえ国家徴兵で領民の労働力を軍に割かれてしまうため、近衛軍に対して過剰に費用をかけることが出来る領主はあまり多くはありません。実際、自分のもつ宮廷警備のためだけに、申し訳程度の兵しか揃えていない領主も数多く存在します。
 近衛軍と管区軍とは表向きは命令系統を異にしますが、管区総督は領主貴族の一門から出るのが通例であるため、特に仲違いすることはありません。しかし、地元出身かつ騎士など高い身分を中心とする近衛兵はプライドが高く、他の地方出身者を中心とする王国軍兵士を低く見る傾向があり、兵士レベルでの対立が問題となることがあります。


○兵制

 カスティルーン軍の兵制は全国で統一されており、各領主は規定された兵力を徴兵によって常備することが義務づけられています。これは神聖同盟締結時に結んだ条約により、一定兵数を常備させておく必要があるためですが、3国の中では人口数の少ないカスティルーンにとっては特に負担となるため、期間徴兵と呼ばれる兵制を導入することで産業構造への負荷を軽減しています。これは休日など特定の期日のみ訓練を受けたり軍務を果たすというやり方で、平時は自身の職業に従事することが出来ます。期間徴兵は正式徴兵の兵士とは異なり、地元の管区で軍役につくことになります。
 期間徴兵は当初は苦肉の策として導入されたものですが、軍全体の維持という意味では思わぬ功績を挙げています。というのは、いわゆる古参兵への上納品という意味で、彼らが隠れて内部へと持ち込む食料や雑誌といったものが、正式徴兵者のストレスを和らげる結果となっておりますし、短期休暇で町へ出た兵士と地元市民の橋渡しとなることで、軍と民間人の間に起こる無用の軋轢を取り除くという結果になっているのです。しかし、上官が堅物だったりすると持ち込み品に対する規制が厳しくなったりして、逆に隊全体の関係を悪化させてしまうため、きまじめすぎるのも考え物といったところでしょう。


○兵士

▼王国軍将校
 将校として軍隊を指揮するのは、軍務省に所属する軍人となります。しかし、その多くは貴族出身の者であり、将官として名を連ねているのは殆どが名門貴族の一門となります。才能を買われて下の身分から下士官として登用される場合もありますが、高い位へとのぼりつめることは殆どありません。


▼騎士
 無領地貴族であり、領主貴族に仕えて俸給を受け取っている軍人です。彼らは近衛軍に所属する者であり、王国軍の指揮をとることはありません。多くは将校として部隊を率いるのですが、特に信頼の厚い者は身辺の警護を任されたりすることもあります。


▼常備兵
 王国軍の常備兵士として国土防備にあたる軍人であり、徴集兵と志願兵の2種類があります。


○軍事情勢

 カスティルーンは周囲を深い森林に囲まれているため、他国から直接侵略されるということは殆どありませんでした。現在はユークレイ、ペトラーシャと神聖同盟を結成して、ライヒスデールとフレイディオンの軍事同盟に対抗していますが、直接的に戦っているのはユークレイとライヒスデールであり、カスティルーンは後方支援役として活動するのみです。


○国家関係

▼友好国
 ユークレイ、ペトラーシャとは神聖同盟を締結しており、非常に親しい間柄となります。王家同士には血縁関係もあります。


▼敵対国
 地理的要因からカイテインとは直接の交戦は行っておりませんが、古くから不仲で国交もありません。また、南方政策については強い警戒を示しています。ライヒスデールおよびフレイディオンは、同盟国家であるユークレイと敵対しており、物資の面でユークレイを後方から支援しています。


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警察


○警察機構

 行政機関に属する内務省警察局が警察組織を統轄しています。警察局は国家警察として機能し、その下部組織として州警察や小州警察が各地域に配備されています。
 中心となる国家警察は、州警察などの下部の組織に対して監査・粛正を行う権限を持ちます。警察組織は通常の形態で、警察署の中にいくつかの部署があり、刑事や警察官が業務を担当します。警察組織に務める場合は、警察学校で訓練を受けなければなりません。


▼国家警察
 全警察組織に対して指揮監督を行う部署で、首都に庁舎が存在します。基本的に現場での捜査は担当しませんが、広域捜査部は複数の州をまたがる犯罪の捜査を専門に行います。


▼自治体警察
 州/小州/準州の警察業務を監督します。また、広域の犯罪を取り扱ったり、応援要請があった場合は地域に出向いて業務を手伝います。
 州警察は幾つかの市・町・地方の警察を統括しています。市警察はさらに地域警察や街区警察といった小さな部署を管理します。地方警察は市や町に含まれない地域(群や島など)を管理する部署となります。形式的には市警察と同等の立場にありますが、実際には地方警察の方が立場は低いようです。


▼首都警察
 州警にあたる大きな組織で、首都周辺の警察業務を取り扱います。首都に存在する重要施設などの警護も首都警察の担当です。


○警務法官

 聖堂騎士のうち警察に出向して働く、特殊な立場の警察官です。通常の業務は警察官とほぼ同様ですが、立場は独立しています。警察官としては位が高く、下位の警察官を率いて捜査を行う立場にあります。と同時に、内部の監査役としても機能しております。


○特殊な部署

▼鉄道警察
 三国鉄道の敷地および車内での事件・事故を担当する部署です。


▼広域捜査部
 複数の地方にまたがって犯罪をおかした者を担当する刑事です。これは国家警察に所属する部署となりますが、出向先では嫌われることが多く、協力を得られないことも少なくありません。そのため、警務法官がこの任務を担当することも多いようです。


▼特別機動部
 いわゆる機動隊のような役目を果たす部署で、警務法官が率いる武装警官たちで形成されています。変異現象による犠牲者を救ったり、あるいは暴動を鎮圧したりといった仕事をこなしたりします。


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司法


○法務省

 行政院に属する組織ですが、全体は法教会が統括しています。法務省で働く官僚や職員の多くは聖職者ではありませんが、上層部や裁判官といった役職には聖職者が多数配属されています。


▼長官
 他の行政機関のトップはすべて貴族が占めていますが、法務省長官だけは慣習的に法教会の枢機卿が就くことになっています。


▼神聖法官
 裁判官として活動する聖職者で、神官長以上の階級の者が就くことができます。特に公正さを必要とされる職業であり、地位や権力といったものにも惑わされることはありません。通常の業務は裁判官と同様で、普段も裁判所に勤務することになります。


○裁判所

 最高裁判所(国家)、上級裁判所(州/小州/準州)、下級裁判所(地域自治体)の順に裁判所が体系的に整備されています。裁判の進行方法は現実世界とほぼ同じ方式で行われ、それぞれ控訴・上告を行うことも出来ます。


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行政区分国家制度王家軍事警察司法