設定
事件を解決するためには、解決方法にたどり着くための情報が必要となります。
○内容
課題、前提条件、解決方法の例などを設定した後は、解決手段をプレイヤーが模索するための情報の提示(入手手段)を考えることになります。この時、いつ、どこで、誰(何)から、どのような内容の情報を、どうやって手に入れるのかを設定しなければなりません。
▼「いつ」
これはシナリオのどのタイミング(シーン)で情報を明かすのかということで、場面や展開をコントロールする意味で重要になります。▼「どこで」
これは、情報を手に入れる条件の1つとして考えるとよいでしょう。そこにたどり着くまでの過程にも障害を設定することが出来ますし、場所を探すこと自体もイベントとして利用することが出来ます。▼「誰(何)から」
どのような媒体を通じて情報を得るのかということです。その媒体から情報を得るための手段(言語、条件、前提知識など)を設定することで、さらなるイベントを設定することが可能となります。
▼「どのような」
情報の具体的な内容です。これについては後述しますが、情報の重要度や、それを得られなかった場合の展開や対処法などについても、同時に用意しておく必要があります。▼「どうやって」
情報を手に入れる手段・条件のことで、代償を要求することで情報収集から次のイベントへと展開を膨らませることが出来ます。
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重要度
シナリオを作成する時は、その情報が問題の解決においてどの程度の重要性を持つのかを考えておく必要があります。
▼必須情報/必要な情報
最も重要なものは、それを得られないと話が展開しなくなるような必須情報です。その次に重要なものは、その情報が得られないことでシナリオ進行が妨げられたり、PCの行動が著しく制限される可能性のある情報となります。これらの情報については、それが得られなかった場合のフォロー手段を用意しておく必要があるでしょう。
▼有効な情報
この次に重要なものは、それを知っていることでシナリオがスムーズに展開する、もしくはPCの行動が有利になるといった情報です。これは知らなくてもセッションの進行を妨げるものではないため、それを得るためのルートを複数用意したり、失敗の回復手段を幾つも考えておく必要はないでしょう。
▼偽情報
上の2つとは別の機能を持つ情報としては、ミスディレクション、すなわち誤誘導となる情報があります。これにはPCを騙すための全くの嘘の情報と、真実だが(言い方や断片的にしか与えられないなど)伝達の過程によってはプレイヤーが誤解するような情報の、大きく2種類に分かれます。
いずれにせよ、これらはプレイヤーが真贋を見抜くことが要求されますし、この情報を得たことでどのような展開になるかを想定してシナリオを準備する必要があります。また、これを知ったことで著しく不利な状況に置かれたり、ミッション失敗となる可能性が高いものは、偽情報であることを見抜くための情報や、その状況を回復・回避する手段などを用意しておかなければなりません。
▼伏線
伏線にもいろいろな種類があり、そのシーンに直接作用するとは限りませんが、後に有効となる可能性のある情報や、以降のセッションに関連する情報などがあります。
なお、TRPGにおける伏線は、必ずしも機能するとは限りません。後のシーンのために情報を提示しておいても、展開によっては伏線を無視することもありますし、結果的に伏線が無効となったり、偽情報として機能してしまう場合もあります。もし、このような伏線によってセッションが破綻したり、PCが誤った方向に進んでしまう可能性が高い場合は、その情報に意味はない/深く考える必要はないという事実を、その後の情報収集を通じて明らかにしておくべきです。また、NPCなどを通じて伝える機会がない場合には、プレイヤーに直接教えてしまっても構わないでしょう。
▼追加情報
シナリオとは直接的な関連性のない情報や、それを得るためにPCに時間を使わせるための情報などが挙げられます。これは単に無駄な情報としてだけではなく、舞台やNPCの性格づけに利用されるものも含みます。
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提示
○展開
▼順番
情報の提示について考える時は、入手する順番が非常に重要になります。セッションでは特定の情報を得ることで次の展開へと進むような形が多くなりますが、現実のセッションは流動的ですので、必ずしもGMの構想通りに情報が明かされるとは限りません。ですから、その情報をどのタイミングで明かすべきかについては、流れの中でしっかりと把握しておきましょう。
▼分岐
全ての情報が必ずしもプレイヤーの手に渡るとは限りません。しかし、情報の重要性によっては、その後のシナリオの展開に支障を来すこともありますので、情報が手に入らなかった場合の回復方法を考えておく必要があります。
同じ情報が他の場所で手に入ることもあるでしょうし、費用や時間を余分に費やすことになったり、他の重要なイベントと情報収集のどちらに時間を割くか選択を迫られることもあります。また、プレイヤーのミスによって入手できなかった場合は、ペナルティとしてその情報を隠したままプレイを進めることもあるでしょう。
いずれにせよ、情報が手に入った場合はどうなるのか、手に入らなかった場合はどうなるのかということだけは、シナリオ作成時に想定しておかなければなりません。この時、細かい情報にとらわれる必要はありません。入手できたかどうかによって、その後の展開に大きく影響を与えそうな情報だけを選んでメモしておいて下さい。
○情報の分量
TRPGのセッションにおいては、情報量のコントロールも重要となります。
たとえば、たった1つの情報が手に入っただけで解決してしまうようでは、殆どの場合はゲームが成立しません。しかし、逆にうんざりするほど情報を集めなければ話が進まないセッションというのも、プレイヤーのやる気を削いでしまうものです。
情報収集だけでプレイヤーを楽しませるというのは、よほどうまく出来た推理シナリオなど、ごく一部のものだけに限られるでしょう。そのようなシナリオが存在したとして、優れた熟練GMが細心の注意を払ってセッションをコントロールしなければ、飽きさせずにゲームを続けるのは困難です。TRPGにおける情報というのは、基本的に選択や推理を行うための判断材料であるということを忘れないで下さい。
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