発掘調査

事前調査準備と作業先史文明


 

事前調査


 発掘調査を行うためには、まずその手がかりがなくてはなりません。多くの場合は文献調査からはじめることとなるでしょう。文献から調査できるのは、殆どは聖母アリア出現以降につくられた遺跡だけです。科学魔道時代のものは文献で調査するのは不可能ですし、空白期の文明についても記録があまり残っておらず、多くは言い伝えなどを頼りに探すこととなります。


○文献調査

▼所蔵場所
 文献調査といっても、正確な記述が残っているものは既に発掘されていたり、あるいは盗掘にあっている可能性が高いので、多くは曖昧な記述から探すことになるでしょう。こういった文献は大きな図書館よりも、地域に密着した小さな図書館の方が資料が揃っていて探しやすいものです。特に民族別のものは、民族資料館や個人の蔵書などを頼るのが近道である場合があります。その地域を治めていた貴族や富裕農民の家に、こういった資料が残されていることも多いでしょう。
 それから、教会の記録にもこれらの資料が残されていることもありますが、閲覧には紹介や許可が必要とされることが多く、また調査そのものに宗教機関が介入してくることが殆どです。これは記載されている内容が宗教機関の権威に関わる恐れがあるからです。キャラクターが国家機関や大学に席を置いている場合は、神大学や学問院との共同発掘ということになるでしょう。もっとも、発掘に関する費用も共同出資ということになるので、悪いことばかりではありません。


▼検索
 文献調査は非常に地道な作業です。膨大な資料の中から目的の記述を探すためには、下手をすると数ヶ月単位の時間がかかることもあるでしょう。この作業は資料検索(一般:感応+資料情報)で判定を行います。


▼言語
 古い言語で書かれている場合は、翻訳しながらの調査ということになります。その文字を読めない場合は翻訳家を頼らなければなりません。
 多くの遺跡は聖母アリア出現以後のものなので、共通古語(専門:記憶+言語)の判定が必要となります。しかし、ペルソニア大陸の遺跡の場合は、黒人語(専門:記憶+言語知識)がなければ解読することができませんし、空白期にあった古代文明では独自の言語を利用してることが少なくありません。
 それから、いくら書いてある文字が読めたとしても、内容が専門的なものであれば、それを理解できるとは限らないものです。解読には歴史(専門:記憶/判断+文化知識)や考古学(専門:記憶/判断+文化知識)の判定が必要となる場合もあるでしょう。
 それから、かつての王朝の財政記録から矛盾的を探したりする場合は、経済(専門:記憶/判断+社会知識)といった領域の知識も少なからず必要となってきますし、地形が変わっている場合は地学(専門:記憶/判断+自然知識)などの情報と照らし合わせる必要があるでしょう。もちろん、1人で全ての解読を行う必要はありません。もとより発掘作業はチームを組んで行うものであり、自分がチームのリーダーとなって専門家を率いて調査活動を行うことも可能なのです。ただしその場合は、資金を提供するスポンサーを見つけるという仕事も重要となってきます。


▼秘匿
 遺跡に関する文献は、王家など特定の家系に秘匿されている場合が多くあります。ただし、近年では革命などによって王朝が崩壊し、長く隠されてきた貴重な資料が公開されるといった事態も起こるようになりました。国立の調査機関に政府から調査が依頼されることもありますので、それによってキャラクターが発掘に携わることもあるでしょう。


○伝承

▼ルート
 人々の言い伝えを聞いて歩くことも裏付け調査としては有効です。もちろん、文書として残されていない事実は、誰かに聞いた話から類推してゆくしかありません。
 まず話を聞く相手としては、やはり地域を治めていた貴族や富裕農民の家系が挙げられます。また、比較的近い時代のことであれば、年輩の人間に話を聞いてもよいでしょう。これらは土地に住む者だけが知っているとは限らず、特定の部族と親交の深い者や遊牧民族の霊媒師、それから各地を放浪する吟遊詩人といった人たちから話を聞ける場合もあります。


▼知識
 伝承や民話などに関する知識を思い出す場合は、伝承知識(専門:記憶+文化知識)で判定します。なお、自分が生まれ育った地域に関連する情報や、一般に広く知られている話であれば、一般分野の判定でも大雑把な内容を思い出すことが出来ます。
 伝承知識でわかるのはあくまでも言い伝えであり、民話や伝承を知っているかどうかを判定するだけです。それ以上の詳しい話になると、民俗学(専門:記憶+文化知識)の専門知識が必要となってきます。ただし、噂に根拠があるかどうかなどを判断することもできますので、それなりに役に立つ技能といえるでしょう。


○謎

 盗掘を避けるための目的などで、文献やその一部が秘匿されている場合もあります。たとえば、王家の墳墓などは一般に場所が知られていないこともありますし、場所はわかっても内部に隠し通路が設けられている場合もあります。


▼発見
 建物の正確な設計図を書いたり不審な空間を発見する場合は、建築学(専門:判断+理数知識)の判定が必要になります。民族や王家ごとに法則性がある場合は、考古学などの判定に成功すれば構造について幾らか類推できても構わないでしょう。それから、天体の位置や神話になぞらえて建物を建てる場合も多くありますので、それらの専門知識が必要となってくることもあります。


▼伝承
 民話や民謡の中に、謎を解く鍵が隠されている場合もあります。こういった謎については、伝承知識(専門:判断+文化知識)の判定に成功した場合に、解読の手がかりとなる情報を与えればよいでしょう。


▼謎解き
 謎を解くための決定打となる情報は簡単には得られないでしょうし、また自分で暗号を解かなければならないこともあります。しかし、プレイヤーの能力で謎が解けず、シナリオが行き詰まってしまうということも考えられます。こういった場合は、推理(一般:判断+分析力)の判定を行わせてもよいでしょう。ただし、判定に成功しても解決のためのヒントが貰えるだけです。


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準備と作業


○発掘資金

 発掘を行うためにはそれなりの準備が必要となるでしょう。発掘のための資金はもちろんのこと、様々な専門技術を持った人員を揃えなければなりません。また、土砂を運んだりしなければならない場合は、機械を使うこととなるでしょう。


▼研究機関
 発掘を主導する人間が資金を持っていなければならないわけではありません。大学や研究機関に務めていれば、研究室に分配された予算で発掘を行うことが可能です。


▼出資
 個人が計画する発掘調査であれば、貴族や企業家などの出資者を探さなければならないでしょう。スポンサーとして真っ先に考えつくのは、やはり国家となるでしょう。実際、大きな遺跡の発掘作業というのは、民族文化に関わる国家的な事業なのです。
 個人や企業の中から出資してくれそうな相手を探し出すには、専門知識による判定やコネクションを利用することが考えられます。過去に発掘事業に携わって何らかの利益を得ている者がいれば、考古学の分野ではそれなりに名前が知られていることでしょう。再び出資してくれる可能性が高いのは言うまでもありません。


▼取り引き
 ただし、出資する側としても、何の興味もメリットもないことに資金を出すはずがありませんから、目的が合致する相手を探し出す必要があります。たとえば、王家の財宝が眠っているという情報や功名心、それから考古学に対する興味といったものを材料として、駆け引きを行うこととなるでしょう。
 相手と交渉を行う場合には、交渉(一般:判断+駆け引き)の判定を行います。まったくの初対面であれば信用(一般:判断+会話技術)の判定に成功して、信用を得る必要があるかもしれません。この場合、誰か信用のできる人物の紹介があったり、過去に何らかの実績があれば、交渉を有利に進めることができるでしょう。


○現場捜索

 発掘対象となる遺跡の場所が文献から特定できたとしても、そこが現在でも到達可能な場所かどうかはわかりません。たとえば、火山や地震などの天変地異によって埋まってしまった遺跡もあるでしょうし、森の奥深くに隠されていることもあります。ペルソニア大陸の場合は、砂の中に埋もれてしまっている可能性もあるのです。こうなると、まずは自分がいる場所を把握することさえ困難です。


▼案内人
 現場の探索には、何よりも地図が必要です。しかし、地図だけがあったとしても現在位置がわからなければどうにもなりませんので、特殊地理(専門:記憶/感応+範囲情報)を習得している案内人を雇う必要があるでしょう。特に冒険案内人という職業は地域の伝承にも詳しいので、非常に頼りになることでしょう。冒険案内人はペルソニア大陸に多い職業で、普通はペルソニア語(黒人語)の通訳もできます。


▼地図屋
 観測知識(専門:記憶/判断+自然知識)の専門分野を身につけている地図屋は、周辺地域の地図を作成することが可能です。これによって、未知の領域でも迷わずに進むことが出来ます。地図屋の中には建築学に通じている者もおり、遺跡の図面を作製できる場合もあります。


▼探検家/護衛
 危険な場所に赴く場合は、様々な野外技術を身につけている探検家を案内役に選ぶこともあるでしょう。また、危険な野外生物が生息する地域では、獣狩りや傭兵などを護衛として雇う必要があります。


○道具・人員

▼動力/人夫
 発掘には様々な道具や人員が必要となります。これらを発掘現場まで運ぶために、馬車や自動車を使うこともあるでしょう。もし、土砂などを取り除く必要があるのであれば、馬や牛といった家畜や、クレーンや排水ポンプ等の重機械を準備しなければなりません。


▼専門知識
 発掘の肉体労働部分に携わる作業者は、下層労働者を雇ったり研究室の学生を使うこともできるでしょう。しかし、専門技術を持った人間を必要とする場合は、雇うのにそれなりの費用もかかりますし、探し出すのに時間をとられる可能性もあります。
 たとえば遺跡の中には泥棒よけの罠が仕掛けられている場合があります。わざと発動させて解除すればいいと考える人もいるかもしれませんが、それは非常に甘い考えです。これらの罠は非常に殺傷能力が高く、かつ巧妙な仕組みのものが多いのです。また、遺跡そのものを崩壊させてしまうような大規模なものも存在します。そしてこれらは、よほどのことがなければ殆どが現在でも問題なく作動するのです。
 遺跡に仕掛けられている罠を解除するためには、《隠密技術》の技能に含まれる〈罠作業/屋内罠〉の専門分野を習得している必要があります。しかし、これを身につけている者は少数で、どうしてもその技術が必要というのであれば、遺跡荒らし(盗掘屋)を頼ることも考えなければなりません。


▼先史文明
 科学魔道時代の遺跡を発掘する場合は、その時代の文字が読める人が必要となるでしょう。しかし、先史文字と呼ばれるこれらの文字はほとんどが解明されておらず、読むことができるのは研究者や翻訳家の中でもほんの一握りしかおりません。こういった専門家を探し出すためには、やはり考古学の知識やコネクションが必要となります。


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先史文明


 この世界には、大変異現象以前に存在した科学魔道文明の遺跡も残っています。この遺跡の発掘は、エルモア地方の将来に大きな影響を及ぼす可能性があります。霊子機関の発掘は、社会変革の一翼を担う重要な事件でした。現在のところほぼ唯一の例とはいえ、今後これに継ぐ発見がなされないとも限らないのです。また、発掘品はたとえ使用法が解明されないにしても、国家機関や学問院で非常に高値で買い取ることから、これを狙う人間も後を断ちません。


▼知識
 これらの遺跡の発掘は、大変異現象以後の文明の遺跡よりも遥かに困難です。というのは、先史文明の情報は基本的に紙媒体に記録されていない上に、記録の殆どが大変異現象によって失われてしまったことにあります。
 科学魔道文明に関する知識は、考古学ではなく先史文明学(専門:記憶+先史文明知識)で判定します。しかし、先史文明学もまた先史文字と同じくほとんど研究が進んでいないというのが実状です。まったく異なる言語体系を持ち、現在よりも遥かに高度な科学技術を利用していた文明のことを調べようというのですから、その困難さは想像に難くないでしょう。


▼変異現象
 遺跡の多くが変異現象によって歪められてしまっているということも、発掘を難しくしている理由の1つです。周囲の地形が侵入を阻むこともありますし、怪物や変異植物が襲いかかるのはむしろ当然のことでしょう。特に遺跡の周辺ではよく変異現象が起こると言われていますが、何しろ発見例が少ないので相関があるとは断言できません。


▼構造
 他にも、先史文明の遺跡は不可思議な構造をしており、階段のない塔やどこまで掘られているのか見当もつかないような地下遺跡、また現在ある重機械ではとても開かないような巨大な扉など、想像がつかないような困難が多数待ち受けているのです。
 また、罠があってもそれを解除できるかどうかもわかりません。科学魔道時代の遺跡を専門に狙う盗掘屋もいますが、彼らでさえ次にどのような罠が仕掛けられているのか全く予想できないといいます。それから、仕掛けがよくわからない罠があった場合は、大抵はあっさりと解除を諦めて次の扉を探します。1つの罠にこだわっても時間を無駄にするだけだとわかっていますし、命を失っては元も子もないからです。


 科学魔道時代の遺跡に挑戦するのは、ほとんど賭けに近い行為です。しかも、その多くは命や人生を代償にします。ですから、個人でこれに挑むのは愚かと言われることでしょう。実際、これらの遺跡の発掘に積極的なのは、国家(特に軍隊)や学問院といった大きな組織ばかりなのです。


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事前調査準備と作業先史文明