概要
TRPGにおけるシナリオとは、ゲームのあらすじとなる部分です。これはストーリー展開だけではなく、登場する人物(NPC)や舞台の設定などを含めてシナリオと呼んでいます。
GMはプレイの前にシナリオを作成し、それに沿ってゲームの目的や状況などの情報をプレイヤーに提示してゆきます。そして、プレイヤーは状況に応じて行動を選択し、GMはそれに対してリアクションを返してゆくことで、実際のプレイが進んでゆくことになります。
○ゲーム性
TRPGシステムに含まれる世界観、ルール、データ等は、ゲームを形作る部品として用意されているものであり、それ自体がゲームになるわけではありません。実際のゲームはシナリオという形でプレイヤーに提示されるものであり、どのようなゲーム性(選択など)を持たせるのかは、シナリオを作成するGMが決定することになります。
○展開
シナリオを作成する際に注意しなければならないのは、TRPGのシナリオは演劇や映画のそれとは異なり、展開や結末に変化が起こりうるということです。
多くの場合、GMはゲームの目的に加えて、プレイヤーの趣味嗜好を考慮して結末を予測し、シナリオの概要を作成してゆくことになります。しかし、TRPGではセッションの途中で何が起こるかわからないため、結末や途中の展開を何パターンか用意しておく必要があるのです。初めてシナリオを作成するという方は、コンピューターRPGにおけるマルチエンディング・システムを思い浮かべてみればよいでしょう。
しかし、あらゆる事態を想定してシナリオをつくることは不可能です。プレイヤーはGMが予測もしていなかった行動を取ることもあり、その場合はアドリブでシナリオを進めてゆかなければなりません。とはいえ、このような不測の事態が生じてもさほど慌てることはありません。ある程度の準備さえしておけば、シナリオの一部を差し替えるだけで簡単に対応できることもありますし、プレイヤーに展開を考えさせながらプレイを進めてゆくこともできます。慣れてくれば、(勧められることではありませんが)全くのアドリブで話を進めてゆくことも不可能ではありません。
とはいえ、いくらアドリブがうまくなったとしても、事前の準備をないがしろにしてはいけません。準備が行き届いていれば、不測の事態に直面しても慌てて展開を考える必要なく、スムーズに状況に対応できるものです。
さて、このパートでは、シナリオを作成するにはどのような準備をするべきかを説明してゆきます。以降の項目は初心者GMのために詳しく書いており、冗長な部分も多々あります。ですから、経験者の方は確認のために、必要な部分にだけざっと目を通しておけばよいでしょう。初心者の方はTRPGのシナリオ作成の基礎をマスターするためにも、最後までゆっくりとお付き合い下さい。
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シナリオの構造
一般にTRPGのシナリオは、以下のような要素から成り立っています。GMはこれらを1つずつ設定してゆくことで、シナリオを完成させることになります。しかし、設定する順番は特に決まっておりませんので、自分がやりやすいように決めてゆけばよいでしょう。
○シナリオの流れ
TRPGのシナリオは一般的な物語と同様に、起承転結や序破急などの構造で説明されることがあります。まれに変則的な構造をとることもありますが、だいたい全体の構造としては以下のような流れとなるはずです。
事前の状況(プロローグ) → 導入 → 展開 → 結末 → 最終状況(エピローグ)
GMはこれらの要素を組み立ててシナリオを構成してゆきますが、TRPGの特性上、展開と結末を事前に決定することができません。しかし、これをまったくの空白とするのではなく、シナリオの流れから幾つかのパターンを予測しておき、それを骨子としてシナリオを進めてゆくことになります。そうでないと、展開をその場で考えなければならず、非常にあわただしい状況でセッションを制御しなければならなくなるからです。場合によってはシナリオに矛盾が生じたり、プレイ事態が破綻してしまうことにもなりかねません。
○シナリオの核
シナリオの核になるのはシナリオの課題(事件)です。課題とは非日常的なハプニングのことであり、PCはこれを解決する役目となります。課題が決まれば、状況や展開は自然と決まってゆくことになるでしょう。これをふまえた上でシナリオの流れを考えた場合、最も単純な構造は以下のようになります。
導入:課題の提示と状況の説明を行います。
展開:課題解決のための試行錯誤の場面です。
一般には 情報の入手 → 行動の選択 → 状況の変化 という流れになります。
結末:課題を解決するための行動と、その結末を描写する場面です。
実際のシナリオでは、展開の部分に幾つかの分岐点を設け、一本道にならないようにする必要があります。つまり、シナリオには選択肢と変化が存在するということで、これがTRPGには必須の要素といえるでしょう。
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