法教会/全体

概略歴史施設教義と信仰


 

概略


○基本

 聖母教会の異端派が土着の宗教と結びついて成立したもので、唯一神と『聖人ルーン』を祀っています。


 異端とされて野に下った聖母教会の『主教セルトラーン』は、神託を受けてルーンを神の子と認定しました。このことから、法教会ではルーンこそが真実の神の子であり、唯一の使徒であるとしています。聖人ルーンは、我が身を犠牲にして魔神を倒したことで知られており、死後は聖霊として衆生の救済に励んでいると信じられています。


○信奉国家

 カスティルーン、ユークレイ、ペトラーシャの3国で国教として信奉されており、エルモア地方では聖母教会に次ぐ勢力をもつ宗教機関です。


○政治への影響

 先に述べた3つの国では、国政にも重大な発言力をもっております。特にカスティルーンにいる法王は、同国の王室顧間もつとめており、非常に大きな影響を及ぼしています。
 また、王位継承戦争で疲弊したペトラーシャ国民は、革命を起こして王朝を打倒しておりますが、これも法教会の助力があって成功したものであり、憲法制定やその後の国政方針にも教義が深く関わっています。


○法の守護

 法教会はその名の通り法を守る役目を負っています。そのため、上の3国では裁判所および警察機構の運営にも関与しており、それらに勤める聖職者は必ず法律に関する知識を身につけています。彼らは裁判官や刑事たちの同僚であり、かつ監視者の役目も負っています。ですから、法教会を国教とする国では、他国に比べて警察官が為政者と手を結んで悪事を行ったりする例が少ないという事実があります。聖職者は様々な意味で犯罪の抑止力として機能しているのです。


○ルーン歴

 現在の標準歴は聖歴ですが、法教会を信奉する国家ではルーンの死没した前聖歴577年を基準とした、ルーン歴を使っています。聖歴789年はルーン歴1367年になりますが、混乱を避けるために、説明の中ではあくまでも聖歴で表すことにします。


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歴史


 『聖人ルーン』の名前が歴史上に登場するのは前聖歴624年のことで、法教会の誕生は『聖セルトラーン』が没した前聖歴582年の2月6日とされています。ただし、正式な宗教機関としての成立は、それから30年近く経った前聖歴554年となります。


▼ルーンの出現
 信仰上の問題から異端とされ、聖母教会を離れた主教セルトラーンは、旅の途中で青年ルーンと出会います。ルーンは聖母アリアやその娘たちと同等の力を持っていたと伝えられており、魔術とは異なる力で戦乱に苦しむ人々を救済しておりました。セルトラーンはこの行為に胸をうたれ、ルーンとともに救済の旅を続けることを決心します。


▼神託〜ルーン連盟
 その後、セルトラーンは前聖歴624年に神託を受け、ルーンをもう1人の神の子と認定し、使徒の1人であることを広く宣言しました。聖母教会はこれを否定したのですが、やがて異端派の一部がルーンの元に集まり、その手足となって人々の救済に生涯を捧げることを誓います。これが前聖歴589年頃のことで、その一団が現在の『法教会』の基礎となる組織を作り上げます。
 その4年後の前聖歴585年、現在のカスティルーン北部地域に、聖人ルーンと法の教えを崇める自治都市民の集合であり、軍事同盟でもある『ルーン連盟』が誕生します。これはナヴァール人を主体とするものですが、ルーンおよびセルトラーンの求心力と、彼らの下に集まった聖母教会の異端派一門の信仰の力が、連盟の団結に大きな影響を与えました。


▼2つの死
 それからまもない前聖歴582年に、セルトラーンは老衰で亡くなってしまいます。しかし、その悲しみも癒えぬ間に、連盟は大きな危機を迎えることになるのです。
 前聖歴579年、南方にマイリール人によるエクセリール王朝(カスティルーン南部、ペトラーシャ東部、ルワール北部、エリスファリア、ジグラット、カイテインの一部地域を含む王国)が誕生し、連盟の領土に対して侵攻を開始します。連盟は強い結束力を保ってこれに対抗したのですが、前聖歴577年になると前線付近の都市(現在の首都カステリア周辺)に出現した魔神が付近の住民を襲うようになり、エクセリール王朝に大きな隙を見せることとなりました。
 このため、ルーンは周囲の制止を振り切ってこの怪物の討伐に赴くのですが、相討ちとなって命を落としてしまいます。その後、ルーンを失った連盟は崩壊寸前の状態まで行き着き、半分近くの自治都市がエクセリール王朝に支配されることになります。


▼法教会の誕生〜現在
 この危機を脱するため、ルーンの側近の1人であったティレジア=ヴェスターファの呼びかけで、前聖歴554年、ナヴァール人の土着宗教とルーンの教えを融合した法教会が、正式な宗教機関として設立されました(なお、法教会の誕生そのものはセルトラーンの死亡日となっています)。また、前聖歴548年には聖職者と現在のライヒスデールを追われた騎士団を加えた戦士団が結成され、教会と連盟を守護する聖堂騎士団が誕生することになります。
 その後、法教会の教えは少しずつ近隣国家へと広がってゆき、ユークレイやペトラーシャでは国教に定められることになりました。しかし、これらの地ではもともと聖母教会が信仰されていたため、法教会は聖母教会との対立を深めることとなり、現在では双方が相手を異端としています。


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施設


○中枢教会

 法教会の中枢組織があるのは、カスティルーンにある『聖セルトラーン教会』です。ここはルーンが魔神を倒した地とされており、教会の天井にはその戦いの様子が描かれています。また、ルーンとともに創始者であるセルトラーンも祀られています。その他の大教会は〜正教会という名がつき、それぞれ偉大な聖人を祀っています。


○教会建築物

 法教会の建築物は正面の屋根に正十字(+)の聖印を戴いています。しかし最大の特徴は、建物を上から見下ろすと、それ自体が正十字の形をしているということです。聖堂の屋根はドーム型のものが多く、その周囲に鐘楼などが配置されています。


○学問院

 法教会の付属機関であり、多くの場合は大教会と隣接した敷地に敷設されています。かつては専門の研究者のみで組織される研究所でしたが、現在では大学と同等の学術機関として扱われています。神大学と並ぶ最高学府で、ここでは一般学問のみならず、先史文明の知識(初歩的なものや限定分野の一部にすぎない)を身に付けることが出来ます。


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教義と信仰


○基本

 法教会の教義を簡単に言えば、秩序、法、正義、公正の4つを守ることであり、それらは神のよって規定されたものと考えられています。法教会は聖母教会の異端派と土着宗教が融合した組織で、元来はこのうちの公正(あるいは公平)という点で結びついたものなのですが、現在では特に秩序という言葉に重きが置かれています。
 信者は公正な態度や正義といったものを重んじます。他の組織の聖職者に比べると合理的な考えの持ち主が多く、かつ進歩的でもあります。誤解してはならないのは、秩序は第一目標に置いているだけであって、正義のためだけに行動するわけでもなく、法に縛られているわけでもありません。時代が進めば法が変わるのも当然のことと考えておりますし、固定的観念にとらわれることなく柔軟な判断力を持って物事に対処します。
 もとより聖母教会から分かれた組織だけあって、信者はまず人々の幸せを第一に考えます。そのために必要なのが法であり、公正さなのです。逆に、秩序だっていれば何をどうしてもいいというわけではありません。たとえ秩序だった科学でも、それが公害のように人々の幸せを害するものであれば、彼らは決してそれを認めません。


▼信仰対象

◇神と使徒
 法教会では唯一神を至高の存在として崇めています。聖人ルーンは真実の神の子であり、唯一の使徒とされています。

◇聖者
 偉大な信仰者として認められた者は、死後も聖霊となって人々を救うと言われています。聖者の名を冠した教会も多数存在します。


▼記録
 
教義や神の言葉は、聖人ルーンの奇跡とともに『聖告書』に記載されています。


▼祈り

◇聖印
 聖印は『正十字(+)』で、その四方向はそれぞれ秩序、法、正義、公正を示しています。

◇祈り方
 法教会の場合は、胸の前で十字を切ってから手を組んで祈りを捧げます。その際、聖印を持っていればそれを握りしめます。


○禁忌・制約

▼忌避

◇禁忌
 法を破り、秩序を乱すことが最大の禁忌とされていますです。しかし、それは人々の不幸に繋がるからこそ咎められるのであり、盲目的に法を守ることを強制されるわけではありません。
 それから、法教会では差別的な思想も禁じられています。ですから、法教会の信奉国家では奴隷制度もありませんし、他国の奴隷制度にも批判的な態度をとっています。また、ルワール大公国で起こっている黄人の反乱を密かに支援しています。

◇混沌
 変異現象やその影響下にあるものを総称して、法教会では混沌と呼んでおります。法教会では秩序を保つために混沌を滅ぼす必要があるとし、そのために聖堂騎士と呼ばれる戦闘集団を内部に抱えています。混沌を滅ぼすことを粛正と呼び、特に聖堂騎士団が好んでこの言葉を用います。


▼科学
 聖母教会と同じく、法教会もこの地方の文明の復興に寄与してきました。ただし、聖母教会とは違って、秩序だったものとして認められるものは全て認めており、霊子機関やその他の発掘機械でさえも人々の幸せのためならば利用しても構わないと考えています。変異体を討伐するために銃器を用いたりしますし、付属機関である学問院では科学や発掘機械の研究も積極的に行われています。実際、霊子機関の発掘も学問院の功績です。


○祭祀

 法教会でのみ行われる宗教祭祀には以下のようなものがあります。


▼ルーン感謝祭(7月21日)
 ルーンが魔神を倒して没した7月21日に行われる祭りで、国中でその偉業を讃え、感謝の祈りを捧げます。


▼天恵祭/成長祈願祭(12月24日)
 子供の無事な成長を感謝し、これからの人生がうまくゆくように祈願する祭りで、12月24日に行われます。この祭りは聖母教会の聖雪祭に由来するもので、もともとは12月14日に行なわれていたようですが、いつの間にか10日ずれた12月24日の行事として定着しました。
 親は子供の成長を願って準備した贈り物を、星に願いをかけて一晩窓辺に吊るしておき、それを翌朝プレゼントします。基本的には10歳時に祝うものですが、現在ではあまり気にせず、何歳の子供でもお祝いをするようになっています。また、子供たち以外にも大事な人へ贈り物をする習慣が、都市部を中心に広まっているようです。


▼法礎祭(2月6日)
 聖セルトラーンが没した2月6日に行われるもので、この日に法教会が正式に発足したものと伝えられています。カスティルーンの憲法制定日とも重なっています。


▼万聖礼拝(毎月30日)
 月末の聖節日には聖人を祀るための万聖礼拝が開かれています。


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概略歴史施設教義と信仰