基本情報
A-8、A-9地域がロレント準州として扱われています。
▼植民地総督
女王シーリアネスの姪に当たるアルネット=ウェブスター伯爵が、現在の植民地総督を務めています。▼州都
コロール高原の麓にあるウィターニア市に総督府が置かれています。
○人種・民族
バウンシャ系の赤人を起源とする褐色の肌の民や、ラガン系の黄人、およびこれらの混血であるクルゼイア人が多くを占めます。また、西部にゆくとレグラム系の黒人が見られるようになりますし、A-5地域には黒人と赤人の混血であるレバンド人がわずかに住んでいます。白人の多くを占めるのはエリスファリアから入植したマイリール系民族ですが、現地に同化したルワール系の白人もわずかにですが存在しています。
○歴史
▼A-8
かつては草原が広がる場所だったのですが、北部をラガン帝国が支配するようになってから、ゆるやかに耕作地の開墾が行われるようになり、聖歴300年頃には完全にラガンの支配下に置かれます。その後、聖歴721年にエリスファリアの植民地に代わり、現在もその支配が続いています。
▼A-9
もともとは草原地帯だったのですが、聖歴500年代に鉱脈が発見されるようになると、山麓に鉱山街が形成されるようになります。しかし、聖歴709年のことですが、この地から『冒涜の王』と呼ばれる怪物が出現したことで、北部植民地に駐留していたラガン帝国軍はほぼ壊滅状態に陥ります。それから聖歴750年代まで人が踏み入ることはありませんでしたが、聖歴760年代に入ってからエリスファリアが再び鉱山開発を行うようになり、現在は山麓の街も復興しています。
○産物
ラムティア山地からは鉄や石炭といった鉱産物が採掘されますし、高原では酪農が盛んに行なわれています。
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自然・要所
○地勢・気候
ペルソニア北東部域は亜熱帯から熱帯に属しています。この地域は海から吹く風によって湿潤な気候となり、気温、雨量ともに安定しています。夜間を除いて、気温は1年を通じて20℃を下回ることはなく、平均気温は25度近くになります。
○都市
▼ウィターニア市/州都(A-9)
コロール高原の麓にある都市で、中央をメノッサ川が流れています。エリスファリアの植民地になってから、小さな宿場町を基盤に新しく建設されました。北部にある植民都市に比べて規模は小さく、植民地政府の建物とその前の広場を中心に、同心円状に市街地が形成されています。南方の高台には上流階級の人々がゆとりある住居を構え、下手には一般市民の住宅地が広がります。市外は農耕地や牧草地となっており、地方の田園都市といった穏やかな風情が漂っています。
▼マデスタウン(A-9)
モコナ山の北麓にある鉱山町で、最奥にメノッサ川の流れるトラール渓谷の出口があり、そこから北に下る斜面上に町が形成されています。町と幾つか存在する坑道とは、吊り橋やトロッコ列車で繋がっています。それらの到着点には鉱物の集積場があり、次に製錬や加工のための作業関連施設、そして鉱夫たちの住居と続いています。この鉱夫町までは急勾配の階段や坂道が多いのですが、その北部にはやや平坦な土地が広がっており、ウィターニア市との間を連絡する駅が置かれています。鉱夫街と駅舎は町を南北に貫く大通りで繋がっており、これを中心に繁華街が形成されています。繁華街の北側は長い緩斜面が続いており、林が点在する牧草地が広がります。
◇峡谷鉄道
現在、マデスタウンから東西の鉱山町と連絡する峡谷鉄道の敷設が進められています。これは町から山奥へと続くトロッコ列車のうち、廃坑になった坑道と繋がっている軌道を利用するもので、工期は比較的短く済むものと予想されています。◇トラール峡谷橋
メノッサ川の峡谷の出口にかかっている木造の橋で、20年ほど前に架けられたものです。この奥に峡谷鉄道用の陸橋を新たに建設する計画になっており、現在は工事の準備が進められています。
◇垂直亀裂
トラール峡谷の岩壁に幾つも見られる、地面に対してほぼ垂直に走っている亀裂のことで、裂け目の入り口の幅は数十cmほどになります。これは岩盤の奥深くまで到達しているようで、中の様子を見通すことは出来ません。この隙間を住処としている生物もおり、怪物が住み着いているものも存在します。そのため、周辺住民は不用意にこの亀裂の前を通らないよう気をつけています。◇山岳住居
モコナ山の奥地の渓谷には、わずかに存在する平らな土地に畑をつくったり、草地で牧畜を行なって生活する人々がいます。一部には現地部族の集落もありますが、植民地政府はこういった存在を認めておらず、峡谷鉄道を開設するついでに調査を行ない、いずれ一掃するつもりでいます。
▼パイロバーグ(A-8)
ロナ川の中流域にある町で、河川の西部に市街地が形成されています。対岸はルワール大公国の領土となっているため、有事に備えて陸軍部隊が砦に駐留しています。また、川沿いには堤防を兼ねた防壁が築かれており、その上では砲門が睨みをきかせています。
もともとは中継貿易地として発達した場所ですが、ラガン帝国の支配下に置かれていた現地民の奴隷たちが、聖歴350年頃に北部の植民都市から逃れ、この町を占拠して帝国と戦うという事件が起きました。そしてこの反乱に便乗して、植民都市を治めていた貴族の一部が帝国に叛旗を翻したため、戦闘は予想外に長く続くことになります。鎮圧後、外部からの侵略から町を守るために、西の丘陵地には簡素ながらも砦が築かれ、町全体が石壁で囲われることになりました。
現在の町はこの頃の設計を基盤に形成されたものですが、市街地は防壁の外にも広がっています。こうして出来た町は、小さな住居が非常に密接して建てられており、狭い道路は迷路のように入り組んでいます。聖歴736年にA-3地域がルワール大公国に奪われ、軍が駐留するようになってから人口は減少しておりますが、今でも多くの貧民が住宅密集地で暮らしています。
○要所
▼サザ草原(A-8/D-2)
短茎の草本類が生える見晴しのよい草原地帯で、数多くの野生動物が生息しています。北部はエリスファリア王国の領地であり、狩猟場としても知られています。
▼コロール高原(A-9)
ラムティア山地から北部へ向かって緩やかに下る低斜面で、かつては原住民たちの牧草地として利用されておりました。温暖で過ごしやすい気候であることから、現在は北半分までが開拓されており、幾つかの町が置かれています。
◇メノッサ川
ラムティア山脈の北部に端を発し、コロール高原を通ってロナ川に注ぐ河川です。
▼モコナ山(A-9)
ラムティア山地の北端に位置する山で、ここからメノッサ川の源流が発しています。きれいに高さの揃った3つの峰先が東西に連なっているため、トライデント山あるいは銛山と呼ぶのが一般的です。この山には幾つもの坑道が掘られており、鉄、銅、亜鉛などの鉱石が採掘されています。
▼屍平原/テシュオン(A-9)
コロール高原の麓に広がる平地には、赤茶けた泥の沼地が広がる土地があります。ここはかつて冒涜の王と呼ばれた怪物をラガン兵が迎え撃った場所なのですが、その半数は不死者に変えられてしまい、残りの半数はかつて味方だった不死者に殺されてしまいました。彼らの死地となった場所には、乾燥することのない湿泥が堆積しており、絶えることなくガスの泡をぶくぶくと吹き出しています。
聖職者でさえ浄化を諦めたというこの場所には、今もって誰も近づくことはありません。というのは、この忌わしい沼地の底には、冒涜の王やその落とし子が生み出した、肉だまりや屍肉塊といったアンデッドたちが眠っているからです。彼らは生者が近づくと活動を開始し、沼地に引きずり込んで仲間へと変えてしまいます。
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人物・集団
○ウェブスター家
現在、ロレント準州を統治しているのは、女王シーリアネスの姉であるオーレリアが嫁いだウェブスター伯爵家です。ウェブスター家が総督の座に就いたのは、今から2年前になる聖歴787年のことで、前領主は度重なる不正経営を植民省の監査官に見抜かれ、国王の命により領地を没収されています。
ウェブスター家を領主に選んだのは身内びいきではなく、ペルソニア伝道会の聖職者が異端審問を理由に、あまりにも横暴な振る舞いを続けているためです。事実、前領主と国教会は手を結び、数々の不正を繰り返してきました。たとえば、領主に反抗する勢力を異端と認定して投獄し、その財産を没収して私腹を肥やしたり、不浄の出現を理由に鉱山を閉鎖したと偽って、影で密かに採掘を続けるなどの裏工作を行なっていたのです。
こういった経緯から、伝道会とウェブスター家は折り合いが悪く、警察などの治安組織と小さな衝突が幾度も起こっています。そのため、伯爵家は領内の監視を強化しておりますが、現地民から登用されている一般警察官や、下級の役人などが伝道会に買収されている場合もあります。また、新しい植民省の監査官にも教会関係者が近づいているという情報もあるようで、本国から遠く離れたこの地では、女王の親族といえども油断することは出来ません。
▼アルネット=ウェブスター(白人/女/26歳)
女王シーリアネスの姪で、2年前に新しく植民地総督の座に就いた伯爵です。やや鼻が低く美人と評されることはないものの、洗練された大人の雰囲気を漂わせた、聡明で教養豊かな女性です。本国で生活していた頃に、先進的な女王の考え方に強く影響を受けており、規制概念にとらわれない自由な発想や先見性を持ち合わせています。
5年前の結婚を期に家督を譲り受け、本国で知り合った夫と力を合わせて、公正な領内統治を目指そうと努力しています。総督として周囲に認められたいという気持ちもあってか、就任直後から自分の色を出すことを意識しており、身分にとらわれず優秀な人材を登用したり、新しいアイディアを積極的に採用してきました。しかし、これまでの慣習や付き合いを蔑ろにして敵をつくってしまったり、しばしば新規性や独自性にこだわり過ぎて、思わぬ失敗をすることもあるようです。また、伝道会や官僚の不正に対して正面から立ち向う姿勢は、一般市民から高い評価を受けておりますが、実際に問題の対処に当たる役人や警察官たちからは、いささか厄介がられていることも事実です。
▼ランドルフ=ウェブスター(白人/男/40歳)
領主アルネットの夫として5年前に婿入りした、王族の末席に名を連ねる家系の出身です。妻に先立たれて以来独り身だったのですが、パーティで見かけたアルネットに見初められて結婚することになります。歳の差や周囲の反対の声もあって、積極的なアルネットに好意を持ちつつも本人はためらっていたのですが、女王の仲立ちで強引に話が進められ、気付くと遠いペルソニアの空の下に立っていました。
結婚までの経緯や普段の態度から、彼は主体性に欠ける覇気のない人物とよく評されます。常に所在なさ気に視線を漂わせながら、やや薄くなった髪を神経質そうに撫で付ける癖もあって、非常に気弱そうに見えることもその一因でしょう。実際は争い事や自己主張が苦手なだけで、深く付き合ってみると印象とは違う人物であることがわかるのですが、本国育ちであることから古くからの友人もおらず、本当の人柄を理解している者は殆どおりません。妻アルネットは常に一歩引いた立場に身を置いてきた彼が、非常に冷静で鋭い観察力を持っていることに気付いており、私生活だけでなく政務の上でのパートナーとしても強い信頼を置いています。しかし、意見の対立があった時は、結局アルネットが自分の意見を押し通してしまうので、彼女のブレーキにはなり得ないようです。
○人物
▼スタンリー=ミッドフォード(白人/男/26歳)
ウェブスター家の分家であるミッドフォード家の跡取り息子であり、アルネットとは同い年の幼馴染みという関係です。これまでずっと学友という立場にあり、ペルソニアへもお目付役という名目で同行しました。現在はアルネットのもとで植民地政府の官僚として働いておりますが、2人とも主従関係のような意識は全くなく、周囲に人がいない時には全く対等の立場として会話しています。2人とも非常に負けず嫌いで、これまでずっと何かと張り合ってきたせいか、最も近くにいながら恋心を抱くような間柄には成り得ず、当人同士も兄妹か気の合う親友といった感覚でいます。
スタンリーはシーリアネス女王を敬愛しており、彼女から賜った銀の懐中時計を肌身離さず身につけています。女王もまた彼の真っ直ぐな性分を気に入っており、姪っ子ともども何かと気にかけていたようです。そんな彼女にも忠告されていたのですが、彼もアルネットと同様に人間関係への配慮に欠けており、たとえ周囲に理解されなくても自分の意見を貫き通そうとして、不要な対立を生み出すことがあります。また、女王好みの本国風のファッションに身を包んでいることから、上流社会の者からは気障な若造という目で見られており、強引さが目立つアルネットの味方ということもあって、やや孤立した立場に置かれているというが現状です。
▼クリフト=ロシュター(白人/男/38歳)
領主アルネットと同じ時期に伝道会に赴任した本国育ちの聖職者です。かつては職務熱心な異端審問官というおよそありがたくない存在でしたが、立場を利用して私腹を肥やすような真似をする人間ではなく、非常に生真面目な仕事ぶりで国王夫妻に高く評価されておりました。しかし、彼のような存在は腐敗の続く国教会では厄介者でしかなく、あらぬ汚名を着せられて危うく異端審問にかけられる寸前までゆくのですが、教皇でもある国王の強権で救われることになります。しかし、いかに教皇であっても彼に処罰を下さないわけにはゆかなかったようで、結局ペルソニアへの左遷という形で処理されました。しかし、彼はただ飛ばされてきたわけではなく、国王の密命でペルソニア伝道会の動向を調査する役目を担っています。国王夫妻には恩義を感じており、その命を果たすべく日々努力しておりますが、密偵に向いているとは到底思えない性格のため、彼のスパイ活動はそう長くは続かないかもしれません。
▼エレール=ジュネス(白人/女/24歳)
つい最近、ペルソニアの地に降り立ったエリスファリアの女性探検家で、富豪として知られる貿易商人バジール=ジュネスの娘でもあります。バジールは末娘である彼女を溺愛し、貿易商として自ら各国を回る間も、ずっと自分のもとから離さずにいました。そんな旅続きの環境で育ったせいか、彼女は何ものをも恐れない度胸と溢れんばかりの好奇心を身に付け、興味を抱いたものは徹底的に調べなければ気が済まない性格に育つのです。
もともと冒険に出たいと願っていたのですが、娘に甘い父親もさすがにそれは許さずにおりました。しかし、1年前に父バジールは死去し、エレールを止める者は誰もいなくなりました。彼女はずっと前に母を亡くしておりますし、末娘ばかり可愛がる父を快く思っていなかった2人の兄たちも、妹の行く末を大して気に止めてはおりません。こうして、受け継いだわずかばかりの財産を手に、遂に憧れの未知の大陸へと辿り着いた彼女ですが、早速お嬢様育ちの娘に目を付けた詐欺師に狙われている状況です。当然のことながら、エレールはそのことに気づいておらず、旅の最初の物語は早くも波乱の様相を呈しています。
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