変異現象

基本汚染と変化解決手段


 

基本


 この世界はかつて、大変異現象によって破滅寸前まで追い込まれました。この影響は現在でもまだ残っており、変異を起こす源となる場所や物品といったものがたくさん存在します。


○認識

▼社会的判断
 変異現象そのものには正邪善悪は関係ありません。変異現象による結果があったとして、それが社会的にどう認識されるかで扱いは全く変わります。社会に悪影響を与える類のものであれば魔神の呪いとして処理されますし、逆に良い結果をもたらした場合は奇跡として取り扱われるのです。もちろん、まったく変異とは認識されずに、普通の物理現象として処理される場合もあります。たとえば国家の説明にある文章の中にも、単なる自然現象として認識されている変異現象が書かれています。


▼顕在化
 悪い影響をもたらす変異が顕在化してしまった場合、それが公に知られてしまえば、その地域での生活は非常に困難となるのが通例です。周囲の態度は一変し、あからさまな差別を受けるのはまだましな方で、所属社会を追われたり隠れて私刑を受けることになるでしょう。身分的な扱いとしては、最下層身分に属する異端階級の人間ということになります。
 異端階級の存在は、まず法律でさえ助けてくれることはありません。変異は魔神の呪いであり、宗教組織によって忌むべき者として認定されているのです。甘い期待はしない方が身のためというものです。


○原因

▼変異源
 特定の地域や物品が、特に強く変異の影響を受けていることがあります。このように変異現象を引き起こしている存在のことを変異源と呼び、周囲にも汚染を引き起こす可能性があります。
 この世にある全ての存在は変異源に近づく度に、肉体や精神に何らかの影響を被ります。変異の度合いは変異源により近づくほど、長く接触するほど大きく激しくなってゆきます。科学魔道時代の遺跡などが存在する付近は、特にこの傾向が強くなるようです。逆に言えば、遺跡の発掘をするということは変異の影響を受けるリスクを背負うことであり、発掘物もその影響を受けている可能性が非常に高いということになります。


▼霊子機関
 霊子機関の周囲では変異現象が起こりやすくなります。しかし、それは微々たる傾向に過ぎず、エルモア地方の人間はこのことに全く気づいておりません。


○外的影響

▼想像との連動
 変異現象として起こる内容には、人間の想像力が生み出したものも少なくありません。たとえば、空を飛びたいと願っていた人物の背中に羽が生えたり、憧れていた人間の顔そっくりに変化してしまうなどの現象が生じる可能性があります。
 この機構を利用して、特定のプレイヤーへ制裁措置を加えることが可能となります。これはキャラクターの行動パターンを、変異現象によって物理的に顕在化させるというもので、たとえば悪魔のような行動を繰り返していれば、そのまま悪魔になってしまう可能性がありますし、強さだけを求めるキャラクターは化け物に変化してしまうかもしれません。これは変異現象ですから、変異源と接触しなければ起こらない変化です。しかし、現在は霊子機関という変異源がありますから、町中にいたとしても十分に変化しうる可能性があります。
 以上の変化によって社会生活に支障をきたしたり、まともなプレイが不可能と思われる段階まで到達した場合は、GMの判断でそのキャラクターをNPCとして接収しても構いません。改善の兆しが見える場合には、元に戻るためのシナリオを組んであげてもよいでしょう。
 このルールを適用してよいのは、そのプレイヤーの行状があまりにも目に余り、他のプレイヤーを不快にしていると判断される場合だけです。もっとも、このような制裁措置を取る前に警告するのがフェアなやり方ですので、その前に真意を問いただすなど、なるべく話し合いで解決するようにしましょう。


▼共時効果
 変異現象で新しい現象が発生することもありますが、逆に全く新しく生み出された物質や、これまで存在しなかった霊的回路の情報が、変異現象によってコピーされてしまうこともあります。その場合、特定の地域にしかなった現象や、単一の存在だと思われていた品が、他の場所で再現されることになります。


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汚染と変化


○基本

 変異現象による汚染を防ぐ手段は皆無であり、判定なしで変異が進行して行きます。他人や物品と接触しないことだけが唯一の対抗手段となります。
 なお、変異現象による変化をキャラクターに適用するかどうかは、GMが任意に判断して構いません。もしセッションで必要ないと考えられるのであれば、特に適用しなくても問題ありません。また、ごくまれにですが、以前の状態と全く同じ存在に変異するという可能性もあります。ただし、エルモア地方に住む人物は変異現象を恐れ、激しく嫌悪しているということだけは忘れないで下さい。


▼変異レベル
 変異の度合いを示す数値で、この数値が大きいほど変異源の影響を強く受けたことになり、また、変異源として周囲に与える影響も大きくなります。変異源に接触する度に汚染の度合いは強まりますが、その時に接触した変異源のレベルを上回る変異を起こすことはありません。
 変異レベルは変異源との接触の度合いから考えて、GMが自由に設定して構いません。なお、人間の生息域にある変異源の場合は、変異レベルが5以下のものしか存在しません。しかし、絶対変異地帯などの汚染の激しい地域や、先史文明の遺跡や発掘品などには、それ以上の変異源がたくさん存在しています。


▼変異表
 変異源に長く触れていると、段階的に変異の度合いが激しくなり、さまざまな影響を被ることになります。変異による影響の例として 「変異表」というものを示しておきますので、汚染が激しくなるごとに表を参照して、その結果を適用して下さい。なお、変異表はあくまでも例示であり、GMが自由に設定して構いません。


▼参考資料
 GMが新たに変異現象を設定してシナリオに組み込む場合は、すでにある変異現象の例を見るか、術法データを参照すればよいでしょう。術法によって発現する現象は、およそすべて変異現象として起こりうるものです。なお、幾つもの術が複合した形で発動され、より複雑な現象となってしまう場合もあります。


▼潜伏
 変異の結果がすぐに表にあらわれるとは限りません。気づかないまま潜伏していて、それが徐々に発現する場合もありますし、一瞬にして変化を遂げる場合もあります。逆に変異していても、本人を含めて誰も変化に気づかないこともあるようです。特に精神に影響を与えるものは、それが変異現象であることに気づくことは殆どないでしょう。


○変異特性

▼特殊設定
 変異現象によって引き起こされた結果は、個人分野の特殊設定として獲得することになります。キャラクターに変化が起こった際は、変異の結果と変異レベルをキャラクターシートに記録しておいて下さい。


▼特殊能力
 変異によって特殊能力を得る場合があります。このうち判定の必要があると思われるものは、【霊力】の値を基準として下さい。
 特殊能力を1回使用するためには、【精神値】を1点消費します。【精神値】の消費に関しては、術法と同じ扱いとなります。


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解決手段


○変異現象の解消

 変異現象といっても物理的変化に過ぎないものも多々あり、結果が自然現象とかわらなければ、通常の変化とまったく同じように対処することが可能です。単なる病気であれば薬を飲めば治りますし、壊れた物品は修復する術さえあれば元通りにすることが出来るのです。こういった変異現象は、起こったことさえ気づかれないこともありますし、おかしいと思っても偶然か何かということで片づけられてしまうでしょう。


▼変異源
 汚染の結果である変異特性の内容は、術法などの手段によって元に戻る可能性があります。しかし、1度でも変異の影響を受けた対象は、変化が解消されても変異源として存在し続けることになります。これは時間の経過以外のいかなる手段をもってしても、決して元に戻ることはありません。たとえ先史文明の技術や願いと奇跡ルールであっても例外ではないのです。


○呪鍵

 実際には知られておりませんが、変異の中にも非常に特殊なものが存在します。このような変異を『呪鍵』といい、呪詛タイプの術法によく似ておりますが、術法などの魔力的な手段でもこれを解消することはできません。呪詛解除の術さえ例外ではありません。
 たとえばこのタイプの変異現象によって病気にかかった場合は、たとえどれほどの腕を持つ聖職者や呪医でも、これを治癒することはできないのです。術法の判定で奇跡的成功をおさめたとしても、あるいは願いと奇跡ルールを用いたとしても、これを解除することは絶対に不可能です。


▼原因と対策
 この現象が起こるのは、変異現象に生物の意思が影響を与えた場合が多いようです。そのため、これを解決できる可能性があるのは、新たなる変異によって中和されるか、あるいは影響を与えた存在の精神的負荷が解消された場合となります。
 呪鍵の解除方法に一定の法則はなく、解決の鍵がたった1人の言葉であったり、あるいは誰かと再び出会うことである場合もあります。1つ1つ原因を解き明かし、それぞれに見合った対処をしてゆくしかないようです。
 これはシナリオの課題として利用しうるものです。こういった課題を解決して元通りになった場合は、悪魔の誘惑に打ち勝ったものとして、制限はありますが再び一般社会に迎え入れられます。もちろん、宗教機関や周囲の人に気づかれずに解決してしまえば、何の問題もなく日常の生活へと戻ることができるでしょう。


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基本汚染と変化解決手段