怪物/基本要素

概要舞台シナリオその他


 

概要


 エルモア地方を徘徊する怪物たちが引き起こす問題を解決するシナリオです。


○目的

 怪物たちが引き起こす問題を解決することがシナリオの第一の目的となります。単純に考えれば、主に怪物の退治あるいは捕獲を目的としたシナリオとなるでしょう。しかし、本当に考えなければならないのは怪物が引き起こす問題の本質です。さて、怪物が騒動を起こすのはいったいなぜなのでしょう? たとえば、採掘や農地の開拓のために住処や餌場を奪われれば、市街地で人間を襲わなければならなくなる場合もあります。逆に人間が発掘などの目的で奥地へと入り込み、怪物に遭遇することもあるでしょう。野生動物と人間との悲劇的な出会いというのは、人間社会の発展に起因することが多いのです。
 それから、怪物の中にも多少の知性を持った生物も存在します。彼らは何を欲して人間と衝突することになったのでしょう? それを解消することがシナリオの目的であるかもしれません。また、人間の中には怪物を利用しようとして捕獲をもくろんだりする者もいます。怪物を取り扱うシナリオであっても、必ずしも怪物が悪であるとは限らないのです。こういったことを考えてシナリオを作製すれば、シナリオを単純な作業で終わらせずに済むでしょう。


○楽しみ

▼アクション
 怪物を相手にした、スリリングなアクションを楽しむことができるでしょう。しかし、必ずしも戦闘を想定する必要はありません。怪物に追われる羽目に陥ったり、罠を仕掛けておびき寄せたりするなど、様々な場面が想定されるでしょう。

▼調査
 怪物を相手にするには、何よりも先に調査が重要となるでしょう。相手が何ものなのかさえ判然としない場合もあるでしょうし、退治するにせよ捕獲するにせよ、接触できなければどうすることもできません。特殊能力を持っていたり知能が高い怪物が相手であれば、なおさら相手の手の内を調べなければならないでしょう。

▼発見
 謎に包まれた生態や新種の発見など、新たな事実が明らかにされるかもしれません。こういった発見が医療や工業の発展に寄与する場合もあります。


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舞台


○基本

 怪物はいずれの国や地域にも出没します。怪物たちが生息しているのは主に野外ですが、中には都市の内部に現れるものもおりますし、捕まえてきた怪物が逃げ出して問題を起こす可能性も考えられます。また、鏡の中に住む怪物など非常に特殊なものも存在します。
 エルモア地方だけに限ってみれば、絶対変異地帯の近辺が最も怪物が集中している地域でしょう。しかし、逆にそういった場所にキャラクターたちが近づくには、何らかの理由が必要です。基本的に、怪物を退治する必要があるというのは、それが人々にとって害になるからなのです。つまり、シナリオで怪物を扱う場合、出現する場所にこだわるよりも、その怪物が人々にとってどういう影響を与えているかをまず考えるようにしましょう。そしてそれは、その怪物の生態と非常に強く関わっているはずです。


○舞台と対策

 野外と町中では、もちろん出没する怪物は異なります。しかし、何よりも考えなければならないのは、PCが取りうる対応策の違いです。


 町中では周囲に頼ることができる人間がおり、調査を行うにしても専門家の協力を得ることも可能でしょう。また、依頼を受けたのでもなければ、必ずしも自分が対応する必要はありませんから、事件に関わるための動機といったものも明確にしておく必要が生じます。それから、町中では武装などしていない人間の方が普通ですし、周囲をそれほど警戒するわけでもありません。野外で準備が整っている状況で襲われるのと、町中でいきなり怪物が出現するのでは、たとえ専門家であったとしても、やはり対応が異なるはずです。
 逆に野外では、ほとんどの場合は周囲に頼ることができません。自分たちの持っている知識と技術のみで、怪物の脅威から身を守らなければならないのです。そのかわり、怪物に対してある程度は警戒しているはずですから、武装などそれなりの対応策を準備しているものです。
 怪物を相手にするシナリオというものは、前提となる舞台設定によって全く異なる展開になるものです。いわゆる調査を主体とする場合と、野外での捜索作業では用いる技能も異なりますし、戦闘を行うにしても利用できる資源に大きな違いがあるはずです。GMはそれぞれの舞台の特質を活かしたシナリオをつくり、プレイヤーは舞台に相応しい対応を行うことによって、より楽しい時間を過ごせるようになるでしょう。


○限定舞台

 怪物というのは、自分の生活しやすい環境を縄張りとするものです。そのため、こちらから出向いていって怪物に対処するということは、相手が動きやすい場所で行動しなければならないことを意味します。
 GMはこういった舞台を整えることで、たとえば戦闘1つとってみても、様々な展開を引き起こすことができるでしょう。夜行性の動物を相手にすることは、人間にとって非常に厄介なこととなるでしょう。また、足場の悪い船上やぬかるんだ場所では、持てる力を十分に発揮できずに怪物にやられてしまう可能性もあります。水中や狭い下水道などでは、かなりの行動を制限されることになるでしょう。
 逆に、相手が不得意とする舞台に引きずり出すことによって、有利な状況を作り上げることも可能です。


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シナリオ


○タイプ 

▼退治
 純粋な怪物退治のシナリオです。しかし、怪物の種類によっても展開は異なりますし、もちろん町中と野外を舞台にする場合でも、全く違った対策をとらなければならないでしょう。多くは獣狩りのような専門職が対応することになります。

▼防衛
 怪物の襲撃から身を守るシナリオです。退治を主体とせず、脅威から身を守ることがシナリオの目的となります。舞台設定をどのように整えるかがポイントとなるでしょう。

▼調査
 研究者が純粋に生態調査を行う場合もありますし、何かの事件が起こって原因を調べているうちに、それが怪物の仕業であることが判明する、といった展開も考えられるでしょう。

▼捕獲
 研究目的や薬品などの材料として、あるいは見せ物として用いるための怪物を捕獲するシナリオです。研究者や獣狩り、あるいは軍人などが主体となるはずですが、害のない小動物などが相手となるのであれば、一般人として生活しているキャラクターでも参加できるでしょう。

▼発見
 見えざる敵として現れる怪物の正体を探り、対処するタイプのシナリオです。このタイプのシナリオは、当初から怪物の仕業であるということはわかりません。ですから、専門職でなくても参加できる可能性は高いでしょう。対処に関しては専門職のNPCに任せてしまって、調査までをプレイするという展開にすることも可能です。


○注意点

 生物を相手にするシナリオであっても、実際のところは通常の調査シナリオと大して変わるわけではありません。捕獲シナリオであったとしても、謎解きと同様に調査を行い、それに基づいた対策を取るという意味では、使用する技能は違っても同じタイプの作業を行っているといえます。強いて違うところを挙げるとすれば、相手と会話をして何かを引き出すわけではないということです。そういう意味では会話の技術だけではなく、きちんとした分析力と判断力が必要なシナリオといえるでしょう。


○変異現象

 変異現象の影響は現在のエルモア地方にも多大なる影響を及ぼしており、それは怪物であっても例外ではありません。怪物データに収録されていない種類も多々あり、世界でたった1匹しかいないような生物さえ存在するのです。
 GMは怪物を自由に設計して構いません。もちろん完全にオリジナルとしなくても、怪物データのバリエーションの項目を参照して、データにちょっとした特徴を付け加えるだけでもよいでしょう。
 こういった改変はプレイヤーを悩ませることになるでしょうが、より頭脳を使ったプレイを求める場合には有効な手段です。知識判定を行ってデータに対処するだけでは、単なる作業に終わってしまう可能性もあります。しかし、たった1つでも通常のデータと異なる点があれば、それを調査するという選択肢が生まれ、新たなイベントが追加されることになるわけです。ただし、どう調べてもわからないような謎を追加するのは、プレイヤーのフラストレーションをためるだけに終わることが多いので、なるべく避けるよう注意して下さい。


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その他


○判定

▼能力値
 怪物を探し出すためには【記憶】や【判断】といった能力値が重要となります。この他、捜索に用いる【感応】の能力値は、怪物の接近を察知するためにも役立つでしょう。
 もちろん、戦闘に必要な【体力】や【敏捷】が高いキャラクターも必要となります。また、射撃を行うのであれば、【器用】の能力値を上げておくべきでしょう。


▼技能
 
怪物シナリオでは、非常に多岐に渡る技能が必要となるでしょう。
 まず、《観察力》の技能レベルが高ければ足跡などの痕跡の発見が容易になります。それから、怪物や野外の知識がなければ、いざ発見してもどのように対処してよいかわかりません。ですから、誰かは動物知識や野外生活などについて詳しくなければならないでしょう。もちろん、野外を移動するには地理や自然環境に対する知識が必要ですし、天候の推移を予測できた方が安全です。
 次に、怪物に実際に対処するための技能が重要となります。捕獲するならば罠を仕掛ける必要があるので、《隠密技術》に含まれる〈罠作業/屋外罠〉の専門分野を習得する必要があります。また、通常は遠隔地から攻撃を仕掛けるので、弓や銃器による射撃の腕も磨いておくべきです。最悪の場合は接近戦を行わなければならないかもしれませんが、その場合は《近接武器》や《回避力》の技能レベルが高くなければ、即座に怪物の餌食となってしまう可能性もあります。
 このように、怪物相手のシナリオでは非常に多用な技能を用いることになるでしょう。ですから、退治を前提としたシナリオでは、各方面の知識・技術を分担して習得する必要があります。特に獣狩りと呼ばれる専門家たちは、長年培ったチームワークを武器に怪物に挑むのです。


○物品

 通常は怪物と戦うための武器が必要です。または、捕獲用の罠や網などを使用することもあります。都市から離れた場所に出向く場合は、キャンプ用具や食料品などをそろえなければならないでしょう。捕獲を前提としている場合には、当然のことながら怪物を運搬する手段も考慮しなければなりません。


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