エストルーク連邦国家/全体情報

概要基本情報国土変異現象文化・生活人物・集団


 

概要


 元々は隣国ユノスの支配地でしたが、聖歴787年にユノスで起こった軍事革命の混乱をついて独立を果たしました。全8州からなる連邦国家として成立しており、現政体は共和制を敷いています。
 ユノスからの独立には成功したものの、小国であるエストルークは常に周辺国家の干渉を警戒しなければなりません。そのため、独立に力を貸したことを理由に内政に干渉しようとするロンデニアを疎みながらも、その力を頼りにしなければならない状態が続いています。しかし、ロンデニアが背後にいることによって、隣国フレイディオンの警戒を招く事態となっております。


 政治:全体/暫定政権である連邦議会が運営/三権分立/近代的な政治制度
   :地方/自治体/方式は全国で統一/連邦制
 代表:連邦総督
 貴族
:名誉階級(称号のみ)
 軍隊
:国家が統括/近代的な常備軍
 警察
:国家が統括/通常組織/活動は自治体単位
 司法
:国家が統括/活動は自治体単位
 宗教
:聖母教会/低〜中
 教育
:中
 科学
:中
 術法
:低〜中


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基本情報


 元々は隣国ユノスの支配地でしたが、聖歴787年にユノスで起こった軍事革命の混乱をついて独立を果たしました。全8州からなる連邦国家として成立しており、現政体は共和制を敷いています。


▼国号
 正式名称はエストルーク連邦国家となります。

▼国旗
 地色は1:3:1の割合で白、コバルトブルー、白の順に横に塗り分けられています。コバルトブルーの部分には小さな8つの星を円形に配しており、その真ん中に白い大きな星が描かれています。このうち、小さな星は連邦に加盟している全8州をあらわすもので、中央の大きな星は連邦国家を象徴しています。

▼貴族
 称号は廃止されておりませんが諸特権は既に失われており、領主という地位も存在しません。一部の貴族は地主や政治家として生き残っておりますが、財産を失って没落した家系も数多くあります。


○現況

 ユノスからの独立には成功したものの、小国であるエストルークは常に周辺国家の干渉を警戒しなければなりません。そのため、独立に力を貸したことを理由に内政に干渉しようとするロンデニアを疎みながらも、その力を頼りにしなければならない状態が続いています。しかし、ロンデニアが背後にいることによって、隣国フレイディオンの警戒を招く事態となっております。


○民族

▼エストクレア人(白人)
 茶系統や赤い髪と瞳の、背が高くそばかすの多い白人です。ソファイアに住むトアルクレア人と同じ系統の民族です。全人口の50%以上を占めています。

▼セティア人(白人)
 やや浅黒い肌をもち、瞳や髪は茶系統の白人です。目が吊り上がっている者が多いのが特徴です。ユノス由来の民族で、全人口の20%ほどを占めています。

▼セナイア人(白人)
 小麦色の肌に金髪碧眼の白人です。フレイディオン由来の民族で、全人口の15%ほどを占めています。

▼シリーシア人(白人)
 亜麻色やプラチナプロンドの髪に、青い瞳の白人です。ロンデニア由来の民族で、全人口の10%程度を占めます。


○宗教

 基本的には聖母教徒なのですが、それほど熱心には信仰されておりませんでした。しかし、革命期とその後の積極的な福祉活動と、人々の心に植えつけられた強烈な死への恐怖から、最近になって信仰心に目覚める者が少しずつ増えています。なお、カンカサスには『火の聖フィーナ』教会があるため、信心深い者が大勢います。


○科学・教育

 革命の影響で現在は学校制度に混乱をきたしておりますが、ロンデニアの援助もあって少しずつ立ち直りつつあります。しかし、復旧までにはまだ時間がかかりそうで、地方の農村や辺境域では初等教育を受けられない場所も多いようです。


○産物

▼農産物
 ウォーターベリー、小麦、ブドウ、水椿、トマト

▼その他
 岩塩、魚、鶏、牛、豚、牛乳、チーズ、バター


○交易

 北部は古くからブルム内海を通じた交易で発展してきた土地ですが、かつての本国ユノスがロンデニアにポラス海峡の制海権を奪われてからは、陸上交易にも目が向けられるようになりました。その後、この地域はユノスの陸上交易の窓口として発展しましたが、現在はロンデニアを通じた海上貿易に再び力が入れられるようになっており、北部州で頻繁に取り引きが行われています。


○交通

 陸上での主な交通手段は馬車であり、鉄道は資材運搬用にわずかに使用される程度となります。しかし、革命政府は積極的にロンデニアから新しい技術を取り入れており、将来的には旅客用鉄道の敷設も考えております。
 また、この国は古くから運河が数多く造られており、水路を利用した交通が頻繁に行われています。細長い水路を2隻の船がすれ違うことが出来るように、横幅はどの船も規定以下の長さに造られています。これは運河がつくられた時に規格化されたもので、法律によって定められています。


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国土


○概要

 国土の殆どが低地で、山地は1000〜1500m程度の低山がわずかにあるだけです。北部では古くから干拓が行われており、海抜0m以下の土地が多くなります。
 気候はフレイディオン北中部とほぼ同じで、年間を通じて気温変化が少ないのが特徴です。夏は涼しく冬は温暖で、全体に涼しく過ごしやすい気候となりますが、西からの風で全体に空気は湿っており、春と秋には特に不安定な天気が続きます。


▼北部
 北部では農業より酪農や工業が盛んで、ブルム内海に面している地域では漁業や養殖業が営まれています。この辺りは干拓で出来た土地が多く、運河や小さな水路が網の目のように形成されています。全体に低地が広がっており、高い山は全くありません。
 北部の一部地域には水原と呼ばれる土地があります。ここは大きな湿地や沼地が広がっているのですが、浮草やハスなどの抽水植物が一面に生えており、見渡しても殆ど水面を見ることはできません。ここにはウォーターベリーと呼ばれる植物が群生しており、エストルークの特産物として国外にも広く知られています。


▼南部
 南部はやや山地や高原が見られるようになりますが、標高はせいぜい1500m程度となります。フレイディオンに近い南部の平野部では、小麦やブドウの栽培が盛んに行われています。国土の南端は絶対変異地帯に近く、利用することは不可能となっています。


○地図


 


○要所

▼水原
 草原のように見えますが、下は膝ぐらいまでの高さの水で覆われています。ウォーターベリーの群生地として知られています。


▼白の野原
 クロティア市の北に広がる地域で、塩湖だったところが干上がったものです。塩が地面を覆いつくして真っ白に見えることからこの名がついたもので、ここから塩が掘り出されて各地に輸送されています。


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変異現象


○変種現象

 絶対変異地帯に接する南部地域で見られる変種現象が有名です。これは生物が異なる種に変わってしまう現象で、この国の場合は比較的近い種に変化することが多いようです。当然のことながら人間に作用することもあり、特に生まれてきた子が変異の影響を受けていた場合、その子供のことを取り替え子(チェンジリング)と呼びます。変種現象ではエルフや妖精になったり、あるいは腕だけが竜になっていたりすることもあります。取り替え子は忌み嫌われており、そのような子供の多くは殺されたり捨てられたりします。これを育てようとする親もいますが、それは教会から破門されることを意味しており、地域によっては家族ごと土地を追放されたり、ひどい時には子供を取り上げられ殺されてしまうこともあります。


○暗き沼

 これは水原に現われる門のことで、この門に入ると異次元へと飛ばされてしまいます。飛ばされる先は決まっておらず、それが精霊界であったり魔界であったりと様々です。門の出現する地域は、ウォーターベリーの最大の群生地から近く、無理を承知で収穫に出て行方不明になる人は後を絶ちません。


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文化・生活


 陸海の交易で栄えた土地であり、進歩的な気風が全土に漂っています。チャレンジ精神が旺盛な人が多く、それによって発展を遂げた分野もありますが、これは無謀さにも繋がる性質であり、先走ったために失敗することも多々あるようです。
 古くから他国の支配を受けていたため、自由と独立を尊ぶ意識が強く、子供たちも早い時期に家を出て積極的に社会へと飛び込もうとします。このためか、干渉するのも干渉されるのも好まない傾向にあるようで、良く言えば自分を持った人々が多いとも言えますが、悪く言えば個人主義で協調性にやや欠ける面も見られます。


○革命後の国内

 乾血革命では、文字通り大勢の人々の血が流れることとなりました。特に働き盛りの成人男子が多数死亡したことから、20代〜40代までの世代をさして喪失世代(ロスト・ジェネレーションズ)と呼んでいます。もちろん死んだ大人の数に比例して戦災孤児たちも大勢いるわけで、こうした子供たちの救済対策も熱心に議論されています。
 これらの子供たちを放置して都市浮浪児とすることを避けるために、国家および教会の出資による保護施設が各地につくられました。そして、新たな科学技術に対応できるだけの高度な学校教育を計画すると同時に、干拓などの国家事業に関する労役にも就かせています。成人男子の絶対数が少ないため、こういった子供たちの労働力は国家にとって非常に有益であり、子供たち自身もそのことに対して誇りをもっているようです。人々はこのような明日の国家を担う世代を、夜明けの子供たちと呼んでいます。
 同様に理由によって、最近ではかつて以上に女性の社会進出が目立つようになりました。男性の職場とされていた場所でも、女性たちは積極的に職を求めています。これによって産業の空洞化は防がれ、少しずつ社会は立ち直り始めています。
 女性の職場進出に伴って最近現われるようになったのが、お総菜などを扱う小売り店です。こういったことを嘆く古い世代の人々もいるようですが、女性といえども一家を支えねばならない立場にいる者には大歓迎されています。また、家族を失った人々が寄り集まって交代で家事をしたり、隣の家の食事を面倒をみたりといった風潮も生まれており、革命以前よりも民衆の結びつきは強くなったようです。


○食べ物

▼ウォーターベリー
 何よりも有名なのがウォーターベリーという果実で、北部にある水原で栽培されています。国内向けのものは生のまま出荷されますが、国外にはジャムなどに加工して輸出されています。ウォーターベリーは古くから食卓に欠かせない存在で、甘く柔らかい果実をパイやパンにはさんだり、果実酒やジュースにしたり、スープの具にしたりと様々な料理に利用しています。


▼トマト
 次に特徴的なのが、トマトをふんだんに使った料理が多いということでしょう。トマトピューレはどこの家庭にもある調味料で、タラのトマトソース煮や野菜の炒めものなどがよく食卓に出されます。


▼魚介類
 海産物としてよく食べられるのがカニで、カニミソを使ったグラタンなどは子供からお年寄りにまで人気があります。また、カレイやニシンなどを用いた料理も人気があります。


○風車

 北部の干拓地に多く見られ、製粉や水路の水位調整に用いられてきました。現在でも利用されている場所が多いのですが、一部の地域ではロンデニアから輸入された排水ポンプなどが利用されるようになっています。
 大きな風車は住居や倉庫としても用いらており、7〜8階建てのものも存在します。通常、1〜2階が居住空間として使われ、3階は小麦粉の袋詰め用の作業場や倉庫として、それ以上の階は製粉臼や歯車部分が格納されています。風車の歯車機構はかなり複雑で、エストルーク人の発想力の豊かさが伺えます。また、風車は季節風の向きによって土台から上が動くようになっており、風向に追随して旋回します。
 風車はエストルーク人の象徴とも呼べるもので、使われなくなったものでも大事に保存されています。なお、革命時には羽根の角度を利用して、暗号を伝えていたようです。


○平底舟

 北部には小河川や運河が多く、これらは移動や物流に利用されてきました。これらの用途に古くから用いられてきたのは、浅瀬の多い場所や水原でも安定性の高い平底舟で、長い舵棒を使って移動します。


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人物・集団


○組織・集団

▼商業会議
 国内の経済を管理している特殊な民間組織で、大会社や組合が自主的に集まって組織した団体です。革命後の混乱で貨幣価値が急激に変動するのを押さえ、国内産業を保護する役割を負っています。

▼水原管理局組合
 水原の安全とウォーターベリーの栽培・収穫を管理する組織です。変異体の出現に備えて、武装隊も常駐しています。

▼ウォーメイト
 軍用犬や軍馬などを育てる会社で、国外からの注文もあります。

▼グッドフェロウズ
 年若き総督ミストレイルのもとに集う友情で結ばれた集団で、密偵のような仕事をしています。政治家としても彼らは優秀で、ミストレイルの良き相談役となっているようです。

▼エストルーク帰還事業協会
 独立革命の混乱で離ればなれになった家族や、行方不明者の所在を調査するための民間組織で、寄付金によって活動を行っています。その別名を「眠らぬ瞳」といい、所属する専属調査員は夜も眠らずに捜索活動を行っているようです。民間人や複数の新聞社もこの事業に協力しており、旅費や移動手段を提供する協賛会社も多くあります。

▼巡回衛士隊(巡士隊)
 革命後の混乱が続くエストルークでは、村や街の単位で市民や農民が独自に結成した自警団が、主に周囲を巡回して荒事を収める役目を負っています。しかし、このような集団の中に、無法な振る舞いをする輩も増えているため、今年度から州軍所属の巡回衛士隊が結成され、地域を巡回して治安維持に努めるようになりました。
 有名な巡回衛士隊は愛称で呼ばれることがあり、紳士的なことで知られるガーネットアロー隊や、革命時に義勇兵として活躍したメンバーを中核とする黒帽隊などが人気を集めています。少し変わったところでは、女性の社会参加への意識を高めるために、女性兵士だけで構成された白鳥騎兵隊といった部隊も存在します。
 しかし、ごく一部のことですが、巡回衛士たちが自警団や裏の組織と手を組んで、民衆を虐げたり物資の横流しなどを行っているとの報告もあるようです。警察庁も軍部が国内の治安問題に介入することを不満に思っており、治安警察隊を巡回衛士隊が行っている任に当たらせるべきだとの声も上がっています。

▼義勇軍:第17特別遊撃隊
 革命時に義勇兵として名を知らしめた武装集団で、自由騎士としてエストルークの革命を支援してきた外国人たちによって組織される部隊です。彼らの多くは高い教養と高潔な人格の持ち主であり、有能な人材を多く必要とする現在も、その人気が衰えることはありません。そのため、連隊解散後も一部は巡回衛士隊に参加して国内治安の維持に努めたり、政府要職にある人物の相談役として補佐を行うなどしているようです。


○人物

▼ミストレイル=ディアルード(男/38歳)
 革命時には首領として革命軍を指揮し、そして独立後には初代の連邦総督に選出された人物です。優れた能力を有していながら自分を見失うこともなく、周囲の意見を聞く聡明さも合わせ持っています。

▼邪なる生ティモア(男/23歳)
 バーデン市の南にあるカザロフ村で生を受けた彼は、取り替え子としての運命を抱いてこの世に現れました。それも魔人という最も人々に忌み嫌われる存在であったため、5歳になった直後に異端として処刑されることとなりました。しかし火刑に処されたはずの彼はわずか1日後に蘇り、両親を含めた村の人々を全て喰らい、教会の建物に火をつけてこれを焼き尽くしました。これがカザロフの炎事件と呼ばれる教会焼き討ち事件の顛末です。現在の行方は知られておらず、教会は追跡調査を行っています。

▼スーニア=ニールセン(女/23歳)
 革命時に民衆の先頭に立って戦ったアルマビリア州の貴族の娘で、その勇猛果敢な戦いぶりは現在でも語り草になっています。その人気の高さから州議会の議院にも当選を果たし、現在は政治活動で多忙の様子です。

▼シルヴァリィ=ベルトールド(男/26歳)
 護衛としてスーニアに仕えていた青年で、革命時にもその隣で剣を振るいました。スーニアには忠誠を誓っており、生涯守りぬくことを心に決めています。

▼クロウズクロー(男/29歳)
 黒曜石に変わってしまった手をもつ男で、異端として故郷の街を追放された過去を持ちます。彼はそのことを深く恨んで、革命の混乱に紛れて街の人間の半分を惨殺してしまいました。現在は指名手配されていますが、その行方はいまだに分かっておりません。


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概要基本情報国土変異現象文化・生活人物・集団