概要
北部をブルム内海に面する国で、ライヒスデール、ペトラーシャ、エストルーク、ルクレイド、メルリィナ、および絶対変異地帯に接しています。広い平野を持つ農業国家で、小麦やブドウの栽培が盛んです。同時にエルモア地方では先進的な国家の1つでもあり、ロンデニアやペトラーシャに次ぐ科学技術を誇ります。
フレイディオンの民衆は、聖歴719年に起こった緑葉革命と呼ばれる市民革命によって、貴族の支配から脱却しました。しかし、カヴァリア将軍が半ばクーデターに近い形で政権を乗っ取り、フレイディオン皇帝を名乗って独裁政治を行うようになります。その後、聖歴761年にカヴァリアは暗殺されるのですが、息子カヴァリア2世は国内の混乱をさけるために、影で仕えていた黄金十字秘協会という錬金術集団にカヴァリアの複製体(レプリカント)をつくらせ、その死を隠蔽しようと工作したのです。これを告発したのがカヴァリアの右腕とも呼ばれていた現皇帝アルザフで、カヴァリア2世はこのために失脚し、アルザフが次の軍人皇帝の地位につくことになりました。現在もアルザフの治世が続いており、独裁的な国家体制も継続されたままとなっています。
政治:全体/総統政府が三権を統括する独裁政治
:地方/自治体/方式は全国で統一
代表:総統/独裁者
貴族:なし
軍隊:国家が統括/近代的な常備軍
警察:国家が統括/通常組織
司法:国家が統括
宗教:聖母教会/低
教育:中〜高
科学:中〜高
術法:低
先頭へ
基本情報
北部をブルム内海に面する国で、ライヒスデール、ペトラーシャ、エストルーク、ルクレイド、メルリィナ、および絶対変異地帯に接しています。広い平野を持つ農業国家で、小麦やブドウの栽培が盛んです。同時にエルモア地方では先進的な国家の1つでもあり、ロンデニアやペトラーシャに次ぐ科学技術を誇ります。
フレイディオンの民衆は、聖歴719年に起こった緑葉革命と呼ばれる市民革命によって、貴族支配から脱却しました。しかし、カヴァリア将軍が半ばクーデターに近い形で政権を乗っ取り、フレイディオン皇帝を名乗って独裁政治を行うようになります。その後、聖歴761年にカヴァリアは暗殺されるのですが、息子カヴァリア2世は国内の混乱をさけるために、影で仕えていた黄金十字秘協会という錬金術集団にカヴァリアの複製体(レプリカント)をつくらせ、その死を隠蔽しようと工作したのです。これを告発したのがカヴァリアの右腕とも呼ばれていた現皇帝アルザフで、カヴァリア2世はこのために失脚し、アルザフが次の軍人皇帝の地位につくことになりました。現在もアルザフの治世が続いており、独裁的な国家体制も継続されたままとなっています。
▼国号
フレイディオン共和国が正式名称となります。しかし、現在の実体は独裁制国家であるため、通常は単にフレイディオンと呼ばれています。▼国旗
赤白赤で三分割された地の中央に、メリーメラントと呼ばれる意匠化された草の模様が描かれています。メリーメラントはかつての革命の象徴となった草であり、民衆はこの草を噛んで餓えをしのいで戦いました。▼統治
総統アルザフが独裁者として君臨しています。▼貴族
貴族位は完全に廃止され、称号も失われています。▼首都
レザール地方のフィ=レザール市が首都となります。街の中央をユマ川が流れる美しい街で、周囲には大耕作地帯が広がっています。
○現況
現在はライヒスデールと軍事同盟を組み、ユークレイとの交戦を支援しています。この軍事同盟は各国の反感を買い、近いうちにこれに対する大同盟が結成される動きもあります。それに対抗するかのように、総統アルザフはカイテインとの同盟を結ばうとしており、三国軍事同盟による領土の拡大をもくろんでいます。
○民族
▼セナイア人(白人)
小麦色の肌に金髪、碧眼の白人です。人口の70%以上を占める主要民族です。▼リミュール人(白人)
ライヒスデール由来の鼻梁の整った白人で、白髪に近い銀色の髪をもち、緑や真紅の瞳のものが多くいます。北東部に多く住んでおり、全人口のうちの20%ほどを占めます。▼その他
エストクレア人やユノス由来のセティア人、あるいは他国から買った黒人奴隷などもおりますが、全て合わせても全人口に占める割合は10%以下となります。
○宗教
主に変異現象の多い南部地方で聖母教会が熱心に信奉されています。これは南部の都市レアニースに、中央教会である『星の聖カトレーユ』教会があるためです。しかし、緑葉革命以後はその権威も薄れ、国政への発言権はなくなってしまいました。
○科学・教育
富国強兵策を推進しており、その一環として教育の充実も手がけています。そのため教育水準は全体に高く、科学技術も非常に発達した国です。しかし、一時期の混乱が災いして初等教育の普及が遅れている地域もあり、農村地帯では教育を受けられない場合があります。
▼細菌学
ワインなど酒類の生産が盛んなことから、細菌に関する学問が発達しています。
○産物
▼農産物
小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、ブドウ、リンゴ、ナシ▼鉱産物
石炭、翠泡石、クロム、金、銀、アルミ、銅、鉛、ニッケル▼その他
ワイン、シードル(リンゴ酒)、カキ、海藻、牛、羊
○交易
ポラス海峡の通商問題(ロンデニアの妨害)から現在は外海に出ることが出来ず、ブルム内海と陸上を通じた交易が中心となります。特に同盟国であるライヒスデールとの物資のやり取りが盛んです。逆に隣国ペトラーシャはライヒスデールと交戦しているユークレイの同盟国であり、輸出入には規制がかかっております。また、ルクレイドもフレイディオンを警戒しているため、それほど盛んに取り引きは行われておりません。
○交通
他国と同様に主な交通手段は馬車ですが、現在は鉄道の敷設も進められており、一部の都市では既に旅客用鉄道が運行されています。
先頭へ
国土
○概要
北部をブルム内海に面する国で、ライヒスデール、ペトラーシャ、エストルーク、ルクレイド、メルリィナ、および絶対変異地帯にに接しています。このうち、メルリィナとの間にはルーエンス山脈が横断しているため、直接の行き来は出来ません。
国土の大部分は平地で、東部にかかるルーエンス山脈以外には高い山は殆どなく、殆どが標高2500m以下の山ばかりです。国中央部を南北にユマ川が流れ、その流域は豊かな穀倉地帯を形成しています。
国土の大半は温帯に属しておりますが、地域によって気候は少し異なります。全体的には温暖で乾燥した気候となりますが、内陸部では冬はやや寒さが厳しくなります。
▼北部
北部はブルム内海に面しており、年間を通じて気温変化が少ないのが特徴です。夏は冷涼ですが冬でも極端に寒くはならず、0℃を下回ることはまれとなります。降水量も年間を通じて大きな変化はありませんが、西部のセルシア半島は北西からの風の影響で空気が湿り、冬には霧が多くなります。北部全域には高地が点在しており、その隙間に平野が開けています。平野部では主に小麦など麦類の栽培が行われています。
▼南東部
南東部はルーエンス山脈と大陸性気候の影響を受けており、他の地域よりも寒暖の差が激しくなります。空気はだいたい乾燥していますが、5〜7月頃に雨が多くなります。夏の平均気温は20度を上回り、盆地では最高気温が30度に達することもあります。しかし、9月には既に秋の気配が訪れ、11月半ばくらいから本格的な冬が訪れます。最も寒い時には平均気温が0℃を下回り、山地近くでは積雪もみられますが、平野部では雪はそれほど見られません。
▼南西部
南西部はアリアナ海型気候の影響を受け、他の地域よりもずっと温暖な気候となります。雨は9月頃に多く降り、冬は全体に湿潤な気候となりますが、雪が降ることは殆どありません。この付近は殆どが平野部で、トウモロコシなどが栽培が盛んとなります。西部のエストルークに近い場所はワインの名産地として知られており、ブドウ畑が広がっています。
○地図
○要所
▼ユマ川
国の中央部を南北に貫流する大河で、この国の発展を支える重要な水源です。
▼セルシア半島
北西部にあるブルム内海に突き出た半島で、西風の影響によって年間を通じて天気が不安定となります。
▼ルーエンス山脈
ペトラーシャから続く大山脈で、豊富な鉱産資源を埋蔵しています。山脈西端のベランジュ山の麓では、翠泡石と呼ばれる泡のような白い斑紋を含んだ緑色の岩石が切り出されています。
先頭へ
変異現象
絶対変異地帯が南西にひかえており、そこに近づくにつれて変異は多く現われます。絶対変異地帯を囲んで、フレイディオン、エストルーク、ユノスの変異は共通しており、単純に変異現象あるいは変化現象と呼ばれます。
その名が表わす通り、物質の構造や種が無作為に変化する現象で、この国では特に物質構成が変化する変化現象の方が多く起こるようです。たとえば南西部には石の森が広がり、黄金の角をもつ黄金鹿やゼリー状物質に変化した草などが見られます。また、巨大化して強力になった生物や、逆に考えられないほど縮小化して、手の平に乗るような狼などを見かけることもあります。絶対変異地帯の近くには、まともな人間は決して近づこうとはしませんが、運良く銀の塊と化した木や動物や岩を見つけて大金持ちになった者もおり、冒険者の中にはこの地域を狙う者も多くいます。
○その他
▼日輪畑
決して落ちない光といわれる小さな太陽が上空に灯っている場所で、絶対変異地帯の近くにあります。ここは植物がまったく育たず、ひび割れた地面だけしか見ることができません。
▼呪氷洞穴
絶対変異地帯の近くにあるアクトール山の山腹に存在します。ここは永久結氷と呼ばれる決して溶けない氷で埋もれており、氷の柱の中にはたくさんの人々が眠っていると言われています。しかし、この存在はあくまでも伝承でしかなく、悪魔が眠っているという話や、天使や妖精が住んでいるなど、各地に様々な逸話が残っています。
▼奇跡の水岩
シルヴェイラ市の中央にある公園には、奇跡の水岩と呼ばれる巨岩が存在します。この岩は常に冷たく濡れそぼっており、渇水の時には人々はこの岩をなめて渇きをしのいだと言われています。また、この岩につく水分には薬効があると信じられており、不治の病が治ったという伝承も残っています。
先頭へ
文化・生活
フレイディオンの国民は全体主義的な傾向が強く、個を押さえがちになります。この他にも規律正しい国民性など、近代国家に必要な要素を備えているといえますが、何事も総合的な視点から見てしまうために、要素を個別に切り分けて行う議論などが苦手で、個の責任が曖昧になるなどの欠点にも繋がっています。また、回りくどい話し方をする上にたとえ話が多いため、気の短い外国人はフレイディオン人との会話を嫌がります。
○芸術
▼絵画
近年のフレイディオンの芸術は荘厳で華麗なものが好まれており、特に皇帝の精緻な肖像画などがよく描かれています。その一方で、これらに反発するように前衛芸術にはしる者も多く、野蛮派・蛮色派などと呼ばれる原色を多用した荒々しい画風の抽象画や、絵の具を塗ったガラス板に紙を当てて模様をつくる転写絵といった、一風変わった作品を見ることが出来ます。
▼骨董市
フレイディオンの人々は骨董品の収集が好きで、どの街でも休日の広場では骨董市が開かれています。
▼ファッション
ネルヴァル地方のサントーニュ市は洋服の街とも呼ばれており、国内のトップブランドが集まっています。ファッションの流行は常にここから広まってゆき、外国の作品にも大きな影響を与えています。
近年の流行は花の形を模倣した婦人のスカートで、フリージア型、スズラン型、パンジーカラーなど、花の名前や色でタイプ分けされています。
○食べ物
この国はもとよりエルモア有数の農業大国であり、良質の麦類やブドウがとれることで有名です。また、ブルム内海に面している地方では漁業も盛んですし、酪農産品の品質にも定評があるため、どこでも美味しい食事をとることが出来ます。
フレイディオンの人間には凝り性が多く、料理にも非常に手間がかかっています。パン屋ではいろいろな形のパンや焼き菓子の類が売られておりますし、小さなチョコレートでも1つ1つに細かい模様が刻まれているといった具合です。そのため、大きなレストランなどに入った時は、料理が出てくるまでに時間がかかることは覚悟しておかなければなりません。
▼ワイン
フレイディオンの食生活の特徴としてあげられるのは、ワイン好きということでしょう。食事の時には必ず料理と一緒に食卓に出されますし、ちょっと手のこんだ料理には必ずワインベースのソースが使われます。ワインソースの兎肉蒸しやアサリの白ワイン蒸しといった料理もありますし、ワイン酢もよく使われます。
フレイディオン自慢のワインといえばウィルクでつくられるウィルクワインです。これはペトラーシャのメルセンワインとともに、最高級のブランドとして知られています。
○石材
フレイディオンは石を材料とした工芸が盛んです。家の壁面には様々な装飾が彫り込まれており、屋根の上には家を守護する見張りとして彫像が置かれていたりします。人々は美しい街並みに誇りをもっており、首都フィ=レザールはエルモアで最も美しい街であると自負しています。
▼翠泡石
東部の山地から切り出される翠泡石は非常に石質が良く、近辺の都市の街並みはきれいな石畳で完全に舗装されています。翠泡石はその名が表すように泡のような白い斑紋を含んだ緑色の岩石で、都市は日差しを受けるとキラキラとした淡いグリーンの輝きに包まれます。まるで森を透かして陽を浴びるように感じることから、人々は街の空気をエアグリーン色と表現しています。
○馬
石畳が整備されていることから古来より交通状況が非常によく、それがまた商業を発展させる基盤にもなりました。こういったことから、昔から人々の暮らしは馬と密接な関係があり、血統のいい馬を揃えることが権力の象徴でもありました。現在では貴族制度が解体されましたが、そのような習慣は産業資本家によって受け継がれ、競馬で持ち馬が勝つことは事業の成功に次ぐ(あるいはそれ以上の)喜びなのです。また、この国独特の競技としてチャリオット・レースというのがあります。これはいわば妨害ありの競馬といったもので、馬に引かせた車輪付きの台座の上に競技者が乗り込み、互いの邪魔をしながら着順を競います。
先頭へ
人物・集団
○組織・集団
▼夜の六分儀
ロンブレン市を中心として活動している啓蒙思想家たちの集団で、現政権の独裁体制に不満を抱いています。影で政府を批判する新聞などを発行しており、時にはメンバーが投獄されることもあるようです。▼伝書鳩組合
伝書鳩を飼い慣らして伝令役としており、その連絡網は国中を余すところなく覆っています。緑葉革命の際に活躍したことから、この国では鳩を平和の使者として大事にしています。▼深緑騎士団
革命時の戦士団で、現在は陸軍の主力部隊となっています。▼野狐隊
天才戦術家と呼ばれるレンラディオンが率いる陸軍の部隊で、傭兵上がりの癖のある人物たちが集まっています。▼秘教科学特別調査委員会
ある政治派閥が密かにつくらせた諜報機関のうちの1つで、錬金術に関する調査および対策を行っています。これは決して善意の存在ではなく、総統アルザフと軍部に対抗する手段を得るために組織された、錬金術の奥義を手に入れようとする非合法団体です。
この集団を統括するのは、派閥の重要人物である軍事局の高官が連れて来た謎の老人です。この老人には自らの目的があるようで、捕縛した錬金術師や回収した改造生物が死亡あるいは行方不明扱いにされるなど、幾つかの不穏な行動が密告によって明らかとなっています。そのため、派閥内部にもこれを危険視する者がおり、陰で老人に対する調査を行っているのですが、その結果はあまり芳しくないようです。
○人物
▼総統アルザフ(男/68歳)
先皇帝カヴァリアの右腕と呼ばれていた男で、強固な独裁体制をつくりあげています。30年近く政権を維持してきた手腕は見事なのですが、何でも1人で行ってしまうために部下が育たず、後継者問題で悩んでいます。▼トリッシュ=バシュナー(女/22歳)
ウィルクの恋人と呼ばれる女優で、皇帝も観劇に訪れたほどの美貌の持ち主です。本人は首都の大劇場でオペラを歌うことを夢見ていますが、死んだ父親の借金を返すまではウィルク市を離れられないという境遇にあります。▼ファルス=ラインハール(男/24歳)
底抜けに陽気な青年で、普段は男娼を装って生活していますが、夜になると怪盗としてフィレザールの街を飛び回ります。現政権を小馬鹿にするような行動を繰り返しており、皇帝の椅子の足を1本だけ盗んだり、皇帝の肖像画の上に革命憲章の全文をびっしりと書き込んだりといった、およそ悪戯じみた行いをしています。▼野狐ジョルジュ=レンラディオン(男/42歳)
用兵の天才として知られていますが、性格に問題があるため海軍から飛ばされ、現在は戦いのほとんどない陸軍に所属しています。軍功にそぐわない中尉の地位にとどまっていますが、本人はまったく気にしていないようです。野狐のあだ名の通り、いかに相手をうまく引っかけるかということに全力をつくし、素直に勝つような戦い方を絶対にしません。▼アルト=リーネル(女/15歳)
少年合唱団の一員であり、そのボーイソプラノの美しさは天使のようだと評判です。彼は現在でこそ男装の少女として生きていますが、1年前までは普通の少年だったのです。そのことを知られると異端扱いされかねないため、彼女は懸命に自分の性別を隠していますが、今のままでは秘密がばれるのも時間の問題でしょう。▼ラビル=ルイス(男/26歳)
爆発物をつかう解体屋で、現在はライソーム市で翠泡石を掘り出す仕事をしています。爆発を芸術と考えており、周囲に被害を及ぼさず、いかに美しく爆破を起こすかをテーマに日夜研究に励んでいます。
先頭へ