歴史/交易史


 


○聖歴0年〜100年

 聖歴になってからしばらくの間、貿易の中心はアリアナ海でした。この主役となったのは、当時海洋では絶大な力を誇っていたラガン帝国とソファイア王国です。次に、これらと対抗する勢力として台頭してきたのは、現ユノス北部地方の独立を許し、大規模な穀倉地帯を失うこととなったロンデニア王国でした。ロンデニアはカーカバートの自由都市を中継貿易港として、ソファイアと戦いながらアリアナ海での地位を確立してゆきます。
 ペルソニア大陸に最初に侵攻を果たしたのは、地理的に近い位置にあったラガン帝国でした。ラガンは聖歴84年にペルソニア大陸への入植を開始し、北部一帯に植民地を獲得します。この時期のエルモア地方は非常に混乱しており、その隙をついてペルソニア交易を独占したラガン帝国は、植民地を通じて勢力を増してゆきます。特に植民地産の香辛料によってアニスカグナ地方から得た利益は莫大なもので、ラガン帝国を不動の地位にのし上げる最大の要因となりました。


○聖歴100年〜200年
 
 当時のエルモア地方の多くの国は混乱期にあり、アリアナ海貿易の中心として活躍したのは、やはりラガン、ソファイア、ロンデニア、カーカバートとなります。これらの勢力の間では小競り合い程度の戦いはありましたが、大きな戦となるほどの問題は生じませんでした。


○聖歴200年〜300年

 これ以前のペルソニア交易はラガン帝国の独占状態にあり、彼らは圧倒的な軍事力を背景に少しずつ支配地を拡大してゆきました。しかし、聖歴200年代に入ると、ラガン以外の国家もペルソニア大陸との交易を行うようになります。
 ソファイア王国は現セルセティアの南部にあったベルナール王国と手を結びます。これによってベルナールの沿岸部には商業都市が幾つも誕生し、中継港を得たソファイアはペルソニアへの進出を果たします。
 聖歴220年を過ぎた頃には、カーカバートとロンデニアの同盟関係に、東メルレイン連邦国家(現ルワール)およびアルア=ルピッツ連盟(現ルクレイド)が加わり、当時の海上貿易で強い力を誇っていたラガン帝国やソファイア王国に対する防衛体制を作り上げます。これらの勢力は、ペルソニア大陸とエルモア地方の間にあるバントライン諸島を中継港として、ペルソニアへのルートを確保しました。
 しかし、ペルソニア大陸との交易は行なわれるようになったものの、いずれの勢力も植民地を得るまでには至っておらず、ラガン帝国のみがペルソニアに領土を保有している状態でした。なお、ラガンは聖歴262年には現在の都市国家半島を平定し、エルモア地方へも勢力を広げようとしますが、エリスファリア王国がこれを退けています。
 その後、聖歴277年に東メルレイン連邦国の首長が交代すると、ロンデニアとの間に交易に関する諍いが起こり、60年近く続いた同盟関係は崩壊することになります。そして、東メルレイン連邦国はラガン帝国と手を結び、その軍事力を背景にアリアナ海の海上交易で大きな権益を得ます。また、ペルソニアに植民都市を獲得し、約半世紀の間ですが繁栄を謳歌します。


○聖歴300年〜400年

 同盟関係が崩れて後ろ盾を失ったカーカバートは、国内問題によって衰えをみせるロンデニアや、内陸問題に注力するアルア=ルピッツ連盟(現ルクレイド)から離れ、東メルレイン連邦国(現ルワール)と敵対関係にあったエリスファリア王国と手を結ぶことになります。
 その後の聖歴329年に、ラガン帝国がセルセティアへの侵攻を失敗し、それに伴って東メルレイン連邦国もアリアナ海での勢力を失ったことから、カーカバート・エリスファリア同盟はアリアナ海貿易を中心に大きく発展します。また、これと同時期にソファイアではシャンベルグ朝の時代が始まりますが、前期シャンベルグ朝はセルセティアを介したペルソニア貿易などで国力を蓄えてゆきます。
 これらに少し遅れて、ロンデニアも再び勢いを盛り返すようになり、聖歴330〜340年代にかけてペルソニア西部に幾つかの植民地を得て、鉱産資源の採掘によって大きな発展を遂げます。しかし、この間にブルム内海でフェルディガン王国(現ユノス)が台頭し、2国は聖歴353年に制海権をかけて戦うことになるのですが、ソファイアがフェルディガンに加担したためにロンデニアはこれに敗北します。これによってブルム内海の覇権をフェルディガン・ソファイアに奪われ、ペルソニアのシュティクラヴル王国との独占交易権を、20年のあいだソファイアに譲ることになりました。この間にソファイアは莫大な銀を手に入れ、エルモア地方でも屈指の大国へと成長します。
 なお、この2年後の聖歴355年に、ラガン帝国はアニスカグナ地方のイルヌ王国の征服に成功します。こうして帝国は領土を拡大し、再びアニスカグナ地方との独占貿易体制を確立させ、かつて以上の隆盛を極めることになりました。


○聖歴400年〜500年

 聖歴430年代半ばになると、ソファイア王国は分裂状態にあったセルセティアの貿易都市に進出し、都市の保護の目的でこれらを支配下に置くようになります。やがてソファイアは防壁や砲台を築いて都市を要塞化し、ペルソニアへの航路を確保するための重要な拠点とします。しかし、聖歴450年代になるとペルソニア進出を目論むエリスファリアが、王権の保護と称してルバイオ王国(セルセティア北部)を支援するようになります。これによって力を得たルバイオは戦いに勝利し、ソファイアは植民都市から撤退することになります。
 なお、この戦いにはその他の国家が殆ど干渉しなかったのですが、これはエリスファリアが事前に手を回し、幾つかの国と密約を交わしていたためです。これらの国々はその代償として、セルセティアの指定港を自由に利用する権利を得ました。反ソファイアの立場からエリスファリアを支援していたロンデニアやカーカバートは、この特権を活かして頻繁にペルソニア交易を行うようになります。
 この頃の東メルレイン連邦国は、飢饉や黄人の反乱といった国内問題の発生によって、凋落の一途を辿っておりました。しかし、聖歴472年に東メルレイン連邦国の首長がルワール朝に交代すると、硝石を欲していたロンデニアとの同盟が結ばれ、再び海洋貿易に乗り出すようになります。


○聖歴500年〜600年

 聖歴500年代に入ると、ルワール大公国で反乱を起こした黄人の処遇について、ルワール・カーカバート間で軋轢が生まれるようになります。この時、ロンデニアがルワール側につき、エリスファリアは国内問題で揺れていたため、カーカバートは新たにラガン帝国を後ろ盾として交易を行うことを選択します。聖歴520年代に入ると、国内問題からロンデニアが海洋での力を失い、ラガン・カーカバート勢力および、ソファイアがアリアナ海交易の中心となります。ルワール大公国はこれに対抗するため、聖歴496年に新たに興ったカルネア王国と手を結びます。
 この時期のペルソニア貿易は、ラガン・カーカバート勢とルワール・カルネア勢がほぼ独占する状態でした。なお、ソファイア王国はラガン帝国との争いに時間と費用を取られ、また、この時期のセルセティアが国外勢力を疎んで中継港を自由に利用できなかったことから、思うようにペルソニアへ足を伸ばすことは出来ませんでした。
 さらに、エリスファリアが国内問題からペルソニア駐留軍を引き上げることになると、その後ろ楯を失ったメイオール王国やルクソン王国は、カルネア、ラガン、ルワールといった国々の侵略を受け、植民地にされてしまいます。しかし、聖歴540年代後半に入るとカルネアはユークレイ侵攻に力を入れるようになり、この隙をつかれてラガン帝国に植民地を奪われてしまいます。
 この時期までの貿易強国は、あくまでもペルソニア植民地の拡大をメインとしており、セルセティアに干渉することはありませんでした。しかし、ペルソニアの領土問題に一段落がつき、カルネア・ルワールの勢力が弱まったことから、ラガン帝国はセルセティア征服に乗り出すようになります。聖歴553年から2度の侵攻が行われましたが、セルセティアはこれを退け、統一国家としての意識を高めます。聖歴558年になると、ラガン帝国では王朝の交替に伴う内乱が起こり、3度目の侵攻は行われませんでした。
 こうしてラガン・カーカバート勢の影響力が低下したことから、セルセティアは聖歴570年代には聖ユノス王国と手を組んで、アリアナ海貿易などで活躍するようになります。しかし、その後ユノスと不和になると、セルセティアは海上での力を徐々に失ってゆき、聖歴500年代の後半には再びソファイアやルワール大公国が台頭するようになります。


○聖歴600年〜700年

 聖歴603年になると、アリアナ海の交易問題でセルセティアとメルリィナ王国の間に争いが起こります。この時、セルセティア側にはソファイアがつき、メルリィナ側にはルワール大公国がついて、互角の戦いを繰り広げます。しかし、最終的には反ソファイアの立場を取るロンデニアが参戦したことで、セルセティア・ソファイア勢は敗北することになります。こうして勝者となった3国が、アリアナ海の制海権を握ることになりました。
 この一件から、再びソファイアとロンデニアとの確執が表面化しますが、既に近代国家への道を歩み始めていたロンデニアは近代兵装による強力な常備軍を整えており、未だ古い体制に縛られているソファイアはことごとく海上での戦闘で敗北を喫することになるのです。
 聖歴600年代初頭のラガン帝国は、まだ国内問題で揺れておりましたが、聖歴620年代になると再びセルセティアへの侵攻を再開します。この時はソファイアがセルセティアについたことでどうにか撃退するのですが、その代償としてソファイアに開港を求められ、セルセティア沿岸の都市は再び中継貿易港として利用されるようになります。これによってソファイアも一時的にペルソニア貿易で利益を得るのですが、聖歴630年代と聖歴660年代のユノス内乱に参戦するも、何も成果を得ることが出来なかったことから、大きく力を落とすことになるのです。
 同様にユノス内乱に干渉したロンデニアも一時的に国力を落とし、聖歴660年までは交易においても不振を極めます。しかし、聖歴660年代にカルネアで起こった革命に力を貸したことで、ファイン=ファウンドを手に入れます。また、ソファイアの低迷や、ラガン、エリスファリアといった国家が国内問題で揺れている隙に、ルワールとともにペルソニアへの航路を確保し、長く失われていた西部植民地での支配権を再び手に入れることに成功します。
 このようなロンデニアの動きに対して、エリスファリアとラガン帝国は同盟を結んで対抗しようとします。このため、エリスファリアのレイシア4世は、聖歴671年にラガン帝国から第3王妃を迎え入れることになるのですが、宗教上の問題から法教会との関係がこじれ、聖歴678年には国王を教皇とするエリスファリア国教会が誕生します。これに関する国内の乱れによって対ロンデニア同盟の足並みはそろわず、ロンデニアは現在の海上強国としての地位を磐石のものとします。


○聖歴700年〜現在

 聖歴700年代に入ると、ペルソニア大陸で大きな変化が起こります。聖歴709年のことですが、ペルソニア大陸に「冒涜の王」と呼ばれる怪物が出現したことで、ラガン帝国の植民地の駐留軍はほぼ壊滅状態に陥ります。これによってラガンは支配地の多くを失い、諸外国にペルソニア植民地への参入を許すこととなります。
 いち早くこれに対応したのがエリスファリアで、混乱状態にあった多くの植民地を支配下に置くことに成功したのですが、その栄華は束の間に過ぎませんでした。というのは、聖歴722年に入ってすぐのことですが、火山の噴火の影響で近辺の土地が飢饉に見舞われたためです。これによって、植民地の支配は維持されたものの、本国の干渉は聖歴750年代に入るまで殆どない状態となります。
 この隙をついて植民地拡大に乗り出したのがロンデニアとルワールで、技術支援と引き換えに得たセルセティア南部の中継港を通じて、ペルソニアに大軍を送り込みました。この時、2国はペルソニア内での交易網を広げるために、ラガン帝国の代わりとなる後ろ盾を探していたカーカバートと手を結びます。また、聖歴730年代に入ると、ロンデニアと同盟を結んだカルネアがペルソニアに再進出を果たし、かつてラガン帝国に奪われたペルソニア植民地を取り戻して、多くの奴隷を労働力として手に入れます。
 これらと同時期に、ソファイアもセルセティア北島に進出し、この地に中継港を得ることに成功しています。これによって、聖歴730年代にはペルソニアに植民地を得るのですが、聖歴740年代になるとセルセティア北島はセルセティア王国に征服され、ソファイアは敢えなく撤退する羽目になるのです。こうして、中継港を失うことにより本国の影響力が低下した植民地では、この地を管理していたソファイア貴族の専横が始まります。
 聖歴750年代に入ると、再び情勢に変化が訪れます。この時期になるとペルソニア大陸においてカルネアとルワールの関係が悪化し、聖歴753年にカルネアがルワールの植民地を武力で占領するという事件が起こります。これによってルワール、カルネア、カーカバート、ロンデニアの協調関係は崩れ、新たに結び直されたロンデニアとルワールの同盟以外は、敵対もしくは中立の関係に転じることになりました。
 聖歴755年にはセルセティア王国で王朝が打倒され、ロンデニアやルワールなどの国々はセルセティアの貿易中継港を失うことになります。しかし、この時期になると霊子機関による大型船も実用化されておりましたし、各国はそれぞれ独自の航路や交易ルートを確保していたため、このことは大きな問題にはなりませんでした。
 聖歴760年代に入ると、ペルソニア大陸におけるラガン帝国の植民地は、すべて失われることになります。というのは、聖歴762年に起こった謎の爆発事故によって、中央地方が結界に閉じ込められてしまったためです。これによって統制を失ったラガン植民地は、ロンデニア、カルネアに奪われることになりました。また、この機に乗じてエリスファリア、ソファイア、ライヒスデールといった国も植民地を獲得し、現在もこれらの国々がペルソニアを分割統治している状態にあります。


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