基本情報
カルネアとユークレイの間に位置する森林地帯で、全域に原生林が広がっております。この地には様々な変異植物が分布しており、森林の周辺域は特に危険です。森そのものが変異現象の産物だと言われており、周辺国家の人々が近づくことはありませんでした。このため、古くからこの地はいずれの国家の領土でもなく、侵略を受けた歴史もありません。
○民族
▼エルフ(亜人/エルフィン)
細身で小柄な体格の、美しい姿をした亜人種です。耳の先が尖っているため、見た目ですぐ人間と区別がつきます。寿命は200年ほどになりますが繁殖力は弱く、人口はそれほどではありません。
○制度
エルフは氏族という集団に分かれて生活しており、氏族ごとに役割が決まっています。たとえば守りの氏族や採取の氏族といった具合に仕事を分担しています。氏族は1人の長とその他で構成されていますが、長だから偉いというわけではなく、純粋に役割を示すものでしかありません。この長同士が集まって会合を開き、全体の方針を決定します。会合の議長を務めるものは大長と呼ばれ、1年ごとに交代でこの任につきます。なお、氏族同士も完全に対等であり、地位というものは全く存在しません。
○宗教
いわゆる原始宗教の信仰者であり、自然全体を信奉しています。特に樹木を大事にしており、森を傷つけることを嫌っています。
○文化・生活
狩猟・採取の生活が中心で、木の実を拾ったり山菜を採ったりして生活の糧としています。火を使うことは極力避けられており、たまに利用する時でも誰かが必ず見張りにつき、森が火事にならないよう気をつけています。生活に関する品々も植物を加工したものが多く、武器は弓矢や木の槍を使い、住居も木の枝や藁で編んだテントを使っています。
先頭へ
自然
○地勢・気候
小国に匹敵する面積をもつ森林地帯で、非常に特殊な生態系をつくりあげています。気候的には冷帯〜温帯に属するはずですが、気温はそれほど低くなく、紅葉樹も何種類か生えています。
○要所
▼世界の真ん中の木
信仰の中心となる大樹で、世界に1本しかないといわれています。その根回りは60m近くもあり、高さは100m以上にも及びます。常緑で樹皮は樫に似ており、実をつけることはありません。永遠を象徴するものとして古くから崇められています。
▼精霊の輪
森の一部に開けている円形の草原で、中央には石碑のような環状列石が並んでいます。ここは精霊が集まる場所とされており、精霊を信仰している部族の聖地となっています。
○変異
森そのものが変異現象の産物だと言われています。この地に生えている木の中には幹が螺旋状のものや、葉が動物の爪状になったものなど奇妙な形状のものが多く、自己移動の能力を持ち動物を捕獲する食肉植物もいます。東南に進むほど変化が大きくなる傾向がみられます。
▼森の心
変異によるものなのか、それともエルフが持つ能力なのかは定かではありませんが、森の心という現象が知られています。この森の中では、記憶や感覚の共有が可能になるというもので、比較的近しい者の間で起こります。これによって遠くにいる仲間の危険を知ったり、誤解のない意志の伝達が可能になります。これはいつでも起こるというわけではなく、相手のことを頭に思い浮かべて、強く念じる必要があります。
▼樹岩城塞
無数の樹木が絡まりあって1つに融合し、まるで大きな岩塊のようになっている場所のことです。木々の隙間は部屋として利用され、絡まりあった根は外部を囲む高い壁に、宙に張り出した丈夫な枝は移動のための回廊となります。これは大森林の至るところに見られるもので、古くから外部の侵入者を阻む城や要塞として利用されてきました。
驚くべきことは、この木々はエルフたちの願いに応じて移動し、その形を変えるということです。大森林の外周部は過去に幾度か襲撃を受けたことがありますが、敵は迷路のごとく伸びた根の壁に分断され、宙の回廊から放たれる矢によって無惨に命を散らしていったそうです。そして残された死体は木々の糧となり、この城塞をより堅固なものとするのです。
▼銀色変異
カルネアとの境に位置する遺跡の街エヴァンゼルの周辺では、銀色変異と呼ばれる変異現象が起こります。これは金属化現象ともいい、その名の通り物体が無差別に金属となってしまいます。この辺り一帯の空気は銀色をしており、ねっとりと重く絡みついてくることから水銀の空とも呼ばれます。かつて道だったところは空を目指す銀色の植物に突き破られ、隙間から銀色の土が覗いています。春には銀色の花粉が嵐のように吹き荒れ、時には生物に着生して根をのばすこともあるようです。
先頭へ
人物・集団
○組織・集団
▼薬木の氏族
医師としての役割を担う一族です。この地に生えている植物のほとんどを把握しています。▼螺旋の先を目指す者
この氏族はアルビノの者ばかりで構成されており、氏族外の者と婚姻を結ぶことはありません。祭祀を司っており、術法を使うものが多いのが特徴です。
○人物
▼ユーセルファート(女/?歳)
最長老として尊敬されている老婆で、森が生まれた頃から生きているといわれています。知識や経験は非常に豊富で、部族の長以外で会合に出席できる唯一の人物です。自ら意見を述べることはありませんが、的確なアドバイスをしてくれます。▼オネスフェリア(女/41歳)
守りの氏族の若い女性ですが、近頃は森の外に出ることを夢見ています。というのは、森の周囲をパトロールしていた時に出会った少年のことが気になって仕方がなく、もう一度だけ会いたいと願っているからです。▼ローランジェリ(男/45歳)
オネスフェリアの幼なじみで、彼女に恋をしています。それゆえ、外へゆきたいと言うようになった彼女のことを心配しており、懸命にその気持ちを忘れさせようとしています。▼シュレンズベク(男/105歳)
螺旋の先を目指す者の長で、祭儀の一切を取り仕切る大事な役割を担っています。術法師としても最高クラスの実力を誇り、植物系の術法を得意としています。非常に慎重な性格で、目に見える事態だけにとらわれず、常にその裏にある真実を見据えようとします。
先頭へ