基本情報
この一帯はラガン帝国の影響が少なく、古くから独立を守り通してきた地域でした。海岸付近に建てられた王国は、後にエルモア地方の国家によって植民地とされますが、現在も独自の文化が継承されています。また、奥地の方には外界と接触せずに生活し、伝統文化をそのまま残している部族も少なからず存在しているようです。
○地勢・気候
ペルソニア西部は熱帯地方に属しており、非常に暑さが厳しい地域となります。
▼沿岸部
沿岸の一帯は高温多湿の熱帯雨林気候で、年間の平均気温は25度を超えます。▼内陸部
内陸の殆どは熱帯性サバンナ気候で、地域によっても異なりますが、だいたい5月〜10月は雨期、11月〜2月は乾期となります。雨期の平均気温は25度ほどになりますが、乾期の頃は30度を超える暑さとなります。山地に囲まれた土地は特に乾燥が激しく、砂漠が広がっている土地もあります。
○人種・系統
ペルソニア南部の奥地に住んでいた、アデン人系の黒人が殆どを占めています。黒人の次に多いのは、植民地の支配者である白人となります。この付近はラガン帝国の影響を殆ど受けておりませんので、黄人はあまり多くは住んでおりません。また、赤人も奥地の一部で見られるだけで、殆どいないと言ってもよいでしょう。
▼種類
◇アデン人(黒人)
前聖歴の頃から一帯に住んでいた黒人で、この地域の人口の殆どを占めています。ペルソニア南部の高地に住んでいた巨石文明の末裔と考えられており、現在も周辺のサバンナ地帯や奥地で多くの部族が暮らしています。◇レグラム人(黒人)
北中部(B地域)および中部(E地域)に多く住む黒人ですが、この周辺地域で生活している場合があります。◇フォリア人(混血:黒人+白人)
出自となる民族を問わず、黒人と白人の混血で、双方の人種から疎まれる存在です。◇白人
白人国家から移民で、ライヒスデール人、ルワール人、ロンデニア人などがいます。◇その他
レグラム系の黒人や、ラガン滅亡時に拡散した黄人、あるいは黒人と黄人の混血であるゴズラム人なども住んでいます。
○産物
この地域ではコーヒーやカカオなどの栽培が盛んに行われています。また、ゴム林で採取される天然ゴムの需要は現在も伸び続けており、本国の自動車会社によって植林が行われたりもしています。
内陸にある高地や山地は鉱産資源が豊富で、古くから一帯にある王国は、これらをエルモア地方に輸出しておりました。また、この一帯は象牙の輸出でも知られており、サバンナや半乾燥地帯で暮らしていた多くのゾウが、ハンターたちに殺されています。このため、現在は奥地までゆかなければゾウを狩ることは殆ど出来ないようです。
▼農産物
アブラヤシ、カカオ、コーヒー、バナナ、スイカ、メロン、モロコシ、落花生、ゴムなど▼鉱産物
鉄、金、銀、銅、スズ、石油、石炭、ボーキサイト、ニッケル、宝石類、岩塩、硝石など▼その他
象牙(細工物)、毛皮など
○現況
最近の変わった話題としては、ロンデニア植民地(ベルナデル準州)での鉄道敷設計画があります。これはロンデニア単独ではなく、C-10地域の鉱山開発も含めて、ルワールと共同して進める案も持ち上がっており、多くの利権が絡む大プロジェクトとして注目を集めています。しかし、そのためには原生林を伐採したり、聖地として崇められている場所を破壊する可能性があるため、原住民の激しい反発を受けています。
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文化・生活
○概要
この地域はラガン帝国の侵略を受けていないため、黄人文化の影響が殆ど見られないのが特徴です。その一方でエルモア地方との交流は古くから始まっており、早くに植民地として支配された地域では、強くエルモア文化が反映されています。
サン・ゴート王国(C-1)のように聖歴783年まで独立を維持した国家では、現在も独自の文化が継承されています。しかし、国外から積極的に知識・技術を学んだり、周辺地域から多くの移民を受け入れて来た経緯もあるため、他国の良い部分を上手く自国文化に取り入れた、押し付けではない融合文化を見て取ることが出来ます。
▼奥地
奥地には狩猟や放牧で営む部族が多く住んでいます。彼らは乾燥地帯で生きる知恵を持っており、この地に特化した生活文化を発展させてきました。やがて、その多くは交易を通じて外部の文化を取り入れるようになりますが、現在も昔ながらの生活を続けている部族は少なくありません。また、他部族との交流を閉ざして、外部と一切触れずに生活している集団も、まだ少なからず存在しているようです。
○宗教
古くに侵略を受けた地域では聖母教会の布教が行なわれて来ましたが、聖歴783年まで独立を貫いてきたサン・ゴート王国(C-1)やその周辺地域では、現在も独自の信仰が密かに守られています。また、山岳地帯の周辺でも、古から続く現地宗教が未だに受け継がれています。
○住居・建築
内陸部は乾燥地帯であるため、一般住宅は日干し煉瓦や煉り土を使ったものが殆どです。耐久性を増すために藁や牛の糞を混ぜ込んだ日干し煉瓦を積み上げ、その間に泥を塗って固めてゆくのが基本的な建築方式となります。また、木柱の間に格子状に編んだ植物などを渡し、その上に煉り土を塗って壁とする簡素な建物もあります。
これらの建物を長持ちさせたい場合は、壁に漆喰を塗って耐久性を高めます。1階建ての場合、屋根は低い潅木などを乾燥させたものを乗せ、上から泥をかぶせて固めます。このような建物は外気を遮断する効果が高く、建物の内部は涼しく保たれています。
構造材として石も利用する場合は、2階建てや3階建ての建物を造ることも出来ます。現地民が住む家の場合は屋上も生活空間として用いるのが一般的です。ある街では屋上同士が全て繋がっており、これを通路として街のあちこちに行ける構造となっています。しかし、エルモア地方からの移民が住む建物の場合は、耐水性を重視して屋根瓦を乗せるタイプが主流となっています。
▼装飾
土造りの住宅は簡単に模様を描くことが出来るため、古くから壁面にそれぞれの部族や家族に特有の印を刻む文化がありました。地域によっては、この風習はやがて魔除けやアートの1種に変わり、家々で競うように複雑な紋様を壁に描いています。漆喰壁の場合でも、漆喰で盛り上げてつくった模様に鮮やかな色を塗ったり、都市では他所の家と同じ色を嫌って、壁全体をカラフルに塗装する文化などがあります。▼山岳地帯
この地域では高地と平野との建築様式に大きな違いが見られます。平野部では土や泥を建築材料とするのが一般的ですが、山岳部では奥地で発展したという巨石文明の影響が強く、立派な石組みの建物が多く見られます。
○遺跡
ラガン帝国の植民地が存在しなかった地域で、巨石文明や旧文明の遺跡のみとなります。
▼サン・ゴート王国(C-1)
古くに植民地とされた地域は別ですが、聖歴783年まで独立を維持したサン・ゴート王国では、他国の影響をあまり受けていない遺跡が数多く残されています。町並み自体も他の植民地とは違った趣があり、それ自体が文化遺産と言っても過言ではありません。▼土遺跡
内陸部では土や泥を使った建築方法が一般的であるため、遺跡もまたそういった手法を用いてつくられています。これらは思ったよりも丈夫な構造をしており、泥を固めて造った数百年前の祭壇が残っている場合もあります。▼巨石建造物
過去に山岳地帯に建てられた石造りの建物は、長い時を経ても朽ちることなく残されており、ペルソニアの奥地で発展した巨石文明の建築様式について学ぶことが出来ます。こういった遺跡では、現在の建築技術を超えた非常に高度な技法が用いられている場合があり、稀に学会に衝撃を与えるような研究結果が報告されています。
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