概要
ソファイア王国は前聖歴825年にフィアン王国として建てられた国で、ユナスフィール教国の次に古い歴史を持ちます。現在はシャンベルグ王朝の治世で、中央集権体制による王政が敷かれています。貴族の力が非常に強い国家で、支配階級として領地を統治しています。
王家を中心とした中央政府の腐敗は酷く、現在は南部を中心に地方の力を取り戻そうという動きが各地で見られます。特に宮廷の浪費と富の蓄積は産業改革の妨げとなっており、旧態依然とした工業は衰退の兆しを見せています。これに反発して行動を起こしたのが、マイエスルッツ州を中心に活動している貿易王イリオ=ガトラスゥムです。彼によって霊子機関が導入されたことで、この州の産業は飛躍的な発展を遂げることとなりました。こうして工業改革の波は徐々に全土に広まってゆき、地方分権運動の面でもマイエスルッツ州が要となっています。
政治:全体/絶対王政/民意は反映されにくい
:地方/領邦国家/領主貴族の支配
代表:国王
貴族:支配階級/領主貴族/諸特権を持つ
騎士:存在/軍人
軍隊:全体/王国軍/常備軍
:地方/領主貴族が統括/領邦国家の防衛のみ
警察:全体/国家が統括/通常形態
:地方/領主貴族が統括/国家の干渉は薄い
司法:全体/国家が統括/行政の下部機関
:地方/領主貴族が統括/国家の干渉は薄い
宗教:聖母教会/高
教育:低〜中
科学:中
術法:中〜高
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基本情報
ソファイア王国は前聖歴825年にフィアン王国として建てられた国で、ユナスフィール教国の次に古い歴史を持ちます。現在はシャンベルグ王朝の治世で、中央集権体制による王政が敷かれています。貴族の力が非常に強い国家で、支配階級として領地を統治しています。王家を中心とした中央政府の腐敗は酷く、現在は南部を中心に地方の力を取り戻そうという動きが活発になっています。
▼国号
正式名称はソファイア王国となります。▼国旗
上から赤、白、青に三分割された横縞の地の中央に、薔薇の花と王冠を意匠化した王家の紋章が描かれています。▼統治
国王タイレル14世(男/53歳)が統治者として国家の頂点に君臨しています。▼貴族
支配階級であり、非常に強い権限を持っています。領主貴族は1つの自治体を統括する存在であり、無領地貴族には官僚として働くものと、騎士として領主貴族に仕えるものがいます。▼首都
アージェリン地方のソファイア市です。市の郊外には広大な花畑が広がっており、1年を通じて花々が咲き乱れます。
○現況
中央の腐敗が頂点に達しつつある現在は、地方の権力を取り戻そうという動きが各地でみられます。特に宮廷の浪費と富の蓄積は産業改革の妨げとなっており、旧態依然とした工業は衰退の兆しを見せています。
これに反発して行動を起こしたのが、マイエスルッツ州を中心に活動している貿易王イリオ=ガトラスゥムです。彼によって霊子機関が導入されたことで、この州の産業は飛躍的な発展を遂げることとなりました。こうして工業改革の波は徐々に全土に広まってゆき、地方分権運動の面でもマイエスルッツ州が要となっています。
しかしこれら改革派の動きは、王家、教会、それから古くからある同業者組合のすべての方針と逆に位置づけられるものであり、州権強化運動が日増しに激しくなっている現在、いずれ力への闘争へと移行するのは誰の目にも明らかです。その先触れとして、パジェナウア市では組合のメンバーを中心とした集団が工場に押し入り、機械を全て破壊するという事件が起こりました。工場側は傭兵を雇ってこれに対抗する策を取り、死人こそ出てはいませんが、血生臭い事態になるのも時間の問題でしょう。
こういった一連の事情をややこしくしているのが聖母教会の存在で、霊子機関の導入をよく思わない教会をどのように扱うかで工場主たちは頭を痛めています。
○民族
▼トアルクレア人(白人)
茶系統や赤い髪と瞳を持つ、そばかすの多い白人です。肌はオリーブ色で、南部へ行くほど日に焼けた人が目に付くようになります。エストルークのエストクレア人と同系統の民族で、全人口の85%以上を占めています。▼セティア人(白人)
やや浅黒い肌をもち、瞳や髪は茶系統の白人です。目が吊り上がっている者が多く、面立ちは精悍な印象を受けます。ユノス由来の民族で、全人口の7〜8%程度を占めています。▼シリーシア人(白人)
亜麻色やプラチナプロンドの髪に、青い瞳の白人です。現ユノス北部に住んでいた民族で、全人口の5%程度を占めています。
○宗教
国民はみな聖母教会の熱心な信者で、古くから国教とされています。首都のソファイアには『霧の聖ソフィア』教会があります。これは聖母アリア教会に次いで大きい教会です。
○科学・教育
教育水準は低く、農民層では文字の読み書きが出来ない者も多くいます。しかし、南部を中心とした諸州では他国に追いつくために幾つかの改革を行っており、盛んに最新技術の導入を試みたり、教育制度の改革が行われています。しかし、民衆に知恵がつくことをよく思わない貴族が圧力をかけることもあり、思うように状況改善がなされていないのが現状です。
▼化学工業
この国は古くから香水の産地と知られており、その関連で化学分野が発達を遂げています。特に南西地方でこの傾向が強く、これから派生して新しい化粧品の開発なども頻繁に試みられています。
○産物
▼農産物
小麦、柑橘類、タバコ、綿花、ブドウ、生花▼鉱産物
石炭、鉄、金、スズ▼その他
豚、山羊、鶏卵、木材、ビール、香水、香木、蜂蜜、コルク材、ドライフラワー
○交易
古くからアリアナ海貿易を中心に活躍してきた国家で、ペルソニアとの交易も行っています。しかし、近年では技術開発の面で遅れを取っており、幾つかの鉱産資源以外には輸出が少なく、貿易赤字による衰退が目立っています。
○交通
主な交通手段は馬車であり、鉄道も山間部などで資材運搬用に使用される程度となります。しかし、南部では積極的に新しい技術の導入を試みており、鉄道敷設の推進運動を行っている者もいます。
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国土
○概要
イルニスタン半島に存在する国家で、西海への出口に位置しています。南部はアリアナ海に面しており、交易には非常に都合のよい条件が整っています。
地形は変化に富んでおり、沿岸域には平野が広がっていますが、中央部では起伏が激しくなっています。ただし、高地や高原といったものは全国で満遍なく見られるものの、山地の殆どは1000〜2000m程度の高さとなります。例外となるのは北東のユノスとの国境にあるナイキストア山脈と、国家中央に位置するクライン山脈で、標高3000m以上の山々が立ち並んでいます。
全土が温帯に属しておりますが、気候は大きく2つに分けることが出来ます。1つは西海に面する部分で、夏に冷涼で冬に温暖となる西海型気候です。この一帯は年間を通じて降水があり、特に春と秋に天気が崩れることが多くなります。もう1つはアリアナ海沿岸地域の気候で、これは夏に高温乾燥、冬は温暖湿潤となります。夏の暑い時には気温が30度を超えることがありますが、空気が乾燥しているので体感的には暑さはそれほど感じません。南に位置している国家であるため冬も短く、かなり温暖で雪は滅多に降りません。年間の平均気温は15度以上になります。
○地図
○要所
▼ナイキストア山脈
北方の山脈で、ユノスとの国境上にあります。ここから掘り出される石炭や鉄鉱石は、国内産業の基盤となっています。
▼クライン山脈
国家中央部に位置する山地で、標高3000m以上の高峰が連なっています。スズ鉱や銅などが採鉱されており、一部では金の採掘も行われています。
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変異現象
○吸血現象
北部でよく見られるものですが、この影響を受けた生物は通常の摂食では栄養を取ることができなくなり、吸血という手段で栄養を取ることになります。北部では今でも吸血鬼が徘徊しており、そのためこの近辺では信心深い者が多いようです。聖歴788年、すなわち咋年のことですが、地方のある街が1人の吸血鬼に襲われるという事件がありました。その後、吸血鬼は次々と仲間を増やし、ついには街の住民すベてが吸血鬼になってしまいました。現在この街は廃墟となり、誰も住む者はいません。ですが、吸血鬼たちは人の生血を狙って、どこかに隠れ住んでいるのです。次に狙われるのがあなたのいる街でないとは限りません。
○蜃気楼都市
これは南の海岸に突如として古の都市が現れるという奇妙な現象です。名前通りに蜃気楼ならば不思議はないのですが、この都市は実際に触れることも可能です。そこでは過去と同様に生活する住民を見ることができますが、入り込んだものが相手にされることはありません。被害は起こっていないのですが、人々は気味悪がってこれに近づこうとはしません。
○流銀化現象
クライン山脈の付近で特に多く見られる現象で、非生物が水銀のような液状金属に変化してしまうというものです。流銀と呼ばれるこの金属は水銀と性質は異なっており、現在のところ利用法は全く判っておりません。また、地域によってはこの金属が生物のように動き出したという話も残っているため、積極的にこれを研究する者もおりません。
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文化・生活
ソファイア人は全体的に勤勉で、細かいことにも気を配る人が多いようです。また、何事に対しても凝り性で、非常に熱中しやすい性格といえます。他人に対しても親身になって世話を焼いてくれますが、これが高じてお節介になったり、他人に干渉しすぎるきらいもあります。西部の住人は比較的遠慮がちな人が多いといわれますが、これは猫っかぶりをしているだけで、親しくなるとやはり密にコミュニケーションを取るようになります。
逆にアリアナ海に近い地域の人間は、のんきで細かい事にはこだわらず、食べることや歌うことや踊ることが大好きという、陽気で楽しい人々が多いようです。しかし、これは周囲に対する無頓着さや無関心さの裏返しでもあり、個人主義的な傾向が強くなるようです。
○花・植物
この国では気候が温暖で穏やかなため草花の生育が良く、花の栽培は古くから重要な産業の1つとなっています。特に西部一帯には花畑が広がっており、春の畑は香りに溺れてしまうかと思うほどです。生活にも花が密接に関係しており、街を歩けば花売りの少女が必ず目につきますし、家々の軒先には鉢植えの花が年中飾られております。また、どの家にも自家製のポプリが置かれています。
▼贈り物
人に花を贈ることが非常に多い国で、他の店が休みの日でも花屋だけは開いています。また、愛の告白には花は欠かせませんし、結婚式でも花の首飾りを交換する習慣があります。
▼花弁
少し贅沢ができる立場にあるものは、花を浮かべた風呂に入ったり、お茶やケーキに花をちらして、その鮮やかさを楽しんだりします。
▼花祭り
ソファイア最大の行事も花に関するものです。4月24日に行われる花祭りは建国を祝して全国で一斉に催されるもので、広場に花びらを並べて絵を描いたり、家々の軒先に花輪を飾ったりすることからその名がつきました。華やかという形容に最も似つかわしい祭で、本当の花吹雪が町中に舞い広がります。なお、花祭りは恋祭りとも呼ばれており、男性が女性に花束を送り、公然と告白できる日でもあります。
なお、地方の祭では人形や山車に花を飾って、美しさを競う催し物もあります。この競技に熱心な地域では、祭のことを花戦争と呼ぶこともあります。こういった催し物は、花栽培を行っている農園にとっては格好の宣伝機会となるものです。
▼薬用花
この国で用いられている植物性の薬には、バラの成分を含んだものが多くあります。このように薬効のある成分は、薬用バラと呼ばれる種類の花びらに多く含まれています。バラの花びらを酢に漬けたバラ酢などもあり、鎮静・頭痛薬としてよく用いられています。
○香り
ソファイアでは花文化から派生して、宮廷を発祥とする香水文化が発達しました。この国には調香師と呼ばれる技術者がたくさんおり、様々な製品が開発されています。 特にアロマベリーという木の実を原料とする品は女性にもっとも人気のある香水の1つで、各国に輸出されています。
▼香水師
調香師の間に伝わる香水系術法を使う者たちで、ソファイアとその周辺国家に多い職業です。一般の調香師とは区別されて呼ばれており、芸術家として非常に尊敬されています。
▼お香
香水と同様にお香の研究も古くから行われており、国外との交易によって得られた植物や香木の栽培も盛んです。
▼香学
香りと精神の影響については昔から言及されており、特に香水師がその専門家として知られています。最近では工業や精神治療の分野でもこの点に注目する者がおり、関連学問をまとめて香学として研究が行われています。
○食べ物
▼デザート
花の栽培の発展に伴って、ソファイアはお菓子作りに関しても洗練された文化を誇ることとなりました。これは蜂蜜が重要な産業の1つとなっているためで、蜂蜜が安く手に入ることから、この国では砂糖の代わりに様々な料理に蜜が使われるようになりました。酸化したワインに入れて風味をごまかしたり、隠し味として料理に入れられたりもしますが、何より出番が多いのはお菓子づくりにおいてです。蜂蜜漬けのライムはこの国で最も一般的なおやつの1つですし、たっぷりと蜂蜜を乗せたホットケーキは軽食としてよく食べられています。また、花の色素を混ぜた蜂蜜でスポンジケーキの上に巧みに絵を描いたり、刻んだフルーツの皮や花を閉じ込めたまま蜜を凍らせて、それを削って彫刻のようにしたりと、お菓子職人は様々な工夫を凝らした蜜菓子をつくります。また、ゼリーやババロアなどに食用花を入れ、その美しさを楽しんだりもしています。
▼食用花
バラのジャムや羽根タンポポのおひたしなどが食べられています。それから、バラの実をお茶や砂糖漬けにして食べる習慣もあり、ビタミンの供給源になっています。少し変わったところでは、花粉クッキーというものがあります。蜜蜂が集めた花粉を小麦粉と一緒に練り合わせてつくるクッキーで、ハーブや花びらを刻んでまぜたりします。口当たりがよく、お茶に添えられることが多いようです。また、白ワインに薔薇の花びらをつけこんだ薔薇ワインや、薔薇色のリキュールに薔薇の花びらを浮かべたラヴィアンローズというお酒などがあります。
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人物・集団
○組織・集団
▼労働連合
職人組合の組合員や聖母教会の過激な信者によって結成された、古い時代の労働者連合です。工場の機械の打ち壊し運動など、最近では非常に暴力的な行動が目立っています。▼賢女会
厳格な禁止主義者たちの集まりで、宮廷の浪費や生活の堕落への不満を唱えています。表向きは婦人会のようなものなのですが、敬虔な信仰者たちの集団です。▼ソファイア統一派
国王のもとに権力を集中しようという騎士や貴族の連合体で、産業資本家の台頭に危惧を抱いています。▼1月の花嫁
地方地主や下級貴族を中心とする国内政治の改革派で、主にセルジュ地方を中心として活動しています。▼ソファイア自由図書協会
南部諸州での教育改革に合わせて、中層富裕民を中心として自由教育基金が立ち上げられました。その一部を使ってつくられたのがこの組織で、人々の知識向上を目指す目的で、各地で図書館の設立を行っています。大きな都市には科学書を中心とした常設の図書館を設け、地方には定期的に巡回図書館を派遣して、教育の普及に努めています。▼反王党派貴族
王家を中心とする中央政府に何らか不満を持つ貴族たちの派閥です。絶対王政のソファイアにおいて、反王党派の貴族というのは圧倒的な少数勢力となります。しかし、地方分権運動が各地でみられる現在、それらの勢力をまとめ上げることが出来れば、革命を成し遂げることが可能となるかもしれません。そのため反王党派の貴族たちは、企業経営者や有力農民、あるいは投資家や金融業者など、様々な業種の人々と話し合いの場を設けたり、支援を行なったりしています。
しかし、彼らは政治体制の改革を目的としていますが、それが貴族制度の解体に繋がることを危惧しています。もちろん、時代の趨勢からそれを受け入れる心づもりでいる貴族もおりますが、そうではない者が大半を占めます。そのことによって別の改革勢力との間に亀裂が生まれ、今後の活動の妨げとなる可能性もあります。▼革新派貴族
現在の旧態依然とした国家体制では、近代工業を基盤とする他国の発展に置いてゆかれ、いずれ衰退するものと考えている一派です。この集団の多くは、海外への留学経験などを持つ若い貴族の子弟や、家督を継承する権利を持たない長子以外の者です。殆どのメンバーは貴族制度の解体もやむを得ないものと考えているため、貴族の中では異端の少数存在となります。
○人物
▼国王タイレル14世(男/53歳)
無能を体現したような人物で、政治を放り出して享楽にふけっています。女遊びにも目がなく、国外から赤人奴隷を買い集めています。▼パルティエット(女/16歳)
吸血の姫君と呼ばれる、吸血村の事件を引き起こした少女です。現在の行方は知られておらず、人々は自分の街に彼女の魔手が伸びることを恐れています。▼混沌聖者クレイブン(男/31歳)
混沌の側についた聖職者で、異端として破門されています。変異体として処分しなければなかった赤子をどうしても殺すことができず、今までの信仰に疑問を抱くこととなりました。以来、その子を連れて各地を放浪しながら、虐げられる者に救いの道を与えています。▼コーター(女/12歳)
混沌として認定された変異体で処分が決定していたのですが、クレイブンに救われて命を長らえることとなりました。背中に漆黒の翼を背負った少女で、風を自由に操ることができます。クレイブンを父親として慕っており、いつもその服の裾を握っています。▼フォリス=メア(男/64歳)
首都の郊外に住む有名な老人で、様々な花の品種を開発してきました。花のことで知らないことはないと言われており、国中から弟子入りを志願する若者が訪れます。現在は黒い蓮の品種改良に生活の全てを捧げています。
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