カルネア植民地
(A)ヴィシュニア準州 

基本情報自然・要所人物・集団


 

基本情報


○全体

 A-2、A-7地域がヴィシュニア準州として扱われています。


▼総督
 ハワード=シェルビー総督が植民地政府を統括しています。

▼州都
 大ラシャン川の中流域にあるロイドメリー市に総督府が置かれています。


○人種・民族

 もともとはバウンシャ系赤人が支配する土地でしたが、後にラガン系黄人が多く移り住むようになると、赤人と黄人の混血であるクルゼイア人が増えるようになりました。また、ペルソニア西部から奴隷として連れて来られたアデン系黒人もおりますし、カルネア系の白人の移民も現在は増加しています。


○歴史

▼A-2
 かつてはギゼルス王国があった場所ですが、聖歴91年にラガン帝国に征服され、聖歴720年代までラガンの支配下に置かれます。その後、この地のラガン帝国軍が壊滅状態に陥ると、その隙をついて聖歴730年代初めにカルネアが東部を、ルワール大公国が西部を武力制圧します。しかし、聖歴740年代にルワール領内で抵抗運動が起こり、まもなく西部植民地は無政府状態に至ります。さらに、聖歴750年代に入ってカルネアとルワールの関係が悪化したことから、ペルソニア大陸で2国間の争いとなり、聖歴753年にはカルネアがルワールの植民地を奪い取ることになります。ここは現在もカルネアの支配地となりますが、本国で南北戦争が起こっているため、植民地総督の支配力が増しています。
 
◇エリスファリアの介入
 聖歴750年代に入るとカルネアとルワールの関係が悪化し、聖歴753年にカルネアはルワールからこの地を奪いますが、その背後ではエリスファリアの暗躍があったという噂があります。実際、聖歴740年代にルワールに対する抵抗運動が起こった際に、カルネア軍に扮して現地民に武器や食料の供与を行なっていた、謎の集団が存在したことがわかっています。その後、カルネア軍がルワール領土に侵犯したことがきっかけで、両国軍の争いに発展することになりますが、その発端を作った部隊の所属が明らかとなっておらず、これもエリスファリア軍の工作部隊である疑いがもたれています。これを裏付ける事実として、聖歴750年代の後半にエリスファリアはルワールに奪われたA-4地域に侵攻し、この土地を再び奪回することに成功しています。


▼A-7
 古くは熱帯雨林が生い茂る地域で、その中で原住民たちが狩猟採取の生活を行っておりました。しかし、北部をラガン帝国が支配するようになってから、ゆるやかに耕作地の開墾が行われるようになり、聖歴300年頃には完全にラガンの支配下に置かれます。その後、北部は聖歴740年代に、南部は聖歴764年までにカルネアに征服され、現在に至ります。なお、カルネアの植民地となった後も、奥地への開墾は続いており、現在も森林の伐採が行われています。


○産物

 全域で綿花、タバコ、サトウキビといった商品作物が生産されています。また、南部ではコーヒーの栽培や、染料木の伐採も頻繁に行なわれております。


○拡大・開発

▼農地拡大
 ラシャン川の下流域には平野が広がっており、その大半で大規模農業が行なわれています。上流域には未開発の草原や密林が多く存在しておりますが、こういった場所も少しずつ開拓が進み、やがて現在の姿はすべて失われてしまうことでしょう。
 熱帯雨林を切り開く目的は3つあり、1つ目は農地の開墾、2つ目は奴隷となる原住民の捕獲、3つめは染料となる原木の採取でした。これによって植民地は現在の支配域まで拡大され、切り開いた土地ではサトウキビや綿花が栽培されております。染料木の伐採は現在も続けられておりますが、植林を行って増やすことをしていないため、密林のすべてを切り開いてしまえば、いずれ採取できなくなることは間違いありません。


▼治水
 大ラシャン川は度々洪水になり、周辺住民は古くからこれに悩まされてきました。そのため、ラガン帝国の支配時代には下流域に堤防が築かれたり、水量調整や給水確保のために小規模なダムが建設されています。人口が増加している昨今では、より強固な治水システムを確立するために、古い施設を改修するための大規模な工事計画がたてられています。


先頭へ

 

自然・要所


○地勢・気候

 ペルソニア北東部域は亜熱帯から熱帯に属しています。この地域は海から吹く風によって湿潤な気候となり、気温、雨量ともに安定しています。夜間を除いて、気温は1年を通じて20℃を下回ることはなく、平均気温は25度近くになります。


○都市

▼ロイドメリー市/州都(A-2)
 ラガン帝国の支配時代に大ラシャンの中心部に置かれたペルソニア最大の都市で、大ラシャン川からクトラ運河が分岐する場所にあります。都市全体は大きく広がる5弁の花のような形をしており、その中心には人造湖と五角形の浮島が置かれています。人造湖には大ラシャン川から水が引き込まれており、都市全体にはり巡らされている水路に繋がっています。都市の中枢機能は人造湖の中にある浮島に置かれおり、この上には植民地政府の建物や上流市民の住居などが建てられています。周囲は分厚い石壁で覆われており、門を閉じることで外部からの侵入を防ぐことが可能となります。島と周辺街区とは五角形の辺から延びる橋で繋がっており、そこから続く大通りを中心に都市が発展してゆきました。
 この都市は上空から見ると緑で覆われています。それは街路樹が多いということもありますが、建物の屋上を庭園としている家が多いためです。これは浮島に暮らす上流階級の人々が、狭い空間の中でも草花を身近に置くためにはじめたことで、ラガン時代から伝わる文化となります。なお、ラガン時代は屋上庭園に神の姿をかたどった像を飾っており、祭壇としても利用されておりました。しかし、その支配時代が終わると神像は砕かれ、郊外の廃棄場にまとめて捨てられてしまい、今は土砂の中に埋まっています。


▼ポート・クリューネ/旧クルネス市(A-2)
 ラシャン川の河口に置かれた大きな港町で、埠頭にはたくさんの商船が停泊しています。この街には数々の農産物が南から運ばれ、船に積まれて本国へと運ばれてゆきます。この街の中心はラガン時代に建設されたものですが、現在は定期貨物船の増加に伴って港が手狭になったため、郊外の方に新しい港と駅舎の建設が始まっており、そちらを中心に新市街が形成されつつあります。なお、これらの工事には多くの利権が絡んでおり、政治家たちの懐に不透明な公共事業資金が流れているようです。


▼フェシス市/旧マハローニ市(A-2)
 大ラシャン川から延びるクトラ運河の河口にある植民都市です。道路は格子状に美しく整備されており、東西南北にまっすぐに延びる敷石の大通りで4つの地区に区切られています。もともとはラガン帝国の退役軍人のために造られた都市ですが、波の穏やかな遠浅の海水浴場に人が集まるようになり、後に保養地として発展してゆきます。そのため、数多くの施設・設備が充実しており、交通網や上下水道はもちろんのこと、広場、集会所、劇場、図書館、大浴場といった建物が次々と建てられてゆきました。こういった建築物の中には既に遺跡となっているものもありますが、頑丈に造られた公共施設や貴族の別荘は、現在もそのまま利用されています。
 しかし、リゾート地であったのも昔のことで、ルワール植民地との境界線に近いこの街は軍の駐留地となり、かつての面影はまったく見られなくなっています。港には軍船が舳先を連ねており、西の郊外に築かれた砦では、有事に備えた演習が定期的に行なわれています。


○要所

▼大ラシャン(A-2/A-7)
 ラシャン川の下流域を示す言葉であると同時に、その一帯の平野の名としても用いられています。北東部で最も栄えた地域であり、ラガン帝国時代には穀倉地帯としてペルソニア植民地の食料生産を支えておりましたが、現在はカルネアの支配下に置かれており、綿などの商品作物の生産が中心となっています。
 
◇ラシャン川
 ラシャン川はペルソニア中東部(D地域)から流れる大河川で、源ラシャンと呼ばれる長河川とエルテ川が合流した部分から、大ラシャン川と呼ばれます。

◇クトラ運河
  大ラシャン川の中流域からはクトラ運河が引かれており、北西に広がる耕作地帯を潤しています。


▼エバー・グリーン(A-6/A-7)
 レオール山脈の麓に広がる密林地帯のことを、ラガン帝国の人々は古くからこう呼んでおりました。しかし、現在は森林の伐採が進んで、山脈北端のミルナ台地は開けた緩斜面となり、コーヒー、香辛料、パルプ材などの栽培が行なわれています。


先頭へ

 

人物・集団


○人物

▼ハワード=シェルビー総督(白人/男/45歳)
 でっぷりと太った体を左右に揺すりながら歩くちょび鬚の小男で、いつも周りに腰ぎんちゃくをはべらせています。本国の監視の目が届かないのをいいことに、その立場を利用して私財を増やし、貴族的で贅沢な生活を送っています。もともと貿易商人の息子として生まれた彼は、その後を継いで会社経営を行なっていた経験があります。後に植民地議会の議員を経て副総督の座に就くのですが、在任中に総督が病死したため昇格することになります。そして、その間に本国が内戦状態に陥り、現在も継続して総督の任を務めています。
 商人時代もやり手の経営者として知られておりましたが、総督の座に就いてからもその手腕を遺憾なく発揮し、前任者の時代よりも植民地経済を発展させています。その基盤となっているのは、スティーブンス社と提携して敷設した植民地鉄道で、現在は主要な都市間を行き来するだけですが、最終的には州全域を繋ぐ鉄道網が完成する予定です。しかし、鉄道敷設に際して多額の賄賂を受け取ったという噂もありますし、現地民による反対運動が起こっている地域もあり、計画はなかなか進まない状況のようです。


▼モーティン=フィルフォード(白人/男/62歳)
 植民地議会の議員の1人で、古くからの官僚たちと懇意にしている間柄です。シェルビー総督の対抗勢力を取りまとめる立場にあり、議会においても大きな発言力を持っています。船会社を経営している関係から、貿易業を営んでいた現総督の父親とも親しい付き合いがあったのですが、ハワードの代になってから長年の続いてきた関係を打ち切り、他社と契約を結んだことが不和の原因です。現在は、シェルビー派の台頭を快く思っていない議員や官僚たちに声をかけ、自勢力を拡大するための活動を行なっているようで、頻繁に懇親パーティを開いています。


▼ルアルド=スティーブンス(白人/男/27歳)
 父親の死により若くして鉄道会社を受け継いだ青年で、現在は州内の鉄道敷設計画を手掛け、大忙しの日々を送っています。次男坊である彼は、もともと学業の道に進むつもりでおり、大学に残って考古学の研究に打ち込んでいました。しかし、鉄道予定地の視察に赴いた兄が行方不明となったため、一時的にやむなく父の補佐役に就いていたのですが、結局なし崩し的に会社を譲り受けることになりました。世俗から離れて学業に没頭していた彼は、これまで役員たちの思うままに傀儡として動いてきたのですが、つい最近になって知った事実から、はじめて自身で決断を下そうとしています。というのは、鉄道の敷設予定地として調査していた土地から、ラガン帝国時代の遺跡が発掘されたためで、シェルビー総督に逆らってでも路線を変更するよう提言するつもりでいるのです。しかし、その土地を所有する地主と総督は親しい間柄にあり、影では密約が交わされているという噂が流れているため、総督に敵対的なフィルフォード議員の力を借りることも考えています。


▼ルイス=ピーターソン(白人/男/42歳)
 モーティン=フィルフォード議員が持つ造船会社の社員で、下請けを含めた下層労働者が結成する労働者同盟会の会長を務めています。これまで労働者の権利を求めて戦ってきましたが、会社側が雇ったと思われるゴロツキに襲われ、大きな怪我を負ってしまいました。労働者たちはこれに怒り、大規模なストライキを決行する計画を立てておりますが、それに対して暴力的な妨害が行なわれることが予想されており、ルイスは労働者たちに計画を取り止めるよう呼び掛けています。


先頭へ

 


基本情報自然・要所人物・集団