組織
彼らは革命や内戦後の闇市場を牛耳ることで力をつけたり、経済状況や社会制度の変革に対応する形で台頭してきたものです。特に政情が不安定な場所で発生する傾向にあり、流通業者や自警団組織が変化したり、あるいは裏組合のうち非道なものが協定を破るなどして成立した組織が多いようです。ギャングはストリートチルドレンや個人犯罪者を強引な手法で勧誘したり、抗争で潰した組織の構成員を取り込むことで肥大化してゆきます。
反社会的な犯罪者集団という点では裏組合とかわりありませんが、彼らに禁忌の2文字はありません。粗暴で血なまぐさい手段に躊躇することなく、縄張りと利益の拡大を目指して邁進するのです。恐喝や強盗はもちろん、殺人や麻薬の売買まで平気で行い、とにかく強引な手段で金銭を稼ごうとします。
組織同士の繋がりもなく、周囲の全ては利用できる資源か叩きつぶすべき敵となります。縄張りをめぐる組織同士の抗争も頻繁に行われ、一般市民を巻き込むことも稀ではありません。内部抗争も頻繁に起こるため、身内に対しても決して油断することなく、内外に自分の力を見せつけていなければなりません。組織の長は自らの地位を絶対的なものとするためにも、非道な手段を繰り返さなければならないのです。こういった事情により、彼らの犯罪手法は時を経るごとに凶悪に、そして狡猾なものとなってゆくわけです。
どの地域でもギャングは厄介者であり、裏組合と違って多少なりとも社会に認められた存在とは異なります。しかし、人口の増加にともなって都市に移り住んだものの、職にあぶれてまともに生活することができない人たちは、犯罪でも犯さなければ食べてゆくことはできないのです。ギャングはそういった人々の加入を歓迎し、どんどんと組織を大きくしてゆきます。この流れを止めるには社会全体を改革しなくてはならず、よほど思い切った手段を取らなければ状況の改善は望めないでしょう。
○名称
〜一家というように、長の名前を呼ぶのが一般的です。裏組合のような名称はありません。組織の長が変われば、また別の名称で呼ばれることになります。
○構成
ギャングの組織構造は部門事に縦割りされているのではなく、長から縄張りを任された幹部がおり、その幹部が独自に構成員を統括するといった形態をとっています。
組織に加入する際には、特に資金などを要求しないのがギャングのやり方です。生活に困った人間にうまいことを吹き込んで身内に取り込むのですが、入った後には非常に厳しい生活が待っています。ギャングは構成員の稼ぎにかかわらず、毎月決まった額の上納金を要求します。下部構成員は幹部に、幹部は長へと上納金が納めなければなりません。上納金を納めなければ制裁が待っていますから、手段を選ばずに金をかき集める必要があります。また、勧誘の際には楽な生活ができるなどと言われるものの、上から小遣い銭を貰えるのは大きな仕事をした時だけで、よほど幹部に気に入られているのでもなければ、自分の生活費は他人から奪い取らなければならないのです。ギャングが手段を選ばない集団であるのは、こういった事情も大きく影響しています。
新しい構成員を取り込んで自分の手下とすれば、それによって自分の負担が軽くなりますから、手段を選ばず勧誘を行うのも当然のことです。もちろん、一度身内に取り込んだ者を逃がすことはなく、脱退を試みようとした者は二度と逃げようという気が起こらなくなるまで痛めつけます。構成員に逃げられる幹部は無能と見なされますから、私刑は見せしめのためにも重要な儀式となります。ギャングの世界に一度足を踏み入れた者は、決して逃げ出すことはできないのです。
○掟
裏組合とは異なり、組織同士で交わす協定のようなものはありません。また、成文化された掟も存在せず、長や幹部の言葉が絶対のものとなります。上の立場にある者に反抗しないというのが唯一の掟といえるでしょう。
しかし、掟を絶対のものとするには力を誇示するしかありません。力で押さえつけることができなければ、すぐにでも地位をとって替わられてしまうのです。また、身内を暗殺することも珍しくはありませんから、常に部下の動向には目を配っていなければならないのです。
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仕事
縄張りや地域社会との関係などの対外的問題には頓着せず、ありとあらゆる犯罪行為を行うのがギャングという存在です。そのため粗暴な事件が目につくことが多いのですが、一方で法の隙間をつく巧妙なやり口も心得ており、決して頭の悪い集団ではありません。
▼窃盗
構成員がスリや盗難を行うのはもちろんですが、銀行強盗などの大がかりな財産犯罪を行うのがギャングという存在です。盗品を売りさばく市場もあるのですが、どちらかといえば金銭を直接奪い取ろうとする傾向が強いようです。なお、ダイナマイトの登場により、近年ではかなり強引な手法による銀行強盗が発生するようになっています。
▼恐喝
飲食代金や商品代金の踏み倒しといった小規模な犯罪に始まり、路地裏での強盗や相手の弱みにつけ込んだ脅迫、あるいは民事事件に関連した示談介入による金品の要求といった、考えられる限りの暴力的恐喝を行います。
▼縄張りの管理
縄張り内での影響を認める見返りとして金品や用心棒代を要求する行為です。無届けで賭博場や売春宿を経営している裏稼業の人間は、法的な手段で訴えることもできないため、ギャングの要求するままに代金を支払うことになります。
▼密輸
他国の業者や税関などと手を組み、密輸を行って資金を得ます。盗品や麻薬はもとより、悪徳な業者と手を結んで、組織的に武器の輸出入や人身売買を行うこともあります。
▼麻薬の売買
麻薬はギャングにとって大きな資金源となります。通常は外国や都市から離れた場所で栽培・精製を行い、それらを密輸によって都市に運び入れます。販売は路地裏などで売人が個人的に行うのが一般的なやり方です。これらの役割は完全に分離されており、また、栽培場所を複数箇所に分散するなどの工夫を行うこともあります。そのため、個別に摘発を行ってもなかなか組織全体を壊滅させるのは難しいようです。
▼債権の取り立て
悪徳な金融業者の取り立てを代行し、債務者から不当な手段による金銭の回収を行います。自らが金融業を経営している場合もあります。
集団での威圧から懐柔策、あるいは実質的な被害が生じるような嫌がらせなど様々な手段を用いて取り立てを実行します。それでも回収が困難あるいは不可能と思われる場合は、監禁や人質を取っての脅迫に出たり、債務者とその身内を人身売買組織に売り飛ばすといった最終手段に踏み切ることもあります。
▼店舗経営
借金のカタに手に入れた店舗をそのまま経営したり、賭博や売春宿といった裏の商売に手を出すギャングも少なくありません。金融業者、役人、法律家などを巻き込んで、計画的に店舗を乗っ取る場合もあるようです。こういった場所では借金のカタに売られてきた者や、人身売買によって連れて来られた子供たちが働かされることになります。もちろん、店舗には構成員が経営者や用心棒として入り込んでいるので、逃げ出すことはできません。もし逃げたとしても総力を挙げて連れ戻し、そして二度と逃げ出そうとは思わないように制裁を加えます。
▼汚職
ギャングが経営する会社や資金提供を行う会社への公共事業の発注や、優先的な取り引きを要求したりする行為です。悪徳政治家と手を結んでいる場合が多く、なかなか表向きの問題になりにくい犯罪です。場合によっては地域の警察ぐるみで汚職を行っている場合もあります。
▼金融
銀行からの融資や株式売買の強要、不動産取り引きにおける介入といった行為もギャングの分野です。他にも鉄道の敷設や公共工事に関係した地上げ行為や、暴力的威圧による立ち退きを請け負うことで見返りを得ています。
○犯行形態
資金のある1人の幹部を中心とした小グループで犯罪を行います。グループは下見役、実行犯、見張役、運搬役、会計などに役割分担されており、首謀者や参謀の計画に従って活動します。
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対外問題
○組織間の関係
裏組合のように横のつながりは一切ありませんから、ギャング同士あるいは他の犯罪組織とは、縄張りを巡って激しい抗争を繰り広げます。ギャングは特に強引な手法で縄張りを広げようとします。
一方で、必要であると判断すれば他の犯罪組織と手を結ぶこともありますが、それは信頼関係によって成り立つものではなく、あくまでも利益の問題でしかありません。
○行政との関係
ギャングは裏組合のような分別を持たず、社会と折り合いをつけるといった配慮を一切しない集団です。かといって、行政機関の圧力に対して何も対策を講じないわけではなく、警察官、裁判官、政治家、政府高官といった人間を買収して、身内に引き込むことで身の安全をはかろうとします。それに応じない場合は脅迫し、それでも効果がなければ実力を黙らせることになります。ギャングに対抗して暗殺された政治家も実際に存在します。
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