問題/初心者への対応


  


 ゲームの初心者を迎える場合には、それなりの対応が必要となります。なお、初心者といっても、システムに対する初心者とTRPGに慣れていない初心者の大きく2つに分けることができます。


○心構え

 TRPGの初心者を相手にセッションを行うときには、幾つか心に命じておけなければならないことがありますので、以下に列記します。


▼失敗の可能性
 失敗は起こるものと仮定してセッションを進めて下さい。そして、何かあっても決してGMの側が焦ってはいけません。GMが慌てているようだと、初心者が萎縮して発言を控えてしまう可能性があります。

▼行動の強要
 何もしてないからといって、初心者に行動や選択を強要しないよう注意する必要があります。特に、周囲の人間が行動を済ませてしまっている状況だと、初心者は落ち着いて考えることが出来ません。また、自発的なアクションや想像力にもあまり期待せず、なるべくリアクションさせることでセッションに引き込むよう努力して下さい。

▼責任/ミスの追及
 初心者の行動に対して過剰に責任を求めることをしてはなりません。また、初心者の間違いを咎める言動も避けるようにしましょう。最初のうちは何がゲーム的に正しく、何が間違っているのかは判断がつきません。これはGMのみならず、周囲のプレイヤーも気をつけるべきことです。

▼疎外感
 初心者にわからない話をしないというのも、相手をセッションに迎え入れる上で重要なことです。プレイヤー間の相談のみならず、雑談などに関しても初心者に疎外感を抱かせてはいけません。相手が話に入りにくそうにしているようでしたら、GMが間に入って積極的に話しかけるよう心がけて下さい。

▼判断の自由
 初心者が何か判断を下そうとしている時に、周囲のプレイヤーがそれに介入しないよう注意して下さい。初心者の場合は、自分の力で何かを選択したり考え出すということが重要なのです。場合によっては、他のプレイヤーの干渉を完全に排除して、1対1でコミュニケーションを取ることも必要となってくるでしょう。

▼質問と返答
 質問に対してはなるべく丁寧に答えるよう努めて下さい。ぞんざいな答え方をされると、初心者は萎縮して発言を控えるようになります。また、判定を指示したり情報を提示する際には、相手が質問しやすいように「何か疑問はありませんか?」などと最後に付け加えるとよいでしょう。


○リアクション

 初心者の場合は積極的なアクションを求めるのは無理があります。最初のうちはリアクションさせることを第一に考え、判定を多くシナリオに盛り込むとよいでしょう。使用するキャラクターが予めわかっている場合、そのPCが得意とする行為を障害の解決方法に多く設定することで、積極的な参加を求めることが出来ます。


○ルールの間違い

 ルールの解釈や記憶違いというのは、熟練者でも起こりうることです。特に、TRPGを初めてやる人間は、判定の概念さえよく理解していないことが多いので、失敗や勘違いがあっても当然のこととして、余裕をもって対処しましょう。繰り返し教えたのに間違えたり忘れているからといって、そのことを咎めてはいけません。質問があればいつでも受け付けるようにし、前に教えたのと同じ内容の質問であっても、自分がルールを確認するつもりで丁寧に答えてあげましょう。
 初心者とセッションを行う時は、ゲームに慣れて貰うためにシナリオの序盤に幾つか判定を盛り込んでおくとよいでしょう。シナリオが佳境に入ってからようやく判定機会が登場するようだと、相手が流れを途切れさせないよう気を使って、わからないのに質問を控えてしまうことがあります。なお、途中で多めに休憩を取るようにすれば、自然と質問しやすい雰囲気をつくることが出来ます。


○無茶な行動

 初心者はゲーム内での常識がわかっていないために、しばしば無茶な行動を試みようとすることがあります。これはTRPGをコンピューターゲームと同じ感覚でとらえている場合にも起こります。
 周囲が無茶な行動だと思っても、すぐに頭ごなしに否定してしまってはいけません。まずは、常識などに照らし合わせて、PCが出来ることと出来ないことを説明してあげましょう。そして、事前にその行動を行うことでどのような事態が生じるのかを、世界観をまじえて詳しく伝えて下さい。ただし、その考えを押しつけるのはやめましょう。もし、それが回復可能な問題であるのならば、敢えてその行動を取らせてゲームに慣れてもらうのもよいでしょうし、周囲のプレイヤーがPCの発言を通じて、やんわりと止めるというのも1つの手段でしょう。


○会話

 初心者を迎える場合は、とにかく会話に参加してもらうことを第一の目標として下さい。この場合、キャラクターとしての会話が無理であれば、プレイヤー発言や行動の宣言だけでも構いません。とにかくコミュニケーションが取れないことにはTRPGは成立しないのです。
 なお、キャラクターとしての発言を引き出したい場合には、NPCを通して会話を行う方法があります。GMから直接尋ねられると、どうしてもプレイヤーとして返答してしまうものです。NPCに言われたほうが感情移入しやすく、キャラクター発言をうまく引き出せる可能性があります。ただし、行動の選択と宣言が行われていればゲームは成立するので、これは無理に行わせる必要はないということも覚えておく必要があります。


○随行

 1人で行動することを恐れたり、選択肢を提示しても決断に自身が持てないような場合は、誰かに随行させることでプレッシャーを軽減することが出来ます。誰か熟練者とコンビを組んで貰えば、ルールのフォローなどを期待することも出来ます。


○思考のフォロー

 初心者が発言を全くしない場合は、何をしてよいかわからない状態か、行動のための情報が十分に与えられていない可能性が考えられます。話しかけても曖昧な返事を返したり、無口になったら要注意です。


▼疑問点の把握
 初心者は自分で何が判らないのかさえ把握できていないこともあります。目の前で何が起こっているのかもわからず、ただ黙って状況を見守るだけでは、TRPGの楽しさを味わってもらうことは出来ません。ですから、GMは初心者が状況を把握しているのか常に気を配らなければなりませんし、何をしたいのか、何がわからないのかを積極的に尋ねる必要があります。そして、疑問点が明らかになったら、情報をわかりやすく伝える努力をしなければなりません。


▼目的の明示
 初心者に対しては、目的とそれを果たすために乗り越えなければならない障害を、はっきりと明示してやる必要があります。そして、解決のための手がかりについては、なるべく整理して提示してあげた方がよいでしょう。他にも、必要があればヒントを多めに与えたり、判定を行ってPCに判る範囲での手段を提示するなど、幾つかフォローの方法が考えられます。


▼選択肢の提示
 もし、次に取る行動が思いつかないようであれば、類型的な回答を何通りかだしてみて、その中から選択を行わせるのがよいやり方でしょう。選択肢はあまり多すぎても迷いますので、3〜4つぐらいが適当と思われます。この時、時間制限を設けるとプレッシャーとなりますので、それぞれの選択のメリットとデメリットを提示して、時間をとって考えてもらうようにして下さい。


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