乗用機関/その他


 


 以下の乗用機関はエルモア地方に存在していますが、まだ市販されていなかったり、ごく一部でし利用されていないものとなります。


○陸上

▼ミニバイク
 一般に普及させるために開発中のもので、現在でいうスクーターに非常によく似た形をしています。スカートをはいた女性でも乗れるように、跨って乗る普通のバイクと違って、座席が椅子型になっています。安定性を考えて三輪になっていますし、操縦の機構も簡略化されています。


▼単輪バイク
 1輪の大型車輪の中に操縦席がついている、非常に奇妙な形をしたバイクです。発明家が趣味で作製したものであり、機構が複雑で前方の視界も十分に確保できないことから、実用のものとはなっていません。


▼レールバイク
 レールライド・オートバイとも呼ばれています。列車のレールに合うような補助輪をつけた自転車を使用する、レールライダーという人々の行動からヒントを得て作製したバイクで、非常時の連絡用などの目的で三国鉄道の鉄道管理局が試作しました。
 本体にはレールに合う幅の鉄の車輪がついており、反対側のレールにうまくかみ合うように、サイドにも車輪が一輪せりだしています。列車に乗せる時のために、サイドの車輪は取り外すことができます。なお、あまりスピードを出しすぎると安定性が悪くなるので、最高でも時速50kmほどしか出すことができません。


▼動力式消防馬車
 動力機関を積んだ消防馬車です。一部の先進国家では動力式のポンプを搭載したものも試作され、試験的に運用しています。


▼牽引用大型蒸気カート
 移動遊園地を実現させるために作成された、蒸気機関搭載型の大型カートです。一般にはあまり見ることはありませんが、その他の幅広い用途にも用いることが出来るため、作業用車両として人気があります。これを開発した企業はさらに車体を大型化して、テントごと運べる移動サーカスを見せ物にしようと考えたのですが、テントや器具の耐久性などの問題から実現は難しいようです。


▼スノーバイク
 凍湖の上を走行する目的で、ユークレイ王国に住むとある発明家が試作しているものです。前輪はソリのようになっており、後ろの二輪は幅の広いスパイクつきの鉄輪がはめられています。しかし、まだまだ安定性が悪いので、車輪部分にはさらなる改良が必要となります。


牽引用フラットバイク
 荒れ地や砂地を移動できるように作成された無限軌道(キャタピラ)式の乗用機関で、我々の世界にあるスノーモビルの形に近い幅広のものです。これはもともと牽引用として作成されたもので、搭載されている霊子機関を利用して、ロープ巻き上げ機(ウインチ)を動かすことも可能となっています。
 これは発掘作業を目的としてロンデニアで開発されたため、数台がペルソニア大陸で利用されているだけとなります。しかし、その有用性が認められ、陸軍でこれを採用しようとする動きもあるようです。


○水上/水上

▼水原用ボート
 エストルークの水原で利用できるよう、平底のボートに霊子機関を搭載したものです。まだ試作の段階ですが、幾度も行なった試験運転は全て成功しており、水原以外の沼地や浅瀬での運用も視野に入れています。
 これはバランスを取るため、船底に霊子機関を備え付けた特殊な構造をしており、そこから船尾の船外スクリューに動力を伝達します。船外スクリューは方向転換や水草を避けるために可動式となっており、オールを操るように自在に船をコントロールできます。ただし、ボートとしては全体が重くなっているため、最大2人しか乗ることは出来ません。


▼ペアボート
 カヌーに似た流線形の細いボートを鉄材で繋いで、それぞれに霊子機関の船外エンジンを搭載したものです。双胴船の形にしたのは高速航行時の安定性と速度を増すためで、実際にその目的は達成されました。しかし、ボート本体が木製であるために、大きな波を受けたり高速で曲がった際に連結部分に負荷がかかり、長時間の航行には耐えられないことが判明しています。


▼人力潜水艇
 
聖歴757年にロンデニアで考え出された樽型潜水艇が、エルモア地方で初めての潜水機械ということができるでしょう。これは大型の樽に自転車のペダル機構を取り付け、それをこいでスクリューを動かす仕組みでした。これを元にして聖歴762年に開発された潜水艇は、長さ2mほどの流線型のもので、現在の潜水艦に非常に近い形状のものとなります。
 このタイプと同等の機構を持つ潜水艇の開発は民間でも行なわれており、グローブを取り付けて水中作業を可能としたものも試作されています。しかし、このタイプの潜水艇は水中での自由度は低く、船や地面とケーブルで結ばれたものが殆どとなります。


▼動力式潜水艇
 ロンデニアやライヒスデールといった国家の海軍では、霊子機関を動力とする長さ5mほどの大型潜水艇も開発されています。これは試運転に成功していますが、まだ実用のものとはなっておらず、未だ実験が繰り返されているようです。


▼水上飛行船
 高速航行時の安定性を高めるために、船体上部に流線形のバルーンをつけた小型船で、カーカバートの発明家ミシェル=バーナードが実験を行なっている最中です。結果的に浮力によって波の抵抗が少なくなり、速度向上には繋がったのですが、バルーンが横風を受けることと帆を自由に使えないことで、操作性に大きな問題を抱えることとなりました。現在はバルーンを小型化した2号機の開発が進められていますが、問題は依然として解決されておりません。


○航空

▼人力飛行船
 密閉型のガス気球に、足漕ぎ式の動力を備えた2人乗りの小型飛行船で、人力でプロペラを動かして航行します。側部には羽ばたき用の翼がついていますが、これは動力にも船体制御にも全く役立つものではなく、むしろ機体の安定性を損なう結果となっています。
 この飛行船はあくまでも散歩用であり実用のものとはなっておりませんが、人力とはいえ空の旅に憧れる者は非常に多く、先進国家の幾つかの都市で観光用として貸し出されています。


○兵器

▼大型鉄装甲軍艦
 聖歴786年にロンデニアで製造された大型船で、鉄だけで作られた初の軍艦となります。40門の大砲を備える蒸気船で、厚さ10cmの鉄板装甲で覆われています。


▼多門型突撃重砲車
 フレイディオン軍が開発した大型の装甲重砲車で、側面に計8基の砲銃を取り付けています。これは武装船を参考に作成されたもので、前面には衝角(ラム)のような鉄槍が取り付けられ、相手戦車に突撃を仕掛けることも出来ます。また、カブトムシのように戦車や装甲車両の下に角を突き入れ、相手をひっくり返す機構の装備に換装することも可能となっています。しかし、その設計思想は当然のことながら現場には受け入れられず、試験部隊の兵士たちには走行棺桶と呼ばれています。


多塔戦車
 ユークレイ王国に雇われているシューベルニー自由騎兵団が使用する戦車です。何台かのバリエーションがありますが、いずれも複数の砲門を搭載することで死角を無くするというコンセプトのもとに設計されています。このために非常に大型なものとなり、長時間の運行にはあまり適さない兵器となっていますが、移動要塞としても機能することから大きな戦果を上げています。


▼釣鐘型自走砲台
 釣鐘を上に被せたような奇妙な形の自走砲台で、2門の大型砲を装備しています。カスティルーンで製造されたもので、拠点防衛用の移動要塞として用いられています。


▼装甲列車
 砲台つきの武装車両のことで、ユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャを通る三国鉄道の装備です。ライヒスデールとの国境付近を通る列車は、警戒時にこれを牽引することがあります。


▼列車砲
 機関車に大型の砲銃を搭載したもので、一部の先進国家で用いられています。


▼大型列車砲
 ライヒスデール軍が開発した巨大列車砲で、現在までに2基が試作されています。しかし、威力は十分であるものの、分解・組み立てのために多くの人員と時間を要するため、コストパフォーマンスという観点から見た場合、実用性にはいささか欠ける兵器となっています。


▼円盤形砲艦
 スクリューと砲門をそれぞれ十字状に4基搭載することで、死角を完全に無くすと同時に、前後左右どちらにも進むことを可能とした円盤型の戦闘艇です。しかし、その形状から安定性が非常に悪く、試験中に大波で転覆したこともあるため、まだまだ改良が必要なようです。


▼甲冑蒸気戦艦
 亀の甲羅のように艦全体を装甲で覆うという、独特の形状をしたフレイディオンの戦艦です。重量バランスがあまりよくないため、水上部分の高さを低くすると同時に、船幅を広げることで転覆を防ぐ構造となっています。そのため、艦内は狭く圧迫感がありますし、バランスを取るための揺り返しが非常に大きく、兵たちにはあまり評判はよくないようです。


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