基本情報
○解説
▼表通り
市立劇場の音楽堂があるため、夜になると舞台を見るために紳士淑女が集まり、周辺ではさながら社交界の一幕のような光景が展開されます。また、最近では中流階級の人々も観劇を楽しむようになっておりますし、周辺には花売りの少女や大道芸人、あるいは金持ちの懐を狙うスリといった輩も現われ、通りを見渡すとまるで世界の縮図を見ているかのようです。
舞台が終わった後、人々は付近のレストランやバーを訪れ、豪華な料理や酒を楽しみながら優雅な一時を過ごします。そのため、この近辺には夜遅くまで開いている店が多く、大通りでは一晩中、街灯の灯りが街を照らしています。▼裏通り
表通りの様相とはうって変わって、中層市民の民家が並ぶ閑静な地域となります。通りを散策していると老舗や隠れた名店などに出会うこともあります。
▼分類
・紅茶通り:
主に商業地
・ライラック通り:
商業地
公共施設(広場)
・青騎士通り:
商業地
住宅地(中上層〜中層)
・兵馬通り:
商業地
観光地
・追憶街:
住宅地(中上層〜中層)
商業地
▼紅茶通り
喫茶店や茶葉の専門店が多く並ぶ通りです。通りの南側は音楽堂に訪れる富裕層向けの飲食店やクラブハウスが多く、北側には一般向けの店鋪が置かれています。学生街に近い辺りには、新聞や書物を置いてあるティーハウスが何軒もあり、閉店までここで過ごす者も多いようです。
▼ライラック通り
ライラック歌劇団が所属する音楽堂に面することから、このように名付けられました。後に、この通りには街路樹としてライラックの木が植えられ、春には紫、赤、白などの美しい花を咲かせます。
▼青騎士通り
ペトラーシャ継承戦争から人民革命の終結まで存在していた、青十字騎士団の本部があったことから、このように呼ばれるようになりました。周辺にはレストランやクラブハウスなどの建物があり、紳士たちが遅くまで界隈の店で過ごしています。
◇青十字騎士団(法務執行独立警察団)
ペトラーシャ継承戦争時にベルアジュール領で独自に設置された、警察裁判所を運営していた一団のことです。これは現在の警察と裁判所を兼ねた組織であり、刑務執行権を持った軍の1部隊でもありました。正式には法務執行独立警察団と言いますが、彼らは青藍色の正十字旗を掲げていたので、一般に青十字騎士団と呼ばれておりました。
このような組織が成立していたのは、国内が乱れて中央政府が全く機能していなかったという政治情勢と、この組織が法教会主導のもとに活動していたという背景、そして領主であるウィレット伯爵が裁判権を全てこの組織に委ねるという、非常に大胆な決断を下したことなどの理由によります。
この部隊は法教会の聖堂騎士である聖騎士が率いており、彼らの下には執行騎兵と呼ばれる、騎士や民間出身の特殊な立場の兵士が付き従いました。そして、捜査活動や司法判決の強制執行を行ない、領内の平和を維持していたのです。
▼兵馬通り
旧領主邸の南を走る大通りで、かつて草広場が練兵場として使われていたことから、このように呼ばれるようになりました。旧領主邸に面する道沿いには、土産物屋や飲食店が立ち並んでいますが、そよかぜ通りや自由通りに比べると、この一帯はわりと静かな地域となります。
▼追憶街
この近辺は昔の面影を残した下町で、古い時代に建てられた民家が軒を連ねています。その風情ある景観から、散歩道として人々に長く親しまれてきた場所でもあり、ゆったりとした時間を満喫することが出来ます。
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施設・名所
○種類
▼一般
菓子店「はっぴいたいむ」、ティーハウス「琥珀色の香り」
▼菓子店「はっぴいたいむ」
ケーキ専門店として有名な店で、リムロック風のアップルパイや白ワイン・ピーチなどが人気です。甘さは少し控え目で、スタイルが気になる人でも安心です。奧にはピンク色のクロスがかけられた可愛いテーブルが並べられていて、出来たての味を楽しむことができます。アップルパイとアップルティーで400エランという、アップルセットが店のおすすめメニューで、女学生たちがよく注文しています。
▼ティーハウス「琥珀色の香り」
さまざまな学術書が置いてあり、多くの学生たちが訪れる老舗のティーハウスです。噂では、ときどき店主が仕入れた覚えのない書物が棚に紛れ込んでいて、その本が原因で騒動が起こることがあるそうです。そのため、常連客たちには「不思議図書館」と呼ばれています。
▼音楽堂
ライラック歌劇団およびサリュンティル市管弦楽団のホームとなっている市立の劇場です。円形のドーム屋根が金色に輝く優美な建築物で、市で3番目の高さを誇ります。
◇執行騎兵院(音楽堂)
ペトラーシャ継承戦争から人民革命終結までの間、現在の音楽堂のある敷地には、青十字騎士団が率いる執行騎兵団の兵舎が置かれておりました。しかし、人民革命後に部隊は解散され、この建物は県と市が共用する警察庁舎としてしばらく利用されることになります。
その後、警察庁舎が現在の場所に移転し、ここは新しい市のシンボルの1つとするため、音楽堂として大掛かりな改修工事が行なわれました。そのため、昔の面影は全く残っておりませんが、建物の裏手には騎兵団員の名を連ねた記念碑が今も残されています。・関連:ライラック歌劇団、サリュンティル市管弦楽団、青十字騎士団
▼青十字館
音楽堂の裏手にある建物で、かつては警察裁判所として使われておりました。現在はペトラーシャ人民革命に関する資料を展示する、革命資料館として一般に公開されています。・関連:青十字会
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人物・集団
○集団
▼ライラック歌劇団
ペトラーシャ国立歌劇団の1つで、音楽堂をホームとしています。正式にはサリュンティル国立歌劇団といいますが、毎年5月に歌劇「ライラック夫人」を上演することから、このような愛称で呼ばれています。・関連:音楽堂
▼サリュンティル市管弦楽団
音楽堂をホームとするオーケストラで、聖歴732年に発足しました。その後、定期的な演奏活動を続けてきましたが、名声が得られるようになったのは、聖歴750年代に「リーセット=フェラー」氏が指揮者に就任してからのことです。彼は近代ペトラーシャを代表する作曲家で、その指導によって演奏水準は著しく向上し、現在もなお高い評価を保ち続けています。・関連:音楽堂
▼青十字会
ペトラーシャ継承戦争時にベルアジュール領で独自に設置された、「青十字騎士団」の末裔で構成されている互助会です。革命資料館として公開されている青十字館の管理も行なっており、この建物をクラブハウスとしても利用しています。・関連:青十字館
○人物
▼リヴィオ=ファブリス
種族:白人 性別:男 年齢:26 職業:紅茶屋
居住:紅茶通り 出身:サリュンティル市解説:紅茶専門店「天使の雫」の店長で、いつも笑顔を絶やさない優しそうな青年です。口ヒゲを生やしているため、実際の年齢よりずいぶん年嵩に見られることが多いようです。この店では茶葉を取り扱うだけでなく、店先に設けられた喫茶室で紅茶とお菓子を楽しむことが出来ます。店長自身は紅茶をいれるのがひどく下手で、どんな立派な茶葉も「とぼけた味わい」「古ぼけたテイスト」に仕上げる名人らしく、お茶の方は妹のミランダが担当しています。しかし、菓子造りの方では類い稀な才能を発揮し、美味しいパイやシフォンケーキを食べるために、毎日大勢の客が彼の店を訪れます。常連の誰もが菓子店への改装を勧めるのですが、彼自身は紅茶にこだわりがあるらしく、このまま専門店の看板を掲げてゆくつもりです。
一言:「いやあ、なんといっても紅茶はこの香りですよ……」
▼ドニエ=ウォルバーグ
種族:白人 性別:男 年齢:54 職業:舞台演出家
居住:文豪通り 出身:サリュンティル市解説:芸座横町の小劇場でキャリアをスタートさせ、現在は国内有数の演出家として認められるようになった、現代演劇界の巨匠と呼ばれる男です。戯曲の新しい解釈や、衣装や背景の鮮烈な色づかいで有名ですが、何より妥協を許さない厳しい指導で知られています。
一言:「やる気あんのか、お前らぁ!」
・関連:音楽堂
▼エレナ=メイフィールド
種族:白人 性別:女 年齢:26 職業:店員&主婦
居住:兵馬通り 出身:ムーラル市解説:つい半年前に、土産物屋「子馬の散歩」の主人のもとに、後妻として嫁いで来た女性です。いつも元気いっぱいで誰とでもすぐに仲良くなり、この街の生まれでないにもかかわらず、既に大勢の友人をつくっています。欠点は少し慌て者ということと、やや調子に乗る傾向があるところで、それで失敗したり周囲に迷惑をかけることもあります。
目下のところ、彼女には1つ大きな悩みごとがあります。それは先妻の子供2人がなかなか懐いてくれないことで、家族に隠れて溜め息をつくこともあります。しかし、そんな姿は誰にも見せず、今日も元気に大輪の笑顔を咲かせながら頑張っています。一言:「あいよっ、任せといてっ!」
▼パトリック=ポーラー
種族:白人 性別:男 年齢:34 職業:雑誌編集者
居住:追憶街 出身:サリュンティル市解説:かつてはホラー小説家として幾つか作品を発表しておりましたが、ある時期からぷっつりと創作活動をやめ、少年向けの科学冒険雑誌の編集者として働くようになりました。時々、昔の知り合いから原稿を頼まれたり、かつてのファンから復帰を要望する手紙が送られてくることもありますが、再びペンを取る気はまったくないようで、理由も語らず黙って首を横に振るだけです。
限定情報:いつ頃からか、彼は夢に悩まされるようになりました。それは自分が描く小説の世界が再現される夢で、毎夜のように怪奇の世界に閉じ込められ、不条理と怪異がもたらす恐怖に襲われ続けたのです。彼はこれを職業病の一種と考え、しばらくは黙って我慢したまま仕事に励んでいたのですが、架空の恐怖体験は日ごとに鮮明なビジョンとなって、深く心に刻み込まれるようになります。そして、本人も気付かないまま精神がすり減ってゆき、やがて創作活動どころか日常生活にも影響が出始め、遂には心を病んで筆を置かざるを得なくなったのです。
一言:「うん、最近はちゃんと寝ているさ」
▼マルセル=ウィルバー
種族:白人 性別:男 年齢:13 職業:学生/中等学校
居住:追憶街 出身:グラスベリー・フィールド解説:中央中等学校に通う学生で、陽気な三枚目といった容姿をしています。いつもニコニコと微笑んでおり、誰とでもすぐに仲良くなることが出来る明るい少年です。マルセルはグラスベリー・フィールド学園から貰われてきた養子で、現在の両親は跡継ぎが欲しくて孤児である彼を引き取りました。夫妻は茶葉や蜂蜜を取り扱う「ウィルバー貿易商会」を経営しており、学校から帰るとマルセルも家の仕事を手伝っています。3人が家族になってから1年しか経っておりませんが、夫妻の優しい人柄とマルセルの持ち前の明るさによって親子関係も良好で、今では本当の家族のように見えます。
限定情報:マルセルは協調性に優れ、場に溶け込むのがとてもうまい少年ですが、それは孤児である彼が無意識に身に付けた処世術で、自然と他人に嫌われないための振る舞いを選択しています。また、他人に迷惑をかけることを恐れて自分の意見を押し殺したり、やりたいことを隠してじっと我慢することが多く、自分でも気付いてはおりませんが、少しずつストレスを溜め込んでいっています。
一言:「なになに? 何の話?」
・関連:中央中等学校
▼語り人 デニス=ロジャール
種族:白人 性別:男 年齢:61 職業:無職
居住:追憶街 出身:サリュンティル市解説:毎日のように草広場にあらわれ、水鏡池やフルーレ川で釣りをしている老人です。話をするのがとても好きで、釣り仲間や広場で遊ぶ子供たちに自分の昔話をよくしていますが、その波乱万丈の人生はにわかには信じがたく、大法螺吹きと思われています。しかし、臨場感たっぷりの話しっぷりは非常に好評で、彼の周りにはいつも大勢が集まり、とても賑やかです。
限定情報:彼の話の内容は半分ほどは本当のことで、ずいぶんと大変な人生を送ってきました。若い頃は遺跡荒らしをしていたのですが、旅の途中で雷石の鉱脈を見つけて一財産を築きます。しかし、その後に知人に騙され資産の多くを失うと、それを取り戻そうと投資に手を出して大失敗し、それからは長い借金生活が続きます。そして、一家離散や火事といった不幸を経て、やけになって酒浸りの生活を送っていた頃、拾った宝くじで当たったわずかな金を、すべてルーレットで一点賭けしたところ大当たりし、その金を元手に事業を展開して……と、挙げてゆけばきりがないほど、浮き沈みの激しい人生を経験しています。
一言:「うむ、その日、強盗が家にやって来てのう……」
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