地下街

基本情報縄張り限定情報


 

基本情報


 アイリストールの地下には、もう1つの街が存在すると言われています。この暗闇の世界には上の街と別の秩序があると同時に、雑然としたこの都市に相応しい無秩序に支配される場所でもあります。


○空間

▼下水道
 アイリストールは早くから下水道が整備された都市ですが、無計画に建て増しを行ったため非常に広大で、複雑に入り組んだ迷路のようになっています。
 下水道は暗渠が地下に設置されているタイプのもので、道路の雨水受けや下水管から流れ込んだ排水を集めて、ミンキッシュ川およびエルザ運河へと流しています。レンガ積みの暗渠はアーチ型の断面をしており、中央を流れる排水路は3〜4mほどの幅になります。流路の脇には幅数十cmほどの測道があり、ここを歩いて移動することが可能です。


▼その他
 この地下の街を形作っているのは下水道だけではありません。河川の分水路、消火用の水路や貯水槽、廃虚の地下室、枯渇した湧水路、古くに利用されていた上下水道、岩窟街の侵食洞窟、あるいは城塞の隠し通路といったものも、この迷宮の一部として存在しているのです。
 これらは行政側の知らぬ間に下水道と繋げられたり、勝手に拡張されたりしているようです。地域によっては複数の地下室を繋いで、1つの建物のように利用しているものも存在します。


○住人

 ここは市や警察の監視の目が全く届かない場所であり、古くから犯罪者や乞食たちに利用されておりました。


▼乞食
 匂いもきつく非常に不衛生な場所ですが、冷たい風が吹き込まず雨露を凌げることから、昔から地下を住処とする乞食は多かったようです。乞食たちが集まって生活し、小さな集落が形成されている場所もあります。

▼都市浮浪児
 乞食と同様に、ここを住処とする浮浪児たちも大勢います。彼らの多くは下水の出口の付近や、廃虚の地下をねぐらとしているようです。

▼ゴミ拾い
 下水から流れて来る金属などを拾い、それを売ってわずかな収入としている者たちです。彼らは毎日のように明かりと鈎付きの竿、そして大きな袋をかついで暗渠へともぐり、汚れや悪臭に耐えてゴミを集めて稼いでいます。その多くは縄張り意識が強く、特に富裕層が住む街の地下では、激しい縄張り争いが繰り広げられます。また、他所ものに強い警戒心を抱く傾向があります。

▼犯罪者
 ここは官憲の目が届かないことから、一時的に身を隠す場所としては最適です。そのため、逃がし屋などが隠し部屋を用意して、そこに客を匿う場合もあるようです。


○利用

 地下の下水施設は、排水以外にも以下のような目的で利用されています。


▼地下ネットワーク
 乞食組合は情報屋や都市浮浪児などと手を組んで地下ネットワークをつくりあげ、地下道を利用した迅速な情報交換を行っています。アイリストールの複雑な地下を実際に知っているのは、彼らを除けば犯罪組織などに限られるでしょう。

▼犯罪利用
 裏組合などが盗品や密輸品を運んだり、闇市場へ出入りするための通路として利用しています。また、廃虚の地下など改装して下水に繋げて、アジトとして使う犯罪組織も存在します。

▼逃がし屋
 地下の抜け道を使って犯罪者を外部に逃がしたり、表立って都市に出入りすることが出来ない人物を案内する仕事のことです。アイリストールの場合、裏組合のメンバーや乞食たちが、この仕事を請け負うことが多いようです。

▼気送管
 都市中央部の地下には、暗渠上部に設置された種々の配管と並んで、気送管と呼ばれる空気管が設置されています。これは郵便局や政府施設を繋ぐ情報輸送のための密閉管で、圧縮空気でカプセルを送り出し、わずかの時間で離れた場所に情報を伝達することが出来るというものです。
 気送管は区別のために青く塗られており、ブルーチューブと呼ばれています。このことから、気送管を通じて届けられる手紙を、ブルーメールという場合もあります。


○危険

▼怪物
 下水に巣くう怪物もいるため、これに襲われて乞食などが死亡することもあります。なお、こういった被害に遭った死体を発見して警察に通報すると、幾らかの報奨金をもらうことが出来ます。

▼縄張り
 地下にも縄張りがあり、不用意に踏み込んだ者が思わぬ怪我を負うこともあります。

▼増水
 大雨などで増水した場合には、まれに河川の水面が排出口の高さより上にくることもあります。このような事態を知らずに下水で溺れ死んだ者も、過去には大勢います。


先頭へ

 

縄張り


 地下の街にも縄張りが存在しており、迂闊に踏み込んではいけない地域もあります。


○区分

 地下には通路として利用される共用空間と、特定の集団あるいは個人だけが用いる固有空間が存在します。


▼共用空間
 下水道を繋ぐ大きな暗渠などは、共用空間として利用されています。その一角が浮浪者たちの縄張りとなっていることもありますが、その場所の秩序を犯すような行動を取らなければ、通行自体を妨げられることは滅多にないでしょう。しかし、見かけない人物が入り込んだ場合には、その情報はすぐに他の者たちにも伝えられます。


▼半共用空間
 基本的には共同で利用されていても、特定の時間や曜日だけ占有される空間も存在します。主にこういった場所は、特定の組織による犯罪に利用されていることが多く、その時間帯は他の者たちは近づかないようにします。これは暗黙の了解で成り立っているもので、情報網を通じて予め知らされるものではありませんが、裏組合の場合は出入り口に目印がしてあるため、地下の住人たちはそれで判断しています。


▼固有空間
 特定の個人や組織の縄張りとして利用されている場所で、その場所では定められたルールを守らなければなりません。たとえば、乞食組合や裏組合の場合、それぞれが縄張りとしている地域の地下空間も、組織の縄張りとして利用されています。
 これは共用空間とそのまま繋がっていることもあれば、建物のように何らかの区切り(扉、バリケードなど)が存在することもあります。なお、古くから使われている縄張りの場合は、地下世界でだけ通じる暗号で何か目印がしてあることが多いようです。


○境界

 地下の縄張りというのは上の世界ほど明確なものではなく、固有空間を除けば境界となる領域も広く曖昧です。そのため、敵対している組織でもなければ境界部分で衝突することも殆どなく、その場所のルールを守っていれば特に排除されることもないでしょう。


○約束事

▼基本
 地上の世界と同様に、地下街にも慣習的に守られてきた不文律が存在します。とはいえ、その殆どは他者の縄張りを侵害したり揉め事を持ち込まないなど、基本的には常識に沿ったものでしかありません。明確に違うのは、一般社会とは違って警察のような秩序を守る組織が存在しないことで、何事かが起こった時には地域の利用者たちが結束して対処することになります。


▼暗号
 地下の世界でだけ利用されている暗号があり、地下道の壁には様々な情報が記されています。これは縄張りや危険な存在を伝えるためのもので、チョークなどで書き込まれていることもありますが、暗い場所では手探りでもわかるように、だいたい同じ高さに金属で刻み込んだりしてあります。


先頭へ

 

限定情報


 当然のことながら、この地下に広がる途方も無い空間のすべてを知る者はおらず、秘密結社が誰も知らぬ間にアジトをつくっていたり、完全に知られていない通路も存在します。以下の内容は限定情報となり、GM以外は知らない情報となります。


○錬金街

 紫陽花通りの地下に広がる空間で、かつての城塞への隠し通路を利用してつくられた、錬金術師たちの実験室です。

・関連紫陽花通り錬金街


○人獣博覧館

 夜店通りにある見せ物小屋「マッコンの館」では、動物芸や国外産の珍しい生物を披露して、客たちを楽しませています。しかし、この店の本当の姿は、地下に密かに設けられた特別展示場にあります。ここでは変異の影響を受けて奇形になった人間を見せ物にしたり、飼い慣らした凶暴な怪物を闘わせて賭事にしたりと、とても表沙汰には出来ないようなことが行われています。なお、地下室は下水道に繋がっており、ここを通じて動物が運び込まれます。

・関連セクト=マッコン


○シークレット・ミュージアム

 盗品などいわくのある美術品を集めている秘密クラブで、亡骸街の地下で定期的に秘密の会が開かれています。ここでは観賞会を行なうだけでなく、美術品の売買も行なわれています。

・地域亡骸街


○不確定情報

 以下の情報は不確定なものであり、その真偽についてはGMの権限に任されます。


▼地下墓地
 白鳥通りにある聖フローレンス教会の地下墓地は、下水道に繋がっているといわれています。

▼時計塔広場
 時計塔広場の地下には、封鎖された秘密の地下室があるという噂です。

▼王宮広場
 王宮広場にある地下の貯水施設は、王立劇場に繋がっているといわれています。


先頭へ

 


基本情報縄張り限定情報