行為判定
キャラクターはこれから行おうとする行為を、すべて意図した通りに運べるわけではありません。次に試みようとする行動が成功か失敗かを判断するために、行為判定というものを行なわなければなりません。
○判定の基本行為判定は判定値(副技能値+修正値)を基準に6面体のサイコロ(D6)を振って、その成否をランダムに決定するものです。
サイコロをいくつか振って、その出目の合計が判定値以下であれば判定は成功となります。一度の判定で使用できるサイコロは、副技能に関連する主能力値の数までとなります。注意しなければならないのは、主能力値の数だけ振るわけではないということです。知の値が3だった場合は、プレイヤーは0〜3の範囲で振るサイコロの数を選択することができます。ただし、振る数が0個の場合は、その行為を放棄したことになります。
○抵抗判定
特定の物事に対抗するためには、抵抗力を基準に判定を行わなければなりません。抵抗力を用いて行う判定のことを抵抗判定と呼びます。
・判定方法
抵抗力は副技能と全く同じように扱います。判定に用いるサイコロの数は、基準となる主能力までとなります。
○専門分野
基礎習得までしかしていない専門分野の判定は、判定値に−4の修正値を加えた値を基準として行います。たとえば、楽器演奏【各種】という専門分野は音楽感覚に含まれますので、音楽感覚が10の場合は、10−4=6を判定値として行為判定を行うことになります。
○達成値
行為が成功しても、その成功の度合いは時によって異なります。成功の度合いのことを達成値といいます。行為判定に成功した時のサイコロの出目の合計が達成値です。この達成値が高いほど素晴らしい成功を成し遂げたことになります。達成値は、難しい行為や誰か対抗する相手がいる際の判定に必要となります。
○難易度
行為判定は通常、サイコロを振って出た目の合計(達成値)が判定値以下ならば成功となります。しかし同時に、難易度として設定された値以上を出さなければ、成功とはならないのです。つまり、[難易度 ≦ 達成値 ≦ 判定値]の時に行為判定は成功ということになります。難易度が高いほどその行為は難しくなります。この難易度と達成値の比較を、成功判定といいます。
◆難易度表
難易度 目安 0 誰でもできる行為。判定の必要なし 1 かなり簡単。素人でもあまり失敗しない 2 簡単な行為。普通はうまくゆく 3 やや簡単。素人では失敗することもある 4 素人では五分五分 5 やや難しい行為。 6 難しい行為。素人では失敗することが多い 7 素人には困難な行為。その道のプロでも失敗することはある 8 プロでも難しい行為。その技術にかなり 熟練していなければ失敗することが多い 9 よほど熟練した専門家でなければ手を出さないほうがよい 10 非常に難しい行為。素人ではほとんど不可能。 11 専門家でも難しい行為 12 一流のプロでも難しい行為
○修正値
通常の場合、判定値は副技能値(主技能値+個人修正値)と同じ値になります。ですが、その行為判定について修正値が設けられている場合、副技能値に更に修正値を加えて判定を行なうことになります。このような周辺状況による修正値を状況修正値といいます。
◆状況修正値の目安
修正値 目安 状況 −6 かなり困難な状況 失明中、完全な暗闇での行動など −4 困難な状況 水中、予期せぬ状況への対応、転倒中の行動。利き手と逆の手での行動や近視などの身体的弱点など −2 やや困難な状況 視界や足場が悪い、姿勢が不安定など +2 やや有利な状況 簡単な道具を使用している場合など +4 有利な状況 何か1つの行為に集中している場合など +6 かなり有利な状況 非常に優れた道具を使用している場合など
○対抗判定
相手がいるような場合の判定を対抗判定といいます。たとえば短距離走や腕相撲などのように、2人あるいはそれ以上が同時に同じことを試みるような行為、または攻撃と回避のように、能動側(行為を働きかける側)と受動側(行為を受ける側)にわかれるような行為などの全てが、この対抗判定に含まれます。
対抗判定の方法は、それぞれが行為判定を行なって、その達成値を比較する(成功判定を行う)というものです。これは、達成値が高い方が成功(勝利)したということになります。双方の達成値が全く同じならば、引き分けがある場合は引き分け、能動側と受動側に分かれる行為では受動側の勝利ということになります。
○成功値
行為判定の結果が難易度に対してどれだけ成功をおさめたか、あるいは失敗したのかを表わすために、成功値というものが設けられています。成功値は達成値から難易度を引いた値になります。行為の最終的な成功は達成値が難易度以上になった時ですから、成功値が0以上の時は行為が成功、−1以下の時は失敗ということになります。これは対抗判定の時も同じです。それぞれの達成値の差が成功値となります。
◆成功値の目安
成功値 目安 −15 信じられない失敗。 −10 きわめてひどい失敗。 −6 かなりひどい失敗。 −3 ややひどい失敗。 −1 軽い失敗。 ±0 最低限の成功。 +1 軽い成功。 +3 やや素晴しい成功。 +6 素晴しい成功。 +10 きわめて素晴しい成功。 +15 奇跡的な成功。
○自動的/奇跡的成功
行為判定時において、サイコロの目の合計が判定値と同じだった場合、すなわち達成値の最大値が出た場合には、その判定は難易度がいくつであっても成功となります。これを自動的成功といいます。
ただし、自動的成功の場合でも成功値±0までにしかなりませんので、受動側(行為を受ける側)がそれ以上の達成値を出せば、抵抗判定や回避判定には成功することになります。
・奇跡的成功
願いと奇跡ルールの感情判定を適用した場合、自動的成功は奇跡的成功へとシフトします。奇跡的成功が出た場合、その行為は特に素晴らしい結果を残したことになります。また、この時には達成値にもボーナスを加えることができます。感情判定には特定の感情ベースを使用しますが、そのレベル分を達成値に足すことが可能となるのです。
奇跡的成功は自動的成功と同様、達成値が難易度を下回っていても行為は成功となります。このような場合でも、自動的成功の効果として成功値が±0となり、さらに奇跡的成功のボーナスとして感情レベルを加えることができます。
ただし、能動側と受動側に分かれる対抗判定の場合は、相手に奇跡的成功が出ても受動側に自動的成功が出れば成功値は±0になるので、奇跡的成功にも対抗することができます。
○自動的/致命的失敗
行為判定においてサイコロの目が全て1だった場合には、その判定は自動的に失敗となります。このような失敗を特別に自動的失敗といいます。これは判定値や難易度にはいっさい関係ありません。なお、自動的失敗の場合でも、行為は特にひどい結果となるわけではありません。普通に行為判定に失敗した時と同じように、達成値を0として扱います。
・致命的失敗
感情判定を行った場合に自動的失敗が出れば、それは致命的失敗へとシフトします。致命的失敗が出た時は、その行為は最悪の結果に終わります。忍び足をしていればバケツをひっくり返して大きな音を立てたり、戦闘では拳銃が暴発したり武器が手からすっぽ抜けたりと、さまざまなアクシデントを引き起こすこととなるのです。数値的な処理としては、達成値から使用した感情のレベルを引くこととなります。自動的失敗は達成値が0ですから、感情レベルにマイナスをつけた値になるということです。
○同時判定
1度に複数の行為判定をすることを同時判定といいます。たとえば、自分の化学の知識を生徒に正しく教え込むには、指導力という技能が必要です。この2つの行為はお互いを制限し合うものです。
同時判定の場合、振るサイコロの数は判定に用いる中で最も低い主能力値を適用します。そして、サイコロを振るのは1回だけとなります。これはたとえいくつの技能を用いる場合でも変わらず、その時のサイコロの出目でそれぞれの成否を判定します。また同様に、基準となる判定値も一番低い値のものを使用します。それ以外の処理は通常の判定と同じように行って下さい。
○補助技能
補助技能には術法変化技能、攻撃変化技能、射撃変化技能の3つの技能があり、これを用いることで術法、戦闘、射撃に関する行動のバリエーションを広げることができます。補助技能と組み合わせて使うことが出来る副技能のは決まっており、判定は対象技能を用いて行うことになります。
補助技能は特殊な扱いをする技能で、獲得してさえいれば特定の行為が可能となるものです。それ自体を判定に用いることはなく、判定を行う前に宣言をすれば、補助技能で規定されている行為を試みることが出来ます。
なお、補助技能を用いて行う判定の中には、使用時に何らかの修正を受けるものがありますが、これは対象技能に対して適用されます。
○支援判定
支援行動を選択した場合は、味方の行動を助けることが可能となります。たとえば、書物検索で分担作業を行ったり、交渉で味方をフォローするなどの場面で、支援行動を取ることが出来ます。ただし専門分野については、技能を持っていなければ支援を行うことは不可能です。
支援行動を行う場合、GMが指定した技能を用いて判定を行います。判定の方法は通常と同じですが、この場合の効果は成功した人数分だけ味方の判定値に+修正を与えるというもので、達成値は全く関係ありません。
支援判定は何人で行っても構いませんが、逆に支援判定で失敗した場合は、味方の邪魔をしたことになってしまい、使用したサイコロの個数分だけ、味方の判定値にマイナスの修正が加えられます。
○攪乱判定
攪乱行動を選択した場合は、次に行う相手の行動を邪魔することが出来ます。これは会話中にまくしたてたり、戦闘時の援護射撃などの場面で適用されます。ただし、精神抵抗および肉体抵抗に関しては、攪乱判定の効果は適用されません。
攪乱判定は支援判定と同じく、通常と同様の判定処理を行いますが、その際の達成値は問題とされません。相手は攪乱判定に成功した人数を難易度とした判断抵抗に成功すれば、この効果を無視することが出来ます。しかし、失敗した場合はその差分を、次の行動の判定値にマイナス修正として加算しなければなりません。
攪乱判定で失敗した場合は、逆に味方の邪魔をしたこととなり、味方の側に本来相手に加えるべきペナルティが適用されます。ただし、判断抵抗による抵抗を行うことは可能です。
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願いと奇跡
○感情判定
感情ベースを用いる判定を感情判定と呼びます。これを行うためには、行為判定の前に1種類の感情ベースを用いることを宣言し、感情ベースの内容定義を行います。
感情ベースには課題目標、個人要素、他者認識の3種類があります。プレイヤーは感情ベースの使用時に、これらの内容を詳しく定義する必要があり、それに見合った状況でのみ感情判定を使用することが出来ます。・数値処理
感情判定では、判定値か達成値のどちらかの数値を感情レベルの分だけ変動させることができます。感情レベルはプラスとマイナスのどちらにも使用することができます。ただし、判定値が1以下になるような使い方はできません。・0レベル
感情レベルは0レベルにも設定することが出来ますし、0レベルの感情ベースを用いて感情判定を行うことも出来ます。ただし、この場合は奇跡的成功と致命的失敗の効果が起こるだけで、判定値や達成値が変化するわけではありません。・判定回数
それぞれの感情ベースにつき、判定回数は[4−感情レベル]回となります。判定回数はゲームが終了すれば回復します。
なお、以前に内容定義した相手に限り、相手に判定回数を譲渡することが出来ます。ただし、相手と何らかの手段で意思の疎通を行うなど、感情を鼓舞するようなきっかけや接触が必要となります。
○奇跡的成功
感情判定の際に自動的成功が出た場合、それは奇跡的成功へとシフトします。奇跡的成功が出た場合、その行為は特に素晴らしい結果を残したことになります。非常に狭い学問分野の専門的知識を偶然聞きかじっていたり、遠くにあるコインを銃で撃ち抜くことができたりと、ほとんど不可能と思われる行為をも可能としてしまうのです。
奇跡的成功を残した場合は、使用した感情ベースのレベル分を達成値に足すことができます。奇跡的成功は自動的成功と同様、達成値が難易度を下回っていても行為は成功です。このような場合でも、まず自動的成功の効果として成功値が±0となり、さらに奇跡的成功のボーナスとして感情レベルを加えることが可能です。
なお、対抗判定で相手に奇跡的成功が出た場合でも、自動的成功が出ればそれに対抗することができます。自動的成功は成功値を±0とすることができますので、特に感情判定を用いる必要はないのです。この点については注意するようにして下さい。
奇跡的成功が起こった場合、奇跡ポイントを1点獲得することができます。
○致命的失敗
感情判定の際に自動的失敗が出た場合、それは致命的失敗へとシフトします。致命的失敗の場合は、その行為は最悪の結果に終わります。忍び足をしていればバケツをひっくり返して大きな音を立てたり、戦闘では拳銃が暴発したり武器が手からすっぽ抜けたりと、さまざまなアクシデントを引き起こすこととなるのです。
数値的な処理としては、達成値から使用した感情のレベルを引くこととなります。自動的失敗は達成値が0ですから、感情レベルにマイナスをつけた値になるということです。
致命的失敗が起こった場合は、破滅ポイントを1点獲得することができます。
○感情特性
感情判定が成功していた場合、定義内容は感情特性として保持されることになります。感情特性には使用した[感情レベル+1]レベルの特性レベルというものが設定されます。感情特性の数には制限はなく、設定した分だけ増えてゆくことになります。ただし、同じ定義内容で判定を行った場合は設定が増えることはなく、同じ感情特性として保持されます。
保持されている感情特性は、感情ベースと同じように感情判定に使用することが出来ます。ただし、新しく内容定義を行う場合とは異なり、判定に成功しても特性レベルは変化しません。・制限
1度定義した内容は、キャラクターの行動の妨げとなる場合があります。もし、定義内容に反するような行動を取った場合、GMは強制的に感情判定を行わせることが出来ます。この判定のことを強制判定といいます。強制判定は感情判定の残り回数に関係なく行わせることが可能です。これによって判定回数が変化することはありません。
強制判定時に限って、感情レベルは必ずマイナスの方向で使用しなければなりません。ただし、判定値と達成値のどちらに適用するかは、プレイヤーが自由に決定して構いません。その他のルール適用については、通常の感情判定時と何らかわりことはありません。・破棄
1CPを消費すれば、保持している感情特性を破棄することが出来ます。
○奇跡の発動
強い願いがあれば、奇跡として術法を発動することができます。これは自分や仲間を救うために用いるためのものです。奇跡の発動に際しては、感情特性として内容を定義する必要があります。この時に定義された感情特性も、感情判定の際に獲得したものと同様の働きをします。なお、この場合は感情ベースを指定する必要はなく、自由に決めることが可能です。
奇跡を一度使うためには、奇跡ポイントを消費しなければなりません。発動できる術のレベルは、消費した奇跡ポイント以下のものに限られます。術の達成値は消費した奇跡ポイントと同じになります。ただし、これは奇跡的成功の一種として扱うので、抵抗するような力が働いている場合は、[難易度(あるいは相手の達成値)+術レベル]として下さい。
奇跡として術法を用いた場合は、距離、持続時間、効果範囲といった要素を完全に無視して構いません。ただし、実際にどのような効果を適用するかは、プレイヤーではなくGMが描写することになります。
○破滅の発動
奇跡の発動と対局に位置するのが破滅の発動です。破滅も術法として発動させることができ、使用条件も奇跡と同じとなりますが、これは自分を不利な状況にする方向でしか使用することができません。
奇跡の発動と大きく異なる点は、GMも好きな時にこれを発動させることができるということです。この場合でも、基本的な条件は全てプレイヤーが発動させる時と同じになります。ただし、GMが新たに内容定義を行うことは出来ませんので、感情特性として記録に残ることはありません。なお、消費するのは破滅を適用するキャラクターの破滅ポイントです。GM個人がポイントを保持しているわけではないので、この点には注意して下さい。
○相殺効果
奇跡と破滅はお互いを打ち消し合う効果を持ちます。自分、もしくは誰かに起こる奇跡や破滅は、その反対のもので無効化することができるのです。これは奇跡ポイントと破滅ポイントの消費によって行われます。破滅が発動した時には、奇跡ポイントを同じ分だけ消費することで、これをなかったものとすることができます。逆に奇跡の発動は破滅ポイントで押さえ込むことが可能です。なお、感情ポイントを消費する必要はありません。この打ち消し行動は他人に対しても行うことができます。他のキャラクターの破滅が発動した時に、自分の奇跡ポイントを消費してこれを救うことができます。
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