宗教機関
○資格
宗教機関で術法を教えてもらえるのは、神徒や神官などの組織に属している者に限られます。その中でも素質のある者、あるいは教会内での評価が高い者だけが習得を許されます。平信者はここで教えてもらうことはできません。これは、いずれの宗教機関でも同じです。
○術の習得
習得できる術はそれぞれの宗教組織によって変わりますし、規模によっては所持していない系統も存在するでしょう。1つの国家を単位として考えると、だいたいの系統は揃っているものとして構いませんが、中に含まれている術については、所持していない場合も多々あります。
地位の低いうちはあまり高レベルのものは教えて貰えません。通常、神徒クラスの階級にある者は、教えてもらえたとしても1系統までで、習得制限は○のものしか習得できません。神官などの正式な階級の者でも、せいぜい3系統ほどになります。また、術によっては高位の階級にある者か、特別に選ばれた者しか教えてもらえないものも存在します。
○使用制限
術の使用については、基本的に各聖職者の判断に任されます。しかし、苦難は乗り越えなければならない神の試練でもあり、人々が力を合わせてそれを解決することが、推奨される人の在り方とされます。そのため、神の奇跡はそう簡単には発動させたりしませんし、それが教義に反する場合は何らかの処罰を受ける可能性はあります。ただし、儀式などで使用する場面が義務づけられている場合は、必ず使用しなければなりません。
○術の教授
術の教授が許されるのは、宗教機関から許された者だけとなります。教える側の階級は神官クラスより上であれば、特に制限されることはありません。しかし、誰に何の術を教えるかということについては、宗教組織の指示に従わなければなりません。
術法は神から授かった奇跡であり、いずれの宗教機関でも非常に重要視されています。そのため、位の高い聖職者といえども、軽々しく取り扱ってよいものではないのです。
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術法協会
○資格
宗教機関以外で術法を管理している組織に、術法協会というものがあります。術法協会が経営する学校や、この協会に属する術法師が個々に開いている魔法屋でも術法を習得できますが、必ず術法協会の会員とならなければなりません。
・登録条件
一般の協会術法師は、協会に登録しさえすればなることができます。ただし、身元が明らかである必要があり、地域によっては信用ある人間からの紹介がいる場合もあります。また、社会的な制約から15歳以上でなければ術を教えてはいけないことになっています。・登録料金
協会への初回登録料は10万エランで、それから月に1万エランの更新料が必要となります。これは協会術法師の居場所をチェックする意味もあるので、特別な理由がなければまとめて支払うことは許されません。・更新
1年間連続で更新手続きが行われなかった場合は登録が抹消され、改めて登録しなければ協会術法師として活動できなくなります。協会に登録してさえいれば、組織の保護を受けて活動することができます。存在する国家を制限されることはありませんし、料金を払い直す必要もありません。
○術の習得
基本的な条件は、術法協会の支部でも魔法屋でも変わりはありません。
・料金
術を習得するには、登録費とは別に謝礼を支払う必要があります。まず、系統の基礎を習うのに5万エランを支払う必要があります。それから個別に術に関しても、通常は最低でも術のレベル×3万エランの料金がかかります。これは土地や物価、あるいは術の有用性によって多少変動します。都市などの物価の高い場所では、レベル×5万エランほどの料金が必要である場合もあります。なお、将来的に術法協会の職員として働くという契約を交わした場合は、無料で術を教授して貰える可能性もあります。ただし、それは才能がある場合に限られますし、協会の信頼を得ていなけれなりません。
術法協会は非常に多数の系統を所持している組織です。しかし、1つの支部が全ての術を保持しているわけではありませんし、土地によっては支部が存在しない場合もあるでしょう。また、魔法屋は個人が経営していることが多いので、選択できる術は教授する側の実力次第となります。
○術の教授
・免許
術法協会の会員が誰かに術を教えるためには、術法の教授資格免許を得なければなりません。特に教育課程に制約はありませんが、最低でも何らかの術法と魔術学を習得している必要があります。資格は試験を受けて取得するもので、適性(倫理観や性格など)を問う内容も含まれています。
免許の交付には50万エランが必要です。また、これは毎年更新しなければならず、これには20万エランの費用がかかります。ただし、協会の職員として働いている場合は、これらの費用は免除されます。・報告の義務
術を教授した者は、誰に何の術を教えたのかを協会に報告する義務があります。また、教えた術が犯罪に利用された場合は、教えた側にも責任が及びます。特に情報や治癒に関わる術は教授を制限されていますが、それ以外にも教え手が自主規制として術の教授を制限することがあります。
○行使制限
術法が神から授かった奇跡であるということは、社会的な常識となっています。術法協会でもその認識にはかわりなく、術法を習得する時にまず最初に教えられることでもあります。
術法協会は宗教機関から認められることで、正統な存在として活動しています。宗教機関には実質的な許認可の権限はないのですが、彼らが否定すれば社会的に非常に困難な立場に立たされることでしょう。そのため、術法協会は宗教機関寄りの組織として存在しており、特に聖母教会との関係には注意を払っています。
こういった理由から、術法協会では術を使用する第一の目的を社会への貢献としており、社会的倫理・道徳に触れるような使用法は厳しく禁じています。使用する場面は術者の判断に任されますが、それが正当とみなされない場合は、法のみならず協会の権限で処罰されることもあります。
○罰則
術法協会で厳しく制限されるのは、術の行使および教授の正当性と身元の証明です。この2つに反しない限りは、協会は会員をさまざまな場面で優遇してくれます。
しかし、組織を裏切る行為に対しては、会員であっても容赦はしません。もちろん、やむを得ない状況にあった場合は、それをきちんと考慮してくれますし、場合によっては法的な処罰に対しても弁護を申し出ることもあります。術法協会はあくまでも術法師の互助会であり、味方となってくれる存在なのです。とはいえ、悪意をもって術法を犯罪に利用した者や、規則違反と知っていながら故意にそれを隠匿しようとした場合には、何らかの罰が下されます。
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職業術法師
術法協会に所属しているわけではありませんが、宗教機関から認められている術法師たちが存在します。通常は術法協会に所属している協会術法師たちと合わせて、職業術法師と呼んでいます。これら職業術法師たちは、それぞれ独自に術を継承し、後進を育成しています。
彼らが何か社会に対して悪影響を及ぼした場合は、それぞれが所属する組織や師匠とその一門が責任をもって処罰するのが通例です。それが犯罪であった場合は、術法協会や警察と協力して、犯人を逮捕することもあります。しかし、職業術法師たちは人々に尊敬される存在であり、犯罪を起こすことは皆無といってよいくらいです。
○呪医
回復系の術法によって傷病を癒す職業で、職業術法師の中でも最大の尊敬を受けています。医師として科学的な知識を身につけている者もいますが、どちらかといえば民間医療的な色が濃いようです。
呪医になるには、誰か師匠のもとについて修行しなければなりません。しかし、呪医というのは数の少ない職業ですから、何よりもまず呪医に出会えるかどうかが問題となります。また、1人で系統の全てを習得しているということもありません。
○夢使い
ルクレイドで起こる夢魔現象の被害者を救うために生まれたのが、この夢使いという職業です。精神治療のエキスパートとして尊敬を受けています。
夢使いは準公務員という立場で国家の保護を受けて活動しています。彼らは独自の協会をつくっており、仕事の分担や人材育成などを行います。協会は夢使いの教育の場でもあり、授業のような形態で生徒に基礎を教え、それから各師匠のもとで修行をつむことになります。夢系の術法に関しては、全ての術を協会全体で所持しています。ただし、攻撃的な術に関しては、地位の高い人物にしか継承されません。
○人形使い
人形系の術法を行使し、人と見紛うばかりの人形をつくり出すのが、この人形使いと呼ばれる術法師です。人形職人としても高い評価を受けている者が多いようです。
人形使いたちは、特定の組織をつくっているわけではありません。師匠と弟子の間で、細々と所持している術を継承してゆきます。術を習得するには、まず人形師としての実力が認められなければなりません。術法の才能だけあっても、決して人形使いにはなれないのです。
○獣使い
生物系の術法を駆使し、他生物を制御したり調教したりする職業です。獣狩りとして働く者もいるようです。獣使いになるためには、誰かのもとに弟子入りしなければなりません。多くは家族や特定の部族でその技を継承してゆくもので、ほとんどは生まれで決定すると考えてよいでしょう。余所者に教えることを嫌う傾向もあります。
獣使いたちは他の社会や集団に入り込んで仕事をすることが多く、活動形態もそれぞれ違います。そのため彼らの動向を監視する団体は、存在しないといってもよいでしょう。しかし、彼らは自分の仕事に誇りをもっているので、犯罪などを起こすことはまずあり得ません。また、あえて術法協会に登録する者も存在するようです。
生物系の術に関していえば、獣使いの1つの集団で考えると、ほとんど全ての術を所持していると考えて構いません。しかし獣化系の使い手は、現在ではほとんど確認されておりませんので、これを習得する場合はGMと相談するようにして下さい。
○香水師
調香師の間に伝わる香水系術法を使う者たちです。主に香りを用いた精神治療に携わる者が多いようです。
香水師になるためには、誰か師匠のもとで修行をする必要があります。最初から香水師のもとで働くこともあるでしょうが、多くは普通の調香師として技術と知識を身につけ、その上で弟子入りをします。調香師として認められなければ、術法を継承する資格はないとみなされるわけです。なお、1人の人間が系統を極めていることは少なく、師匠と弟子の間で習得している術を細々と継承してゆきます。
○鏡界士
ルワール大公国で起こる鏡の檻現象に関するエキスパートです。ルワールでは、政府が鏡界士の生活を保障しています。
鏡界士になるためには、誰かのもとに弟子入りしなければなりません。修行を積んだ後に師匠から認められれば、鏡界士として働くことができるのです。師匠の推薦がなければ鏡界士として国家に登録されることはありません。
鏡界士は師匠とその一門で術を継承します。1つの集団では、だいたいの術を所持していると考えて構いません。しかし、どの術を教えるかは師匠次第となります。
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犯罪組織
○位置づけ
裏組合と暗殺ギルドでは、犯罪のための術を組織の構成員に教授することがあります。彼らは社会に完全に敵対する異端の術法師であり、撲滅のためには術法協会は警察への協力を惜しみません。というのは、これらが所持する術は、術法協会の元会員が裏社会へと持ち込んだものという噂があるからです。しかし、盗賊系や隠身系などの独自の術も存在するため、正確なところは明らかではありません。
○資格
それぞれの組織に属している必要があります。犯罪者の組織というのは実は結束が強く、一員として認めてもらうことも困難ですが、引退以外の理由で組織を抜けることはもっと困難です。特に、術を教授してもらった人間が組織を抜けるのは、殆ど不可能といってよいでしょう。仮に存在するとしても、他の構成員に対する見せしめなどの理由で、ほぼ間違いなく命を狙われることになります。GMもこのような設定は、どうしてもセッションに必要でない限り認めてはなりません。裏の世界の住人といえども、何よりも信頼関係が重要だということをよく覚えておいて下さい。
○術の習得
組織に属してさえいれば、基本的には料金を支払えば術は教えてもらうことができます。しかし、術法を所持している犯罪組織は決して多くはありません。特に科学が進歩している国家やギャングの勢力が強い場所では、術をまったく継承していないことの方が普通です。
これらの組織で術を習得するにはGMの許可が必要です。継承しているかどうかも、GMの判断で決定して下さい。
○術の教授
術の教授は、組織で術を管理する者が行います。組織に許可されている者でなければ、勝手に術を教授してはいけません。仮に無断で術を教えていることが発覚すれば、厳しい処罰が下されます。
○罰則
犯罪組織は裏切りを決して許しません。そのような行為に及んだ構成員は総力を挙げて捕獲し、組織の掟に従って罰を与えます。また、あまりに目立つ行動を取った場合は、警察のみならず術法協会を敵に回すことになります。そのため、行き過ぎた行動には注意を与え、それを無視した場合にはやはり何らかの罰を与えることになります。
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民間
○位置づけ
術法協会などの組織とは別に、個人や民族といった単位で術法を教えていることもあります。社会に害を与える存在でなければ、それほどあからさまに忌避されることはありませんが、宗教組織に認められているわけではないので、位置づけとしては異端の術法師ということになります。ですから、その立場は非常に危ういもので、術法の行使には細心の注意を払う必要があるでしょう。田舎では何もしていなくても、偏見の目で見られることもあります。
また、術法を悪用して犯罪を試みた場合は、一般社会や宗教機関のみならず、あらゆる術法師を敵に回したものとみなされます。積極的にこれらを保護する者もおらず、たとえ私刑を加えたとしても、法を執行する機関があえて見逃す場合も少なくありません。
○資格
普通は誰かのもとへと弟子入りしなければなりません。ほとんどは無料で教えてもらえるでしょうが、労働などでそれなりの代価を払わなければならず、かなりの時間的制約を受けることでしょう。ただし、家族に術法師がいる場合は、何の問題もなく教えてもらえるはずです。
それから、特に意識しないまま術法を習得しているということもまれにあります。古来より伝わるまじないや祈りの言葉などに織り込まれていることが多く、これには金銭的な取り引きや辛い勉学などを強いられることはありません。このような場合は、本人でさえ術法を使用していることを意識していないのが普通です。
○術の習得
民間で継承されている術法を習得する場合は、必ずGMの許可を得なければなりません。許可を得た場合でも、周囲の環境や術が継承されている理由づけ、それから習得できる系統や術のすべてを、GMと協議の上で決定しなければなりません。
○術の教授
プレイヤーは術の教授においても、GMの指示に従う必要があります。民間の異端術法師の多くは魔術学を学んでいないので、術を教授するための基礎がありません。身振り手振りで教えることも可能ですが、非常に時間がかかるために諦める者がほとんどです。GMの判断でできなかったものとしても構いません。
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