概要
渡航者組合は各地を回る旅人の身元の保証などを請け負う組合で、大道芸人やサーカス芸人、それから巡礼者や傭兵などが登録していることもあります。冒険者組合のように比較的緩い形態の組織であり、宿や酒場の協力で成り立っています。修道院に集中していた巡礼客を獲得するためにつくられたという経緯があり、宗教機関とも繋がりが深いようです。
・繋がり
渡航者組合は多くの職業組合と手を結んでいます。傭兵組合、冒険者組合、術法協会、その他の職業組合などが加盟しています。巡礼目的の渡航者に限っては、宗教機関も組合加入者の身元保証を行います。・活動単位
組合は基本的に、各国家に存在する州単位で1つの団体として存在します。それから、県や都市といった地域ごとのグループに分かれ、地域の代表が加入者(店)を管理することになっています。この加入者のことを、一般に渡航保証人と呼びます。
○身元保証
渡航者組合による身元の保証は、メンバーが渡航保証人が所属する地域にいる間だけのものとなります。メンバーはある地域を出る時に判をもらい、それを違う地域に入る時の仮の身分証明書とすることができます。そして、違う地域に入った時は、その土地の渡航保証人の判をもらい、そこでの身元を保証してもらうことができます。ただし、それは地域ごとの保証となり、その地域を一歩でも外に出た場合は保証の限りではありません。違う地域に入る時の身元確認のための書類とはなっても、それに対しての責任は生じません。また、判を押した渡航保証人以外の者は、地域の代表であっても一切の責任を負う必要はないのです。
この制度は渡航保証人にとっては非常にリスクが大きいものですが、それなりのメリットがあります。まず、メンバーの加入および更新手続きの手数料を、地域の渡航保証人の頭割りで受け取ることができます。多くは小さな宿の主人が渡航保証人となりますが、メンバーは必ずそこに泊まらなければならないという約束事がありますし、渡航保証人が斡旋人であれば、その知り合いのアパートなどに住居を定めなければなりません。・義務
7日以上違う場所に泊まる場合、メンバーは保証人に報告する義務を負うことになります。連絡がない時は、保証人はメンバーの身許を保証する義務が無くなります。犯罪に巻き込まれても身元の保証はしてくれませんし、逆に知る限りの一切の情報を警察機構に引き渡します。意図的に組合を裏切り、信用を落としたと判断される場合は、組合のメンバー全員に手配書が回ることになります。メンバーも組合が潰れると困ることになりますので、積極的に情報を提供のが普通です。・身柄の拘束
なお、故意ではなかったとしても、渡航保証人に多額の被害を負わせた場合は、渡航保証人に身柄を拘束する権利が与えられます。その場合は、損害賠償を済ませるまでは渡航保証人が所属する地域から外に出ることはできませんし、指定した仕事を優先的に引き受ける義務を負います。また、渡航保証人から組合脱退の要請があった場合、絶対にこれを承諾しなければなりません。別の土地の代表にも連絡が届くので、これ以後は組合から一切の保証が得られないことになります。・保証の範囲
渡航者組合の身元保証は法的な根拠があるわけでなく、あくまでも地域の信用の上に成り立つ制度です。そのため、これで金融機関から資金を貸してもらえるわけではありませんし、連帯保証人のように負債を肩代わりしてもらえるわけでもありません。しかし、多くの国家ではこれが渡航の際の身元保証として成立しています。
ただし、ライヒスデールとユノス、エストルーク、および内乱やそれに近い状態にある国家では、それなりに審査は厳しいようです。これらの国家へ入国する場合は、渡航者組合に申請するための保証人が必要です。これはそれぞれの職業組合や教会などの信用のある団体、あるいはそれなりに身分の高い人の推薦状を添えて手続きを行わなければなりません。
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入会
最初に渡航者組合への登録を行う場合は、必ず1つの地域に保証人あるいは保証団体を置かなければなりません。これはその地域に住んでいる者に限られ、多くは親や職業組合がなります。ただし戸籍がある場合は、それを保証人の代わりとすることができます。
加入の可否は地域の代表の判断に任されます。加入が認められたメンバーにはパスが発行され、それに渡航保証人の判が押されてゆくことになります。パスは1年ごとに更新する必要があります。・費用
渡航者組合への初期入会費は20万エランです。更新は1年毎に行い、更新費用とパスの発行手数料として10万エランを納めなければなりません。ただし、入会者が特定の職業組合に所属している場合、初期入会費が半額になります。なお、これには冒険者組合や傭兵組合のような、緩い繋がりによって成り立つ団体は含まれません。
また、宗教機関から認められた巡礼者の場合は、初期手数料が1万エランとなり、契約期間も1か月単位となります。また、最初の登録から1年以内であれば手数料は無料で更新でき、月毎に1万エラン納めるだけで済むことになります。ただし、身柄の保証は宗教機関が行うことになり、止まる場所も巡礼宿に制限されます。・補償金
これとは別に、滞在している間はその地区の渡航保証人に、1月に1万エランの補償金を支払う必要があります。これは何も問題が起こらなければ次の場所へ移動する際に戻ってきますが、何か問題が起こった時は、渡航保証人に支払われる迷惑料となります。
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