ユナスフィール/概略

基本情報自然文化・生活人物・集団


 

基本情報


 正式名称はユナスフィール教国となり、聖母教会の総本山でもあります。最高位聖職者である大主教が国家代表を兼ねており、聖母教会が立法、行政、司法の全権を掌握するという宗教国家です。フォリル半島の突端にあり、全域の町村を合わせて国家として存在しておりますが、政府機能のほぼ全てが首都のアリア=ステアに集中しています。国家の収入は国内からの税と、各国の教会に集められた寄進の2つの財源があります。こういった財産は各国の貧しい人々の救済などに使われるので、都市の人々で寄進を躊躇する者はおりません。


・統治
 聖母教会の大主教が国家代表となります。現在はクリム=クァゾン(男/64歳)が全体を統括しています。

・貴族
 当初より貴族位は存在しません。

・首都
 聖母アリア教会のあるアリア=ステア市で、聖母教会の最も重要な聖地です。


○現況

 産業資本家の台頭や政教分離の思想が広まってきているため、近年では聖母教会の力はエルモア全域で弱まってきています。中でも霊子機関など発掘機械の利用を教会では認めていないため、人々の堕落が始まり新たなる不幸が生み出される状況を、深刻な間題として受けとめています。


○民族

 様々な人種、民族が入り混じっています。これは聖母教会が人種差別をしていないという証明なのですが、他国では神書の記述を理由に公然と差別を行っています。


○略史

 聖母アリアの最後の娘ユナスが死亡した土地で、最も古い歴史をもつ国でもあります。その成立は前聖暦846年まで遡り、1600年以上の歴史を持ちます。現在では人口5万程度の都市と、その周辺に位置する町や村を合わせて、ユナスフィール教国として存在しています。
 多くの国が聖母教会を国教としているため、他国から攻め入られたことは一切ありません。この国に手を出すことはエルモア中の聖母教徒を敵に回すことになるため、ラガン帝国のような他の宗教国家でさえ兵を出すことはなかったのです。そのため、現在でもアリア=ステアは建国以来の街並みを保ち続けています。


○現況

 産業資本家の台頭や政教分離の思想が広まってきているため、近年では聖母教会の力はエルモア全域で弱まってきています。霊子機関をはじめとする発掘機械の利用を教会では認めていないため、特に発展を望む地域での聖母教会離れは特に激しくなります。教会では人々の堕落が始まり新たなる不幸が生み出されるこの状況を、深刻な間題として受けとめています。
 この国では新しい科学技術を積極的に取り入れることがないため、非常に古いままの生活が営まれています。しかし、不便な部分は術法で補われますし、人々は苦難さえも試練として甘んじて受け入れるため、住民の不満はないようです。


○宗教

 聖母教会の総本山であり、首都アリア=ステアには『聖母アリア』教会が存在します。民衆は厳格な聖母教徒であり、非常に信心深い人たちです。


○科学・教育

 科学技術の水準は低いままですが、基本教育の普及については古くから尽力されており、小さな村でも初等教育を受けることが出来ます。これは辺境でも聖職者が移動教師として訪れるためで、農村の老人でも読み書きや四則演算は当たり前のように出来ます。初等学校では授業料はもとより施設利用費や教材費も無料となっており、貧しい人々にも等しく教育の機会が与えられています。


○産物

・農産物
 トウモロコシ、ひなたカボチャ、さつまいも、柑橘類

・その他
 真珠貝、蝋燭、ろうけつ染め


○交易

 アリアナ海を通じた貿易は古くから行われておりますが、あくまでも余剰生産物の交換という形での交易であり、積極的に利益を上げようというものではありません。


○交通

 陸上での主な交通手段は馬車となり、その他には船を用いた河川交通が中心となります。鉄道はいずれの地域でも用いられておらず、敷設が検討された経験もありません。


○国家関係

・友好国
 聖母教会を国教とする国家全般と友好的な関係を築いています。近年では教会と距離を置く国家も増えておりますが、これらが敵となる可能性は今のところありません。

・敵対国
 敵対というわけではありませんが、他宗教を信奉する国家とはあまり国交がありません。


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自然


○地勢

 フォリル半島の突端に存在し、北をルクレイド、その他をアリアナ海に面しています。国家中央部には低地と高地が集中しており、その周囲に平野が広がっています。平野部ではトウモロコシや柑橘類の栽培を中心とした農業が行われており、のどかな風景が一帯に広がっています。


○気候

 全土が温帯に属しており、典型的なアリアナ海型の気候となります。年間を通じて温暖で、夏期は高温乾燥、冬は温暖湿潤という環境です。5月頃から暑くなりはじめ、8月頃には気温が30度を上回る日が多くなりますが、乾燥しているので体感的な暑さはそれほどでもありません。夏の間は降雨があまり見られませんが、全体に水量が豊富で中央高地からは湧き水も出ているため、渇水となる心配は殆どありません。


○変異現象

 聖母教会の力により変異はほぼ完全に掃討されています。カーカバートと並んで、変異の起こらない平和な土地です。


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文化・生活


 この国の人々は何より敬虔な教徒として知られており、聖母教会の教義に則った生活を行っております。彼らの性質は善人の一語に尽き、常に他人のことを考えて行動します。


○宗教

 アリア=ステアの中心には聖母アリア教会があり、都市周辺に住む人々はまずこの鐘の音で目を覚まします。そして祈りの歌が響きわたり、信者たちは教会へ祈りを捧げます。この祈りは食事の前と朝昼夜に捧げられます。
 都市は1年を通じて巡礼者で賑わっています。巡礼者は修道院や巡礼宿という施設を中継宿として、聖母アリア教会を目指します。都市では使徒をモチーフとしたタペストリーやペンダント、陶器などが売られており、貴重な観光収入となっています。特に聖母アリアの誕生祭である6月13日、そしてユナスの降臨祭8月1日には、各国から巡礼者が訪れ、都市の人口は何倍にも膨らみます。


○食べ物

 穀物を主体とした、非常に質素な食生活を送っています。タンパク源となるのは主に魚介類で、肉食はあまり好まれないようです。
 主食はトルテポルカットという薄焼きパンで、原料はトウモロコシです。これは鉄板の型にトウモロコシとミルクを混ぜたものを挟み、少し焦げ目がつくくらいに焼いたもので、これで野菜を巻いたりスープにつけて食べたりします。
 この国の特産物として知られるのがひなたカボチャというもので、普通のカボチャに比べて甘みが少なく煮くずれもしにくいので、様々な料理に使われます。揚げ物にしたり、炒めて魚に添えて出されたりすることが多いようです。


○蝋燭

 ルクレイドとの国境付近にあるリンリックという町は、ロウソクノキ(蝋燭の木)というロウを出す樹の産地として知られています。ここでは様々な形の蝋燭がつくられており、秋には蝋燭祭という祭が開かれます。
 
・ろうけつ染め
 リンリックはろうけつ染めでも有名で、ロウのひびに染まった美しい模様で彩られた織物は、お土産品としても人気があります。


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人物・集団


○組織・集団

・13星座の騎士
 聖母教会の秘蔵の神官戦士たちで、その強さは並ぶ者がないとさえ言われています。各国を放浪し、変異体の掃討にその力を振るっています。

・ロストビレッジ
 北部の山中に住む一族で、自らの存在をひた隠しにしています。かつては密偵の一族だったのではないかとの噂もありますが、正体どころか出会った人もほとんどおりません。ただ、この村の近くに踏み込んだ者には警告を発し、それを無視した者には死を与えるという不穏な噂だけが伝わっています。


○人物

・大主教クリム=クァゾン(男/64歳)
 歴代の大主教の中でも随一の変わり者として知られています。時折、身分を隠して市街に赴き、子供たちと遊んだりしているようです。

・聖賢者アスフィル(男/43歳)
 主教の1人であり、聖母アリア教会で大主教を補佐しています。その知識の深さではエルモアでも指折りの人物で、かつて神大学を主席で卒業したという経歴の持ち主です。

・セラ=レッテンドルン(男/33歳)
 3度の食事よりも噂話が好きという宿屋のマスターで、その騒々しさからミスター・フィンチと呼ばれています。アリア=ステアのゴシップが知りたければ、まず彼を訪ねてみることです。しかし、本当に知りたいことの何倍もの無駄話につきあわされることになるでしょう。


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