操作方法
機械の操作や操縦に関する技能はいくつかありますが、主に下に示す2種類になります。なお、判定値にはそれぞれの機械の扱い易さを示した修正値を加える必要があります。この修正値は操作性という数値で示されています。
○技能
機械を操作する場合は以下のような技能を用いて判定を行います。
・運転技術:機械操縦【各種】(専門:知+作業)
自動車や船舶など、さまざまな乗り物を自由に操るために使用する技能です。通常の操作には判定は必要ありませんが、悪路や天候不順、あるいは高速で正確に運転する必要がある場合などには、GMは適当な難易度を設定して判定させて下さい。
車両/船舶/重機械/機関車/飛行船/戦車/羽ばたき飛行機...etc.
・機械知識:機械操作【各種】(専門:知+記憶)
機械を動かすために用いる技能です。特別に難しい作業を必要としない場合は、個別の技能として習得する必要はありません。
蒸気機関/紡績機械/ポンプ...etc.
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動力機関
○種類
この世界では水力や蒸気といった昔ながらの動力機関の他に、『霊子』(エーテル)というエネルギーを利用した動力機関があります。これを一般に『霊子機関』(エーテルリアクター)と呼びます。
水車や蒸気機関などの動力機関は、使用できる場所が制限されたり、煤煙を吐き出すといったデメリットがあります。逆に霊子機関は熱や煤煙を出さないという利点があり、冷却装置も必要ないため非常に小型です。ただし、燃料が高価であるため、蒸気機関とは用途を分けて利用されているのが現状です。霊子機関が搭載されるのは、主に動力機関の小型化が望まれる乗用機械です。特にオートバイや飛行船といった乗り物では、殆ど霊子機関が使用されています。
○霊子エネルギー
霊子機関を動かすためには、霊子と呼ばれる特殊なエネルギーが必要です。このエネルギー量を表わすために使われるのが『エネルギーポイント』(EP)という単位で、100kgの物体を100km運搬するのに等しい力を持ちます。
○運用方法
霊子機関は作製には特殊な知識が必要とされますが、運用は非常に簡単です。一方、蒸気機関の運用には特別な知識と技術を持った機関士がいなければなりません。蒸気機関の操作には以下の専門知識が必要となります。ただし、これは高圧のものに限り、低圧の蒸気機関はそれほど危険はありません。一般人でも容易に扱うことができます。
・機械知識:機械操作【蒸気機関】(専門:知+記憶)
蒸気機関を適正な条件で運用するための知識と技術です。高い圧力がかかる蒸気機関の運用には危険が伴うため、必ずこの技能をもった人間が操作する必要があります。また、この技能がなければ、石炭を無駄に消費してしまうことになります。
通常の運転には判定は必要ありませんが、不適切な条件のもとで運用している際には、安全な状態に戻すための判定を行う必要があります。GMは適当な難易度を設定して下さい。
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取り扱い知識
機械の運転操作については、前提となる知識なしでも行うことが出来ます。しかし、設計や整備をきちんと行うためには、学問としての知識を身につける必要があります。
○基礎的な知識
機械の基本的な仕組みを理解するには、教育知識を身につけていなければなりません。機械学や専門的な物理知識などの技能は、これらを学んだ上で初めて身につけることができます。
エルモア地方では初等教育は授業料無償で受けることができるので、通常のキャラクターは全て基礎教育は受けているものとします。ただし、奴隷や辺境で生まれ育ったキャラクターの場合は、専門分野として扱われる場合があります。
・基礎知識(一般:知+記憶)
初等学校で学ぶ程度の一般的な知識です。梃子や歯車といった単純な機械や、蒸気機関の基礎的な原理などを理解できます。
・教育知識:理学系知識【各種】(専門:知+記憶)
中等学校や高等学校、あるいは専門学校などで身につける少し高度な一般知識で、それぞれの専門分野を基礎習得していれば判断することが出来ます。
この判定によって基礎的な物理や化学を理解することが可能となります。たとえば蒸気機関の詳しい作動原理や車両の動力伝達機構、それからエネルギーの概念や霊子機関の基礎的な仕組みについて知ることができます。
○専門的な知識
機械を取り扱うためには、記憶技能に属する機械知識と作業技能に属する機械作業の専門分野を身につける必要があります。基本的にこれらの技能は、専門学校や高等学校以上の学術機関で教えるものです。独学でも身につけられないことはありませんが、その場合は非常に苦労することでしょう。
・機械知識:機械学【各種】(専門:知+記憶)
機械学とはその機械を取り扱うために必要な知識です。それぞれの機械の原理、構造から設計までを含んだ総合的な学問知識となり、専門学校や大学校などで学ぶことができます。
この専門分野を習得していれば、機械が故障している場合にその原因を判断したり、機械の改良や設計を行うことが可能です。ただし、扱うことができるのはそれぞれの機械分野に限定され、複数の種類を扱うためには個別に習得する必要があります。
・機械作業:機械整備【各種】(専門:知/技+作業)
機械の修理や整備、あるいは図面から機械を組み立てる場合に必要な技術です。判定に成功すれば、故障の個所を判断することも出来ます。この技術は蒸気機関や霊子機関、自動車、船舶などといった個々の機械分野ごとに習得する必要があります。なお、判定を行う際には何らかの工具を必要とします。
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故障と修理
機械は使い続けていれば、いつか故障する可能性があります。このことを表現するために、機械には耐久値というものが設けられています。耐久値には外殻耐久値と中枢耐久値の2種類があります。
○耐久値
・外殻耐久値
機体の外装や部分骨格など、機械の作動に大きく影響しないパーツへのダメージは、外殻耐久値の減少によってあらわされます。これはキャラクターでいえば活力に相当する数値で、外部から攻撃を受けた場合は、外殻耐久値から減少してゆくことになります。外殻耐久値は0までしか減少せず、それ以上のダメージを受けた場合は、中枢耐久値にダメージが与えられます。
なお、外殻耐久値が0になった場合、以降は装甲による防御値をデータの半分として扱わなければなりません。・中枢耐久値
機械の作動に関係する機関部や駆動部の耐久値で、キャラクターでいえば生命の値に相当する数値となります。中枢耐久値も0までしか減少せず、0になった時点で機械は完全に動かなくなってしまいます。
○ダメージ
・外部からの攻撃
機械に外部から直接的な打撃を加えられた場合には、耐久値を減少させなければなりません。外部が硬い素材で覆われている機械に打撃を加えることが出来るのは、基本的に効果分類が破壊となっている武器や爆薬だけとなります。ただし、破損する可能性があると考えられる機械に対しては、それ以外の武器での攻撃を認めても構いません。
機械へのダメージ処理は生物の場合と全く同じように行います。乗用機関のように打撃を回避する余地がある場合は、その機械の操縦判定の達成値と防御値の分だけダメージを減少させることができます。各々の判定で自動的成功/失敗が出た時も、キャラクターと同様に扱って下さい。ただし、機械は生物の場合と異なり、気絶判定や即死判定に相当する判定は存在しません。・作動部への直接攻撃
機体の内部から動作系統に直接を打撃を与えた場合は、外殻耐久値を無視して中枢耐久値へ直接ダメージが与えられます。また、外装がいくら硬くても落下による衝撃などを受けた場合は、作動部への直接打撃と見なして構いません。・作動条件によるダメージ
悪路を走行するなど、何か故障の原因になるような条件のもとで機械を使用する場合には、機械操縦や機械操作などの判定を行わなければなりません。この時、機械を操作するための判定で、GMが設定した難易度を上回る達成値が出なければ、中枢耐久値へ[難易度−達成値]のダメージを受けることになります。
○故障
機械には気絶や即死が存在しないかわり、中枢耐久値にダメージを1回受ける度に、自動的に動作に関する1つの要素(操作性、出力、切り替え部分など)に悪影響が及びます。故障の発生は1度のダメージにつき1箇所となり、故障箇所やその程度はGMが自由に決定して構いません。
故障が生じた場合は故障内容だけでなく、中枢耐久値に受けたダメージを一緒に記録しておいて下さい。たとえば、中枢耐久値に8ポイントのダメージを受けた時は、故障内容(8ポイント)という具合です。この故障を引き起こしたダメージを故障ダメージといいますが、これは修理の際の難易度になると同時に、耐久値が何ポイント回復すれば故障が直るのかの基準ともなります。
○修理
機械の故障を直す場合には、機械作業:機械整備(専門:知/技+作業)の判定に成功する必要があります。これは個々の機械ごとに違う技能として習得しなければなりません。また、修理に必要な工具や材料を予め用意しておく必要があります。
・故障判断
どの箇所が故障しているかを判断するためには、機械整備(専門:知+作業)の判定に成功する必要があります。・耐久値の回復
耐久値に受けているダメージを直す時は、新しい部品の購入が必要です。材料と修理器具を用意した後に修理の判定に成功すれば、達成値の分だけ耐久値を回復させることが可能です。どちらに何ポイント振り分けるかは、修理した者が自由に決めることができます。・故障部分の修復
中枢耐久値にダメージを受けて生じた故障は、耐久値を回復することで直すことが可能となります。回復した値が故障ダメージに達する度に、故障した機能が少しずつ回復してゆきます。
その場で応急的な処置を施す場合、1回の判定に成功すれば1つの影響を取り除くことが可能です。ただし、これはあくまでも応急処置であるため、耐久値そのものを回復させることは出来ませんし、時間が経てば自動的に元の故障した状態に戻ってしまいます。作業にかかる時間や元の状態に戻る条件や時間については、GMが任意に決定して構いません。・整備
特に故障となる原因がなくても、GMは適当な間隔で機械整備の判定を行わせても構いません。また、過酷な条件で動かした後にも整備が必要ですし、長く放置されていた機械を使用する場合にも同様です。
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発掘品
エルモア地方では、遺跡から先史文明(科学魔道時代)の遺産が発掘されることがあります。こういった発掘品のほとんどは何に使うのかわからない機械であり、今までで一般に普及した品は霊子機関だけです。
ですから、もし発掘品を見つけたとしても、それを使用することはほぼ不可能です。しかし、こういった物品にまったく意味がないわけではなく、他の考古学的な遺産と同様に非常に高値で売買されます。発掘品の買い取りを行っているのは、主に学問院や軍、あるいは大学などの研究機関です。古物商などがこれらの組織との仲介をしていることもあり、まれに発掘品を専門に扱う店もあります。
○技能
科学魔道時代の物品は、普通に調査しても理解できない品ばかりです。霊子物質で駆動するらしいということだけは判明していますが、それだけしかわからない状態なのです。実際に使ってみるにしても、それが確実に作動するとは限りませんし、危険が伴う可能性があります。しかし、以下の技能があれば、大雑把な判別だけは行うことが可能です。
・先史文明知識:科学魔道学(専門:知+記憶)
先史文明である科学魔道文明時代の技術に関する知識です。主に発掘した機械を解析するために用いられます。ただし、これは専門的であるにも関わらず殆ど何もわかっていない学問領域であり、この技能によって発掘した物品が何であるかを特定したり、正確な使用法を把握したりといったことはできません。かつて発掘された機械に似ているとか、あるいは大雑把な用途というものが判断できるだけに止まります。実際に利用するまでに至るには、10名以上の専門家が集まっても10年以上の時間はかかるでしょう。
・習得
通常、この技能は自由に習得することはできず、GMがシナリオ中で必要だと判断した場合のみに習得することができます。習得できるとしても、学問院や軍の最先端の研究室といった限定された場所だけであり、個人の努力でどうにかするのは殆ど不可能といってよいでしょう。・難易度
科学魔道学の判定の難易度は非常に高いものとなります。奇跡的成功を収めて、ようやくわずかな事実が類推できる程度です。ただし、誰かに科学魔道の知識を教えてもらい、それを理解するための判定を行うにもこの技能を使用できますので、習得していても決して無駄にはならないはずです。
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