戦闘ラウンド
○ラウンドとフェイズ
戦いは戦闘ラウンドという単位で時間を区切って行なうことになります。1ラウンドは5秒であり、キャラクターはこの間に1回の移動と能動的行動、そして回数無制限の受動的行動を試みることができます。つまり、攻撃や術法などの能動行動は1度、回避や抵抗判定などは何度でも行なえるわけです。
・フェイズ
戦闘ラウンドは、移動フェイズと行動フェイズの2つの局面に分かれます。まず移動フェイズから戦闘の処理され、この間に各キャラクターは移動力から割り出される距離を移動することが出来ます。この後に行動フェイズへと移行し、攻撃や回避といった戦闘行動の処理を行うことになります。
○順番の決定
まず、戦闘ラウンドの最初に、全員が行う予定の行動を宣言します。能動的な行動の順番は、行為判定に使用する判定値が大きいキャラクターが優先されます。つまり、慣れている行動ほど素早く行えるということです。同じ値のものが複数いる場合は、使用するダイスの数が多いものから先に行動します。それも同じである場合は、全く同時に行動することになります。
・行動の中止
行為判定を行う前であれば、予定していた自分の行動を中止することができます。ただし、そのラウンドの能働行動はキャンセルすることになり、受動行動しか取ることができなくなります。・行動の変更
幾つかの特殊な行動については、それまでに能動行動を行っていなければ、途中で変更を試みることが可能となります。・待機
キャラクターが待機宣言をした場合は、そのラウンドの一番最後に行動することになります。どの行動を選択するかは、実際に行動する際に決定して構いません。・無行動
1つ前のラウンドに回避判定を含めて一切の行動を行わなかった場合、次の行動フェイズは判定値の大きさに関係なく、一番最初に行動することが出来ます。これは前のラウンドに行動を中止した場合にも適用されます。なお、複数人が何も行動していなかった時は、通常と同じく判定値が大きい順に行動を処理して下さい。
○移動フェイズ
移動フェイズの処理は同時に行われます。なお、これは能動行動には含まれませんので注意して下さい。
・通常移動
ラウンドの最初に[基本移動力×5]mの距離を移動してから、自分の行動の番に能動行動を1つ行うことが可能となります。・全力移動
全力移動を宣言した場合は、まず移動フェイズ時に[基本移動力×5]mの距離を移動し、行動フェイズの際に続けて[追加移動力×5]mの移動を行うことが可能となります。なお、最初に全力移動を宣言していない場合は、後から追加移動力を加えて移動することは出来ません。・術法
術法を発動させる場合は、[基本移動力×1]mの距離しか移動することが出来ません。・移動の阻害
地面がぬかるんでいたり障害物が存在する場合には、その程度に応じて移動距離が減少します。障害物の場合は、[基本移動力×5]mの距離しか進むことができません。
なお、足を滑らせたりする可能性がある場合には、運動技術による疾走の判定や、乗用機関の操縦技能での判定を行わせても構いません。
○能動行動
1ラウンドの行動フェイズの間に、キャラクターは各々1回ずつの能動行動を試みることが出来ます。以下に行動の例を示します。
・通常行動
自分の行動の順番に、攻撃など何らかの通常行動を行うことが出来ます。・全力移動
最初に全力移動を選択した場合は、行動フェイズ時に[追加移動力×5]mの移動が可能となります。これは次のラウンドまでに到達できる距離であり、それ以前に移動を阻害された場合は、その場所にとどまることになります。
また、回避判定を1回行う毎に追加移動力が1つずつ減少してゆきます。この他、移動に影響すると考えられる場合には、その他の抵抗判定によっても移動力を減少させて構いません。・武器準備
鞘などに収まった武器を準備し、使用できる状態にします。弾込めなどもこれに含まれます。順番を厳密に決める必要がある場合は、攻撃の判定値を基準として下さい。
なお、落ちている石を拾って投げたり、投擲武器をすぐ取り出せる場所にしまっておいた場合は、準備の時間を考える必要はありません。ただし、そのラウンドの攻撃には−4の修正を受けることになります。・武器交換
使っている武器を捨て、新しい武器を準備することができます。鞘などにしまってから新しい武器を取り出す場合は、さらに1ラウンドの時間が必要となります。・姿勢変更
転倒した状態から立ち上がったりするなど、姿勢を変更することができます。通常、転倒している間は、運動に関する行動に−4の修正を受けます。厳密に行動の順番を決める必要がある場合は、運動の値を判定値として扱って下さい。・術法
キャラクターは術法を行使することができます。なお、術法を発動する場合は、最初の移動時に[基本移動力×1]mの距離しか動くことは出来ません。・保護行動
相手の攻撃から誰かをかばうことが出来ます。
○受動行動
・回避判定
防御および反応抵抗の判定を行って、相手の攻撃を回避することができます。これは1ラウンド中に何度行っても構いませんが、攻撃が全く予期できない場合は回避を試みることは出来ません。・抵抗判定
術法や毒などに対して抵抗判定を行うことができます。抵抗判定は1ラウンド中に何度行っても構いませんし、精神抵抗や肉体抵抗の場合は相手の攻撃を認識している必要もありません。・回避専念
最初に回避判定に専念することを宣言した場合、そのラウンド中の回避判定に+3修正を得ることができます。そのかわり、攻撃やその他の能動的な行動をとることができなくなりますし、移動距離は[基本移動力×1]mまでに制限されます。・精神抵抗専念
ラウンドの最初に精神抵抗に専念することを宣言した場合には、キャラクターは判定に+3の修正を得ることができます。そのかわり、攻撃やその他の能動的な行動を取ることが出来なくなりますし、他の行動を行った時は集中が途切れ、その後は精神抵抗へのボーナスはなくなってしまいます。また、移動距離は[基本移動力×1]mまでに制限されます。
○その他
・会話
通常時と同じように会話することが出来ます。これは能動行動とは別に扱うもので、いつでも普通に試みることがことが出来ますが、時間や動きの激しさによって情報量は制限されてしまいます。戦闘行為を行っている者は、短い指示を送るのが精一杯となるでしょう。・自由行動
その他の全ての行動です。戦闘はラウンドという時間単位で区切られているだけであり、キャラクターは普通の状態と何ら変わりなく行動することができます。例に挙げられている以外の行動をとる場合もあるでしょうが、GMは常識の範囲内で判断すれば特に問題ないと思われます。
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攻撃判定
攻撃を行う時の行為判定を攻撃判定といい、戦闘は格闘や射撃などの攻撃技能の判定値を基準に行います。
○攻撃技能
攻撃の際の攻撃判定に用いる技能を攻撃技能と呼びます。攻撃技能は用いる武器や手段によって、格闘、近接武器、絡み付き武器、投擲技術などといった副技能に細分化されています。
なお、近接武器や絡み付き武器を扱う技能の中には、特殊武器【各種】という専門分野があります。これは非常に扱いにくい武器を使うためのものあり、それぞれの武器に対して個別に習得しなければなりません。攻撃技能には以下のような種類があります。○以降の部分には、その副技能が属する主技能の種類が書かれています。
◆攻撃技能
副技能名称 関連能力 分野 説明 ○運動技能 格闘 技/体 一般 パンチやキック、あるいはとっくみあいや締め技など、素手で行う格闘戦闘の技です。 近接武器 技/体 一般 近接武器を用いて戦闘を行う場合の判定です。刀剣、斧、棍棒などの武器を扱えます。 技 専門 特殊武器【各種】
特殊な近接武器で攻撃する場合に用います。個々の武器ごとに獲得しなければなりません。長柄武器 体 一般 槍や竿状武器などを用いて戦闘を行う場合の判定です。 絡み付き武器 技 一般 鞭や網など、相手に絡みつけて捕獲したりする武器を用いる技能です。 技 専門 特殊武器【各種】
特殊な捕獲武器で攻撃する際に用います。個々の武器ごとに獲得しなければなりません。投擲技術 技 一般 ナイフなどを投げて攻撃する際に使用します。 ○作業技能 弓矢射撃 技 一般 弓やクロスボウでの攻撃に使用します。 銃器操作 技 一般 拳銃や長銃での射撃に使用します。 ○記憶技能 火薬知識 知 専門 砲銃
大砲での攻撃に使用します。
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回避判定
○基本
回避を行う時の判定を回避判定といいます。これは攻撃をかわすための防御の技能と反応抵抗を用いて判定します。回避判定を行うためには、必ず相手の攻撃を何らかの手段で認識していなければなりません。
・防御
近接武器による攻撃を回避するための技能で、武器で受け止めたり受け流したりして身を防ぐものです。・反応抵抗
拳銃などの飛び道具による攻撃を反射的に回避するためのもので、飛び退いて攻撃を避ける場合に使用します。
○防具
回避判定には、それぞれに防具による修正を受けます。
・防御修正
防具のデータに防御修正と書いてある場合、防御にのみ修正値が加算されます。・回避修正
回避修正は防御と反応抵抗の双方に適用される修正値となります。基本的に鎧にのみ記載されるデータとなります。
○条件による修正
・認識
視界が不十分などの悪条件の下では、回避判定にマイナスの修正が与えられます。背後からの攻撃のように全く見えない条件では、攻撃されることが予測できても、−4程度の不利な修正を受けることになります。・体勢
体勢が不十分な場合、回避判定にはマイナスの修正を受けることになります。たとえば転倒している場合は−4修正といった具合になります。
○反応抵抗
反応抵抗は飛び道具による攻撃を回避するために用います。反応抵抗は飛び道具の射線上から離脱するためのものであり、銃口などが向けられた瞬間には、既に回避動作を行っているものと考えます。したがって、回避判定を試みるかどうかは、相手が攻撃判定を終える前に宣言しなければなりません。
・体勢
移動が不可能な状態では、反応抵抗による回避判定を試みることはできません。ただし、体の一部が束縛されているような場合でも、それ以外の部分の動きで回避できる可能性がある時は、−4程度の修正を与えて判定を行わせても構いません。・能動行動への影響
反応抵抗を試みたラウンドは、それ以後に行う能動行動を試みることは出来なくなります。もし、反応抵抗の前に能動行動を終えていた場合には、この処理は意味を持ちません。また、全力移動を行っていた場合には、追加移動力が1減少するのみとなります。
なお、攻撃判定が失敗している時は、反応抵抗の判定をいちいち行う必要はありませんが、この場合でも反応抵抗は既に行っていることになりますので、この後に能動行動を行うことは出来なくなります。能動行動を行うためには、必ず相手が攻撃判定を行う前に、反応抵抗を行わないことを宣言していなければなりません。・移動中
反応抵抗は移動の途中でも問題なく行うことができます。また、相手の存在を認識していなくても、全力疾走などの素早い移動を行っている時は、自動的に反応抵抗を行っているものとして処理しても構いません。
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戦闘の手順
実際の戦闘手順は一般の行為判定と同様の処理をすることになります。まず行動順番の早い者が、攻撃に関する技能を用いて行為判定を行います。判定に失敗すれば次の者が攻撃を行うことになります。成功した場合は振ったサイコロの出目を足して、達成値を算出します。
防御をする側は回避に関する副技能の判定値で、攻撃側の達成値を難易度とする対抗判定を行ないます。そして達成値を算出して、それが攻撃側の達成値以上ならば攻撃を回避したことになり、下回っていれば攻撃が命中したということになります。戦闘はこの手順を繰り返して行なわれることになります。
○戦闘の手順
最初に先攻側が攻撃をします。特に順番を遅らせるのでなければ、その時に用いる技能の判定値が最も大きい者から攻撃を行うことになります。サイコロをいくつか振って、その値が攻撃する技能の判定値以下だった時は攻撃成功、上回っているか自動的失敗(致命的失敗)であれば攻撃は命中しなかったことになります。
A.攻撃判定が成功した場合 1.攻撃側の達成値
攻撃側の達成値を算出します。 →2 2.回避側の達成値
回避側は攻撃側の達成値を目標として防御の判定を行い、達成値を決定します。飛び道具で攻撃された場合は反応抵抗を用いて回避判定を行います。 →3 3.達成値の差
成功値(双方の達成値の差)を算出します。 →4 4.ダメージの有無
攻撃側が上回っていた(成功値がプラスである)場合は、成功値に武器の打撃値を加えます。その値が相手に与えるダメージとなります。 →5 回避側の達成値が攻撃側の達成値以上(成功値が±0以上)だった場合は回避成功となり、回避側が攻撃する番になります。 →B 5.ダメージ
回避側は最終的な打撃値(成功値+武器の打撃値)から装備している防具の防御値を引き、その値を肉体耐久値から減少させます。防御値が最終的な打撃値を上回っていた時は負傷せずにすみます。 →B B.攻撃判定が失敗した場合 回避側が攻撃する番となります。 →A
以上のような手順で戦闘は続いてゆきます。複数で戦闘を行なう場合も同様です。攻撃に使用する副技能値の大きいキャラクターから行動を決定し、その次に早い者、更にその次……という順番で判定を繰り返してゆきます。
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効果武器
固定的なダメージを表わす数値を効果値といい、難易度とまったく同様の扱いを受けます。落下物や火、毒などによるダメージも効果値で表されます。ダメージの大きさが効果値で表わされるような武器を効果武器と呼び、普通の武器とはダメージの決定方法が少し異なります。
効果武器には爆発物や固定された罠(たとえばトラバサミや捲菱)などがあります。これらの武器はダメージが固定的であるため、通常の武器のようにダメージに攻撃判定時の達成値を加えたりすることはありません。
効果武器による攻撃では、戦闘技能以外の技能で攻撃や回避の判定をすることがあります。効果武器を用いた攻撃は、いかにして相手を武器に接触させたり、あるいは爆破などに巻き込むかが問題となるのです。そのためには、うまく罠を隠したり的確な場所に爆薬を仕掛けることが重要になります。これによるダメージを回避する場合にも、その武器ごとにさまざまな対処方法が考えられるでしょう。
たとえば追いかけてくる相手に捲菱などを撒いた場合、それを咄嗟にかわすことができるかどうかは、反応抵抗による回避判定を行うことになります。これが草むらなどに隠してあった場合には、観察力の副技能を反応抵抗の代わりに用います。相手が隠蔽技術の技能を用いてカモフラージュしていた場合は、その達成値を目標とした対抗判定を行うことになるわけです。また、罠の存在を警戒していた時は、捜索技術の技能で判定することもできるでしょう。いずれの場合にせよ、気づかなければそのまま捲菱を踏みつけてしまうことになりますが、これは効果武器を用いた攻撃ですので、ダメージそのものにはカモフラージュなどの達成値は一切関係しません。捲菱の効果値だけがダメージとして適用されます。
手榴弾のような爆発物では、まず投擲技術の技能で相手が投じた場所から逃げ出すために、反応抵抗による回避判定を行います。もしこれに失敗したら、効果値から反応抵抗の達成値を引いた分のダメージを受けます。しかし、地雷の場合は発見することが回避することになりますから、屋外罠などの発見のための技能を用いて、相手のカモフラージュを見破らなければなりません。
GMは状況に合った技能を指定して対抗判定をさせて下さい。もしプレイヤーが他の方法で回避したいと考えた場合は、それが妥当であれば他の技能で判定させて構いません。
○効果値と打撃値
通常、効果値によるダメージは、何らかの技能による対抗判定によって回避することが可能です。ただし、戦闘時には判定を簡便にするため、効果値を打撃値に上乗せすることができます。たとえば、炎のダメージは肉体抵抗で抵抗することができますが、燃えているたいまつなどで相手に殴りつける場合は、効果値をそのまま打撃値にプラスすることになります。
もし、通常武器による打撃がきかない相手でも、火が弱点である場合は、そのぶんだけダメージを与えることが可能です。この場合は、達成値や武器の打撃値の分はダメージに追加しません。判定は攻撃が命中したかどうかだけとなり、純粋に火による効果値の分だけが与えられるダメージとなります。
なお、服が燃えるなど火に包まれるような状況でなければ、これらの追加ダメージは防具によって減少させることが可能です。
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