神殿

区分構造


 

概略


○神殿子区

 聖母教会系の宗教と同じように、1つの神殿は区域を分担して宗教活動を行っています。マイエル教ではこのような区分けを神殿子区という単位で行っており、範囲は神殿の大きさによって変わります。セルセティアでは一般に、子区といえば神殿子区のことを指しています。基本的に、1つの神殿は数十〜数百名の信者を抱えており、区域内で信者が参加する神事全般を担当します。


○神殿の区分

 神殿は神が降りる神聖な場所とされています。神殿には2つの区分があり、神が実際に降りた場所に建てられたといわれる降神殿と、その分霊が降りてくる場所として建てられる、一般的な分霊殿に分けられます。降神殿は実際に神が住まう場所とされており、特に重要な信仰の拠点となります。
 ただし、マイエル教はもともと中央地方が発祥の地としており、主立った神々の降神殿は、結界の向こうの中央地方に取り残された状態となります。エルモア地方では、セルセティアのナランツィアという街にあるラハト派の大神殿が、夏の女神の降神殿とされています。それ以外の降神殿は、エルモア地方で生まれた万神たちが祀られている神殿となります。


○神殿子区組

 神殿の運営を補佐するためにつくられる信者たちの組織です。祭事の際に積極的に手伝いをしたり、寄付金を集める役となって聖職者を助けます。


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構造


 神の意識が降りてくる神殿は、神聖な空間として維持されなければなりません。そのため、神殿は外部から隔離された結界の1つとして設計されており、神殿長に許されるか儀式などの理由がなければ、高位の聖職者以外は神殿の中枢部に立ち入ることは許されません。


○表座殿

 一般の人々が自由に立ち入ることが出来る空間です。
 
・外部
 神殿は基本的に切り出した石を重ねてつくるもので、周囲は土塀で囲まれています。塀は神域と俗界とを分ける結界の1つであり、これを乗り越えるという行為は、穢れを神殿内に運ぶこととして忌み嫌われています。
 神殿の中に入るためには、普通は表門をくぐらなければなりません。門の上には主神の一族をあらわす六芒星の聖印が飾られており、不浄を清める役目を持っています。門の扉にも聖印が刻み込まれており、神殿内で重要な神事が行われる時は、門を全て閉じて穢れが入り込めないようにします。

・前宮庭
 門をくぐると、神殿の建物まで石畳が敷き詰められた道がまっすぐのびており、その周囲は木々が植えられた庭となっています。これを前宮庭といい、一般参拝客が自由に立ち入ることが出来る空間となります。門を入ってすぐの場所には手や足を清めるための水場が設置されており、参拝の前にはこれで穢れを清める必要があります。
 前宮庭を囲む壁の内側には、屋根付きの歩道が設置されており、壁には魔除けの神像が彫られていることがあります。屋根は何本もの円柱で支えられており、大きな神殿では柱にも神像が彫り込まれています。

・拝殿
 一般参拝客が訪れるのは拝殿と呼ばれる場所で、ここには分神体と呼ばれる神像が祀られています。分神は奥の建物に祀られる御神体の分身であり、神の魂の一部が宿るものとされています。一般に神像は石像や木像が多いのですが、時には金属製のものが祀られることもあります。小さな神殿では、紙に書かれた絵を分神体とすることもあるようです。
 拝殿は参拝と一般的な儀式を行うための空間で、奥にある分神体から参拝場所の間は3つの段で区切られています。一番低い段は参拝客用のもので、一般人が自由に立ち入ることが出来るのはここまでとなります。中段は神事を行う際に用いられる空間となっており、ここで巫女舞いや結婚式などが行われます。一番高い段は分神体が祀られている場所であり、聖職者でも滅多に立ち入ることは許されません。
 拝殿は切り妻型の屋根を持ち、たくさんの柱がこれを支えています。屋根は祈りを捧げる時の手の形をあらわしており、柱は信仰を支える感情を、柱の間は迷いや心の揺らぎを表現するものだと言われています。柱の隙間は薄い壁で覆われており、これには一枚ずつ扉がしつらえてあります。


○奥座殿

 奥座殿は常に神聖な状態に保たなければならず、聖職者以外は立ち入ることは出来ません。
 
・後宮庭
 神宮殿と呼ばれる本殿と拝殿を繋ぐ庭で、これは真ん中を1枚の塀で仕切られています。塀の真ん中には門がありますが、この奥にゆけるのは基本的に聖職者のみとなります。大きな神殿ではこの門を神武官が守っています。

・神務殿
 聖職者が仕事を行ったり寝泊まりする場所で、後宮庭の塀の向こう側に置かれています。執務所と生活の場は切り離されており、通常は2つ以上の建物に分けられています。

・神具殿
 儀式に用いる道具や衣装、飾り物などを保管する場所で、神務殿の近くに置かれています。

・本殿
 正式には神宮殿と呼ばれるもので、後宮庭の最も奥に位置する建物です。ここには御神体や神宝などが祀られており、神殿を預かる者の許可がなければ立ち入ることは許されません。通常は六角柱の建物になだらかな傾斜の屋根がつけられた形となっています。屋根の上には六芒星が刻まれており、中央には門と同様に聖印が飾られています。
 本殿の前には石製の神舞台が設置されており、ここで重要な神事が催されます。舞台は拝殿とよく似た構造となっていますが、柱の間は非常に広くつくられており、壁も設置されておりません。
 御神体は神の魂が宿るものとされており、非常に厳重に保管されています。重要な神事以外には扉が開かれることはなく、一般の聖職者でさえ滅多に目にすることは出来ません。なお、御神体は神像のようなものとは限らず、神木の枝や壺に封じた水などの場合もあります。


○その他

・墓所
 墓所は前宮庭の横の敷地につくられることが多く、2つの空間は門で区切られています。神殿によっては、完全に離れた敷地に設置されることもあります。

・神武殿
 神武官と呼ばれる武闘聖職者の修行所で、内部は石畳が敷き詰められた道場となっています。神武官はここで心身を鍛えるための修行に励みます。

・祠
 神殿ではなく祠に分神体が祀られることもあります。大抵の祠は拝殿と同じような作りとなっており、切り妻型の屋根で覆われています。


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区分構造