アンバランスド・ワールド-概説

はじめにシステム概説


 

はじめに


 アンバランスド・ワールド(U・W)とは、つぼみしゅんがつくった一連の世界の総称であり、時代や地域によってそれぞれ設定が大きく異なります。
 現在公開されているのはそのうちの1つ、「エルモア地方〜聖暦789年〜」のTRPGシステムです。とはいっても、まだ完全な形にはなっておらず、TRPG初心者の方には少しわかりにくいかもしれません。その点については、今後少しずつ改善してゆきたいと思います。

 さて、舞台となるエルモア地方ですが、これは我々の世界の産業革命の頃に近い雰囲気をもっています。いわゆるスチームパンクと呼ばれる世界です。ただし、霊子機関という発掘エンジンや術法と呼ばれる魔法が存在するため、文化的には違った面も多々あります。また、悪魔や精霊といった怪物も存在し、変異という万物を歪めてしまう奇妙な現象も起こります。
 混沌としたこの世界は、あらゆる意味で変化の渦の中にあります。エルモア地方の住人は様々な困難に出会い、たくさんの驚きと戸惑いを経験するでしょう。アンバランスド・ワールドは、そういった問題を解決してゆく過程を楽しむゲームです。解決のための手段もまた、社会状況と同じく多様なものが存在します。銃や機械といった科学の力もあれば、社会的な身分や権力を利用することもできます。お金や学問知識、そして魔法や奇跡の力といったものまであるのです。
 しかしこれらの手段は、間違った使い方をすれば誰かを不幸に陥れたり、時には犯罪となってしまうこともあるでしょう。それから、諸々の分野において変革期にある社会を、更なる混乱へと招いてしまう可能性も考えられます。あなたの行動はあなたが正しいと思うことに従って選択されるものです。しかし、それが何を生み出すのかは世界を抜きにしては語れません。

 あなたはこのエルモア地方の住人となり、何を見て、何を考え、そして何を行うのでしょうか? あなたの導き出した選択には、きっとこのアンバランスな世界が応えてくれるでしょう。
 

「スベテハシアワセノタメニ……そして世界は動き出す」


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システム概説


○シナリオと目的

 シナリオの課題となるのは何らかのハプニングを解決することです。それは生死に関わるような大きな事件かもしれませんし、日常的な騒動のレベルで済む場合もあります。しかし、全てに共通するのは、何者かが困っているという状況があることです。そして、問題を解決するという行為は、必ず誰かの幸せに繋がっているのです。U・Wのシステムでは、ゲームの評価はこの1点にかかっています。

 キャラクターが事件に関わるための理由は、金銭であったり情愛であったりと様々ありますが、これはゲームの評価とは必ずしも一致するものではありません。評価されるのは、いかにうまくトラブルを解決したかと、どれだけ多くの人を幸せに導くことができたかという2つの要素になります。注意すべきは、ゲームの目的はこの双方を満たすことであり、どちらか一方だけでは駄目だということです。この2つの要素というのは、前者が物理面での条件であり、後者は精神面での条件と考えてもらって構いません。
 幸せとは物理的に何かを得ることだけを意味するものではありません。目の前にある物理的な障害だけではなく、その先にある精神的な問題を解決してこそ、初めて相手は幸せになれるのです。この世界は今まさに大きな発展を遂げようとする時代にあります。しかし、科学の発展や新しい発見も、すべては人々の幸せがあってこそのものでしょう。アンバランスド・ワールドではこの点を常に意識した方が、よりこの世界にふさわしいシナリオをつくることができます。


○判定方法

 このゲームでは6面体のサイコロを使ってキャラクターの行為判定を行います。基本的なルールは、幾つかのサイコロを振って、出た目の合計が技能の判定値よりも低ければ成功というものです。しかし、この時のサイコロの合計値が高い方が、行為の成功度は高くなります。それから、判定値とサイコロの合計値が一緒であれば自動的成功、サイコロの目が全て1であれば自動的失敗という例外的な結果になります。
 このルールの特徴的な点は、サイコロを振る数をプレイヤーが選択できることでしょう。これにより、プレイヤーが自分の意志で(ある程度まで)成功の確率を調整することができます。これはゲーム的な駆け引きであると同時に、プレイヤーがキャラクターの心情を表現するための手助けともなります。ダイスの数を選択できるということは、手加減をできるということでもあります。また、プレイヤーが賭けに等しい選択をすれば、キャラクターもまた一か八かの行動に出ることになるのです。
 このようにアンバランスド・ワールドのルールでは、基本的な行為判定においてもプレイヤーの意志がキャラクターの行動に反映されるように設計されています。これはゲームの目的を果たすために、そしてキャラクター(あるいはプレイヤー)の意図を表現するためにきっと役だってくれることでしょう。


○願いと奇跡

 プレイヤーが扱うキャラクターは精神活動を行う人間です。その行動にはキャラクターの感情が強く関わることもあります。プレイヤーはそのキャラクターに特徴的な感情を設定し、それを行為の結果に反映させることができます。これは自分のキャラクターがどういう人間なのかを、他のゲーム参加者に理解してもらうためにも役立ちます。
 それから、この世界では強い願いが奇跡として作用することがあります。これはドラマ的な演出のために用いることもできますし、また、プレイヤー側からシナリオに干渉する手段としても役立ちます。しかし、このルールは必ずしも良い結果に終わるだけではありません。時には破滅的な結果を引き起こす可能性もあります。これはゲーム的なジレンマを生み、ゲームに適度な緊張感をもたらしてくれます。
 これらを扱う一連のルールは「願いと奇跡ルール」と呼ばれるもので、アンバランスド・ワールドの特徴の1つでもあります。セッションをより楽しくするために、ぜひご活用下さい。


○裏設定

 この世界はたくさんの謎に満ちており、プレイを重ねることで様々な隠された事実に触れることになるでしょう。これらの秘密はアンバランスド・ワールドのテーマと密接に関係しています。裏設定を導入するかどうかは選択ルールとなっていますが、これらを使うことでよりアンバランスド・ワールドらしいゲームを行うことができるでしょう。


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