概要
聖職者とは神徒以上の者を指す言葉で、その殆どは教区教会で働く者となります。法教会の場合はこれとは別に、裁判所や警察機関に出向して働く『神聖法官』や『聖堂騎士』といった特殊な立場の聖職者がおり、治安や人々の安全にも深く関わっています。
○教育期間
聖母教会と同様に、聖職者になるには教会組織に認められる必要があります。聖職者を目指す者は、継承教会と呼ばれる場所で、自給自足の生活を行いながら修行をします。継承教会で認められて叙階と呼ばれる儀式を受ければ、晴れて神徒として活動することが出来るようになります。
基本的な教育課程は聖母教会とだいたい同じ内容となります。ただ1つ異なるのは、必ず法律に関する知識を身につけなければならないことで、そのために他の宗教機関よりも、教育期間が1〜2年ほど長くなる傾向があります。
○収入
教区教会などの単位で経営を行い、それに見合った分担金が割り当てられ、それを各自の判断で使うことができます。国家機関に出向している者は、国家からも給料が支払われます。これは法的に認められる財産ですから、個人で所有しても咎められることはありません。ただし、自らの貯えとすることは殆どなく、余った分は教会に寄進したり、慈善事業に寄付するのが普通です。
○衣装
白を基調とした質素な衣装を身につけ、正十字の聖印を首から下げています。襟に階級を示す刺繍が施されている以外は、現実世界の神父や尼僧の格好とだいたい同じような格好となります。宗教的行事を執り行う場合は、白い長衣と模様のついた肩掛けをまといます。
なお、外部に出向して働く者は、その職場の人間と同じ服装をします。警察に勤める警務法官は地味な色の背広を着て働きますし、神聖法官の場合は法服をまとうことになります。ただし礼装をする場合は、普段は服の内側に隠している聖印を表に出しますし、礼服に法教会の階級を示す刺繍を入れます。
○結婚
聖職者の結婚は禁じられてはおりませんが、離婚は破門に該当する事項となります。なお、聖職者の地位は世襲ではありませんので、子供が跡を継ぐといったことはあり得ません。
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階級
聖母教会と法教会は根が同じであるため、各階級における名称は異なりますが、その内容はほとんど同じものです。
『法王』は法教会の頂点に立つ存在で、カスティルーンの『聖セルトラーン教会』にいます。法王を補佐するのが枢機卿で、その下で実務を管理するのが司教です。聖者を奉っている大教会の教会長は枢機卿が務め、分教会の教会長には司教がなります。実務の指揮は神官長が行ない、その実行は神官の役目となっています。神徒は雑務を行なうと同時に、学問院の学生でもあります。法王は枢機卿の中から、枢機卿は司教の中から選挙によって選抜するという方式をとっています。神官長、および神官は司教以上の者が任命します。法教会での聖職者の階級は以下のようになります。
◆聖職者の階級/法教会
階級 説明 法王 法教会の頂点にたつ存在であり、カスティルーンの聖セルトラーン教会にいます。 枢機卿 枢機卿は主要な大教会の教会長をつとめています。聖セルトラーン教会で法王の補佐をする者もおります。 司教 祭祀を司るものであり、政治的な影響力をもつ地位になります。司教のうち、枢機卿の補佐をする者は教会運営の執務長となります。他の大教会にいるものは、その教会の教会長となります。 神官長 街の中心となる教会に属する高位の神官であり、大きな宗教行事などを取り仕切ります。司教の補佐を務める者もおり、その場合は様々な執務の指揮をとります。 神官 教会に正式に認められたものであり、聖職者として実際の仕事をこなします。小さな教会を預かる者がこの階級であり、教区の祭儀などの責任を負います。 神徒 聖職者として教会に属する者であり、様々な訓練を受けています。教区教会の雑役夫として働く階級で、見習いの神官といった立場です。 平信者 洗礼を受けた民間人です。特に宗教上の階級ではなく、義務などを負うわけではありませんが、自主的に宗教儀式に出席したり、寄進を行なったりします。
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聖堂騎士
法教会に仕える騎士であり、通常の聖堂騎士は教会に所属する軍人として働きます。3国での呼称は様々で、カスティルーンでは『法騎士』(ルーンナイト)、ユークレイでは『白銀騎士』、ペトラーシャでは『聖騎士』と呼ばれています。特にカスティルーンのルーンナイトは高名で、文武双方に秀でた存在として国民から尊敬を集めています。
基本的には変異や邪教徒たちから信者を守るための戦闘集団で、高位聖職者の護衛や大教会の警備のほかにも、怪物退治などの任務をこなします。現在でこそ聖職者のみで構成されていますが、そもそもは法教会の理念に心酔し、無償で神聖なる軍務に手を貸した特別な立場の騎士団で、昔ながらの騎士道精神がそのまま受け継がれています。そのため、聖堂騎士は例外なく礼儀正しい紳士的な人々であり、身だしなみも常に整えられています。
○選出
聖堂騎士として選出されるには、身体的な能力のみならず、聖職者としての総合的な評価も高くなければなりません。その他にも、一般的な知識や法律への理解、礼儀作法なども身につけていなければ、聖堂騎士として正式に働くことは許されません。
聖堂騎士に選ばれてから数年のうちは、様々な訓練を受けながら雑務をこなします。この段階では下級騎士として扱われ、正式な任務には参加することは出来ません。上層部に認められて、はじめて聖堂騎士を名乗って活動することができるようになります。
○組織
国家ごとに分かれた3つの騎士団で構成されており、それぞれの団の下に騎士隊が所属します。騎士団には団長1名と副団長4名がおり、この5名によって開かれる会議によって、騎士団の運営がなされています。
各騎士隊は大教会ごとに本部が置かれており、枝教区の任務全般を担当します。騎士隊の下には任務や担当区域によって小隊が結成され、小隊長の指示に従って任務をこなします。・構成
聖堂騎士団─┬──法騎士(カスティルーン)──騎士隊──小隊──聖堂騎士
├──白銀騎士(ユークレイ)───騎士隊──小隊──聖堂騎士
└──聖騎士(ペトラーシャ)───騎士隊──小隊──聖堂騎士
○装備
・武装
聖堂騎士として正式に認められた時は、柄に正十字が施された長剣と細剣、そして白銀色の鎧を与えられます。しかし、このうち通常時に所持を認められるのは細剣のみで、長剣と鎧は特に危険な任務の時だけ装備を認められます。この2つは、通常は騎士隊の本部に保管されています。
細剣以外の装備は、任務に合わせて個人が自由に選択することが出来ます。法教会では聖母教会と違って、銃器の使用も認められています。・衣装
通常の任務に就いている時は、白を基調とした軍服のような服を着ています。宗教的な儀式に参加する場合は、刺繍の施された礼装を身につけます。・移動
基本的に神官戦士は移動に馬を用います。大教会にはそのための厩舎が存在します。
○任務
・教会警護
有事や盗難に備えて教会の警護を行います。通常は大教会でのみ行われるもので、小さな教区教会ではあまり警護任務は行われません。警護任務に就くのは、基本的に下級騎士となります。・聖戦
彼らは教会の常備軍であり、教会を守るために武力を振るうことも任務の1つです。これを拡大解釈し、国家に存在する信者の守護という名目で、過去に聖堂騎士が国家的な戦いに参加したことがあります。たとえばカスティルーンの建国当初には、その当時に存在していた都市国家と戦いを行っていますし、ユークレイやペトラーシャの成立にも力を貸して、カイテイン軍などと剣を交えたりしています。
政教分離が行われた現在では、このような戦争に聖堂騎士は参加しないことになっています。しかし、ペトラーシャで革命が行われた時にも、聖堂騎士の一部が戦いに参加しており、国家が乱れている場合に限っては、法王の独断で軍事活動を行うこともあるようです。・巡礼者の護衛
巡礼者が危険にさらされないための護衛も、聖堂騎士の役目となります。ただし平時には、下級騎士が大きな街道を定期的に巡視するだけとなります。・異端との戦闘
危険な変異体や不死者などの不浄の者と戦ったりします。この任務にあたる時は警察や軍隊、あるいは一般市民(獣狩りや協会術法師など)と協力することもあります。・法務
神聖法官や警務法官として国家機関に出向する場合は、それぞれの出向先のやり方に従って仕事を行います。こういった任務に就くものは、一般的な聖堂騎士の衣装ではなく、仕事の内容に合った服装をします。
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