戦闘ラウンド
戦いは戦闘ラウンドという単位で時間を区切って行なうことになります。1ラウンドは5秒であり、キャラクターはこの間に1回の能動的行動と、回数無制限の受動的行動を試みることができます。つまり、攻撃や術法などの能動行動は1度、回避や抵抗判定などは何度でも行なえるわけです。
○順番
まず、戦闘ラウンドの最初に、全員が行う予定の行動を宣言します。能動的な行動の順番は、行為判定に使用する判定値が大きいキャラクターが優先されます。つまり、慣れている行動ほど素早く行えるということです。同じ値のものが複数いる場合は、使用するダイスの数が多いものから先に行動します。それも同じである場合は、全く同時に行動することになります。
なお、行為判定を行う前であれば、予定していた自分の行動を中止することができます。ただし、そのラウンドの能働行動はキャンセルすることになり、受動行動しか取ることができなくなります。
○行動
1ラウンドの間に、キャラクターは様々な行動を行なうことができます。以下にその例を示します。
◆戦闘中の行動
行動 解説 ○能動行動
通常攻撃 何らかの攻撃の手段を用いて、相手を攻撃することができます。この場合は[基本移動力×5]mの距離を移動してから攻撃することが可能です。 全力移動 自分の行動の順番に、キャラクターは[移動力×5+走力の達成値]mの距離を移動することができます。全力移動した場合は、続けて他の能働行動をとることはできません。 武器準備 鞘などに収まった武器を準備し、使用できる状態にします。弾込めなどもこれに含まれます。順番を厳密に決める必要がある場合は、攻撃の判定値を基準とします。なお、投擲武器をすぐ取り出せる場所にしまっておいた場合は、準備の時間を考える必要はありません。 武器交換 使っている武器を捨て、新しい武器を準備することができます。鞘などにしまってから新しい武器を取り出す場合は、さらに1ラウンドの時間が必要となります。 姿勢変更 転倒した状態から立ち上がったりするなど、姿勢を変更することができます。 術法 キャラクターは術法を行使することができます。[基本移動力×1]mの距離を移動してから術法を使うことが可能です。 ○受動行動
回避判定 防御および反応抵抗の判定を行って、相手の攻撃を回避することができます。1ラウンド中に何度行っても構いません。 抵抗判定 術法や毒などに対して抵抗判定を行うことができます。1ラウンド中に何度行っても構いませんし、精神抵抗や肉体抵抗の場合は相手の攻撃を認識している必要もありません。 回避専念 回避に専念することを宣言した場合は、そのラウンド中の回避判定に+4修正を得ることができます。しかし、その場合は攻撃やその他の能動的な行動をとることができなくなります。 術法抵抗専念 術法の抵抗に専念することを宣言した場合には、キャラクターは精神抵抗に+4の修正を得ることができます。しかし、その場合は回避も含めた全ての行動をとることができなくなります。 ○その他
逃走 戦闘の場から走って逃げることが出来ます。 待機 キャラクターが待機宣言をした場合は、そのラウンドの一番最後に行動することになります。どの行動を選択するかは、実際に行動する際に決定して構いません。 自由行動 会話など、その他の全ての行動です。
戦闘時とはいえ、キャラクターは普通の状態と何ら変わりなく行動することができます。ただ、時間的な制限が設けられているだけなのです。キャラクターが例に挙げられている以外の行動をとる場合もあるでしょうが、GMは常識の範囲内で判断すれば特に問題はないと思います。
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戦闘技能
戦闘は格闘や射撃などの攻撃を行うための攻撃技能と、攻撃をかわすための防御および反応抵抗を用いて判定します。攻撃を行う時の行為判定を攻撃判定といい、回避を行う時の判定を回避判定といいます。
○攻撃判定
攻撃判定に関する技能は用いる武器や手段によって、格闘、切断武器、殴打武器、長柄武器、捕獲武器、投擲武器などといった副技能に細分化されています。
なお、武器を扱う技能の中には、特殊武器【各種】という技能があります。これは非常に扱いにくい武器を使うための専門技能であり、それぞれの武器に対して個別に技能を習得しなければなりません。・攻撃技能
攻撃の際の攻撃判定に用いる技能を攻撃技能と呼びます。これには以下のような種類があります。○以降の部分は、主技能/分野技能の種類が書かれています。
◆攻撃技能
副技能名称 関連能力 技能分類 説明 ○運動技能/基本戦闘 格闘 技/体 一般 パンチやキックなど、素手で行う打撃戦闘の技です。 組打ち 技/体 一般 とっくみあいや締め技、あるいは投げを行うための技能です。 ○運動技能/武器戦闘 切断武器 技/体 一般 刀剣、斧などの切断を行う武器を扱う技能です。 殴打武器 技/体 一般 棍棒、杖などの振り回して殴る武器を扱う技能です。 長柄武器 技/体 一般 槍および竿状武器での攻撃に用いる技能です。 鞭状武器 技 一般 鞭や鎖鎌などで攻撃する場合の技能です。 捕獲武器 技 一般 網などの相手に絡みつけて捕獲したりする武器を用いる技能です。 投擲武器 技 一般 ナイフなどを投げて攻撃する場合に使用します。 特殊武器【各種】 技 専門 特殊な武器で攻撃する際の判定に用います。個々の武器ごとに獲得しなければなりません。 ○作業技能/弓矢 弓 技 一般 弓での攻撃に使用します。 弩 技 一般 クロスボウでの攻撃に使用します。 ○作業技能/銃器操作 拳銃 技 一般 拳銃での射撃に使用します。 長銃 技 一般 長銃での射撃に使用します。 ○記憶技能/火薬知識 砲銃 知 専門 大砲での攻撃に使用します。
○回避判定
回避に関する技能は2種類あります。1つは通常の武器攻撃を回避するための防御で、もう1つは拳銃などの飛び道具による攻撃を反射的に回避するための反応抵抗です。防御は受け流しのように攻撃を捌く技能であり、反応抵抗は飛び退いて攻撃を避ける場合に使用します。それぞれに防具による修正を受けます。防具の回避修正を加えた値で判定を行って下さい。
・認識
回避判定を行うためには、相手の攻撃を何らかの手段で認識していなければなりません。視界が不十分などの悪条件の下では、回避判定にマイナスの修正が与えられます。背後からの攻撃のように全く見えない条件では、攻撃されることが予測できても、−4程度の不利な修正を受けることになります。・防御体勢
体勢が不十分な場合、防御の判定にはマイナスの修正を受けることになります。たとえば転倒している場合は−4修正といった具合になります。・反応抵抗の条件
移動が不可能な状態では、反応抵抗による回避判定を試みることはできません。下半身が束縛されているような場合で、上半身のみの動きで回避できる可能性がある時は、−4程度の修正を与えて判定を行わせても構いません。・範囲攻撃
広範囲に及ぶ攻撃を反応抵抗で回避する場合は、範囲外までの距離が1m離れるごとに、回避判定に−1の修正を受けることになります。
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戦闘の手順
実際の戦闘手順は一般の行為判定と同様の処理をすることになります。まず行動順番の早い者が、攻撃に関する技能を用いて行為判定を行います。判定に失敗すれば次の者が攻撃を行うことになります。成功した場合は振ったサイコロの出目を足して、達成値を算出します。
防御をする側は回避に関する副技能の判定値で、攻撃側の達成値を難易度とする対抗判定を行ないます。そして達成値を算出して、それが攻撃側の達成値以上ならば攻撃を回避したことになり、下回っていれば攻撃が命中したということになります。戦闘はこの手順を繰り返して行なわれることになります。
○戦闘の手順
最初に先攻側が攻撃をします。特に順番を遅らせるのでなければ、その時に用いる技能の判定値が最も大きい者から攻撃を行うことになります。サイコロをいくつか振って、その値が攻撃する技能の判定値以下だった時は攻撃成功、上回っているか自動的失敗(致命的失敗)であれば攻撃は命中しなかったことになります。
A.攻撃判定が成功した場合 1.攻撃側の達成値
攻撃側の達成値を算出します。 →2 2.回避側の達成値
回避側は攻撃側の達成値を目標として防御の判定を行い、達成値を決定します。飛び道具で攻撃された場合は反応抵抗を用いて回避判定を行います。 →3 3.達成値の差
成功値(双方の達成値の差)を算出します。 →4 4.ダメージの有無
攻撃側が上回っていた(成功値がプラスである)場合は、成功値に武器の打撃値を加えます。その値が相手に与えるダメージとなります。 →5 回避側の達成値が攻撃側の達成値以上(成功値が±0以上)だった場合は回避成功となり、回避側が攻撃する番になります。 →B 5.ダメージ
回避側は最終的な打撃値(成功値+武器の打撃値)から装備している防具の防御値を引き、その値を肉体耐久値から減少させます。防御値が最終的な打撃値を上回っていた時は負傷せずにすみます。 →B B.攻撃判定が失敗した場合 回避側が攻撃する番となります。 →A
以上のような手順で戦闘は続いてゆきます。複数で戦闘を行なう場合も同様です。攻撃に使用する副技能値の大きいキャラクターから行動を決定し、その次に早い者、更にその次……という順番で判定を繰り返してゆきます。
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射撃判定
弓や拳銃などの射撃武器を用いる場合、攻撃判定には射程距離や目標の大きさなどが影響します。これらは選択ルールであり、使用するかどうかはGMが判断して下さい。また、投擲武器での攻撃に適用されるかどうかも、GMに決定権があります。
○距離による影響(修正値)
・射程距離
射撃武器には射程距離が示されており、それを超える範囲には攻撃できません。武器データの表では距離と書かれている項目がそれにあたり、単位はmとなります。・距離と修正
飛び道具で攻撃する場合は、以下のような修正を受けます。なお、完全に接敵してしまった時にも修正を受けますが、これは相手が動くことが可能な場合に限られ、完全に静止している目標の場合は適用されません。
◆距離と修正値
距離 修正値 接敵 〜1m −4 至近距離 1〜5m −2 近距離 6〜25m ±0 中距離 25〜50m −2 遠距離 50m〜 −4 超遠距離 100m〜 −6
○狙撃(修正値)
キャラクターは1ラウンド狙いをつけるごとに、射撃での攻撃判定に+1の修正を得ることができます。ただし、狙撃する目標は静止しているか、非常にゆっくり移動している相手でなければなりません。
狙撃の準備は最高4ラウンド行なうことが可能で、追加できる修正値は累積します。この間に他の行動をとった場合(回避、抵抗なども含む)、狙いは無効となります。・ペナルティ
狙撃を行っている場合は攻撃に集中するために隙が生まれます。回避判定など相手を認識する必要のある判定には、狙撃によって上昇した分がマイナスの修正値として働きます。
○周辺状況による修正(修正値)
離れた距離にいる相手を狙撃する場合などは、風の影響を強く受けます。ただし、修正値は最大でも−4くらいにしておいた方がよいでしょう。また、足場が悪い場所や体の自由がきかない状態にある場合も、いくらかの不利な修正を受けます。GMは状況に応じて適当な修正値を与えて判定を行わせて下さい。なお、修正値が−6より悪いと思われる場面では、射撃不可能としても構いません。
○スケールによる修正(難易度)
射撃による攻撃判定は、目標の大きさでも成功の度合いが変わってきます。基準となる大きさは人間大(1〜2m)となります。見えている面積でいうと、1m×1m程度の大きさです。この場合は難易度1の判定に成功すれば、射撃は命中したこととなります。しかし、基準の半分の大きさになると、難易度は1上昇します。面積がさらに1/2になるごとに難易度は累積してゆきます。
・注意
これはあくまでも狙った箇所に当たるかどうかの判定でしかなく、ダメージの計算には全く関係しません。また、これによって急所を狙うと宣言したとしても、同様にダメージの処理には影響はありません。ダメージの大小は、あくまでも達成値と自動的成功の有無によって決定されます。
なお、鎧など保護する部分がない場所を狙った場合は、相手が静止していて、なおかつ狙撃者の存在に全く気づいていない状態でのみ、防御値を無視することができます。ただし、隙間がはっきりと見えていなければなりません。・急所外し
急所を外すと宣言した場合は、自動的成功による追加ダメージを無視することができます。ただし、即死判定は発生しますし、生死判定なども普通と同じように行わなければなりません。・宣言
いかなる場合でも、攻撃判定の前にどこを狙って射撃をするのか宣言しなければなりません。結果的に達成値が高かったとしても、宣言無しの場合はどの効果も適用されませんので、この点には注意して下さい。
◆スケールと目標
難易度 目標の例 1 人間の大人など 2 人間の半身や子供など 3 人間の胴部など 5 人間の顔、書籍など 7 ランプやジョッキなど 9 小さめのコップなど
○遮蔽物による修正(難易度)
目標が遮蔽物に隠れている場合、攻撃は当たりにくくなります。この時の難易度はスケールによる修正に準じます。見えている範囲によって、与えるべき修正値を決定して下さい。
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効果武器
固定的なダメージを表わす数値を効果値といい、難易度とまったく同様の扱いを受けます。落下物や火、毒などによるダメージも効果値で表されます。ダメージの大きさが効果値で表わされるような武器を効果武器と呼び、普通の武器とはダメージの決定方法が少し異なります。
効果武器には爆発物や固定された罠(たとえばトラバサミや捲菱)などがあります。これらの武器はダメージが固定的であるため、通常の武器のようにダメージに攻撃判定時の達成値を加えたりすることはありません。
効果武器による攻撃では、戦闘技能以外の技能で攻撃や回避の判定をすることがあります。効果武器を用いた攻撃は、いかにして相手を武器に接触させたり、あるいは爆破などに巻き込むかが問題となるのです。そのためには、うまく罠を隠したり的確な場所に爆薬を仕掛けることが重要になります。これによるダメージを回避する場合にも、その武器ごとにさまざまな対処方法が考えられるでしょう。
たとえば追いかけてくる相手に捲菱などを撒いた場合、それを咄嗟にかわすことができるかどうかは、反応抵抗による回避判定を行うことになります。これが草むらなどに隠してあった場合には、観察の技能を反応抵抗の代わりに用います。相手がカモフラージュの技能を用いて隠蔽していた場合は、カモフラージュとの対抗判定を行うことになります。罠の存在を警戒していた時は、捜索や屋外罠の技能で判定することもできるでしょう。いずれの場合にせよ、気づかなければそのまま捲菱を踏みつけてしまうことになります。しかし、これは効果武器を用いた攻撃ですので、ダメージそのものにはカモフラージュなどの達成値は一切関係しません。捲菱の効果値だけがダメージとして適用されます。
手榴弾のような爆発物では、まず投擲の技能で相手が投じた場所から逃げ出すために、反応抵抗による回避判定を行います。もしこれに失敗したら、効果値から反応抵抗の達成値を引いた分のダメージを受けることになります。もちろん、相手の投擲との対抗判定に勝利すれば、一切のダメージを受けることはありません。しかし、地雷の場合は発見することが回避することになりますから、屋外罠などの発見のための技能を用いて、相手のカモフラージュを見破らなければなりません。GMは状況に合った技能を指定して対抗判定をさせて下さい。もしプレイヤーが他の方法で回避したいと考えた場合は、それが妥当であれば他の技能で判定させて構いません。
○効果値と打撃値
通常、効果値によるダメージは、何らかの技能による対抗判定によって回避することが可能です。ただし、戦闘時には判定を簡便にするため、効果値を打撃値に上乗せすることができます。たとえば、炎のダメージは肉体抵抗で抵抗することができますが、燃えているたいまつなどで相手に殴りつける場合は、効果値をそのまま打撃値にプラスすることになります。
もし、通常武器による打撃がきかない相手でも、火が弱点である場合は、そのぶんだけダメージを与えることが可能です。この場合は、達成値や武器の打撃値の分はダメージに追加しません。判定は攻撃が命中したかどうかだけとなり、純粋に火による効果値の分だけが与えられるダメージとなります。
なお、服が燃えるなど火に包まれるような状況でなければ、これらの追加ダメージは防具によって減少させることが可能です。
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