一般施設

広場役所


 

広場


 広場は都市の中心に位置する憩いの場であり、その街のシンボルでもあります。広場に面した場所には宗教施設が建てられていることが多く、信仰の中心としての役割もあります。市場がたつこともあれば、日常的に露店が開かれていたり、あるいは大道芸人が素晴らしい芸を見せてくれたりもします。広場は人々の集会場でもあり、政治的に開かれた近代都市では演説家が論議をかわすこともあります。つまり広場というのは、都市の情報が集まる社交場でもあるのです。
 広場の多くは噴水や大木、あるいはシンボルとなる像などがあり、恋人たちの待ち合わせの目印にもなります。石畳で舗装されている場合もあれば、草木が植えられている公園としての空間であることもあります。災害時の避難所の意味もあります。それから屋台が立ち並んでいたり、若い芸術家が腕を磨くための練習場であったりと、広場は本当に多彩な顔を見せてくれます。
 しかし、広場はこのような憩いの場としての面だけを持つわけではありません。草原で家族が寝転んでいるその目の前で、スリが獲物の懐を狙っていたり、スパイが諜報活動していたりということもあるのです。裏通りや貧民街ほどではありませんが喧嘩もよく起こり、良くも悪くも賑やかな場所です。とはいえ、どの都市でもいえることなのですが、広場というのは日常的にはあまりもめ事の起こらない平和の象徴です。概ね安心して家族と手を繋いで歩き、恋人と語り合い、友人と心からふざけ合える場所なのです。
 広場は市民の政治の場として機能することもあります。政府の通達が掲示されていたり、市民が声高く演説している場面に出くわすこともあるでしょう。広場は革命や反乱の発端の場となることも多く、警備の目が光る場所でもあります。逆に、そのためにある程度の治安が約束されているとも言えるのです。

 広場がもっとも賑わうのは、やはり市や祭がひらかれる時でしょう。市がたつ時は露店がところ狭しと立ち並び、季節の野菜や果物、遠方の美しい織物といった商品が広場を埋め尽くします。現在の市場というのは、このようにして定期的に開かれていた市が需要とともに安定し、常に催されるようになってできたものです。テントをたて、床敷きに商品を直に並べるような者もいれば、許可を取って場所を確保し、簡単な木組みの小屋をつくる者もいます。これらは露店商組合の取り決めに従って商売を行なっており、組合は政府の認可を受けてこれらを管理しています。このような取り決めには裏組合が1枚かんでいる場合もあり、用心棒代や場所代を要求することもあります。多くの場合は組合同士で話し合いがなされており、双方の対立は起こりえません。許可を取っていない非合法な商人だけは、規則を通じて、あるいは裏組合の手で処罰されます。
 祭は都市の最大のイベントです。宗教絡みのものもあれば、収穫祭や謝肉祭といった農業などに関係したものもあります。これらは土地によって異なっており、ブドウの収穫祭である紫祭であったり、水上都市として有名なナニーナの仮面大祭のような独特のものが開かれたりします。宗教や民族に関わらずどの都市でも共通なのが新年を祝う祭で、年の最初の日ばかりは奴隷を含めた全ての人々に休みが与えられ、夜を騒ぎ明かします。ブドウ酒や肉が景気よく振る舞われ、旧年の無事と新年を祝い合います。

 このように広場というのは位置的なものばかりではなく、様々な面で都市の中心なのです。キャラクターたちもこの社交場を存分に楽しみ、利用してください。


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 駅とはいっても、他国とを繋ぐ長距離鉄道の駅があるのはユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャの3国だけです。普通は国内の大都市を結ぶものが多く、それほど数は多くありません。ですから、駅といえば鉄道駅よりも駅馬車の発着場をさすのが一般的です。

 駅馬車は国内、あるいは国外の駅との間を往復し、荷物や人を運びます。郵便物も駅馬車を利用して、非常に迅速に輸送されます。このため、市場や郵便局といったものが駅の周囲に立ち並ぶことになり、大きな駅は都市の中心に位置しています。
 駅の運営は国が行なうこともあれば、会社が経営していることもあります。駅員には荷役夫、馭者、馬飼いなどがいて、交替で勤務しています。馬たちが休憩する小屋や水のみ場は駅の裏手にあることもあれば、匂いのため街の中心から離れた場所におかれていることもあります。もちろん荷物や人の発着場は駅の中心にあり、待合室や荷物の取引所などはいつも人々でにぎわっています。
 馬車は大きく分けて3種類になります。まず、都市の間や他国との交通手段として活躍しているものを駅馬車といいます。規模は様々ですが、基本的には長距離を移動します。交通が頻繁にある都市間では別ですが、さほど大きくない町などへゆくものは1日に1台、あるいは数日に1台といった割合で動くことが多いようで、予約を必要とすることもあります。都市内部や比較的近くの町の間などを巡回しているものは乗合馬車と呼ばれています。大きいものは現実世界のバスのようなもので、決まった順路を周回します。これは1日に何台も出ているもので、運賃は安く、定期券が販売されていることもあります。小さい馬車は2人乗りぐらいのもので、辻馬車と呼ばれています。我々の世界のタクシーに当たるものです。辻馬車は街のあちこちに止まっており、簡単に拾うことができます。

 馬車というものはこの世界の主流となる交通手段であり、これなしでは都市生活は成り立ちません。キャラクターたちも幾度もお世話になることでしょう。


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役所


 役所は行政的な実際の処置や事務処理を行なう機関です。官僚が勤める各省庁も役所ですし、市役所や税務署などもそうです。それぞれが種々雑多な仕事を抱えており、日常の業務を忙しくもこなしてゆきます。ここでは主に、日常生活に密接な存在である市役所の業務について解説します。

 市役所は都市の住民を把握しなければなりません。役所では住民数に従って区画整理を行ない、税の額を決定します。これらは市議会で討議されることもあれば、封建国家の都市では領主の一存で決められることもあります。ただし貧民街のような場所もありますし、無届けで住み着く者も多いのが実状です。下水道に住んでいる人々もいるくらいですから、住民を完全に把握することはほぼ不可能なのです。
 市民の苦情を解決するのも市役所の仕事です。組合への抗議、住民間のちょっとした問題の調停、ゴミの処理など、あらゆる相談事を受け付けます。そのために専門の課が設けられている都市もありますが、問題が非常に専門的な部分にまで関わってくると、他の専門機関や民間に委託することになります。中には冒険者たちに回ってくる仕事もあるようです。このような形の斡旋とは別に、職業安定所のように仕事を紹介してくれることもあります。また、施設の貸し出しの受け付けや、組合への要望の提出、そして商業都市では価格調整を行なったりということも、すべて市役所の業務のうちです。加えて、衛生管理という面では上下水道の整備や家畜の疫病管理がありますし、天候不順による水不足や食料不足の際には、水や食料などの物資の搬入を指揮します。大都市では何か所かに分局があり、それぞれの地区で細かなことにも対応できるようになっています。しかし、お役所仕事とはよく言ったもので、住民自身が先に問題を解決してしまうこともしばしばです。


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