第13章 機械


 

機械について


 エルモア地方では、霊子機関や蒸気機関などの動力を用いた様々な機械が存在します。技術的なレベルとしては、現実世界の産業革命期とほぼ同等であり、飛行船なども開発されています。


 機械のアイデアについては、マスターや他のプレイヤーが認める限り自由に設定してもらって構いません。聖暦789年の現在は科学の混沌期で、様々な試作品がつくられています。試行錯誤の時代ということができ、生産ラインに乗らないような奇妙な機械を個人で開発している者も大勢います。こういったものの多くは失敗作であり、社会に出てこないものがほとんどですが、まれに素晴らしい技術が開発されることもあります。
 しかし、その発明が優秀であればあるほど、周囲は放っておかないものです。単に人々の興味を惹くだけならまだしも、軍に目をつけられたり、あわよくば騙し取ったり力ずくで……などという物騒なことも起こりかねないのです。この世界にも産業スパイのような者はいますし、何より特許や著作権法の整備が不十分な世の中です。盗まれてしまってから所有権を主張しても、逆に自分の方が盗人扱いされかねません。


 機械は人を助けるための道具です。道具にキャラクターが操られてしまうようになるくらいならば、機械など使用しない方がまだましでしょう。あくまでもキャラクターは自分の力で物事を解決するようにして下さい。なお、これと同じ理由から、この世界ではマジックアイテムというものも設定されておりません(作成することは可能ですが)。


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ルール概要


○動力機関

 この世界では水力や蒸気といった昔ながらの動力機関の他に、『霊子』(エーテル)というエネルギーを利用した動力機関があります。これを一般に『霊子機関』(エーテルリアクター)と呼びます。霊子機関は熱や煤煙を出さないという利点があり、冷却装置も必要ないため非常に小型です。ただし、燃料が高価であるため、蒸気機関とは用途を分けて利用されているのが現状です。
 霊子機関は作製には特殊な知識が必要とされますが、運用は非常に簡単です。一方、蒸気機関の運用には蒸気機関操作(専門:知+作業)という技能が必要となります。ただし、これは高圧のものに限り、低圧の蒸気機関はそれほど危険はありません。


○機械の操作

 機械の操作に関する技能はいくつかあります。主に作業に属する専門技能となります。

・乗用機械操縦【各種】 (専門:知+作業)
 自動車や船舶などを操るための技能です。悪路や天候不順、あるいは高速で正確に運転する必要がある場合などには、GMは適当な難易度を設定して判定させて下さい。なお、判定値にはそれぞれの機械の扱い易さを示す、操作性という修正値を加える必要があります。

・操縦・操作【各種】 (専門:知+作業)
 戦車や羽ばたき飛行機などの操作に必要な技能です。個々の機械に対してそれぞれ習得しなければなりません。


○機械の取り扱い

 機械を扱う技能は、大きく機械学と機械整備の2つに分かれます。

・機械学【各種】 (専門:知+記憶)
 機械学とはその機械を取り扱うために必要な知識です。それぞれの機械の原理、構造から設計までを含んだ総合的な学問知識となり、専門学校や大学校で学ぶことができます。この技能を獲得していれば、機械が故障している場合にその原因を判断したり、機械の改良や設計を行うことが可能です。ただし、扱うことができるのはそれぞれの機械分野に限定されます。

・機械整備【各種】 (専門:知+作業)
 機械の修理や整備、あるいは図面から機械を組み立てる際に使用する技能です。主に作業工程に関する判定に用いるもので、故障の個所を判断するような際には機械学で判定しなければなりません。この技能を用いる際には何らかの工具を必要とします。


○故障

 機械は作動値耐久値という数値を持ちます。作動値は機械が正常に作動できるかどうかの目安であり、耐久値は物理的な破壊に耐えるだけの構造の強さを示しています。
 何か故障の原因になるような条件のもとで機械を使用する場合、操縦や機械操作などの判定を行います。失敗した場合、難易度から達成値を引いた分のダメージを作動値に受けます。作動値が0に達すれば機械は故障して動かなくなります。なお、作動値は0までしか低下せず、マイナスになることはありません。
 機械に直接的な打撃を加えられた場合は、作動値と耐久値の双方に同じ分のダメージを受けます。耐久値が0以下になれば機械そのものが完全に壊れたことになり、修復は不可能となります。打撃を回避する余地がある場合は、操縦判定の達成値と防御値の分だけダメージを減少させることができます。


○修理

 機械の故障を直す場合には、機械整備の判定に成功する必要があります。これは個々の機械ごとに違う技能として習得しなければなりません。1つの機械に対する機械整備の判定は、1人が1日につき一度だけ試みることが可能です。判定に成功すれば、達成値の分だけ作動値と耐久値を回復させることができます。
 特に故障となる原因がなくても、GMは適当な間隔で機械整備の判定を行わせても構いません。また、過酷な条件で動かした後にも整備が必要ですし、長く放置されていた機械を使用する場合にも同様です。


○改造

 機械の設計を行うためには機械学を、自分で設計した機械を組み立てるためには機械整備の技能を習得していなければなりません。
 機械を改造する場合、機械学による設計の判定に成功しなければなりません。この時の難易度は10で、成功値によって改良の度合いが決定します。成功値が1増えるごとに効率では5%か1ポイント耐久性に関する数値(作動値、耐久値、防御値)は3ポイント変動させることができます。1つの要素について改良できる上限は成功値2までです。ただし、メリットが1つ増える度に、デメリットも1つ増えることになります。デメリットをなくしたい場合は、成功値1をデメリットの改良に費やすことで、それを相殺することが可能です。


○機械の開発

 新しい機械の開発を行うには、以下の技能を用いた判定が必要となります。

・発明(一般:知+霊能)
 直感的に新しい技術を考え出したり、独創的な発想を形にしたりするための能力です。機械知識などの専門分野の技能と同時判定を行い、難易度10の判定に成功すれば発明に成功したことになります。成功値が0の場合は、その年に実現できると考えられているものに対して、理論的な裏付けが行われたものとします。それより成功値が1増えるごとに、以後5年以内に実現できると思われるものを発明できたものとします。
 エルモア地方の科学レベルは、だいたい現実世界の1850年頃を基準にして下さい。ただしこれには幅があって、分野によっては1800年以前のものもあれば、19世紀後半くらいの技術のものも存在します。なお、電気に関わる研究はまともには行われておらず、一切利用されていないことに注意して下さい。


○発掘品

 エルモア地方では、遺跡から先史文明の遺産が発掘されることがあります。こういった発掘品のほとんどは何に使うのかわからない機械であり、今までで一般にも普及した品は霊子機関だけです。発掘品の利用はほぼ不可能ですが、他の考古学的な遺産と同様に非常に高値で売買されます。買い取りを行っているのは、主に学問院や軍、あるいは大学などの研究機関です。古物商などがこれらの組織との仲介を行うこともあり、まれに発掘品を専門に買い取る店もあります。


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