アンバランスド・ワールドでは、強い気持ちや願いが実際に力を持つことがあります。これを表したものが願いと奇跡というルールで、キャラクターの性格や考え方を表現する手助けとなります。
感情ベース
願いと奇跡ルールは、キャラクタ−の性格や設定に厚みを与えたり、行動の指針とすることができるばかりではなく、判定時に使用して実際のキャラクターの行為に反映させることができます。そのためには、キャラクターのもつ感情の程度を数値で設定する必要があります。その準備として、キャラクターは50点の感情CPをもらうことができます。
○感情ベースの選択
キャラクターが持てる感情はおよそ無限に存在します。ただし、ここで決めるのは感情の基盤となる存在であり、感情の種類そのものではありません。たとえば誰かに対して特別に愛情を抱いているのならば「〜への愛」ということになりますし、心の拠り所として何かを強く信仰している場合は「〜への信仰」ということになります。他にも、身分などの社会制度や科学への情熱、生涯の目標など、数限りない対象が考えられるでしょう。この感情を向ける対象のことを感情ベースといいます。
感情ベースのタイプには『立場』『目標』『特定存在』『主義思想』『記憶』の5種類があります。同じ種類のものを幾つ選んでもかまいませんが、これ以外の種類のものは選ぶことができませんので注意して下さい。また、感情ベースは最高でも5つまでしか設定することができません。最初から感情ベースを考えつかないという人は、ゲームの途中で決定しても構いません。その場合は特殊なタイプの感情ベースとして、潜在感情というものを最初に設定することになります。
潜在感情は、そのままでは他のものと同じように用いることはできません。しかし、ゲームの途中に何か相応しい感情ベースが思いついたら、その時点で潜在感情から他の種類に名前を書き換えることができます。何か別の名前に書き換えられた時点で、初めてそれをルールとして使用することができます。ただし、設定してしまってから潜在感情に戻すことはできません。
◆感情ベースの種類
感情ベース 説明 立場 階級制度における身分、父親といった家族内の立場、それから会社や組織の役職など、自分が置かれている立場に対するこだわりです。プロとしての誇りや教訓といったものもこれに含まれます。 目標 自分が目指すものへの執着やこだわりです。〜になりたい、といった夢や希望などもこれに含まれます。 特定存在 恋人や家族といった特定の人間や執着している物品など、特別な感情を傾ける対象です。 主義思想 自分の信仰する宗教の教えや信条についてです。 記憶 自分の体験から得られた教訓や考え方についてです。 潜在感情 潜在感情はまだはっきりとした形になっていない感情です。ゲームの途中に設定することができますが、このままでは通常の感情ベースとして使うことはできません。他のものに名称を書き換えた時点で、初めて使用可能となります。
○感情レベル
次に決めるのは、感情ベースで設定した対象へのこだわりの程度で、これは感情レベルという数値で表現します。感情レベルは1〜3までの範囲で示され、数字が大きいほど強いこだわりを持っていることになります。同じ種類の感情ベースは、感情レベルを同じ値にすることはできません。つまり、1種類につき3つの感情ベースしか設定できないことになります。
潜在感情にも同じようにレベルを割り振りますが、潜在感情の場合は同じ数値があっても構いませんし、最大で5つまで設定することができます。ただし、何か他の種類のものに変更した場合は、同じレベルのものがあってはいけません。
感情レベルを決定したら、全ての数値を合計します。そしてそれを、最初にもらった50点の感情CPから減少させて下さい。
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感情判定
次に感情レベルの使用法を簡単に説明します。まず、行為判定の前に1種類の感情ベースを用いることを宣言して下さい。そうすれば判定値か達成値のどちらかの数値を、感情レベルの分だけ変動させることができます。このように感情レベルを加えて行う判定を感情判定といいます。
ここで注意しておくことは、感情レベルはプラスとマイナスのどちらにも使えるということです。たとえば判定値が8で感情レベルが3だった場合には、判定値を5あるいは11に変更することができます。判定値に何も加えないまま判定して達成値が4だった場合には、これを1あるいは7に変えることができるのです。
行為判定に成功していれば、それがプラスとマイナスのどちらに使った場合でも、感情レベルの分だけ感情ポイントが上昇します。逆に失敗した時は、感情ポイントをレベル分減らすことになります。これは行為判定の成否だけで判断するのであって、成功判定(難易度や達成値との比較)ではないことに注意して下さい。感情ポイントは0〜100までの数値となり、これ以上にもこれ以下にもなることはありません。なお、判定に感情レベルを用いる際には、自動的成功が奇跡的成功に、自動的失敗が致命的失敗に変わります。これについては第2章および第3章で詳しく解説します。奇跡的成功の場合は、さらに達成値に感情レベルの分を加えることができ、致命的失敗の場合は達成値から感情レベルの分をさらに引く、ということだけ覚えておいて下さい。
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奇跡と破滅
願いと奇跡ルールには、感情判定とは別の使い方があります。それが奇跡と破滅の発動です。簡単にいえば、奇跡や破滅として術法を発動させることができるようになるのです。奇跡は自分や仲間を救う方向に、破滅は自分を破滅させる方向に効果をあらわします。具体的な使用法については、第3章で詳しく説明します。
ここで決めておくべきことは、この奇跡と破滅を発動させる回数を決定するポイントです。それぞれ奇跡ポイント/破滅ポイントといい、これを1点消費するごとに奇跡あるいは破滅を発動できるようになります。キャラクターを作製する段階では、感情CPを10点消費するごとに、これらを1点獲得することができます。なおゲームが始まってからは、感情判定で奇跡的成功が出た時には奇跡ポイントが、致命的失敗が出た時には破滅ポイントが1点上昇します。
感情ベース、感情レベル、および奇跡ポイントと破滅ポイントが決定したら、感情CPから消費した分を引いて下さい。残った値が現在の感情ポイントとなります。
それぞれの要素は、キャラクターシート1の願いと奇跡と書かれている欄に記入して下さい。まず、横に長い欄には感情ベースを、その横の小さい欄には感情レベルの値を書き入れます。奇跡/破滅ポイントとなっているところには、それぞれ獲得したポイントを、そして感情ポイントには残ったCPの値を記入します。これで願いと奇跡ルールに関する設定は終わりとなります。
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