ファイン=ファウンド


 


○自然

 エルモア地方最西端の島で、氷河と火山で知られています。暖流と寒流が合流するため、この付近はよい漁場となっています。エリマキカモメの繁殖地でもあり、その羽毛は最高級品として取り引きされています。
 暖流の影響を受けるため、北部に位置するわりには温和な気候です。冬期でも平均気温は0℃前後ですが、夏期は冷涼で気温は10℃前半くらいになります。北部に面している地域は寒流の影響を受けるため、寒帯に属します。火山と気候の影響からか、基本的に農作物は根付かない土地柄ですが、鉱物資源は豊富に存在します。


○変異

 変異による影響のうち、人類に対して害になるものは殆どありません。それゆえ、原住民たちはこの島に移住したのです。


○略史

 エルモア地方で最後に発見されたことから、この名がつけられました。赤人と呼ばれる『レプラッド人』(蔑称レッド)が大陸から追われて最後に逃げ込んだ場所で、原住民である彼らは狩猟を基礎として生活していました。ですが、聖暦669年にロンデニアに征服され、以来その支配を受けています。過去に多くの人民が奴隷としてロンデニアに連れて行かれています。
 この土地は犯罪者の流刑地でもあり、ここに送られてきた者は鉱山などで強制労働させられることになります。こういった人々の中には証拠が不十分のまま逮捕されたり、あるいは親がいないために犯罪行為で日々の糧を得るしかなかった都市浮浪児なども大勢います。


○制度

 政治的に独立した地域ではなく、ロンデニア国ファー・ノース領として属領あつかいになっています。この島における全ての権限は『総領主カッサール』に与えられており、住民のほぼ全てが奴隷として扱われています。警察と軍を混同したような治安隊というものがあり、これは領主の私兵や傭兵隊で組織されています。


○現況

 政治的に意味のある場所ではありませんが、その資源の豊富さは各国の羨望の的となっています。中心都市として総領主が住むカサルリアが島の南部に存在し、他は小規模な鉱山町や港町が点在しています。奴隷や服役者たちは日々、鉱山や港での過酷な労働に従事しています。これに不満を抱いた奴隷民たちは地下組織をつくり、反乱を計画しています。近いうちには確実に暴動が起こることでしょう。本国との距離や組織の規模から考えると、反乱が成功する確率は決して低くはありません。


○民族

・シリーシア人
 亜麻色やプラチナプロンドの髪に青い瞳の白人です。
 主に犯罪者として本国ロンデニアから連れてこられた者です。

・レプラッド人(赤人)
 赤銅色の肌に鳶色の瞳、赤茶色の髪の人種です。

・アデン人(黒人)
 黒髪に黒い瞳の黒人です。


○宗教

 レプラッド人の土着宗教(赤人宗教)が排斥され、現在では聖母教会に改宗されました。しかし、裏ではまだ赤人の教えが残っています。


○産物

 羽毛(エリマキカモメ)、鉱物、魚、アザラシ、角鯨(鯨油など)


○文化・生活

 かつてこの地に移住してきた赤人の独特の文化が、現在でも深く根づいています。エルモア地方最北に位置する非常に寒い地域なので、夏でも火を絶やすことはありません。彼らは練炭を主な燃料としており、囲炉裏や火鉢で暖をとるとともに、調理の場としても利用します。したがって、人々は非常に密接して生活することとなり、自然と家族の結束が固くなります。
 食料はもっぱら狩猟に頼っており、アザラシやトナカイ、あるいは角鯨といったものが食べられています。南の方の一部では寒麦がつくられており、この付近では練った小麦を囲炉裏の灰の中に埋めてパンを焼いたりしています。
 なお、この島ではビタミンをとるために動物の生き血を飲む習慣があるのですが、それが吸血鬼のイメージと重ねられ、弾圧の口実とされています。吸血鬼の瞳が暗い赤色に輝くということも、鳶色や茶色の瞳をもつレプラッド人たちのイメージを悪くしています。


○要所

・カサルリア
 総領主カッサールの居城がある街です。この城は200mほどもある岩山の上に建てられており、支配の象徴として奴隷民たちを見下ろしています。

・酒場「星乙女たち」
 南方の港町にある反乱組織の本拠地で、地下に隠し部屋があります。ここでは毎夜、反乱の計画が相談されています。

・エイシェル造船所
 表向きは赤人奴隷が働いている造船所ですが、倉庫の1つの地下は反乱組織の武器庫として使われています。


○組織・集団

・黄金の足枷
 奴隷たちの反乱組織で、南方の港町を中心に活動しています。近年になって急速にメンバーを増やし、近いうちに一斉蜂起を計画しています。

・エイゴン族
 赤人民族の中では最大の勢力を誇る一族です。特に結束の固い集団で、生まれた子供を村全体のものとして協力して育てる習慣があります。一族を1本の木に、1つの家族を1本の枝にたとえて話すため、枝の民と呼ばれることもあります。


○人物

・総領主カッサール
 猜疑深い性格で、それは岩山の上に強固な城塞をつくりあげたことからもわかります。非常に極端な人種差別主義者で、奴隷を支配するのは当然のことだと考えています。

・アンヴィーナ
 黄金の足枷の指導者でです。エイゴン族の族長の末裔で、赤人たちには非常に大きな影響力を持っています。

・ルヴァ
 「星乙女たち」のマスターで、犯罪者としてこの地に流されてきたシリーシア人です。以前は劇団にいたこともあり、非常に演技力に優れています。情報収集には欠かすことのできない人物で、反乱組織の中核の1人です。


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