異界

概説精霊界妖精界鏡界魔界夢界冥界


 

概説


 異次元には現実世界とは異なる物理法則が存在し、それぞれが独特の世界を構成しています。通常はキャラクターが異次元で活動することはありませんが、職業術法師などを用いて遊ぶ場合は、術法や特殊能力によって異次元に飛ばされることもありますし、誰かを救うために異次元に赴かなければならないこともあります。また、普通に暮らしていても、変異現象によって異界へと紛れ込むこともないわけではありません。
 このページでは、異次元の法則がどのようなものかを簡単に説明しています。なお、こちらで紹介する異次元は代表的なものであり、これ以外にも多数の異界が存在します。また、GMが独自の世界をつくりあげても構いません。


◆異次元

異次元 説明
精霊界  精霊たちが住むエネルギーに満ちた空間。
魔界  魔族たちが住む呪われた場所。
天界  神や天使たちが住む祝福された楽園。
妖精界  妖精たちの住む幻想的な空間。
冥界  死者の魂がたどり着く場所と呼ばれている。
虚空界  何ものも存在することができない場所。
夢界  夢のように心で思ったことが実現する世界。
鏡界  鏡の向こう側に存在する世界。


○階層

 異次元には階層というものがあり、それぞれの次元の中でさらに細かく分かれていることがあります。階層ごとに物理法則が全く異なる場合もあり、また、同じ次元であったとしても階層間の行き来ができるとは限りません。


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精霊界


○概要

 精霊たちが住むエネルギーに満ちた空間で、それぞれの精霊が司る元素や物質ごとに、異なる階層が存在するようです。たとえば、植物の精霊界は鬱蒼とした森や草原が広がっており、雷の精霊界は雷雲に満ちた空間といった具合です。いずれの階層であっても、内部は距離の概念がない世界だと言われており、どこまでいっても世界の果てにたどり着くことはできないようです。精霊たちはこの中を自由に移動することができますが、階層間の移動ができるのは精霊の王だけという話です。
 個別の精霊は、特定の空間を自分の住処としているようです。たとえば、植物精霊であれば1本の木に住み着き、土精霊は岩や土に掘った巣穴という具合です。そこに精霊の本体があって、これが破壊されたり消滅すると、精霊の命は尽きると考えられています。


○移動

 精霊界は行くには、それぞれが司る物質や元素を媒介して移動することになります。しかし、これが可能なのは精霊だけで、他のものは自由に精霊界へと行き来することはできません。精霊系術法に『精霊の門』という術があり、物質を媒介して瞬間移動することを可能としますが、これは精霊界を通って他の場所へと移動する技であり、精霊界へとそのまま居着くことはできません。
 人間など実世界の存在が精霊界へ行く唯一の方法は、精霊の王に認められることだといいます。しかし、精霊の王が人間の世界に現れることは滅多にありませんし、困難な試練をくぐり抜けたり、王の頼み事を果たさねばならないといいます。なお、アルメアには10の難題をすべて解決し、愛する水精霊と精霊界で暮らすことが認められた男がいるという伝承が残っています。


○物理法則

 精霊界での判定は、通常と同じように行って下さい。移動についても、たとえば水の精霊界でも歩くように移動することができますし、呼吸で困るということもないようです。しかし、これは精霊の王の加護があるためで、加護を失えば世界そのものが攻撃をしかけてきたり、精霊界から放り出されてしまうようです。場合によっては、雲から地面へと落下する羽目にもなりかねないので、注意が必要でしょう。


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妖精界


○概要

 人間が最も墜ちる機会が多いと呼ばれている場所ですが、帰ってきた人間の話を聞くとバラバラで、非常につかみどころのない世界ですお伽話にあるような平和な世界という話が多いようで、住人は羽根の生えた妖精や2本足で歩くウサギやネコだったりするということです。しかし、町や空間ごとに物理法則など全てが異なると言われており、階層ごとに異なる世界なのだと考えられています。時間の流れが現実とは全く異なる場合もあるようです。
 なお、妖精界にはそれぞれの世界を治める女王がいるようで、女王がいなくなったり力が弱まったりすると、その世界の法則は混乱を来してしまうといいます。なお、エストルークに1人の女王が存在しているようで、その階層の妖精たちがこれを探しに来ています。


○移動

 特にエルモア地方では、妖精たちが住む『妖精界』と呼ばれる世界に墜ちることが多く、まれに妖精のもてなしを受けて帰ってくる者もいます。妖精界への入り口を『妖精の輪』というのですが、妖精たちはこれを自由につくることができるのです。時々、葉っぱの影から顔を覗かせている小さな妖精を見かけることがありますが、これは葉っぱを妖精界への門にしているのだと言われています。

 水原/森/霧の中/葉っぱの裏側/吹雪の中...etc.


○物理法則

 約半数の階層では、通常と同じような判定を行います。残りは個々の階層で物理法則が異なります。GMが判定方法を自作したり、自由に改変しても構いません。


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鏡界


○概要

 鏡の中に広がる世界で、現実世界と同等の広さを持つ異次元です。しかし、現実世界の状況を反映する非常に特殊な異次元で、単体で存在するものではありません。鏡界は鏡に映っている空間だけが実存することができ、映っていない場所はただの暗闇です。それぞれを明鏡界、暗鏡界といって区別することもあります。なお、鏡界とはいわゆる鏡の中だけにあるわけではなく、映像を反射するものであれば何でも鏡界として存在することができます。

 明鏡界と実世界は、鏡を媒介して相互に影響を与えます。しかし、術法などの手段を用いなければ、鏡の世界の側から物理世界側に影響を与えることはできません。その手段を持つものは鏡像に対して行ったことを、現実世界に反映させることができます。たとえば、鏡の世界の椅子を動かせば、現実世界に存在する椅子も移動します。鏡像を傷つければ、現実の物質も傷を負うといった具合です。
 暗鏡界は全くの暗闇で、距離や時間の概念がない世界です。これを移動できるのは鏡魔と呼ばれる怪物だけとなります。人間が暗鏡界に入り込んだ場合は、たとえ見えていたとしても、明鏡界へと移動することはできないのです。


○移動

 鏡魔の特殊能力か魔鏡系術法、あるいは『鏡の檻現象』と呼ばれるルワール特有の変異現象によって、鏡の中に入りこむことができます。しかし、人間の意志によって戻ってくるためには、魔鏡系の術法が必要となるでしょう。


○物理法則

 鏡界での判定は通常と同じように行って下さい。これは明鏡界でも暗鏡界でも変わりません。しかし、暗鏡界では周囲は全くの暗闇ですので、多くの判定には修正を受けることになるでしょう。


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魔界


○概要

 瘴気に満ちた世界で、重い空気が漂う荒涼とした大地です。天には常に暗雲が立ちこめており、地には奇怪な動植物が蠢いています。その他には澱んだ沼地や枯れた木々に覆われた山岳などがありますが、いずれも死を彷彿させる寂しい風景ばかりです。魔界の周囲は絶望の海と呼ばれる水に囲まれており、果ては存在しないようです。いずれの方向へと移動しても、いつの間にか大地へとたどり着いてしまいます。
 大地には奇怪な形の城が点在しています。これは魔王クラスの悪魔の居城で、さまざまな形をとっています。これは宙に浮いていたり、水の中に存在することもあるようです。悪魔同士でも争っているため、内部には軍勢が

 魔神は異なる階層に存在すると言われています。幾つかの入り口に  ゲートが存在するという話もありますが、真偽のほどは定かではありません。


○移動

 高位の悪魔たちは自由に魔界へと移動することができますが、人間は術法を用いるか、冥界の最下層からしか出入りすることはできません。なお、絶対変異地帯にも魔界への門が存在しているという噂がありますが、実際にはありません。


○物理法則

 判定方法は現実世界にいる場合と同じです。ただし、1日に効果値5の肉体抵抗を行わなければなりません。判定に成功した場合は影響を受けませんが、失敗した場合は成功値ポイントのダメージを肉体耐久値に受けることになります。これは瘴気による影響のためであり、術法などの手段で防御していなければ、いずれは消耗して死んでしまうことになるでしょう。


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夢界


 夢のように心で思ったことが実現する世界です。これは個人の内側にある世界であり、忘れているような記憶や無意識に抱えている様々な思いなども混ざった、雑然とした空間であるようです。どのような世界が構成されるかは、その時に精神の多くを支配している心情に影響されるようですが、これは非常に象徴的なものに過ぎません。また、他の人間の意識が潜り込んで来た場合は、偽りの景色を見せてごまかそうとする無意識の作用が働くこともあるようです。


○移動

 夢の世界へと入り込むには、夢系の術法を用いる必要があります。変異現象によって誰かの夢にとらわれることもあるようです。


○物理法則

 夢の世界の物理法則というのは、持ち主の意識によって支配されています。多くの場合は現実世界を投影したものとなりますが、相手の想像力次第ではどのような世界にも変化し得るものです。共通するのは、世界のどこかに持ち主の意識の核といえるものが存在していることです。しかし、これは必ずしも本人の姿をしているわけではなく、林の中にまぎれている一本の木であったり、大空を自由に飛ぶ一羽の鳥であったりします。なお、世界を崩壊させたり意識の核を傷つけることは、持ち主の精神を気ずつけることでもあります。場合によっては、精神が崩壊したままになってしまうこともあります。


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冥界


○概要

 死者の魂がたどり着く場所を総じて冥界と呼びます。しかし、冥界には2つの階層があると言われており、それぞれ全く逆の様相を呈しています。
 
・浄空(エトラ)
 1つは浄空(エトラ)と呼ばれる地で、一般には天国と言われている場所です。神に祝福された死者は、死んだ後に雲の上で目覚めるといいます。そこには1つの扉があり、その向こうには螺旋階段が続いているのだそうです。螺旋階段の先は雲と薄霧に囲まれてよく見えませんが、しばらく登っているとエトラと呼ばれる場所へと立っていることに気づきます。
 エトラは天界に最も近い場所であるといわれる楽園で、清浄な水と美しい草原や花畑に囲まれた安楽の地です。ここで穏やかな時間を過ごし、時間が経てば転生して再び人間の世界に降り立つのだといわれています。

・辺土(リンポ)
 もう1つの階層は辺土(リンポ)と呼ばれる、いわゆる地獄として描かれる場所です。悪行を積んだ罪人、悪魔に魂を売った反逆者、それから変異現象の餌食になった者などが行く、魔界へと繋がる穢れた大地です。
 リンポへ行くことになった死者は、まず漆黒の扉の前で目を覚まします。この扉には、その人物が犯した罪の記録が書かれているといい、それによって行くべき場所が決定されます。扉の中は塔のような石造りの建物で、無限にも続くかと思われる螺旋階段が地下へと続いているのが見えます。最下層と思われる場所には大きな炎が赤々と燃えさかっており、その炎を見たとたん死者はふらふらと誘われるように下へと降りてゆくことになります。
 階段を降りてゆくと、いつのまにか1枚の扉が目の前を塞いでいること気づきます。たどり着くべき扉は、犯した悪行の数によって決定されており、罪が重いものほど下の階層へと行くのだそうです。扉の前には黒いフードを来た冥界の案内人がおり、案内人に導かれて中へ入ると、階層ごとに用意された償いの儀式が待ち受けています。いえ、正確には儀式ではなく拷問と呼ぶのに相応しい光景が繰り広げられており、悪魔によって罪業の分だけ1つずつ石盤を背負わされたり、爪をはがされて泣き叫ぶ罪人たちの姿を目の当たりにすることになります。
 この拷問に耐え切れば、いつの日か再び人間の世界へと生を受けることができるのですが、耐えきれずに悪魔に泣きついた時は、下の階層へと落とされることになります。すると、今度はより辛い拷問が待ち受けており、これを繰り返して最下層までたどり着いた時は、最初に見た炎の前に引きずり出されていることに気づくのです。ここまで来た罪人は、炎の中に身を投げ入れるという試練を受けなければなりません。しかし、その熱に耐えることが出来れば、悪魔へと転生することができます。ただし、犯した罪が大したものでなかったり、悪魔になるのに相応しい精神を持ち合わせていない者は、死ぬことも出来ぬまま永劫に炎の中で苦しむ亡霊となってしまうのです。この炎からいつも亡霊たちの怨嗟の声や悲鳴が聞こえて来るので、嘆きの炎と呼ばれています。なお、嘆きの炎は魔界へと通じる門の1つだとも言われています。


○移動

 死のみが冥界へとたどり着く唯一の手段であり、術法などの手段では決して行くことはできません。共通するのは、どちらも螺旋階段を通じてたどり着くことができるということです。


○物理法則

 基本的な部分は、現実にある空間と全くかわらないといいます。しかし、それぞれの世界には果てがなく、転生以外に冥界から出る手段は存在しないといわれています。なお、ここでは生前の能力を用いることができず、術法や特殊能力も行使できない空間のようです。ただし、悪魔や天使といった存在は、自由に空間の内外を行き来し、能力を用いることが許されています。


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