判定の基本
キャラクターは情報収集のために会話を行ったり、対話の中で自分の要求を通したりする機会もあることかと思われます。
ゲームの中の会話は、ほとんどの場合は何らかの目的があって行うものです。しかし、まったく知らない人と目的のある会話を行うことはありませんので、まずは何らかのきっかけが必要となります。知り合ったNPCからの紹介という手段もあるでしょうし、自分の所属している組織を頼るという選択もあります。もし、ワールドリレーション(第7章)のコネクションルールを導入している場合は、そのレベルを目安にしてもいいでしょう。それから職業からルートをたどる場合は、職業知識(専門:知+記憶)の技能が役立ちます。また、自分が生活している周辺地域で目的に合った人を探す場合は、地域知識(専門:知+記憶)の判定を行わせても構いません。
○判定の適用
会話そのものに関する判定は、それが結果を左右する場合に限られます。いくら口がうまくても法律を覆すことはできませんし、人の心を簡単に鞍替えさせるというわけにもゆきません。
会話に関する判定は他のものと同様に、GMが指示した場合のみ試みることができます。何を言っても結果が変わらないと設定されている場合は、いちいち判定を行う必要はありません。逆に予めこの台詞を言ったら成功と決めていることもあります。その場合は、それに類することを口にすれば良いのです。どのように言ったかはさほど問題ではありません。なぜならば、それは判定する必要もなく成功する、難易度0の判定と同じだからです。
○判定の基本
会話に関する技能は、基本的に知と判断技能に属しています。これらの技能による判定は、その殆どが対抗判定となります。何か意図があって会話を持ちかける側が、その目的に合った技能で判定し、相手の判断抵抗の達成値を上回った場合、何らかの利益や情報を得ることが可能となります。
対抗判定を行う技能は、判断抵抗ばかりとは限りません。たとえば、商談を行う場合などは交渉同士の対抗判定となりますし、相手の演技を精神判断で見抜くことも可能です。GMは適切な技能を指定して、それで対抗判定を行わせるようにして下さい。判定を行う際には、どのような口調でどういう内容を言ったかをプレイヤーに告げてもらう必要があります。その内容によっては、相手が動揺して抵抗判定が不利になることもあり得るからです。逆に、言い方によっては相手の心象を悪くすることもあり、その場合はプレイヤーの方にマイナス修正が与えられることになるでしょう。これは状況修正の一種となります。
評価の対象となるのは態度と内容についてのみです。いくら芝居がかった大仰な台詞でも、内容が的外れであれば何の効果も持ちません。いくら的を得た発言でも、言い方によっては逆効果になる場合もあります。GMは冷静に判断を行うようにして下さい。
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状況修正
○身分による修正
上流、中層、下層といった身分の間では、お互いの身分が明らかであれば、会話判定にそれぞれ修正を受けることになります。数値的には身分が1つ違うごとに−2の修正となります。たとえば下層身分から中層身分の者に頼み事をする場合には−2、上流身分には−4の修正となるのです。上の身分から下の身分の人間に対する時も同様です。たとえば、上流の人間が何らかの理由で下層の人間から情報を得たい場合などでも、相手を見下した態度をとれば不快にさせるでしょうし、下層社会の流儀を知らなければ交渉は難航するでしょう。
神聖階級の人間は、いかなる身分に対しても修正を受けることはありません。一般に聖職者は多大なる尊敬と信頼を受けており、差別されることはないからです。ただし、異教徒が相手の場合は、いかなる身分に対しても−4の修正を受けることとなります。
それから、最下層の人間というのは交渉を行う相手ではありません。身分が明らかなのであれば、相手にされないか命令される側の人間なのです。それがエルモア地方の人間の、ごく当たり前の考え方なのです。最下層の側から交渉を行うとしても、受けつけられないのが普通の対応です。仮に話を聞いて貰うことができたとしても、相手の身分によらず−6の修正を受けるものとして下さい。ただし、これは個々のキャラクターの身分制度に対する考え方や、キャラクター間の立場にも左右されます。普通であれば、それぞれの身分間には何らかの階級意識がつきまといます。しかし、現在のエルモア地方は変革の時期を迎えており、身分制度が崩壊しつつあるのも事実です。革命によって王制から民主主義へと移行した国家もありますし、奴隷解放に積極的な貴族というものも存在します。
上に示したルールは、キャラクターたちが身分という枠組みを意識している場合にのみ適用されるものです。つまり、身分に拠らない一個人として相対している場合には、このルールを用いる必要はありません。プレイヤーが努力してその枠組みを取り払おうとしている場合にも、GMはその意図を汲んで修正値を微調整したり、あるいは修正を与えずに判定させて下さい。
○礼儀と身なり
上流階級の人間に交渉を持ちかける場合には、礼儀作法(専門:知+記憶)の技能が必要となります。この場合は、会話に関する技能と同時判定を行わなければなりません。礼儀作法なしでも交渉を行うことは不可能ではありませんが、相手がそれで悪印象を持つ可能性があります。相手が不快に思うような行動を取った時は、GMは以降の会話判定に−4の修正を与えて下さい。
また、服装がきちんとしていない場合も同様です。正装とまではゆかなくとも、適度に清潔な身なりをしていなければ、−2の修正を受けることになります。ボロボロの身なりであれば−6以下となり、場合によっては話を聞いてもらうことさえできなくなるでしょう。
○身元の保証
身元がしっかりしていない者は、会話以前に相手にしてもらえない可能性があります。しかし、誰かの紹介や身元を証明するものがあれば、初対面の人間にも信用して貰える可能性があります。身元を保証するものとしては、職業組合のバッジなども有効です。
紹介状の影響力は紹介者の身分によって変わります。まず、紹介状そのものによって、信用・魅了(一般:知+判断)の判定に+2の修正を得ることができます。それから、紹介者の身分が相手よりも1つ上ならば、さらに+2の修正が追加されます。これは身分が上がるごとに累積されてゆきます。たとえば、相手が中層身分であった場合、貴族の紹介状があれば+4の修正を得ることができるのです。特定個人ではなく、組織からの紹介もこれと同様です。その場合は、組織を構成する人間の身分で判断して下さい。
ただし、紹介者がまったくの無名である場合、紹介状は意味をなしません。逆に、警察や弁護士など社会的信用がある職業であれば、さらに+2の修正を得ることができます。
○賄賂による修正
賄賂を贈ったり接待を行うことで、相手の口を開かせたり条件を緩和してもらうというのも、立派な交渉手段の1つです。賄賂として贈る金額が4桁(1000エラン単位)の場合、交渉相手の判定値に−1の修正がつきます。桁数が1つ上がるごとに−1ずつ累積してゆきます。
ただし、これは相手の財産レベルによって上下します。これに更に相手の財産レベルを加えた値が、実際に相手に適用される修正値となります。たとえば、財産レベルが−1の相手であれば、5万エラン(5桁)の賄賂を与えることによって、賄賂(−2)+財産レベル(−1)=−3の修正を相手に科すことができるのです。ただし、予めそのような不正なことは逆効果であると設定されている人物に対しては、賄賂は逆に相手を怒らせる結果となるでしょう。この場合、金額による効果はまったく逆方向へと作用します。先程の修正にマイナスの符号をつけたものが修正となります。賄賂を絶対に受けつけないという人が相手だった場合は、二度と話を聞いてもらえない可能性もあるので注意しましょう。
また、賄賂も種類によっては犯罪となる場合があります。それが明るみになった場合は犯罪者として扱われる可能性もありますので、注意した方がよいでしょう。
○コネクション
もし、ワールドリレーションのコネクションルールを導入している場合、交渉の仕方によっては相手との親睦を深めたり、逆に関係を悪くする可能性があります。それが非常に強い影響を及ぼしたと考えられる場合はには、成功値の分だけWPの数値を変動させても構わないでしょう。
◆交渉の修正値
修正 状況 −2 身分の層が1つ違う、動揺している、好みの異性が交渉相手の場合など −4 非常に動揺している場合や、立場や服装などが場違いな存在である場合など −6 話の内容が常識で考えて到底ありえないと思われる場合など
◆上流身分との交渉
修正 状況 −2 きちんとした服を着ていなかったり、言葉遣いが下品な場合など −4 礼儀作法の技能を持っていなかったり、言動によって不快感を与えた場合など −6 ボロボロの服を着ている場合など
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