ユノス2


 


○産物

 小麦、大麦、エンドウ豆、羊、石炭、鉄、銀


○文化・生活

 軍事政権時代の治世は国民の生活にも実直さを求め、贅沢は敵という観念を植えつけるものでした。政権そのものは短期間で倒れたため、こういった風潮が人民に根付くことはありませんでしたが、彼らは人民に思わぬものを残しました。それが自民族文化の復興です。
 貿易時代になって他国の文化が入ってくるにつれ、ユノス民族独自の文化は少しずつ廃れてゆくようになりました。もとより住む土地が異なれば文化も変わってくるわけで、細かな生活習慣などはセルセティアにいた頃とはだいぶ違ったものになっています。しかし、軍事政権は自民族意識を高めて国民の意思をまとめあげようとしたため、自分たちに都合のいい民族の習慣などを復活させました。この顕著なものが武道の復興で、廃れかけていた昔ながらの戦闘術を教える町道場なども、最近では見かけるようになりました。これらの武道は精神性を伴うもので、親たちは喜んで子供を道場に通わせています。
 こうして見直されるようになった自民族文化には、マイエル教の托鉢巡礼者たちが用いていた巡礼鈴が、後に細工を施した工芸品として広まることとなった『飾り鈴』や、移民当時の格好をして生の喜びを祝う『古祭』などといったものがあります。
 逆に、軍事政権によって禁止されたものが大衆浴場です。この国では大衆浴場は民衆の交流には欠かせないものであり、これが反体制組織の温床となることを恐れた旧政府は、建物の取り壊しまで行ったこともありました。なお、ユノスの大衆浴場には『歌い子』と呼ばれる少年がいて、歌ったり背中を流したりといったサービスをしてくれます。また、大道芸人なども大衆浴場と同じ理由で広場や大通りから追いやられ、一時は職を失いかけたのですが、軍事政権が打倒された今は活動を再開しています。


○食事

 ユノスの人々は魚介類をよく食べます。しかも、ナマコやウミウシといった、普通ではあまり食べないような食材を上手に調理します。刻み野菜とヒゲナマコのクリームコロッケやアンコウのたらこソースがけ、あるいはクロヒトデの海藻の和え物といった、非常に風変わりな料理もあります。
 調味料として特徴的なものに、魚の身と内臓を混ぜ合わせてペースト状にし、塩漬けにして発酵させたボーエル・ソースという、ちょっと癖のあるソースがあります。また、この国はカキ貝がよくとれることで知られており、オイスターソースがよく使われます。


○組織・集団

・黒蜥蜴
 数ある反政府組織の中でも最も過激な集団で、穏健派の現支配者層を批判し、強力な軍事力と規律を求めています。

・パルデスの宝剣
 軍事クーデターの際に最大の功績を残した陸軍大隊です。しかし、後に軍事政権の上層部と意見が合わなくなり、民衆蜂起の際に切り捨てられるような形で利用されました。生き残ったのはわずか7名のみで、彼らは旧軍事政権の将校たちに深い恨みを抱いています。もちろん、現政権からも追われる身であるため、スラムに隠れ住みながら復讐の機会をうかがっています。


○人物

・国王レノアール   38歳  男
 かつては軍事政権の傀儡として利用された人物で、再びクーデターの噂が持ち上がっている現在は、身辺の警護が厳重です。非常に気弱な性格で、彼のことをよく知る者は、まるで人形のようだと口を揃えて言います。

・クリューニル   52歳  男
 かつては陸軍少将として、軍事クーデターの成功に多大なる影響を及ぼした人物です。手段を選ばないタイプであり、現在もあらゆる手段を駆使して、政権の再奪取を試みようとしています。

・シェアの老女(故)
 ユナスの降臨の際に託言を受けた老女で、聖遺骸として教会にまつられています。

・ヴァリ   34歳  男
 千の腕のヴァリと呼ばれるテロリストで、爆発物の取り扱いに関しては並ぶ者はいないといわれています。旧軍事政権を打倒する際に腕を振るった人物ですが、現在は行方をくらましています。

・ロナウィ   2歳  女
 無垢なる災厄と囁かれている彼女は、自らに愛を注ぐ者に対して常に不幸を呼びこみます。まず、彼女を生んだ際に母親は死亡し、それまで順調だった父親の事業は急に不良債権を抱えることになります。結局、父親が首を吊った後は叔父夫婦に引き取られるのですが、そこでも火事が起こり、ロナウィを除く全員が死亡することになりました。その後、親戚のもとをたらい回しにされることになりますが、その全てに死や不幸が絡んでいます。現在は教会に引き取られていますが、ここでも何か起こるのではと囁かれています。

・シリオス=クレアスティー   27歳  男
 パルデスの宝剣の生き残りの1人で、大隊長だった人物の弟でもあります。今までにも何度か逃亡将校の暗殺に成功しており、その成功率は100%という狙撃の名手です。

・静姫クローディア   12歳  女
 ある地方領主の一人娘で、馬車の事故で喉をやられて声を出せなくなってしまったため、静姫と呼ばれています。クリューニルと父親との同盟の証として、クーデターが成功したあかつきには、クリューニルのもとへ嫁ぐことが決まっています。


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