撮影機器


 


○写真

 写真の発明が誰の手によるものかは明らかではありませんが、今から20年以上前にその原型が出来上がっていたのは確かです。初期のものは対物顕微鏡のレンズを使用した簡単な機構で、銀板や銀板を使って映像を固着させるものでした。この写真は社会に好意的に受け入れられ、この新たな分野に興味を持った技術者たちが、次々と技術を革新してゆきました。
 それから、他の分野に比べても急激に進歩した現在では、紙を使用する紙印画法に変わっており、当初の30分以上も被写体が静止しなければならなかったものから、速いものでは数秒程度で感光するほどに進歩しています。
 これから20年ほどの時間があれば、もっと優れた感光剤が開発されるようになり、シャッター速度も1秒以下に短縮することができるでしょう。また、それから10年も経たないうちに、1/10秒以下のシャッター速度で連続写真が撮れる高速度カメラや、セルロイドを用いたフィルムがつくられるようになるはずです。

 写真は撮影に時間がかかりますし、技術者もどこにでもいるというほど多くはありません。ですから、移動や準備の時間なども考えるとそれほど数をこなせる仕事ではなく、写真一枚の単価もそれなりの金額になってしまいます。そのため顧客はだいたい市民階級以上で裕福な家庭の者に限られるようです。しかし、あまり裕福ではない家庭の者でも、遠方に出かける前に家族に写真を残したり、あるいは軍人が出征前に両親と一緒の写真を撮りに来るということがあります。
 現在の写真はすべてモノクロで、その点では絵画に劣ります。ですから、絵心のある写真屋はモノクロ写真に着色し、カラーにして販売するということも行っています。単価は数倍に跳ね上がりますが、それでも金持ちは気にせず買ってゆくようです。


○映写機

 映写機にあたるものもエルモア地方には既に存在します。最初は見せ物小屋で使用されていたターンスコープと呼ばれる装置がはじまりで、手回しで一連の動きを与える絵が描かれた円板を鏡に映して見せるといった簡単な機構のものでした。そして、後にランタンを光源として取り付けるものが考案されて、多数の見物人が同時に見物できる装置へと発展してゆき、現在では絵のかわりに写真も利用されています。
 しかし、現在のエルモア地方の写真技術では、連続映像を記録するフィルムカメラは作製することができません。動画写真を見せるための映写機の登場は、写真技術の発展と電気の登場を待たなければならないでしょう。


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