○産物
泡米、柑橘類、砂糖(サトウキビ)、オリ一ブ油、サツマイモ、魚、石炭
○文化・生活
セルセティアの文化は、エルモア地方の中でも一風変わっています。これは亜熱帯の気候風土やマイエル教の影響によるものです。たとえば、温暖な地方であることから、この国の人々は着物のように前が開いた服を帯で巻いて身につけています。袖にもゆとりがあって、風通しをよくしてあります。暑い夏の昼休みには、木陰でハンモックを吊して寝る習慣があります。
北島と南島では少し文化が異なっており、北島はマイエル教の影響が強く出ています。セル人たちはマイエル教の教義に従っており、日々の生活の様々な場面で自然物に感謝を捧げる習慣があります。たとえば狩りをしていて獲物がとれたら山の神に祈りを捧げ、日照りが続けば天に雨を請うといった具合です。マイエル教では自らを強く鍛えることを奨励しており、北島には『武闘家』と呼ばれる素手で戦う戦士が大勢いて、セル軍の大きな戦力となっています。『闘技祭』と呼ばれる祭もあり、武術大会が催されたり、剣舞が披露されたりします。その他に北島で特徴のある文化といえばお香があります。マイエル教の儀式など(特に舞い)でお香はよく使われるのですが、それが民間にも広まって、今では各家庭に1つは香炉が置いてあります。
対して南島は、大河ヤハトを中心に発展した文化を持ちます。交通の要ともなるこの河にはたくさんの船が浮かんでおり、船を家として生活する人々も大勢います。彼らは何かと「母なる川に感謝を!」という言葉を口にしますが、これは聖母教徒の口癖である「我らが母に感謝を」という言葉からきたものでしょう。なお、夏は蚊が多いので、河岸に住む者は夜は蚊帳をつって寝ます。南島には竹林が多く残っていて、竹で編んだ篭や竹製の筏がよく見られます。南方には竹でつくられた家に住む部族もいます。また、薄く削った竹に絵や模様をくり抜き、下に紙を敷いて色を落としてゆく『型塗り』という芸術もあります。
○食事
食べ物もこの土地独特のものが多く、蒸したご飯や米麺を主食としています。また、ライスペーパーという米を粉にして薄くのばしたものに、エビや挽き肉を包んで揚げるという技法もあります。
米そのものも特徴的で、泡米という中に気泡をいくつも含んだ米が好んで食べられています。これは普通に食べてもおいしいのですが、そのまま焼くとポップコーンのようにはじけて膨らみ、サクサクした歯ごたえのおやつになります。また、この米を蒸したものをお茶に入れて混ぜ合わせると、泡がたくさんでてきて味がまろやかになります。こうして飲むお茶を泡茶といい、特に北島で好まれています。なお、南島では半分発酵させたお茶に漢方薬をまぜて飲む宿場茶というものがよく出されます。これは旅人(托鉢巡礼者)の疲れを癒すために出されていたのが、民間にも広く伝わったものです。
他に、この島ではサツマイモが非常によく食べられています。蒸かしたり、煮物に入れたりといった普通の食べ方の他に、つぶしたサツマイモと小麦粉を混ぜて衣にしたり、カステラにしたり、あるいは細切りにして揚げて砂糖をまぶして食べたりと、様々な調理法があります。サツマイモからつくられたスイートスピリッツという蒸留酒もよく飲まれています。
また、南島には竹林が多いことから、春にはタケノコ料理がよく食べられます。食べ物というわけではないのですが、セルセティアでは細い竹を二つに割って先をまるくした、竹匙というスプーンでご飯を食べることが多いようです。
○組織・集団
・川の民
ヤハト川に船を浮かべて生活している集団で、川渡しをしたり交易品の輸送を行ったり、あるいは漁をして暮らしています。船を家としており、ほとんど陸に上がることはありません。・チェイサーズ
セティア人側に荷担しているセル人の戦士たちで、ラハト派から異端扱いされた人々の集まりです。その恥辱を晴らすために、自らを復讐の戦士と名乗って戦っています。・トルバ村
セルキシュの近くに位置する村なのですが、彼らには所有という意識が皆無で、非常に変わった社会を形成しています。他の家に勝手に入っても咎められることはありませんし、誰の家でご飯を食べても一向にかまいません。陽気な集団で、余所から旅人が来ると輪の宴という祝宴を開き、村をあげて歓迎します。
○人物
・グレン=グラブドゥ 57歳 男
ラハト派の大神官であり、北島の実権のほとんどを握っています。非常に厳格な人物で、戒律を何より大事なものとしています。・リュミル=カレルレン 15歳 女
「光の聖女」と呼ばれており、セル人の英雄として先頭に立って戦っています。まだ年若い少女でありながら非常に聡明で、巫女としても非常に優秀です。神の啓示を受けたと主張していますが、ラハト派の上層部はその点に関しては一言も言及していません。・エクル=ヴェル 24歳 男
「路傍のエメラルド」と称される稀代の用兵家で、リュミル=カレルレンの補佐をしています。もともとはただの農夫だったのですが、リュミルに見出されて前線の指揮をとることになりました。・白き鎧サイファム 27歳 男
常にリュミルの側にいる武人で、彼女に絶対の忠誠を誓っています。その剣技には定評があり、遠くからでも見えるその純白の鎧は、戦場における恐怖の象徴となっています。・ブラッディルージュ 27歳 女
化粧系の術法を使う傭兵戦士です。ラハト派と何か因縁があるらしく、セティア人勢力の側に立って戦っています。かつて彼女には息子がいたのですが、その死とラハト派が何か関係しているようです。・マジャリ=ロイ 36歳 女
女性の地位向上を唱えるセル人女性で、ペントラハルを中心として活動しています。マイエル教は聖母教会とは異なり男女の地位に差があります。そのため、マイエル教と対立することが多く、セル人の中には彼女を敵軍のスパイではないかと勘ぐる者もいます。
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