概説
エルモア地方では、基本的に奴隷制度は公認されています。奴隷とされているのは、『黒人』と『赤人』の2つの人種です。
黒人はその名の通り、肌や髪、瞳の色が黒く、白人とは異なる文化を築いていました。元来ペルソニア大陸に住んでいたのですが、白人たちによってエルモア地方に連れ出され、奴隷として使役されるようになりました。農場や鉱山などでの肉体労働や召使いのような仕事など、様々な目的で労働を強制されています。
赤人は大陸の北方に住んでいた人種ですが、多くは大変異現象後にペルソニア大陸に移住しており、後に黒人とともに奴隷として扱われるようになりました。黒人と白人の言葉は大きく異なりますが、赤人はその経緯から黒人と白人の中間的な言語を話します。そのため黒人と白人の間にたつ通訳としての役目を負い、ごく自然に奴隷頭としての地位を得るに至りました。なお、北方に残った赤人は共通語を話すため、奴隷頭になることはありません。
現在では奴隷制度が成立してから何世代かを経ているため、黒人奴隷の子供たちでも共通語しか話せないような者も多くおり、赤人が言語の面で優遇されることは少なくなっています。しかし奴隷頭としての役割以外にも、黒人より優位に扱われることがあります。これは赤人が美しさにおいて他人種より秀でているためで、赤人の鑑賞奴隷をもつことは貴族のステータスシンボルともなっているからです。もちろんこれは名誉なことではなく、多くの奴隷のように奴隷の中からとはいえ好きな相手を選ぶことができる権利さえも奪われてしまうことになります。
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奴隷の位置づけ
奴隷という響きから、その労働は非常に過酷なものというような印象を受けますが、安くはない金額を支払うわけですから、思っているほどひどい扱いを受けるわけではありません。むしろ一部の下層市民のほうが厳しい生活状況にあるようです。ただし、奴隷からは全ての権利が奪われ、いわれのない差別を受けるわけですから、その点ではこの世の誰よりも不幸な環境に置かれているといっても過言ではないでしょう。
奴隷は殆ど全ての国で容認されていますが、特に数多く存在する国は、カルネア、エリスファリア、フレイディオン、ロンデニアです。これらに共通する点は、霊子機関を積極的に推進していることです。霊子機関の功罪ともいえますが、大量輸送が可能になったということは、奴隷を大量に輸送できるということでもあるのです。
このように科学の発達と植民地の拡大によって増加した奴隷ですが、今ではこれが思わぬ弊害を引き起こしています。たとえばカルネアですが、奴隷問題だけが原因ではありませんが、昨年の夏に起きた逃亡奴隷の虐殺事件が発端となり、南北間での内戦に突入しています。また、ロンデニアの領土ファイン=ファウンドでは、奴隷たちの地下組織が近いうちに反乱を起こす計画を立てているようです。教育の普及や封建制度の崩壊に伴い、人民は人権や平等というものを意識するようになっています。それは奴隷制度においても決して例外ではないのです。
なお、法教会を信奉する国々では、異端や変異体以外のものを差別することはありません。ですから奴隷制度も存在しませんし、他国の奴隷制度に対しても否定的な見解を示しています。また、ルワール大公国の黄人の独立運動を支援したりといった活動も行っています。聖母教会では、この問題については正式な見解を避けているようです。以上のように、奴隷制度は今まさに転機を迎えており、宗教組織の在り方をも加えて、最も論じられなければならない問題の1つになっています。願わくば、亜人や変異の影響によって虐げられている全ての存在も含めて、平等に生きてゆける世の中になって欲しいものです。
○その他の用語
・サヴォイ
奴隷階級の者をこう呼んで蔑みます。もとはペルソニア大陸で使われていたラガン帝国の言葉です。・奴隷の焼き印
奴隷は所有されている印として、肩に焼き印を押される場合があります。・レッド(複数形はレッズ)
レプラッド人から転じた赤人の蔑称です。赤人は自らを赤い角と呼んでいます。
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