ジグラット2


 


○産物

 鶏、羊毛、一角牛、豚、サラ豆、オリーブ油、柑橘類、葉タバコ、陶器


○文化・生活

 フェブロック周辺をアラム地方といいますが、ここは『アラム焼き』という陶器の生産で有名です。この地方独特の土を使って高熱で一気に焼き上げるアラム焼きは、薄くて非常に固いもので、刃物としても使用できるほどです。錆びることなく切れ味は鉄を上回るということで、このアラム焼きでつくられた刀剣などもたくさん存在します。これは焼き物であるため様々な模様を塗ることができ、貴族たちはこれを芸術品として買い求めます。
 この国では少し面白い風習があります。それはカイン人に伝わる民族的な伝統で、一般に『純白婚』と呼ばれています。これは実際の結婚ではなく、家同士の絆を深めるための結婚であり、もとより年老いた人々や身寄りがないものを救うための措置でした。つまり、身寄りのない者でも死んだ身内を結婚させることにより、親族として迎え入れるという儀式なのです。部族内での孤立を防ぐ目的で考えられた制度であり、複数婚や死人婚(死者と生者、あるいは死者同士でも可能)も許されています。こうして部族の結束をはかり、弱者の救済をしようという制度だったのですが、現在では貴族が勢力を広げるための道具として利用するようになっています。


○食事

 鳥肉と豆類がよく食べられています。特にサラ豆というデンプン質を多く含む豆は、様々な料理に利用されます。主食として食べられているのは、豆の粉をひいて油を混ぜ、それを薄く伸ばして焼くコルソーという名のクラッカーです。
 鳥肉も頻繁に食卓に並ぶ食材で、鳥肉とタマネギを薄くスライスして揚げたものを卵と混ぜ、器を温めてゆで卵風にする(上にチーズを乗せると風味が増す)ものや、皮をカリカリに焼いた鳥皮チップスといったものがあります。


○組織・集団

・竜の一族
 竜を操る能力を持った集団ですが、近年では竜が減少し、その勢力は衰えてゆくばかりです。

・ログリア薫風団
 美男美女が集まった詐欺団で、主に貴族を相手に詐欺を仕掛けます。

・角笛族
 一角牛の角細工で有名な遊牧民族で、国の南部を移動しながら生活しています。

哲学協会
 表向きは哲学の探求を目標に置いていますが、その実は政治的な問題を主題にしている組織です。現在の貴族主体の政策をよく思っておらず、中には他国の人権革命の影響を受けて、武力革命を考える過激な人々もいます。


○人物

・サレナス国王   68歳  男
 優柔不断な人物です。貴族や妃たちの対立の狭間にあって、自分の意見をはっきりと出せないまま、現在まで至っています。

・正妃フリエラ   32歳  女
 国内の有力貴族チェスター家の出身で、懐妊中の彼女を推す国内貴族は大勢います。

・寵妃サティア   23歳  女
 第一王子を擁することから、継承権を強く主張しています。しかし、地方の男爵家の出身ということで、彼女の味方につく貴族は誰もが王子を傀儡にしようという考えしか持っていません。

・主教ランシュタル   47歳  男
 切れ者として知られる男で、国政にも何かと口を挟んでくる彼を、貴族たちはあまりよく思っていません。寵姫サティアと手を組んで、何らかの企みを行っているといわれています。

・クーネル=アイロウ   36歳  男
 竜の一族の若き族長です。現況をよく思っておらず、一族の秘宝と呼ばれる力の謎を解いて、再び勢力を拡大しようと考えています。

・若将軍アウストリッシュ   20歳  男
 サティアの異母弟にあたる若者で、姉と甥の身の安全を危惧しています。実直な正確であり、あまり融通がきかないのが難点といえます。

・ハッペルベルク   25歳  男
 アウストリッシュに仕える武官で、真っ直ぐな性格の上官をうまくサポートし、汚れ仕事も平気で引き受けます。

・アイシャ   15歳  女
 ハッペルベルクの子飼いの密偵で、メイドに扮して宮廷に入り込んでいます。アウストリッシュに憧れており、彼のためなら命を懸ける覚悟でいます。

・ファランクス   24歳  男
 チェスター家の四男で、フリエラの実弟です。遊び人として知られているのですが、実際のところは堅苦しい宮廷の生活に嫌気がさし、家を飛び出たというのが本当のところです。現在は市井の間で暮らしながら、貴族の目は決して届かないような問題に首をつっこんでいるようです。


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