ルクレイド2


 


○産物

 霊石、鉄、石炭、柑橘類、麻、トウモロコシ、ヒマワリ、ゴマ


○文化・生活

 喪に服した人があまりにも多かったために『黒服の十年』とまでいわれた、革命後の混迷期はようやく終わりを告げ、人々の生活もかつての落ちつきを取り戻しつつあります。革命を成功させたのも術法師たちの力があったからであり、革命後の混乱を押さえるために役立ったのもまた術法です。この国は典型的な術法国家といえるでしょう。
 ルクレイドには『術法協会』の本部があり、術法協会が経営する魔術学校が存在します。ここでは高度な術法教育が行なわれており、大勢の優秀な術法師たちを輩出しています。魔術学校は術法を教えるとともに、一般教育も行っています。つまり、術法も教える私立の学校といった存在で、能力主義的な人材育成を主としています。この学校では、中等部の3年まで無償で教育を受けることができます。これは国家の保護があって成立する制度であり、革命による混乱が続いていた時代には政府の補助金が打ち切られていたのですが、最近になってようやくこの制度は復活し、充実した教育を行うことができるようになりました。魔術学校は奨学生制度も整っており、9年間の成績が優秀であると認められたものは、更に3年間の授業を無償で受けることができます。成績判定は3年単位で行われ、優秀な成績を取り続ける限り奨学金を受け取ることが可能です。
 霊子機関などの高度な科学技術が導入されるようになると、社会は高度な知識を必要とするようになりました。こういった背景のもとで、政府は他国に先駆けて9年の無償教育制度を公立の学校でも実施することを計画しています。
 このような高度な学校教育制度が受け入れられるようになったのは、近代教育の父と呼ばれる『アーシュリア=クリスィン』の努力があったからです。彼は貴族の出自であったのですが、その生涯を教育制度の改革に費やし、現在ではエルモア中で彼の思想が受け入れられるようになりました。


○食事

 ヒマワリ、ゴマ、トウモロコシといったものがよく料理に使われています。料理に使われる油は、このうちのどれかから抽出されたもので、ヒマワリ油が特に好まれています。
 主食はトウモロコシで、コーンフレークのように薄く焼いたものや、トウモロコシの粉をといて蒸したパンなどが食べられます。トウモロコシの粉とチーズ、にんじん、ハーブ、パセリをまぜて煮込んだスープや、トウモロコシの粉でつくったドーナツなどもよく食卓に上がります。
 また、南部では辛いものが好まれる傾向にあり、料理には唐辛子や山椒をたっぷりかけるのが一般的です。


○組織・集団

・ルクレイド純粋派
 革命前の王権の正当性を説き、旧制度の復活を掲げる集団です。旧貴族の残党からなり、ひそかに武力を蓄えてクーデターを企んでいます。

・クライングシープ
 革命政権を支援したプロの戦闘集団で、現在は陸軍に組み込まれています。中には術法師もおり、特にゲリラ戦を得意としていました。

・術法協会
 各国にまたがる術法師たちの組合で、首都リルトにその本拠地があります。術法協会が開設した魔術学校は、優秀な術法師たちを多く輩出しています。

・百科新派
 啓蒙思想家の集まりで、現政権の成立に多大なる影響を与えました。この中の何人かは大臣として国政に携わっています。

・ルクレイド義勇軍
 外国の啓蒙思想家たちが、国内の農民層に呼びかけて結成した軍隊です。革命軍の主力となった軍ですが、現在は解散しています。しかし、もしまた国内に乱れが生じれば再結成されるかもしれません。


○人物

・術匠マークス   76歳  男
 現在のエルモア地方では最高の技量を持つと言われる術法師で、術法協会の長でもあります。穏和な性格であり、人々の平和のために術法が使われることを深く願っています。

・レヴィン(故)   男
 エルモア最強と讃えられた術法師で、革命軍の勝利に貢献した人物です。しかし、寄る年波には勝てず、昨年の末に102年の生涯を閉じました。マークスの師匠でもあった男です。

・レヴィンズチルドレン
 最強魔道士レヴィンの最後の弟子だった7人のことをいいます。彼らはみな術法協会のメンバーとして働いており、それぞれが高度な術法を使いこなします。

・カナリー=クロナノミカ  21歳  女
 魔術学校の受け付け嬢をしていますが、レヴィンズ・チルドレンの1人であり、情報系や知識系魔術のエキスパートです。

・ルナック=ディアフィン   51歳  男
 一族の復興を望むかつての騎士ですが、現在は農民の1人としてクワを振るっています。息子がいじめられているのを見て心を痛めていますが、何をしてやることもできず、ひたすら我が身のふがいなさを呪っています。

・セイア=トゥエル   42歳  女
 革命の混乱にまぎれて、義弟に夫を殺された女性です。かつての夫の名であるダーランドを名乗り、復讐のためだけに生きています。

・赤い髪のジュリア   26歳  女
 精神操作系の術法を駆使する裏組合の暗殺者ですが、普段は酒場の踊り子に扮しています。炎にもたとえられる真紅の髪が印象的で、アクセサリーなども好んで赤系統の色のものをつけています。

・夢見人ヨルン=ウォレン   17歳  男
 夢使いであり、心の癒し手としても有名です。その腕前もさることながら、女性にも見紛うほどの美貌で評判になっています。

・スイレン(故)   女
 不戦自衛主義、無抵抗主義を唱えて領主に反抗したのですが、結局は処刑に合ってしまいました。死刑の公開が行われなくなってから久しぶりに公開処刑された人物で、信仰の死を嘆きながら最後の階段を登ってゆきました。この事件は『公開死刑執行』という書物に詳しく書かれています。

・リューラ=ミュン=アルカリア   28歳  女
 かつての貴族の娘で、落ちぶれた今は自分の身を売って生活しています。現政権には深い恨みを抱いており、旧貴族派のスパイとして活動しています。


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