解説/魔族

概説悪魔


 

概説


 神に敵対する邪悪な種族で、人間を堕落させることを目的として活動しています。魔族は全て瘴気に属しています。


○知識判定

 異端知識【魔族】(専門:知+記憶)、宗教知識【各種】(専門:知+記憶)、信者知識【各種】(一般:知+記憶)で判定を行います。


○分類

 魔界に生きるものをまとめて魔族と呼びます。悪魔といった場合は、魔界を統べる一族のことを言い、それ以外の雑多な存在はまとめて一般魔族と呼ばれます。一般魔族には魔人や魔界獣、それから使役悪魔などが含まれます。

 魔族の世界にも、人間社会と同様に身分が存在するようです。これは魔族の実力にも比例しますが、功績や行使できる能力によっても異なるようです。まず大きくわけられるのは、奴隷階級と一般階級とでもいった身分差で、下の位を雑兵、上の位を真魔と呼ぶこともあります。雑魔とされるのは魔族、使役悪魔、傀儡悪魔、悪魔戦士などですが、彼らの間での上下関係は明確に分かれてはいないようです。下位悪魔より上の位からは真魔に分類されることになります。
 真魔から上は、人間でいえば一般市民と貴族、あるいは部下と上司の関係となり、位が高いほど強い権力を持っています。しかし、同じ階級の中でも能力が高ければより重要な地位についており、また、魔王などの主に気に入られているほど強い権力を行使することができるようです。悪魔同士にも派閥や権力争いがあり、特に魔王たちの間では激しい逃走が繰り広げられているようです。

 雑魔:魔族、魔界獣、傀儡悪魔、使役悪魔、悪魔戦士
 真魔:下位悪魔、上位悪魔、魔将、魔王、魔神


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悪魔


 悪魔は悪の伝道者として日々活動を続け、人々を堕落させてその魂を魔界へと持ち去ります。その際の手段として、まず繰り返し相手を誘惑し、力を貸してやることで自分の必要性を認めさせるのです。そして契約を取り交わし、後に退けないようにして相手の精神を追いつめます。この契約自体には何の実効性もないという説もありますが、何より犠牲者が悪魔の力に魂を売ったと認識することが大事なのであり、その罪は永遠に消えることはないのです。しかし、悪魔の目的は相手を堕落させることなので、いつまでも力を貸し続けてくれるとは限りません。むしろ相手をさらに不遇な状況に追いつめ、長く苦しむよう仕向けることの方が多いのです。そのために周囲の人間を積極的に傷つけたりもします。
 堕落させた人物が高潔であればあるほど、魔界での評価は高いようです。そして、より多くの魂を魔界へと引き込むことで力をつけ、位を上げることができるのです。別の説では、魔に染まった魂を食らうことで、新たなる魔の力を手に入れるのだともいいます。

 悪魔は聖水を恐れたり、祈りの言葉に怯えたりするという言い伝えがあります。また、変身していても鏡には正体が映ってしまうとも言われています。しかし、これらは迷信に過ぎず、悪魔自信が人間を騙すために流した嘘という説もあるようです。悪魔は平気で教会に入り込んで来ますし、聖職者や聖印を見て逃げ出すということもないのです。なお、聖職者はこれらのことを知っているので、誤った対策をとることはありません。


○悪魔の死

 使役悪魔、悪魔戦士および傀儡悪魔といった雑魔は、死んでも普通に死体を残すだけですが、真魔になると『悪魔の心臓』と呼ばれる宝石のような透き通った石を残して、溶けてなくなってしまいます。
 悪魔の心臓は悪魔の魂そのものであるといいます。これには不思議な模様などが描かれており、色や形状は様々です。強い能力を持ち階級が高い悪魔ほど石は大きく、そして強い光を放つのだといいます。しかし、その輝きはあくまで禍々しく、知らぬ間に人間を悪の道へと誘い込むのです。
 悪魔の心臓は瘴気の結晶であり、周囲に瘴気を呼び集める力があります。これを長く身につけていたために、悪魔に体を乗っ取られたり、衰弱して死亡してしまった人間もいるという記録が残っています。この石を浄化すれば悪魔は転生の道を断たれ、永劫の眠りにつくことになるため、宗教機関ではこれを高く買い取ってくれます。もし浄化しなければ、周囲に集めた瘴気で再び体をつくり、生まれ変わりを果たすのだといいます。学術機関でもこれを引き取ろうとする者がいるそうですが、それは滅多にいない不信心者だけであり、周囲からは変人扱いされているような人が殆どです。もちろん、悪魔の心臓を隠し持っていた場合は、通常は異端扱いされることになるでしょう。


○復活

 悪魔の心臓が浄化されずに放置された場合は、いずれ周囲から瘴気を集めて復活を果たすことができます。期間は悪魔の階級や強さにもよりますが、下位悪魔で1か月以上、魔将で1年以上の時間がかかるといいます。これを防ぐには、浄化系の術法などで封印を施さなければなりません。


○悪魔の昇格

 純粋に地位を上げるには、上の位の者に功績を認めてもらうしかありません。そのために命令をこなしたり、人間を数多く堕落させることに尽力するのです。特に聖職者などの徳の高い人間の魂を堕落させた場合は、かなりの功績として認められるのだといいます。
 とはいえ、こういった仕事を細々とこなしていても、仕えている者よりも上に立つことは殆ど不可能です。しかし、より強い能力を身につけることで、主よりも上位の悪魔に認めてもらい、高い地位に引き上げてもらうことも不可能ではありません。悪魔はいざとなれば、主をも平気で裏切るものです。
 能力を上げるというのは、悪魔にとっては簡単なことではありません。しかし、悪魔の心臓を食べることによって、より強い悪魔へと変化できるのだと言われています。そのため、聖職者が持つ悪魔の心臓を狙ったり、他の勢力の悪魔をだまし討ちにしたりすることがあるようです。もっとも、上位の悪魔の死闘は魔神に禁じられているといい、魔将や魔王といった位にある者同士が直接戦うことはないのだという話です。


○悪魔の召還

 悪魔を呼び寄せるためには、基本的には術法による召還を行わなければなりません。しかし、まったく効力がない儀式でも、悪魔の方からそれを見つけてあらわれることもあります。そのため、実効性のある儀式として伝わっているものも存在します。
 こういった儀式には、多くの場合は生贄が求められます。それも自分に近しい者や愛する者であればなおよいとされているのですが、実際には何の意味もありません。ですが、よほど正しい知識がある者でなければ、そのことを信じているでしょう。また、悪魔の側からもそれを信じるようにし向けており、生贄が捧げられるまで隠れて様子をうかがっていることもあるようです。


○邪痕

 真魔が用いることができる特殊能力です。邪痕とは悪魔が狙った相手につける傷のことをいい、心の主能力と技能値で判定します。霊魂の魂の糸と同じような能力ですが、相手の位置がわかるだけで瞬間移動で現れることはできません。これを防ぐには、精神抵抗による判定に成功しなければなりません。呪いの一種であり、解呪するには呪詛払い(浄化系、霊媒系)か呪法解除(魔力操作系)の術法を用いなければなりません。


○憑依

 真魔は霊体のように人間に憑依することができます。この時、憑依対象の体のどこかに、悪魔の心臓の一部が見えています。この部分に攻撃されると、悪魔は生命の値に直接ダメージを受けることになり、憑依状態も解けてしまいます。


○魂の契約

 悪魔に願いを叶えてもらうためには、魂の契約と呼ばれるものを交わす必要があるとされています。契約を交わした者を黒の契約者と呼ぶことがあります。通常は3段階に分けて契約し、段階が進むほどより大きな願いを叶えてもらうことができるとされています。しかし実際には、かなえて貰える願いの程度は悪魔が判断します。

・第一段階
 言葉の契約と呼ばれる儀式を行います。これは口頭による契約であり、単なる交渉に過ぎません。

・第二段階
 文字の契約と呼ばれる儀式を行います。これは文書による契約であり、契約者は書類に自らの血でサインを行い、血判を押さなければなりません。この時、悪魔は契約者に邪痕を与えます。

・第三段階
 血の契約と呼ばれる儀式を行います。これは悪魔の血を飲む儀式で、肉体抵抗による判定を伴います。雑魔は効果値1、真魔は下位悪魔が効果値2で、位が1つ上がるごとに効果値は3ずつ上昇します。もし判定に失敗した場合は、生命の最大値に対して永久にダメージを受けることになります。これによって最大値が0になってしまった場合は、肉体が萎縮して死亡してしまうことになります。
 血の契約を行った者の性格は悪魔的なものに変化しますが、それだけではなく願いと奇跡ルールの適用も変わってしまいます。奇跡を用いることができなくなり、また、他人を救うために感情判定を行うことも不可能となります。


○魔人石

 魂の契約を交わして堕落した人間は、魔界へと落ちてしまうのだと言われています。そして、魔人へと転生を果たすのだというのが一般的に言われていることです。
 黒の契約者が死亡した時、その心臓は悪魔の心臓によく似た漆黒の石に変化しています。これが魔人石と呼ばれるもので、悪魔がこれを魔界へと持ち帰って自分の名を刻むことで、配下の者として転生させることができると言われています。
 しかし、実際には魔人となるわけでもなく、配下にできるわけでもありません。彼らはこの石をエネルギーとして、永遠の命を維持しているだけなのです。もっとも、悪魔は魔界では肉体が老化することはないので、別の次元へと移動した時のみ必要となります。


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