ラガン帝国


 


○概説

 かつて中央地方を支配していた国で、エルモア地方やアニスカグナ地方を含めた一帯でも最大の勢力を誇っていました。しかし、27年前に起こった謎の爆発事故が起こった後は結界に閉ざされ、一切の交流がなくなってしまいました。そして現在に至ってもなお、その向こう側で何が起こっているのかは明らかになっておりません。とはいえ、つい最近まで存在しており、エルモア地方にも多大な影響を与えた国ですから、ここではそれ以前のラガン帝国について簡単に解説しておきます。


○略史

 ソロニア人が中心となって成立した複合民族国家で、そのほとんどが黄人系民族でした。建国当初はパルファという国名でしたが、後にマステュス人の反乱があり、ラガン帝国が成立することとなりました。
 聖暦84年には、ラガン帝国はその圧倒的な兵力でペルソニアに侵攻を開始し、北部一帯を植民地とすることに成功しました。この時期のエルモア地方は非常に混乱しており、その隙をついてペルソニアを独占したラガン帝国は、植民地貿易を通じて勢力を増してゆくことになります。特に植民地産の香辛料を武器にアニスカグナ地方との交易を独占したことは、ラガン帝国を不動の地位にのし上げる最大の要因となりました。
 こうして力をつけたラガン帝国は、聖暦262年に現在の都市国家半島を平定し、エルモア地方へと足を伸ばしてゆきます。そして次に、セルセティア征服に向けて大兵団を送りこんだのですが、海魔現象と呼ばれる変異現象のために多数の死亡者を出すこととなり、初の敗北を喫してしまいました。この頃のラガン帝国は、曙帝国とも呼ばれるほどの勢力を誇っており、よもやこの侵攻が失敗するとは思いませんでした。この責任追及のために国内はしばらく乱れ、ようやくエルモア地方の国々は、この大国の脅威から一息つくことができるようになりました。
 ラガン帝国はこの後も国内の乱れが続いて、何度か王朝が交代しています。この時代になるとかつての権勢は薄れ、他国からは退廃帝国と揶揄されるようにさえなっていました。そして聖暦709年に起こった事件が、この大帝国を一気に衰退させることになります。それが『冒涜の王』と呼ばれる怪物の出現です。この怪物がペルソニアで大量殺戮を開始し、植民地の駐留軍はほぼ壊滅状態に陥りました。こうしてラガン帝国は支配地の多くを失い、ペルソニアへの他国の侵入を許すこととなります。
 これより以後は国内の乱れが続き、そして謎の爆発事故によって帝国は長い歴史を閉じることになりました。しかしその時、皇帝の末子であったメーティス=サイアル=ラガーナ(当時7歳)は運良くこの地を離れており、唯一の帝位継承者として現在も生存しています。そして帝国の復活を夢見ながら、歴史の影で暗躍しているのです。


○制度

 中央集権的な支配を続けてきた国でしたが、対外的なミスを重ねるにつれ王権は弱まり、後期には地方分権に近い状態に変わってしまいました。


○勢力

 ラガン帝国は同盟を結ぶ必要すらないほどの強大さを誇っており、特に他国と同盟を結んだりということはなかったようです。
 最盛期の頃は、植民地も含めるとエルモア地方に匹敵するほどの面積を持ち、末期でもカイテイン帝国以上の領土を支配していました。この大国の脅威があったため、エルモア地方では本当の意味での大規模な戦乱が起こらなかったといえます。逆にいえば、ラガン帝国が消滅した現在は、かつてなかったほどの戦乱が訪れる可能性があるということです。


○都市

・首都サルディスカトラ
 黄金の都と呼ばれていた美しい都市です。


○民族

・マステュス人
 黄人系民族ですが、巻き毛の者が多いのが特徴です。
 全体的に白人の顔立ちに近いため、混血の一族ではないかと考えられています。

・ソロニア人
 もともとはアニスカグナ地方に住んでいた黄人です。
 琥珀色の瞳と、彫りの深い顔立ちが特徴的です。

・セル人
 黒髪、黒い瞳の黄人です。
 黄人の中では肌の色が白い方で、きめ細かな肌をしています。

・クリントル人
 茶色がかった髪の毛をした黄人です。
 瞳の色も薄い者が多いようです。

・ラチェン人
 浅黒い肌を持つ黄人です。

・その他
 以上の他にも多数の民族が住んでいましたが、そのほとんどは黄人系です。


○宗教

 マイエル教を信奉していました。


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