概説
黄人(黄色人種)の間で信仰されているのが3大宗教の1つである『マイエル教』です。マイエル教はセルセティアや都市国家半島に住む黄人、およびユノスの一部で信仰されています。彼らは唯一神を信仰するのではなく、何百という膨大な数の神を祀っています。それぞれの神は場所や何らかの技術、事柄などを司っています。たとえば農業の神、太陽の神、学問の神、川の神というような具合で、これらの神々は一族としてとらえられています。その他にも、偉業を成し遂げた過去の人間を聖者として神格化し、神に次ぐ『亜神』として神殿に祀ったりもしています。
主に信仰の対象とされているのは『天神』(父)と『地神』(母)の夫婦と、その娘である『四季の女神たち』で、女神は四つの方位を守護する役目も負っています。これらは中央である天地とその四方を合わせて、世界そのものを表しているのだといわれています。マイエル教では、この六大神を示すヘキサグラム(六芒星)を聖印としています。
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教義と権威
マイエル教ではあらゆるものに魂が宿ると考えており、死んだ後も魂はいつか還ってくる(輪廻転生)と信じられています。しかし、そのためには心も体も鍛え、魂を澄んだ状態にしておかなければなりません。そうでなければ世界との一体化は得られず、一個の穢れとして世界と切り離されてしまうのです。この穢れた状態が変異であり、それを防ぐためには日々繰り返される心身の苦行が大切とされます。この教えが書かれた書物を『天地教典』といい、聖職者たちはこれに倣って日々修行に励んでいます。
マイエル教にはいくつかの宗派が存在し、宗派ごとの単位で管理されています。宗派は総本山となる大神殿と各地方に分散する小神殿で構成されており、小神殿は地域と深く密着しています。聖職者たちは民衆に多大な尊敬を受けています。
そもそもマイエル教は国政への発言力はなかったのですが,つい20年ほど前にセルセティアでセル人による政教一致の政体がつくられ、宗派の1つであるラハト派が三権を掌握している状態にあります。『光の聖女』とも呼ばれる巫女『リュミル=カレルレン』を輩出したことも、この状況に拍車をかけています。マイエル教の独自の兵力としては、『神武官』と呼ばれる存在がおります。心身鍛錬の一環としてマイエル教では武道を奨励しており、その中でも宗派を守る存在として武の道に励む者が神武官と呼ばれる職につきます。彼らは素手での戦いを得意としており、武器を持った相手とも互角に渡り合うことができます。
また、マイエル教では気というものが信じられており、この気を操ることで病を治したり、遠当てと呼ばれる気を飛ばす技で相手を倒したりといったことができます。この奇跡の力は衆生を救うためのみならず、穢れ(変異)を掃討するためにも役立てられ、これらの技に長けた者は人々の一層の尊敬を受けています。
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聖職者の階級
マイエル教での聖職者の階級は以下のようになります。
◆聖職者の階級(マイエル教)
階級 説明 大神官 宗派の頂点にたつ存在です。それぞれの宗派に大神官は1人しか存在せず、宗派に対する全責任を負う地位です。 神儀長/大巫女長 神儀官たちを束ねる役割を持ち、かつ大神官の補佐役も努めます。大神殿の様々な業務を取り仕切る地位です。 神儀官/大巫女 神務官たちを指導する立場にあり、政治的な影響力をもつ地位になります。実際に神殿を取り仕切ることはせず、広域の神殿を管理します。 神務長/巫女長 大きな神殿を預かる高位の官位であり、広い地域における宗教行事の一切を取り仕切ります。 神務官/巫女 神殿で一人前と認められたものであり、神殿の実際の仕事をこなします。小神殿を預かり、祭儀などを取り仕切ることができる地位です。 小務官/小女官 見習いとして神殿に属する者であり、様々な雑役をこなしながら修行に励みます。 平信者 それぞれの地域の神殿に属する一般の人々です。自主的に宗教儀式に出席したり、寄進を行なったりします。
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その他
マイエル教では神や自然との一体化ということが問題とされます。そのための手段の1つとして、祭儀では神曲の演奏や巫女舞いといったものが催されます。舞いを披露する『巫女』(舞姫)たちは、踊りの間にその身に神を宿すのだとも言われています。
巫女たちは、神との接触を得るために常に清廉であらねばならず、なによりも純血を守り通さなければなりません。このため彼女たちは幼い頃から世俗と離れて、室と呼ばれる修道院のような場所で、男性とは接触せずに修行生活に励みます。
○その他の用語
・妖魔
いわゆる変異の影響を受けた変異体の総称です。これを調伏することは、穢れた魂を解き放つための慈悲であるといわれています。・神魔、天魔、聖魔
格の違いによって様々ありまが、どれも神の使いである獣の呼び名です。・呪符
神の祈りの力を込めてある札で、祀っている神によって異なります。・天導儀式
神との接触を行うための儀式をいいます。導引と呼ばれることもあります。・托鉢巡礼者
各地を旅しながら修行するものをいいます。その生活の糧を托鉢に頼ることから、このような名がつきました。・巡礼鈴
巡礼者が通ることを合図するために鳴らす鈴や鐘です。宗派によっては杖の先に鐘が固定されている場合もあります。この鈴や鐘を使ってかけるのが鈴鐘系の術法です。・巫女舞鈴
巫女が踊る時につける鈴で、この鈴を使って鈴鐘系の術法をかける者もいます。
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