文明-概説


 


 エルモア地方の文明は、我々の世界で言うと1800年代に最も近いレベルにあります。この地域は霊子機関という動力機関の発掘により、聖暦700年代に入ってから急速に発展しました。ただし政治制度や宗教機関の意向、あるいは地理的な影響などがあるため、国家や地域によっては多少の格差があります。
 たとえば自動車やオートバイといったものは既に開発されておりますが、ほとんどの場所では馬車がつかわれています。戦場においても、矢と術法が飛びかう中を戦車が駆け抜けてゆくという、異様とも思われる風景を見ることもあります。このように非常にアンバランスな世界の中で、人々は宗教や学問、あるいは古い風習といったものに影響を受けつつ、精一杯に生活をしているのです。

 エルモア地方のほとんどの人間は、公用の言語として共通語と母国語を話せます。これは、もともとこの地域の人々は共通性のある言語を使っていたことに加えて、かつての多くの戦乱で移住や征服が繰り返し行われたためです。しかし、信仰する宗教や機械の使用状況(およそ機械と術法の普及率は反比例)、それから統治方法(近代的な政党政治や絶対王政)といった文化的な面では、それぞれの国家で大きな違いが見られます。

 エルモア地方には様々な人種が住んでいます。奴隷として扱われている赤人や黒人、そして黄人たちと白人の文化の間には大きな隔たりがあります。というのは、大勢を占める白人は、他人種との差異を変異による影響と考え、積極的に排斥したためです。それは現在の差別状況にも著しく現われています。なお、この思想は宗教的に暗に肯定されている(聖母教会の神書には、白人以外の人種との戦争の記録が多く記されている)ため、現状ではおそらく改められることはないでしょう。そのため、近年ではこれら人種の暴動、革命といったものが引き起こされています。


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