ライヒスデール2


 


○産物

 牛、ビール、小麦、大麦、ジャガイモ、石炭、スズ、ニッケル


○文化・生活

 皇帝はリミュール人を最も優秀な民族であると宣言し、それ以外の民族の地位を低いものとしています。この徹底した自民族主義は、奴隷の存在すら認めておらず、古い時期から他民族の排斥運動を行ってきました。
 この過激な選民主義に関しては国民の中でも賛否両論あるのですが、声を大にして反対することは皇帝への反逆とみられるため、影で密かに論議されています。この傾向は最近ではさらに顕著になりました。というのは、最近になって密告令というものが発布されたからです。これは国家秘密保護法の一部として通過した法案であり、反国家的言動や密偵行為の密告を奨励するというものでした。通報者には報償として幾らかの賞金が与えられます。国家秘密保護法はもとより軍事機密を守るための法案だったのですが、それは表向きのことで、強力な国家統制を目的として作成されたというのが実状です。現在の秘密警察の検閲は、時には個人の手紙も開封されるほどの徹底ぶりで、書物や新聞の発行にも国家の許可が必要です。こういった中で闇新聞と呼ばれる文化が発達し、人々の反政府的な活動はますます地下に潜る結果となっています。


○食事

 この国ではジャガイモとベーコン、そしてタラがよく食べられます。露店ではポテトとベーコンの串焼きや、揚げジャガドーナツなどといった手軽なおやつが売られています。これらは家庭で毎日のように見られる食材で、輪切りのジャガイモを揚げたものでウチダラ(内海に棲息するタラの仲間。)を挟んでオーブンで焼いたり、ベーコン、スパイスリーフ、シイタケ、タマネギなどの炒めものを卵で巻いて、上からソースをかけたものが、非常によく食卓に出されます。
 また、この国ではワインよりもビールが好まれており、肉のビール煮といった料理もあります。しかし、飲み過ぎにはくれぐれも気をつけた方がいいでしょう。間違って政府への不満を漏らしたりしては、たちまちのうちに投獄されることになりますから。


○組織・集団

・銀仮面騎士団
 強力な騎兵隊であり、その顔全体を覆う銀色の仮面から、敵軍から銀色の悪魔と称されて恐れられています。

・秘密警察
 軍の密偵調査機関で、その悪名は国外にも広まっています。その勤勉さを皮肉って、民衆は影で彼らのことを『すりきれコート』と呼んでいます。

・ライヒスデール国家友愛党
 差別主義の過激派で、移民排斥運動と称して不法居住者を私刑にかけたことで名を広めました。

・ライヒスデール博愛協会
 非軍事派の地下組織で、友愛党に対して敵対行動を取っています。

・港湾自治団
 エスワルトでつくられた青年自警団ですが、その乱暴なやり口は暴力団と変わりません。最近では住民との間で数々の衝突を繰り返しています。

・アンディン族
 ライヒスデールに住む唯一の他民族で、南部の山地でひっそりと暮らしています。


○人物

・皇帝バウムアネス2世   46歳  男
 極端な選民主義者であり、恐怖の独裁者として君臨しています。

・美将軍メーアトール   27歳  男
 成り上がりの軍人で、皇帝には特に目をかけられている優秀な用兵家です。その美しさから婦人たちの受けはよく、美将軍の名で呼ばれています。しかし、本人はいたって禁欲的で、実直な軍人としての態度を決して崩しません。

・ハイエルゼン子爵   34歳  男
 秘密警察の所長の地位にいますが、皇位継承5位の子爵としての顔も持っています。氷の知性と呼ばれるほどの冷酷な男で、いかなる非道な命令書にも眉ひとつ動かすことなくサインします。

・軍神フリーダス=ジルフィール   61歳  男
 皇帝の不興をかったことから退役を余儀なくされ、現在はロッドリアの郊外で隠居生活を送っています。しかし、国家の行く末を憂慮する青年将校たちはひそかに彼を訪れ、熱心に復帰を持ちかけています。

・ヘイゲルト=リューレック   34歳  男
 歪みの血族と呼ばれるリューレック家の当主で、彼もまたその名を受け継ぐに相応しい狂人です。嗜虐的な性癖をもつ彼は、ひそかに奴隷を買い入れては、それを惨殺して楽しんでいます。

・ルイドヴィッヒ=リーインバッシュ   49歳  男
 癇癪持ちで知られるクレンスロッツァの領主です。しかも、彼の場合は怒りだすきっかけというものがまったくつかめず、ちょっとしたことでころころと気分が変わります。その中にはほとんど言いがかりとしか思えないものも多く含まれており、彼に仕える者はその怒りに触れずに1日を過ごすことを、ほとんど諦めています。

・フランツ=ヴィッシェルハイト   20歳  男
 ドライゼンラントの南部に領地を持つ男爵の次男なのですが、アンディン族の存在を知りながら、その存在を隠しています。しかし、この事実が明るみに出た場合は、たとえ貴族の家系といえども厳しく処罰されることは間違いないでしょう。

・メラウ=ディノン   16歳  女
 アンディン族の族長の娘です。フランツに恋をしてしまったのですが、身分違いということはよく理解しており、懸命に自分の気持ちを押さえています。


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