○産物
サリカット馬〈東部産の馬)、米、トウモロコシ、魚、ブドウ、ワイン、木材
○文化・生活
不死者の存在によって夜間が不自由になる土地柄であることから、この国では家族で遊べるミニゲームのようなものが多く生まれました。エルモア中で行われているブラック・カードというゲームも、この国で原型が生まれています。また、チェスを大規模にしたような、何人もが参加して遊べる国取りゲームなど、他国にはない一風変わった遊びもたくさん考え出されています。
こういったゲームに使用する駒もまたゲームの歴史とともに発展し、今では芸術の1つとして数えられています。黒曜石を磨いたようなものから、金や銀でつくられたり、あるいは宝石を埋め込んだ財宝とも呼べるような駒まで存在するのですから驚きです。もちろん、一般家庭にこのような贅沢品があるはずもなく、多くは木彫りの駒なのですが、それでもその1つ1つに凝った細工が施されているのが普通です。先祖から受け継がれた古い駒は家宝として扱われ、代々子孫に受け継がれてゆきます。
ゲームの駒を代表として、この国では木彫りの細工物が多くつくられており、フラワーカービングと呼ばれる木彫りの花や、動物の飾りなどが家中に飾られています。また、箱庭芸術として知られる木彫りの家は、建物や周囲の庭園はもとより家具にさえ細工が施されており、高級品になると本物と寸分違わぬ作りをしている品もあるほどです。貴族の中には、庭をまるごと木彫りのフラワーガーデンにしてしまっている者もいるぐらいです。また、様々な意匠を凝らした木製パイプも芸術として成立しており、紳士の嗜みの1つと考えられています。
また、これも暗闇に対する恐怖からきているのでしょうが、この国の絵画は光と影を強調するものが多く、光画派と呼ばれています。文化の交流が頻繁になってきた現在では、その独特の技法は他国の画壇にも強い影響を及ぼしています。
○食事
他の国々とは異なり、米を主食としています。リゾット風にして魚介類をまぜて調理したり、焼き米として煎ったものをそのまま食べたり、あるいは米の粉を引いてミルクを加えて焼いた粉餅と呼ばれるパン状のものが食べられているようです。
メルリィナで特異なものとしては、サラ豆というデンプン質を多く含む豆の煮汁をにがりで固め、それを発酵させて塩で味をつけたトーニャンという調味料があります。これは熱したチーズのようにとろみがあり、味は味噌によく似ています。メルリィナの料理の多くには、このトーニャンが入ります。
この他にあまり他国では見られないものに、カタツムリ料理があります。リゾットに入れたり、トーニャンで煮込んだりすると、非常に美味しく食べられます。
○組織・集団
・鉄翼騎士隊
戦場を駆る馬のはやさから、鉄翼の名で呼ばれる騎士団です。良馬で知られるサリカット馬のみで構成されています。・早馬組織
伝令士たちの組合で、サリカット馬を使っています。国の全土に中継地があり、馬を交換しながら手紙や荷物を運びます。
○人物
・国王ラル4世 48歳 男
争いごとを好まない優しい人物なのですが、そのことが国内をより混乱させているようです。現在は王女の婿問題で頭を悩ませています。以前より心臓を患っているのですが、最近は心労から特に頻繁に発作を起こしがちです。・王女ヴィオレッタ 16歳 女
いつもおどおどとした感じの可憐な美少女で、姫という言葉がよく似合います。まだ結婚という言葉がぴんとこないようで、普段はぼんやりと花を眺めて過ごしています。・マルトシュタック公爵 59歳 男
名士会の中でも最大の勢力を誇る貴族で、その財力は国王と比べても遜色ないほどです。マーテルロー付近を治めており、漁業、米、国外貿易といった3つの柱で、これからも力を増してゆくのは間違いありません。・宰相ロゼストエンド 55歳 男
現国王の元で11年間務めている人物で、名士会に対する唯一の歯止めとなっています。おおむね良識の徒ということができ、民衆には人気があります。・主教コーライル 52歳 男
いつも笑顔を崩さない柔和な表情をしていますが、決して自分の主張を曲げようとはしません。術法の達人としても名を知られています。・ガルフォ=ルファード男爵 36歳 男
リューディア付近を牛耳る裏組合の長で、本当に男爵の爵位をもっています。この組合は、もともとは先祖代々の情報網の1つだった隠密集団が裏組合に転じたものです。ツバキ油でととのえた口ひげが自慢のきざな男で、先祖たちのような強引な真似を好まず、スマートなやり方を好みます。・ヒルストン候爵 31歳 男
マルトシュタック公爵の甥であたる青年で、王女の婿の筆頭候補です。能力的には凡庸で、可もなく不可もなくといったところでしょう。・ライルファート子爵 22歳 男
宰相の息子で、王女の婿の候補者の1人です。父親の優秀な面を受け継いでおり、時には非凡な才能を覗かせることもあるのですが、なにぶん若さゆえに経験が不足しており、マルトシュタック公爵に対抗するには役者不足といった感があります。
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