歴史-概説


 


 カナン大陸の最西端に位置するエルモア地方は、かつて魔神の呪いによって『大変異現象』という災厄に見舞われました。これは物質や精神などあらゆるものが歪んでおかしくなってしまうというもので、生き残った者たちは狂ってしまった生物や環境に翻弄されながら、長く苦しい時を過ごすこととなったのです。しかし、後に神の使いを名乗る少女アリアが現われ、たくさんの奇跡によって人々を救いました。そして魔術(術法)という不可思議な力を教え、愛を説きながら少しずつ社会を整えていったのです。
 後にアリアはたった1人で13人の娘を生み、上の12人を連れて魔を封じる旅に出ました。残された最後の娘ユナスは母や姉たちの教えを守り、『聖母教会』という宗教機関を設立します。この教会の教えはやがて人々の間に広まり、国政にまで発言力を持つようになりました。しかし、後にこの組織にも異端派が現れ、主教の中にも異なる考えをもつ者が存在するようになったのです。

 セルトラーンという主教は考え方の違いから聖母教会を出奔します。そして、人々を救済する旅の途中でルーンという青年に出会いました。ルーンは聖書に伝えられるところのアリアやその娘と同じ力を持ち、人々に愛や公正さを説いて、戦乱で廃れてゆく衆生の心を救済しておりました。セルトラーンは神の啓示を受け、この青年が神の子の1人であることを知ります。そして、ルーンとともに救済の旅を続けながら、この啓示を人々に広めてゆきました。後にルーンは自らの身を犠牲にして魔神を倒し、神の使徒の1人として祀られることとなります。こうしてできたのが法教会という宗教機関です。

 聖母教会と法教会は互いに相手を異端として、長い年月を過ごしてきました。ここで新たな変化が起こります。ユナスが降臨し、人々に予言を残したのです。この予言はみごとに的中し、聖母教会は少しずつ失いかけていた権威を再び取り戻すことになります。そしてユナスが降臨した年は聖暦元年と定められ、現在の標準歴ができました。聖暦789年の現在では、エルモア地方の人口の70%が聖母教会の信者であり、国政にも未だ強い影響を与えています。


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