○産物
石炭、鉄、羊毛(ミール羊)、小麦、オルゴール、時計、機巧人形、振り子石
○文化・生活
牧羊の他に有名なのが、機械の街ティアリッツの精密機械です。ここでつくられるオルゴールや時計は、その精度もさることながらデザインの上でも一流であり、芸術の1つとして成立しています。中でも演奏人形と呼ばれる人型の演奏機械は、人と見紛うばかりの動きをします。人形師のほとんどはこの街の出身で、その技術は各国でもてはやされています。こうした技術は他の機械の開発にも活かされており、この街を中心として次々と新しい機械が生み出されています。
この国には術法師としての人形使いも数多くおり、一流のものは『ドールマスター』(人形匠)としての称号を持ちます。このマスターたちがつくり出す『自動人形』は、人間と全く区別がつきません。
○食事
ミール羊がよく食べられています。この羊の肉はくせがなく、どんな調理法にも合うといわれています。豆ブドウと一緒に煮込んだり、細切りにしたジャガイモと一緒に炒めたり、サイコロステーキにして食べたりと、多彩な使われ方をします。
また、他の国ではそれほど見られませんが、南部の方ではタンパク源として昆虫を食べる習慣があります。イナゴやバッタ、あるいはコオロギといった昆虫が好まれるようであり、煮付けたり油で揚げたりして、おやつがわりにしています。
この国の料理は、なんでも小さく薄くしたがる傾向があります。たとえば主食のパンも薄切りにするのが普通ですし、クラッカーや一口サイズのマフィンもよく食べられています。あるいは小麦粉とミルクを混ぜた生地を薄く広げて焼いたもので、レタスや薄切りの肉をくるんで食べたり、薄焼き卵で野菜炒めを包んだりといった具合です。また、ミール羊の薄切り肉を煮立ったスープにくぐらせて、それをソースにつけて食べる鍋物などがあります。
○組織・集団
・工房「光の翼」
ルーティック市の郊外にある自動車工房で、発掘エンジンを積んだ車で限界速度を目指しています。社員のそれぞれが軍からスカウトされるほどの技術を持っているのですが、頑としてその誘いを断りつづけています。修理で稼いだ金をすべて新型車の開発につぎ込んでいるため、いつも経営は火の車です。・自由学舎
ある貴族が出資している私立大学で、生徒たちの提案で自由に教室をつくることが可能という、非常に変わったシステムをもっています。教わる側が講義の内容を決めることができ、そのカリキュラムに見合った教師を学校側がスカウトしてきます。貧乏な学生たちにも広く門戸が開かれており、国内外を問わず入学希望者が殺到します。・人形戦士団
国家に所属している人形師たちが作った人形で構成されている部隊です。国民にもその存在を秘匿されている秘密部隊であり、情報収集や戦闘など様々な分野で活躍しています。
○人物
・幼王クリステア 5歳 女
第一位の王位継承権をもち、15歳を迎えると同時に女王となるはずの少女です。好奇心旺盛な女の子で、いつも何かに興味を示しては世話係を困らせています。凝り性である半面、非常に飽きっぽい性格であり、次々と興味の対象を変えてゆくのが、周囲の人々の悩みの種です。・ユルファシス=ド=カスティーナ 37歳 男
先王の弟であり、クリステアの後見人として国政を取り仕切っています。特に野心家というわけではないのですが、法王が政治に干渉することをよく思っておらず、水面下では激しく対立しています。また、クリステアを非常に可愛がっており、彼女のためにも王権の絶対性を確立しようと日夜努力しています。・法王ストレイン=ライカルト 52歳 男
法教会の最高位にある人物です。歴代の法王の例にもれず非常に厳格な人物で、貴族たちの圧力に対しても徹底的に戦う心づもりでいます。・アルフィリル=レールランディ 15歳 男
変異の影響で多重人格となってしまった少年で、3人の自分を頭の中に宿しています。1人は天才的頭脳を持つ数学者、もう1人は悪戯好きの子供、そして最後の1人は非常に残酷な性質の女の子です。伯爵家の長男として生まれたのですが、このような事情のために家督相続権はすでに弟に譲り渡されています。親しい人々は彼のことをパンジー(三色すみれ)と呼んでいます。・ルミナ=シルヴァン 32歳 女
ティアリッツ付近に根城を構える山賊団の女首領で、左頬に大きな刀傷があるのが特徴です。もともとは良家の子女だったのですが、旅の途中で山賊の襲撃を受けて拉致され、長い間慰みものとして過ごしていました。しかし、彼女は黙ってその境遇に甘んじていたわけではなく、その美貌を武器に首領に取り入り、ある程度の地位を確立してから首領を毒殺して、山賊団を乗っ取ることに成功しました。頬の傷はある隊商を襲撃した時に受けたもので、これをきっかけに彼女の屈折した性格は過激さを増し、そのやり口は異常ともいえる残虐さなものに変化してしまいました。最近になって法教会の討伐隊が組織されたことを聞きつけたためか、その活動は少しなりをひそめていますが、ほとぼりが冷めた頃には再び隊商たちを恐怖に陥れることでしょう。・スノーホワイトの少女 ?歳 女性
雪の乙女、白の乙女と呼ばれる双子の少女で、樹氷の森に住んでいます。樹氷の森の番人といわれていますが、何を守っているのかということは誰も知りません。ただ、侵入者をかたくなに拒み、術法を駆使して相手を追い出そうとすることだけが知られています。その正体は雪エルフではないかとも言われていますが、彼女たちの髪の毛は純白であることから、その噂には否定的な意見が多いようです。・オルドス=フォルディアノ 52歳 男
厳格で知られる法教会の聖職者の中でも、最も堅物と呼ばれる司祭です。裁判官の職務についており、ある地方男爵が民間人に暴行を振るった一件で、その男爵に有罪判決を言い渡したことで非常に有名になりました。しかし、その相手を選ばない公正さは貴族の不興を買ったようで、彼を裁判官の任から解くように教会へ多数の要請書が提出されていますが、教会側は断固としてこれを拒否しています。このような事態にありながら彼自身はいたって平静で、あくまでも教会の決定に従うつもりでいます。・ルミラン=サイアード 27歳 男
狂気の発明家として有名な青年で、その常軌を逸脱した行動から学問院を放逐され、現在は首都の郊外で発明品の開発にいそしんでいます。彼が発明を行うとなぜか出火や爆発騒ぎが起こり、かつては学問院の研究棟を一棟炎上させるという事件を起こしています。近所の人は迷惑がっているのですが、本人は周囲の制止もかえりみず、今日も元気に研究に取り組んでいます。・カーレル=グリフィス 21歳 男
工房「光の翼」の唯一の実験乗組員で、非常に腕のいいドライバーです。今まで何度も危険な目にあっていますが、いずれも軽傷ですんでいます。社長夫妻の娘リコリーといい雰囲気なのですが、非常に照れ屋なためにその仲は全く進展していないようです。
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