○自然
7か国と国境を接する内陸の国です。南方をルーエンス山脈が走り、中央をアーネス川が東西に貫流します。海洋の影響は少なく、国土は温帯に展していますが、山脈付近は冬期の寒さが厳しく降雪量も多い地域です。中央部は平原で、比較的乾燥しています。雨は5〜7月頃に多くなります。
○変異
ルーエンス山脈の『雷石』が有名です。天然の手榴弾とも呼べるこの石は、衝撃を与えると爆発する性質があり、大きいものはダイナマイトのように使用され、小さいものは銃弾の信管などに利用されています。この国では冬と春の狭間に、ルーエンス山脈から遠雷のような音が聞こえてきます。これは雪解けの際に雪とともに雷石が滑り落ち、それが岩にぶつかって爆発するために起こる現象です。人々は春の訪れを告げるこの音を待ちわびながら冬を過ごします。
もう1つの有名な変異は『癒しの風』と呼ばれるもので、南方の都市サリュンティルの広場で起こる現象です。そう頻繁に起こるわけではありませんが、体具合の悪いものが時折ここで吹くつむじ風に包まれると、悪い箇所が癒されるというものです。観光の名所ともなっており、広場の中央に位置する天使像とともに、街の象徴として他国にも広く知られています。
○略史
聖暦134年に法教会の仲立ちによって、イーフォン皇国の被征服民であったナヴァール人と、下級貴族であったマイリール人が連合体制をつくりあげ、皇国滅亡後の混乱をおさめることに成功しました。こうして成立したのがペトラーシャです。
ペトラーシャはその後、小さな国境紛争を行うことはありましたが、他国とはそれほど諍いも起こさずに過ごすことになります。この国で起こった最大の戦争は、聖暦565年に勃発した『ペトラーシャ継承戦争』と呼ばれる国内紛争でした。継承戦争は70年余りも続き、貴族たちの二重結婚による領地の拡大政策などが数限りなく行われました。このような無政府状態の腐敗した政治情勢に疲弊した人民は、後に法教会の助力で革命を起こし、王朝を打倒することに成功します。こうして国王は象徴的存在と規定され権力を奪われてしまい、政党と3府政による近代政治制度が誕生することになりました。
継承戦争以降は法教会の影響もあって、国外に対する干渉はほとんど行なっておらず、それが逆に国力を高める結果を生みました。現在のエルモア地方では最も文化的に進んだ国であり、先進的な科学に支えられた軍もおそらく最強ではないかと噂されています。しかし実戦経験はほとんどなく、それらしいことといえばユークレイとライヒスデールの国境紛争を後方から支援しているだけにとどまっているので、いざ戦争になったとしてもどれほどの働きができるのかはわかりません。
○制度
象徴的王制をしく、この時代では先進的な政冶制度をとっています。3府制のうち、立法府は上議院と下議院に分かれており、それぞれ職能代表と平民によって構成されています。行政府は議会とは別に選ばれる首相を中心に組織され、その下で実務を指揮する大臣の多くは、各分野の専門家から選出されることが多いようです。司法府を取り仕切っているのは法教会で、裁判官は聖職者の中から選抜されます。整備された近代政治制度をとるこの国には似つかわしくないようですが、これは継承戦争の平和的終結に法教会がどれほど大きな役割を果たし、そして以後も信頼に足る実績を重ねているかの証でもあります。
・貴族:名誉階級。主に政治家として活動しています。
・騎士:存在しません。
・軍隊:行政府に属する近代的な軍事組織です。
・司法:法教会が統括しています。
・警察:行政府に属する組織です。
○現況
『学問都市ペトルラーン』での研究により、試作段階ではありますが様々な機械が開発されています。それに対して各国の密偵などが入り込んで、都市は混沌とした様相を呈しています。この国ではライヒスデール、フレイディオンと並んで軍事技術の最先端をきわめており、飛行船による空軍も存在しています。
○国家関係
・友好国:ユークレイ、カスティルーン
・敵対国:特になし。ただし神聖同盟の盟約により、カイテイン、ライヒスデール、フレイディオンとの国交は断絶中です。
○首都:ペトルラーン
学問都市として国外にも名が知られています。霊子機関の実用化を成功させたのも、この都市の学問院でした。
○民族
・マイリール人
金髪で碧眼の白人です。・ナヴァール人
漆黒の髪と瞳で、白雪色の肌をもちます。・ドラゴニアン(竜人)
カスティルーンとの国境付近に住んでいます。
竜のような鱗と翼をもち、顔は完全に竜とかわりません。
○宗教
法教会を国教としています。聖堂騎士として『聖騎士』をもちます。
○要所
・竜人の森
北部に広がる照葉樹林で、竜人たちの集落が点在しています。・ルーエンス山脈
その別名を雷雲山脈といい、雷石の産地として国外にも知られています。
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