願いと奇跡


 


○奇跡の協力発動

 複数のキャラクターが同じ状況で使用できる感情ベースをもっていた場合、それぞれの感情レベルを足して奇跡を発動できるものとします。
 術のレベルとポイントの消費に関しては、通常のルールと同じように扱います。たとえば、1人が感情レベル2で奇跡ポイントを2消費し、もう1人が感情レベル3で奇跡ポイントを1消費した場合は、2×2+1×3=7レベルまでの術を使用できるようになります。感情レベルも同様で、全員が協力して出し合うことができます。
 ただし、あまりにも強力すぎるルールだと感じた場合は、感情ポイントは全員が同じ分消費することにしても構いません。さきほどの例ですと、双方とも70点消費する必要があります。


○残留思念

 キャラクターがゲームの途中で死亡した場合でも、感情ポイントを用いて仲間を助けることができることとします。

・変換
 キャラクターが死亡した場合、プレイヤーが望めば残留思念(幽霊のようなものだと思って下さい)として意識を残すことができます。この時、まず感情ポイントに気力と自我の値を足して下さい。このポイントは今後減ることはあっても、増えることは決してありません。残留思念は感情判定を行えるわけではないのです。
 次に、持っている感情ベースの種類を変更しなければなりません。感情ベースとして設定できるのは、特定対象のみとなります。個人や物品といったものに対して、3つまで感情ベースを設定することができます。それから感情レベルについてですが、これは死亡した時点の感情レベルを合計した値を、また新たに振り分けることができます。この時、最大10レベルまで設定することが可能です。

・助力
 残留思念は奇跡と破滅を発動することができます。逆にいえば、それ以外のことを行うことはできません。その姿は決して生者に見えることはなく、術法や奇跡でも使わなければ意志の疎通を行うことも不可能なのです。
 奇跡や破滅の対象となるのは、感情ベースとして新たに設定した人物や物品に対してのみです。奇跡ポイントや破滅ポイントは生前のものを持ち越すだけでなく、感情ポイントを10点消費すれば、1点の奇跡/破滅ポイントに変換することができるものとします。この変換は、プレイヤーの望む時に行うことができます。

・消滅
 感情ポイントが0になった場合、残留思念は消滅します。以後、二度と復活することはありません。なお、プレイヤーが強く望んだり、シナリオの都合ということでGMが設定するのであれば、残留思念から霊体になっても構わないでしょう。怪物データの霊体のページを見て、その意識に相応しいものを選択して下さい。傾向としては、奇跡を使って意識が消滅した場合は残留思念体や記憶体、破滅を使って消滅した場合は悪霊や怨霊などに変化することでしょう。


○パーソナルゴール

 感情判定を行う場合は、判定の度にGMに許可を得なければなりません。しかし、シナリオの中で特定の目的を設定した場合、それに関連する判定に限っては、プレイヤーの判断で自由に感情判定を行う権利を得ます。
 この目的のことをパーソナルゴールと言いますが、これはシナリオでクリアすべき目的に含まれるものでなければなりません。プレイヤーはプレイの途中でシナリオの課題を予想し、パーソナルゴールの内容とそれに相応しい感情ベースを指定します。パーソナルゴールは1シナリオで1つしか設定することができませんが、それに対応する感情ベースは複数あっても構いません。宣言はいつでも好きなタイミングで行うことができ、GMの許可を得る必要もありません。宣言を終えた直後から、GMに無許可で感情判定を行うことが可能となります。1つの感情ベースにつき、感情レベルと同じ回数まで感情判定を行うことができます。判定自体は通常と全く同じ処理をし、得られるポイントなども普段通りとなります。

・レベルの上限
 GMはシナリオの難度を基準として、使用できる感情レベルの上限を定めなければなりません。シナリオの難度は最後に与える経験CPに相当します。たとえば国際レベルの事件であれば、最大3レベルまで判定に適用されますが、犯罪レベルの事件であれば2ですから、たとえ感情レベルが3でもレベルは2までしか適用されなくなります。
 また、GMは宣言の開始と締め切りとなるシーンを設定しなければなりません。これらの基準シーンはGMが自由に設定することができます。締め切りシーンは宣言を行う最後のチャンスで、プレイヤーはそれ以降に宣言を行っても、このルールは適用されなくなります。
 開始シーンは、シナリオ難度と同様にレベルの上限を決定する基準となるものです。GMはシナリオの内容によって、上限レベルに修正を加えることができます。そして、開始シーンからシーンが進む度に、少しずつ修正が減少してゆきます。たとえば、どんでん返しを幾つも仕掛けているような複雑な内容や、死亡する可能性の高いシナリオなどの場合は、開始シーンで上限レベルの修正をプラスの数値に設定しておきます。この修正はシナリオ難度に加えるもので、最終的に修正を加えた値が上限レベルとなります。そして、シーンが進む度に修正値は減少してゆき、締め切りシーンで上限が1となり、締め切りが過ぎれば上限レベル0となるわけです。

・終了後
 このルールを使用した場合、シナリオ終了後に目的が達成できたかどうかを判定しなければなりません。これはGMが評価を行って下さい。もし、パーソナルゴールがシナリオの課題に関係するもので、なおかつそれが達成できていれば、感情レベルと同じ分だけ奇跡ポイントを得ることができます。ただし、上限が感情レベル以下であった場合は、上限レベル分のポイントを獲得することになります。
 パーソナルゴールがシナリオの課題とは関係なかった場合、あるいは達成できなかった場合は、感情レベルと同じだけの破滅ポイントを得ることになります。これに加えて、指定した感情ベースを一時的に封印しなければなりません。いつこれが再び利用できるようになるかは、GMの裁量にお任せします。


○感情供与

 感情判定の使用を宣言すれば、自分の判定値を上昇させることが可能です。感情供与のルールを用いた場合、感情レベルによる判定値の修正を、他の人に分け与えることができるようになりますす。

 励ましの言葉をかけたり、あるいはそっと手を握ってあげたりして相手を力づけることによって、強い願いを相手の力に変えることができます。このルールを適用する場合は、なるべくであればプラス方向に使う時だけに限定しておいた方がよいでしょう。それから、相手側はこれを拒否することが可能です。
 この判定を行う場合も、当然のことながらそれに見合った感情レベルを用いなければなりません。なお、感情ポイントの変動は行為判定を試みたキャラクターが行うことになります。


○奇跡と破滅の保持

 このルールを用いた場合、奇跡と破滅は宣言した直後に発動させる必要はなく、1つのシナリオ(あるいはセッション)が終わるまでその権利を保持できるものとします。このルールは他のゲーム参加者に対する予告としての意味を持ちます。奇跡や破滅の発動は非常に影響力が大きく、時にはシナリオの結果を左右することもあるでしょう。そのため、特にGMサイドとしては予告があった方がシナリオを構成しやすくなるはずです。
 もちろん、奇跡と破滅の保持は予告としてだけではなく、他にもルール的な意味あいがあります。保持していた場合の効果を以下に幾つか示しますので、好きなものを導入して下さい。なお、保持していた奇跡や破滅を使用しないままシナリオが終わった場合、これを「奇跡/破滅ポイントが流れる」と表現します。
 奇跡や破滅の保持を宣言した場合、その時点で奇跡/破滅ポイントは消費されます。ただし、感情ポイントは実際にこれを発動させる時に消費することになります。
 
・GMが接収
 保持しておいて流れた奇跡/破滅ポイントはGMに接収されてしまいます。GMはそのキャラクターに対して、感情ポイントの消費無しで自由にこれを使用できるようになります。

・全員が使用可能
 奇跡や破滅を場に保持しておいた時には、GMも含めて誰でも自由にこれを使用できるようになります。ただしキャラクターが使用するのであれば、感情ポイントは自分のキャラクターの分を消費することになります。

・特定対象へ
 流れた奇跡/破滅ポイントは宣言した場所や、その時に接触していた物品などに保持されることになります。以後この場所で誰かが感情ポイントを消費すれば、奇跡的幸運にめぐまれたり、あるいは破滅的なアクシデントに見舞われることになります。これはキャラクターだけではなく、GMやNPCも使用可能です。


先頭へ