第5章 術法


 術法とは、霊的な力によって物理的に不可能なことを可能にしたり、自分や他人の能力を助長したりする手段のことです。

 

ルール概要


○分類概念

 術法には魔術や武術などと呼ばれる分類概念があり、これを術法大系といいます。術法大系の下には、さらに下位区分という分類法があります。これは情報を扱う術法系統や、宗教組織だけで教える術法といった具合にまとめられています。しかし、術法大系も下位区分も一般的なイメージの問題であり、ルール的な意味はありません。下位区分の下に分類される術法系統からが、ルールとして取り扱われる部分となります。なお、術法を行使できるものは、大雑把に術法師としてくくられます。これは分類や系統とは関係なく呼ばれる名前です。


○術法系統

 術法は似た効果を表わすものや同じスタイルをとるもので分けられており、術法系統としてまとめられています。キャラクターは系統ごとに副技能を獲得し、それに含まれる術を使用することになります。なお、術法に関する技能は全て専門技能です。
 術法は系統ごとに使用する主技能の種類が変わります。魔術と呼ばれるものは全て霊能技能で判定を行いますが、武術は運動技能を用います。呪芸術はそれぞれが異なっています。使用する主技能の種類は各系統の説明に書かれています。


○術法の効果

 術の効果は個々の説明に書かれている通りですが、特殊な扱いを受けるものも存在します。これは以下のような効果に分類することができます。


・対抗効果
 似た効果をもつ術法や、あるいはまったく逆の効果をもつ術法は、1つの対象や場所に対して同時に効果をあらわすことはできず、互いの効果を打ち消し合おうとします。このような場合は、術のレベルには関係なく、達成値が高い方の術の効果が残り、低かった方は打ち消されてしまいます。なお、達成値が同じであった場合には、両方の効果が消滅します。魔力を解除しようとする場合や精神抵抗に関しても全く同じことがいえ、魔力操作系の魔力解除、あるいは魔力防御などといった術の場合も、判定方法はこれに準じます。


・ダメージ効果
 術法のダメージ決定は武器による打撃と全く同様の処理を行います。自動的成功などの例外的結果も同じ扱いです。術法を用いた側が対抗判定で勝利した時、成功値に術法ごとに決められているダメージの値を加えます。これが最終的に相手に与えるダメージになります。通常の武器による打撃と異なるのは、物理的な防具によってダメージを減少させることができないという点です。


○術のタイプ

 術法を行使する場合、術者は基本的に対象や効果範囲を認識していなければなりません。たとえば誰かにかける場合には、相手が見えていたり触れていたりしなければならないのです。ただし例外もあり、相手が術者を見ていたり、音が聞こえていたりすることでかかる術法もあります。これらは、術法をかける時のタイプによって変化します。
 

◆術のタイプ

タイプ 説明
通常  対象が視覚的に認識できているか、そうでない場合は接触している必要があります。また、このタイプの術は壁などがあれば、障害物に対して術の効果が適用されます。
距離  対象が視覚や触覚によって認識できていなくても、明確に思い出すことができれば、術をかけることが可能です。ただし、これは相手のことをよく知っている必要があります。
範囲  障害物の有無に関係なく、術は効果範囲内の全てに適用されます。対象や効果範囲を認識している必要はありません。
限定範囲  相手にものを見せたり、音を聞かせたりすることで効果を及ぼす術です。このタイプに含まれる術は、音を消したり視線を外したりすることで、術の効果を無効とすることができます。この場合は、反応抵抗の判定に成功しなければなりません。それから、このタイプの術は距離や効果範囲を拡大することはできません。

集中
 術の効果を維持するために、持続時間中は特定の行為を集中して行う必要がありますこの間に何か他の行動(行為判定)を行った場合は、必ず集中が途切れて効果が完全に消滅してしまいます。ただし、非常にゆっくりとした移動など、判定を必要としない行為を試みることは可能です。

感知
 何かの存在を感知する術です。このタイプの術は、対象や効果範囲を認識している必要はありませんし、相手は抵抗判定を行うことができません。判定に成功していれば必ず情報が得られます。効果範囲内に存在していても、特定の術で守られているなどの状態になければ、術がかけられたことを感知できません。

魔力付与
 物体に魔力を付与する術で、主に武器の強化のために利用されます。持続時間のあいだは内側にはダメージが伝わらなくなり、破壊武器として扱われます。このタイプの術は生物にはかかりません。それから飛び道具にかける場合、弾丸など個別の追加武器に対して、1回ずつ術をかける必要があります。

幻術
 このタイプの術でつくりだされたものは、半実体化した魔力として存在します。術によっては映像だけでなく、触れても気づかない幻想体をつくることが可能です。相手が疑問を感じた場合は判断抵抗での対抗判定となり、勝利した場合は幻術の効果を破ることができます。

呪詛
 このタイプの術は、通常の魔力解除の術では効果を打ち消すことはできません。呪法解除(魔力操作系)や呪詛払い(浄化系、霊媒系)などの特殊な術のみが対抗効果を持ちます。

特殊
 このタイプの術は主に奇跡として認識されています。距離や効果範囲などは術者の望みによって変化します。その妥当性については、GMが判断して下さい。


○術法の判定

 術法に関する判定も普通の行為判定と処理は同じです。誰かに術法をかける場合、相手の精神抵抗との対抗判定に勝利しなければなりません。対抗判定に勝利すれば、効果が固定されているような術は完全に効果をあらわします。ダメージを与える術法の場合は、抵抗判定に成功すれば達成値の分だけダメージを減少させることができます。なお、術法の効果範囲が広い場合は、その範囲内にいる全ての存在に対して効果が適用されます。術者は一度だけ判定を行い、それぞれがこの達成値に対して対抗判定を行うことになります。
 術法を行使する場合、対象や効果範囲を認識している必要があります。距離が無制限となっている場合でも、相手を明確にイメージすることができなければなりません。ただし例外もあり、相手が術者を見ていたり、音が聞こえていたりすることでかかる術法もあります。


○精神耐久値の消費

 術法を使用する際には、精神耐久値(気力と自我)を1点消費します。これは術の種類やレベルによらず一律です。術法の判定に失敗しても耐久値は減少します。通常は気力から消費してゆき、気力がマイナスになった時点で自我を消費することになります。キャラクターが自分の意志で消費できるのは、自我が0ポイントになるまでです。
 術者は気力が0以上の時はまだ大丈夫ですが、自我にまでダメージが及んだ場合には気絶する可能性があります。この時は気絶判定となり、判断抵抗で難易度1の判定を行なってください。この判定に成功すれば普通に行動できますが、失敗すると即座に気絶することになります。この判定は自我が減少するたびに行ないます。


○スタイル

 術法を使用するためには、精神を集中する過程が非常に重要となります。術法師たちはこの集中法を、術法を使用する時のスタイルとして選択しなければなりません。術法のスタイルは、教える組織などによって異なります。ただし、最低でも精神を集中させる必要がありますので、それを妨害されると術法は発動できません。これらの型は、術法データの習得条件、および個々の術法系統の説明に詳しく書いてありますので、そちらを参照して下さい。


○術の習得

 それぞれの術法系統には、その技能で使用できる何種類かのがあります。術を習得する場合は個別に習得判定を行ないます。習得判定に使用するのは主能力値のと副技能である術法系統です。術はそれぞれレベルが決められていますが、そのレベル+4を難易度とした判定に成功すれば術を習得することができます。ただし、習得判定を1回行うごとに経験CPを1点と、さらにレベル分の経験CPを消費して初めて術を獲得できたことになります。
 術の中には習得を制限されているものがあります。たとえば、一般社会に広めるには不適当な効果をもったり、もはや使用できる人間がいない術なども存在します。これらは、術法データの名称の前についているマークで区別することができます。
 

◆習得制限

分類 説明
 比較的普及している術であり、その系統を使える組織や団体では、現在でもまず間違いなく利用されています。習得制限に合ってさえいれば、プレイヤーの意志によって自由に習得することができます。
 習得には組織の許可などが必要とされる種類のもので、教えてくれないことの方が多いでしょう。すでに失われている可能性も高い術です。プレイヤーはGMが許可すれば習得することができますが、却下された場合は諦めて下さい。ただし、覚えている人に依頼すれば、代償の程度によってはかけてくれることもあるでしょう。
×  通常は組織内の人間でも教えてもらえないもので、選ばれた一握りの人しか使うことができません。すでに失われている可能性の高い術が多くあります。依頼をしたとしても、使ってもらえるかどうかはわかりません。プレイヤーは特別にマスターから許可された場合のみ使用することができます。プレイヤーの側から尋ねることをしてもいけません。
 天使や悪魔といった異界の存在のみが使用する特殊な術です。よほどのことがなければ、人間が使うことはできません。


○習得条件

 術法を習得するには必要条件を充たしていなければなりません。術法はそれぞれの機関によって教える種類や条件が異なります。一般に術を習得する場合、魔法屋や仲間に教授してもらう以外は、何らかの制限を受けるのが普通です。なお、術法を教える側は、必ず魔術学(専門:知+記憶)という副技能を身につけていなければならず、教える時は術のレベルを難易度とした判定に成功する必要があります。


○術法変化技能

 術法変化技能は、術法の効果を拡大させるための補助技能で、全ての系統の術法判定に用いることができます。これらの技能を用いる時は、術法の判定との同時判定になります。一度の判定に複数の技能を使用しても構いません。消費する精神耐久値は、それぞれ余分に消費する分を個別に計算し、それらを最後に合計した値になります。
 術法変化技能を使用する場合は、より高度な技術と集中力を必要とされるため、判定にマイナスの修正を受けることになります。耐久値を1点余分に消費するごとに、判定値に−1の修正を加えて下さい。たとえば、全部で6点消費するような使用法であれば、−5の修正となります。


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