科学技術-概説


 


 現在のエルモア地方は科学の発展途上期にあります。そのため、新しい発明や発見が多数なされ、生活様式もどんどん変化しているのです。

 エルモア地方の科学レベルは、だいたい現実世界の1850年頃を基準に考えて下さい。ただしこれには幅があって、分野によっては19世紀以前のものもあれば、19世紀後半くらいの技術のものも存在します。しかし最も異なる点は、『科学魔道文明』の遺産である『霊子機関』という動力機関が存在することです。そのため、これまでのエルモア地方の技術では完成できなかったであろうオートバイが存在していたり、その他の機械の小型化にも成功しています。動力機関に関連する技術に関しては、それなりのレベルに達しているといえるでしょう。
 一方、化学や電気に関わる技術は、変異現象によって反応が撹乱されることがあったり、元素や物質の側に変異物質がまざっていることで、一定の実験結果を示さないことがあります。特に電気に関わる研究はまともには行われておらず、いかなる分野においても一切利用されておりません。

 それから、エルモア地方には術法という魔法技術が存在しています。これによって一度は滅びかけた人類が、再びここまでの文明に復興できたということは事実です。しかし術法が存在することによって、一部の技術の開発が遅れているという側面もあります。そして、霊子機関の普及に対して批判的な立場にある聖母教会の意見もまた、科学の発展の妨げになっているのです。
 しかし、科学の力によって人々の生活が豊かになったのは、誰の目にとっても明らかなことでした。そして聖暦786年のことですが、霊子機関を搭載した汽船が新大陸エスティリオへの初渡航に成功したことによって、社会における科学の地位は揺るぎないものになりました。そのため、各国での聖母教会の影響力は徐々に弱まってゆき、科学偏重への世の中へと移り変わりつつあるのです。


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