第6章 負傷と回復


 

ルール概要


○肉体耐久値

 物理的な攻撃による負傷では、肉体耐久値(活力と生命)が減少することになります。通常、肉体に与えられるダメージは、まず活力に適用されます。ダメージが蓄積し、活力がマイナスまで減少する場合には、生命の値にダメージが適用されます。つまり、活力は最低でも0までにしかならず、それ以上は生命にダメージを被るということになります。生命の値はマイナスになることもあります。


○効果値

 キャラクターは戦闘だけではなく、事故などでも負傷することがあります。たとえば岩の落下によるような一般的な負傷の場合は、GMが任意に難易度を決定することになります。達成値が難易度以上ならば成功、すなわち負傷はせず、難易度を下回った場合は負傷することになります。ダメージは難易度から達成値を引いた値です。このように難易度とダメージの2つを同時にあらわすような値を、効果値と呼びます。効果値を用いる判定は、ダメージを与える側が行為判定をしない場合に適用されます。


○負傷の基準

 負傷の度合いについては以下のような目安があります。数値の微調整はGMが任意に行って下さい。
 

◆負傷の度合い

効果値 目安
 かすり傷
 軽傷
 ひどい傷
10  かなりひどい傷
15  きわめてひどい傷
20  重傷


○ダメージの減少

 効果値によるダメージは、以下の技能によって減少させることができます。

・反応抵抗(一般:技+経験)
 反応抵抗によって減少できるのは、その場を飛び退くことによって回避できるダメージについてです。たとえば落下物をよけたり、仕掛けられている罠を飛び退いてかわすのは、反応抵抗による対抗判定に勝利しなければなりません。

・肉体抵抗(一般:体+経験)
 強酸や火炎などが実際に肉体に接触した時には、この技能によって抵抗を行います。他にも、ダメージを与える毒物に耐えるような場合も、肉体抵抗による対抗判定を行う必要があります。

・体術(一般:技+運動)
 3mより高い位置から落下する場合、キャラクターは怪我をする可能性があります。この時、キャラクターは効果値を難易度とした体術の判定に成功すれば、受け身によってダメージを減少することができます。高さ3mで難易度は3、以後50cm増えるごとに難易度は1ずつ増してゆきます。このダメージは鎧によって減点できません。


○負傷の影響

 次に肉体耐久値の減少による効果を説明します。耐久値が減少するとキャラクターは気絶したり、ひどい時には死亡することもあります。その際には、気絶判定や死亡判定を行ないます。これらは全て肉体抵抗を用いた判定となります。

・気絶判定
 生命にまでダメージが及んだ時は気絶する可能性があり、肉体抵抗による難易度1の気絶判定を行なわなければなりません。判定に成功すればそのまま普通に行動できますが、失敗した場合は気絶することになります。この判定は生命にダメージが適用される度に行ないます。

・死亡判定
 生命の値が0以下になった場合、肉体抵抗による難易度1の死亡判定を行なわなければなりません。生命がマイナスになっていれば、その時の値を修正値とします。成功すれば死亡せずにすみますが、失敗すれば死亡することになります。さらに生命の値が減少した場合は、その度に死亡判定を行なって下さい。

・即死判定
 一度に受けるダメージが活力の最大値を超えた場合は、その時点の生命の値にかかわらず、死亡判定をする必要があります。判定方法は通常の死亡判定と変わりません。この判定に成功しても、気絶判定を行わなければなりません。


○自然回復(肉体耐久値)

 自然治癒によって回復するのは、キャラクターが6時間以上の睡眠をとった場合です。回復する値は、1日につきそれぞれの耐久値に関連する主能力値の分だけです。ただし、生命がマイナスになっていた場合には、どちらも1ポイントしか回復しません。回復させる時期はキャラクターが目覚める時になります。休息が不十分だった場合は、回復する値は一段階下がります。重い装備品を身につけていたり、極度の低温や猛暑の中で休息する場合も同様です。また、徹夜などをして休息をとらなかった場合は、いかなる状態でも自然回復は起こりません。


○治療(肉体耐久値)

 以下の技能を用いて治療を試みた場合、キャラクターの回復を早めたり、蘇生を行ったりすることができます。

・外科治療(専門:技+作業)
 外科治療の判定に成功すれば、回復する値が一段階上がります。基本的には難易度1の判定となりますが、生命の値がマイナスの場合は同じ分だけの修正を受けます。1人に対しては、1日に1度だけ治療を行なうことができます。ただし、治療の際には何らかの医療器具や薬品を必要とします。

・応急手当(一般:知+作業)
 応急手当によって回復を早めることはできませんが、気絶している者を起こしたり人工呼吸を行うことができます。そのためには、難易度1の判定に成功しなければなりません。この場合も生命の値がマイナスになっていれば、その分の修正を受けます。判定に成功すれば生命がマイナスになっている者でも、それ以後は死亡判定を行う必要はなくなります。


○毒物

 毒物の抵抗判定は、肉体抵抗の値を用いて行います。判定の難易度となるのは強度で、達成値がこれ以上であれば毒は一切の効果をあらわしません。ダメージを与える毒であれば、強度は効果値として作用します。毒は特定の解毒薬、あるいは術法などによって解毒することができます。解毒薬がある場合は、適切な方法を用いて投与すれば、それで毒の効果を弱めたり打ち消すことができます。術法の場合には、毒の強度を難易度とした判定を行い、強度以上の達成値を出さなければなりません。


○病気

 病気に感染するかどうかは、強度を難易度とした肉体抵抗の判定で決定します。達成値が強度を下回っていた場合は、開始時間を過ぎたあたりから症状があらわれます。また、肉体抵抗の値も一時的に1低下します。回復判定は、進行速度に書かれてある時間ごとに行います。もし効果の欄にダメージと書かれている場合は、強度は効果値として作用します。ダメージは自然治癒のルールに従って回復させて構いませんが、回復段階は通常より1下がるものとします。
 回復判定に成功した場合は、減少した抵抗値が+1されます。抵抗値がもとの値に戻れば、病気が全快したことになります。逆に失敗した場合は、抵抗値が更に−1されます。肉体抵抗の値が0以下になった場合、それから1日以内に薬を服用したり、あるいは治療を受けるなどして抵抗判定を行える状態にしなければ、死亡することになります。


○精神的ショック

 キャラクターは何らかの精神的な影響を受けた時、落ち着いて判断できなくなったり、一瞬の隙ができたりします。動揺をもたらす何らかの事態に遭遇した際には、影響度を難易度とした判断抵抗の判定を行わなければなりません。抵抗に成功した場合は何も動揺することなく、普段どおりに行動することができます。しかし、抵抗に失敗した場合は精神的なショックによって、以後1ラウンドの間は能動的な行動を行うことができなくなります。回避や抵抗などの受動的な行動は普段通りに行うことができますが、もし抵抗判定で致命的失敗が出た場合は、体が硬直していかなる行動を取ることもできなくなってしまいます。


○自我へのダメージ

 何らかの精神的な影響を受けた時、自我にダメージを受けることがあります。この場合は恐怖度というものを設定して、それを難易度として抵抗判定を行うことになります。モンスターの恐怖度などがこれに当たります。恐怖度は自我に対する効果値です。恐怖度を難易度として判断抵抗による抵抗判定を行い、抵抗しきれなかった場合には、恐怖度から達成値を引いた値を自我にダメージとして受けることになります。この時は正常な判断力を失っており、受けたダメージと同じラウンドだけ能動的な行動を取ることができなくなります。ただし、回避判定や抵抗判定などの受動的な行動を行うことは可能です。

・気絶判定
 
自我にダメージを受けた場合には気絶する可能性があります。この時は気絶判定となり、判断抵抗を用いた難易度1の判定を行わなければなりません。抵抗に成功すれば普通に行動できますが、失敗すれば即座に気絶することになります。この判定は自我が減少するたびに行ないます。
 この時の気絶は肉体に傷を受けた場合と異なり、頬を叩いたり水を飲ませたりすればすぐに目覚めさせることができます。ただし、目覚めさせるのに最低でも5秒、さらに目覚めた者が周囲の状況を把握するのにも5秒の時間がかかります。

・発狂判定
 更に自我が減少して0以下になった時には、判断抵抗の値を用いた難易度1の発狂判定をしなければなりません。自我がマイナスになっていた場合は、その値が修正値となります。この判定に成功すれば発狂せずにすみますが、失敗した場合には精神が崩壊して狂人となってしまいます。この判定は、それ以後さらに自我にダメージを被る度に行って下さい。この判定に成功しても、自我が0以下になった場合は必ず気絶します。


○精神耐久値の回復

 6時間以上の睡眠を取った場合、精神耐久値は自然に回復します。回復する値は、1日につき耐久値に関連する主能力値の分だけです。ただし、自我がマイナスになっていた場合には、どちらも1ポイントしか回復しません。回復させる時期はキャラクターが目覚める時になります。休息が不十分だった場合は、回復する値は一段階下がることになります。また、徹夜などをして休息をとらなかった場合は、いかなる状態でも全く自然回復は起こりません。


○精神の麻痺

 集団パニックを引き起こしている時などは、興奮のために自分が何をしているか全くわからなくなります。落ち着きを取り戻すためには、影響度を難易度とした判断抵抗に成功しなければなりません。抵抗に失敗した場合、[影響度−達成値]×1分の間だけ正常な判断ができなくなります。この間は何か行動しようとする度に、最初に判定した時の失敗の度合い(影響度−達成値)を難易度とした判断抵抗を行わなければなりません。成功すれば落ち着いて物事を判断できますが、失敗した時は間違った判断を下してしまいます。ただし、回避や抵抗などの受動的行動は普通に行って構いません。


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