第4章 戦闘


 

ルール概要


 エルモア地方には異形の怪物たちが存在しています。また、犯罪や戦争などに巻き込まれて戦うこともあるかもしれません。ここで戦闘のやり方を説明します。


○戦闘ラウンド

 戦闘はラウンド(5秒)という単位で時間を区切って行なうことになります。キャラクターはこの間に1回の能動的行動と、回数無制限の受動的行動を試みることができます。能動的な行動の順番は、行為判定に使用する判定値が大きいキャラクターが優先されます。同じ値のものが複数いる場合は、使用するダイスの数が多いものから先に行動します。それも同じである場合は、全く同時に行動することになります。行為判定を行う前であれば、予定していた自分の行動を中止することができます。ただしその場合は、受動行動しか取ることができなくなります。
 

◆戦闘中の行動

行動 解説

○能動行動

 
通常攻撃  何らかの攻撃の手段を用いて、相手を攻撃することができます。この時、技×5mの距離を移動してから攻撃することが可能です。
全力移動  自分の行動の順番に、キャラクターは(技+5)×5mの距離を移動することができます。全力移動した場合は、続けて他の行動をとることはできません。
武器準備  鞘に収まった武器などを準備し、使用できる状態にします。弾込めなどもこれに含まれます。

武器交換
 使っている武器を捨て、新しい武器を準備することができます。鞘などにしまってから新しい武器を取り出す場合は、さらに1ラウンドの時間が必要となります。
姿勢変更  転倒した状態から立ち上がったりするなど、姿勢を変更することができます。
術法  キャラクターは術法を行使することができます。技×1mの距離を移動してから術法を使うことが可能です。

○受動行動

 
回避  相手の攻撃を回避することができます。
抵抗  術法や毒などに対して抵抗判定をを行うことができます。
回避専念  回避に専念することを宣言した場合は、そのラウンド中の回避判定や反応抵抗に+4修正を得ることができます。しかし、その場合は攻撃やその他の能動的な行動をとることができません。
術法抵抗専念  術法の抵抗に専念することを宣言した場合には、キャラクターは精神抵抗に+4の修正を得ることができます。しかし、その場合は回避も含めた全ての行動をとることができなくなります。

○その他

 
逃走  キャラクターが戦闘から離脱する場合、短距離走の判定に成功しなければなりません。この時に背後から攻撃を受けた場合は回避と同時判定になり、さらに−4の修正を受けます。逃走している者に追いつく場合には、短距離走の判定で相手の達成値を上回る必要があります。
自由行動  会話など、その他の全ての行動です。
待機  キャラクターが待機宣言をした場合は、そのラウンドの一番最後に行動することになります。


○戦闘技能

 戦闘は格闘や射撃などの攻撃するための攻撃技能と、攻撃をかわすための回避技能および反応抵抗で判定します。


・攻撃判定
 攻撃判定に関する技能は、用いる武器や手段によって、格闘、刀剣、投擲武器などといった副技能に分かれています。近接武器の判定に用いる主能力には技/体と書かれていますが、これは判定の際にどちらを使うか選択することができます。なお、特殊武器【各種】というのは非常に扱いにくい武器を使うための専門技能であり、個々の武器ごと技能を習得します。


・回避判定
 回避に関する技能は2種類あります。1つは通常の武器攻撃を回避するための防御で、もう1つは拳銃などの銃器による攻撃を反射的に回避するための反応抵抗です。防御は受け流しのように攻撃を捌く技能であり、反応抵抗は飛び退いて攻撃を避けるような場合に使用します。それぞれに防具による修正を受けます。


○戦闘の手順

 最初に先攻側が攻撃をします。特に順番を遅らせるのでなければ、その時に用いる技能の判定値が最も大きい者から攻撃を行います。サイコロをいくつか振って、その値が攻撃する技能の判定値以下だった時は攻撃成功、上回っていれば攻撃失敗となります。

A.攻撃判定が成功した場合
 

1.攻撃側の達成値

 攻撃側の達成値を算出します。 →2

2.回避側の達成値

 回避側は攻撃側の達成値を目標として防御の判定を行い、達成値を決定します。飛び道具で攻撃された場合は反応抵抗を用いて回避判定を行います。 →3

3.達成値の差

 成功値(双方の達成値の差)を算出します。 →4

4.ダメージの有無

 攻撃側が上回っていた(成功値がプラスである)場合は、成功値に武器の打撃値を加えます。その値が相手に与えるダメージとなります。 →5
 回避側の達成値が攻撃側の達成値以上(成功値が±0以上)だった場合は回避成功となり、回避側が攻撃する番になります。 →B

5.ダメージ

 回避側は最終的な打撃値(成功値+武器の打撃値)から装備している防具の防御値を引き、その値を肉体耐久値から減少させます。防御値が最終的な打撃値を上回っていた時は負傷せずにすみます。 →B
B.攻撃判定が失敗した場合
   回避側が攻撃する番となります。 →A


○射撃判定

 射撃による攻撃は射程距離や目標の大きさが影響します。


・距離による修正
 キャラクターは射程距離の半分までの距離ならば、修正なしで攻撃判定を行うことが可能です。しかし、半分を越えていた場合は−2の修正を受けます。目標が射程距離の外にいる場合は攻撃が届かないことになります。
 それから、目標が至近距離(3m以内)にいる場合は、逆に攻撃が当たりにくくなり、判定には−2の修正を受けることになります。完全に接敵してしまった時には、−4修正を受けます。


・スケールによる修正
 射撃判定は目標の大きさによって修正を受けます。基準となる大きさは人間大(1〜2m)となります。見えている面積でいうと、1m×1m程度の大きさです。この場合は難易度1の判定に成功すれば、射撃は命中したこととなります。しかし、基準の半分の大きさになると、難易度は1上昇します。面積がさらに1/2になるごとに難易度は累積してゆきます。
 なお、目標が遮蔽物に隠れている場合も、見えている部分のスケールをこのルールに当てはめて、与えるべき修正値を決定して下さい。
 

◆スケールと難易度

難易度 目標の例
 人間の大人など
 人間の半身や子供など

 人間の胴部など
 人間の顔、書籍など

 ランプやジョッキなど
 小さめのコップなど


○不意打ち

 敵を全く認識していなかったり、逆に気づかれずに敵に忍び寄ることができた場合には、不意打ちが発生します。不意打ちが起こるかどうかは、忍び足と聴覚、あるいは潜伏と観察など、適切な対抗判定を行わせて判断して下さい。判定に成功して何者かの存在に気づくことができたならば、不意打ちのルールは適用されなくなります。
 片方が不意打ちに成功した場合、前もって戦闘の準備をしていたのであれば、1ラウンドの間だけ一方的に攻撃を行うことが可能です。ただし、相手は回避や抵抗といった受動的な行動を取ることができます。もしどちらも相手に気づいていなかった場合は、双方が1ラウンドの間立ちつくすことになるでしょう。


○保護行動

 保護行動を宣言した場合、相手の攻撃から誰かをかばって、代わりにダメージを受けることができます。技能は反応抵抗を用い、相手の攻撃の判定値を難易度として判定を行います。この行動を取れるのは、そのラウンドにまだ能働行動を終えていない者に限られます。宣言は相手が誰かを攻撃する直前までに行って下さい。保護行動を選択したラウンドは、成功したかどうかににかかわらず、能働行動を取ることはできなくなります。
 かばう相手は技×1m以内に存在しなければなりません。それから、保護行動の判定に成功した後に、新たに防御や反応抵抗による回避判定を行うことは不可能です。防具の分だけダメージを減少させることは可能ですが、達成値の分を引くことはできなくなります。


○逃走

 走って戦闘から離脱する場合などは、走力(一般:技+運動)の判定に成功しなければなりません。判定に失敗した場合は、足が滑ってうまく移動できなかったということになります。
 接敵状態から逃げる場合は、相手の攻撃判定と走力との対抗判定となります。ただし、逃げる側は−4修正を加えて判定しなければなりません。完全に戦闘に入る前に相手から逃げ切るには、走力同士の対抗判定となります。最初のラウンドは走力の達成値をそのまま比較します。しかし、次のラウンドからは、移動力に1の差があるごとに、達成値で10の差がつきます。この場合は、判定に失敗しても移動力の分だけは動くことができたものとします。


○ダメージ

 攻撃が命中した場合、キャラクターはダメージを被ることになります。物理的な攻撃による負傷の度合いは、肉体耐久値(活力と生命)の減少によって表わされます。
 攻撃が命中した場合、攻撃側の成功値(お互いの達成値の差)を算出します。これがダメージの基本値となります。この基本値に武器の打撃値を加えた数値が、実際に相手に与えるダメージです。ダメージは更に防具の防御値の分だけ減少させることができます。最終的に防御値を引いた値を肉体耐久値から引いて下さい。

 ダメージ=[成功値+打撃値−防御値]

 通常、肉体に与えられるダメージは、まず活力に適用されます。ダメージが蓄積し、活力がマイナスまで減少する場合には、生命の値にダメージが適用されます。つまり、活力は最低でも0までにしかならず、それ以上は生命にダメージを被るということになります。生命の値はマイナスになることもあります。


・ダメージ決定の例外
 攻撃判定を行ってその結果が自動的成功だった場合、普通の判定によって算出されたダメージを、活力と生命の両方に適用することになります。これは攻撃が急所に当たったと考えて下さい。活力がマイナスになるような(あるいは既に0になっていた)場合は、通常と同様に活力に与えられる分のダメージが生命に適用されることになります。それから奇跡的成功の場合は、さらに感情レベルの分をダメージに加えることになります。

 防御側の判定結果が自動的失敗であった場合、防具によってダメージを軽減することができなくなります。鎧の隙間などに攻撃が当たったと考えて下さい。自動的失敗の場合には達成値は0ですので、攻撃側が与えるダメージをそのまま受けることになります。致命的失敗の場合は達成値が感情レベルにマイナスをつけた値になります。


・静止目標への攻撃
 慌てる要素の少ない場面では、静止目標に対して攻撃判定をする必要はありません。最大のダメージが加えられるものとして扱い、判定値をそのまま達成値として構いません。相手が生物で、なおかつ急所の位置が判別できる場合は、自動的成功のダメージも適用されることになります。


○特殊な武器について

・追加武器
 矢や銃の弾丸などを追加武器と呼びます。これらは、攻撃修正と打撃値の数値を持ちます。この値は使用する武器のそれぞれの数値に、そのまま加えて下さい。そのため、打撃値+1などという具合に表記してあります。
 これによって武器の打撃値が上昇した場合でも、武器の重量には影響しません。ただし、銃器だけは最初から[追加武器の打撃値÷2]が装備制限の基準となります。

・効果武器
 固定的なダメージを表わす数値を効果値といい、難易度とまったく同様の扱いを受けます。ダメージの大きさが効果値で表わされるような武器を効果武器と呼び、普通の武器とはダメージの決定方法が少し異なります。効果武器には爆発物や固定された罠(トラバサミや撒菱)などがあります。効果武器によるダメージを回避する場合には、その武器ごとにさまざまな回避の方法が考えられます。手榴弾のような爆発物では、まず投擲の技能で相手が投じた場所から逃げ出すために反応抵抗で対抗判定をし、もしこれに失敗したら、効果値から達成値を引いた分のダメージを受けるということになります。もちろん対抗判定に勝利すればダメージを受けることはありません。


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