聖母教会

概説\教義と権威\階級\その他


 

概説


 唯一神と『大母アルメリア=エルファティー』から生まれた『聖母アリア』、そして聖母アリアから生まれた12人の娘を神の子(使徒)として崇める宗教機関です。創始者はアリアの最後の娘『ユナス』であり、正確には『聖母アリアと十二人の使徒教会』あるいは『十三人教会』といいます。その分教会はエルモア中に広がっており、これを国教としている国も数多く存在します。十字架の上に円を配した『円十字』または『アンク』(♀)と呼ばれる形を聖印としています。
 エルモア地方の宗教組織としては、ユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャの3国にある『法教会』、および黄人の信奉する『マイエル教』とともに数えられる3大宗教の1つで、中でも最大の宗教機関です。この地方に住む約70%の人民は聖母教会の信者です。
 聖母教会の総本山である『聖母アリア教会』は、ユナスフィール教国に存在します。これは人口5万人ほどの都市国家で、聖母教会の最高指導者である大主教が国王を兼任しています。『使徒教会』と呼ばれる12の教会は他の国々に分散しています。これら13の大教会を『中央教会』と呼び、その国の布教活動の中心となっています。


◆中央教会(生誕順)

中央教会 国家 存在都市
 『聖母アリア』教会 ユナスフィール教国 アリア=ステア
 『暁の聖カルナ』教会 カルネア カルネアイス
 『月の聖ソナタ』教会 メルリィナ エルメアータ
 『霧の聖ソフィア』教会 ソファイア ソファイア
 『雪の聖アーシア』教会 アルメア ノルディーン
 『雲の聖サラーシャ』教会 ルクレイド ウェスト=ギーナ
 『氷の聖アルマ』教会 ルワール大公国 アルマーナ
 『雨の聖ルシータ』教会 ジグラット サレイア
 『風の聖カナタ』教会 ロンデニア アイリストール
 『夜の聖ファナ』教会 カイテイン帝国 フィスフォーン
 『星の聖カトレーユ』教会 フレイディオン レアニース
 『水の聖ラサ』教会 ユノス メイヨ
 『火の聖フィーナ』教会 エストルーク連邦国家 カンカサス


 かつて魔を封じた使徒たちが没した地に建てたのがこれらの使徒教会ですが、聖母アリアの消息だけは未だに知られておりません。なお、聖母アリア教会にはアリアとともに、第一聖者の称号を受けたユナスが祀られています。
 また、聖母教会の中央教会には『神大学』が付属しています。これは法教会の『学問院』と並んで、非常に高度な知識を身に付けることができる場所です。


先頭へ

 

教義と権威


 聖母教会の目指すところは無償の愛とその実行であり、神の教えを絶対としています。聖母アリアと12人の娘は、神と一体である神の子(使徒)として崇められています。彼女たちは神の啓示を受け、奇跡の体現者として尊敬を集めるに到ったと伝えられています。
 その記録が残されているのは『神書』と『聖書』と呼ばれる2種類の書物で、『神書』には神の奇跡が、『聖書』には聖母と使徒たちの奇跡が記載されています。

 奇跡の記録、聖職者たちの高潔な人格、また愛の教えといったものも信者の心をとらえる原因ですが、聖母教会が信奉されているなによりの理由は、実際に奇跡を実行するその魔術(術法)の力です。神官や司祭などと呼ばれる聖職者たちは、『神聖魔術』と呼ばれる奇跡を起こすことができます。彼らは人々の病を癒したり、あるいはいまだ数多く存在する怪物たちを掃討するために、その力を惜しみなく用いるのです。
 神徒や神官たちのなかでも武力を用いる者は、『神官戦士』と呼ばれます。これは変異体などから人民を守るための兵士で、彼らの誠実さと、そして何よりその頼もしい武力に対して人々は尊敬の心を向けるのです。


先頭へ

 

聖職者の階級


 聖職者には位があり、階級や役職によって仕事の内容が変わります。階級が上がるのは教会から認定された時のみで、試験などがあるわけではありません。普段の行動や信仰心、それから教会や社会への貢献度によって評価され、推選や会議などの過程を経て認定されることになります。
 聖母教会の特徴としては、その成立の経緯からもわかることですが、女性聖職者の多さがあげられます。シスターと呼ばれる彼女たちは、一般社会と同様、高い地位につくこともできます。現に先代より3代前までは、大主教の職は女性が就いていました。

 聖母教会での聖職者の階級は以下のようになります。


◆聖職者の階級(聖母教会)

階級 説明
大主教  聖母教会の頂点にたつ存在であり、ユナスフィール教国の国王でもあります。大主教は1人しかおらず、聖母アリア教会の教会長でもあります。
主教  主教は聖母アリア教会以外の中央教会の教会長をつとめています。一国の政治に干渉する場合も多く、多大な責任を負う地位でもあります。
司祭長  祭祀を司るものであり、政治的な影響力をもつ地位になります。司祭長のうち、中央教会につとめる者は教会運営の執務長となります。他の分教会にいるものは、その教会の教会長となります。
司祭  街の中心となる教会に属する高位の神官であり、大きな宗教行事などを取り仕切ります。司祭長の補佐を務める者もおり、その場合は様々な執務の指揮をとります。
神官  教会に正式に認められたものであり、聖職者として実際の仕事をこなします。小さな教会を預かる者がこの階級であり、教区の祭儀などの責任を負います。
神徒  聖職者として教会に属する者であり、様々な訓練を受けています。修道院に務める学生や、教会の雑役夫として働く者がこの階級になります。見習いの神官といった立場です。
平信者  洗礼を受けた民間人です。特に宗教上の階級ではなく、義務などを負うわけではありませんが、自主的に宗教儀式に出席したり、寄進を行なったりします。


先頭へ

 

その他


 教会の影響は日常のあらゆる場面に現れます。たとえば、洗礼の儀式というものがありますが、これは赤ん坊の誕生を祝福する儀式であり、生まれた子供は真っ先に教会に連れてこられ、この儀式を受けることになります。そして、洗礼の歌によって入信を祝福され、聖水を浴びて清められ(聖別の儀式)、洗礼名を名付けられ、晴れて信者の仲間入りを果たしたことになります。この儀式は改宗した者のためにも行われます。
 信者たちは、何かよいことがあった時には「我らが母に感謝を」という言葉を口にします。そして手を組んで、神への感謝の祈りを捧げます。
 迷信じみたことなのですが、聖母教会では13が縁起のいい数とされており、何かとこの数に揃えようとする風習があります。これはアリアの誕生日が13日であること、そして使徒が13人であることの他に、13が素数であり、他の数と交わらない真の数字であるからだという説があります。逆に縁起の悪い数として忌避されるのが14で、これは魔神と呼ばれる存在が14体いると伝えられることや、あるいはまがい者である法教会の聖人ルーンが14番目の使徒を名乗っているからだとも言われます。
 教会で行われる儀式の中で重要なのは、様々な祭祀です。特に聖母アリアの誕生祭である6月13日と、ユナスの降臨祭である8月1日は、各国で盛大な祭が催されます。他にも、季節の折り目としての春祭や収穫祭、そして何より新たな年を祝う新年祭では、酒や肉などが人々に振る舞われます。また、各使徒教会ではそれぞれの使徒の生誕祭も行われています。


○その他の用語

・聖名
 教会で聖者として認定されたものに与えられる名前です。聖名を与えられた者は、死後も聖霊となって人々を救うと言われています。

・智者の称号
 神大学を優秀な成績で卒業した者に送られる称号です。人々の尊敬を得ることができるばかりでなく、他大学への推薦状を貰えたり、神徒ではなくても神徒待遇で教会に様々な便宜を図って貰うことができます。

・バザー
 教会ではいらなくなったものを持ち寄って売るバザーが行われることがあり、売り上げは寄附として貧しい者を救うために使われます。

・破門
 教義を逸脱した者として認定された場合、それ以後は教会の救いが一切受けられなくなります。破門の徒、破戒の輩とも呼ばれ、信仰心の篤い地域では村八分となることが多いようです。


先頭へ