娯楽用品にも機械式の機巧が取り入れられたものが多数存在します。中には一部の国家だけで限定的に使用されているようなものもあります。
・動力式オルガン
長い紙に穴を穿ったパンチカードで楽譜を記し、ふいごによって演奏するストリートオルガンという楽器が存在します。しかし、これは大きなハンドルを手で回して演奏する、非常に体力がいる大がかりなものでした。これを動力式にしたものがカルネアに存在し、舞台で演奏する音楽に利用されています。これと似たような機械で、自動式カリオンや高速蒸気笛と呼ばれる機械式バグパイプなどが存在し、その珍しさから人目をひいているようです。
・機巧人形
カスティルーンを中心とした大陸中央部では、歯車で動く機巧人形が昔から作製されており、1つの芸術分野にまで発展しています。一定の動作を繰り返すことしかできませんが、一流の職人の手による精巧な人形は、人間と見まがうような滑らかな動きをします。
・オルゴール
シリンダー式やディスク式のオルゴールも、古くから人々を楽しませてきた機械の1つです。機巧人形に組み込まれることもあり、目に耳に潤いを与えてくれます。コインを入れると踊ったりするような仕組みのオルゴール人形も作製されています。
・動力人形
オルゴール人形と同質の機巧人形の一種ですが、大型でゼンマイ以外の動力を用いるものを動力人形といいます。水パイプと水気筒を利用した水力式の人形や、蒸気を利用して歌う蒸気人形など、様々なものが作製されています。特に舞いを踊らせるために作製された舞踏人形と呼ばれるものが人気を博しており、貴族や企業経営者などの富裕層が買い求めるようです。
・ターンスコープ
手回しで一連の動きを与える絵が描かれた円板を鏡に映して見せるもので、1人用の映写機のようなものです。単純な機構で長く楽しめるものではありませんが、子供たちには非常に人気があります。糸をつけて繋いだカードをスリット上で移動させながら巻き取る機構の、長尺のものも考案されたことがありますが、絵を作製する手間がかかりすぎるために、すぐに使われなくなってしまいました。
・メリーゴーランド
ペトラーシャやカスティルーンでは、小型動力である霊子機関を利用したメリーゴーランドが作製され、子供たちを楽しませています。
・動力木馬
走っている馬のように体を動かす動力式の木馬も考案され、一部では娯楽用に使用されています。主に貴族や大金持ちの子供が個人的に楽しむもので、一般では目にすることはない品です。
・舞台装置
霊子機関の静粛性を活かして、人間の代わりに舞台装置の動作をさせることもあります。ただし、いくら静かといっても霊子蒸気を出す時に甲高い音を発するので、よほど大がかりな装置を動かす時にしか使用されません。場合によっては劇場の外に出し、長いワイヤーで操作する場合もあるようです。
・小型鉄道
ユークレイでは霊子機関を搭載したミニチュアの機関車がアトラクション用に開発され、遊園地で子供たちを乗せて走っています。
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