利用状況
陸上交通の主役として期待されている鉄道は、建設に莫大な費用がかかるという欠点があります。それに比べて動力機関を搭載した船舶というものは、既存の帆船や牽引船で使われていた運河や港湾設備をそのまま利用できるため、経済面において優位な立場にいるといっていいでしょう。また、出力当たりにつき運搬できる貨物量も多いことから、非常に効率のよい輸送手段といえます。
実際、船は馬に次いでよく利用される交通機関であり、海洋、河川、湖上とあらゆる航路が確立されています。幾つかの国家では、ペルソニア大陸との間にも定期便が出ています。それから、最近では霊子機関を搭載した船舶によって、新大陸エスティリオへの渡航も可能となりました。それがまた、海上交通機関への期待をあおる結果となっています。
船舶について最も進んでいる国家は海の覇者ロンデニアであり、エスティリオへ最初の渡航を果たしたのもロンデニアの霊子汽船です。その海軍力もまたエルモア随一と言われています。
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船の種類
船には人力や畜力を利用するもの、風力を利用するもの、機械動力を利用するものの3つがあります。それぞれに利点と欠点があり、場所や用途によって使い分けられています。
・人力船
ボートやカヌーなど、オールで水を掻いて進む小型の舟です。かつてあったガレー船という大型の人力船は効率が悪いことから、すでに帆船や汽船にその座を明け渡しています。・牽引船
牛や馬など家畜の力で船を引っ張って進めるのが牽引船です。河川や運河で利用されるもので、川岸に数頭の家畜を用意して陸上から船を牽引します。あまり速くはありませんが、風がなくても進むことができます。流れが緩やかな場所であれば、上流へと進むことも可能です。・帆船
大きな三角帆で風をとらえて進むのが帆船です。帆の角度を調整することによって、進む方向をコントロールすることができます。順風では20キロ以上の速度で移動することができます。ただし、動力は完全に風まかせであり、風がやめばその動きはピタリと止まってしまいます。・汽船
蒸気機関や霊子機関といった機械動力を主要な推進力とする船です。大きさにはさまざまあって、長さ数十m、総トン数でも数百トンといった大型船舶もあれば、小型の霊子機関を船外に積んだだけの小舟もあります。その推進方法によって、外輪船やスクリュー船といった分類がされることもあります。
大型汽船は同時に風力も利用するのが普通で、帆船と同じくマストには大きな帆が張ってあります。風がある時には帆船として、風がやんだら動力船として動かすことができるのです。
なお、大型汽船は時速20キロほどのスピードで運行することができます。波の荒い海洋上でも、大体15キロほどの速度を出すことが可能です。
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船旅
天候さえ良ければ、船での旅は非常に快適なものになるでしょう。船の速度は時速10数キロと馬車と同程度なのですが、料金は馬車よりも安いので、水上の旅が特に快適な夏の間は、蒸気船と競合する街道では駅馬車が本数を減らすケースもあります。
海はもちろん、たいていの大河川では定期船が運航されておりますし、ロンデニアやエリスファリアでは、アリアナ海を豪華客船で1周するツアーもあり、貴族や金持ちがのんびりとした船旅を楽しむことができます。国家によっては、数百トンもある大型の汽船が建造されています。客室には一等から三等の船室があります。一等船室はベッドが2つ並んだ狭い個室で、準一等というベッドが1つの部屋がある場合もあります。二等の船室はソファがいくつか並べられた大部屋で、三等の船室は桟敷席となります。どちらも長距離の船旅では快適とはいえない状況ですが、特に三等船室は通気の悪い船底に大勢が詰め込まれる非常に息苦しいものです。四等船室というものも存在するのですが、これは貨物と一緒の船倉のことで、正式な客室ではありません。これらは通常の船舶についてであり、豪華客船の場合は全てがゆったりとした個室となり、中にカジノや図書館まで整備されているものもあります。
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