ライヒスデール


 


○自然

 ブルム内海に接する国で、北部にデール平原、中央部にはゆるやかな丘陵地帯があります。国土の殆どが平地であり、北部ではジャガイモが、南部では麦類の栽培が盛んです。
 北部のごく一部地域は冷帯で、中央部からは温帯に属します。降水量は一年を通じて平均的で、湿度は低く乾燥しています。気温は夏期で20℃前後、冬期は0℃前後になります。


○変異

 『銀の雫』と『金の雨』と呼ばれる現象が、ペトラーシャとの国境付近でよく見られます。
 『金の雨』現象とは、その名の通り純金の雨が降るというものですが、物にぶつかるなどの衝撃を受けると普通の雨に戻ってしまいます。ほぼ全域で見られる現象で、ちょっと痛いぐらいで特に害になるものではありません。
 『銀の雫』現象は、普通の露とは逆に湿度が低い時に結露するというもので、さらにこの状態で気温が下がると銀色の『酸性霧』となります。この酸性霧の恐ろしいところは、生物と同じように意志をもって生命体を攻撃してくるところです。霊獣の一種とみられていますが、基本的には霧ですから火で撃退することができます。とはいえ、広域でこれが起こった場合は人間の手に負えるものではなく、東南の酸性霧地帯には誰も近づきません。


○略史

 もとよりこの地域はイーフォン皇国ヴァリュア領として支配されていた場所なのですが、前聖暦155年にヴァリュア領主(リミュール人)による反乱が起こって以来、皇国とは敵対関係を続けてきました。この後、イーフォン皇国が滅ぶとともに、ライヒスデールが成立することとなりました。聖暦7年のことです。
 その後、『港湾都市エスワルト』を通じての貿易で発展したのですが、後にはルシアニア島の海賊やロンデニアとの海洋での戦闘が長く続くようになりました。内陸に関してはユークレイとの国境付近での小競り合いがあった程度で、その他の国とはあまり戦争を行ってはいません。
 ライヒスデールが現在のような軍事国家になったのは、先皇帝『バウムアネス1世』の政治によります。古来より、皇帝の独裁色の強い政治が行なわれていたのですが、バウムアネス1世に仕えた宰相『リヒトマイム』はその体制をより強固にし、皇帝のもとに全ての権力を集中させてしまいました。聖暦767年には皇帝権の強制発動によって、フレイディオンと軍事同盟を結んでユークレイの霊石鉱田を狙って戦争を起こしました。そして、この国境紛争は決着がつかないまま現在に至っています。


○制度

 皇帝を中心とした独裁攻治です。皇帝は行政、立法、司法、そのほか全てを銃轄する地位にいます。軍部も皇帝直属の機関であるため、立法府で法案の否決が可能とはいえ、軍務大臣が辞任すれば閣僚は総辞職ということになるので、事実上は皇帝の独断で戦争を起こすことも可能です。また、これらとは独立した存在として宰相が存在し、これは国民の総選挙で選出されます。宰相は皇帝を補佐し、実際の国政の指揮をとります。

・貴族:支配階級。非常に強い権力を持っています。
・騎士:皇帝に属しており、軍人として活動しています。
・軍隊:皇帝直属の近代的な軍事組織です。
・司法:皇帝の名の下に裁判が行われます。
・警察:行政に属する組織ですが、実質的には皇帝直属です。


○現況

 この国では先進的な皇帝のもとで積極的に霊子機関を取り入れ、早い時期に工業革命が成立しました。この技術と強力な騎兵隊である『銀仮面騎士団』を中心戦力として、現在ユークレイと交戦中です。咋年までは国境での小競り合い程度でしたが、南東地域より発掘された旧文明の兵器を今年1月の初めに戦線に投入して以来、連勝しています。この発掘兵器はエネルギー砲の一種なのですが、その熱量に応じた霊子物質を必要とするため多用できるわけではありません。


○国家関係

・友好国:フレイディオン
・敵対国:ユークレイ、カスティルーン、ペトラーシャ、ロンデニア


○首都:リットシュタット

 皇帝のお膝下ということで、特に選民主義思想が徹底しています。


○民族

・リミュール人
 鼻梁の整った白人です。
 白髪に近い銀色の髪をもち、緑や真紅の瞳のものが多くいます。


○宗教

 一般に聖母教会が信仰されていますが、国教ではありません。数代前の皇帝より、教会の勢力は徐々に弱められており、今では国政への発言権はまったくなくなってしまいました。


○要所

・デイルハウント砦
 ユークレイとの国境近くに位置する城塞です。古くに建設されたもので、ライヒスデール軍の象徴でもあります。

・ギンギルレッシュ監獄
 他民族の不法居住者や、国家反逆の罪に問われた人々が投獄されています。


先頭へ