月人は自らの体を、半不死化することに成功しています。これは擬人の技術を応用したものですが、新しい技術が用いられています。しかしその代償として、彼らは次世代を残すことができなくなっています。もはや彼らの遺伝子を残すものはクローン体しかおらず、彼らは現在の社会を永遠に維持してゆくことになったのです。
月人は『霊玉』と呼ばれる核を埋め込んでおり、これが不死の力の源になります。概念としては擬人のライフ・クリスタルに近いのですが、霊玉とは圧縮霊子の塊であり、霊子核の融合エネルギーにも匹敵するパワーを秘めている半永久機関なのです。彼らは圧縮霊子の反発するエネルギーを取り出し、体内に組み込んだ科学魔道回路にエネルギーを送り、それによって半不死化を可能としたのです。
月人の政治は、10人からなる最高評議会によって決定されます。評議員たちは選挙で選出されるわけではなく、このまま永久に評議員として働くことを運命づけられています。そのため、月人たちは彼らを『長老』と呼んでいるようです。
彼らは不死となって以来、それぞれの役割分担を変更することなく活動しています。そのため、社会そのものは非常に安定しているのですが、技術はともかく思想や社会そのものが発展するということがありません。そういったことは、地上での実験の結果にまかせてしまっているようです。そして、最良の社会のサンプルが得られた時には、彼ら自身もそれに倣って社会を変えてゆくのでしょう。
|