こうして一度は滅びかけた人類は、自然環境が立ち直るのを待ちながら、再び文明を作り直さなければなりませんでした。それは水滴が石に穴を穿つような、ゆっくりとゆっくりとしたはやさでしたが、それでも人類は過ちを繰り返さないために真面目な努力を積み重ねていったのです。しかし、そんな『荒野の時代』と呼ばれる状況にも変化が訪れます。かつての文明の遺産を復活させ、人類を支配しようという者が現れたのです。それがコロニーの住人たちの末裔であり、『世界帝国』を名乗る集団でした。 それは3人の世界のミスだったのか、希望の種の1つだったのか、あるいは人々の死への恐怖が世界と呼ばれる存在の力を上回ったのか、その真相は定かではありませんが、あるコロニーでは生命維持に必要なだけの霊子機関はわずかながら活動を続け、それによって生き残った人々が存在していたのでした。彼らはその幸運を喜ばず、むしろトリダリスの人々を強く恨むようになりました。というのは、彼らが住んでいたコロニーというのはある国の実験コロニーの1つであり、彼らは戦争のために量産されるはずだった人為超能力たちだったのです。
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