陸上交通機関

自動車\オートバイ


 

自動車


 初期の蒸気機関は非常に巨大で重く、陸上交通には利用できない代物でした。高圧蒸気機関が開発されてから、ようやく自動車という機械が実用のものとなったのです。
 開発初期の自動車は馬車や三輪自転車にエンジンを付けただけのもので、いわゆる自動車の形をしているものではありませんでした。つまり、人間や馬の力を蒸気機関や霊子機関といったエンジンの駆動力に置き換えただけのもので、車体のバランスやギアの効率といったものには目を向けられてはいなかったのです。現在では様々な研究が試みられておりますが、旧来の原動機付きの乗り物も現役の交通機関として使われている状況です。

 こういった陸上を走る交通機関というものは、速度の面では必ずしもエンジン性能が活かされるわけではありません。結局のところ、これは交通事情に大きく左右されるものであり、都市郊外では道路の整備状態、都市内では制限速度が深く関わってきます。都市内ではせいぜい時速20kmくらいでしか走ることはできませんし、往来を馬車や人が行き交うことから、町中で自動車を利用する者はまだ少ないのです。また、高圧の蒸気機関は爆発の危険を常にはらんでおりますし、何より煤煙を撒き散らして歩くことから人々に嫌われる存在です。一方、霊子機関は静かすぎるため、後ろに車が近づいていても気づかないことがあり、逆の意味で危険視されています。加えて大きい物体は馬が怯えることから、馬車中心のエルモア地方では、自動車は肩身の狭い思いをしているのです。

 しかし研究者たちは、自動車は近い将来必ず普及するものと考え、各国で熱心に開発が進められています。自動車レースなども行われており、特にカスティルーンで開催されるものには、各国から研究者が集結して技術を競い合います。


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オートバイ


 初期に発表された蒸気エンジン付き自転車は、見せ物程度の代物に過ぎませんでした。蒸気機関は小型化するほど燃費が悪くなりますし、燃料と一緒に水も携行して走る蒸気機関は、どうしても不釣り合いな動力源でしかなかったのです。しかし、霊子機関の登場によって、オートバイはようやく実用の交通機関として利用できるようになりました。
 現在のオートバイは自転車に霊子機関をつけた試験的なものとは異なり、きちんとした専用のフレームやタイヤでつくられています。種類もいくつかあり、安定性をあげようと後輪を二輪にした三輪バイクなどもあります。小回りが利き、霊子機関を積んでいて非常に静かな乗り物であることから、軍隊の伝令用に用いられたりもします。しかし、まだ一般には普及されてはおらず、見たことがない人も多い交通機関です。


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