異端宗教(小宗教)

自然崇拝\赤人\悪魔\竜神\錬金術


 

自然崇拝


 辺境では自然を崇拝する者もおり、既存の宗教とは異なる大系の信仰が根強く残っています。こういった原始宗教の1つとして有名なのが『精霊信仰』です。これは場所的にどこということではなく、山村や海辺などの都市から離れて暮らしている一部の民族で信仰されています。彼らは自然とともに生活することを喜びとしており、日々の暮らしは文明とはかけ離れた非常に質素なものです。
 中には工業の発展によって森林が伐採されてゆくことなどに反発し、精霊系術法や地水火風などの系統の術法を用いて反政府活動を行なう過激な者もおり、弾圧の気風も高まっているような状況です。人間の中では珍しく、エルフなどの亜人と親交をもつ者もいます。


○その他の用語

・精霊祭
 精霊王を呼び出し、感謝を捧げる儀式のことです。実力のある精霊使いでなければ、この祭祀を司ることはできません。

・白の魔女(黒巫女)
 自然信奉者のうち、薬師として尊敬されている者を指す言葉です。微風の母、聖魔女とも称されますが、一般社会では黒巫女と呼ばれ忌避されています。

・オーバーネイチャー
 自然を超える存在を指します。自然の法則に従わない人間のことを皮肉った、自然信奉者たちの言葉です。

・はじまりの水の伝説
 世界を生み出す源となった水の物語で、自然信奉者の間で伝えられています。


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赤人宗教


 北方の赤人たちに信じられている宗教もあります。この宗教は特定の名を持たず、単純に『赤人宗教』と呼ばれて異端視されています。神にも特別な名前はなく、ただ神と呼ぶか、あるいは名もなき神とだけ呼ばれています。彼らの神もまた信者たちと同じく肌や髪が赤く、これが弾圧の大きな口実となっています。
 赤人の奴隷化にともなって、彼らの信仰も抑圧されてきましたが、カルネアなどの北方の国ではまだ地下宗教として残っています。岩塩鉱を利用して教会をつくったりもしており、これは『地下鉄道』と呼ばれる奴隷の逃亡組織の係留点としても活動しています。表立ってではないものの、奴隷たちは民族の神への信仰を忘れてはいないのです。また、奴隷解放にも力添えしていることから、黒人の間でもこの宗教を信奉するものが多くいます。

 赤人宗教には聖人のような存在はありませんが、神だけが崇められているわけではありません。彼らは神以外にも、生活と関わりの深い動物や植物を崇めることがあり、これらは部族によって種類が異なっています。
 たとえばフリスタスのノースポーリア族は、『角鯨』を神の使いと考えています。この部族は生活物資のほとんどを角鯨の捕獲によってまかなっていたため、最大の感謝を込めて神の御下に加えたのでしょう。彼らは小さく切り取った角鯨の角先をビーズの首飾りに繋いで首にかけ、肌身はなさず持ち歩いています。この角飾りは子孫へと代々受け継がれていくようです。この他にもヘラ鹿や白樺の木などを崇める一族がいます。


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悪魔信仰


 魔神や魔王を絶対の存在として信奉し、悪魔との契約によって力を得る者たちがいます。純粋に力を得たいもの、強い恨みをもつものなどの、人々の暗い望みを叶えるためには、悪魔たちは助力を惜しみません。悪魔を信じる者は他のあらゆる宗教から異端扱いされ、もしその正体を知られた場合には何らかの刑に処されるのが普通です。というのは、悪魔との契約には何らかの代償が必要であり、時にはそれは自らの魂ではなく、たとえば愛する人の命であったり、罪のない子供の生き血であったりするからです。そのため、彼らは闇の中で人知れず降魔の儀式を遂行するのです。こういった儀式には麻薬が使われることが多く、ギャングや裏組合が関係している場合もあります。
 悪魔信仰者の中でも最も大きな勢力を持つ集団が『魔神アヌカリヲ』を崇める集団です。彼らのことをアヌカリストと呼び、その教えはアヌカリズムと呼ばれています。普通、悪魔信仰者は個人や小さな集団で行動するものですが、アヌカリストたちには指導者がおり、信者たちは1つの組織として活動しています。指導者は常に男女の2人がいて、セルロッタとアーヴィンと名乗ることが決まっています。これは魔神アヌカリヲの片腕となった2人の魔王の名です。


○その他の用語

・アリアンシープ
 アリアに捧げる黒魔術の生け贄の隠語です。羊狩りと称する人間狩りによって犠牲者を捕らえます。

・神典偽書
 悪魔崇拝者の教典で、神書の内容を歪めて書いてあります。暗黒記などの14の書で公正されています。

・災いの獣
 魔王アヌカリヲの別名で、神書ではこのように呼ばれています。


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竜神信仰


 ジグラットの『竜の一族』は、独自の神として『竜神』を崇めています。これは『竜の王』とも呼ばれており、あらゆる面ですべての生物の上に立つ最強の存在として伝説に残っています。

 竜の一族は『竜使い』として知られる者たちで、竜系術法を用いて竜族を操ります。彼らはもともと狩りをして生活していたのですが、後に略奪という方法で生活の糧を得る集団に変わったので、ジグラットの国民とは長く対立していました。そのために異端の民として扱われ、『空賊』と呼ばれて忌避されてきました。しかし、近年では竜が減少したことや強力な銃器の誕生によって、もはやジグラットに戦いを挑むことは不可能事だと考えられています。


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錬金術


 神を崇拝するわけではありませんが、フレイディオンに本拠地を構える『黄金十字秘協会』も、宗教の1つとして数えてよいかと思われます。実際、彼らは狂信的ともいえる集団で、目的のためならば倫理を問いません。
 協会は錬金術を極めることを第一の目標とし、その実践により世界を動かすことを考えています。この錬金協会が起こした最大の事件が、フレイディオン皇帝の死を隠蔽するために複製体をつくったという、かの有名な『レプリカント・スキャンダル』です。これ以外にも様々な手法で世の中に混乱を起こしており、様々な組織や機関と対立しています。


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