貴族や大商人など、金銭的に恵まれた人たちが住むのがこの高級住宅街と呼ばれる場所です。
高級住宅街は城の近くにあったり、あるいは都市の最も守りのかたい場所で閑静な住宅街を形成していたりします。大きく立派な館が立ち並び、一般市民たちの家とは異なり広い庭を構えているのが普通です。都市という限られた空間で土地を贅沢に使用するというのは、貴族や富豪たちのステータスシンボルの1つでもあり、庶民たちにしてみればこのような富と権力の象徴は不満と怒りの対象でしかありません。
高級住宅街の屋敷は石造りの2〜3階建てが多く、周囲は泥棒よけの高い塀や鉄柵で覆われています。館は外側にも贅を尽くした飾り付けがなされており、柵や門柱にも様々な趣向が凝らされています。庭にはバラなどの美しい花が咲き乱れ、整然と植えられた木々はきちんとした手入れがなされています。
しかし、そんなことで驚いていてはいけません。一歩建物の中に入れば、外見以上の贅沢ぶりを目のあたりにすることになるでしょう。敷き詰められた絨毯は足が埋まるほど柔らかく、広々としたホールでは有名芸術家の絵画や彫刻が客を出迎えます。廊下にも異国の壺や意匠を凝らされた鎧が飾られていますし、様々な美術品を部屋一杯に所有している者もいます。大広間では晩餐会や舞踏会がひらかれ、庶民の食卓には一生のぼることのないような料理がテーブルを覆い尽くします。応接室の床には動物の毛皮が一面に敷かれており、剥製や芸術品でもある家具が備え付けられています。寝室には天蓋つきのベッドがあり、寝る前には高級な寝酒をあおり、朝になれば心地良い優雅な目覚めを楽しむことができます。
高級住宅街は市民にとっては不必要に思われる場所ですが、都市の運営には必須とも言える場所です。ここで施政に関する決定が秘密裏に行なわれていたり、陰湿な陰謀劇が繰り広げられていたりします。華やかな舞踏会の裏側で様々な密約が交わされるのは、何も特別なことではないのです。
市民にとっては一生縁のない場所でしょうが、もしかしたらキャラクターたちは訪れる機会もあるかもしれません。そうなった時には、キャラクターたちは先行きを警戒した方がよいでしょう。高級住宅街で表の顔を信じるのは、悪魔に身を任せるも同然のことなのですから。
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