概説
中層の身分には、『富裕階級』、『知識人階級』、『市民階級』の人間が含まれます。ある程度の資産を持ち、特定の場所に定住している一般市民と考えればよいでしょう。普通に仕事をこなしていればそれなりの生活を送ることができ、特別に蔑まれることなく生きてゆくことができます。職業分野としては非常に幅広いのですが、仕事内容は総じて専門的な知識や技術を必要とされるものになります。
この身分の人々の多くは上流社会の生活にあこがれています。出自を取り替えることはできませんが、金銭によってそれらの真似事をすることは可能なのです。富裕階級の人々は金にあかせてピアノを買ったり、上等な馬車で観劇に出かけたり、あるいは名士や知識人を呼んで宴を開くといったことをして虚栄心を満足させるのです。
それから中層身分の人間が社交界の仲間入りをするのも、決して不可能事ではありません。土地を失った貧乏貴族が金策に訪れたり、資本家の援助を頼りにして娘を嫁に差し出したりすることは珍しくはないのです。また、音楽や文芸の才能があれば貴族がパトロンについてくれることもあります。そしてパーティで美しい演奏を披露したり、詩文を朗読したりするのです。一流の芸術家に出資することは、社交界ではステータスシンボルの1つとして考えられています。
知識人階級の人間でも、特別な発見や発明によって莫大な財産を手に入れたり、エルモア中にその名が知れ渡る可能性もあります。一般に知識人階級の人間は尊敬される立場にありますが、社会への貢献次第によっては、それ以上の栄光をつかむことができるでしょう。
とはいえ、これらはあくまでも多額の資産を持つものや、特別な才能を持ったものだけに許される話です。一般の人々はきらびやかな生活に憧れを抱きつつも、その日その日を堅実に過ごしているのです。
生活
中層身分の人間は富裕階級、知識人階級、市民階級という分類の他にも、大きく2つに分けることができます。それは財産の有無によるものです。
土地や工場を持つ者、あるいは大病院を経営する医者などは、かなりの贅沢をすることができます。時間的に余裕があるかどうかは職業次第ですが、余暇には海外旅行や観劇に出かけることもできますし、ちょっとしたパーティを開くことも可能です。召使いを雇っている家もたくさんあります。中には名誉階級の貴族より財産を持つ者もおり、そういった中層の人間に金策に訪れることもしばしばあるようです。
財産を持たない一般市民は、大した贅沢ができるわけではありません。職業にもよりますが、収入は数万〜数十万エランの範囲で収まります。しかし、逆にそれほど貧困にあえぐこともなく、おおむね不自由なく暮らすことができます。空腹で苦しむことはありませんし、週末にはちょっとしたレストランで外食を楽しむことも可能です。休みの日には芝居見物や国内旅行に出かけることもできるでしょう。住居が密集した都市では難しいかもしれませんが、田舎ではそれなりの家を持つこともできます。
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