身分-神聖


 

概説


 エルモア地方では宗教機関の影響が非常に大きく、聖職者というのは多大なる尊敬を受ける職業です。聖母教会、法教会、マイエル教、およびエリスファリア国教会などの宗教組織で働く者は、『神聖階級』として特別な身分を確立しています。扱いとしては富裕階級〜名誉階級となりますが、権力や財産があるわけではありません。

 神聖階級は上流、中層、下層のどれにも属しません。彼らは出自や財産によって区別されることのない存在なのです。宗教機関の影響は国家によって様々ですが、全てにおいて言えることは聖職者は人々に無条件で尊敬され、そして信頼される職業だということです。国家によっては彼らは裁判官であり、あるいは政治家であったりもします。もっとも、こういった制度は時代の流れに逆行しているものであり、為政者の中にはその影響力を積極的に削いでゆこうと試みる者もいます。

 神聖階級の地位や役割についての詳細は、宗教や国家の項目を見て下さい。


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聖職者の影響力


 聖職者が尊敬されるのには、いくつかの理由があります。
 まず挙げられるのは、実際の力としての術法の存在があるでしょう。聖母アリアから伝えられたというその技は、怪物を倒すだけでなく、社会形成の基盤として大いに役立ちました。現在でも神官戦士として働く聖職者は、変異体や不死者の討伐に術法を用いています。もちろん、治療に用いられる術法も人々の命をたくさん救ってきました。その重要性は想像に難くないでしょう。
 次に、教会組織が世俗化せず、独立した存在として人々の生活を守ってきたことがあります。聖職者たちが信仰を忘れず、組織を腐敗させなかったことはもちろんですが、何より独自の財源を持っていることから、世俗権力に媚びる必要がなかったという理由が大きいでしょう。今でこそ宗教が政治に及ぼす影響力は縮小化していますが、かつては高位の聖職者が政治の相談役を務めるのは当たり前のことでした。聖職者が議院や裁判官の職務に就いていることもありますが、これらのほぼ全ては民衆の側に立つことを心がけたものなのです。
 それから聖職者がすべからく知識人であるということも、民衆の尊敬を受ける1つの理由でしょう。人々が字を読めなかった頃に書物を読んで聞かせたのは聖職者でしたし、さまざまな相談役としても頼りになる存在でした。また、聖職者には神大学や学問院といった附属機関で学問に励む者も多く、一般市民よりも確実に知識を蓄えているのです。

 しかし、何より宗教家の敬虔な信仰心と清廉潔白な態度こそが、人々の尊敬と信頼を勝ち得た最大の理由でしょう。困ったことがあればまず教会へ行くというのが、一般市民にとっては今でも当たり前の考え方なのです。


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