組織


 


 社会を構成する上で欠かせないのが組織や団体です。大きく分類するならば国家や教会も含まれるのですが、ここではもっと小規模な団体について説明します。


○同業者組合

 エルモア地方でもっとも一般的なものが『同業者組合』や『職業組合』と呼ばれる団体です。これは同じ職業についている者たちで構成される組合のことで、協会などと呼ばれることもあります。人々に身近なものとしては、『商業組合』、『露店商組合』、『貿易組合』、あるいは鍛冶や石工などの『職人組合』があります。
 同業者組合はメンバー同士の相互扶助のための組織です。商品の流通や価格をコントロールしたり、新人(弟子)の育成なども行ないます。基礎を教えるために専門学校を営んでいる組合もあります。


○裏組合

 裏組合というのは、その名の通り犯罪者のための組織です。裏組合は情報屋や逃がし屋、それから盗みに関する技術の講習など、様々な仕事を請け負っています。組合は荒事にも精通しており、縄張り争いの調停を行なったり、無届けの露店から場所代を徴収したりもします。
 すべての組合員は、盗賊語という独自の言語を習得しています。というより、この盗賊語を覚えていなければもぐりの盗賊で、仕事の上で何かと不便なことになるでしょう。
 裏組合は秘密結社ですから目立つ場所にはなく、裏通りなどに隠されています。普通の町屋に偽装されていることが多く、一般の人にはまったく区別がつきません。中には情報屋、盗品の故買屋や鑑定屋、そして盗みの技術を教えるための教室などがあります。
 裏組合の規模は多様で、国家間に跨って活動する組織も稀にありますが、多くのものは他の職業組合と同様に都市や街単位での組織です。ですから、彼らの影響力は街の外には広く及ばないのが普通です。


○術法協会

 術法協会は宗教組織とは別に術法に関する技術を司る組織です。術法を用いて困っている人々を助けたり、あるいは教授してもよいと認可されている術を一般の人々に教えることで、金銭を得て活動しています。それと同時に術法の研究機関でもあり、術法師を保護する役目もあります。ごく普通の術法師たちは、そのほとんどが協会に所属していると考えてよいでしょう。なお、術法協会は登録制であり、最初の登録には10万エラン、月々の登録更新には5000エランの費用がかかります。
 術法協会は国家の垣根を超えた組織であり、エルモア全土に広がっています。ただし、術法師は社会全体から見れば稀少な存在なので、組織自体の規模はさほど大きいものではありません。
 協会は国家や宗教機関に多額の寄進を行ったり、術法師に規律を守らせるなどして、社会に認められるための努力を行っています。特に宗教機関に対しては協力を惜しまず、非常に密接な関係にあります。というのは、宗教機関では神の奇跡以外の術法を(特に否定するわけではないが)肯定しておらず、教会に敵対するものが特殊な術法を使用したりすると、それを異端の邪法として認定するためです。術法によって生計を立てている『魔法屋』と呼ばれる者も各地にいますが、こういった人たちも術法協会に所属することで、異端呼ばわりされることを免れているのです。


○冒険者組合

 冒険者組合は最も特殊な形態のギルドといえるでしょう。これは正式な組織ではなく、彼ら自身のネットワークという程度のものですが、エルモア地方のほぼ全土に行き渡っています。冒険者組合は、冒険者が旅の途中で立ち寄る宿屋や酒場、および職業紹介所などの協力で成り立っています。彼らはそこで情報を仕入れて、仕事を請け負うのです。


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