生活
人間はこれらの厳しい自然環境に耐えて生活しなければなりません。かつて都市だった場所は『骨の都』と呼ばれており、息絶えたものたちが化石獣となって襲い掛かってくるため、集落は都市から離れた場所につくられています。花灰の被害から逃れるためには、『風の巣』という常に風が強く吹き荒れる土地に住まねばなりません。たとえば『大峡谷』という名で知られる断崖の近くにも、いくつもの村が形成されています。
このような条件の場所を探し出すのは、『読み師』と称されるものたちです。特に『風読み』は重要な役割を果たしており、各集落に必ず1人は存在します。
もちろん生物からの守り手となる戦士も欠かせません。銃器はありますが弾丸を製造できる者があまりにも少ないので、やはり主流は昔ながらの剣のような武器となります。異色なのは東方の武術を使いこなす戦士で、特別に『守護者』(ガーディアン)の称号を与えられます。彼らは非常に強力で、特殊な技で変異体から人々を守ります。
幼い聖女
聖歴789年の現在、人々の生活には変化が現われつつあります。これは『幼姫』(おさなひめ)と呼ばれる7歳の少女、『シャリエステ=クラーラ』の出現によります。この地方ではマイエル教が信仰されていますが、彼女はその教典にもある聖者と同じ力を行使できるのです。シャリエステはその超常能力をもって、人々を『災いの都』とも呼ばれるかつての首都に進出させることに成功しました。そして数々の兵器を発掘するにいたり、旧科学魔道文明の知識の片鱗をも得ています。
それらの技術のうちでも最も有用なものが、兵器の1つである『機人』の技術です。これは腕や足などの生物の一部を、科学魔道の技術がつくりだした機械に取り替えてしまうというもので、腕に銃器を埋め込んだりといったことができるのです。このような能力を身に付けた者たちは『機人』と呼ばれ、変異体たちと互角以上にわたりあう能力を獲得することができました。そういった技術を歓迎する者もいれば、変異源となった状況を思って反対する人や、表だって口に出さないもののよく思わない人々もいます。
しかし、シャリエステとその後見人たちの力は大きく、それぞれの人望も高いことから、よほど致命的な失敗でもしない限り反対意見は通らないでしょう。ちなみにシャリエステの後見人には、『リトル・エルフィン』と呼ばれる小妖精族のルジェ、『風使い』(エアリアル・マスター)のエル=エリオン、機人グレイ・ローズ、そして最強の守護者として名高いダーク・マドンナなど、個性豊かな強者たちが並んでいます。
|