役所は行政的な実際の処置や事務処理を行なう機関です。官僚が勤める各省庁も役所ですし、市役所や税務署などもそうです。それぞれが種々雑多な仕事を抱えており、日常の業務を忙しくもこなしてゆきます。ここでは主に、日常生活に密接な存在である市役所の業務について解説します。
市役所は都市の住民を把握しなければなりません。役所では住民数に従って区画整理を行ない、税の額を決定します。これらは市議会で討議されることもあれば、封建国家の都市では領主の一存で決められることもあります。ただし貧民街のような場所もありますし、無届けで住み着く者も多いのが実状です。下水道に住んでいる人々もいるくらいですから、住民を完全に把握することはほぼ不可能なのです。
市民の苦情を解決するのも市役所の仕事です。組合への抗議、住民間のちょっとした問題の調停、ゴミの処理など、あらゆる相談事を受け付けます。そのために専門の課が設けられている都市もありますが、問題が非常に専門的な部分にまで関わってくると、他の専門機関や民間に委託することになります。中には冒険者たちに回ってくる仕事もあるようです。このような形の斡旋とは別に、職業安定所のように仕事を紹介してくれることもあります。また、施設の貸し出しの受け付けや、組合への要望の提出、そして商業都市では価格調整を行なったりということも、すべて市役所の業務のうちです。加えて、衛生管理という面では上下水道の整備や家畜の疫病管理がありますし、天候不順による水不足や食料不足の際には、水や食料などの物資の搬入を指揮します。大都市では何か所かに分局があり、それぞれの地区で細かなことにも対応できるようになっています。しかし、お役所仕事とはよく言ったもので、住民自身が先に問題を解決してしまうこともしばしばです。
|