評議会と意見が噛み合わなかったのは、クローン体だけではありませんでした。現在の月の体制が確立する以前に、月人の一部は主流派に対して反対意見を表明し続け、そしてついに袂を分かつこととなった集団が存在します。月人たちはこの勢力を『星人』と呼んでいます。というのは、彼らは大型の人工衛星に住んで、トリダリスの衛星軌道を周回しているためです。
後に彼らは旧コロニー勢力と手を結び、月人に対抗するための力を蓄えてきました。コロニーの住民は昔から、秘儀と呼ばれる魔術と科学魔道の中間に位置するような独自の科学大系をつくり上げており、現在もその技術で新たな技術や兵器を開発しています。そして、トリダリス全土に対して密かに干渉を続けており、エルモア地方にもその手先が忍び込んでいます。
月人たちはこの動きを警戒しているため、トリダリスの管理が甘くなっています。霊子機関の発掘も、こうした隙をついて行われたものなのです。そして、聖暦789年の現在、星人はいよいよ本格的な活動を開始しようとしています。これからの時代の移り変わりには、彼らの存在も大きく関係することになるでしょう。
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