都市の人々が疲れを癒し、そして嫌なことを忘れて楽しむための場所が歓楽街です。朝そして昼には閑散としており、ほとんど人の姿を見ることはありません。しかし夜ともなれば、都市のどの場所よりもにぎやかで明るい通りに早変わりするのです。 酒場の次に歓楽街につきものといえる場所は賭博場でしょう。国家によっては禁止していることもありますが、そのような都市でも賭博は酒場の地下などで密かに行なわれているのが普通です。規模も様々で、酒場の隅にあるような質素なものもあれば、裏組合やギャングが経営している大規模なものもあります。ゲームにも様々な種類があり、パブで子供たちも一緒に楽しむネズミレースのようなものから、サイコロやカード、ルーレットなどを使った本格的なものまであります。闘犬や闘鶏を行なっているところもあれば、チェスのようなゲ−ムに金を賭ける人々もいます。賭博場で気をつけるべきことはスリとイカサマです。もちろん被害を防ぐことは必要ですが、それより注意しなければならないのは裏組合の存在です。スリを行なう者の多くは裏組合の許可を得て行なっており、いわば組合に保護されている存在です。彼らは仲間同士で助け合い、盗んだ財布を巧みに隠してしまいます。また、組合の経営するカジノで不用意にイカサマよばわりしようものなら、たとえそれが事実であったとしても無事に帰れるとは思えません。それでなくともカジノは用心棒を雇っていることが多いので、よほど腕に覚えがあるのでなければ、大人しくしているのが賢明といえるでしょう。 歓楽街を支える人々の中で忘れてはならないのは女性の存在です。酒場や食堂の給仕や掃除婦であったり、ホステスであったり、そして娼婦であったりと、歓楽街の女性には様々な役割があります。ホステスの中には酒場の二階で売春をする者もいます。ウエイトレスのような女性はともかく、ホステスや娼婦というものはみな、経済的な問題でその道に進むしかなかったという場合が多いようです。スラムで生まれ育ったとか、借金の肩代わりとして農村や商人の家から売られてきたり、あるいは没落した貴族の妻や娘であったり、職につけずに身を売ることを選んだ自由奴隷であったりします。大抵は娼館や酒場につとめていて、借金や契約書などで束縛されているようです。それに対して個人で行なう街娼という人々もおり、街角で客引きをしている姿をよく見かけます。しかし、娼婦にも縄張りがあるようで、自由に行なうわけにもいかないようです。 歓楽街では珍しく昼に開かれているのが芝居小屋です。どちらかといえば、旅回りの役者たちによって行なわれているのが普通ですが、より大衆的な芝居は地元に根付いた役者によって歓楽街で行なわれます。このような芝居小屋では、滑稽芝居や風刺的なものが好まれ、庶民の政府に対するささやかな憂さ晴しとして役だっています。そのため、施政者からは疎まれているようですが、庶民の人気を考えると廃止するわけにはいかず、野放しになっているようです。もちろん、独裁制を敷くライヒスデールのような国では、皇帝を批判するような芝居を行なうものは重罪に処されるため、ほとんど廃止同然の状態です。 歓楽街は決して上品な場所とはいえませんが、市民たちが明日への活力を養う大事な場所です。庶民の娯楽のすべてがここにあるといっても過言ではなく、キャラクターたちも1度は訪れてみて欲しい場所です。 先頭へ |