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▼木衆子
日本に古くから存在する民族系統の1つに、木衆子(きしゅうじ)と呼ばれる少数民族があります。彼らは移動を繰り返して日本中に散らばっていったと考えられており、その起源は未だよくわかっておりません。なお、木衆子とは歴史学や民俗学における名称であり、平野の民は彼らのことを山人(さんじん)と呼んでいたようです。というのは、彼らの多くは里から離れた山地で生活していたためで、木こりや木地師、あるいは猟師といった職業を営んでいたと伝えられています。
このような木衆子ですが、彼らが山地に住みつく以前は優秀な鍛冶師の一族であったようです。歴史学者は、当時の権力者たちが高度な製鉄技術を目当てに数多くの侵略を繰り返したために、一族は全国に散らばる羽目に陥ったと考えています。
木衆子について不明な点は多いのですが、未だ真偽が明らかにされていない歴史書や地方史の中に、幾つもの記述が残されています。たとえば、聡明な頭脳を買われて時の権力者に召し抱えられ、日本の中央の政治に大きな影響を与えた木衆子の存在が確認されています。一方で、奇形児たちの集落を形成していたのが木衆子であり、そのために里人と交わらずに山間部で暮らしていたのだと伝えられてもいるのです。
このように木衆子についての逸話は各地に散らばっておりますが、殆どの場合、彼らは虐げられた者たちとして悲劇的な最期を迎えているようです。そして、歴史家たちは鬼にまつわる民話や伝説こそが、木衆子たちの差別の歴史ではないかと考えているようです。
▼鬼衆の血
木衆子とは鬼衆子であり、彼らは鬼の血を受け継ぐ民族です。鬼衆子に連なる者は鬼質(鬼としての性質)と呼ばれる要素を持つ人間であり、通常の人間とは異なる霊的段階にいる者です。純血の鬼衆子は今では殆ど存在しませんが、彼らの血は里人と交わることで日本全国に拡散したため、鬼質を宿す人間は少なからず存在しております。
鬼とはもちろん日本各地の神話・民話で語られる角を持つ異形の怪物ですが、同時に中国で伝えられる霊としての鬼を示す言葉でもあります。
鬼は隠世(かくりよ)、すなわち黄泉から生まれた魂であるという説もありますが、実際にどこから生まれたものかは定かではありません。しかし、鬼哭夜話の世界に鬼は実在しており、心弱き人々を黄泉へと導いてゆくのです。
▼鬼の魂
様々な姿を持つ鬼が伝承に残っていますが、本来の鬼とは鬼の魂(霊)のことであり、人間の怨念や悪意といった負の感情の塊こそがその正体なのです。鬼の魂は人間の裡に宿り、そして最後には肉体を異形の化け物へと変貌させてしまいます。そして、周囲の人々をも死や悲しみへと導いてゆくのです。
・姿
鬼とは生物的な種をさす言葉ではなく、その姿は伝承に残されているように様々なものが存在します。しかし、角を持つことだけは共通しており、これこそが鬼の魂そのものだといえます。
・性別
鬼の魂にも性別のようなものが存在しますが、これは宿主の性別とは無関係に設定されます。鬼化した時に取る姿は、その魂の性別に応じたものとなります。
▼屍鬼
生者ばかりではなく、死体が鬼となって活動することもあるようです。鬼魂が取り憑いた死体は屍鬼(しき)と呼ばれる鬼に姿を変えます。
・死融鬼
鬼の角に残された鬼魂は、一時的に死体に宿ることが出来ます。鬼魂は死体に残された負の念を糧として活動します。この時、もともと鬼魂に宿っていた感情は死者の情念と融合し、生前より強い恨みを抱くようになります。
・黄泉鬼
死者の魂が怨念を持って死魂として黄泉返り、屍鬼となる場合もあるようです。
・鬼火
鬼火と呼ばれるものも鬼の魂の1つですが、これも死体に宿って鬼として活動することが可能となります。
▼鬼の娘
・伝説
鬼姥(おにうば)は隠世と現世の狭間に住む者で、時々こちらの世界へと現れては子供をさらってゆきます。しかし殆どの場合、数時間〜数年で子供は親元へと帰されるようです。一般に神隠しと呼ばれる現象は、鬼姥の仕業であることもあります。
鬼姥と呼ばれておりますが老女とは限らず、女性であるという事実のみが共通しています。鬼姥が何者で何人が存在するのかはわかりませんが、民話の中では少なくとも十数名が確認されています。鬼姥という名前の由来は、古くは姥の能面をつけて現れたためとも言われていますが、乳母を意味しているのではないかという説が最も有力のようです。
・正体
鬼姥は鬼が人間と交わって生まれたもので、鬼の一種として数えられる存在です。鬼と人の間に生まれた子供は必ず女性であり、多くは類い希なる美貌を持って生まれてきます。彼女らは鬼に非ず人にも非ず、同時に鬼であり人でもある存在です。
鬼と交わった女性の多くは、その事実を忘れているか狂っています。そのため、鬼姥は普通の人間の娘として育てられますが、彼女たちはいつか別の鬼姥と接触して自らの正体を知り、十分に成長した後は人知れず姿を消してしまいます。
・目的
鬼姥の目的は鬼を増やすことであり、人の世界に紛れ込んで鬼の角を人々に接触させたり、人間を狭間に誘い込んで鬼の魂を宿らせます。
・鬼姥の力
鬼姥もまた鬼の一種であり、鬼ほどの強さは持ちませんが様々な特殊能力を備えております。この能力は年齢を重ねるほど強くなってゆきます。
▼伝説
伝説として語られている鬼の中には、ひときわ強力で神のように崇められているものも存在します。鬼はもともと山の精霊や荒ぶる神を代表するものの呼称の1つであり、その多くは地方に住む朝廷への反逆者たちによって崇拝されてきました。ゲームの中ではこのような鬼のことを神鬼と呼び、一般の鬼とは異なる存在として設定されています。
神鬼は一般に、性別のない巨人として描かれています。この他の特徴として、善と悪、生と死、怒りと慈悲、知力と武力、疫病と治癒などの両面性を備えるということが挙げられます。伝説上の鬼の中には、災厄だけでなく人間にとって益をもたらす者も存在していることから、鬼の血はこの神鬼に連なる系譜であることを想像させます。
・鬼の名
鬼という呼び名は「隠(オン)」という字音から導かれたものであるという説もありますが、「大人(オニ)」の意味であり「おほひ」と同義であると解釈する人もいます。大人(オニ)は巨人である鬼そのものであり、隠(オン)からの転字だという説は神と同様に「身をかくす」必要のある神聖な存在であることや、鬼の霊的な側面を意味するものなのでしょう。
・鬼の系譜
このゲームの中では、鬼は神鬼に連なる者として位置づけられます。逆に、鬼は神鬼になる要素を宿しているということも意味します。しかし、その悪意と怒りを制御できなければ、神としての要素、すなわち神性をその身に宿すことは決して出来ないのです。
・住処
鬼の住む古墳や洞穴は黄泉の国に通じるともいわれておりますが、これは神性を持たぬ鬼に共通する話で、神鬼はすべからく天へ続く道である山を住処としています。
▼鬼道
鬼道とは道教で使われる言葉であり、祭政一致型の道教系教団である五斗米道が、鬼道の根源由来であるという説が有力です。鬼道の術は鬼(霊)と交信してその意思を聞き取るためのものであり、山神(超自然存在)でもある鬼を祀っていることから、自然崇拝に基づくシャーマニズムの一種と考えてよいでしょう。
鬼道の術はあまり記録に残ってはおりませんが、シャーマン(巫女)の身に山神である神鬼を降ろし、その力を借りて呪術的医療を行ったり、神託を得たりするものであったと考えられます。この巫女のうちで最も有名なものが邪馬台国の卑弥呼ですが、ツングース系民族や中国南方の少数民族にも鬼道の巫女が存在していたようです。
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