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火の玉は狸かムジナのしわざ

上の方に、うちの親戚があってね、お正月のオセチ 〔注〕に行っての帰り、夜の十暗から十二時の闇かね、こんな、茶釜のふたっていったらこんなくらいかな、二十センチくらいの大きさの火の玉が、向こうに見えるんだよ、まぁるく。いまでいえば中央学園のね、もとは原の屋敷のすぐ前なんだね。そこに下屋、肥小屋(しもや こえごや)ってのがあって、その前の方にお茶の木が二株か三珠あって、だいたいあすこらだなって思ってる上に、すーつと落っこって消えちゃったんだな。もう、おっかなくて、年寄りのあいだにへえって、ふるえながら歩って帰ってきた。子どもと年寄りで五、六人でね。出たのは、あそこだなぁと、思ったところまでくると、消えちゃってたですよ。ないんですよ。その時は、いい気持ちしなかったね。「ありゃあ、きっとムジナか狸だんべ」って、年寄りが言ってた。遠くに見えるけど、そういう時は足もとにいるんだって、言ってましたよ。そんなこと言われると、なお、おっかなくなってね。あれは‥ムジナのしわざなんだろうよ。
わたしが十くらいのときかね。
〔入間町 明治30年生 男〕
〔注〕 入間では正月六日を特にオセチとよび、この日に、分家の者が本家に行って年始のあいさつをし、ご馳走になってくる。

 

ムジナに屋敷を見せられる

ムジナも化かすって言ってたよ。人が通るとね、いい娘さんか何かに化けてね、「おとうさん」とか「おかあさん」とか、呼びこむなんて。人間が化かされて、ムジナの棲んでいる土管の中を、出たり入ったりしたなんてね。屋敷だと思ってね。屋敷に見せられてね。ムジナが、その土管の中に、二匹棲んでたって。これは、国分寺へ奉公に行ってたときに聞いた話だけどね。
〔深大寺北町 明治29年生 男〕

 

ムジナに化かされて動けない

ムジナに化かされたっていう詰もあったよ。夜なんか河原に渡ちまうとな − 田まわりだから夜遅く行くんだよ、夏の夜、田んぼの水を見に1そうすると、寝ころんだりなんかすると、ムジナが乗っちまうんだってな。ムジナに乗られると、てめえの体が、ちっとも利かなくなっちゃって、ムジナが乗ってるのがわかるんだけれど、動くわけにはいかないんだな。ムジナに化かされると、体がちっとも利かなくなっちゃう。で、てめえの腹に乗ってるんだけども、払え落とすわけにいかない。てめえの体が動かねえんだな。そうらしいや。
〔下石原 明治27年生 男〕

 

狸の八畳敷

狸のきんたま八畳敷ってね、大きくなるんだって。ほめてやったらば、温まって、だんだんだんだん大きくしたって。
そうして、それから、じいさんだか、ばあさんだかがね、炉で、こうに、石っころあぶってね‥‥。ほめてやったら、狸のやつ、いい気になって大きくしたからね、そこで、熱い石ちょっと、おっぽり込んだら、狸が、ひっくり返っちゃったんだって話を、子どものころ、よく聞いたよ。
狸にね、「おめ、え、よく大きくなるんだってな」って言ったら、狸のやつ、いい気になって、大きくしたからね、ばあさん、火を燃しながら、石の小ちゃいのをあぶって、熱くして、ほうり込んでやったら、狸は、熱いから苦しくって、巻き込んじゃったから、気失ったって。こういう話は、囲炉裏なんかにあたっていて、子どもたちが、だらしなく前をおっぴろげていると、「それ、そんなことしていると、狸のようにやられるぞ」ってね、親たちがしたものだよ。昔は、着物だったからね。

〔入間町 明治30年生 男〕
(『調布市史民俗編』より)

【補注】深大寺元町の明治四十二年生まれの人(男)から聞いた話では、囲炉裏にあたって大き〈ひろげた八畳敷に、その家の人が火種をほうり込むと語られる。「狸の八畳敷」の話は、狸が、ひろげた八畳敷を、斬られる、やけどをする、針で刺される、などという昔話で、全国各地に分布している。

 

囲炉裏にあたりに来る狸

昔よくね、戸をあけとくと、寒いときにね、狸が、囲炉裏のとこへ来て、あたるって。そんなことあったって、年寄りが、よく言ってたよ。ここらにも、狸がいたんだねえ。
〔布田 明治45年生 男〕

 

ウナギを食べに来た狸

狸も、この辺にはいたんですよ。わたLんとこでも子どもの時分、この裏で一匹捕ったんですよ。あすこ、今の神代団地のところにね、学校へ行ってる時分かな、毎晩ドジョウを捕りに行くんですよ。カンテラでね。それで、ウナギやドジョウを捕ってきて、あんまり食べなかったもんでね、毎晩毎晩行って捕ってくるんで、穴あ掘ってウナギを入れといたんだね。三尺か四尺くらい掘ってあったんだね。
そこへね、狸が、そいつを食べに来たんですよ、きっと。それで、ツーツとすべって、中へ落ちちゃったんでしょ。朝見たら、犬だか何だかいるってんで気味が悪いって、さわぎになってね、通る人も、ろらいさわぎしてね、それで狸だってことがわかった。三十年くらいした狸だったって。
〔東つつじヶ丘 明治39年生 男〕

 

ムジナが呉汁を食べにくる

わたしの実家は、(仙川の)染物屋なんですけどね、染物に大豆の呉汁を使うんですね。大豆をひいて呉汁をつくるんですけど、職人さんがね、その大豆をひいてたらば、だれか、腰のあたりをさわるんですって。それで、手で払ったら、キッキッキッキッと鳴きながら向こうへ行ぐんですって。それからね、杓子みたいので呉汁の大豆を練るのね、それでもってボーンってすると、ころがって逃げたって、ムジナが。子どもの時分に聞きましたよ。
〔仙川町 明治30年生 女〕

 

ムジナがカシの実を拾いに来る

秋になると、カシの実をね、ムジナが拾いにくるんですよ。ヒョロヒョロヒョロヒョロって鳴くんです。よく鳴いてました。何となく、うすらさびしいようなね。 「それ、ムジナに食われちゃう」って、よく小さい時分にはねぇ、言われましたよ。
〔西つつじヶ丘 明治44年生 男 B大正5年生 女〕

 

ムジナがカシの実を食べに来る

さむしいってんで、夜、寝てるんだって、そうすると、ムジナがね、しつぼでパタパタパタって、帰ってきたような書立てるんだって。そうすーと、あけてみていないんだって。そんでね、おいらたちが、いいかげんでかくなってから、ポリポリポリポリ、カシの実を拾って食いに来て。そんで、朝、肥引きに出て行くんで、日が短いうちは家を暗いうちに出て行くんだけど、そうすーと、あっちの墓場の方でね、ピョーピョ一つてゆってね、鳴きながら帰る。黙って帰ればいいのにね、ムジナが、ピョーピョーつて鳴きながら帰る。それこそ、ほんとに鳴きながら帰ったよ。
〔入間町 明治26年生 女〕

 

ムジナのためぐそ

ムジナはね、「ムジナのためぐそ」ってね、ひと場所へ行っちゃあ、するんですよ。ムジナのためぐそって、よく言ったものです。ムジナは、ヒョロヒョロって、よく鳴いてね、「あ、ムジナがきたよ」って。昔は、家のまわりが竹やぶみたいでしょう。だから、よく鳴いてました。鶏なんかの血を吸いにくるのか。鳴く声は、気味が悪かった。
〔柴崎 明治31年生 男〕

 

ムジナと狸

ムジナっていうのは、猫の大っきいくらいのものですね。子どものころ、弁天山にムジナがいて、一匹捕ったのを見ましたよ。ムジナと狸とは、ムジナのほうが小さいんですよ。
〔入間町 明治30年生 男〕

 

ムジナの穴

柴崎のお宮の下に、もとは堀があってね、その辺に、ムジナがいたって。子どものころだよね。ムジナはよく崖っぶちにいるんだね。ムジナの穴は、崖っぶちに多いって。ああいう人が化かされた、こういう人が化かされたっていう話は聞かないけれど、ムジナも化かすってことは、よく言ってたね。
〔佐須町 大正3年生 男〕

 

ムジナ坂

そこの河原に下りるところに、格坂ってのがあった下石原のうちだよムジナがいたからムジナ坂っていったんだな。多摩川の河原へ下りる坂で、夜なんか、気味が悪くって通れね、え。そんなだったよ。ムジナも人を化かすよ。
〔下石原 明治27年生 男〕

 


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