<報告者>YCC/増田、ミソジ/遠藤
増田@YCCです。
この秋、9月、11月と2件MSR製コンロによるガソリン噴出事故を目撃しました。
1件は着火直前に発見できましたが、もう1件は炎に包まれてしまいました。
どちらも同じ原因と思われるので、この場をお借りして安全対策をアピールしたいと思
います。(長文ですので使う予定のない人は無視してください)
<燃料漏れの原因>
1)噴出箇所はいずれもFuel Tube(金属メッシュで覆われた燃料チューブ)をポンプ
に差し込む部分だった。
2)ポンプ側のチューブを差し込む穴の中にあるO-リング(燃料チューブを周りから締
め付けているもの。穴の中をのぞくと、入り口から7〜8mmの所に黒いリングが
見えます)の破損が原因と思われる。
3)O-リングは他にも燃料ボトルの口に接する部分およびOn/Offバルブ(ドラゴンフ
ライの場合は微調整バルブにも)使われているが、Fuel Tubeの部分はパイプを出
し入れするためとくに摩耗、破損しやすいようだ。特に古くなるともろくなり、パ
イプを出し入れする際欠けてしまう可能性がある。
4)O-リングは時間と共に劣化し、ヒビが入ったり弾力がなくなって充分シールで
きなくなる。
以上です。
<対策>
使用前には常にO-リングを点検し、少しでも異常があれば直ちに全部同時に交換するこ
とに尽きます。
上記事故でも、当事者に伺ったら、何年も点検したことがなかったとのことでした。
点検してみると、外から分かる部分のO-リング(燃料ボトルとの接合部)にもひびが
いっぱい入っていましたので、事前に防げる事故でした。
皆さんマニュアルを読んだことがなかったそうでしたが、O-リングに関しては太字で注
意が書かれていますのでちゃんと読みましょう。
販売店でもとくに説明してくれないようなので自衛したほうがいいですよ。
加圧ポンプもプラスティック製なので長年使用すると割れやすくなることも頭の隅にい
れておいたほうがよいと思います(アメリカではポンプユニットも交換部品として28ド
ルくらいで売っていましたが日本ではどうなんでしょうね)。
燃料ボトルもポンピングによってかなり高圧がかかりますので、極端にへこんだり深い
傷のついたものは交換しましょう。
私たちが今までよく使ってきたガソリンコンロ(ホエブス、コールマン、オプティマス
など)は開口部が燃料タンクより上にあったのでリークしても気化したガスだったため
大きな事故にはならなかったと思いますが、MSRは構造上液体燃料そのものが漏れるた
め被害が大きくなります。気を引き締めて使いましょう。
いろいろ書いてきましたが、私自身はMSRを愛用していますし、故障も少なく雑な取扱
にも耐える大変優れた製品だと思います。
定期的にO-リングを交換するというごくあたりまえの注意さえはらえばなんの問題も生
じないので長期山行や海外遠征には迷わずMSRを選びます。
ミソジ遠藤です。
YCCの増田さんこんばんわ。
3/10 [alpine-climbing 1266]で紹介しましたが MSRで同様の事故を
経験しています。
その時の被害者は60日の入院と30日のリハビリという大火傷でした。
原因は燃料ボトルの閉め忘れと思われます。
それ以前にも事故にはなりませんでしたが Oリングの劣化によりガソリンが漏れだ
したことがあります。それを防ぐには増田さんの言うとおり定期的にOリングを点検
し交換するのが最良だと思います。
3/10の事故以後は全てのOリングを交換しさらに予備を持って歩いています。
コンロによる事故は他の遭難事故と違ってあまり表面には出てきませんが ほとんど
の人が大なり小なり経験しているようです。
お互いに注意して楽しい山行をしたいものです。
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