<報告者>岳樺アルパインクラブ/岩井等
<遭難事故日> 1997年2月23日
救助活動に参加しましたので、簡単にご報告しておきます。
私も23日午後9時半より新人3名をつれて、ジョウゴ沢に入りまして、右ルンゼの50m ナメ滝(氷柱の右にある
簡単な滝です)を登り終えた後 墜落事故で助けを求められました。
ザイルが短く懸垂支点まで届かなかったので、やもを得ずクライムダウン+スクリュー回収で少し遅れて遭難現場に
向かいました。
事故は午後1時50分頃と聞きましたが、本沢ゴルジュの上のナイアガラの滝の懸垂下降中に墜落したとのことです。
すでに事故に合われた方は意識がなく呼吸だけあった状態でした。
事故に合われた方と同会の方々約4名が搬出用の支点づくりで下山し、新人2名も一緒に降ろしてもらうことをお願
いし、別の会、我が会(私と新人1名)を加えて10名程度が滝の下でヘリを待ってました。
当初は、ゴルジュまで降ろすことを考えて20mほど、ザイルタンカで運びましたが、呼吸が乱れたので、すぐおろ
しました。呼吸がすぐおさまりましたので、体温と血が喉につまらせるのだけを気をつけていました。
残念な事に3時10分頃になり急に呼吸が無くなり、人口呼吸など行いましたがお亡くなりになりました。
亡くなった方と同行した会のリーダ(たしか風来坊という会の鮫島さん?)から、懸垂支点を確認してほしいと話しが
あり、私と新人1名で右手の岩から周り込んでで懸垂ピンまで行きましたが、残置シュリンゲが全て氷づけされ、1本
のオレンジ色のシュリンゲだけが輪のまま2本のハーケンの穴に通っていました。(通してから結んだのではない状態で
した)
実際の支点づくりは誰も見ていないので、推測しかありませんが、ハーケンが抜けた、シュリンゲが切れた、ほどけた
という状態は見られませんでした。
後になって、私の会のチーフリーダに叱られたのですが、風来坊のリーダの方からシュリンゲを回収してほしいと言わ
れてそのまま 言うがままにしましたが、やはり その場に残して置くべきでした。今となって、私どもの観察しか証言が
なくなってしまった訳ですからまずいことをしてしまいました。
4時頃にヘリで警察の方々が来られ、搬出作業にかかるのを見て、私たちは搬出用の支点/ザイルを回収しながら下山
し、鉱泉にて 回収品を引渡し、作業を終了が終了しました。5時でした。
お亡くなりなった方に心よりご冥福をお祈りいたします。
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