<報告者> ARIアルパインクラブ/吉田肇
<遭難事故日>2005年10月1日(土)
土曜日にクライミングの事故がありましたので、参考までに簡単に報告し
ます。
事故のあったルートは、台湾坊主(5.9)でルートの終了間際で木を掴んだところ、
木が折れて墜落し、カムが3本抜けてグランドフォールしました。おそらくロープの
伸びもあったと思われますが、十メートル弱程度のフォール。取り付きの岩盤に腰を
うったということでした。
そのパーティの仲間が、救急車とヘリの要請。30分後くらいに救急車で到着した救助
隊があがってきましたが、岩場の上は木に覆われていたためヘリに直接収納するのは
難しいということで、下の道まで降ろすことになりました。
同ルートはかなり端の方にあったため、細くて悪い道を通って下ろすよりも、斜面は
急でしたが下の道までは直線距離で80メートルくらいだったため、ロープで担架を吊っ
て数人のサポートが担架につき、最短距離で降ろすことになりました。
救助隊員の人が4名ほど来ていましたが、ロープを使っての救助などは経験がないよ
うだったので、引き下ろしのシステムを2つ作って途中で切り替えるようにし、また
事故現場から下の道までフィックスロープを2本張って、ロープの間の道を整備する
ようにしました。救助隊員が4名、クライマーが10名と人数が多かったこともあり、
比較的スムーズに下の道まで無事に降ろすことができ、救急車に収容することができ
ました。
救助訓練でやっていた内容にとても似た状況だったこともあり、練習していたことが
大いに役立ちました。
※救助隊員の持ってきた担架はポリカーボネイトのような材質で、深さが30センチく
らいあり、まわりに掴んだりできるような穴がついていたのでシュリンゲを通して吊
り上げることが容易にできました。
※事故者は、後で聞いたところ左手の複雑骨折、腰椎?の骨折で2-3ヶ月の入院らしい
ということでした。事故者のグループは、フェイスはジムなどでかなり登っていたよ
うですが、クラックは初めてだったようです。
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