JECC/広川健太郎、その他
< 記 録 > 広 川 健 太 郎
<山行日> 1997年3月2日(日)、8日(土)〜10日(月)
このエリアでは舞姫の滝に加え、この正月舞鶴ルンゼが登られている。今回トレースした以下4本のルートは、
いずれも北面に位置し氷結状憩も安定しており、本番ルートというよりも純枠なアイスクライミングに輿じるこ
とができるゲレンデ的性格が強い。
ルート数も揃い、アプローチも近いので人気が高まることを期待したい。
以下戸台川上流側から順番に紹介する。
1、赤河原奥/戸台川左岸無名ルンゼ大滝「キリンの首」
9年3月9日初登、溝淵三郎、広川健太郎、長谷川文(JECC)、水津幹夫(雲表倶楽部)
(1)アプローチ・位置
赤河原から舞姫、舞鶴を過ぎる。踏み跡は右岸に渡る。谷が大きく左に屈曲する地点で始めて七丈の滝を見
る事ができる。この地点で左岸に入ってきているガレ(水なし)状のルンゼを雪面通しに詰めていく。淡々と
した堅雪の斜面で氷などないのではと思わされるところだ。
途中右側にちょっとした氷のカンテ(仮称・子象の青鼻)を見、右に浅いルンゼを分ける。左手頭上に岩壁
が聳え(そびえ)、岩の下には蒼いナメを見せている。沢状を詰めた先にベルクラ状の氷があり、これを越え
た上に60mの大滝「キリンの首」が現れる。戸台川を赤河原に向かう途中双児山の左斜面にこの大滝をみる
ことができるが、赤河原を過ぎ、谷に入ってしまうとこの滝へどこから詰めると良いか判然としなくなる。我
々も山勘で偶然に到達できた次第。
出合いまで赤河原から45分、ルンゼの出合いから大滝まで1時間程度であるが、沢の中ほ雪の状憩によっ
ては雪崩の危険がある。
(2)ルート概要
F1 15m W 薄いベルグラ状
F2 60m V〜V+ 幅4m程の細い滝。赤河原手前の戸台川の河原から双児山の左斜面に遠望す
ることができる。前の週の雨で大分氷が薄くなったものと思われる。
中段のバンド右側で一旦ピッチを切っ た方が良い。垂直部が3ケ所、各5m
程あり、結構登り応えがある。核心部を抜けると左岸の潅木でビレーすること
ができる。
F3 5m ナメ滝
(3)下降
右岸の樹林から大きく巻けば歩いて降りられる。
2、赤河原奥/戸台川l左岸小舞の滝
9年3月2日初登 阿部亮樹、池之内潔、原囲智紀、長谷川文、平山越子、広川健太郎
水黒健之(JECC)
(1)位置・アプローチ
舞鶴ルンゼと同じ左岸、ずぐ上のルンゼ。赤河原からは20分前後である。最初の滝は垂直に近い点が出
ているだろう。
(2)ルート概要
F1 45m 出だしの8m程がV級程度。堅い氷。
F2 45m 傾斜もなくばっちり凍っていれば易しいと思われるが、我々が登った置きは
アイゼンやバイルのピックが岩をガンガン叩く簿いベルグラになっており、上部
直登組みと落ち口は岩場からのトレースの二手に分かれて登った。
(3)下降
同ルートを懸垂。F2の下降はダブルロープが良い。
3、赤河原手前/戸台川左岸歌宿沢大滝「歌姫の宿」
9年3月8日初登 溝渕三郎、広川健太郎、長谷川文(JECC)、水津幹夫(雲表倶楽部)
(1)アプローチ・位置
河原沿いの登山道を赤河原へとむかう途中、角兵衛沢手前で入りロを指す「鋸岳ヘ」という指導標がある。こ
の地点で薮を15mほど山沿いに進むと並行して旧道があり、古いが大きな案内板がある。歌宿沢案内枚にもあ
るが、この地点から3分ほど戻っだところに入ってきている涸沢だ。小さな段が沢山ある窪状の斜面を20分ほ
ど登っていくと左手からガレが入ってきており、よくみると大滝が一部見えている。さらに15分ほど登ると急
なガレと雪の斜面の右奥に大滝が全貌を現す。
(2)ルート概要
F1 4mの小滝から40mのナメ
P2 70m 70度程度から始まり10mほど登ると滝の一番細いところから80度強の傾
斜が続く。北西面に位置するためか氷質は堅い。30mで傾斜が落ち、40mほ
どロープを伸ばしだところで右岸の潅木を利用しピッチを切る。2P目75度強
を10m登ると緩傾斜帯になり、30mで林道に。
(3〉下降
滝の右(左岸)側の尾根状を下りガレをトラバースして取付きへ戻ることができる。
4、赤河原手前/戸台川左岸上ニゴリ沢F1〜F3
9年3月2日 ARI混成、 JECC混成の2パーティが試登
10日 ARIパーティ初登、JECCパーティ2登
(1)位置・アプローチ
白岩の堰提から約20分。下流の下ニゴリ沢は水流を見せているが上ニゴリ沢出合いはゴーロ状である。ケ
ルンあり。出合いから左奥にF1がちらっと見えている。石がごろごろした沢を登っていく。左に分かれる支
沢に入る。鉄製の堰堤の先で更に二俣になる。メインは右だが、左の小支流にも3つ滝がある。出合いから4
5分〜1時間でF1取付きに至る。
(2)ルート概要
F1 50m 左側は下部は短いが急傾斜、上部の段状。右側は傾斜が一定しており50mのスケールが
ある。幅も30mほどあり、色々なラインを選ぷことができるので、リード、トップロープ
での練習のいずれにも好適。2日は中央から左を4ライン、10日は右の凹角を登った。易
しいと思った右凹角ノーピンで登ったため、ちょっと緊張した。
F2 15m 林道上の階段状75度の氷。3級上程度か?。上部で右手の岩に工事用の鉄パイプが打ち
込まれており、ランニング用に使う事ができる。
F3 50〜70m
小滝を2つ越えた奥にF3がある。沢は右上しており、左下から取付けば長く、右奥から取
付けば短くなる。全体にナメ状で堅い氷で楽しめた。傾斜は60〜80度程度、ラインは自由
にとれる。
(3)下降
P3は滝の左側(右岸)の樹林草付と小ルンゼ内の氷をつかって降りる。F2は右岸の木を使い懸垂できるが、
シングルロープの場合は45m以上は欲しい。Flば右側(左岸)の尾根状から歩いて降りられる。
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