秀峰登高会/中嶋學、その他
< 記 録 > 中 嶋 學
<山行日> 1997年3月1日(土)〜5日(水)
<記録>
平日だったので他のパーティにもまったく会わず、貸切り状態でした。印象に残っていることを報告させていた
だきます。
3月1日 雨のち晴れ
雨が降っていたのでとても行動する気になれず、トンネルでシュラフに潜って朝寝。昼頃から雨が上がり天気が
急速に回復して行く。勇んで林道歩きに出発。
雨が降るだけあって雪は締まっている。きれいなダムの横をひたすら歩くだけ。一回だけはるか彼方に槍が見え
た。キャラバンの気分。
あまり期待していなかった名無避難小屋というのがこのうえないほど快適で、時間も丁度良かったのでここで泊
まることにした。なんと薪ストーブと畳があり、快適と言うより幸福の域に達していた。
3月2日 曇り〜雪
この日のうちに尾根にあがってしまおうと勇んで出発。噂のとうり千天出合までがけっこう悪かった。ワカンと
アイゼンの使い分けが難しい。しかし気になっていた渡渉はデブリのおかげでまったく問題なかった。尾根に取り
付いてからはトレースはほとんどない。けっこうな急登をひたすら続け1回ロープを出す。結局ここが一番難しか
った気がする。P2上で泊。
3月3日 晴れ、曇り、小雪
目的地を4・5のコルか北鎌のコルに決め、天気が回復しつつあるのを確認して遅めの出発。表面がクラストし
ていて、もぐらなそうでもぐるラッセルがけっこう疲れる。4・5のコルの時点で時間に余があったので北鎌のコ
ルに進む。登山体系ではここから大トラヴァースとなっているが、P5ギリギリまでつめて、左に普通に巻いてクリ
アできた。雪が締まってなかったら恐いと思う。
P6は右から行ったが、落ちたらやばそうなところが1ポイントあったので一応ロープを出す。P7周辺はナイフリ
ッジになっていて、リッジごと落ちてしまいそうな気がしてかなり恐かった。雪屁を崩して25mの懸垂1回。北鎌
のコルは思ったとうり風が強かった。
スコップで念入りに整地。そろそろ冬型が弱まって天気が良くなるだろうと思っていたが甘く、南岸に低気圧が
通るらしい。なんとしての次の冬型本番前に槍を越えたい。
3月4日 晴れ〜吹雪
朝は弱い冬型で、硫黄より向こうがガスの中。そのガスが次第に近づいて来るのが判る。朝一の元気で急登のP8,
P9をクリアし独標に立つと、かっこいい槍が大きく立っていた。天気はどんどん悪くなっていき、大槍に取り付く
頃には槍はガスの中だった。
ロープは頂上直下1ピッチだけ。頂上ではブロッケンが見えた。さっさと降りて槍岳山荘の冬期小屋に逃げ込む。
此の夜冬型で大いに荒れたが、小屋で泊まれて本当に良かった。寒かったけど。
パートナーもモチが下がっていて、この先縦走するのは現実的ではないので明日の一番で飛騨沢を下降すること
にする。夜は飲み食いし放題。
3月5日 吹雪〜下は晴れ
すごい風の稜線から飛騨沢に飛び込む。尻セードでガンガンとばせる。滝谷出合まで2時間、途中初めて他のパ
ーティを見た。南岳西尾根らへん。
新穂高12:00、久々の風呂は感動ものだがビールがなかったのが残念だ。タダの温泉万歳!
高山ではムーンライトの指定席が取れず駅でさらにビヴァーク、6日の昼に東京に着いた。
<おわり>
★ エリア別山行記録へ戻る ★ INDEXへ戻る