爺ガ岳/東尾根〜鹿島槍ヶ岳/記録(鹿島槍周辺・剣岳周辺/状況報告)

グループ・ド・ミソジ/吉田剛(単独)


< 記 録 >吉 田 剛



<山行日>     1997年4月19日(土)〜20日(日)

 来シーズン行きたい鹿島槍北壁を見ておきたかったのと、 ゴールデンウィークに向けて積雪量調査を目的に、 爺ガ岳東尾根から鹿島槍へ行ってきました。

 以下状況報告と山行報告に分けて報告させていただきます。 例年を知らないので例年と比較しての報告ができなくて 申し訳ないのですが、少しでも参考になればと思って書きました。 長くなってすいません。 内容は縦走ですが、状況報告としてアルパインMLにも送付します。

状況報告

<鹿島槍周辺>

 爺ガ岳東尾根にしても、鹿島槍東尾根や天狗尾根にしても北斜面以外は、 1500m以上まで行かないとまともに雪は出てきません。 下部はやぶや露岩が多く、登るのも水を得るのも苦労することになると思います。 上部はそれなりに雪も有り、雪稜通しで行けると思います。

 稜線上はガレキが露出し比較的歩きやすいところと、 ひざ下までズッコンと、もぐって疲れるところが有り、 鹿島槍への登りが比較的歩きやすく、爺が岳周辺がつかれました。 雪質はそれなりにしまっていました。

 計画書は鹿島山荘に提出するか、大谷原の黄色いポストに投函できます。 一般的なことですが、

爺が岳も鹿島槍も上部には大きな雪庇が有るので、注意して下さい。 また、稜線上には風を遮るものがまったくないので、一度風が強くなると どんどん体力を奪われると思いますので、気をつけて下さい。 あと、下部のやぶこぎには軍手が有ると重宝すると思います。 雪に押し倒されたささや木の周辺を歩くとビヨーンと跳ね上がってくることが有り 冗談抜きで危ないので気をつけて下さい。

 以下は双眼鏡で見ただけなのであまり当てにしないでください。

<剣岳周辺>

 チンネ左稜線とクレオパトラニードルは真っ黒でした。 八つ峰は所々露岩が見えましたが、下部から白く、 おそらくすべて雪稜通しで行けると思います。 剣沢小屋は良く見えていました。

<槍ヶ岳>

 北鎌尾根は東側が黒っぽかった様です。 遠かったのでほとんど当てにはなりません。

<丸山東壁>

 残念ながら丸山東壁は陰になって見えませんでしたが、 山頂付近はかなり樹林がはっきり見えました。 黒部川のアプローチでは積雪が少なく、雪崩の危険は 比較的少ないと考えられます。

<全体を通して>

 北斜面、西斜面と黒部川流域以外では1200m以下では どこも、ほとんど雪はないといって良いと思います。 日陰や沢筋では残っているところも有るかもしれません。

山行報告

4月19日

 19日の朝3時半に大谷原に着く。明かりのないところで寝たかったので 鹿島山荘ではなく、ここまで入ってきた。

 来る途中までは、雨が降ったりしていたが、翌日は晴れの予報なので あまり心配しないで寝る。朝7時におきると数パーティーの登山者がいた。 鹿島槍の東尾根か天狗尾根だろうか。

  鹿島山荘まで戻って計画書を提出する。さて、目的の爺ガ岳東尾根だが 全然雪がない。少ないのは予想していたが、やはりショックを受ける。 そうは言ってもしょうがないので、8時に登り始める。登り始めの高度は 標高約800m程だが、はじめて雪を踏んだのは標高1200m辺り。 まともに雪通しで歩けるのは1500m付近から。

   以前は九州の方が三年に一度道を作ってくれていたそうだが、 今ではそれはなくなってしまったそうで、やぶこぎが大変だった。 予定では今日は尾根上でテントを張り、翌日鹿島槍まで ピストンすることにしていたので、出発もゆっくりしていたが、 時間に余裕が有りそうなので、冷池山荘まで足を伸ばすことにする。 と、言っても爺までは2670mまで登るのでむっちゃくちゃ疲れた。

 途中で足がつりそうになった。爺が岳には2時45分到着。 冷池山荘には4時10分到着で、夕日でぬれたものを乾かすことができた。 冷池山荘の裏に昨日買ったばかりのテントを張り、7時就寝。

 ちなみに今回は軽量化のためシュラフは化繊のスリーシーズン、 マットはテント用の薄いのだけにしたので、むっちゃくちゃ寒かった。 (なんて言っていると、岩場でビバークしている人に怒られそうだ) ザックと合羽を敷いて(ゴアではないので着て寝るとぬれる)、 手袋をズボンとももの間にいれて寝たのは少しはあったかくて良かった。

4月20日

 20日はせっかくここまで足を伸ばしたので、今日は早く降りようと思って 4時15分出発。4時50分頃に布引山付近で日の出を見る。 6時前に鹿島槍南峰に到着。さすがにここは風も強く顔に当たる粉雪が痛い。

 さて、北峰に向かおうと思うと、まあそれなりの岩場を下ることになる。 時間も時間で結構クラストしていることも有りアイゼンをつけようとザックを開く。 しかし、ない。

 じつは、登っている最中からアイゼンをテントの外に出したあと ザックに入れたかどうか自信がなかったが、気がつかないふりをしていたのだ。 それでも、手にはバイルを持っていることだし、ここのワンポイントさえ 下りてしまえばという気持ちで向かうが、危険を感じたので引き返す。

 残念無念のおお間抜けである。

   結局今回の山行でアイゼンはただの重りになってしまった。 それに、見たかった北壁やかくね里は見られずじまい。 気を取り直して、双眼鏡で周囲を見る。ディスカウントストアで 一番安かったやつだが、あまり目の良くない私には非常に便利である。 そうこうしていても、やはり風当たりが強く寒いので下ることにする。

 8時にテントを撤収し冷池山荘を出発し、9時30分爺が岳到着。 ここを下ると思うだけで疲れるが、大福を食べて気を取り直し、 (今回はいちご大福は売り切れだった。)12時10分鹿島山荘に到着。 TBSラジオの渡辺真理のメロディーマーケットに間に合って良かった。 鹿島山荘のおばさん(おばあちゃん?)にお茶をごちそうになり、帰路に就いた。


★ エリア別山行記録へ戻る ★ INDEXへ戻る