瑞牆山/十一面岩正面壁/ベルジュエール

霧峰山岳会/島田邦昭、嶋田英也


<山行日> 1999年6月12日(土) <記録> 島田邦昭



 アニマル島田@霧峰です。

 6月12日に瑞牆山の十一面岩正面壁に行ってきました。

メンバー: 島田 邦昭, 嶋田 英也(霧峰山岳会)
ルート: 正面壁ベルジュエール5.10a/ A1 10 ピッチ 300m

 小川山には20回くらい行っているが, 反対側の瑞牆には10年くらい前に末端壁に行った事があるくらいで,ほとんど土地 勘がない。夜だったので,グリーンロッジを通り過ぎ瑞牆山荘まで来てしまい,明け 方から到着の車で何度も起こされた。 二度寝をしたため,8時過ぎにようやく起き出す。 とりあえず,車ではいれる所まで進む。

 CJ48号では天鳥川の河原で幕営可とあるが,基本的に道路のため,あまりいい 場所ではない。南沢を渡り100mほど行くと,工事現場に突き当たった。林道工 事と昔草原だったところをほじくって造成していた。キャンプ場でも造るのかしら ?

 なんにしても土木工事の多い山梨県である。あちこちに新しい道が削られているの で,正規の踏み跡?がよくわからない。 途中で沢沿いに降りようやくアプローチに入る。

 ガレ沢を詰める事約1時間で圧倒的な迫力の末端壁が頭上を圧する。われわれにはお 呼びでないハードルートなので,さらに20分ばかりしんどいガレ登りをすると,で たでた,正面壁がお日様に輝いているではないか。しかも昨日の雷雨で水が流れて おります。まあ登っているうちに乾くでしょ。というわけで,取り付きへ。

 1P 浮き石だらけの出だしからすぐにボルトラダーA1. ルート中唯一の人工ピッチ。

 2P 小ハングを回り込み凹角を直上。ピンは多めだが,フットワークが微妙でいやらし い。5.9 (A0も可)

 3P 容易なスラブから泥の詰まったコーナークラック。 テラスまで届かず立ち木でスリングビレイ。 W+

 4P 5mのフェースから左の壁に走るハンドクラックをたどり,白熊のコルへ。5.1 0a

 5P ルートのハイライト。15mの大フレークをオフウイズステクニックとレイバック で豪快に越える。フレンズ#3.5,#4が必要。(とても見栄えがします。)5 .10a

 6P 水の滴るチムニー。 ザックが邪魔。息が上がる。5.8

 7P へんなピナクルをチムニーのぼりで越える。易しい。5.8

 もうこの辺で体力的にはヘロヘロになり,上腕や指がつってきたが,ここまで登っ てしまったので,頂上に抜けるしかない。 気合いを入れ直す。

 8P フィンガーサイズのフレーク(クラック)から,下向きにフレアーしたハンドクラ ックを左にトラバース。難しかった。チョンボが入ってしまった。5.10a

 9P ただの岩稜歩きU級

 10P 短いがちょっとかぶったフィンガークラック。フィナーレを飾るピッチ。5.9 夕日が美しいピークへ。 瑞牆本峰や大ヤスリ小ヤスリなどが,赤く染まってきれいだ。他にも無名(たぶん )の岩塔が無数にたたずんでいる。 クライマーとしてはなんだかとても贅沢な気分に浸れた。

 久しぶりに思う存分岩を登った気がする。 トレーニング不足で時間がかかりすぎたり,体力がぎりぎりだったりしたが,精神 的にとても充実して幸せでした。

 この山域はもっと見直されていい気がするが,反面このままの静けさを保って欲しい とも思う。しばらく通ってみようと思いますので, 興味のある方はご一緒にいかがですか?当会は人手不足のためパ−トナー募集中で す。

 蛇足だが十一面岩からの下降は悪い。充分気をつけてください。 暗くなったら止めた方がいいです。


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