荒沢山/ダイレクトルンゼ

ARIアルパインクラブ/原岳広、木元康晴


<山行日> 1999年6月13日(日) <記録> 原岳広



 荒沢山は足拍子岳の隣に位置しており、ダイレクトスラブは荒沢山の足拍子川側に面し ています。

 取り付きのスラブは結構立派で、ここにフリーのルートを拓いたら面白いのではと思っ たが、現行のルートは右側の草付き(というか藪)を回り込んでいく。一見してノーザイ ルで行けそうだったので、そうする。初めは木登りピッチという感じだったけど、途中か ら完全な藪漕ぎとなり、しかも傾斜はけっこくきつく足元もドロドロなので手だけで急傾 斜にぶら下がっている感じ。握力を消耗し、変な疲れ方をする。

 ひたすら急傾斜の藪漕ぎを続け、そろそろと言うところで左側のカンテを乗越してスラ ブに戻る。この乗越が岩が脆く少しばかり嫌らしい。

 スラブに戻ったところで上を見上げると二股に別れている。ここが下部スラブのどん詰 まり。一見してノーザイルでいけそうだが、二股の先の様子が見えず、さらに登山体系に はここがW級のグレードがついているし残置ハーケンもあるのでので一応シングルでザイ ルを出すことにする。が、結局ここも何のことはなかった。ノーザイルでもいけた ●^O^●木元さんは「う〜ん、オールフリー記録を逃してしまった・・・」と、呟いてい た。僕も同感。ちなみにリードは木元さん。

 二股から右側のルンゼはさらに二つに別れ、結局上部は左、中央、右とルンゼが3つ走 っている。我々は頂上直下に出ることが出来る中央ルンゼを詰めることにする。ここも全 てノーザイル。傾斜も緩く、岩も硬く、気持ち良くフリーソロ!(こう言うと、かっこえ え〜って感じですよね。木元さん●^O^●)9時少し前に荒沢山の頂上を踏んだのでした 。(ちなみに駐車場発は5時ちょっと過ぎ)

 それにしても、なぜ「わらじ」の今井氏はこんなところを下から上まで10ピッチ以上 も切ったのだろう、と首を傾げる。おかげで彼らは登攀にべらぼうな時間がかかっている (参考:「わらじ」の会報。頂上16時で下降にはヘッドランプも使用)。考え方の差 、あるいはパートナへの配慮なのか分からないけど、ある程度の技量が備わっていればこ こはノーザイルでとっとと抜けるのが正解だと思う。

 頂上で大休止。ここは360度のパノラマで非常に気持ちよい。足拍子はもちろん、谷 川岳、一の倉岳から巻機、苗場山等の上越の山々がくっきりと見え、最高であった。

 下降は前手沢を下ることにする。稜線を中里方面へしばらく歩き、前手沢が突き上げる コルから下降。当然、踏み後などあるわけはなく、降りれるかなあ・・・、と迷う。まあ 、いざとなったら懸垂するか!と決心し、藪をつかみながら急降下する。が、すぐに滝が 現れ玉砕。右岸方面へトラバースし、適当なところで木を使って懸垂。雪渓に降り立つ 。しかしこの雪渓もすぐに途切れ、また沢沿いの下降。しばらくいくとまたもや大きな滝 。これも右岸へトラバースして懸垂。

 という感じで、懸垂、藪の急降下、雪渓下りを繰り返し、足拍子川出合へ。駐車場に 12時過ぎに到着しました。

 湯沢の温泉に入り、食事をし、まだ渋滞がひどくならないうちに関越を東京に向かった のでした●^O^●

 一の倉の様に良く登られたルートだとアプローチもルート上もある程度先が予想できて しまうが、今回の様に取り付く者が少ない岩場では何が起こるか分からず、まさに冒険山 行的で僕は大好きである。最高にいい気分の日曜日であった。木元さん、またマニアック なところ行きましょう\●^O^●/



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