<山行日> 1999年5月1日(土)〜5月4日(火) <記録> 藪内淳志
皆さんこんにちわ、藪内@東京雪稜会です。
5月1日から5月4日の日程で、湯俣から北鎌を抜けてきたので報告します。
4月30日(金曜日)
八王子駅前を21:00に出発、穂高町の道の駅到着が23:30、仮眠を取る。
5月1日(土曜日)〜晴れ
高瀬ダム07:00->09:50湯俣10:20->11:50中東沢出合12:00->14:00P2取り付き
大町の名鉄タクシーさんの営業所に車を置かせてもらい、高瀬ダムへ向かう。七
倉ダムの指導センターで去年もらった、詳細なアプローチの図解は今年はなし。
湯俣までは特に荒れたところはなく、落ちたという噂のあった吊り橋も無事。
早速の高巻き、笹原を抜けてから再度高巻き、次の笹原を抜けたところで河原に
下り、ここまでは去年と同じ。問題はここからで、「岳人」の記事にもあった通
り、水線通しのトラバースも高巻きも崩れてしまって抜けられない。強行突破を
試みるパーティーはみな空しく退却してくる。ここは一回目の徒渉で右岸に渡
る。徒渉可能地点は二箇所、下流側は浅くて水は膝下程度だが徒渉後に右岸を高
巻いて懸垂で河原に下りる必要があり、上流側は少々深くて身長164cmのぼくで
ちょうど股に水が届く。アンペイジのパーティーの好意に甘えてザイルをお借り
する、ありがとうございました。ここが一番深くて厳しい徒渉だった。
この先は河原通しで進み、中東沢で二回目の徒渉、水量は膝上程度だが、上流側
で大きな岩の間を飛んで渡ることも可能。徒渉後すぐに左手の薮に入り、この辺
りから一面残雪に覆われるようになった河原に戻って淡々と進む。河原が切れて
進めなくなったところが三回目の徒渉地点、水量は同じく膝下程度で、これで昨
年までのルートに戻る。すぐに水線通しのトラバース、さらに悪い高巻きを経
て、河原に下り立つと間もなくで去年までの第一徒渉点に辿り着いた。ここもさ
ほど水量はなく膝下程度だが、徒渉距離が少し長いのと、もうすでに四度目の徒
渉なので、水の冷たさが身にしみる。去年の豪雨で荒れたのかP2取り付きは巨
岩がごろごろしていて、徒渉の必要もなくひとっ飛びで対岸へ渡れてしまった。
ぼくらを入れてテントは三張りしかなかった。
5月2日(日曜日)〜晴れ
P2取り付き05:00->11:35北鎌のコル11:50->15:50独標16:00->18:00P14直下
P2への登りのフィックスは腐っていてとても頼る気にはなれないので、お助け
をかけまくりながらどんどん登る。稜線でアイゼンをつけさらに登るとP4の天
場、思いのほか時間がかかってしまった。ここから見上げる独標の余りの立派さ
と大きさに思わずため息が洩れる、今日中にあれを越えるやなんて、ほんまかい
な...
P5のトラバースはすでに雪が腐り始めていて、そこここでシュルンドが開いて
おり超特急で抜けた。P6は千丈沢側を巻くが、雪の状態が悪かったのでザイル
を出し、さらにP7の下りで1ピッチ懸垂、下り立った北鎌のコルで大休止。
独標へは取り付きの左側の雪壁を直接に登るルートをとった。まずはざらめ雪と
氷のミックスのルンゼを登りピッチを切る。さらに露岩を越えて細い雪稜でザイ
ルが足りなくなり、スタンディングアックスで後続をビレイ。1ピッチ目をもう
少し伸ばしておけば、2ピッチ目はさらに上の岩角まで届いたかもしれない。そ
こから雪壁を一登りで独標の頂上。あくまでも北鎌平を目指して進むが、途中何
箇所かあった天場をやり過ごし、P14直下のがら場で念のためザイルを出すと、
もうさすがに時間切れと判断、その先の狭いコルにテントを張った。寝る頃から
風が強まり始め雲も出て、天気が崩れ始めたのを実感する。
5月3日(月曜日)〜ガス/曇り
P14直下06:00->10:00槍ヶ岳10:10->11:00肩の小屋11:30->15:50徳沢
穂先への取り付きでザイルを出し登り始めると、後続の2パーティーにノーザイ
ルで追い抜いかれた。それでもチムニーに固執して左にルートを取り、ざくざく
の雪が溜まったルンゼを登ると上に人影が見え、そしてその横に見覚えのある祠
があった。思わず小さくこぶしを握り締め、登りついて岩角にザイルをフィック
スし後続を待つ。「やっとここまで来たんだなあ、長かったなあ」、周囲を見渡
しながらそう思った途端、どっと涙が溢れて何も見えなくなった。山をやってて
良かったなあと思えた至福の一瞬。写真を撮って下さったどんぐりの方、ありが
とうございました。
縦走路に合流し、肩の小屋で缶ビール一本を四人で分け合って乾杯。あとは徳沢
までひたすら下り、ペグ代わりにピトンを打ち込んでテントを張る。どうにかこ
うにか天気はもってくれた。
5月4日(火曜日)〜雨
徳沢05:00->06:40上高地
大町までタクシーで戻り、大町温泉郷の薬師の湯に入って八王子到着は15:00。
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