ARIアルパインクラブ/有持真人、久本英司
< 記 録 > 有 持 真 人
<山行日> 1998年6月27日(土)
広沢寺の岩場の大ハングに、アメリカンエイドトレーニング用のネイリングルートを開拓しました。
今回のルート開拓に関して、今さらなんでボルト連打のすぐ横でわざわざネイリングをする必要がある
のかと思う人が多いと思います。
しかし、最近ではネイリングを楽しむクライマーも増えてきましたが、練習できるゲレンデはほとんど
ありません。できたとしても、クラックの既成ルートでフリークライマーを気にしながらカムでの前進ト
レーニングをするのが関の山です。
広沢寺の岩場はアプローチも無く気軽に登れるゲレンデで、関東のクライマーには良い練習場所になっ
ています。ここに本格的なネイリングルートができれば、いままでほとんどトレーニングなしに本番のネ
イリングに行っていたクライマーや、これからネイリングを始めるクライマーが、十分なトレーニングが
できる様になると思い、大ハングにネイリングルートを作る事になりました。
<ルート名> となりのトトロ
<グレード> AA2−/20m
(下部/AA2−・上部/AA1)
<所要時間> (リード) 1時間20分/ボルト打ち時間含む
(フォロー)1時間30分
<第2登> 単独(有持)(リード)40分 (回収)30分 参考まで。
<開拓日> 1998年6月27日(土)
<開拓者> ARIアルパインクラブ/有持真人、久本英司
<登攀記録>
(リード)有持真人 (フォロー)久本英司
取り付きは大ハングルートと同一である。まず、頭上のクラックにロストアローを打ち込みアブミに体
重移動をする。抜けると頭からグランドフォールするので確実にテスティングをしなければならない。
次にバカブー、ナイフブレードの連打の後、ペツルの残置ボルトを1ポイント使用する。その後、リス
が無くなったためリングボルトを3本打ち、前進すると上部のリスにとどいた。
このリスをナイフブレードで登って行くが、効きがあまり良くないので慎重に。この辺りが丁度ハング
の中間部になる。ここから上部の立木に向かって直上する事もできるが、簡単すぎるので、ハングを忠実
に登ることにした。ハングと左壁との境目のリスを更にネイリングしていく。この辺りは垂壁なのでネイ
リングは簡単だ。最後に、ハングを越えたところにリングボルト1本を打ってハングを乗越し終了した。
ルート名は、大ハングルートの真横に作ったので<となりのトトロ>と命名した。
このルートは、A2のオーバーハングをネイリングしていくものである。中間部までは全て上を向いて
のネイリングになるため正確なアブミワーク、ピトンワークが必要になる。そして岩片が顔めがけて飛ん
でくるため、ゴーグルをつけた方が無難である。
このネイリングルートの横には、既成ルートのボルトラダーがあるので使いたくなるが、これは使わな
いようにしてほしい。だが、初心者がリードする場合は、安全のために保険としてボルトにもクリップす
る方が良いかもしれない。
それに、初心者がAA1のみを練習する場合は、下部半分を割愛してハングの左側のスラブをフリーで
ハングの中間部まで登り、垂壁部分のみのネイリングも可能である。
それから、フリールート<ナバロン>の右側にある、<ムーンサルト>のアンダークラックでカムトラ
バースの練習ができる。グレードはAA1程度なので、ここでカムのセット練習をしてから、大ハングへ
移動し、ネイリング練習をすれば充実した1日になるのは間違いないだろう。
<使用ギア>
ナイフブレード ×5
バカブー ×5
ロストアロー ×3
クワッドカム ×1
リングボルト ×4(残置)
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