黒部/丸山南東壁 <Appendix> <Maze>

無所属/中村洋根、中村尚司


< 記 録 >中 村 洋 根


<山行日>     1997年5月2日(金)〜 5日(月)

 通算たった2回のアメリカンエイドの練習で、丸山南東壁に行ってきました。
練習のようなクライミングになってしまいましたが、我々にとっては十分な手応えがあ
り、次のチャレンジの起爆材になり得ました。

5月2日(金)晴れ

  黒部ダム 〜 BC 〜 丸山南東壁偵察 〜 BC
    08:00  〜   10:30          〜             16:00

 テント設営場所はルンゼの入口からやや手前とした。
この辺りは、マンサクが小ぶりながら黄色の花(マンサクに似た花?)を付けており遅い春を感じさせます。

 東南壁へ偵察に行くと、壁基部の岩穴に住人が居て休憩中の様子であった。<Maze>を登攀中にボルトの折損
によって落ちたとのこと。見ればなるほど、垂れ下がったロープにリングが二本くっついたままになっていた。

 左岸稜でも登ってみようかと移動したが、木登りの部分は泥で汚そうなので、あっさり止めにした。

5月3日(土)晴れ <Apeendix>

 BC 〜 取り付き 〜 2P目終了点(松ノ木テラス) 〜  取り付き 〜 BC
   07:00    07:30/08:00            14:30           1500        1520

 7時半すぎに基部に到着、登攀準備のために岩穴の住人を起こしてしまった。8時頃に登攀開始。

1Pitch AA2(−)  中村(洋)リ−ド

 スタ−トは傾斜があまく四、五歩ほどフリーで登れたが、やはりギアが重くすぐにエイドとなる。このあたり
で既に岩は脆くしっかりしたクラックが無い。仕方がないので早くもナイフブレ−ドのネイリングが始まり、ス
モ−ルサイズのエイリアンとなった。

 その後も連続したクラックが無く、ブレ−ド類、ロストアロ−を打って前進した。この辺りになると、やや高
さも出てきてビレ−をしている弟が下に見え、こんな調子で大丈夫かと不安になるが、墜落すればあまいピトン
はふっ飛ぶので、度胸をきめて慎重に登攀を続行する。スモ−ルサイズのカムが決まった所が数カ所あった。

 ハング下の出口がやはり恐ろしく、ナイフブレ−ドのタイオフからスカイフックに2回乗って左にトラバ−ス
し、更にバ−ドビ−クを打ってハングの出口(ARIアルパインクラブの設置したペツルアンカ−の位置)に達
した。(アンカ−は使用していない)

 更に直上するために、ナイフブレ−ドのタイオフを使った。草付に達するも岩が粘土でベタベタでフリ−がま
まならず、ここでもバガブ−、木の根っこの世話になった。

 このピッチに一時間半程度を費やしてしまったが、AA2(-)を勉強させてもらった気がする。又途中ナイフブレ
−ド、ロストアロ−それぞれ一枚ずつ落としてしまったが、これは下降後回収できてラッキ−(ついでにちょっ
と錆びたバガブ−も拾った)。

2Pitch AA1  中村(尚)リ−ド

 弓形クラックに達するまでブレードで前進した。クラックはカムが決まっていたようだったが、ややハングし
ているためか苦労しているようだった。小〜中サイズのカムを使用。

 クラック出口はキャメロットの#3がフィットし、更に直上部は大きめのロストアローをたたき込んでダイナ
ミックに前進していた。このピッチも一時間半を費やした。

 結局<松の木テラス>に達したのは午後2時過ぎとなり、次の核心のピッチを始めると終了が何時になるか判
らないので、ここは練習とあきらめ残念ながら下降した。

<使用ギア>
 ナイフブレード、バガブー、ロストアロー、アングル、
 エイリアン、キャメロット、フレキシブルフレンズ、
 スカイフック、バードビ−ク


5月4日(日)小雨

 今日は朝になっても雨が上がらず停滞と考えていたところ、隣のテントの住人(仙台グループの一人)が負傷
しているとの事を、雲表倶楽部のメンバーから話があって、負傷者の搬送を手伝う事になった。

 負傷者は、3日にアイアンマンを登攀中、3ピッチ目でエイリアンが外れ墜落したとの事で、後の検査の結果
左足首の複雑骨折だとの事です。

5月5日(日)小雨後晴れ <Maze> 下山

 BC 〜 取り付き 〜 1P目終了点 〜 取り付き 〜 BC 〜 黒部ダム
   08:00     08:30/09:00       11:00           11:10    11:30/12:30   16:30

 朝8時頃まで小雨。雨が上がると天気は急速に回復してきたので、<Maze>の1ピッチ目をトライする事にし
た。ルート図によるとA1となっているものの、実際にはボルトの間隔は遠く、ピトンを打ってのエイドになっ
てしまいました。

 今回フォローにはペツルのアッセンダとワイルドカントリーのロープマンを同時に使用しました。ロープマン
はハーネスのビレイループにオーバル型のカラビナでセットしましたが、小型であるため、ハーネスまわりが不
要にゴチャゴチャせず使い勝手が良好でした。

                               以上

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