一ノ倉沢/下部ダイレクト〜滝沢第3スラブ〜Bルンゼ
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相模労山/児矢野英典、舘田秋義
< 記 録 > 児 矢 野 英 典
<山行日> 1997年10月10日(金)〜11日(土)
3連休は谷川3スラに行ってきました。相当寒かったです。1ビバが入り、後半は雨にたたられ脱出行で
したが、満足のいく山行でした。ACMLの方もたくさん入っていたようでお会いしたかもしれません。
(山行報告)
タクシーの運転手さんからきいたところでは前日は雪が降ったとのこと。以前からの憧れであった滝沢3
スラを今度こそと意気込んで一ノ倉入り。
チョット心配ではあるが今日はなんとか持ちそうである。滝沢スラブを観察したところ乾いている(よう
にそのときは見えた)。天気予報では10日しか天気がもたないことから1ワンデイでドームまで登り切るつ
もりで出発する。
南稜テラスで会った1パーティは雨が降りそうなので南稜フランケ方面へ転進、滝沢下部取り付きで会っ
た1パーティも我々が2P登っている間に本谷バンドへ帰っていった。結局取り付いたのは我々だけ。
滝沢下部ダイレクト(4P)
核心は2P目。2P目から上は濡れていて手が凍りそう。ただでさえ寒いのに水流の水飛沫がかかり、体
が硬直する。打ち足し1ケ所。ピトンの腐ったのが目立つ。
原形をとどめていない鉄屑のきれはしに短い3mmシュリンゲをかける人工などで、かなり神経を使い予想
以上に時間を浪費。
滝沢第3スラブ (12P)
Y字河原へ到着し雨具上下を着る。期待してたスラブはなんとびっしょりと濡れていた。だいたい乾いて
いるときはあるのか、ここは。少し意気消沈するが、気を取り直しいけるとこまで行く事にする。結局、上
から下まですべて濡れておりさらにコケのネメヌメで相当悪く、時間を浪費した。
F2 鎌形ハング右の逆層がいやらしく垂壁下を左に水平トラバースも相当悪い。
F3 垂壁の乗越しが濡れていて難しい。フレンズのA0を一回
F4 途中の凹角非常に脆い。流水の中の右上トラバースは最悪。1本ピトン打ちたし、A1が入る
F6 左の黒いゴルジュ状を選ぶ。とてもコケティッシュである。所々の強い傾斜部が悪くA0が入る。
第3スラブ自体は全体的にルートをはずさなければビレイのレッジがルート図通りある。F6を超えると
すでに暗くなりはじめたので、ここからの容易なスラブを暗闇のなか飛ばす。途中でヘッドランプを付け2
・3スラブの境界リッジのコルに滑り込みセーフ小さなレッジはボルト2本がありほっと一息つく。ここで
ツエルトをかぶりビバーク。
烏帽子方面は懸垂しているヘッドランプがチラチラ。寒くてほとんど眠れなかったが、雨が降らずほんと
によかった。
上部草付き帯(9P)
翌朝は雲の間から青空が見える。しかし真上の雲行きがあやしい。雨のにおいもするので急ぐ。朝一の硬
い体に上部草付き帯は悪かったが、昨日の濡れたスラブの悪さに比べたらまだまし。
傾斜はあるが踏み後はほぼ明瞭。垂直に近い草付きもバケツでそれほど悪くない。ポツポツきていたが
5P目でとうとう雨につかまり本降りになり、ここからは脱出行となる。
滑る草付きに登攀スピードがあがらないし、なかなかドームが見えず焦ったが、やっと到着。ドームは時
間がかかるため最短距離のBルンゼを選択。雨がさらに激しくなる。
Aルンゼへの下降支点にある立派なレリーフに手を合わせ、井戸の底のような不気味なAルンゼへ2P空
懸気味の懸垂.(Aルンゼへの下降支点はドーム基部からかなり上にあるのを初めて知る)
滝沢Bルンゼ
さらに、4Pの短い懸垂をしBルンゼへ。。支点探しや打ち足しで結構時間がかかる。懸垂中、途中の滝
の水量が多く全身ずぶぬれになる。Bルンゼ取り付きからノーザイルでいくが結構悪い箇所があり2Pロー
プを出す。PM3:20 やっと国境稜線へ抜ける。
30P近くのロングクライム.指先も爪先も血の気を失ってましたが、痛さを忘れて思わずガッツポーズ。は
ずかしながら誰もいない国境稜線で叫んでしまいました。
岩のぼりを初めて以来あこがれていたルートは、下から上まで濡れていて緊張の連続でしたが十分な手応え
を感じさせてくれました。
(タイム)
10/10
一ノ倉出合(5:30)〜滝沢下部取り付き(7:20)〜Y字河原(10:30)〜境界リッジコル(17:40)
10/11
境界リッジコル(6:50)〜ドーム基部(10:00)〜Bルンゼ取り付き(14:00)〜国境稜線(15:20)
〜一ノ倉出合(17:30)
※ 僕は本番用にハーフ大き目のファイブテンのリンクスを使ってますがとても気に入ってます。が、今回
だけは渓流シューズにウェットソックスをはいていけばよかったと後悔しました。
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