小野寺M、石田(北大農学部4年の乙女),佐々木,山本
< 記 録 提 供> 小 野 寺 惇
<山行日> 1997年9月13日(土)〜15日(月)
北海道はもう初冬です。山では雪が積もりだしました。層雲峡も積雪15cm。少々記録は前ですが、う
ちの新人の記録をどーぞ。
芦別γ奥壁富士鉄ルートの残置はますます悪くなったとコメントあり。2P目ビレー点にボルトを追加。(徳田)
夫婦岩のウオーターロード横で長水が開拓を開始。まだできてません。
<記録>
9月13日
6時発 7:30小屋着 9時γルンゼ出合 1:301稜とりつき 5:40PEAK着
ユウフレ小屋をすぎ本谷をつめる。佐々木さんの地下足袋はフエルトなし,草鞋なしで歩きづらそう。L
の判断でβ,γルンゼをつめるという当初の予定を変え本谷をつめることとする。途中滝の高まきのため草
つきガレ場をバイルでのぼっていったのだが私のルートファインディングはどうもよくなく,情けないこと
に先に行ったメンバーにザイルを出してもらいゴボウでのぼる。
あななさけなし。どうもこのようなのぼりになれていない。経験不足を痛感する。γルンゼをすぎしばら
く歩くと雪渓がでた。そして雪渓をくぐらねば1稜とりつきにいけないところまできて,Lが下見にいって
Goサイン。
L,石,佐,山の順でくぐる。私は何を血迷ったかひとりひたすらおくまであるいていった。暗闇の中,
圧迫感を感じつつも心の中で「大丈夫大丈夫あともうちょい。でもこんな中ラテルネもなしで小野寺さんよ
ういったわ,ほんまに。自分かてそうやけど。」と思いつつ80m程歩いてのぼると行き止まりで天井に2
カ所太陽の光がさしている穴があった。「こんなとこのぼってんかいな,,,。」とどないしよっと考え
てるときに「おーい,石田ー,こっちだぞお。」とはるかむこうでLの声。ふえーんまちがえたといそいで
おりる。
ばくばく心臓の音がする。ようやく合流できLから「お前なぁ,向こう側の光が見えて明るいからここを
くぐるって判断したにきまってるだろう。ほんとうにどうしようもないやつだなぁー。ばしっ。」といわれ,
サルのごとく反省した。
チョックストーンをのっこしてしばらくのぼってとりつきへ。1Pボロイボロイとうわさにはきいていた
ものの手にする岩という岩が崩れる。足場も然り。頼りにできるのはかんぼくばかり。其の潅木も遠い。途
中でハーケンを打ちつつもことごとく岩が崩れ,キャメのききそうなクラックもない。
左上していきようやくハーケンが1本うてた。少しほっとした。たった斜面になってからは潅木をひたす
らつかんでのぼっていく。50mぎりぎりまでのぼる。こんなぼろさでのリードははじめてで,こわくて1
時間もかかってしまった。
フォローのLはさすがにはやく10分であがってきた。「お前こんなとこ1時間もかかってどうすんだぁ
ー。」と例の口調でいわれる。しゅん。あー,なんてなさけないんんだ,,。2p潅木続き。そして稜線に
出る。
3p目以降peakまで,L,山,石,佐の順でコンテでいく。夫婦基部までいく案もあったがメンバーの様
子を見てやめ,peakからすこしくだったとこでとまることにする。夕焼けが美しかった。
9月14日
6時発 8:30夫婦基部 10時北壁カンテとりつき
昨日のうちに夫婦基部までいく予定だったので,水が朝食ぎりぎりぶんと400mlしかなく途中1度き
りの水補給だった。のどの渇きがmaxにきたのか佐々木さんは目にする実を次々に口に入れていた。最近雨が
降っていなかったため水が干上がっていて水確保が大変だった。そして北壁カンテへ。
1P Lに「まぁフリーでできるだけいけー,Aoしてもいいけど。」といわれムキになって粘り早くも疲
れる。が,粘り続け時間は過ぎる。しゃーない。Aoをし右にうつりそして上に登って途中の左にあるぼっろ
いリングボルトのところから直上。が,思わず行きすぎて(リングボルトを超え進んでしまう)climb down
をして元に戻る。
もう時間がかかるので悔しかったが鐙を使うことにする。ぼろリングボルトの左上にあるラープにみっじ
かい短いシュリンゲがあるがこの部分のピン間隔は遠くいやらしい。これをこえるとよくうってある。上の
方はキャメの決まるクラックもある。最後は草つきを少し登って終了。
いさぎよにAoなり鐙をつかやはよおえただろうに,,はー。
2P 左上にトラバースをして草つきを右上に進めば終了点。
3P 事故でハーケンがなくなってから下の方のピンはすくない。まずキャメでピンをとり鐙で上に進む。
下の方ではピンのチェックに注意をはらった。人工からフリー
にぬける所あたりまでの,上3,4つのハーケンは大変ぼろく窓岩の2P目をほうふつさせた。ハーケンチ
ェックをすべきであったのだが,だましだましそろーっとのってようやく人工最後の所にびなをかけ,鐙を
かけ体重をのせ,さぁフリーにうつるぞとそのとき私は宙に吹っ飛んでいた。そして手にはぼろくさびつい
たハーケンが残った。
そう,すっぽぬけたのだ。「なにやってんだーおまえー。」Lの声。ぬけたんですーといいつつのぼりか
えす。あそこのハーケンがぬけてしまっては上に行けない。かといって安定してハーケンもうてず,もがく。
何度かフリーでぬけようとやってみるが思い切れない。
時間もかなりたっている。「小野寺さーん,このまま私をおろして交代して下さい。」悔しいけれどそれ
しか方法がなかった。4人ということそして,人工になれていないひともいることもあり時間的に全員がこ
こをぬけるのは明らかに無理というLの判断に引き返し決定。
しかし,「でも悔しいからせめてお手本みたい,みたい。」とおしきりLにのぼっていただいた。ハーケ
ンのぬけたところまできて「うーん,たしかにぼろいなぁ。」といいつつエイリアンをきめ(私は其のクラ
ックを上にいるとき見つけられなかった)そこに鐙をかけてもとのハーケンの場所よりは少し下で,左手の
方向に2つうった。
そしてそこに1つぬんちゃくを残置してくれ,おりてきた。「だめじゃないか,ちゃんとうてるぞおまえ。
まだまだだめだ。まぁ明日ちゃんとリードしてくれやぁ。」
「この雪辱戦は必ず明日はたす。」と心に決め,風の強い中懸垂でおりた。フォローの人達には寒い中じ
っとまってるばかりで本当に迷惑をかけた。nailing技術をちゃんとマスターしないと満足にはのぼれないこ
とを痛感させられた。本当に課題の減らない私である。
9月15日
天気待ち 8:30九の字ルートとりつき 9:30夫婦岩発 11:45車デポ地着
朝目覚めると天気良好。気温低し。これで岩をさわるのかとちょっとゲット思う。が,朝食後なにやら雨。
しばらくしてやむと今度はガス。天気待ちとなる。風も強く雪辱戦はあきらめくの字ルートにいくこととな
る。とりつきまでいくがみぞれが降り始め,やめとする。
(*横の日鋼ルート下部5m程崩壊しており,グレードはあがったとみうけられる。)あえなくハーケン2
つ,ぬんちゃく1つを残置したまま我々はきのこ狩りをしながら車デポ地へと旧道をくだる。それにしても
自分の未熟さを痛感させられた山行で,まさにこれは反省文です。
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