幽ノ沢中央壁/正面フェース〜正面フェースダイレクト
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相模労山/舘田秋義,児矢野英典
< 記 録 > 児 矢 野 英 典
<山行日> 1997年8月24日(日)
遅れましたが先先週末に谷川に行ってきましたので報告いたします.一ノ倉沢、幽ノ沢は本当にすいていました。
この時期の谷川は初めてですが,毎年こんなものでしょうか.
前日の3ルンゼの疲労で登攀意欲がわかなかったが、雲ひとつない大快晴のため、こんな貴重なチャンスを逃す
まいと、初見参の幽ノ沢に向かう。アプローチは予想以上に難しいナメ滝で、二俣大滝の前で山靴を脱ぎフラット
ソールに履き替え、すばらしく明るく乾いたカールボーデンをつめる。
1P,2P 傾斜がましてしてきたのでとりあえずアンザイレンし、顕著なトウフ岩を目指し左上
する。フリクションは抜群に効く。一応ビレイ点はある(U、100m)。
3P トウフ岩右の草付き下のスラブからスタート。ルート図の1P目で実質上の登攀開始。
意外に急な草付きの中にルートをとりトウフ岩の上目指して左上(V、30m)。
4P なおもトウフ岩の上をスラブのランペ状を左上。ここまでもそうだが外傾ホールドのみ。
いつのまにか傾斜がたっている。ルートファインディングに気を使う。でもほとんど
プロテクションはない。たまに見つけるとルートをはずしていないことが
わかりほっとする(V+、20m)。
5P ここから核心のフェース。しかし外傾ホールドでのフリクションクライミングで、
しかもランナウトして精神的に厳しい。ルート図ではW級???....
ハング帯下を目指す。ビレイ点が3つほどあり一番右を最終的に選ぶ(X-、30m)
6P 小ハングの切れ目を目指す。残値スリング、ピトン、ボルトはめずらしく散在して見える
がその間は遠い。A0も容易に使わせてくれない。厳しいクライミングを強いられた。
乗越し後も核心は続く。ハングをぬけてのフェースはぶったっていて超ランナウト。
これマジ?リードでなくて本当によかった。ルート図だとW+???...
(結局我々は正面フェースダイレクトにはいっていたようでした。ハングから左の草付き
が正規の正面フェースルートだと思う) (X,A0,40m)
7P,8P,9P 核心の中央垂壁帯を抜けると傾斜は落ち、容易なルンゼ状のスラブとなる。徐々に草付き
が多くなり右のリッジとの切れ目のテラスまで。腐ってはいるがちゃんとピンは数本ある。
(V〜V+,120m).
10P,11P ロープをはずそうとしたが意外に傾斜のある悪い草付きなのでこのまま継続(U,60m)
途中の小テラスでロープを外し踏跡を追っていくと中央壁の頭のテラスにひょっこりでた。抜けるような青い空
と静かな幽ノ沢。こんな谷川はじめてだ。堅炭尾根からの谷川連峰を十分に堪能してから中芝新道をヨレヨレにな
りながら下った.昔の人はフラットソールのない時代によくもあんなところを登ったもんだ。
(タイム)
幽ノ沢出合7:00〜中央壁ノ頭13:20〜堅炭尾根(1880P)14:00〜一ノ倉出合17:30
帰宅して岩雪バックナンバーのビッグウオールコメンタリーの幽ノ沢中央壁編でしらべたところやはり正面フェ
ースダイレクトにまぎれこんだようでした。ここはルートファインディングが難しい。コメントにもあるように「
どこでも登れるようで登れないのが中央壁」まさにそのとおりです。
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