鹿島槍ヶ岳/北壁/正面ルンゼ〜北股本谷/右俣(フリートレック滑降) |
日程
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2004年3月28日(日)
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メンバー
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(ARIアルパインクラブ)有持真人、藤川勝人
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記録
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(ARIアルパインクラブ)有持真人
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写真
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写真集
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ルート図
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なし
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<山 行 記 録>
有持です。
鹿島槍ヶ岳/北壁+滑降に1DAYで行って来ましたので報告します。
<日程> 2004年3月28日(日)快晴
<場所> 鹿島槍ヶ岳/北壁/正面ルンゼ〜北股本谷/右俣(滑降)
<メンバー> ARIアルパインクラブ/有持真人、藤川勝人
<使用ギア> FREE TREK(初期型)、プラブーツ(コフラック/バーチカル)
<行動> (正面ルンゼ) 2時間20分
(大谷原〜鹿島槍ヶ岳)10時間20分
(鹿島槍ヶ岳〜大谷原) 1時間20分
(行動時間) 12時間20分
大谷原(00:30)〜天狗の鼻〜最低コル(06:00/06:30)〜正面ルンゼ取付(08:30)〜
鹿島槍ヶ岳(10:50)〜鞍部(11:00/11:30)〜赤岩尾根末端(12:30)〜大谷原(12:50)
<記録>
3月27日から谷川岳周辺の危険区域が入山禁止になると言う事もあり、以前
から計画していた鹿島槍ヶ岳/北壁の1DAYに行く事にする。
当初、ルートは中央ルンゼの予定であったが取付で雪の状態を判断して正面
ルンゼに変更した。
数日前の前線通過で2500mぐらいまでは雨になっているため、早朝の気温の
低い時間帯であれば雪面がクラストしスピードアップができるため00:30に大谷
原を出発する。星空が綺麗だ。これで月でも出ていれば文句ないのだが、出てい
た三日月も早々と沈んでしまった。
案の定、雪は堅く足取りも軽い。取水口で徒渉一回。浅瀬を選んで靴に水が入
ってくる前に川を駆け抜ける。転倒したら・・・・だが。
天狗尾根末端の荒沢は雪で埋まっているため、徒渉の必要はない。今回は、
雪が締まっているために、ある程度荒沢を登り、途中の開けた沢から天狗尾根
に登った。沢をつめると第一クーロワールの手前にある雪稜の下部に出た。この
雪の締まり具合だと、荒沢をのまま登り、直接、最低コルに出た方が早かったか
もしれない。
第1、第2クーロワールともクラストしていて快適に登れた。
最低コルに06:00着。5時間30分。5時間は切りたかったのだが・・・。朝日を
浴びてこれから登る北壁が真っ赤に染まっている。
最低コルからトラバースを開始。出だしは比較的雪が締まっている。傾斜がか
なり急でスリップしたらカクネ里まで一直線なので慎重にトラバースしていく。
氷のリボン下部あたりから雪が深くなり膝上のラッセルとなる。氷のリボンは氷
結しているがかなり細い。カクネ里を見下ろすと、2人パーティが正面ルンゼ方面
へ向かっているのが見える。我々が天狗の鼻に着く前にカクネ里に下りて行った
ようだ。
目的の中央ルンゼを目指してラッセルしていく。中央ルンゼを良く観察してみる
と奥に不安定そうな雪のブロックがあり、右側の岩壁には今にも落ちそうになって
いる大きなキノコ雪が中央ルンゼ側に垂れ下がっている。
こんなのを登攀中にくらったらひとたまりもないので、迷わず中央ルンゼは中止
して正面ルンゼに変更する事にした。
先ほどの2人パーティは正面ルンゼ向かっている。我々も後を追いかけて登攀
を開始。壁からのスノーシャワーと先行パーティの落とす雪と氷片を浴びながら
ノーザイルで登っていく。核心の氷瀑はW級ぐらいで難しくはないが、ルートが屈
曲しているため上部の状況が見えないのが嫌な感じだ。雪崩れが来ても巻き込
まれる直前まで分からない。
氷瀑を抜けた所で先行パーティに追いついた。挨拶をした所「有持さんですか?」
と言われる。確かにこんな所をFREE TREKを担いで登っている物好きは私と
藤川ぐらいのものだろう。彼らは東北大学山岳部と言う事であった。ここから先行
させてもらう。
ここから正面尾根のコル辺りまでは雪が腐ってステップを一つ切る事にアイゼン
が団子になり、ピッケルのシャフトにまで雪が付いてくる。ルンゼは風も無く直射日
光が当たり暑くて汗が噴き出してくる。
トポでは正面尾根のコルから中央ルンゼ側に出るように書いてあったが、そちら
へは行かず、氷瀑を一つ越えて正面ルンゼをそのまま直上して行く。氷瀑から山
頂までは雪壁もある程度締まっていて快適に登れるが、そろそろ疲れが出てきた
頃でカラダが重い。山頂から東尾根側10m程の所に出て登攀終了。鹿島槍ヶ岳
山頂に10:50分に到着。登攀時間は2時間20分。大谷原から10時間20分であ
った。天気は快晴で360度の大パノラマが広がっている。
風が強いので鞍部で大休止。ここから北股本谷を滑降する事にする。左俣
は以前に滑降した事があるので今回は右俣だ。
上部の雪はベストコンディションだが、中間部からはデブリで沢が埋まっている
ため苦戦しそうに見える。
11:30に滑降開始。50度強の急雪壁をトラバース気味にドロップイン。急雪壁
を越えると傾斜は45度程度で雪質もいいし快適にシュプールを刻んで行く。
右俣の最狭部あたりで50度ぐらいだろうか。この辺りから雪崩れで雪面がかな
り荒れている。雪崩れの後のバーンなどはもう少し気温が低ければアイスバーン
となって滑降はかなり厳しいが、雪面も適度に緩んでいて悪いながらもなんとか
滑降ができる。
最狭部を過ぎて本谷下部までは、あちこちから出ている雪崩のためにデブリで
谷が埋め尽くされていて、平らな雪面など皆無である。しかし、太陽のおかげでデ
ブリも柔らかく何とか滑降はできたが足腰が相当疲れた。プラブーツに登攀道具
一式の入ったザックもあるのだから無理もない。もう少しデブリが堅ければ板を担
いで延々と歩かなければならなかった。
赤谷尾根末端付近に来てようやくデブリが無くなりまともに滑降できるようにな
った。しかし傾斜が無いので直滑降のみと言うのが悲しい。
赤岩尾根末端から大谷原までの林道歩きも、徒歩なら疲れが出てきて辛い所だ
がスキーなら快適だ。今回は雪の状態も良くFREE TREKでも快適で、板を脱ぐ
事無く大谷原まで滑降する事ができた。
12:50に到着。1DAYアタック大成功。所要時間は12時間20分であった。
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