屏風岩/右岩壁/UNDREAMABLE DREAM(開拓)
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日程 |
2004年8月13日(金)〜14日(土)、2006年8月13日(日)〜14日(月) |
メンバー |
(岳僚山の会)吉谷知将、湯川大児、梅森弘行、松本憲親 |
記録 |
(彷徨倶楽部)松本憲親 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
吉谷@岳僚山の会(大阪)です。
お盆に屏風岩/右岩壁の開拓に行ってきました。
松本さんの記録を私が投稿させていただきます。
屏風岩右岩壁新ルート「UNDREAMABLE DREAM」開拓2004・2006年
吉谷知将・湯川大児・梅森弘行・松本憲親
屏風岩右岩壁大ジェードル・ルートの左側(南側)は2ルンゼに落ちる尾根中間
部が崩落した白い垂壁が顕著だが、この部分を登った記録は見当たらない。松本
は永らくこの部分の登攀を考えてきたのだが、ようやく同好の士を得て2004年の
試登となった。この度盆休み好天の天恵を得て、4ピッチのフリークライムと一
部ピトンを含むナチュラルプロの登攀(5.8、A1)を完遂した。全体的にはアン
サウンドな部分もかなりあるが、ひどくは無いと感じた。当然、強引なエイドは
慎んだ。1ピッチ目途中に古いリングボルトが2本有ったが、これ以外には上部
3ピッチを含めて登攀の形跡は無かったので、我々がこの部分の初登攀と思われ
る。4ピッチ目の終了点は傾斜が落ちたブッシュ帯で、上部には切れ切れに露岩
があるようだ。この部分の登攀価値がないわけではないが、有るかも知れない次
登攀者に委ねることとした。老いた白馬ロシナンテに跨り、殆ど全ての人が無価
値とする時代遅れの夢(真実・誠実・勇気)を実現・追求しようとした、恐らく
キリストに次いで大勢に愛されている男の物語に因んでルート名を「UNDREAMABL
E DREAM」とした。
1ピッチ目は大ジェードル・ルート取り付き地点の左横20mから始まる。スラ
ブを20m右上してから直上してブッシュに達し、右トラヴァースの後直上して
スラブ右端のエッジ近くの終了点に至る。2ピッチ目はエッジに沿ったコーナー
を直上して太いブッシュに至る。3ピッチ目はブッシュから右にトラヴァース3
mでエッジを回り込み、垂壁に縦に入ったクラックをナッツ主体のエイドで上る
とピナクルのテラスに至る。4ピッチ目は眼前のオフハンドクラックを右上して
から直上すると草付きからブッシュ帯に至る。ここをルートの終了点とし、3回
の懸垂下降で取り付き点付近に戻った。
アプロウチは本谷橋右岸詰めから登り始めて暫く潅木帯を左上し、緩い下りの踏
み跡に至る。これを左に辿って小ガリーの押し出しに至り、これに沿って登ると
下部岩壁基部に至る。まず、大まかなスラブを40m直上してから左上に草付き
を登り、小尾根を越えて更に左にトラヴァースしてから左上して2つ目の小尾根
を越える。左に下って2ルンゼの沢芯に入り、段差の下から左岸をジグザグに登
り、トラヴァースしてガラ場に入る。これを登れば2ルンゼ支流出合い下の取り
付き点に至る。なお、昔は草付きに踏み跡があり、具合のいいステップが続いて
いたのだが昨今は草が茂り、踏み跡は消えている。故に下部岩壁の殆ど全ての部
分でロウプを使った。
リーダーは重いギア類を携行して登攀した為に緩傾斜部でも一部エイドとなっ
た。荷を軽くすれば緩斜面全てとクラックの多くでフリークライムが可能と思え
る。使用エイドギア量については敢えて述べない。再登者が増えれば自然に最小
必要ギア量も明らかになるであろうが、それを知らずに登攀することの価値を暫
く保つのが初登攀者の努めと信ずる故である。
データ:2004年8月13日−14日;2ピッチ目半ばまで登攀、2006年8月13日−14
日;4ピッチ全長130m程度完登〔完〕。
松本 記
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