ユリアンアルプス・トリグラフ北壁&ドロミテ

日程
2005年8月13日〜20日
メンバー
(同人ルーデンス)池野明子、菅修三
記録
(同人ルーデンス)菅修三

<山 行 記 録>

山域・ルート
@ユリアンアルプス・トリグラフ北壁・ Nemska下部〜Zimmer-Jahnルート
Aドロミテ・Fanes山群・Hexenstein南稜
B     同     ・Falzarego Towers・南稜〜西壁

日程
2005年8月13日〜20日

メンバー
池野 明子
菅  修三
同人ルーデンス(共に)

行動概要
13日・ウィーン経由でスロベニアのリュブリャナ入り。そのまま車でブレッド湖へ。

14日・現地の天気が暫く悪いとの事なので、天気の良いとされる(ネットでは)
    ドロミテへ国境を越え移動。だがこちらも雨で、コルチナのオートキャンプ場

    は洪水状態だった。
15日・今回の第2候補だったマルモラーダの麓まで行くも、やはり雨で停滞。
16日・Hexenstein登攀。 天候不順の為、容易なミドルルートでお茶を濁す。
17日・Falzarego登攀。 この日も天気は安定せず、マルモラーダには取り付けず。

    最早残す日も少ないので、初心を貫くべく再度スロベニアに移動。
18日・トリグラフの偵察。やはり天気は芳しくない。
19日・トリグラフ北壁登攀。
20日・帰途につく。

登攀概要
Hexenstein (8月16日)


南稜Cobertaldoルート

いつ降ってもおかしくない天気の中、辿り着いたファルザルゴ峠で真っ先に目に付
いたのでこれにする。
冬のような寒さの中、20分程のアプローチで取り付きへ。途中の側壁にはスポーツ
ルートが有り大勢が取り付いていた。
リッジは傾斜は有るものの、石灰壁特有のガバの連続で飛ばせる。
先行してたパーティも先を譲ってくれ、6P、約1時間で頂上の十字架へ。
下山路は一般ルートを取るが、この辺は大戦中のトーチカなどが残っており、ちょっと

変わった地形をしている。

Falzarego Towers (8月17日)


小タワー南稜Comiciルート〜大タワー西壁Lassatoルート

やはり天気が安定せず容易なルートにする。
ファルザルゴ峠を、車でコルチナ側に5分くらい下った所の駐車場からアプローチする。

約30分弱で取り付きへ。
人気ルートらしく、イタリアの若者パーティが先行し、われわれの後ろにはオーストリアの
ガイドパーティが付いて来る。
フェース〜脆いガーリーを越えると容易だが快適なリッジとなり、先行に少し待たされ

たものの、あっという間にピッコラのピークへ。計7P。
頂上から1P懸垂し、ガーリーをクライミングダウンしてグランデの西壁へ。
こちらは人気が無い様で、我々の貸切。
あまり特徴の無いフェースを4Pでグランデの頂上へ。
下山後、残り少なくなったチャンスはやはりトリグラフに賭けようと、そのまま車を再度
スロベニアに向ける。

トリグラフ北壁


Nemska下部〜Zimmer-Jahnルート


大テラスより上部を望む

登攀行動が出来るぎりぎりの最終日。
天候は少し持ち直したが安定とまでは行かず、「天気が崩れればクライミングダウン
(懸垂は出来ない)」との気持ちで行くことにする。
ルートは当初の最終目標だった「スフィンガ」は無理と判断し、その偵察を兼ねて登る

積もりだったこのルートにした。
ヘッデンを点け駐車場を出発。少し取り付きで迷ったりしながら2時間弱で取付き着。

ルンゼの涸れ滝を越えて大きく右にトラバースし、顕著なリッジに取り付く。
残置支点は少ないが、ルートはリッジに取られており至極明瞭。
ルート自身は非常に簡単で、どんどん飛ばせる。
すぐ後ろにもう1パーティが付くが、追い上げてくる様子は無く、つるべでスピードを上げ
ながらも、何かしらのんびりとした感じで登り続ける。
それにしてもこの広大な壁に取り付いているのは、見た限りでは我々も含めて4パーティ。

なんと贅沢なことか。
周りには、深く切れ込んだガーリーやソフトクリーム状岩峰が望め、飽きさせない。
少し傾斜が落ちたかと思うと、ぽっかりと広いテラスに出る。中央の大バンドだ。
ここからはコンテでガーリーを登り、Zimmer-Jahnルートの取り付きへ。
辿って来たNemskaルートの上部は非常に脆いとの事なので、上部壁はこのルートにする。

傾斜はとても緩いながら、その分残置も無いので多少ルートを探したりもしたが、それでも
快適なクライミングで思ったより早く終了点に着く。
終了点から一般道までは、思ったより登り下りがあり遠く感じた。
一般道に出てからは、頂上までと思わぬことも無かったが、歩きの嫌いな相方の言や、

ぞろぞろ繋がる人の列に加わるのも興ざめなのも有って、そのまま下山することにする。

帰り着いたマイストラーナの村では、二重に掛かった大きな虹が我々を迎えてくれた。


登攀を終えてモニュメントより北壁を望む

20年も以前に、今は無きCJに載っていた、赤沼正史氏の「聖なるものの中に体ごと入って

行く(登攀)」(トリグラフのクライマーたち)のアジにシンパシーを抱き続け、やっと昨年行って
くることが出来ました。
天候不良の為思ったルートは登れませんでしたし、「聖なるもの」に浸るまでは行きません
でしたが、広大な石灰岩壁(脆くて今風ではないですが)と、現地の方の厚い人情に触れる
事が出来、楽しい夏休みになりました。

最後になりましたが、今回の登攀にあたりG誌の山本さん・CMCの河竹さんにはトリグラフの、
ジムKの本田さんにはマルモラーダの情報をご提供頂きました。本当にとても助かりました。
この場をお借りしまして、改めて御礼申し上げます。


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