日程 |
2005年4月9日(土)〜10日(日) |
メンバー |
(Club8.5φ)えのきど、(無所属)かーばた |
記録 |
(Club8.5φ)えのきど |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
えのきどです。
それほど珍しい場所ではありませんが、この時期の記録を見ないので投稿いたし
ます。長文失礼。
日程 : 4/9-10
メンバー : かーばた(無所属)、えのきど(Club8.5φ)
当初は鹿島槍北壁に行く予定だったのですが、週末の日本海側の天気が悪そうだっ
たため、急遽変更しました。
北岳もバットレスも今回が初めてでしたが、日本第 2位の高峰だけあって、スケー
ルもでっかく、他の登山者もおらず、完全貸切状態でじっくりと堪能できました。
しかし、夜叉神峠入口〜広河原の林道15km、広河原〜Dガリー大滝の腐った雪の
ラッセル 9時間 とバットレスに取付くまでのアプローチが死ぬほど長く、1泊 2
日ではさすがに疲れました。
金曜の夜に東京を出発し、夜叉神峠付近まで達したものの、奈良田からの方が近
いのではと思い、周辺の林道をうろうろしたものの、長峰林道、櫛形山林道、丸
山林道いずれもゲートで通行止めになっており、ぐるっと回らないと行けなさそ
うなので断念しました。
【1日目】
夜叉神峠で仮眠をして、出発したのは朝の 8時。夜叉神峠〜広河原の林道も工事
中で、本当は歩行者も通行止めなのですが、工事関係者に黙認していただいて通
行しました。
林道は広河原までほとんどコンクリで舗装されており、ところどころ残雪がある
ものの、歩くのに困るほどの量はありませんでした。2年ほど通行止めになって
いるからか、至る所で崖が崩壊していました。また素彫りのトンネル内では早く
もツバメが飛び回っており、季節はすっかり初夏。
黙々と歩いて、広河原に着いたのは 11時。人の気配は全くなく、閑散としてお
り、はるか遠くに北岳が望遠できました。
広河原からの登山道は最初の 20分くらいは夏道、そのあたりから雪が出始め、
左岸から沢が入って来る辺りから、大樺沢は完全に雪の下。雪渓はほとんどがデ
ブリで、結構太い木なんかも混じっており、雪崩の威力を物語っていました。
雪渓は締まっていて歩き易いかと思いきや、グサグサに腐っており、膝ぐらいま
で埋まることもあり、かなり厄介で予想以上に時間がかかり、エアリアにある夏
時間の 2倍以上時間がかかりました。わかんかスキーがあった方が早かったかも
しれません。雪質は安定していました。 天気は雲ひとつ無い快晴でした。
当初は下部岩壁のピラミッドフェースを抜けて 4尾根主稜取付でビバークする予
定だったのですが、アプローチで予想以上に時間がかかってしまったので予定変
更。d沢下部脇のちょっとした尾根の樹林帯でビバークしました。
【2日目】
バットレスを抜けるのにどのくらい時間がかかるかわからなかったため、2:30
起床、4:00 に余分な物をデポして出発。
dガリーは結構な傾斜で、ノーロープ、ダガーポジションでさくさく登ってしま
いましたが、滑ったら遥か下まで落ちること間違いなしです。
時間が無いので下部岩壁のピラミッドフェースは省略し、トラバースバンドから
下部岩壁上をトラバースして 4尾根主稜に取り付きました。
トラバースバンドがどこなのかよくわからず結構うろうろしているうちに日の出。
とりあえずトラバースできそうな箇所でトラバースしました。
【1P目:かーばたリード 】
トラバースバンド。支点は雪の下なのか、もともと無いのか良くわかりませんが、
とりあえず岩角にスリング掛けてビレイ支点にして、トラバースできそうなバン
ドをトラバース。ここ以外にもトラバースできそうな箇所は何箇所かありました。
ところどころ古いハーケンがあったので使われてはいるようです。ロープをフル
に伸ばして 4尾根主稜に合流。
【2P目:えのきどリード 】
合流した箇所は、すぐ上にピラミッドフェースの頭が見え、4尾根主稜の 2P目で
した。岩雪ミックスの壁というよりは傾斜の緩い斜面を登り、ピラミッドフェー
スの頭の脇のビレイポイントを掘り出してビレイ。中間支点は露出していたハー
ケンとカムで取りました。
【3P目:かーばたリード 】
トポだと "白い岩のクラック" となっています。クラックには雪が詰まっており、
アイゼン-バイルでさくさく登れて快適。最後は雪壁。中間支点はクラック脇に
豊富。
【4P目:えのきどリード 】
雪稜。ナイフリッジの箇所が両側がすっぱり切れ落ちており、雪がグサグサで結
構怖い。トポの V の 5m の垂壁に打たれているハーケンをまとめて支点にして
ビレイ。 垂壁は雪に埋まっており 2m 位。
【5P目:かーばたリード 】
出だしの垂壁はワンポイントの人工で越え、あとはグサグサのナイフリッジをラッ
セル。マッチ箱のコルへ懸垂するための支点を掘り出すのに 20分近くかかりま
した。
9時過ぎあたりから、Dガリー奥壁や中央稜からの雪崩が出始め、dガリーやcガ
リーは大変なことになっていました。先週 1週間ずーっと晴れており、気温も高
かったことより、変なものは全部落ちきってるだろうという読みでバットレスに
取付いたのですが、まだまだ残っていたようです。大樺沢の雪崩の可能性は少な
いものの、バットレスからの雪崩が結構あります。危ない危ない。
マッチ箱のコルへ 5m 程懸垂。マッチ箱のコルではぼろいハーケンが出ていたの
で、カムで補強して支点にしました。
【6P目:えのきどリード 】
枯れ木テラスへのピッチ。トポだとリッジ上のクラックとなっているものの、目
の前には雪壁しか見えない。スノーバーを持ってこなかったので、支点は全く取
れず、ダガーポジションでラッセル。ロープをめい一杯伸ばして、枯れ木テラス
あたりの岩角とハーケンでビレイ。
【7P目:かーばたリード 】
最終ピッチは単なる雪面。ロープ一杯伸ばして、スタンディングアックスでビレイ。
最終ピッチでロープを解き、あとは山頂までの緩斜面をひたすらラッセル。グサ
グサの雪 + 高度の影響で結構辛い。山頂付近のルンゼからも時々変なものが落
ちていました。頂稜には雪庇が張り出しており、雪庇の隙間を狙って頂稜へ。山
頂はすぐ脇でした。山頂到着 12:30。
稜線では結構風が強く、伊那側からは雲が沸いていました。温暖前線が通過中の
ようで、天気は下り坂、農鳥方面はすっかり雲の中でした。 山頂で少し写真を
撮ってすぐに下山開始。
頂上稜線は風が強いからか夏道が露出していました。雪の箇所は雪が腐ってすぐ
にアイゼン団子になるので注意しないと危険。
八本歯のコルから、大樺沢左股を下降。雪質はグサグサのザラメで安定していま
した。上部はクライムダウン、途中からはシリセードで一気に下りました。ビバー
クサイトの荷物を回収するために途中から dガリー方面にトラバース。八本歯の
コルからのルンゼとその隣のルンゼはきれいだったものの、その隣と dガリーは
今日起きたと思われる雪崩のデブリの山でした。
ビバークサイトの荷物を回収して、二股上部までシリセード。あとはまたグサグ
サの大樺沢をラッセル気味に広河原へ。広河原到着 15:30。
広河原からの林道では、靴擦れができてしまい、足が痛くて思うようにスピード
が上がらず、夜叉神峠入口に着いたのは日没後の 19:00 前でした。
4尾根自体の難しさは無いため、技術的に困ったことはありませんでしたが、ア
プローチを含めてひたすらラッセルになるので、どちらかというと体力勝負の山
行でした。
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