<山 行 記 録>
日程 2005.2.12-13
メンバー 遠藤博隆 和田淳二 本多加奈子
ルート 2月11日(金) 和田
ジャングルジャングル駐車場(6:30)----キビタキの池(8:00)---中央ルンゼ
ルート(1P) フィックス(12:00) ---- BC(テント)(13:00)
2月12日(土) 遠藤 和田 本多
ジャングルジャングル駐車場 (6:30)---- キビタキの池(8:00)---中央ルンゼ
ルート(1P) (9:00) --- 2P (10:00) --- 3P (11:30) 本多合流(12:15) --- 4P 風
の踊り場 (13:30)--- 5P トラバース(14:00) --- 6P 核心部 フィックス(16:15)
--- ビバーク
2月13 日(日) 遠藤 和田 本多
ビバーク地点(8:00) --- 6P ユマーリング(8:45) --- 7P (10:30) --- 8P (13:30)
--- 9P 最終ピッチ(15:30) --- :懸垂下降7P 取り付きへ(18:00) --- 駐車場
(19:30)
2004年の暮れから正月にかけて 黒伏の各ルートを登りに行き ミソジルートは 第3登を成功させ
それに反して 自分の登りは満足いかない結果となってしまった。それから 4回 黒伏に向かうも
条件(天候)に左右され完登することができなかった。 その 無念さを秘めて 今回のトライとなった。
2/11(金) リード 和田
和田がサポート隊のビレーで1ピッチを登りザイルをフィックス。
2/12(土) 曇り 小雪
フィックスを使い1P終了点へ。
2P リード 遠藤
テラス上の雪のついたバンドに乗り移り カンテを回り込む。氷点下40度と言われる寒
気のおかげで打ち込むバイルが見事に決まるが ピンが取れず 右上するバンドを騙し騙
し登っていく。ビレー点に続く氷化した雪壁をダブルアックスで登り 氷の下になった
ビレー点を掘り出しビレー解除。
3P リード 遠藤
夏なら左から回り込むところを 垂直の氷をダブルアックスで5m程登り さらに5メー
トルほど登ってフレンズを決め 凹角状を両足のツッパリで登って安心できるボルトで
セルフをとる。ここからは人工となるが ビンを掘り出しながらのため 時間がかかる。
7〜8メートルでフリーとなりダブルアックスで10メートル登ると ビレー点は硬い氷
の下。ピッケルで掘り出しセルフを取る。ここで 本多が遅れて取り付きに到着 ザイ
を落としユマールで登って来た。
4P リード 遠藤
風の踊り場までは 暖傾斜をダブルアックスで簡単にいけると思っていたが 徐々に雪が
多くなり 残り1/3から 目の高さの雪壁となり思うように進めない。30メートル以上
ピンも取れないため落ちたら ひとたまりもない。ピッケルを深々と差し込みながら 50
mいっぱいでビレー点へ到着して一安心。例年以上の積雪に今夜のビバーク地点は雪洞状
態となっていて 快適に過ごせそうだ。
5P リード 和田
和田と本多が余計な荷物を置き ルート工作へと向かい 遠藤はビバーク地点の整備。
二人は雪壁のトラバースをして 岩を掘り出しハーケンを打ってビレー点を作る。
6P リード 和田
夏の核心部 冬は全てのピッチが核心部だ。過去のトライではこのピッチで3人が墜落し
ている。和田は慎重にザイルを伸ばしていく。その合い間にビバーク地点を拡張しツェル
トを準備する。和田が墜落無しで登りきり 本多も登り始める。16時半 ザイルをフィッ
クスして二人が戻ってきた。ツェルトに入りお湯を沸かしてウイスキーで乾杯。至福の時
間である。
2/13(日) 小雪
ユマーリングで6P終了点へ。
7P リード 遠藤
ユマーリングで体は暖まったものの気持ちが乗ってこない。上を見ると垂直の壁一面に氷
が厚く覆いかぶさりピンが全く見えない。二三歩登ってから次の一歩が出ず しばらく行
ったりきたりしてから 凍った草付きにバイルを打ち込み 思い切って乗り越すと目の前
が開けたようにやる気が出てきた。大きな声で気合を入れピンを掘り出しながら登りだす。
ビレーしている二人は氷の塊を体中に受けアザだらけになっているだろう。
8P リード 和田
傾斜は落ちたものの 真っ白な逆層のスラブ。雪と氷が付き ピンが取れない。草つきと
岩の間にフレンズをかませ 何とか登っていく。ビレーしているほうは気楽である。落ち
てくる氷さえ気にしなければ気ままに写真を撮っていられる。
9P リード 遠藤
最終ピッチ。夏はフリーでもいける人工のルート。快適に終わると思って取り付いたが
冬壁はなかなか簡単には登らせてくれなかった。
10メートル程登ると 次のピンがない。最上段に登って雪をピッケルで掻き落しても見つ
からない。”こんなバカな” と思いつついくら探しても ない。やむなく スカイフック
をかけ伸び上 がるが みつからない。
さらに下向きの割れ目にかましたフレンズにアブミをかけ最上段に乗って やっと見つけ
ることができた。ヤッタァーと思い アブミをかけようと伸び上がった瞬間 フレンズが
抜けた。 体が真横になり周りの景色がエレベータに乗っているようにスゥーっと上がっ
ていく。 “落ちているんだ。 “ と思った瞬間グゥァンとショックかかり止った。
止るまで 長い時間だった。
チクショウと叫びながら岩を蹴っ飛ばしていた。もう少しで届くところだったのに… と。
幸い垂直の岩だったのでどこにも当たらず怪我もなかった。ビレーしていた二人も心配そ
うに見ていたが 逆に登る意欲が湧き出していた。
登り返しは同じパターンで登ったが再びフレンズが外れた。今度はアブミをかけた瞬間で
あったため事無きを得た。
目の前の氷にバイルを決めてハング状になった氷を乗り越して終了点に着き登攀終了。
懸垂7ピッチで取り付きへ。ガッチャ類を片付け 19時30分駐車場着。
感想
黒伏山南壁 中央ルンゼは 過去 何回トライしたかわからないぐらいだ。今年だけでも
5回目。これだけ通ったのだから と 黒伏山が登らせてくれたたような気がする。
今回 登ってくれた仲間 また 過去に登ってくれた仲間 みんなに感謝したい。
やっと登れた 中央ルンゼ。 まだ実感がない。
この文章を打ち込みながら 次のアルパインルートをを考えている。
2005.2.17 遠藤博隆
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