日程 |
2003年12月27日(土)〜30日(火) |
メンバー |
(MSCC)川上、寺田 |
記録 |
(MSCC)寺田 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
あけましておめでとうございます。
寺田@葛飾です。
訳あって十数年在籍していた獨標登高会を辞め、現在MSCCという同人で登ってます。
当MLにもたびたび投稿のある川上と年末に岳沢に行ってきましたので報告します。
山行名:南アルプス仙丈ケ岳 三峰川・岳沢
日程:2003年12月27日〜30日
メンバー:川上、寺田、深沢(サポート、戸台より仙丈ケ岳往復)
詳細
◆12月27日(晴れ)
8:00葛飾の自宅を出発。10:00橋本駅で深沢ピックアップ。10:30津久
井の川上宅。相模湖インターより小淵沢を目指す。小淵沢の鰻屋で昼食。20号〜152
号杖突峠越えで高遠入り。スーパー&コンビニで買出し後、三峰川林道の偵察に赴
く。
前日の低気圧の影響で林道内は所所雪が残る。数年前に訪れたときは丸山林道の発電
所まで入れたが、今回は塩平のT字の分岐点にゲートがありここから先は通行止め
だった。サポートの深沢のため戸台口にもどり駐車場で幕営とする。
◆12月28日(快晴・春のような陽気)
コースタイム:林道終点発(7:40)〜丸山谷発電所(8:10〜15)〜南沢二
股(9:25)〜営林小屋(10:00〜30)〜岳沢越(12:30〜50)〜岳
沢出合(13:35〜55)〜F1(15:05)〜F1上幕営(16:30)
戸台で深沢と別れ三峰川林道終点を目指す、先行に1台(東北大パーティ2名)、身
支度中にもう一台(JECCパーティ3名)がやってきた。ここから歩き出すが30
分程で以前車で入れた発電所に到着。南沢の二股より岳沢越を目指す。
JECCパーティーは沢ルートを、我々は林業用踏跡ルートをたどる。東北大パーティも
我々の後に付いてきた。30分ほどで営林小屋(廃屋)に到着。鹿のキジ場になって
いるようで強烈に臭い。小屋の少し先で大休止。さらに上部の沢は右股を詰め、上部
がれ場帯を過ぎてから樹林帯の急登を登り、平らな倒木帯に至る。目の前には仙丈ケ
岳が屹立している。ここから樹林帯の斜面を下れば三峰川源流。川を少し下り岳沢出
合で大休止。涸滝をいくつか越え、F1に至る。F1は割とよく凍っている。登攀具
を身に付け川上のリード。F1上で本日の行動終了とする。
◆12月29日(晴れ後風雪)
コースタイム:F1上出発(7:00)〜F6上(12:00)〜F8ソーメン流し
取り付き(15:00)〜F8上幕営(16:20)
F2をノーロープで越えると目の前に垂直のカーテンのような青く、美しく、でっか
いF3が現れた。重荷を背負っての直登は後の行程を考えると辛いので、川上のリー
ドで右から巻く。急なガリーを詰め雪壁を左にトラバースして上部のナメに至るが、
結構悪く緊張を強いられる。F4は左側が簡単そうだ。このピッチも川上のリード。
ガイドブックではF3よりF4のほうが難しいとあるが、荷揚げすることも無く登れ
た。
F4上を左上すると開けた幕営適地となる。広い壁の右側は涸滝、左側に目指す
F5が有った。寺田のリードで越える。F6・2段は1P目川上のリード。2段目は
氷結状況が悪いので寺田のリードで滝左側のルンゼを詰める。しかし急峻なルンゼは
クラストしたモナカ状態。非常に悪い。上部は簡単な岩登りで潅木にビレ−を取っ
た。F7も氷結状況が悪い。川上のリード。F7を越えると目の前にF8ソーメン流し
が異様な迫力で現れた。
1P目川上のリードで中間部垂直に近い部分の下でピッチを切る。2P目寺田のリー
ド。滝中央の垂直に近い部分が2段続くところが緊張を強いられる。斜度が落ちルン
ゼ左側の岩の残置ハーケン3枚でビレ−を取る。(中央のハーケンは浮いていた)東
北大とJECCのパーティーは滝右側のテラス上で2P目を切っていた。3P目川上
のード。落ち口までは階段状になっていて、荷揚げの必要は無い。ビレ−点からは見
えなかったが川上は岩と氷のコンタクトラインにルートを取った為、岩にザックがあ
たり奮闘を強いられたとのこと。フォーローも辛かった。3P目のリード中にそれま
での日差しが一転にわかに掻き曇り風雪となる。F8上でテントを張るが、強風に煽
られ難渋した。風雪は夜半まで続いた。
◆12月30日(晴れ)
コースタイム:F8上出発(7:20)〜F9上(8:20)〜奥の二股(9:4
0)〜大仙丈ケ岳(11:00)〜仙丈ケ岳(12:00)〜北沢峠(14:3
0)〜丹渓山荘(15:30)〜戸台(17:05)
ソーメン流しから上も滝が続く。ノーロープで行けないことも無いが、念のためロー
プを出し越えていく。氷結の甘いF11を超えると奥の二股だ。ガイドブックでは左
股の適当なところから右の尾根に抜けるとあるが、ルンゼ内に雪が有り割と安定して
いるのでそのまま稜線に抜けた。仙丈ケ岳頂上で深沢と無線交信。前日抜ける予定
だったので心配していたようだ。
JECCの方が戸台にクルマをデポして有るので同乗しないか?という嬉しい申し出
があり、ありがたくお受けする。北沢峠からクルマの回収に向かうためJECC2
名、東北大1名、私の4名が先行で駆け下る。重荷とプラ靴のため3人に遅れること10
分ほどで戸台着。深沢ともここで合流できた。クルマを回収後、仙流荘の温泉で3
パーティとも汗を流す。休憩室で談笑後、20:00後ろ髪を引かれる様に帰路に着
く。高遠で蕎麦の夕食。川上、深沢を送り帰宅したのは翌日の1:50だった。
久々のハードな山行だった。足はマメだらけ(右足のソックスは血で染まってい
た)、筋肉痛でまだ身体中痛むが、非常に充実した内容であった。終始行動をともに
した前述の2パーティの皆さんには感謝いたします。いろいろとありがとうございま
した。
◆コメント
・実はルート初日F4上と思って幕営したところは、実はF1上でした。翌朝東北大
のパーティから聞いてがっかり...。
・ルート中の幕営適地はガイドブックにあるF1上、F4上、F8上(F9下)以外
に奥の二股でも3〜4張り可能です。落石、雪崩の危険に関しては各自の自己責任に
て判断願います。
・装備はひたすら軽量化が理想です。今回テントはモンベルのステラリッジ3型+冬
用外張り。(シングルウォールは持っていない)ロープは9mmと8.5mmの2本
を持って行きました。もっと軽量のテントとロープも1本でよかったと後悔しまし
た。
・ルートを通じ氷結状況はまあまあでした。おかげで幕営地では雪や氷を切り崩した
下から水を汲む事が出来ました。積雪も一部ラッセルが深いところもありましたが、
終始快適に登高できました。
・川上は元某硬派遡行同人所属。夏期の岳沢を登っているとのこと。夏冬岳沢を制覇
したクライマーは少ないのでは?
・私自身、数年前に敗退しています。そのときは事前に岳沢出合まで偵察山行を行っ
ていたので、岳沢越は3回目!ようやく肩の荷が下りました。
以上
寺田@葛飾・MSCC同人です。
会を辞めたのは1年前でしたが、ようやくACMLに投稿できるような山行が出来まし
た。少しでもACMLの参考になって嬉しいです。
さて岳沢越3回の経験からアプローチに関して少し補足しておきます。
1)国道〜林道終点
高遠より国道152号線を南下。戸台の分岐を過ぎ市野瀬宿で右側に「南アルプス生涯
学習センター・入野谷」(入浴可)という施設が現れます。この先道が大きく右に
カーブした後に国道直進大鹿、左折宇津木・浦方面(県道212号線)の標識が現れま
す。この標識を左折後、道なり直進です。集落を抜けた先が林道入り口です。今回立
ち入り禁止の移動看板2基が置かれていました。この看板のせいで迷ったパーティも
いたようです。
林道内は所所氷結部があり、谷側は深く切れ落ちガードレールも充分でありません。
道路自体のアップダウンは少ないです。事故が多いので通行止めになったと聞いてい
ます。各自の自己責任にて通行ください。しばらく三峰川沿いの林道を走ると、橋を
渡り左右のT字路に突き当たります。
丸山林道へはここを右ですが、すぐに立ち入り禁止のゲート(ロックされている)が
ありここから歩きとなります。林道の山側斜面沿いに6〜7台の駐車可能スペースが
ありますが、落石・車上荒らしに関しては注意ください。
2)林道終点〜丸山谷南沢二股
林道終点から歩き出し、道が大きくU字にカーブしているU字の底が、丸山林道入り
口です。橋の手前に分岐があります。また入り口には「林道丸山線」の道路標識があ
りました。林道をしばらく詰めると小さな発電所が現れます。ここが丸山谷北沢と南
沢の出合です。以前はここまでクルマで入れましたが林道終点から徒歩30分の距離
です。
発電所からは南沢沿いの道を辿ります。堰堤工事用の道路なので歩きやすいです。さ
すが旧土建王国長野です。こんな山奥によくこれだけ堰堤を作るなと驚きます。堰堤
の乗越や、渡渉を2度ほど繰り返すと開けた二股に至ります。ここが南沢の二股で
す。2万5千図では・1409の表示のあるところです。こちらの左股が岳沢越に至
る沢となります。今回発電所より1時間10分かかりました。
3)丸山谷南沢二股〜奥の二股
二股から岳沢越に至るルートは二通りあります。一つは沢を忠実に詰める方法です。
出合から左岸側を辿る踏跡がこちらのコース入り口です。私も最初に訪れた時はこの
ルートをたどりました。ルート自体は分かりやすいのですが、重荷を背負ってのゴー
ロ歩きや、滝の高巻等危険な箇所もあるのでお勧めできません。
もう一つは営林用の踏跡を辿るルートです。入り口がちょっと分かり辛いので解説
しておきます。先ず出合の右岸側にあるボルダーを確認して下さい。目の前にあるの
でまず間違うことは無いでしょう。そのボルダ−沿いに左上する踏み後を辿ります、
数メーター登り岩を通り越し、少し左側のブッシュのルンゼに入ると、踏み跡はここ
から右上します。ここさえ分かれば後は樹林帯の急斜面をジグザグに登高するだけで
す。途中沢と反対側(左方面)に向かいますが迷わず登高を続けてください。
かなり登ると大きな岩が現れます。これを左から巻いたあたりから踏跡は右上し、沢
沿いの斜面を登高線に沿ってトラバースする道となります。ここまで来ると沢ははる
か下のほうになります。また途中木道等人工物があるのでまずまちがうことは無いで
しょう。トラバース部分は緩傾斜のため高速道路状態。右側に沢が近くなる頃、営林
小屋跡に到着します。二股より30分ほどの距離です。沢ルートよりはるかに早いで
す。今回積雪はありませんでしたが、積雪がある場合も踏後部分は平らなので注意し
て観察すれば間違うことは無いと思います。
4)奥の二股〜岳沢越
営林小屋跡から少し登ると開けた二股にでます。ここが南沢奥の二股です。左手に丸
山が見えます。岳沢越へは右の沢を辿りますが、ゴーロ歩きを避けるため、中央の尾
根の中にルートをとります。一度左の沢に入り少し登った右手の尾根にルンゼ
状の部分があります。ここが尾根ルート入り口です。あとは歩きやすいところを選ん
で登っていくと、いつしか右の沢に下ります。ここからしばらくは急な沢のゴーロ歩
きとなります。重荷を背負っては辛いところです。しばらく登ると滝が現れます。今
回は氷結していましたがわざわざギアをつけて登るところでもないので右岸側から巻
きました。
樹林帯のルンゼを少し登ると右手の尾根にに右上する踏み跡があります。(かなり悪
い)これを越えると元の沢に戻ります。ここからは沢上部の急なガレ場となります。
目指す岳沢越はあと一息です。ガレ場を少し詰め、適当なところから右の樹林帯に入
ります。ガレ場は落石の危険があるので速やかに通過した方がいいでしょう。また下
に別パーティがいる場合は自身の落石に注意ください。樹林帯の中はジグザグの急登
です。上部に見えるスカイラインが岳沢越です。急登が終わる左寄りの部分が倒木帯
入り口です。
ここから倒木をくぐったり越えたりすると2万5千図の・2113ピークの右下の平
らな部分に出ます。三峰川源流の谷を挟んだ反対側に、仙丈ケ岳が屹立していて登攀
意欲を掻き立てられます。あとは反対側の踏み跡を下れば三峰川源頭部に至ります。
積雪があっても樹林帯の中の歩きやすい部分を辿れば問題ないでしょう。
5)仙丈ケ岳からの下山について
岳沢からの下山は北沢峠〜戸台が一般的ですが、距離が長いのと、クルマの回収が面
倒です。直接丸山谷に戻るルートは無理なのでしょうか。以下の2案が検討対象です
が、どなたかご存知もしくは実践された方がいらしたら教えてください。記録が無い
のは猛烈な藪漕でもあるのでしょうか。
◆三峰川源頭コース
仙丈ケ岳より地蔵尾根を下降。2万5千図の・2422あたりから三峰川源頭に下
る。岳沢越を登り返し、往路を辿る。
◆丸山谷北沢コース
仙丈ケ岳より地蔵尾根を下降。地蔵岳を越えたあたり(等高線の2100)から地蔵
岳西側の・2115ピークを目指しトラバース。ピーク近辺から丸山谷北沢を下る。
以上
PS:アプローチに関して質問等あれば、わかる範囲にてお答えいたします。
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