日程 |
2003年8月10日(日)〜12日(火) |
メンバー |
(G登攀クラブ)御山洋一 |
記録 |
(G登攀クラブ)御山洋一 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
御山@G登攀クラブです。
2年前、マッターホルン頂上から見えた、きれいな三角錐の山がとても印象的で、
それがヴァイスホルンだと知って、いつか登ってみようと思っていました。ルートは
幾つかありますが、今回は最も易しい東稜から登りました。小屋まで1500m、そこか
ら頂上まで1600mとかなり長いルートでしたが、本当に山深くとてもいい所でした。
日程:8月10日〜12日
メンバー:御山 洋一(G登攀クラブ)
8月10日 晴れ。夕方から雷雨。
夕べ遅くまで隣のスペイン人と騒いでいたせいか、早起きできず出発が7:30になっ
た。8:10発の列車でランダに向かう。ランダではドムから降りてきた人たちが休んで
いた。ドムも状態が良さそうだ。
ランダ駅から、ヴァイスホルンヒュッテまでのトレールを辿る。日差しが強く、す
ぐに汗ぐっしょりになる。樹林内をしばらく歩き、岩場の上に出る。そこからは上に
は木は全くない。トレールは明瞭で、白地に赤い線のマーキングが、至る所の岩に付
けられている。所々に羊や山羊の群れが見えた。途中の羊小屋の脇にある水場で休
む。いろいろ持ってきたから荷が重い。水場の水がとてもおいしかった。
そこから小さな谷を2つ横切って、岩を回り込むとヒュッテが見えた。そこからが
結構長かったが、駅から4時間20分かけて小屋に到着。
小屋に入り、昼食とする。レシュティーとビールを注文。ガイド登山でヴァイスホ
ルンからたった下ったばかりの日本人がいた。ルートの状態は良好だが、上部の雪稜
が途中切れているらしい。ま、何とかなるでしょう、きっと。
小屋は家族で経営しているらしく、時々娘さんの「パパ」と言う声が聞こえる。フ
ランス語だけのシャモニーの小屋と違い、こちらはドイツ語が会話の中心。少しは勉
強してくれば良かった。何しろ小屋の主人とうまくコミュニケーションが出来ず、こ
ちらの言いたいことも、向こうの言いたいこともうまく伝わらなかった。
夕方チェックインし、ベッドで少し横になる。夕食は結構豪勢だった。テーブルで
一緒になったドイツ人2人も明日登頂するそうだ。彼らは64歳と58歳。でも日本の中
高年よりも数倍元気そうでした。
8月11日 晴れ
2:00起床。いつものように朝食を食べ、2:40出発。辺りは真っ暗だが、トレースと
ケルンのおかげでルートファインディングは容易だった。昨日知り合ったドイツ人と
所々で一緒になる。氷河を越え、岩場に。予想していたほど難しい場所はないが、何
しろ長い。「朝食台」といわれる場所で夜明けになった。
そこからかなり痩せたリッジ沿いでアップダウンを繰り返す。途中のガレガレのト
ラバースで1回ザイルを出す。再び痩せた岩稜を登り切ると、雪稜に変わる。この雪
稜をしばらく登ると、雪壁に出くわす。登頂して降りてきたガイドパーティーと出会
う。ガイドの兄ちゃんから「頑張れよ」と励まされる。雪壁は初めの3メートルだけ
が立っているだけで、上に行くほど斜面が緩くなる。ここで大変なことに気づいた。
プロアイスとシモンマカルースピードの相性が悪いことだ。ちゃんと装着したつもり
でも歩いているうちにはずれてしまう。ややきつめにセットし、ゆるんでないか頻繁
にチェックした。
雪壁を越えるとしばらく雪氷が続く。最後の急な雪稜を登り、ピーク直下の岩場に到
着。そこでアイゼンをデポし、山頂へ。
山頂には誰もおらず、十字架がぽつんとあった。周囲は絶景。さすがにピラミッド
の頂上だ。南稜を登攀してきた2人パーティーがすぐ下に見える。記念写真を撮り、
下山を開始。
アイゼンをつけていると、登りでルートファインディングを間違えてひどく遠回り
をしていたスペイン人3人が上ってきた。軽く挨拶し、出発する。雪稜の途中で、遅
れてやってきたドイツ人2人とすれ違う。ギャップのある雪壁で彼らを待つが、なか
なか来そうにないので一人で下る。太陽が高く、雪は腐って団子だらけ。
岩稜に変わるところでアイゼンをはずす。結構高度感があり、初めは慎重に下って
いたが、慣れるに従って大胆に下るようになった。途中、残置シュリンゲやボルトを
利用して何度か懸垂した。ガレを下り、小さな氷河を渡ってまた岩稜へ。真っ暗な中
登ってきたので、周囲が来たときと全く違って見え、不安になる。途中間違って下り
すぎたのではないかと思って、登り返してうろうろしていると、先行パーティーが下
の氷河を歩いているのが見えた。再び元の道を下り、氷河への下り口を発見。そこか
らはトレールに導かれ、無事にヒュッテに戻る。
小屋のご主人がニコニコしながら出迎えてくれた。ガイドの兄ちゃんも「頑張った
ね」と言って、握手をしてくれた。単独で登ったのは僕一人だったためか、小屋のみ
んなが暖かく迎えてくれた。中でも、小屋のご主人は周りの山のことなどいろいろと
話しかけてくれた。帰りの列車には間に合いそうにないし、まだ戻ってこない2人の
ドイツ人が気になるし、足に出来たマメが痛いし、小屋の雰囲気が良いので、もう一
泊することにした。
8時頃、やっと2人が戻ってきた。ビールで乾杯。2人を祝福する。長年の夢だっ
たらしく、彼らも満足そうだった。こうして長い1日が終わった。
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