ダイレクトカンテ

日程
2002年8月22日(木)〜23日(金)
メンバー
(グループ・ド・ミソジ)高沢睦雄
記録
(グループ・ド・ミソジ)高沢睦雄
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


前回計画した時は『あまりの暑さに中止』してしまった。
今回もインターネットの予報で水上、湯沢が晴れとなったので、前日の計画書提出で、申し
訳ない!
 8月21日 一ノ倉出合テントの予定だったが、まだ雨が止んでないので、登山センター
で仮眠、23時30分着

 8月22日 予定通り4時起床、まだ暗く雨も降っている、準備して一ノ倉出合いへ、様
子を見ながら車で待機、(予報では夜中から晴れの筈?)
6時頃から雨はやんだが、ガスが重くかかっている、6時20分出発、前日は相当降ったよ
うで、水量も多く濁りも残っている、
心配したヒョングリ滝下の雪渓はなく、右岸の巻き道からテールリッジ末端に取り付く、(
雪渓は崩壊したらおしまいという不安定な形で滝沢下部まで、衝立前沢の出合いにも通過不
能のブロックが残っていた)
中央稜基部に着いても稜線はガスのなかで、遥か水上町の上空に少しずつ青空が出てきた。
『暑くならないうちに、少しでも上に行こう』と、登攀準備をして8時取り付きに向かう、
衝立スラブは数箇所水が流れていた。
ダイレクトカンテ出だしの支点はいつもながら分かりずらい、(アンザイレンテラスから懸
垂で降りられる位置になく、出来るだけ右に降りて、さらに一段右に登った所にある)
8時45分登攀開始、1ピッチ目、出だしの右上部、残地支点は無いけれど昨年と同じとこ
ろで、フレンズ3個捕って直上、登り切って、今度は左にトラバース、自分のスペクトラの
シュリンゲでしっかりと支点を作り、バックロープ(ケービング用の9mmスペクトラ)を固
定して、ランニングにとうしながら、出だしまで、懸垂下降、メーンザイルを開放し、ザッ
クを背負いユマールをセットして、登り返し、(今回はペツルのブロッカーは、目いっぱい
登ると外せなくなるので、タイブロックにした。)

1ピッチ目のランニングの回収はモロに荷重がかからないので、楽だけれど、問題は2ピッ
チからだろう、2ピッチ目のビレーポイントは上からの滴で、雨が降ってるようだ、(もう
そろそろ晴れてきてもよさそうだけれど、変わらない・・・?)

 2ピッチ目 10時30分、ここから右上して、左上して、直上、の人工だ、出だしの悪
いフリーがいやらしい、今回は極力、残地のシュリンゲには乗らないつもりできたので、や
はり時間がかかる、リングの取れた3ミリ丸はナイフで切って新しいものと交換した。
古いタイオフのところも、自分のシュリンゲをその上からタイオフして、アブミを掛けるよ
うにした。
左上するところは、下向きの古いハーケンが続くので、セフテンバーレインの終了点にもラ
ンニングを捕っていく、このピッチ最長で40m、やはり長い、懸垂の時、中間でエイト環
の下のザイルを支点に通してしまい、慌てて登り返すへまをしてしまった。(後で考えると
、垂直部分だったので、登り返さなくても、下がってるザイルを引くだけで良かったのに、
慌ててしまった)
右下の懸垂下降は、左に振られるので、腕力で強引にザイルを入れていく、それでも無理な
時は、アブミに乗っていったん荷重を抜いてやらなければならないので、時間も体力も消耗
してしまう。

3ピッチ目で出し(2時15分) このピッチは随所にペツルのハンガーが出てくるので、
気分的には安心して登った。
でも、予定よりも時間オーバーだ、このピッチは時間短縮にバックロープで直接ビレーポイ
ントに懸垂してメーンロープでユマーリングしようと思ったが、ハングしていて、1メート
ル以上壁から離れている、体を振れば戻れそうだけれど、無理をしないで、メーンロープど
おしに懸垂した。

4ピッチ目 5時15分 時間の経過が思った以上に早くて、途中暗くなる恐れが出てきた
、念のため最初からザックは背負っていくことに、カンテをノッ越した所にリングの無い3
mmシュリンゲ、その上に残地のナッツ、乗るのを嫌って右にフリーでいくも、いきずまり、
戻ったところで、時間切れ、ヘッドランプを出す、壁がビショビショなので、とにかく神経
を使う、今回このあたりが核心で、考えている時間のほうが長くなる、仕方なく真上にフリ
ーでのぼり、右に行くがまたいきずまる、ハーケンを打とうとするが、左手が離せない、
なんとか無理してウエーブハーケンを1本打つも、荷重を掛けると簡単に抜けてしまった。
これはまずいと思い、3mmシュリンゲのところまで戻り、アブミを掛ける、この後どうし
たものかと、考えている時、右足が滑ってバランスを崩す、『オット!』という感じで、デ
ィージーチェーンをつかんだけれど、フワーと落ちてしまった。止めてくれたのは、ザイル
でなく、あの古い3ミリシュリンゲと、ディージーチェーンだった。足元の支点から1・4
メートルのディージーチェーンの分だから、落下距離は2メートル位か、ハングの上だったの
で、2、3箇所の擦り傷ですんだのは、幸いでした。
このとき最初に思った事は、ヘッドランプの灯りしか見えないだろうけれど、『下で見られ
ていたら、カッコ悪いなー!』でした。急いで元の所に登ってみたものの、しばらく動く事
が出来なかった。
このまま明るくなるのを待つ事も考えたが、ついに晴れなかった天気がさらに悪くなる可能
性もある、このピッチはリードで登っているし、右フェースの時も暗闇の中登っているので
『慎重にいけばなんとかなる!』と登ることに、ほとんどがフリーで、『支点よ出てきてく
れ』と思ったところに、残地が出てきて、なんとか北稜の立ち木にたどり着いた。
登ってきたところを振り返るとランニングのビナに巻いてある夜光のテープが4.5箇所見
えた、その先はガスと暗闇にきえている。
時間はちょうど午後8時、乾いていれば回収に戻るつもりだったが、無理する事も無いと思
い、ビバークを決める、大山さんと、自宅に携帯を入れる、女房は『そういう所で寝るのが
夢じゃないの?』と、まったく状況がわかってないようだ。                                                        乾いた靴下と靴を履き替えて、雨具を着、登攀具を整理してビバークに入る、ロープバックに足を入れると、膝上までかばーしてなかなか快適だった、
最初は膝を抱えて座っていたが、寒くなってきたので、ザック抱えて雨蓋の下に両腕を入れ
ると、さらに快適、(これで雨に降られたら相当悲惨な目にあったと思う)
 8月23日 6時行動再開、とりあえず濃いガスだけれど、雨は降ってない、最初アプロ
ーチシューズで回収に行こうとしたが、寸前に濡れたクライミングシューズに履き替えた
こまかいスタンスに乗るかもしれないと、考えたのだ。
途中5m位ランナウトしてるところがあり、びっくりした。ユマーリングの頃から霧雨になる。
回収終了7時30分、片付けて8時00分北稜下降、10時40分出合い着、
二日間稜線は一度も見る事が出来なかった。

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