幽ノ沢/V字状岩壁/左ルート

日程
2002年6月8日(土)
メンバー
(獨標登高会)寺田正之、山口伸次
記録
(獨標登高会)寺田正之
写真
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ルート図
なし

<山 行 記 録>


メンバー:寺田正之、山口伸次

獨標の寺田です。
アルパインのHPの山行報告にV字状岩壁左ルートの記録が無かったので、大した内
容ではありませんがご参考までに報告いたします。

期日:6月8日(土)−晴−

コースタイム:一ノ倉出合P(6:08)〜幽ノ沢出合(6:22)〜カールボーデ
ン上部(7:35〜8:00)〜右フェイス取り付きテラス(8:25)〜登攀終了
(12:05〜20)〜堅炭尾根(12:57〜13:30)〜芝倉沢出合(14:
52)〜一ノ倉出合P(16:05)

前夜一ノ倉出合の駐車場まで入ったが、舗装された平らな部分はほとんど埋まってい
た。指導センターの入山届は数枚だったのにやけにクルマが多い。翌朝起きるとほと
んどが写真撮影の人だった。

新緑と蝉時雨、鳥のさえずりを愛でながら幽ノ沢出合を目指す。雪不足で雪渓の状態
が懸念されたが、幽ノ沢出合は昨年同時期並みだ。出だしの薄いスノーブリッジに山
口が乗ったところ、「ブブン」という重低音とともに5M四方くらいが1Mほど沈ん
だ。一瞬ビビッた。この後一旦雪渓は無くなり出合の滝が露出している。右側から巻
いて滝の上に出ると、そこから再び雪渓がはじまった。ここで軽アイゼン装着。出だ
しは薄いスノーブリッジとなっていて、ひやひやする。そこから先は雪渓の状態は安
定していたが、二股下の大滝の部分でシュルンドがバックリと口をあけていた。山口
は何気なく反対側の岩場に飛び移ったが、寺田は足元が不安でなかなか飛び移れな
い。意を決し飛び移り振り返ると、雪渓下はえぐれてはなく、垂直に切れていた。

この先右股を詰めるが、カールボーデン上の雪渓が自重でスライドし、末端が崩壊し
ている。右側の岩場をつめ、右股リンネ下の安定したところで大休止。さらに簡単な
部分を登って、右フェース取り付きでアンザイレンした。

まずは寺田のリードでトラバース。右股リンネの小さな水流を跨ぎ、V字状岩壁との
間のカンテ上でピッチを切る。ここからが実質上の1P目だ。山口のリードでまずは
右に下りながらのトラバース。ルート図上のスタート地点に到達するが、ロープス
ケールが小さいので、さらに右上し左右ルートの分岐点(Vの要)までロープを延ば
す。次のピッチは寺田のリード。スラブを左上するIII級のルートだが、残置を辿り
ながら登っていったらシビアなマントリングを要求された。続くピッチは山口のリー
ド。さらにスラブを左上するが、行き詰まりアブミを出す。回収できずに寺田に回収
を依頼する始末である。ルート図上のIII級のピッチと思っていたが、どうやら一つ
上のIV級のピッチだった。

さらに寺田のリードでルンゼ状を直上し、ハング下で右のカンテに回りこむ。終了点
の残置が1個しかなく、次ピッチ1個目の支点にもロングスリングを掛けて、アン
カーとする。続くピッチがこのルートの核心だ。寺田のリードで取り付く。カンテか
ら左上するバンドを辿る。出だしはわりと残置があるが、カラビナがかからなかった
り、効きが甘かったりと気が抜けない。高度感もあり、漸くクライミングらしくなっ
てきた。さらに残置が無く5〜6mランナウト。残置が無いのは簡単な証拠と自分に
言い聞かせ、手の汗にチョークをつける。残置2箇所にランニングをとった後、右上
の外傾したレッジに立ちこむ。レッジに立ちこむ一手が悪い。最初横向きのクラック
にフィストジャムを決めるが、方向が悪い。一段登って縦ホールドを?み、レイバッ
ク気味に立ち込んだ。ガイドによればA1との事だが、今回は水流も無く、岩も乾いて
いたが、たとえ濡れていてもアブミを使う様なシチュエーションは無いように感じ
た。

さらに簡単なピッチを3P登りザイルを解く。所所露岩のある草付きを詰めるが、
ブッシュが深く踏み後が判読しづらい。やがて赤テープが現れ踏み跡もはっきりしだ
すと、堅炭尾根上の中芝新道に飛び出した。

ガチャ分けと昼食後、下山。毎度の事ながら芝倉沢の雪渓に降り立つ部分が悪い。雪
渓は安定していて滑るように下れる。あっという間に出合着。日焼けで火照った両腕
を沢に漬けるが、あまりの冷たさに痛いほどだ。最近雨が少なかったのか、林道の泥
濘も無く快適に歩くことが出来た。幽ノ沢、一ノ倉沢出合では、新潟側から暗雲が押
し寄せて来た。

相変わらず幽ノ沢は人気が無い。この日も我々2名の貸し切り状態。梅雨入り前の好
天を掴み、快心のクライミングを堪能できた。ルーと自体は大したルートでないが、
中年親父二人には、満足の行く山行であった。

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