日程 |
2002年6月9日(日) |
メンバー |
(G登攀クラブ)鈴木啓紀 |
記録 |
(G登攀クラブ)鈴木啓紀 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
G登攀クラブの鈴木です。
先日、谷川の中央カンテに行ってまいりました。長文で恐縮ですが、
時間のある方はお付き合いください。
一ノ倉沢烏帽子奥壁「中央カンテ」 オンサイト・フリーソロ(の試み)
2002年6月9日(日)
鈴木啓紀(G登攀クラブ・22)
6月9日
土曜に仕事が入りしかも車のない僕が、一ノ倉出会に着いたのは既に朝の
9時半だった。天気は曇りで時折晴れ間が覗く。
「初見」にこだわってソロをしたい。2回の越沢バットレスでのソロで、自分の
メンタルコントロールに自信をつけた僕にとって、「中央カンテ」のオンサイト・
フリーソロは、ちょっと魅力的なアイディアだった。そう、僕はクライミングを初
めてから丸3年以上もたつが、ナゼか烏帽子奥壁には触ったことがなかった。
通勤電車の中で、手に汗を握りながらトポを見つめる日が続いた。
6月7日には友人の高橋早映さん(朋友山岳会)が、南稜のオンサイト・フリ
ーソロに成功。フリーソロなんて、断じて競って行なうものではないけれど、や
はり心のどこかで意識はしてしまう。
天気はパッとしないし、風は強い。おまけに壁はビミョーに濡れている(箇所
もある)。少し悩むが、まあいいや、と取り付くことにする。登り出し10時40分。
意外とクライマーは少なく、南稜に3〜4p、中央稜に1pぐらいしか見当たらな
い。
今回は、天気の急変、予想外の壁のコンディション等の事態に備え、ロープ
とディジーチェーン2本を携行(使用せず)。
1p目、2p目は快調にこなし、3p目へ。この左上ランペは濡れていて少し悪い。
1p目を抜けた時点で、僕の気持は完全にソロモードになり、安定した集中力が
持続する。絶対に落ちない。背後に広がる空間も、ただの背景になった。
4p目は快適なカンテ、5p目は易しいが岩が脆い。さて6p目、第1の核心。「日
本の岩場」だとW級だが、山渓のガイドだとX級−のチムニー(なんだこの差は
?)。
ザックを背負ったままだと厳しいが、チムニー内のホールドに助けられ、これを
抜ける。次はなんでもないV級の予定が、少々左のルンゼに寄り過ぎ、浮石地
獄にハマリそうになる。カタカタいうホールドをだましながら、正規のラインへ少々
トラバース。天気はここに来て晴れてきた。
そして中央カンテのハイライトへ。核心のピッチだ。目の前の、短いがかぶり気
味の壁。ここでついに1ポイントのA0(3本のピトンに比較的新しそうなシュリン
ゲが通されていた)が入る。露出感ありまくりのムーブで、上のカバ・・・。「ゲ、
浮
いてる」。辺りの岩をバシバシ叩きまくり、安定しているカバを発見、一気にマント
ルを返す。が、体勢が悪い。おまけに目の前のガバはまたしても浮いている。で
もありがたいことに、こんな時でも僕の心は安定している。大丈夫。足を送り込み
体勢を立て直す。
そしてかぶり気味の左上クラック。集中を切らさぬよう、とっとと登り出す。フィ
ストジャムで体勢を安定させ、レイバック気味にこれを越えると安定したテラス。
核心は越えた、あと少し。
W級、V級、そしてW級、この3pは、もっと悪い草付登りを予想していたが、安
定した岩登りで抜けられた。ヤレヤレ。
そして終了点へ。「まだ終わりじゃない、集中していこう」。湿った岩と笹薮の踏
み跡をたどり、烏帽子尾根着12時10分。「抜けた!」。
5ルンゼの頭付近の岩場(脆い!!)と強風に苦しめられながらも、12時50分、
一ノ倉岳山頂着。
「この分だと、サッカーが始まる前には帰れそうだな・・・」。
核心部は厳しかったのですが、全体的には易しい岩登りに終始したような印象
です。が、僕にとっては十分充実していたクライミングでした。
★ エリア別山行記録へ戻る ★ INDEXへ戻る