<山 行 記 録>
有持です。
みなさん、こんばんは。
28日に黄蓮谷/右俣へ日帰りで行ってきましたので報告します。氷結状態は◎
で極上のアイスをたっぷりと堪能してきました。
<日程> 2001年11月28日(水)
<場所> 甲斐駒ヶ岳/黄蓮谷/右俣(日帰り)
<メンバー> ARIアルパインクラブ/有持真人、藤川勝人
<ギア> (ピッケル・バイル)BD/コブラ、(アイゼ)BD/マーコウ
<行動>
駒ヶ岳神社(03:30)〜5合目(06:25/06:55)〜坊主の滝(07:30/07:50)〜
甲斐駒ヶ岳(12:40/13:10)〜駒ヶ岳神社(17:20)
<所要時間> 往復/13時間50分 <右俣> 4時間50分
<記録>
24日に八ヶ岳の帰りに甲斐駒ヶ岳を見たところ、黄蓮谷に白い筋が入っている
のを確認したので、早速、登りに行くことにする。休みは1日しかないし、重いザック
を背負って、黒戸尾根を登るのは嫌なので、軽量化をして日帰りをする事にした。
駒ヶ岳神社を03:30に出発。休憩なしで5合目に06:25着。2時間55分。2時間
半を目指したがチョット厳しかった。5合目では冷たい風が吹いている。完全装備を
して出発。30分で千丈の滝上部に降り立つ。坊主の滝は完全氷結している。ここで
準備をして07:50に登攀開始。今日も、藤川と二人で例のごとくノーザイルのフリー
ソロでガシガシと登って行く。
11月に入ってから冷え込んだせいもあり、これだけ完璧に氷結しているとは思い
もしなかった。氷質は部分的に柔らかい所があるが、ほとんどが2月の八ヶ岳のよ
うな堅いガラス氷である。雪はほとんどないため。沢筋の氷は全て露出しており、
見事な氷床となっている。
左俣も見た目では完全氷結している。奥千丈の滝は、それは見事なナメ滝となっ
ていた。しかし、氷が堅いため、アイゼンをフラットに置ける場所が少なく、傾斜が緩く
とも、しっかりとフロントポイントで立ち込んでアックスをしっかりと決めなければ登る
事ができない。おかげで、革靴を履いてきたので踵に靴擦れができて悩まされる事
となった。
とにかく、雪はないし、沢筋も氷がしっかりと着いているので岩の上を歩くと言う事
もない。しかし、ナメが延々と続いているため、転倒すれば数百メートルの滑落とな
るため、ノーザイルでは少しのミスも許されない。
グレードは高くないが、数え切れないくらいの大小の氷瀑をのぼりインゼルをすぎ
ると大きな氷瀑が見えてきた。奥の滝の手前にある25mの滝だ。ここも見事にそそ
り立っている。さっそくノーザイルで取り付くと、下部は垂直でV級近くはある。「おい
おい右俣にこんな急な氷瀑があるなんて聞いてないぞ!」と以外な傾斜にニンマリ
としながらガシガシと越えていく。とにかく氷が堅い。程良い緊張感で登り切ると、藤
川もノーザイルで続く。この滝が一番難しく、そして楽しい氷瀑であった。V−程度。
25mの滝の手前の、沢の側壁にもV+15m程度の氷瀑もかかっていたが、時間
が無いので後ろ髪を引かれながら通り過ぎた。(;_;)ウルウル
奥の滝は大きいが段々になっているためそんなに難しくはないが、越えたあとも
通常なら雪で埋まっているナメが続いているので、ふくろはぎが痛くなってくる。
奥の滝を越え見上げると甲斐駒ヶ岳の山頂が見えてきた。しかし、遠い・・・・・。
ここから先は所々雪が着いているが氷と岩のガレを延々と登る事となる。この詰め
だけで1時間以上はかかっただろう。ふくろはぎは痛いし、靴擦れは痛いしひたすら
我慢、我慢。無風快晴の山頂に12:40に到着。360度のパノラマをじっくりと楽しむ。
所要時間は、坊主の滝下部から山頂までで4時間50分。氷が埋まっていない分、
普通ならラッセルで歩ける所でもしっかりとアイゼン、アックスを決めて登らなければ
ならなかったため、予想よりは時間がかかってしまった。
しかし、11月下旬であれだけ完全氷結した黄蓮谷を満喫できるとは予想もしてい
なかったので大満足である。「もう、しばらくはアイスはいいや」と言う感じであった。
あとは痛い足を引きずりながら、長い黒戸尾根を下っていく。4時間10分で駒ヶ岳
神社着。17:20。途中、日が暮れてしまったが、月明かりのおかげでヘッドランプを
出す事もなかった。藤川と握手をして今日の山行が終了。
<注意事項>
現在、黄蓮谷右俣は積雪が無く、延々と続くナメ滝となっています。そして、全体的
に氷が堅く、アイゼン、バイルをしっかりと決めなければ緩傾斜といえども危険です。
特に、アイス初心者がパーティにいる場合には緩傾斜でもスタカットで登る必要が
あります。氷が堅いため、延々とフロントポイントでの立ち込みとなり、アイス経験の
少ない人では途中で力尽きてしまう恐れがあります。バイルもかなりしっかりと振ら
ないとはじかれてしまい、刺さりません。
もし、力つきたり、うっかりミスで転倒でもしようものなら、氷の滑り台を数百メート
ル滑落し、滝のジャンプ台を飛ぶ事になります。
とにかく、初心者がいれば相当な時間がかかる事となるので、それなりの覚悟で
取り付いて下さい。フリーソロで登られる方は、かなりアイスを登り込んでいる方で
無ければお勧めはできません。とにかく堅い氷なのでかなりの持久力が必要です。
しかし、これだけの氷瀑はチョット登る機会は少ないと思いますから、雪が積もっ
てしまう前に皆さんにも登ってもらいたいですね。雪がひと降りしてしまえばナメ滝
は埋まってしまい、感動的な氷瀑はもう終わりです。
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