中央ルンゼ

日程
2001年10月28日(日)(
メンバー
(ぶなの会)三浦、中島
記録
(ぶなの会)三浦大介
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


 今シーズンの無雪期アルパインの最後を飾るべく、南壁きってのクラシックルートと言
われる中央ルンゼに会の若手、中島君と出かけることにした。紅葉の時期は岩の風合いと
紅葉の絶妙なコントラストが実に素晴らしく、風光明媚なところである。以前は人工で登
られていたこのルートも今やフリーが当たり前となっている。全10ピッチ、最高グレー
ド10bの手頃なフリー・アルパインのルートである。予定通り、二人ともオールフリー
で登ることができ、充実した楽しいクライミングができた。
黒伏山も前回の明星山と同様、東京人には遠い山である。東北道を飛ばすこと6時間で
ようやく山麓に到着。スキー場の駐車場とおぼしき場所にテントを張る。
 翌日、天気がもってくれることを祈りながら、素晴らしい紅葉の中を南壁目指して歩き
出す。台地にいったん上がってからトラバースで基部に向かって進んでいく。紅葉の木々
の間からは、屏風の様にそそり立つ南壁が望まれる。その壁の真ん中左側に、目標とする
中央ルンゼらしきものが見える。それはブッシュの多い南壁の中で、稜線まで直線的に伸
びた非常にすっきりとしたラインで、クライマーの登攀意欲をそそるには十分である。途
中にあるキビタキの池は渇水期のためか水は少なく、広葉樹に囲まれた小さい窪地にひっ
そりとたたずんでいた。
 そこからものの数分で南壁基部に到着する。壁には誰もいない。辺りは静まりかえって
いる。我々の独占か、と思うと嬉しくなる。目の前の凹角がすぐに中央ルンゼの取り付き
だと判った。準備をしていると1パーテーがやってきた。我々と同じく中央ルンゼに行く
という。
 ルートを確認し、8時過ぎ、三浦トップで登攀開始をする。1p目、縦ホールドを使っ
たスタンスの少ない5+の凹角を登る。朝いちの体には少しやっかいだ。プロテクション
が多いのが助かる。慎重にホールドを選び、体を少し振りながら30mほどロープを伸ば
す。これでウオーミングアップは終了だ。ここのビレイ点はボルトが抜けそうでちょっと
恐い。もう少し伸ばして10mほど上のビレイ点の方が状態は良かった。中島が快適にフ
ォローしてくる。そのまま彼がつるべで2p目に入る。目の前の凹角を越えると階段状の
易しいスラブになる。
 3p目は下部の核心部。頭上の垂壁を越える、豪快なピッチ。かつてのA1がフリー化
されて5・8のグレードがつけられている。三浦リードでスラブからクラック沿いに直上
し、ここからボルト連打のフェースを少し登ってから、左にトラバースして垂壁を抜ける。
カチホールドをうまく使って、少し体を振り気味にしてフリーで突破。体感グレードは5.9、
非常に快適で面白いピッチである。ゲレンデと違ってチョークの後が無いのが新鮮。中島
君もフリーでやってきた。
 4、5p目は易しいスラブを左上してからルンゼを横断し、風の踊り場という右側のテ
ラスまで。ここは1ピッチでもいけるみたいだ。辺は傾斜が落ち、中央ルンゼ内の小カー
ルといった趣のところ。6p目、中島リードでピンの少ない逆層のスラブを慎重に左上す
る。ここからが中間部の核心である。7p目、三浦リードでホールドが脆い垂壁を直上し、
さらに左上するバンドを上部垂壁手前のテラスまで。ここは浮き石に神経を使う。8p目
は中島リード。ボルト連打の垂壁をこれまた快適なガバを使い、豪快にフリーで越えてい
く。ガバが気持ちいいが少し浮いているものもあるので慎重に。グレード5・8、高度感
のあるピッチ。
 次のピッチは順番からすれば三浦だが、最後の核心の10bも三浦が予定していたので
中島が行きたいと主張する。出だしのスタンスの乏しい凹角状をレイバック気味にフリー
で越え、右側の草付きを直上しテラスへ。ちょっとブッシュがあるが、これくらいは許せ
る範囲。
10p目、10bの最後のスラブ。ここは是非ともフリーで越えたい。ツインロープで
三浦がリード。一見、簡単に登れそうに見えるのだが、ホールド、スタンスともに細かい。
ラインを見極め、ムーブを探しつつ何とかフリーで突破、嬉しい悲鳴。
 中島がフリーで登ってくるのとほぼ同時に雨が振りはじめた。今まで泣かなかった御天
道様に感謝。時刻は13時丁度。5時間のクライミングだった。中島とがっちりと握手。
二人とも完璧なオールフリーの登攀で十分に満足のいく結果になった。
 その後、後続を待ってから懸垂6pで基部まで下降する。降りるころには雨足はだいぶ
強まっていた。帰りは天童で温泉に入り、飯を食べてから再び東京までの長い帰路につい
た。
黒伏山・南壁中央ルンゼはなかなかの好ルート。いい気持ちで今年の無雪期のアルパイ
ンを終えることができた。来年は三十路ルートに行きたい。

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