日程 |
2001年7月14日(土)〜15日(日) |
メンバー |
(ARIアルパインクラブ)鈴木輝昭、山中崇史 |
記録 |
(ARIアルパインクラブ)山中崇史 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
ヤマです。先にスズテルさんから報告がありましたが、追加報告を。
7月14日、15日と白馬岳大雪渓での負傷から実に3ヵ月ぶりの本番山行。
錫杖沢分岐からは河原へ出て錫杖沢を30mほど進み右手樹林側にトレースが続く。し
かし、これは下降時に確認したもので、往路は藪をかき分けてのアプローチとなっ
た。
9:30登攀開始
左方カンテは計8P。どう考えても奇数Pのほうが難しいので、暗黙の了解でスズテ
ルさんが1・3・5・7Pリード、2・4・6・8P山中リードとなる。
1P V+ スズテル 難なくこなす
2P W 山中 久々のリードで緊張するも何とか体は動く。このPは40m
とのことなので、トポにあるピナクルをめざしていたが、ビレイ中の先行パーティ
フォローに追いついてしまう。その時点ではどれがピナクルなのかわからず、少なく
とも追いついた所は本来切るべきところより少し手前だと思い、追い抜くことにし
た。しかし、追い抜いてすぐに新しいリングボルトがあるテラスがリッジ左前方に。
ここで切れば良かったのだが、ロープがそれほど出ていない様子なので、一気に進ん
でしまった。ここから時間を取ってしまい、先行Pのフォローを待たせてしまったの
は申し訳なかった。あとで気付いたのだが、自分は2P〜3Pを継続してしまったら
しい。3PはX、A1とのこと。難しかったわけだ。ここで追い抜いた先行Pに先を
譲る。
4P Y− スズテル なんていうことはないP。凹状の上部をトラバース気味に
行って5Pのビレイポイントまで25m、最後の岩の上に乗るところだけ注意を要する
程度。
5P X スズテル 濡れているチムニーからスタート 目の高さにあるバンド状に
両足を乗せてしまえば前進できる。ただ、ここでは背中を岩壁に押しつけてすすまな
ければならない。チムニーを抜けてからのフェイスが濡れていて非常にいやらしい。
大胆に足を開いて行くが、足の置き場が滑りそうで嫌だった。このフェイスでテン
ションしてしまう。あと1手だったのに…。情けないやら悲しいやら。スズテルさん
に追いついたところで雨。先行Pは懸垂を決めて降りて行く。我々はしばらく考え
て、雨が少し小止みになったところで6Pまでは行こうと決める。
6P V 山中 まったくやさしい。広いテラスでひと安心。しかし、支点づくりに
手間取ってしまう。念を入れて自分のデイジーチェーンによるセルフを支点のリング
ボルトとは別のところに取ったのだ。心配性のせいか、どうしても1カ所の支点がす
べてというのは不安なのだ。しかし、スピードを考えると…。要修行である。
7P X+ スズテル 雨があがったのでそのまま継続する。時々陽があたり、快適
のようにも思えた(思いこんだ)。ここが核心Pだが、出だしが難しく、スズテルさ
んも岩と格闘。A0を交えながら攀じっていった。フォローの私は、またしても情け
なく、あぶみを出す。なぜか躊躇はしなかった。一度人工をしてしまうと、こうも
あっけなく選択できるものなのは不思議である。スズテルさんはあくまでフリーに
拘っているところは尊敬だ。
8P W+ 山中 8P手前テラスのここで終了とも考えたが、最終Pは自分がリー
ド。完登のためにも行くことにする。ここは濡れたフェースで支点が数mも上にあ
る。出だしはビレイポイントの左2mのところからだと登りやすい。フレーク状の岩
で、少しずつ足をあげては手前への加重をかけないように岩を掴む。3〜4手登る
と、下からは見えなかったリングボルトがビレイポイント上方にあり、ちょっとうれ
しい。右手いっぱいに伸ばしてランニングを取る。2つ目のリングボルトを過ぎたあ
とは枯木を支点ににすすむことになる。ここでまた少々あせる。枯木まで到達した
が、肩にかけたシュリンゲがからまってうまくとれない。肘で枯木を巻き込み安定さ
せ、ギャーギャー騒ぎながら何とかシュリンゲをかけ、ザイルをクリップ。ふぅ〜。
あとはブッシュをつめて終了。
懸垂下降
7P目を懸垂する直前、先行スズテルさんからOKコールと途中にザイルが引っかかっ
ているから外すように指示がある。上から見てもそのようには見えないが、注意しな
がら下降する。登ってくるパーティーのすれ違いながらの下降となったが、懸垂中の
ザイルが登攀中の肩に当たっているようなので、位置をずらしながら下降している
と、何時の間にかザイルが引っかかっている部分を2〜3m過ぎて下降してしまう。
引っ張っても揺すっても外れないので、仕方なしに仮固定し、セルフレスキューの要
領で登り返す。引っかかっているところは自分の位置より左5mのフェース上の潅
木。岩のバンドに立ち込みフリーで行くが、ザイルの方向からすると、振り戻されそ
う。しかもそんな時に限ってホールドがない。緊張しながらバランスだけでバンド上
を左へトラバース。ザイルは潅木に絡まっていた。自分としてはここが核心だった。
14:30取り付き点登攀終了
錫杖岩舎は真横に水場があり、快適な岩小屋であった。標高が高くもないせいか、夜
はシュラフカバーのみでも耐えられるが、アンダーウェアはあったほうがより快適。
翌日は1ルンゼの予定だったが、あまりに状態がよくなさそうなので3ルンゼに変
更。
P2基部からほぼ岩の基部沿いに平行してトレースを辿る。
3ルンゼ基部から見上げると完全に岩が濡れている。行きますか、と少ないモチベー
ションでスタート。しかし、1P目から水流があり、まるで滝を登っている状態。ひ
んやりして気持ち良いといえば良いが、このPで終わりではないことを考えるとやる
気をなくす。リードのスズテルさんも、フォローのビレイ中体が冷え切って寒い寒い
を連発。結局、この先は止めにしてしまい、敗退。自発的な敗退。
さて、足の状態だが、やはり下山の際、負傷した右足に全過重がかかるような下降の
仕方はまだ無理がある。いわんや、かつては可能だった駆け下りることはまだ無理な
ようだ。今後もリハビリにつとめる予定。
反省点としては、●支点をつくるのに時間がかかりすぎ●人工の多用が挙げられる。
しかし、復活山行としてはまずまずだったかな。スズテルさんありがとう!
おかげさまで復活できたことですし、みなさんもこの落ちこぼれメンバーにお付き合
いくだされ。
ではでは。
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