小窓尾根〜早月尾根(日帰り)

日程
2001年5月4日(金)
メンバー
(春日井山岳会)加藤美樹、(峠の仲間)久野
記録
(春日井山岳会)加藤美樹
写真
なし
ルート図
なし

<山 行 記 録>


剱R4、改め剱日帰り山行   記録 春日井山岳会 加藤    パートナー 峠の仲間 久野
 
 5月3日。ゴールデンウィーク初日の大渋滞に巻き込まれ、馬場島に着いたときには出発から8時間以上
が経っていた。いくら職業ドライバーの私達とはいえ、腰の痛みに拍車がかかる。

 本当は夜間に池ノ谷ゴルジュを抜けてしまいたかったのだが、本日の行動はもう止め。車にて仮眠。
 
 5月4日。常駐隊に行くと肝心のR4は「夏と変らない状態」とのこと。R4狙いのパーティーは全て引き上
げたり、チンネに変更して出かけたという。

 さては困った。連休前半の情報により「かなり厳しいミックスクライミングを強いられる」と聞き、ラー
プやナイフブレードを借りに行った。結果、渋滞にはまったのだ。ナンテコッタ!どうしよう?
 
 さあて出発、て時になって日本登山体系を開いてる私達。
 常駐隊で他の情報をいただきに行ったら、朝ご飯までいただいてしまった。朝からメンチカツにエビフラ
イ、コゴミ入りの卵焼きに味噌汁、と妙にボリュームのあるメニュー。しかも前日の残りとかでなく揚げた
て!?

 富山産の米も美味しく、お腹パンパン状態にてそんじゃ用意して行きますか!
 
 目標、小窓尾根から主稜線、剱沢へ下って平蔵谷東尾根から前剱、山頂、早月尾根とする。
装備は登攀具は絞り、ザイルも1本、他幕営具と勿論ビーコンも。
 
馬場島発09;30.池ノ谷ゴルジュに向かうにはやや引っかかる時間ではあるがとりあえず歩く。
 
 ゴルジュ入り口10;30.時間も時間、入るにはためらわれたが、思ったよりは幅のある広さで特に割
れた個所も無い。前年スキーで通過した、落石の嵐?の小黒部ゴルジュよりは遥かに幅がある。
 
「雪崩れるには側壁の雪もだいぶ落ちてるよね」などと言いつつ登っていたら、すぐ後方で人間の頭以上も
の石がカーンッと落ちて砕けた。「・・・・・・。」「急ぐべし!」

 更に、ゴルジュを抜けてホッと一息、小窓1600m地点への上り口斜面を検討していたところ、通過し
てきた尾根の向こうのゴルジュから、ドドーンッと地響きが・・・・もうちょい遅かったら死んでたな・・
「教訓。落石、雪崩の危険地帯の遅くの通過は自殺行為なり」
 
 小窓尾根への登りは草付きが出ていて思ったよりは悪かった。アイゼンを付けていれば、笹で滑って苦労
せずともよかったのだが。

 小窓は一昨年の連休にも先頭切って登ったが、当時は新雪に苦しめられ抜けるのに2泊3日掛かっている。
それが今回嘘のよう。トレースはばっちり、雪は締まって春山ジョイ状態。

 急登の始まる前の狭い尾根上に幕営後が無数にある。

 ここで幕営した6天くらいのテントの方々!雪庇の上の幕営は止めましょう。下は空洞。笹薮が見えてま
したよ。シェラフに入ったまま、テントごと白萩川に転落!なんてハズカシーですからねぇ
 
前回散々苦労した個所のほとんどは、雪のついた側壁を巻いて難なく通過出来た。
 前回はルートが解らず、フィックスに誘われては真中から壁に突っ込んではまっていたらしい。
この時幕営した2121m地点からは登攀具を着け、ニードル側壁の懸垂でザイルを出す。
 ほぼコンテのまま歩き小窓尾根核心部を抜けるまでに、取り付いてから7時間だった。
雪稜になるとこれまで人影のなかった尾根上には驚くほどのテントが並んでいた。
 
 R4だがやはり1本の登攀ルートとしては見えない。アイスクライミングとしては・・・
凹角の奥に筋状の氷が見えるのみだ。
 
 小窓の王にて日没を迎えた。この側壁、懸垂下降点の上にて雪解けの水が得られた。
この時気付くべきであった。この水が寒気で氷結すれば、R4も登れたかも、と。

 まあこれは結果論。後で有持さんのホームページを見てこの未明、R4を完登したパーティーが居たことに
はショックを受けたが、それも所詮は私たちの判断力が及ばなかっただけのこと。
 
 下降点は懸垂せずそのままダブルアックスで降りたが、どうもこういうのは苦手だ。今回は早月もこれば
かりでその点では良い練習となった。
 
 三の窓ホテルは大賑わい。池ノ谷ガリーを降りてくる一団を待ってから、しっかり硬くなった雪を駆け上
がる。

が、この頃になると流石にこの急登は堪えてくる。池ノ谷のっこしが妬けに遠い。
 登りきった先ののっこしにもテントは何張りもあった。既にここから長次郎へ下るのも、そして更に登り
返すのもウザッタクなっていた私たちに幕営する気はなくなっていた。
 こうなりゃ夜通し歩くのみサ!
 テントの人達が心配して「何も持っていないのなら泊めてあげようか」等という話がテントから漏れてく
る。
「ご心配なく、テントは持ってます」と声を掛け、月夜の道をのんびり歩きだした。後から「お気をつけて
!」と言ってくれる人もいる。幸い、雪はよく締まり、月は煌煌とその稜線を照らしている。何の問題もな
い。
 
 稜線上にもテントは点々とある。その中の一つの横を通ったとき、お互い「お疲れ様です」と何気なく通
過してから、これもお互い思ったらしい。「似てるぞ!?」と何のこたない、下山してきたら同じ岳連の瀧
根さんであった。

 山やなんぞ行くところは決まっているのでニアミスは日常茶飯事?
 実際出発前にも馬場島で有持さんが居たことにに気付かず、大窓からのシュプールに「イイナァ」等と関
心していたのだから!?
 
 途中、雪洞を見つけて潜り込む。折角コンロも食料もあるので晩御飯。ラーメンを作って1時間以上休ん
だ。雪洞内は暖かく眠ってしまいそうになるが、再び出発。風が強まっていたがもう山頂の直下だった。
山頂10:00.主稜線に出てからはだいぶのんびり歩いてきたが、ここから再び気を引き締める。
 
 早月上部は凍りつき、後ろ向きになると足元が見えないのが恐ろしい。雪はクラストして昼間のトレース
は深く潜ったそのままに固まっていてアイゼンの爪は引っかかるし実に歩きずらかった。

 歩きだして10何時間が経過したのか?早月はいつもながら気が遠くなるほどに長い。
こうやって疲労が表に出だすと、自分の弱い個所がでてくるものだ。

 体はまだ充分力が残っているにもかかわらず、膝をもっと鍛えなければ、それに昨年の足首剥離骨折はこ
んな時だけ持ちこたえてくれない。スピードがダウン、松尾平で夜が明けた。
 
 ハイなおつむでラジオ体操の歌を歌いつつ松尾平を行く。「あ〜た〜らしぃあ〜さが来たっ、き〜ぼぅの
あ〜さーがッ」20時間後馬場島帰着。その日の朝ご飯もちゃっかり常駐隊にていただいていた私達であっ
た。常駐の久保(ひさくぼ)さん、何からなにまでお世話になりました!
 
 明朝、懲りもせず私たちは再び早月へと向かった。スキーを担いで。しかし結果は藪漕ぎばかりであんま
り楽しいものではなかった。ブナクラから馬場島まで滑り込めた昨年なら面白かったかも?
 
 
 あれ?なんか毎年馬場島にいるような?
そして今週、連休明けの体を休ませる気なんて更々ないさ!
毛勝三山アブキ谷と中谷は落石ありの急斜面ありのスリリングな週末を過せました。

 今回も魚津警察所の方にはお世話になりました。林道の状況を問い合わせたら、なんとその日のうちに見
に行ってくれました。富山県民は皆親切?ありがとうございました。
 
毛勝の報告はまた後ほどにて!では!

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