日程 |
2001年5月3日(木)〜5日(土) |
メンバー |
(中央アルパインクラブ)石田秀里、伊藤敦彦 |
記録 |
(中央アルパインクラブ)伊藤敦彦 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
戸隠剣=伊藤敦彦
togakusi@olive.freemail.ne.jp
先日は、谷川岳の情報を有難う御座いました。残念ながら谷川岳は、名古屋からは遠いのと、煩わしさで中止し、替
りに不帰T峰尾根に行ってきました。以下山行の概要を報告します。
所属山岳会名(中央アルパインクラブ)
参加者名(石田秀里・伊藤敦彦)
山行日(平成13年5月3日〜5日)
ルート(不帰T峰尾根)
グレード(中級・雪稜+岩)
入山、下山場所(八方尾根から八方尾根支稜下降、唐松岳まで縦走し八方尾根下山)
アプローチ状況(良好)
山行内容(下記参照 記→伊藤敦彦)
@5月2日(水)「曇りのち雨」 石田さん宅に21時に集合し、大町の幸子宅へ行く。松本に入った頃より雨足が
強まり、明日が少々心配になってくる。中央アルプス縦走組は、雨の中どこで寝るのだろうな。
@5月3日(木)「曇りのち霙、後晴れ」 1時過ぎ大町の幸子宅へ到着。少々お喋りした後、仮眠する。布団も用
意してくれて、恐縮この上ない。7時頃起床すると、雲で一面覆われているものの雨は上がっている。食事をいただ
き、8時頃八方尾根に向け出発する。途中コンビニで行動食を買い出しし、八方尾根集落内で駐車場を探し、無料の
国際ゲレンデ駐車場に駐車する。ゴンドラより苦にならない距離にあるので、覚えておく良い。天気は、予報より早
く回復してきている。薄日も差し、山裾も見えだした。10時頃、ゴンドラに乗り、リフト2基を乗り継ぎ、八方池
山荘に降り立つ。ガスの中だが、顔が熱いのがわかる。しっかりと日焼け止めを塗り込む。緩やかな八方尾根を、重
い荷物に喘ぎながら、ゆらゆらと登る。12時半頃、上ノ樺に着く。此より予定としている、奥ノ二俣へ降りようと
思うがガスの中だし、奥ノ二俣をBCとした記録も見当たらなかったので、常識に習い上ノ樺をBCとする。早々と
空いている、テントサイトを貰う。睡眠不足でうたた寝する。気が付くと霙が降っている。テントも増えて賑やかに
なっている。ウイスキーを飲みながら食事をし、明日4時起床の5時出発とし、20時頃に就寝する。
@5月4日(金)「快晴」 アラームが鳴り、4時に起床する。今日は快晴だ。簡単な食事を済まして、5時半頃に
出発する。隣のテントのグループが少し早く、後を追いかけるようになる。先ずは、トラバースし八方尾根支尾根を
下降する。既にGW前半に来た登山者のトレースが、しっかりと付いている。しかし、朝のカチカチの雪上で、膝が
痛くなる。途中で不帰T峰尾根を偵察する。P2にはテントも見えるし、続々と不帰T峰尾根を目指す登山者の姿が
眺められる。1850m付近より唐松沢目指し、ルンゼを下降する。気温が上がり暑くなってきたので、合羽を脱ぐ
。少し唐松沢を登り、不帰T峰尾根P1とP2のコルまでルンゼを登る。尾根に出ると2パーティーがハーネスを着
け、登攀の準備をしている。展望が良いので休憩し、アイゼンを着け出発する。ブッシュも混じっている、急峻な雪
稜を暫く登る。写真を撮っていると、天狗岩稜の下で「ドドド」と言う音と供に、ブロックが崩壊して、落ちていく
様が眺められた。大きな塊が粉々に飛び散る様は、さながらスローモーション撮影を見ている様だ。登っていると再
び同じ場所で、ブロック雪崩が起きている。気温が上昇したためか、至る所で小さな雪崩も起きている。小さな雪崩
でも「ドドド」と以外と大きな音がする。さて、一息付くとP2だ。この辺りからは、スッキリとした雪稜となり、
高度感が出てくる。展望はますます良くなり、断壁が正面眼中に入ってくる。沢山の登山者が、数珠繋ぎになってい
る。どうやら我々は、殿だ。少し下り登り返すとP3となり、断壁に突き当たる。今日は、登攀者多く順番待ちとな
った。ルートハンディングしながら、登っている人の人数を数えると、なんと19人もいる。流石、岳人5月号の影
響か。隣のテントの人達は、既に岩峰を乗り越えている。一寸の差が、大きな差になってしまった。約2時間後の11
時頃、ようやく断壁に取り付くことが出来た。ザイルを2本持ってきたが、1本で十分と判断し、ハング越えまでは
、空身で行く。断壁は6m程(残雪の状況にもよる)の岩壁で、ホールドが沢山ある、凹角のクラックを登り、上に
あるハングを、左のリッジに避けて乗り越える。この左に避けるときが、唐松沢側に高度感が出るが、しっかりとし
たホールドがあるため問題ない。また残置ハーケンもしっかりしている。此処でザックを荷揚げする。この上は、階
段状で特に問題なが、浮き石には注意がいる。程なく雪稜に出て灌木で確保する。石田さんが登ってくるが、ザイル
がハングに引っ掛かり苦労している。なかなか登ってこないなと思っていると、断壁下にあった自家用車大の雪塊が
、唐松沢目掛けて静かに直滑降で落ちていった。下にいたら大変だが、上から見る分には楽しいな。石田さんも難渋
したが、何とか登ってきた。2ピッチ目は、石田さんがトップで登っていく。雪稜と言うよりは雪壁だ。コブを越え
、トラバース気味に左上して行く。3ピッチ目は、雪庇を左より巻き、雪壁を直上して行く。4ピッチ目も雪壁を登
っていく、斜度が緩くなってきて、程なく上部雪稜に出たようだ。不帰U峰が目の前に峻立している。緊張感がなく
なり、アンザイレンで行くと、ジャンクションピークに出る。また下の方で「ドドド」と音がして、今度はミキサー
車から吐き出される、コンクリートのような雪崩が、TU峰間ルンゼに落ちている。これにやられたら、一溜りもな
いや。問題のなくなった、緩やかな雪稜を登っていくと、頂上直下の壁に出る。此処でも順番待ちを30分位する。
隣り組は既にU峰を登り始めている。直下の壁は、ブッシュ壁で特に問題もなく登れる。16時、ようやく縦走路に
辿り着いた。資料等には、TU峰間ルンゼや不帰沢を下降路にしているようだが、今日の雪崩競演会を見ていると、
とても下降する気にはなれず、唐松岳まで縦走し、八方尾根を降り、テントまで戻る事にする。主稜線の西面には、
雪は着いていない。アイゼンを石に軋ませながら、TU峰間コルに着く。U峰西壁寄りに続く縦走路にも雪がなく問
題ないが、信州側を巻く所は、しっかりと雪があり緊張させられるため、ザイルを出す。トラバース途中の岩峰には
、残置ハーケンが有るので確保に使える。これを越えるとU峰北峰だ。縦走路はこれより穏やかな越中側を行くため
、ザイルは必要ない。非対称山稜で、全然面構えが違う。疲れた身体を引きずるように、唐松岳を目指す。剣岳が遙
か彼方に峻立している。小さな上下動で疲れる。やっと唐松岳に着き、五竜岳をバックに写真を撮る。後は、夕闇迫
る中、八方尾根を降りて行く。途中で雷鳥に出合う。何度見ても可愛いな。大町の夜景が綺麗に見える。途中よりヘ
ッドライトを付け、19時30分テントに戻った。簡単な夕食をして寝る。
@5月5日(土)「晴れ」 7時頃目が覚める。朝食を作るのも面倒なので、そのままテントをたたみ下山する。続
々と登山者やスキーヤーが上がってくる。不帰T峰尾根をバックに、記念写真を撮る。1時間少々で、八方池山荘に
着く。リフトで下り、兎平109のマクドナルドには入り、バリューセットで乾杯する。ゴンドラに乗り継ぎ、苦も
なく下山する。大町温泉郷で温泉に入り、蕎麦を食べ、5時頃に帰名する。
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