日程 |
2000年10月7日(土)〜9(月) |
メンバー |
(弥生山考会)平村明永、(無所属)大久保孝則 |
記録 |
(弥生山考会)平村明永 |
写真 |
なし |
ルート図 |
なし |
<山 行 記 録>
こんにちは、平村です。
8日はちょうど1年振りの静かな滝谷でしたが、入下山日の横尾〜涸沢は数珠つ
なぎ。ヒュッテの宿泊客は1枚の布団に4〜5人の割り当てで、悲惨な状態だった
ようです。しかし素晴らしい紅葉に、ハイカーも大満足だった事でしょう。
<行動>
10/7 上高地〜涸沢
10/8 涸沢〜南稜〜C沢左俣〜取付〜登攀開始10:00〜終了14:00〜北穂小屋〜涸沢
<記録>
今年初めての登攀が、雨で流れに流れてやっと実現した。5:30テントを後に
したが、天気予報はいまいちで、せめて午前中だけでも持ってくれればと願う。
南稜は頂上まで人の列。ザイテングラードも同様で、東稜だけは1パーティの
み取り付いて楽しそうだ。遠く北尾根にも、何パーティかが見える。
南稜テン場の、大久保さんのいつもの隠し場所で、不足のザイル・カラビナ等
を揃えた後、C沢を下ると、西壁には既に1パーティが取り付いている。
1P目 平村
のんびり用意をしながら待っているうちに、二人は1ピッチ目を終えて視界か
ら消え、10:00平村リードで登攀開始。下部のクラック(IV)は快調に抜けた
が、上部クラック(V)を見上げて、早くも考え込んでしまった。フリーで通す
にはあまりに力不足なうえ、今年になっての練習は、エナジーで1度、日和田で1
度だけである。それほど迷うことなく右壁をAOで、と頭上のハーケンにカラビ
ナをかけようとするが、わずかに届かない。いったん戻って息を整えていると、
県警ヘリがホバリングして、こちらの様子をうかがっている。しばらくして飛び
去っていったが、みっともないまねは見せられないと、思いきって空中に飛び出
すと、なんとか乗り切ることができた。
ここまで40分かかっている。後続も苦労して登ってきたが、 「朝一には、ち
ょっときびしいね」 との感想。
2P目 大久保
バンドまで階段状(II)11:35。上のパーティは既に4P目のハングを越えて
しまったようだが、こちらはここでお茶を一服。
3P目 平村
左側の凹角が正規ルートだが、簡単そうな正面フェースで行く。それでも45m
ザイルでは足りずに、クラック下10m弱で区切り、後続がそのまま4P目のビレイ
ポイントへ。
4p目 大久保
12:15クラックというよりもチムニーを登り出すが、ザックがじゃまになり、
途中でビレイ点に吊り下ろす。ハング下で吊り上げると、ついでにそこに二人が
集まる。ふたたび大久保さんがハングしたクラックに取付くが、すぐに 「こり
ゃあ、登れないよ」 と、アブミを取り出してかけかえつつ、じりじりと上がっ
ていく。
ビレイをしつつ左の方を見ると、歯科大ルートのどでかいハング岩は、まるで
岩全体がぶらさがっているように見える。ここもいずれはグレポンや、P2フラン
ケのように、ごっそりと崩れ去る運命にあるんじゃないかと思う。そういえば快
適な硬い岩と云われるこの西壁も、けっこう浮石だらけだ。
自分の番が来た。ここはフリー(VI-)で頑張ってみないと、足のフラットソ
ールが泣いちまう、と気合を入れて登り始める。始めてから気が付いたが、何が
「豪快なレイバックで」 なのかと思ったら、背中の後ろの空間が豪快なんじゃ
ないか。3000mで試す、初めてのレイバックだったが、気力のせいか体力のせい
か、ついAOがまじってしまった。ここをトップでフリークライムしてしまう人
達は、ほんとにすごい。
5P目 平村
最後の簡単な20mはピッチには数えないようだが、浮石が多いので慎重に登り
14:00終了。ドームの頭に出たとたん、強風に震えさせられる。
今年はこれが最初で最後の滝谷になるなと、北穂小屋のテラスでコーヒーを飲
みながら余韻に浸っていると、冷たい風に細かな雪が混じってきた。今回のドー
ム西壁は、大久保さんの正月山行の偵察をかねていたのだが、正直言って、厳冬
期に一人では厳しいだろうというのが結論である。それでも弱音を吐く人ではな
いので、とにかく課題の4尾根をやって後、余裕があればと言っている。力不足
の今の自分には無理だが、ぜひ心強いパートナーが現われてくれればと願ってい
る。
長文を読んでくれた方がいましたら、ありがとうございました。
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