福岡(FYK)/蜂谷一彦、北川博英
<山行日> 2000年7月15日(土)<記録> 蜂谷一彦
蜂谷一彦@福岡(FYK)と申します。
先日の7/15(土)、同じ会の北川先輩と共に、宮崎県の「大崩山・
小積ダキ中央稜」(X・A1・285m)を登ってきました。
想像以上にハードで難しかったです。
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メンバー: 北川博英さん(=鹿児島在住)と蜂谷一彦の2名
(共にFYK)
7/14(金) 福岡ICを21:00に出発し、一人寂しく高速を飛ばして、
大分〜R326〜宇目町経由で上祝子へ向かう。
途中、野ウサギを何匹か見かける。深夜00:30、大崩山の登山口
に到着し、同じ会の北川先輩と合流。私は、福岡から僅か3時間半
で来ることが出来たが、北川さんは鹿児島から5時間かかったとの
こと。林道の橋の先のところでテントを張り、軽く飲んだ後、02:00
就寝。
7/15(土) 寝坊してしまい、05:50に起床。テントを撤収し、ギアを
整理して、06:50出発。通いなれた道を歩いて、小積ダキの基部
に到着したのが08:00。割と速いペースで来ることができたが、
中央稜の取付には宇部山岳会の2パーティが先行しており、順番
待ちとなる。我々が登攀を開始したのは09:00。
1P目、蜂谷リード。(30m、フェース、A1) せまい凹角状のところ
でピッチを区切る。
2P目、北川さんリード。(40m、フェース、A1)
3P目、蜂谷リード。(30m、フェース、A1) 広くて快適なテラス。
ここまでは単調なアブミの掛け替え。高度感も出てくる。
4P目、北川さんリード。(30m、カンテ、X-)
このあと、ブッシュに入り、踏み跡をたどって左方に向かい、
チムニーの下に至る。ここで小休止。昼食にパンを1つかじる。
5P目、北川さん・空身でリード。(15m、チムニー) ここは、スクイズ・
チムニーの前段のチムニーで、ノーピン。私は荷を背負ってフォロー
するが、ザックが突っ掛かって上手く進めず、苦労する。
6P目、蜂谷・空身でリード。(20m、スクイズチムニー)
このピッチのグレードはX級とされており、近年のボルト打ち足し
が非難されているが、私には難しすぎて、A0で登ってしまう。
情けないことだが、正直いって、「ボルトが多すぎる」とは、到底
思えなかった。ブッシュの奥の岩穴の手前でピッチを区切る。
7P目、狭い岩穴をくぐって、「下の窓」へ。ユニークなルートだ。
8P目、蜂谷リード。(40m、クラック〜凹角、W+) クラックは割と
快適で、キャメロットの小さいサイズが重宝する。
9P目、北川さんリード。(20m、凹角、W−・A1) ここは、草付きが
落ちていて、かなり難しくなっている。キャメをセットして、それに
足をかけて登った。
先行パーティの方々も、「こんなの、4級なんかじゃないよ〜。」
と叫んでいた。
10P目、蜂谷リード。(20m、クラック) Wということだが、それに
しては難しく、A1で登る。キャメをセットして足をかけたら、ズボッ
と抜けてしまい、ザラザラした花崗岩で手の甲を擦り剥いた。
思わず「チクショウ!」と怒鳴ってしまい、下から北川さんが心配
して声をかけてくる。
小テラスでピッチを区切る。ガスが出てきて、眼下には水墨画
のような景色が展開している。ものすごい高度感。
終了点はすぐそこだが、ここまで来るのにだいぶ時間がかかって
しまった。先行パーティの姿はとっくに見えなくなってしまった。
11P目、北川さんリード。(20m、スラブ) このスラブは、ピンは
少ないが、傾斜は緩くて易しい。これが最終ピッチであるが、
その上の段差を蜂谷リードで乗越して、登攀終了とした。時刻
は19:00。なんとか暗くなる前に抜けられたので、ホッとする。
想像以上に難しく、長いルートだった。
北川さんと固く握手を交わし、大急ぎで下山開始。
坊主尾根(下小積尾根?)を下るが、朽ちたハシゴが連続し、
足場もよくない。そのうち暗くなり、ヘッドランプを点けて
下降を続ける。蒸し暑くて喉が乾くが、手持ちの水はすでに
飲み干してしまっている。とにかく水がほしい。
林道方面と山荘方面の分岐点に着いたのが20:00。プカプカ
と宙を飛びながら微光を点滅させているホタルを見たが、
疲れ切っていて感動する余裕もない。ここの看板には、「林道
経由登山口まで80分」、「山荘経由登山口まで50分」との
案内があり、後者をとることにする。
足が重くて、膝もガクガクさせながら、遅々とした歩みを続ける。
沢の瀬音が聞こえてくるが、一向に沢に辿り着かず、水はまだ
か?と泣きたくなるような思いで、喉の乾きにひたすら耐える。
ようやく沢にたどり着き、水をガブ飲みしたときは、もうどうなって
もいいと思った。祝子川に出て、小休止。河原の上で横たわっ
たが、疲労困憊してそのまま寝むりこんでしまいそうだった。
重たい身体にムチを打って出発し、林道に着いたのが21:30。
長い長い一日だった。2人とも全身の精力を使い果たし、ヘトヘト
の状態だった。
街まで移動する気力もなく、「もうここでテント張って寝ようや」と
いうことになった。夕食の準備はしていなかったが、幸か不幸か
2人とも食欲がなかったので、柿の種とカッパエビセン、それと
冷酒、焼酎の水割りなどで簡便に済ませた。24:00就寝。
7/16(日) 当初、この日は比叡山の岩場に転進する予定だった
が、2人ともボロボロだったので、お家にまっすぐ帰ろうということ
で、解散。
北川先輩、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
宇部山岳会 高田と申します。
蜂谷さん今日は、小積ダキ中央稜の先行1パーティーは私です。『こんなの、
4級なんかじゃないよ〜。』と泣きを入れてたのも私です。我々は当初、甲斐
駒のBフランケ赤蜘蛛ルートに行く予定(7/14〜16)だったのですが、天気予
報が思わしくないので、梅雨あけの予報を信じ急遽宮崎に変更しました。7/14
は檜谷の沢登りを行い(蜂にさされ、ヒルに血を吸われ、まむしににらまれ)
15日に小積ダキ中央稜を登りました。私は小積ダキは初めてでしたが、蜂谷さ
んの言う通り難しかったです。下部の4ピッチのA1ルートはとても快適でした
が、スクイズチムニーから上はとても難しく、相棒と熱き友情のトップの譲り
合いをしながらなんとか登りました。(もう少しピンがあってもいいんじゃな
いの〜)我々も下りは蜂谷さんと同じ状況(ヘロヘロ)で沢の音をたよりに下
りました(林道着18時40分)それから延岡のスーパーでビールと焼酎と豚肉、
キムチを買いこみ、北川の道の駅の近くにテントをはって、翌日はとても登攀
意欲などなく、逃げるように九州を離れました。それでも今度は南壁のルート
も登ってみたいと思ってます。今度機会があれば、ご指導願います。
蜂谷一彦@福岡(FYK)です。
[alpine-climbing:3760] の報告で書き忘れましたが、以前、「ACML」ならび
に「アルパイン・クライミグ・ホームページ」を通じて、小積ダキの情報を提供
して下さった方々に対して、御礼申し上げます。貴重な情報を、どうもありが
とうございました。
宇部山岳会・高田様、こんにちは。レスありがとうございました。
小積ダキ、どうもお疲れさまでした。
私はオレンジ色のタオルと赤いメットを被っていた若造です。
私自身も、相当泣きが入っていて、「難しいっすね〜」を連発しておりました。
>(もう少しピンがあってもいいんじゃないの〜)
全く同感であります。でも、宮崎の岩場は、フリーのピッチは概して
ピトンが少ないみたいです。それだけ初登者の方々は、プロテクション
に関して、相当のポリシーを持たれているみたいです。
聴いた話で恐縮ですが、スクイズ・チムニーは、初登時はノーピンだった
らしいですよ。本当だとしたら、とても怖いっすね〜。
私は、情けなくもA0で抜けたので、「論外」通告されても仕方ないです。
南壁には、そのうち機会があれば、私も行ってみたいと思っています。
九州と山口は近いので、またどこかで御一緒できるかも知れません。
そのときには、いろいろと御指導いただけると幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。失礼します。(^.^)/~~~
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