北鎌尾根

JECC/廣川健太郎、長谷川綾、雲表/青木かおり


<山行日> 2000年7月15日(土)〜16日(日)<記録> 廣川健太郎



廣川です。

  15〜16日で上高地側から水俣乗越経由で北鎌尾根に行方不明の池さんの捜索
  に行ってきました。2日で北鎌、しかも初日土砂降りで2日の行動時間が長く、
  やや大変でした。
  左俣は怪しげなゴミがちらほらありましたが、今回も手がかりはなし。

  これから入られる方、何か見つけられましたら、情報連絡お願いします。
  なお、北鎌のコルの残置品のヘルメット、サブザックは無関係です。


 メンバー 廣川、長谷川(JECC)、青木(雲表)=(俗称:あおき@中華)

  林さん質問ポイント関連情報

     その1 北鎌尾根上の雪の有無
        尾根上には残雪はありません。天上沢側は比較的尾根に近い所まで
        雪が残っていますが、雪の上をトラバースするとしても、独標と北
        鎌平中間点の1ケ所です(が、尾根通し直上も可能なポイント)。

     その2 北鎌沢左俣の雪渓の状態
        つながってます。問題ありませんが、5m以上の残雪の量でところ
        どころ、クレパスはないですが、シュルンドがあります。急な所も
        あるので、アイゼン、バイルの携行は必須でしょう。
        所要時間は出合いから休憩を含め、2時間45分位を想定していま
        したが、アイゼン装着を含めた2回の休憩時間の30分を含め、約
        4時間かかりました。     

     その3 北鎌沢右俣の状態
        ほとんど雪は消えています。下3分の1位のところと、上部にちら
        っと雪が見えました。

   以下は詳細。

 15日(土)24時上野原IC集合のはずが、青木/長谷川が遅れ、25時集合と
      なってしまった。沢渡着は、3時40分。5時、許可車両に乗り継ぎ、
      新村橋まで入る。

       6時スタート。8時15分、槍沢ロッヂ着。預かっていただいている
      デポ品をパッキングしている内に土砂降りにななる。様子を見るのと、
      睡眠不足解消にうたたねをする。しかし、降りは激しくこそなれ、やむ
      気配はない。意を決して、11時前出発。
       乗越沢からの登山道はすぐに左の斜面に入り、更に左の沢を横切った
      り、戻ったり、ジグザグの急登となるが、枝や草が道に被っており、
      当初、雨具は下だけ、上は傘だったが、上も着込むが、何しろ土砂降り
      で雨具を出して着るにも一苦労であった。

       水俣乗越から天上沢源頭右股へ草付きの中の踏み跡を降りていくと、
      残雪がでてくるが、きれいにはつながっておらず、しばらく、雪とガレ
      を交互に歩く。かなり急なのでアイゼンを付けた。前回、6月中旬に来
      た時は乗越沢を雪渓沿いにダイレクトに詰め、天上沢源頭左俣を降りた
      が雪が多い時はこちらの方が素直である。
       水流がでてくると、土砂降りの影響で水は濁っており、水量も多い。
      北鎌沢出合いへは、だらだらと河原伝いの飛び石、ガレ歩きが続くが、
      藪をこぐ必要はない。先週捜索に入った京都岳連パーティが作ったケル
      ンや木の棒の目印があった。

       計画では北鎌沢左俣を登り、独標のコルでテントを張る予定であった
      が、とても沢歩きから雪渓登りをする転機ではなく北鎌沢出合いで幕営
      とするが、土砂降りで、テントをはって、マットを引いて、荷を入れて
      と丁寧に作業をしていたら1時間半位かかってしまった。
       天上沢は大増水でこのままの水量では対岸、北鎌沢に渡るのも大変だ。
      こんなに激しい降りは予想していなかったのでフライを持ってこなかっ
      たのは大失敗であった。
       ローストビーフ、茹タコ、アスパラ、長葱、ベーコン、麻婆春雨、
      パックじゃがバタ等々、食材豊富、土砂降りでじめじめはしているが、
      お酒も沢山で飲みきれず、楽しく宴会をして19時半就寝。
       22時過ぎ頃から雨足が弱まり、23時半用足しにおきた時は雲は薄
      くなっており、天気は回復しそう。晴れを期待して再度の眠りに着く。

 16日(日)3時半起床。雲は切れ、晴れている。水量も半分以下に減っている。
      濡れ物をひろげ、水気をはたいて、気分一新、時間をかけてパッキング。
       5時半出発。北鎌沢左股下部はやさしい沢登り、流れが右にまがって
      しばらくて雪渓が現れ、ここで水を補給、アイゼンを付ける。
      雪渓は直上から、左へ左へ食い込むようにあがっており、かなり距離が
      あるが、今のところ安定している。部分的に空洞や若干段差がついてい
      るところもあったが、目でみて分る程度なので、あと1〜2週間は全く
      問題ないと思う。
       どんずまりの最上部で二俣状となり、右側が本流のようだったが、雪
      渓右のガレ草付きが安定していたのでこちらを詰めたが、稜線直下はこ
      こも雪が詰まっていた。尾根着9時20分、若干1名贈れており、合流
      後、アイゼンを外して尾根を辿る。一つ先の本物の独標のコルは、しば
      らくの間は左俣源頭の残雪を取ることができそう。
       独標の巻き道はまだシーズン初めなので、踏まれ方が浅い。狭いバン
      ドから続く足元がすっぱりきれたトラバースも快調にこなす。
       独標上、極力尾根を行く。巻き道は、概ね千丈沢側についていること
      が多いが、巻き道は相応に踏まれているので視界が利かない場合など、
      余り曖昧な踏跡は利用しない方が良い。
       しばらく行くと、大槍、小鑓へと続く尾根上部が見渡せるようになる
      が穂先はガスに包まれ、はっきりとは姿をみることができない。
       北鎌平との中間点、P15〜P16間、間の沢雪渓があがってきてい
      る小コルから先は、独標と同様、千丈沢側を大きく巻くが、脆いところ
      が多く、独標よりも悪いように感じた。巻いて、尾根に上がって、また
      巻いてを繰り返して最後岩尾根を直上していくと、開けた北鎌平にでる。
      ゴミが多いのは残念だが、安定した幕場だ。
       槍の穂先へは、大岩の累積した尾根を辿り、最後、150mほどが急
      な岩場となる。入り口は天上沢側にマーキングがあり、左側から入り、
      階段状の岩場を適当なところを100mほど登ると70度位の岩場とな
      り、この下のバンドを左に天上沢側に回ると、有名な?頂上直下のチム
      ニーがある。チムニー出口にはスリングがぶら下がっているが、チムニ
      ーそのものを抜けるよりも途中で右にフレークをつかんでトラバースし
      た方が易しい。この上で左に天上沢側に左に回りこみ、大まかな岩場を
      上がると祠のある穂先へ飛び出す。

       2時30分、頂上を後に肩の小屋へ下り、一度も使わなかったハーネ
      スをしまい、行きに乗せてもらった許可車両はもう下山しているので、
      上高地まで歩く。長い下山に備えて腹ごしらえをする。

       3時下山開始。20分くらい下ると、雪渓が連続するようになる。足
      をすべらすように快適に下れるが、1名が雪になれておらず、大分遅れ
      る。雪渓はアイゼンはいらないけれど、杖はあった方が良い。傾斜が緩
      くなって、もう大丈夫と判断してから、先行。
           
        槍沢ロッヂ16時50分。デポ品をパッキング、1名先行、遅れた1
      名をまち、17時半ロッヂ発。
       横尾着18時20分。30分発。横尾の先で廣川は新村橋へ続く工事
      道の方が早いと判断してこちらに回る。
       徳沢19時10分着。15分待ったが二人は来ないので19時25分
      先行。
       明神19時55分通過、足の裏がだるくなってきてペースが落ち、上
      高地着は18時25分。
       上高地宿直のタクシーの事務所に釜トンまでとお願いに行くが、後続
      が何時にか分らないので一旦は断られる。
       後続は21時15分着。月曜午前、絶対出社しないとならないのでお
      願いしますと、長谷川が必死のモードで頼みタクシー乗車に成功。
       
      釜トン閉鎖は20時なので、通常は上高地に19時半位までについてい
      る必要があります。20時を過ぎて、釜トンまで乗って、そこから先、
      アルピコの沢渡営業所の車を呼んでおいて乗り継ぐにしても、19時前
      位に、横尾なり、徳沢から予約の電話を入れておいた方が確実です。
      20時を過ぎれば、翌朝は5時から営業スタートですから、予約がなけ
      れば、当然晩飯、晩酌・・・。
      なお、タクシー会社は釜トンゲートの鍵は持っています。

      今日は睡眠不足です。

ーーーーーーーーー>
 林さま

  廣川@JECCです。

   DDIと合併するKDDに勤務しております。
   毎度、DIONをご利用いただき、ありがとうございます。

  さて、本題
   尾根上は基本的に残雪は消えたと思います。

   北鎌沢左股は、多分、雪渓が使えると思います。
   出合いから2時間〜2時間半位でしょう。

   私も、今週、北鎌沢左俣から北鎌尾根に捜索に行きますので、
   帰ってきたら詳しく報告します。、

   貧乏沢は先週湯俣岳、南真砂岳方面からみたところ、
   かなり雪が残ってました。途中雪渓がきれていましたが、
   切れ目のところは注意しておりた方がよいでしょう


 伝え忘れ   昨日、北鎌沢左俣雪渓に入ってから、熊1頭、親子猿、カモシカも見ました。   ちょうど1ケ月前、まだ雪渓の残っている北鎌沢右俣に入った時は、熊1頭を   同行者が見ています。   この界隈、評判とおり、熊さんは、かなりいるんだと思います。   天上沢の河原、北鎌沢出合いでは熊は見ていませんが、快適な北鎌沢出合い   のテント場で安心して寝られるよう、みなさま、食べ物、食べ物の残りが   ついた包装など、捨てたりしないように・・・。

★ エリア別山行記録へ戻る ★ INDEXへ戻る