ARIアルパインクラブ/原、大野、雲表/青木
<山行日> 2000年5月13日(土)<記録> 原岳広
原です。
一時は山をあきらめたGWですが、大野さんと雲表の青木さんと北穂東稜から大キレット
を越えて槍まで行ってきました。5月1日に決まったというドタバタでした。
最終日の午前中以外は天気にも恵まれました。
今年は本当に雪が多く、1か月季節が遅いという感じでした。山肌には雪がべっとり付い
ており、最初は東稜に取り付けるか不安でしたが、北穂沢ゴルジュの手前から稜に這い上
がってなんとか行けました。ただ、稜線に上がるまでの下部急雪壁には約15pのところ
に弱層っぽい層が出来ており、もうちょっと気温が高かったら突っ込まなかったと思いま
す。
東稜上の雪は思ったより状態が良かったです。標高が上がるにつれて雪もしまり、心地の
よい雪稜でした。頂上直下の雪壁も安定していました。ただ雪が多かった。これが5月か
と思うくらいでした。核心のゴジラの背も岩はまったく露出しておらず、きわどい雪のナ
イフエッジと懸垂一回でクリアできました。トップのパーティーはなんと懸垂支点を掘り
出すのに苦労した様でした。5月だというのに。
大キレット越えも面白かったです。飛騨泣きの下りは長い急雪壁と悪い岩稜帯ですが、足
が揃っていればノーザイルでも行けます。しかし、アイゼンワークに慣れていない場合に
はロープを積極的に使った方が良いと思いました。また、この時期の「飛騨泣き」はやは
り登りの方が簡単だと思いました。
長谷川ピークも見た目より簡単で、ノーザイルでも行けます。残置ハーケンは所々にあり
ました。今回はパーティー全体を見て、一応コンテで行きました。支点として使えるピナ
クル状や鎖も豊富なので、自信がない場合にはスタカットした方が良いでしょう。ちなみ
にすれ違ったパーティーは切っていました。
南岳への登り返しは全然簡単でした。やはり大キレットの核心は飛騨泣きでしょう。
南岳から槍までは真っ白な雪稜でした。
槍の穂先への登りは、まあこの時期でも一般道という感じでした。
下りは槍沢でした。当初、雪が多いから下れないだろうと思い、下山路としては横尾尾根
や大喰岳西尾根(槍平ルートもヤバイかもしれなかったため)を考えていましたが、あっ
さり下れました。トレースもバッチリ付いており、上部は雪も締まっており一見して雪崩
れる可能性は低かったです。尻セードで水俣乗越下部(屈曲点)まで30分かからずに下
ってしまいました。いや〜、早かった。
ちなみに、横尾尾根では事故があったようです。
今回は縦走で、テント等の全装備を背負っての東稜/大キレットであり、それなりにトレ
ーニングになりました。雪の見極めの勉強にもなったし。
それから、今回は単独行者に刺激を受けました。西穂から槍まで単独で縦走している人
、北鎌から穂高までつなげている人(この人は天狗の腰掛けから一日で北穂の小屋まで行
ってしまいまいした。いや〜スゴイ人だ。)、北鎌単独行者等々。皆、見た目で歩き込ん
でいることが分かりました。たしかにノーザイルでも行けるところだけど、単独となると
別のプレッシャーがあるはず。僕もいつかチャレンジしたいと思いました。さすがに北穂
の東稜に単独はいなかったけど。
総じて、レベルに合った山行が出来たのではないかと思っています。
今シーズンの雪はこれで終わりですね。また次が楽しみです。
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