御坂/芦川/蛇沢/千波の滝

ARIアルパインクラブ/有持真人、酒井学


<山行日> 2000年2月19日(土)<記録> 有持真人



有持です。

 土曜日は、千波の滝に行って来ました。氷結はいまいちでしたが、なかなかエキ サイティングなクライミングを楽しめました。

 ホゲホゲさんに聞いた所によると、「廣川さんも千波の滝に行っているよ」と言 う事でしたが、廣川さんもいらっしゃったのでしょうか??

 確か、後続パーティはJECCだったと思いますが・・・。

<行動>

 駐車場(06:30)〜取付(07:00/08:00)〜終了点(12:05/12:45)〜駐車場(13:15)

 本当は、今週末は土日で長野方面へ未登の氷瀑探しに行く予定だったが、子供が 風邪をこじらして入院してしまい、土曜日の午後には帰らなくてはならなくなって しまったため、近場にある「千波の滝」に変更する事になった。

 2月12日に静岡山岳会の清さんが千波の滝を登ったと言う情報もあり、今週は 大寒気団の到来でかなり冷え込んでいるため、期待して千波の滝へと向かう。

 中央道のPAで車中ビバークして、早朝に対岸の駐車場に到着。もう先客が来て おりメスナーテントが1張りある。夜遅くまで飲んだのかテントからは大きなイビ キが・・・・。

 そそくさと準備して出発する。沢通しでは時間がかかるので、左岸の尾根から高 巻いて行く。5年前に私が付けた黄色テープがまだ残っていた。

 30分で「千波の滝」取付に到着。アプローチが近いと言うのは楽だ。

 今週の寒気団のおかげで、1P目のシャワーは全く無い。気温は−4℃。

 今まで、何度も来たがシャワーが全く無いのは初めてだ。氷も適度に硬く、取付 でのコンディションは良い。

 1P目は、中央が氷柱になっているのと、左上トラバースするルートが2本とれ る。中央の氷柱はVI級はある。最初は、こちらから登ろうと思ったが一緒に行っ たパートナーがまだVI級を登ったことがないし、もしフォローできなかったら後 が大変なので、左上トラバースルートを選択した。

 1P目 15m V−(氷が薄いのでもっとあるかも??)

 登り始めは氷結も良くてなんて事ないが、左上が始まる手前から氷結が悪く、コ ブの集合帯になってくる。強くバイルを振ればコブが落ちてくるため、バイルを引 っかけながら登っていく。

 左上トラバース部分は、取付から見る限りでは簡単な階段状に見える。しかし、 実際に取り付いてみると傾斜は80度ぐらいだが、氷がかなり薄い。ベルグラと小 さなコブがくっついているだけだ。コブのおかげで小さなスタンスだけはある。

 バイルを強く振ると岩に当たるので、キツツキのように氷に穴を開けて、バイル を引っかけながらトラバースをしていく。当然の事ながらランニングは取れないの で、約10mはランナウトになった。

 こんな状態なら、「中央の氷柱を登っていた方がまだ安全だった」と後悔しても もう遅い。

 トラバースが終了し、氷が厚くなって、ピックがしっかりと刺さった時にはホッ とした。その後は、IV+程度を直上して氷のバンドでピッチを切る。

 トラバースでランナウトしているため、フォローが落ちると相当振られて氷に激 突するので、酒井の登りを心配していたが、短時間で越えてきた。

 1P目が終了した頃には、後続パーティが続々と詰めかけてきており、3Pほど が順番待ちをしていた。

 2P目 50m IV+

 この辺りは氷も厚くなり、快適に登攀できる。しかし、氷は少し水っぽい。右上 してザイルを一杯延ばしピッチを切る。

 3P目 50m V−

 ここは、右側が氷柱になっているがシャワークライムになってしまう。多少のシ ャワーなら登ろうと思ったが、実際に取り付いてみると滝の様になっていたため左 側から巻いて行く。それでも下部ではシャワークライムになった。

 氷柱の左側も氷が薄い。1P目ほどではないが、ピックの引っかけ登りで10m ほどランナウトで直上する。

 ここを越えると傾斜が落ちる。ビレー点の立木まで数メートルザイルが足りなか ったので、酒井に少し登ってもらい立木でビレー。酒井も順調に登ってきて12:05 に登攀が終了。所要時間4時間5分で、だいたいコースタイム通りだった。

 下降は、尾根を回り込んで下山した。

 ここ数年は氷結が悪くて、私が行ったときには登れなかったが、久しぶりに完登 する事ができ、マルチピッチクライミングを楽しむ事ができた。

<注意>

 今回は、50mザイルだったので3Pで終了したが、45mザイルなら4Pにな るので、50mザイルを持参した方が無難。

 シャワークライムになるので、アウターはヤッケよりはカッパの方が良い。

 取付までは、沢通しに行くと時間がかかるし、氷結が悪いと嫌らしい高巻きにな るため、左岸の尾根から登った方が良い。尾根から取り付きまでのトラバースが迷 いやすい。黄色テープと白い紐のマーキングを追っていく。

 登山道の途中から尾根への下降は、日が暮れると迷う恐れがある。登山道を下り すぎると登り口に戻れない。トラバース道まではマーキングなし。

 千波の滝の写真をアルパインクライミングホームページに掲載しますので、興味 のある方はご覧下さい。23日に更新予定です。



廣川★で書き込みます。

 ★日曜の天候が悪いという予報だったので米子はあきらめて、千波に行きました。

 ★以下のような次第です。 
                   1P目    最終P
  先頭   ARI      2名 左ライン   右ライン
  二番目  JCC      3名 右ライン   右ライン 
  三番目  JECC/ACT 5名 左ライン   左ライン 抜けたのは二番目
  4番目  立川山岳会    2名 左ライン   右ライン 知合いの菅原さんと相場さん
             計 12名

> 本当は、今週末は土日で長野方面へ未登の氷瀑探しに行く予定だったが、子供が
>風邪をこじらして入院してしまい、土曜日の午後には帰らなくてはならなくなって
>しまったため、近場にある「千波の滝」に変更する事になった。

 ★大体おんなじようなことを考えるるものですね。
>
> 2月12日に静岡山岳会の清さんが千波の滝を登ったと言う情報もあり、今週は
>大寒気団の到来でかなり冷え込んでいるため、期待して千波の滝へと向かう。

 ★一方で実は平日に行ってみたが薄くて登れないという情報もありましたが、これは
  判断の問題で、先週よりは発達しているでしょうから、大丈夫と思ってました。
>
> 中央道のPAで車中ビバークして、早朝に対岸の駐車場に到着。もう先客が来て
>おりメスナーテントが1張りある。夜遅くまで飲んだのかテントからは大きなイビ
>キが・・・・。

 ★それは我々です。先客がいないので、26時位についてからしこたま飲んで、結局
  取付きは三番目になってしまいました。

> 今週の寒気団のおかげで、1P目のシャワーは全く無い。気温は−4℃。

 ★我々の時は、左までトラバースしきったところが最悪でずぶぬれになりました。
>
> 今まで、何度も来たがシャワーが全く無いのは初めてだ。氷も適度に硬く、取付
>でのコンディションは良い。
>
> 1P目は、中央が氷柱になっているのと、左上トラバースするルートが2本とれ
>る。中央の氷柱はVI級はある。最初は、こちらから登ろうと思ったが一緒に行っ
>たパートナーがまだVI級を登ったことがないし、もしフォローできなかったら後
>が大変なので、左上トラバースルートを選択した。

 ★右氷柱に行きたかったのですが、JCCの方が取付かれたので左に入りました。
  JCCの方は、氷柱真ん中位で落ちて、ロープがやや流れ、10m程墜落、幸い
  無傷。
  前回来た時は、最終ピッチで山学同志会の方が二度落ちるの見ましたが、
  結構スクリューというものは効いているもんですね。

> 左上トラバース部分は、取付から見る限りでは簡単な階段状に見える。しかし、
>実際に取り付いてみると傾斜は80度ぐらいだが、氷がかなり薄い。ベルグラと小
>さなコブがくっついているだけだ。コブのおかげで小さなスタンスだけはある。

 ★手よりも足が崩れそうで嫌なところでしたね。
  千波は3回目になりますが、一番薄かったですね(前回は右氷柱からだったが)。

> こんな状態なら、「中央の氷柱を登っていた方がまだ安全だった」と後悔しても
>もう遅い。

 ★そうです。ラインとしては右が安定してました。

> 2P目 50m IV+

 ★微妙な感覚の問題ですが、アイスクライミングの本では松本正城さんがW+と
  されてますが、W(部分的にW+)という感じですね。
>
> この辺りは氷も厚くなり、快適に登攀できる。しかし、氷は少し水っぽい。右上
>してザイルを一杯延ばしピッチを切る。

 ★正面の張り出した岩の下が落氷がよけられて快適です。
>
> 3P目 50m V−
>
> ここは、右側が氷柱になっているがシャワークライムになってしまう。多少のシ
>ャワーなら登ろうと思ったが、実際に取り付いてみると滝の様になっていたため左
>側から巻いて行く。それでも下部ではシャワークライムになった。

 ★ここでは逆に濡れはありませんでした。

> ここを越えると傾斜が落ちる。ビレー点の立木まで数メートルザイルが足りなか
>ったので、酒井に少し登ってもらい立木でビレー。酒井も順調に登ってきて12:05
>に登攀が終了。所要時間4時間5分で、だいたいコースタイム通りだった。

 ★1ー2ー2と団子で登りましたが、4時間半でした。
  先行されていたので、刺し跡が利用できて、楽をさせてもらいました。

> ここ数年は氷結が悪くて、私が行ったときには登れなかったが、久しぶりに完登
>する事ができ、マルチピッチクライミングを楽しむ事ができた。

 ★マルチでこのアプローチの近さ。内容も面白いし、良い氷です。
  登ったのは今回で3回目になりますが、まだまだ何回もいくでしょう。
  水量があるけど、めちゃくちゃ冷え込んで、右端が登れるような時が来ることを
  期待してます。

> 取付までは、沢通しに行くと時間がかかるし、氷結が悪いと嫌らしい高巻きにな
>るため、左岸の尾根から登った方が良い。尾根から取り付きまでのトラバースが迷
>いやすい。黄色テープと白い紐のマーキングを追っていく。

 ★次回試してみます。
  私は大体、沢から入って連バク帯の入口で左岸のガリーを少し上がり、山腹を
  巻いていくトレースに入ります。

> 登山道の途中から尾根への下降は、日が暮れると迷う恐れがある。登山道を下り
>すぎると登り口に戻れない。トラバース道まではマーキングなし。

 ★1回目は登山道から懸垂で取付きに戻りました。
  2回目、3回目(今回)は前畑の集落経由で降りましたが、左に大分遠回りになる
  ので45分強かかりました。
  有持さんの使われたラインが一番早そうですね。
>
> 千波の滝の写真をアルパインクライミングホームページに掲載しますので、興味
>のある方はご覧下さい。23日に更新予定です。

 ★有持さんのパーティの写真も大分とってますが。
  この日はポジで6本撮影しました。

有持です。

 廣川さん、こんにちは。

 やっぱり廣川さんもいらっしゃったんですね。でも 全部で12名もいたとは思いませんでした。これだけ の人が登ったので、1p目の左上ルートは更に氷が薄 なっているかもしれませんね。

 JCCの方が右ルートで墜落されたみたいですが、 ケガがなくてよかったですね。上部にいてもかなり大 きな音が聞こえてきましたから、ひょっとしたら墜ち たのかなと心配していました。

 今度行ったときは、中央を登ってみたいです。そう いえばホゲホゲさんが去年に右側を登りましたよね。 今年より条件が悪かったみたいでした。

 それから、登りの尾根ですが滝取り付きより少し高 い位置からトラバース道があります。尾根を登ってい て滝が見えるようになってすぐにトラバース道があり ますが、ここではなくて更に上部です。

 今週末もアイスに行きたかったのですが、遠出がで きないので、広沢寺の大ハングで遊んでいると思いま す。どなたか見かけましたらお声がけください。


酒井です.

 先週末,千波の滝に行きました.

 まずアプローチで道に迷いました(jj) 目の前に滝が見えているにも関わらず道に迷って とんでもない崖をトラバースするはめになりました.

 もともとは最初の急登でへばってしまい 有持さんについていけなかったのが原因なんですが... はじめていく場合はテープを目印に行くのが正解のようです. (帰路も同様) 行きも帰りも30分以上有持さんを待たせてしまったようです. 申し訳ない…

 千波の滝自体は全体を通して傾斜はそれほど無いものの 1P目のトラバースなどは特に氷が薄く,薄氷にバイルを 引っかけながら登るという有用な技術を身につけさせて頂きました(^^;)

 いままではアイスというと バイルの刃とアイゼンの刃でガシガシと氷に穴を空けながら 登っていくようなイメージを持っていたのですが それが大きなまちがいであることに気付きました.

 そのおかげで2P目,3P目では1度もレストする事なく スムーズに登ることできました.

 次に行く時までには2P,3Pは当然として 1P目もリードできるような 技術を身につけてまた行きたいです.

 そんなわけで今週末もアイスに行きます.


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